2007年8月


1日●講演と御褒美の外国旅行
大勢の聴衆を前に、何か学術的なテーマで講演している私。それは非常に長い講演で、何時間、あるいは何日もかかった気がする。ただし、話の内容は全く思い出せないのだが。そのあと、気がつくと私は遠い外国を旅していた。それは講演に対する“御褒美”的な意味合いを持つ旅だったかも知れない。旅の途中で何か急用が生じ、私は急遽、もといた場所(日本?)へ帰らなくてはならなくなった。この間、私の周辺では実にさまざまなことが起こる(ただしその内容は思い出せない)。誰か親しい男性と別れたような気もする。私は、少なくとも表面上は穏やかな気持ちで、一種の諦観をもってみずからの運命を受け止めている。

【解説】 時間が目に見えて流れてゆくようなスピード感と移動感のある夢でありながら、全体としては「もののあはれ」を思わせる諦めにも似た気持ちが宿っているような夢だった。現実世界では9月からインド全土を講演旅行することが決まっているので、そのことも夢に反映していると思われる。


2日●空海の生まれ変わり
会議室のような場所。目の前にはHさん(男性)がいらっしゃり、熱のこもった口調で何かを説いていた。そのお顔を拝見しているうちに、不意に私は、(ああ、この方は昔、空海だったことがあるのだな)ということを思い出した。

【解説】 ほんの一瞬の夢。Hさんは真言宗A寺の御住職。夢を見るまで気づかなかったが、そう言えばお顔立ちや行動パターンに空海を思わせるところが多々ある。
現実世界で(この人は○○さんの生まれ変わりでは?)などと考えることは全くない私なので、今夜の夢は我ながら意外性があって興味深かった。


3日●階段をコロコロ転がり下りる
すぐ目の前に急勾配の下り階段があって、あっと思ったときにはもう、私はコロコロ転がりながら階段を転がり下りていた。猫のようにしなやかな身のこなし。(変に構えてしまわない限り、階段は転がって下りることも出来るのだな)と気づき、ブースケにもそのことを教えてやろうと思っている私。

【解説】 気がついたときには階段を転げ下りており、正にあっと言う間の夢だった。愛犬のブースケは新居の階段の昇り降り中に、よく足を踏み外して
落ちてしまう。私はそんなブースケのことを日夜心配しているので、その気持ちが今夜の夢となって現われたものと思われる。


4日●法王の身を案じる
厳(おごそ)かな感じのする広々とした場所。おそらく日本のどこか。大勢の人が静々と歩いており、その先頭には、いつもの臙脂色の僧衣をまとったダライ・ラマ法王が歩いておられる。その風景を、後方の上空から俯瞰している私。法王はいくつかの説法をし終えて、ご自宅のあるインドのダラムサラへお帰りになるところらしい。そのとき、何を思ったか取り巻きたちが法王を神輿のように高く担ぎ上げ、そのまま運ぼうとした。しかし運び方を誤ったため、法王のお顔は前方の壁に軽くぶつかってしまった。冷や冷やしながらその一部始終を見守っている私。暫くすると、取り巻きたちは再び法王を担いで運ぼうとし、またしても法王のお顔を前方の壁にぶつけてしまった。痛さに顔をしかめる法王。その光景を見ていた私は、(何故、法王をもっと大切にお運び出来ないのか)と憤慨している。そのあと私は暫く法王と個人的にお話をさせていただいた。具体的な話の内容は思い出せないのだが、その間もずっと私は法王の身を案じ続けていた。

【解説】
ダライ・ラマ法王が夢に登場してくださるのは、非常に久しぶりである。そう言えばこの夏はスクーリングで高野山へ行ったり、真言宗のお坊さん方と一緒に旅をしたり、真言宗のお寺の一室を借りて仕事をさせていただいたりと、かなり密教的な雰囲気の中で暮らしている。そうした現実が今夜の夢となったのだろうが、法王が1度ならず2度もお顔をぶつけておられたのが心配だ。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「ぶつかる」の意味は「悪いことが起こる前ぶれ/思わぬ敵をつくってしまう兆し(ただしあまり深刻なトラブルにはならない)/環境の大きな変化/価値観の変化/積極的な姿勢が幸福に繋がる暗示」とのことである。


5日●教養のない老人の金に媚びるアーティスト風の男
ひと気のない田舎道。田んぼの中を貫く細い道を、砂埃を立てて1台の自動車が走っている。それはハイヤーまたは黒塗りの高級車で、後部座席には土地成金らしい老人が座っている。彼には人間としての魅力も教養の欠片もないが、銀行口座で眠っている巨額の預金のために、皆が彼に従属するのだ。自動車を運転しているのは、教養と学歴はあるが金のないアーティスト風の男性だ。彼は心の中では後部座席の老人を深く軽蔑しながらも、金のためにおべんちゃらを使ってアッシー君の役を買って出ている。やがて、老人を家に送り届けて礼金を受け取ったアーティスト風の男は、手の平を返したように老人の悪口を言い始めた。ここまでの一連の出来事を傍観していた私は、このときになって初めて口を開き、「そんなにイヤな相手なら、おべんちゃらを使わず毅然とした態度で臨んだら? その気になれば、もっと誇り高い仕事はいくらでもあるでしょうに」と言った。今夜の夢ではこのほかにも、銀行のようにも宇宙船の内部のようにも見えるクリーム色の広い部屋へ行ったり、眼鏡をかけた穏やかな中年男性(おそらく銀行員)に逢ったり、丸い団子(?)を2つ食べたような気もするのだが、詳細は一切思い出せない。
【解説】
今夜はメインの夢のほかに、たくさんの短い夢を見た記憶がある。起床してからそれらのイメージを手繰り寄せてみると、「銀行」というキーワードが少なくとも3度登場していることに気づいた。気になったので『夢の事典』で調べたところ、「銀行」の意味は「これまで蓄えてきた知識・能力・経験の豊富さ/安定感や安心感のシンボル」とのことである。現実世界ではつい先日、某銀行の元幹部(とても穏やかな初老の男性)と知り合った。そのことが今夜の夢には影響しているのかもしれない。


6日●茶道の先生がマジシャンに変身
広い劇場。演出上のスモークでも焚いたのだろうか、空気が少し霞んでいる。幻想的なイメージ。ディズニーの『アラジン』に登場するランプの魔人が、客席真上の天井でゆらゆらとブランコを漕いでいる。私がここへ来たのは、今日のショーに茶道の荒井先生と弟弟子(おとうとでし)のHさんが出演すると聞いたからだ。連絡を下さったのはHさんである。不意に、ステージ上に荒井先生とHさんの姿が現われ、何か不思議なトリックショーを演じてみせた。と思う間もなく、次の瞬間に、お2人の姿は忽然と消えていた。真っ白なスモークに霞むステージを眺めながら、私は心の中で(どうやら先生はマジシャンらしい)と思っている。
【解説】
今夜の夢にはもっと長いストーリーがあったようにも思うのだが、この部分しか思い出せない。昨夜はHさんから先生の誕生日祝いのことでメールが届いた。それでこのような夢を見たらしいのだが、それにしても何故「マジシャン」なのだろう。『夢の事典』によれば、「マジックを見て目を見張っている夢」の意味は「人間関係に変化が起こる/過去の恋愛が蘇ったり新しい友人が出来る兆し」だそうだが。


7日●原色の長袖Tシャツ
お店かショールームのように見える小さな部屋。籠の中にシャツやブラウスの類がたくさん入っている。「何枚かあげるから取りなさい」と誰かが言ったようだ。私はオレンジ(あるいは赤?)のTシャツと黄色のTシャツを選び取った。どちらも長袖だ。私は心の中で(盛夏だからこそ半袖ではなく長袖が良い)と思っている。オレンジと黄色はとても明るく、見ているだけで体内からビタミンが湧いてくるようだ。
【解説】
ストーリーと呼べるものがない、しかしどこか印象的な夢だった。このところ少し落ち込むことがあって、気合いだけで乗り切っている。夢の中に強く明るい色が登場したのは、自分自身を励ますためのエールだったのかも知れない。


8日●凍てついた道で待つ
灰色の街。少し勾配のある道。周囲は住宅街なのだろう、家々が立ち並んでいる。しかし人の気配はなく、とても寒く淋しい感じが漂っている。今は冬なのだろうか、道のあちらこちらが凍って銀色に光っていたのが印象的だ。坂道の少し上のほうに、ひとりの女性が立っている。年齢は45ぐらい。私の知らない人だ。彼女は無表情のまま、何かを待っているようだ。暫くすると彼女はその場所を離れて歩き始めた。おそらく彼女にはローテーションがあって、これから別の場所へ行くらしいのだ。代わりに私が、今まで彼女が立っていた場所に立った。凍てつく道。人影はなく、私はただひたすら何かを待っている。この間に何か動きのある出来事があったような気がするが、その詳細は何故か思い出せない。そのあと私は持ち場を離れ、別のところへ移動して行ったように記憶している。
【解説】 灰色の街、ひと気のない凍てつく道、
ひとり淋しく何かを待つ人。今夜の夢には、「孤独」が深く宿っていたように思う。人間は生まれつき、それ自体が孤独な存在だが、それにしても今夜の夢の中で私は何を待っていたのだろう。待ち人は来ないということを、この夢は告げていたのかも知れない。


9日●パトカーに対して警告する公共広告
おもちゃのミニパトカーが猛スピードで走って行く。その後方から、軽自動車やトラックなどさまざまな種類のミニカーが10台ほど追いかけて行って、スピード違反の現行犯でパトカーを捕まえた。捕まったことに驚いているミニパトカー。そのあと、ミニパトカーがさらに猛スピードで走って行くと、たくさんのミニカーが再びミニパトカーを追いかけて行って、湖畔のあたりでパトカーを再逮捕した。そこへ「パトカーも節度のある運転をしましょう」というような内容のナレーションが入って、例の「AC」という歌声と「公共広告機構」の文字が流れた。
【解説】
意味不明な夢。何故このような夢を見たのか、見当もつかない。ちなみに私は現在東京の都心で暮らしているが、都内では大きな荷物を運搬するとき以外は基本的に運転しない(=公共の交通機関だけを使う)と決めている(山小屋やオーストラリアのような広い国にいるときは、もちろん毎日運転しているが)。スピード違反や違法駐車を含め、警察に面倒をかけたことは一度もない。かなり真面目なドライバーの部類に入るのではないかと思う。


10日●机の下で電気がショート
身を屈めて机の下に潜り込んだ途端、電気がショートしたらしく、コンセントからオレンジ色の大きな火花が散った。
【解説】
まさに一瞬の夢。夢から醒めた瞬間、(普段は見えていない死角部分の電源は、こまめにチェックしたほうが良さそうだ)と思った。何かの警告かも知れないので、机の下のコンセントには気をつけようと思う。



11日●“夫の七光り”で優遇される女性に憤慨する
何か最高に栄誉ある賞(文化勲章クラス?)の授賞式がこれから執り行なわれるらしい。今年の受賞者は、言うまでもなく既に決定している。ところが授賞式の間際になって、新たに1人の女性が急遽この賞を受けることになった。会場に現われたその人の姿を見て、私は仰天していた。それは学生時代の先輩だったK子さんではないか。にこやかに授賞式に臨もうとするK子さん。しかしK子さんは専業主婦で、文化勲章とは縁がないはず。私はただ呆れている。K子さんの傍らには、彼女の夫の姿があった。どうやらこの男性は大変な実力者で、自分の地位を利用して無理やり妻を受賞者の1人に紛れ込ませたらしい。しかもこの男性は、彼自身が立派というわけではなく、亡き父親の七光りで現在の地位を得たという。それらの事実を知って、私の驚きは次第に憤慨に変わって行った。その後、K子さんの受賞理由が発表された。驚いたことに、彼女は「グリーンのスリッパをコレクションしたから」という誠にくだらない理由で、日本で最高の賞を受賞するらしい。そんな安易な理由でもらえる賞が日本一の賞とは、実にまったく嘆かわしい。世も末だ。職権を乱用して妻に受賞させた夫も夫なら、実力がないのに賞を受け取ろうとしている妻も妻だ。私は憤慨しながら、(心ある人間には生きにくい世の中だ)と思っている。
【解説】
今夜の夢で理解に苦しむ点は、この夢に登場した女性がK子さんだったことである。K子さんは美人で気立てが良く、私にとっては憧れの先輩。いくら夢の中とは言え、彼女が悪役で登場しなければならない理由は少しもないのだ。しかもK子さんとは、かれこれ20年以上お目にかかっていない。滅多に思い出すこともない。彼女の旦那様がどんな人なのかも知らない。そんな彼女が唐突に(しかも悪役で)夢に登場したのは何故だろう。奇妙だ。

【後日談】 この夢を見た数日後、某所でK子さんの弟さんに遭遇した。夢を見た直後だったので、内心ビックリした。弟さんのほうとは、大人になってから何度か偶然に道で逢ったことがあり、お互いに顔だけは知っているのだが、それにしてもK子さんに関する奇妙な夢を見た直後に弟さんにバッタリ逢う(それも数年ぶりで)とは、偶然とは言え、いかにも面妖である。


12日●2本立ての映画館
暗闇の中でソファーに座っている私。目の前には大きなスクリーンがあって、すぐに2本立ての映画が始まった。2本目がオードリー・ヘップバーン主演の『シャレード』だったことは覚えているのだが、1本目が何だったかは思い出せない。ポップコーンの香り。古びた映画館に独特のレトロな感覚。
【解説】
夢の中で映画をまるまる2本観てしまったようだ。非常に長い夢だったような気がするが、私は映画を堪能したようだ。それにしても無料で映画を(それも2本立てで)観られるとは、何だかとってもお得な気分である(笑)。



13日●バラバラ死体をベンチの下に捨てる
草原のような場所。私以外にもうひとり誰かの影が見え隠れしている気もするが、その人の姿はよく見えない。大きなプラスチックのケースが見える。中身はバラバラにされた何者かの死体だ。と言っても、それは血なまぐさい死体ではない。温度も匂いも無く、機械をバラバラにした残骸のようにも見える。ケースを持ち上げて見ると案外軽かった。私は無言のままケースを運んで行き、草の上に置いてあった木製のベンチの下に捨てた。
【解説】 「死体と捨てる」という、言葉にしてしまうと何とも異常なシチュエーションの夢なのだが、実際には、何かの
儀式を執り行なっているような淡々とした空気が流れていた。ケースが透明で中が丸見えだったことも印象的だ。



14日●黄色いケープにくるまれた赤ちゃん
気がつくと私は、生まれたての赤ちゃんを抱いていた。とても可愛い顔をした、健康的な男の子だ。赤ちゃんは、黄色い毛糸で編んだケープのような物でくるまれていた。このケープは、どうやら私が事前に編んでおいた物らしい。細い毛糸で編んだ松葉編みだ。私は赤ちゃんをしっかり抱いたまま、迎えの車を待っている。
【解説】 短いが、ほのぼのとした温かさの漂う夢だった。毛糸のケープを羽織っていたのだから、この赤ちゃんは晩秋あるいは冬の生まれなのだろう。
甘いお乳の匂いがするような夢だった。



15日●「ハムレット」は暗号を解くキーワード
旧約聖書の時代を思わせる、不思議な衣装をまとった男が見える。この男はユダヤ人の指導者らしい。彼のほかに、もうひとりユダヤ人らしき男がいて、何か黙々と調べ物をしている。私達は1巻の巻物を手にしている。その中に記された“hamlet”という単語を指差して、男が「これが○○の暗号を説く聖なるキーワードだ」と言った。彼が話している言葉はヘブライ語だが、巻物は何故か英語で書かれている。私は何度もそのなかの1ページを読み返している。そこには人類の起源(?)に関わる重大な事柄が書いてあって、そのキーワードが“hamlet”だというのだ。真剣に巻物に読みふける私の顔を、男は無言で見ている。私はふと、(そう言えば私ってどんな顔をしているのだろう。今は紀元前なのか、それとも21世紀なのか)と思った。
【解説】
夢の中で、私は一体どんな顔をしていたのだろう。日本人、それともユダヤ人だろうか。今がいつで、自分が誰で、何の暗号を解読しようとしていたのか、具体的なことは何一つわからないにもかかわらず、どこか懐かしい感じのする夢だった。ちなみに“hamlet”は「村、部落」の意味だが、夢の中ではそれとはまったく別の意味で使われていたようだ。なお、夢の中でユダヤ人の男が口にした「○○」という単語は、夢の中ではハッキリ聞き取れたのだが、目が醒めてみると全く思い出せない。実に残念だ。



16日●スパイゲームと曖昧な男
山奥の草原のような場所に、大きな建物が建っている。建物の全貌がどのようであったかは定かではないが、2メートルほどの高さの壁が建物の周囲をぐるりと取り囲んでいる。遊園地にあるお城を一回り大きくしたようなイメージ。広大な敷地には、どうやら大勢の人がいるようだ。私達は順番に出発し、何かの“任務”に就いて働かなければならない。それはスパイ活動だったような気がするのだが、残念ながら詳細は思い出せない。わくわくと心踊る雰囲気。長時間にわたって私はこのスパイゲームに参加していたようだが、かなり真剣だった自分の態度から推察して、それはゲームではなく本当のスパイ活動だったのかも知れない。その間には、非常に遠いところまで行き、大冒険をしたような気もする。やがて1人の男性が現われた。彼は公衆の面前でスピーチを始めた。それは、「現在交際している女性への態度と、次に交際する予定の本命の女性に対する想い」に関するスピーチなのだが、よくよく聞いていると、彼が言う「次に交際する予定の本命の女性」とは、どうやら私のことらしい。にもかかわらず彼は、現在交際している女性(つまり早晩別れる予定の彼女)に対してもサービス精神満点なのだ。男性の曖昧な態度に落胆して、席を立ったところで目が醒めた。
【解説】
今夜の夢の中で、私は何か心躍るような大冒険をしてきたようなのだが、残念なことに具体的な内容はまるで思い出せない。最後に曖昧な男性が登場すると、全体の雰囲気がガラリと変わり、私の気持ちも「わくわく」から「落胆」に変わるのだが、これはどういう意味だろう。実生活で思い当たる節はないのだが。



17日●眼鏡と青い布が落ちると……
頭の上に乗せて置いた眼鏡が、俯いた途端、ソファーの上にふわりと落ちた。それとほぼ同時に、首に掛けてあった青い布(ハンドタオルまたはスカーフ?)もひらひら舞い落ちた。この2つが落ちると、何か良いことが起こる。
【解説】
今夜の夢には長く具体的なストーリーがあったように思うのだが、起床してみると何も思い出せない。眼鏡と青い布という組み合わせの意味も不明。



18日●暴走する車をチェイスする
見知らぬ街。目の前は広い道路で、2台の車が並んでいる。うち1台は知人の車で、もう1台は知らない男性の車だ。知らない男性は、どうやら知人の敵であるらしい。私は知人の車の助手席に乗る予定だったのだが、何かの手違いで車から降りてしまい、そのすきに2台の車は猛烈な勢いでスタートしてしまった。急いで走り、追いかける私。だが全力で走ったところで自動車に追いつくはずもなく、2台の車は見る見る視界から消えてしまった。そのあと私は知人の車を探すべく、時速150キロほどの猛スピードで道を走るのだが、それがどのような移動手段であったかは思い出せない(どこかで車を手に入れたのかも知れないし、自分の脚で走ったのかも知れない)。やがて何か面白いハプニングが起きたと思うのだが、その詳細はどうしても思い出せない。知人に逢えたのかどうかも覚えていない。。
【解説】 車に置いてけぼりを食らい、あわてて全力で追いかける夢。自力で走ったような気もするのだが、体感速度は時速150キロほどに達しており、そのスピードを脚で走ったとすればまさにサイボーグ並みだ。後半、何か面白い出来事が起こったと思うのだが、何故か思い出せない。本当は、その部分が一番面白かったような気がするのだが……。



19日●……
【解説】 昨夜はほぼ徹夜で映画を観たため、夢は見ていない


20日●インドでオフィス用物件を探す
気がつくと私はインドにいた。ニューデリーらしいのだが、その風景には見覚えがなく、しかも閑散として人影まばらである。私の近くにはインド人の男性が数人いる。皆、古くからの知り合いばかりだ。ヒンドゥスタン・タイムズの編集長をしていたMさんの姿が見える。元観光大臣のOさんもいるようだ。彼らは皆、物知りでインド国内で顔が利く人たちである。どうやら私はここで新しいオフィスを開くため、ビルの1室を借りようとしているらしい。物件を探して、私達は何軒かのビルを訪ね歩いた。途中、高名な天文学者のWさん(日本人)ともすれ違ったが、特に話はしなかった。(Wさんが何故インドにいるのだろうか?)と私は怪訝に思っている。このあと何かユニークな出来事があったような気がするのだが、その部分は残念ながら思い出せない。
【解説】
一昨日の夢と同様に、今夜の夢も、一番面白かったはずの最後の部分を思い出せないのが残念だ。インドで不動産を探す予定はなかったのだが、この夢を見て、(インドにオフィスを構えるのも悪くないな)という気が俄かにし始めている。その意味で啓蒙的というか触発的というか、妙にそそられる夢だった。



21日●挨拶もろくに出来ない子ども達
見知らぬ家。そこは親戚の家という設定なのだが、見覚えがない上に少しも親しみを感じない。大人はおらず、勉強机に向かっている小学校低学年の男の子と、高学年の女の子の姿だけが見える。男の子は口を半分開けていて締まりがない。女の子は太りすぎだ。ふたりに向かって「こんにちは」と声をかけたのだが、彼らは挨拶を返さず、私を無視して勉強を続けている。なんと可愛げのない子ども達だろう。(この家の親は何を教育しているんだ?)と私は思った。
【解説】
今日の夢はもっと長かったように思うのだが、思い出せるのはこの部分だけである。そう言えば最近、現実世界でも、挨拶もろくに出来ない子ども達に逢う機会があった。そのときに思った(勉強は適度でいいから、まずは挨拶のできる人間に育てなさいよ、この子の親)という気持ちが、今夜の夢に現われたようだ。



22日●筆不精なYさんから長文の手紙を受け取る
気がつくと私の手の上には、和紙に筆で書かれた手紙が載っていた。差出人はYさんだ。あの筆不精なYさんが手紙を、しかも便箋数枚に及ぶ長文の手紙を、筆字でしたためて送って来るとはどういうことか。おかしなこともあるものだと思い、私はしげしげとその手紙を眺め透かしている。
【解説】
筆不精で知られる友人から長文の手紙が届く夢なのだが、奇妙なことに肝心の手紙の内容は少しも思い出せない。Yさんは何か私に言いたいことがあるのだろうか。今度お目にかかったら聞いてみよう。



23日●ヒンディー語を喋るオードリー・ヘップバーン
オードリー・ヘップバーン主演の『シャレード』のDVDが手に入った。喜んで見始めたところ、何故か言語がヒンディー語である。あわてて調べてみたものの、このDVDには英語版も日本語版も収録されておらず、オードリーはひたすらヒンディー語で喋っているのだ。しかもそのヒンディー語は、早口なうえ、かなり流暢だ。(さすがは世界でもトップクラスの女優さん。芸達者だなあ)と思い、感心している私。
【解説】
先日、現実世界でも『シャレード』のDVDをゲットした。現実には英語版を観たのだが、夢の中では何故かそれがヒンディー語になっていた。来月と再来月の2ヶ月間、私はインドに滞在する。そのことが今夜の夢に影響しているのだろうが、それにしてもオードリーのヒンディー語は実に流暢だった。世界広しといえども、オードリー・ヘップバーンのヒンディー語を聞いたことのある人は私ぐらいではなかろうか(もっとも夢の中の出来事ではありますがネ(笑))。



24日●“Intriguing”を使って英文を書きなさい
私は英語のテストを受けている。課題は、“intriguing”という形容詞を用いて文章を書くことらしい。私は最初、“intriguing”を“intrigueing”と書き違えてしまうのだが、長い文章を書き終えようとする頃になってようやく、正しい綴りが“intriguing”であることを思い出し、急いで答えを書き直した
【解説】
今夜の夢には何か冗長なストーリーがあったように思うのだが、思い出せるのはこの部分だけである。ちなみに“intriguing”は「興味深い/面白い」、“intrigue”は名詞なら「陰謀/密通」、動詞なら「陰謀を企てる/密通する」の意味だが、これらの単語が夢に登場した理由も全くわからない。



25日●ぐるぐる回る二卵性双生児の姉妹
目の前の虚空で、双子の姉妹がぐるぐる回っている。回ると言っても、足を地面につけてコマのように回っているのではなく、お臍のあたりを回転軸にして扇風機の羽根のように回っているのだ。ふたりは双生児だが少しも似ていない。聞けば二卵性なのだという。そのうち、向って左側でぐるぐる回っていた妹の影が少しずつ薄くなってきた。彼女はこのまま消滅してしまうのだろうか。ぼんやり眺めているうちに夢は終わった。
【解説】
何のことやら意味のわからない夢。双生児の姉妹にも見覚えはなく、全体に儚い印象の夢だった。



26日●自動車が壁に接触
自動車の助手席に座っている。狭い道路を走っているようだ。見る見るうちに左側の壁が迫ってきて、自動車の左の先頭部分と壁が軽く接触してしまった。ギギギという嫌な音がして、壁の一部が軽くそげ落ちた。
【解説】
今夜の夢には何か冗長なストーリーがあったように思うのだが、この部分しか思い出せない。夢の中で壁と接触した自動車は白っぽい四輪駆動車だったと思う。もしも現実世界でそのような車に乗る機会があったら、気をつけなければ。ちなみに我が家の四輪駆動車は黒色です。



27日●法王と大事な話をする
気がつくと目の前にダライ・ラマ法王がいらっしゃった。いつものように着古して色が褪せかかった臙脂の法衣を纏われ、椅子に腰かけていらっしゃる。頬杖をつき、何かを考え込んでいらっしゃる横顔。そのあと私は法王と大事なお話をしたように思うのだが、それがどのような内容であったかは残念ながら思い出せない。
【解説】
法王の夢を見るのは、今月だけで2度目である。今回の夢の中で、法王はひどく深刻な顔をしておられた。先日の夢の中では怪我をしておられたし、夢とは言え心配だ。



28日●障子の向こう側にいる素敵な人
障子の向こう側から優しい光が漏れてくる。私は静かに何かを待っている。障子の向こう側には、とても素敵な誰かがいるらしい。それは平安時代からタイムトラベルしてきた貴族の男性のような気がするが、知人のYさんかも、あるいは友好的で気立ての良い宇宙人かも知れない。いずれにしても、今は無理をしてその人に逢わなくてもいいと私は思っている。どこか気だるく、一種のアンニュイな気分。
【解説】
ミステリアスで気だるい印象の夢だった。それにしても、平安時代の貴族と知人のYさん(理系の学者さんである)と宇宙人が同系列に並ぶとはおかしなことだが、考えてみれば1,000年前の人も現代人も宇宙人も、本質的にはたいして変わらないということかも知れない。



29日●半透明になったふたりの男
道を歩いて行くと、知人のSさんとTさん(共に男性)に出会った。ふたりは私の知人だが、お互いの存在は知らないはずだ。道に立ったまま、ふたりの肉体は半分透明になっている。消えかかっているのだ。(ああ、人間が消えるときはこういう風になるのだな)と、私は他人事のように思っている。
【解説】
今夜の夢は、今月25日に見た双生児姉妹の夢とイメージが酷似していた。双生児姉妹は現実には知らない人たちだが、今夜の夢に登場したSさんとYさんは現実の知り合いである。そのふたりが半透明に消えかかっているとはどういうことだろう。(私自身にその意識はないが)ふたりが私の心からフェードアウトしかかっていることをこの夢は告げているのだろうか。



30日●孔雀の羽根のようなブローチ
足早に歩くスニーカーを履いた自分の足元が見える。すぐ斜め前をブースケが歩いている姿も上から見える。湿った土。ところどころに芝生が見える。そのまま暫く進んで行くと、いきなり露店が現われた。アクセサリーが山と積まれた台。その中に孔雀の羽根のようなデザインのブローチを見つけ、手に取ってみた。どこかインドを思わせるデザインだ。これはサリーの着付けに使えると思い、私は迷わずそのブローチを買うことにした。
【解説】
視線としては、少し高いところから下方を見続けているような夢だった。ちなみにインドの民族衣裳であるサリーは、着付けの際に左肩をピンまたはブローチで止める必要がある。9月と10月の丸2か月、私はインドを訪問することになっており、サリー用の適当なブローチを探している。そのために今夜の夢を見たものと思われる。

【後日談】 夢を見た翌朝、ブースケを連れて都内の某公園に行ったところ、期せずしてフリーマーケットが始まった。しかも、真先に店をオープンしたのがアクセサリー屋さんで、パッと目に付くところには、一見孔雀風のブローチが置かれていたではないか。雨上がりの地面はしっとりと濡れており、ところどころに芝生もあって夢と瓜二つ。キツネにつままれたような思いで、急いでそのブローチを買った私なのだった。


31日●懐かしく切ないメロディー
ちょっぴり胸が切なくなるような懐かしいメロディーが流れている。この曲のタイトルは何だっただろう。一生懸命に思い出そうとしている。このときになってようやくわかったのだが、私は実家に来ているらしい。今は皆が外出しており、家にいるのは私ひとりだ。最初に帰って来るのは、おそらく父だろう。このあと数字の「2」に関係のあることが起こったような気がするが、詳細はどうしても思い出せない。
【解説】
夢の中ではずっと鳴り続けていたメロディーだと言うのに、起床してみるとまったく思い出せない。夢の中では父が生きているような気がしていたが、現実世界ではもう逢えない人だ。全体にノスタルジックなイメージの夢だった。





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