2007年1月


1日(初夢)●突然現われた三葉虫に仰天する
最初に赤い色が見えた。次の瞬間、目の前に広々とした草原が広がった。と思う間もなく、私は2メートル四方ほどの狭いキッチンに立っていた。夕食を作ろうと思った途端、冷蔵庫の陰から何か大きな生き物が這い出して来た。一瞬(海老かな?)と思うのだが、よく見るとそれは体長が50〜60センチもある三葉虫ではないか。驚愕しながら大声で夫を呼ぶと、隣の部屋から「どうした? 今行くから、ちょっと待って!」という声が返ってきたのだが、夫自身はなかなか姿を現わさない。そうこうするうち、三葉虫は驚くほどのスピードで壁を這い回った末に、私のほうを目掛けて一目散に走って来た。私は悲鳴を上げながら、三葉虫の上を跳び越してキッチンを脱出。ここでいきなり目が醒めた。

【解説】 トンデモない初夢だった(笑)。「三葉虫」にどのような意味があるのか定かではないが、夢の中の私は三葉虫に遭遇して仰天し、その場から逃げ出している。つまり、三葉虫は何やら「歓迎すべからざるモノ」として登場しているらしい。目が醒めてから(少し前にも三葉虫の夢を見たことがあるのでは?)と思い、過去の夢日記を調べてみたところ、驚いたことに私は2004年7月16日2005年7月31日にも「巨大な三葉虫」が登場する夢を見ているではないか。夢占い的な見地からすると、「三葉虫」にはどんな意味があるのだろう。ご存知の方がいらっしゃったら、是非とも教えてください。
【後日談】 この夢から醒めてわずか数分後、起床してきた娘が開口一番に「せっかくの初夢なのに、虫が登場する夢を見ちゃったわよ」と言うのには驚いた。これまでにも何度か書いたように、私と娘の夢は驚くほどよくシンクロする。本当に不思議なことだと思う。なお現実世界では、最近「虫」に関する特別な出来事は特になかった。



2日●手に入れ損ねたTシャツとオマケ
大学のキャンパスらしき場所。明日、大学祭が催されるらしい。屋台のTシャツ売り場があったので近寄って見た。白地に日本語でたくさんの文字(文章)が書かれたTシャツが目に入った。(サイズが少し大き過ぎるかな?)と思う。値段は1,000円だという。まだ大学祭が始まっていないので、今日のところは料金を払って引換券だけもらっておき、現物を渡してもらえるのは明日だという。しかし今日のうちにお金を払っておくと、「前売り特典」として何かオマケがもらえるらしい。オマケに興味はないのだが、お店のお兄さんがあまりにも一生懸命なので、気の毒になった私はそのTシャツを買うことにした。「明日の朝11時ちょうどに品物を取りに来てください」と言われる。私は心の中で(11時は、ちょっと早い)などと思っている。その夜、私は眠り過ぎてしまい、翌朝起床したときには11時を過ぎていた。こうしてTシャツもオマケもゲット出来ず1,000円の損をしたわけだが、何故か私は(ま、いいか)と思っている。

【解説】 これまた意味のわからない夢。「日本語の文字の入ったTシャツ」も「サイズの大きすぎるTシャツ」も私の趣味ではないので、現実世界では絶対に購入しない一品と思われる。また、店員さんに同情して買い物をするという心の動きも、現実の私にはまずあり得ないことだ。



3日●某国の皇太子からトップシークレットを教わる
「某国の皇太子に謁見して来るよ」と言い残して、夫は出かけて行った。同行しなかったにもかかわらず、何故か私には謁見の儀式の一部始終が見えている。その国の皇太子は夫に、王家に伝わる“とある物”の長さを教えてくれた。“とある物”は、宗教儀式に用いられる何かで、白っぽい紙あるいは木で出来ている。皇太子はさらに、「しかし、いま申し上げた長さは公称でしかなく、実際の長さはその半分ほどしかないのです。このことは我が国のトップシークレットですから、どうか口外なさらないで頂きたい」と、静かな口調で念を押した。私は(なるほど、それは大変なトップシークレットだ)と思っている。

【解説】 体感時間にして1〜2秒の短い夢だった。問題の“とある物”は、宗教的に重要な何かだったような気がするが、それが何であるかは夢の中でもハッキリとは示されなかった。なお、「某国の皇太子」は実在の人物だが、それが誰であるかはここでは伏せておくことにする。


4日●黄金色の薬玉(くすだま)
見知らぬ家の中を歩いて行くと、少し薄暗い古風な和室の中に大きな黄金色の薬玉が下げてあるのを発見した。その下に立つと、薬玉は自然に割れ、私の上に心地良い感触の何かがたくさん降りかかってきた。(きっとこれは厄払いだろう)と思う。そのあとどこか遠く(おそらくヨーロッパ)へ出かけ、広々とした風景の中で大きなプールを見たような気がするのだが、そのあたりの詳細は思い出せない。

【解説】 『大辞林』で「薬玉」と引いたところ、「種々の香料を玉にして錦の袋に入れ糸や造花で美しく飾ったもの。悪疫払いや長寿を願って端午の節句などに柱・壁などにかけた」とのことである。そのままに解釈すれば、今夜の夢には「悪疫払い」の意味があったのかも知れない。今夜に限ったことではないが、夢の中で黄金色や黄色を目にすると、パワーを授けられたような気がする。その意味でも、これはやはり吉夢なのだろう。



5日●中途半端な長さの髪を気にする女性
“茶道教室の新年会”という設定の集まり。しかし、その中で知った顔はXさん唯ひとりだ。Xさんは髪をアップに結っているが、長さが足りないため、耳の脇の髪が何本か下に落ちてしまっている。Xさんはそれを気にしている。客の中に、80歳前後の女性の姿が見える。元気の良い女性で、部外者でありながら会のことを色々と仕切っているのが特徴的だ。私は黙ってその女性を観察していた。すると彼女は誰に言うともなく、「Xさんのお母さんは、今日はお見えにならないのかしら?」と大きな声で問いかけた。Xさんのお母さんという人を私は知らないので黙っているのと、ほかの誰かが、「Xさんのお母さんは茶道とは何の関係もありませんから、今日はいらっしゃいませんよ」と応じた。気がつくと私たちは屋外を歩いていた。そこは千曲川の堤防沿いの道だったような気がする。風が吹いていて、爽やかな気候だ。雑草が咲いていたような気もするので、今は春なのかも知れない。私の右隣を、着物姿のXさんが歩いている。私は自分の襟元を軽く指で触りながら、「ショートヘアにしたら、切った髪と一緒に色々な雑念まで消えてしまったわ」と言った。Xさんは笑いながら、「私はまだ雑念だらけです。耳の脇の髪が垂れてきて見苦しいので、チックで止めました」と言った。私は心の中で、(今どきチックを使う若い女性なんて見たことがない)と思い、少し驚いている。

【解説】 今夜はこの夢を見る前に、何か長大な夢を見ていたような気がする。その夢の中で私はとても素敵な人に逢ったように思うのだが、残念なことに詳細を思い出せない。Xさんは実在の人物で、美人だが今どき珍しい古風な女性。現実世界でも、やや短かった髪を現在伸ばしていらっしゃる最中のようだ。昨夜は就寝前にXさんとメールのやり取りをした。夢にXさんが登場したのはそのためだろうと思われる。



6日●温泉宿としりとり遊び
夢の前半、どこか遠くを旅していたような気がする。誰と何処へ行ったのか、具体的なことは全く覚えていないのだが、とても楽しく温かな気持ちで、私は終始笑っている。そのあと、気がつくと鄙びた温泉宿にいた。浴衣に着替え、足元にはあらかじめ持って来た足袋(暖色の花柄つき)を履いた。そこで私はしりとり遊びをしている。不思議なことに一緒にいる人が誰なのか、何人いるのかといったことはわからない。私はここでも笑い転げながら、楽しくしりとり遊びをしている。

【解説】 今夜の夢は、旅をしている楽しい雰囲気だけが全編に漂っていて、一緒に旅している人の姿かたちは全く見えないという不思議な夢だった。最後に登場した温泉宿は、今どきの日本にはもう残っていないような風情ある佇まいで、私はその場所に深い愛着を感じていたような気がする。



7日●誤作動を起こすエレベーター
見覚えのないビル。私の腕の中にはブースケ(愛犬)がおり、そばには娘の姿も見える。それは不思議なビルで、各階のフロア面積は一見かなり狭そうなのだが、実際に中に入ってみると、館内にはさまざまな施設(イベント会場など?)が存在しているのだ(但し、私たち以外に人の姿は見えない)。ひどく狭いエレベーターに乗る。エレベーターの表示を見て初めて、このビルが地上11階建てであることを知った(地下があるのかどうかは定かでない)。娘はどこかの階に用事があるらしく、5階か6階(?)あたりで先に降りた。私は10階へ行こうとしている。「10」と書かれたボタンをプッシュしたところ、何故かエレベーターは誤作動を起こして11階へ行ってしまった。しかも11階に止まったあとも、エレベーターのドア自体は開かない。もう一度「10」のボタンをプッシュしたが、今度は1階(あるいは地下?)まで一気に降りてしまった。ここでもやはりドアは開かない。その後、エレベーターは勝手に上昇と下降を繰り返し始めた。私は外にいる娘に向かって、「このエレベーターは危険だから絶対に近づいてはいけない」と告げ、腕の中のブースケをしっかり抱き直すと、かなり強硬な方法でこの状況から脱出することを決意した。それがどんな方法だったのかは思い出せないのだが、私はボタンを操作し、エレベーターを10階に止めてそこから直接11階に飛び上がるという離れ業をやってのけた。結果は成功。私とブースケは無傷のままエレベーターから脱出し、娘とも再会、まるで何事もなかったかのように世間話を始めた。そのあと場面が変わり、日本の茶道三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)がこのたび十一千家に増やされることになったというニュースを見たところで目覚まし時計が鳴り、夢は終わった。

【解説】 今夜の夢は言うまでもなく“エレベーターの誤作動”がストーリーのメインだったのだが、起床してからよくよく考えてみると、むしろ“11”という数が重要な鍵を握っていたのかも知れないと思った。夢の前半、私はビルの「10階」を目指しているのだが、エレベーターの誤作動でそれが叶わず、思い切って飛んだところ、最初の予定よりもかえって高い位置にある「11階」への着地に成功した。また夢の後半では、茶道の三千家が「十一」千家に増やされたというニュースを聞いている。『夢の事典』(日本文芸社)で「数」の意味を調べたところ、「夢に現われる数字はラッキーナンバー、重要な数字、または個人的な想い出に通じる」そうだ。厳密に言うと「11」は数字ではなく数だが、私にとって何か特別な意味を秘めているのだろうか。現実世界で「11」という数が現われたら、注意して見守ろうと思う。ちなみに今月は11日からインドへ行くことになっている。



8日●楽しい人
詳細は全く思い出せないのだが、すぐ横にとても楽しい人がいる。私たちは一緒に旅をしている。

【解説】 ストーリー性がなく、まるで空気のような夢だった。しかし雰囲気的には優美な感じで、夢を見ているあいだ私は独特の幸福感に包まれていたように思う。



9日●取り替えっこ
誰かと何かを取り替えっこしている。うろ覚えなのだが、相手からは茶室をもらい、私からはバロック調の家具調度品が入った洋間をあげたのだと思う。取り替えっこの相手の顔はハッキリと見えないが、とても美しく感じの良い女性だったような気がする。もらった茶室に座り、(なかなか悪くない)と思っている私。

【解説】 今夜の夢の中で私は、まるで小学生がお菓子や文房具を交換するような無邪気さで、茶室と洋間を“取り替えっこ”していた。「洋」と引き換えに「和」を手に入れたことがポイントと思われるが、現実世界の私は今のところ「和・洋・インド折衷」の生活をしている(笑)。



10日●……

【解説】 今日は私にしては珍しく、起床した瞬間に見た夢を忘れてしまった。イメージとしては、何か甘美で懐かしいような夢だったように思うのだが。


11日●「すっかり」専門の英和辞典
私の手の上に小さな辞典が載っている。その辞書は、「すっかり」を英語で何と言うかを詳しく説明している。つまり「すっかり」の訳語しか掲載されていない英和辞典というわけだ。ページをめくってみると、各ページに2つずつ訳語が紹介されていた。しかしそれらは聞いたこともない不思議な言い回しばかりだ。この本を読み終えたとき、私はすっかり「すっかり」のエキスパートになっていた。

【解説】 昨日から取材のためインドの首都ニューデリーを訪れている。今回は友人(旧財閥系大富豪)のご自宅に泊めて頂いており、この夢はその家の寝室で見た。英語で「すっかり」は何と言うか。辞書を引くまでもなく、すぐさま思いつく訳語に“completely”“entirely”“utterly”“altogether”“all”“quite”“right”“clean”“all over”“to pieces”などがある。考えればもっともっとあるだろう。しかし、今夜の夢の中に現われた辞書の中には、そういった一般的な訳語はひとつとして掲載されていなかったように記憶している。そこにあったものは、詩の一節、あるいは何かのメッセージのような、ややミステリアスな言葉だったような気がする。そこには一体何が書いてあったのか、その詳細をすっかり忘れてしまったことが残念だ。


12日●巨大なUFOを2つ突き抜けた上にある空
上昇してゆく肉体。空一杯にUFOが広がっている。下から見上げたとき、それはカラフルな同心円がいくつも寄せ集まったような形に見えた。私は急上昇して、あっという間にUFOを突き破ってその上に出た。すると、さらに上空にもうひとつのUFOが広がっていた。私はそのUFOも突き抜けて、その上にある空へと一気に到達した。

【解説】 体感時間にして1秒にも満たない、超ハイスピードな夢だった。上空に佇んでいた2つのUFOは、巨大な光の輪のような物体であったが、おそらく実体はないのだろう、その中を突き抜けてゆくとき私は何の衝撃も受けはしなかった。スピード感と虹のようなカラフルなイメージが残る夢だった。この夢もニューデリーで見た。


13日●「Camp」を「Canp」と誤植した本
私は本を読んでいる。英語の本だったような気がするが、あるいは英語と日本語がチャンポンになった本だったかも知れない。「Camp」とすべきところが「Canp」と誤植されていた。私は心の中で(スペリングが間違っていることを教えてあげなくては)と思っている。

【解説】 今夜の夢には前後にストーリーがあったのかも知れないが、覚えているのはこの場面だけ。一体何の本を読んでいたのか、それも定かではない。この夢もニューデリーで見た。


14日●坂道で喧嘩する
くねくねと曲がりくねった坂道。その道を、私はどこまでもひとりで歩いている。道はところどころ上り坂になったり下り坂になったりするものの、特に難所はなかったようだ。歩いていると、色々な人に逢う。昔別れてそれきりの友達、昔から現在までずっと付き合いのある友達、最近会ったばかりの友達、色々な人に逢うのだが、私はそれらすべての人たちと一々喧嘩している。喧嘩の理由はわからないが、とても疲れる。かなり疲れきったところで、最後に心地良く平和な場所にたどり着いた。そこは透明感のある水晶の神秘的な光で溢れていたような気がする。

【解説】 坂道を歩いたり人と喧嘩したり、非常に疲れる夢だった。しかし最後に平安な気持ちが訪れたことで、目が醒めたときには最初に感じた疲れは消えていたが。最後に見た水晶は限りなく透明で神秘的で、何か非常に示唆的な感じがした。なお『夢の事典』(日本文芸社)によると、「水晶」の意味は「霊感/心の内面/純粋さ/清潔さ」となっている。また「透明度の高い水晶を手に入れる夢」の意味は「望むものを手に入れる予兆」だそうである。この夢もニューデリーで見た。


15日●K君が転んだ
私の目の前を、小中学時代の友達であるT君、K君、それに同年代の女性1〜2人が一緒に歩いていた。私は彼らと一緒に歩いているのではなく、近くから傍観しているだけのようだ。女性の顔は良く見えない。彼らは全員が中学生または高校生ぐらいの姿をしている。S君は昔の大八車(だいはちぐるま)のような車を引き、K君が後ろから押し、女性たちは車の上に乗っていたような気がするが、そのへんのことはあまり定かではない。S君はときどき後ろを振り返っては、K君を気づかったり檄を飛ばしている。暫く進んだところで突然、K君が転んだ。K君はそのまま動かなくなってしまった。

【解説】 ウェブ上に夢日記を付けるようになってから3年のあいだに、S君は少なくとも2度、私の夢に登場している。現実世界ではさほど親しくない男友達であるにもかかわらず、しばしば夢に登場するのは何故だろう。K君はS君以上に縁のない相手だが、小学校時代に同じサークルに入っていたことがあり、何度か話したことはある。しかし気の毒なことに彼は20歳そこそこで病死してしまい、その頃は既に全く交友のなかった私は、K君の葬儀にも出席していない。今夜の夢に何故S君とK君が登場したのか、理由はまるでわからない。この夢もニューデリーで見た。


16日●サイケデリックなインドの神様
闇の中に突然、サイケデリックなピンク色をしたガネーシュ(象の顔を持つヒンドゥー教の神様)の像が現われた。消えたと思うと、次に現われたのは同じようにサイケデリックな黄色いガネーシュの像だ。そうやって夢の中に何度も何度も、鮮やかな色合いのガネーシュ像が現われたように思う。

【解説】 ガネーシュ(Ganesh)は、あまたいるヒンドゥー教の神々の中でも常に「最初に拝むべき神格」であるとされる。つまりインドでは、すべてはガネーシュから始まる。またガネーシュは実利的な商売繁盛の神でもある。今年「インドの大富豪」をテーマに本を書こうとしている私にとって、今夜の夢はまさしく吉夢と言えそうだ。この夢もニューデリーで見た。


17日●看病してくれる優しい人
私が体調を崩して寝ていると、とても優しい人が現われて笑顔で看病してくれた。薬などは飲まなかったような気がするが、私はすぐに元気を取り戻した。

【解説】 昨日は現実世界でも体調を崩していた。そのあとで見た夢がこれで、目が醒めたとき、私はすっかり元気を取り戻していた。夢に現われた優しい人の顔はハッキリとは見えなかったが、笑顔がすこぶる素敵な人だった。
この夢もニューデリーで見た。



18日●日本はサギーでブルーな国
私は誰かと話している。「日本はサギーな国だよね」という言葉が自然と口からこぼれた。そのあと「日本はブルーだ」とも言ったような気がするが、定かではない。

【解説】 これはインドから帰国して見た初めての夢である。何やらチンプンカンプンな内容だが、この前に、何かとても幸福なイメージが漂う長い夢を見ていたような気もする。なお、「サギー」が何を意味する言葉なのかは不明。「ブルー」は青色の意味らしい。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「青色」の意味は「物事の先を見通す知性や思考/想像力の豊かさ」だそうである。



19日●守護霊たち
すぐ近くに年上の女性たちがいる。彼女たちの笑いさざめく声が子守唄のように聞こえる。彼女たちは昔からずっと私を守ってくれている“守護霊”のような存在らしい。私は胎内で眠る赤ちゃんのように安心しきって、彼女たちに守られながら自分の仕事をしている。

【解説】 今夜の夢の中で、私は何か具体的な仕事をしていたと思うのだが、目が醒めてみると、それがどんな仕事だったか思い出せない。ただ守護霊の存在だけが印象に残る温かな夢だった。



20日●小さな大理石がどんぶらこ
人里離れた山奥。緑は少なく茶色の大地が剥き出しで、イメージとしてはヒマラヤに似ている。そこは中国の領土らしい。私は数人の案内人と共にいる(但し彼らの姿は最初から最後まで見えない)。目の前を、轟々と音を立てて川が流れている。驚くほどの水量。まだ少しも汚れていない透明な水が鮮烈な印象を与える。地元の人たちが川の淵に座り、大理石を削って小さな星やハートの形に加工している。大理石の星やハートは最大でも5ミリ程度の大きさで、厚みは殆どないため、水に浮かべることが出来る。彼らは大理石の星やハートを大量に作って、出来た端から川めがけて投げ込んでいる。そうやって小さな大理石の欠片が猛スピードで川の下流へと流されてゆくのを私がじっと見ていると、案内人が「中国ではこの方法で大理石を下流まで運んでいるのですよ。大きな石のままでは運搬費用がかかりますし、国境を通るとき隣国に税金を払わなくてはなりません。しかしこの方法なら運搬費用も税金も払う必要がない。下流では人々がこの大理石を拾い集め、それらを一つに合体し直して高く売っているのです」と教えてくれた。私は心の中で(なるほど、これが中国商法か)と思っている。

【解説】 昨日は現実世界で港区国際交流協会主催のニューイヤー・パーティーに出席し、そこで日本在住の中国人男性と話し込んだ。パーティーのあとはお茶の稽古に出席し、社中の皆さんにインド土産をお渡ししたのだが、師匠(荒井宗羅先生)へのお土産は大理石製の宝石入れだった。現実世界で「中国人」と「大理石」を見たことが、おそらく今夜の夢になったのだと思われる。



21日●チューリップの花束
旅をしているイメージ。故郷の千曲川近くの風景。風。ひとり歩いている私。場面が変わり、大きなホール(?)の中。顔の見えない女の人が近づいて来て、私にチューリップの花束を渡してくれる。茎の部分のしっとりとしなやかな感触が、驚くほどリアルに手の平に伝わって来る。優しい色。やすらぎ。優しい気持ち。

【解説】 今夜は夢の中で長い旅をしていたように思うのだが、その部分は思い出せず、何故か最後にチューリップを渡された場面だけを強烈に記憶している。それというのも、チューリップのしっとりした触感が夢とは思えないほどハッキリと感じられたからなのだ。これまでも私の夢は色彩や味覚(食べ物・飲み物の味がリアルに感じられる)を伴っていたが、触感(今回の場合は手で触った感じ)がここまでリアルに感じられたのは、おそらく今回が初めてかも知れない。チューリップの色は、見ているだけでほっとするような淡いピンク色、あるいは淡い黄色だったかも知れない。



22日●仙人からメッセージを預かる
峻厳なる山々。ここはヒマラヤの何処かだろうか。私はひとりの老人と出逢った。ひと目で仙人だとわかる。仙人は小声で私にメッセージを託してきた。私はこのメッセージを誰かに伝えなければならないらしい。それは中国語のようなチベット語のような日本語のような言葉で、ほんの2つか3つの音節から出来ている。メッセージを預かった私はそのまま山を下り始めた。

【解説】 このあと私は山を下り切ったのかどうか、実はそのあたりの事情をよく覚えていない。しかも、仙人から託されたメッセージが何だったのか、それすらも思い出せない。しかし、そのメッセージは私の意識の深いところに記録されていて、あるとき何かの拍子に突如として思い出すのかも知れない。何となく、そんな気がする。



23日●Mさんとのデート
Mさんとデートしている。私たちはずっと笑いながら色々なことをしゃべっている。その間に3回ほど居場所が変わったような気がするが、特に印象的な場所ではなかったのか、あるいはおしゃべりが楽しすぎたのか、場所に関する記憶はあまり残っていない。1度は学校の校舎のような建物の2階の窓から半分身を乗り出し、風に吹かれながらおしゃべりしていたような気がする。爽やかな風。遠くのほうで揺れていた野の花。Mさんの明るい笑顔。初恋のイメージ。

【解説】 なにやら昔の青春映画のようなイメージの夢だった。Mさんは実在する男友達。実際には“ただの友達”だが、夢の中では淡い恋人のようなイメージで登場していた。ちなみに私の本当の初恋の人は、Mさんと少しも顔は似ていないが、そう言えば大学での専攻(学部)が一緒だ。Mさんが初恋の相手役で夢に登場したのは、そのせいかも知れない。



24日●3種類の魚
イワシ(鰯)、サケ(鮭)、ウナギ(鰻)。この3種類の魚の名前を、順番を変えずに定期的に思い出さなくてはならないらしい。ところが、何故か私は3番目の「ウナギ」をいつも忘れてしまう。誰かがそのたびに「ウナギを忘れていますよ」と教えてくれるのだが、私はどうしても忘れる。たった3つしかない物の名前が何故覚えられないのか、自分でも不思議だ。このあと場面が変わって、私は長い旅をしていた。誰か素敵な人が一緒だったように思うのだが、その詳細は思い出せない。

【解説】 まるで意味のわからない夢。後半部分(旅の夢)がストーリーのメインだったと思うのだが、そちらを忘れてしまったのも不思議なことだ。ちなみにウナギは特に好きでも嫌いでもない。



25日●黒川紀章先生主催のパーティーへと急ぐ
建築家の黒川紀章先生が主催するパーティーへと招かれている。そこへ出席するために急ぐのだが、途中に色々なハプニングがあって、私はなかなか会場にたどり着けない。おそらく私は外国にいるのかも知れない。途中、やはり出席が予定されている友達のN子さんに携帯電話で連絡を取ってみたところ、N子さんはさらに遠くの山奥にいるようで、「私も絶対に遅刻しそうなの」と騒いでいる。もうひとりの出席予定者・Yさんに至っては、携帯電話の電源が入っておらず、会話することすら出来ない。そうこうしながらジャングルを越え、海岸を抜け、幾多の見知らぬ街をひた走って、私は遂にパーティー会場にたどり着くことが出来た。既に日はとっぷりと暮れていたが、時計を見ると6時55分。パーティー開始5分前だ。私は心の中で(ギリギリセーフ!)と叫んだ。その瞬間に目が醒めてしまった。

【解説】 現実世界では、この夢を見る5日前の1月20日、黒川先生からご招待を受けて国立新美術館(六本木)のオープニング・パーティーに出席している。しかし私は会に遅刻していないばかりか、時間的余裕をもって会場に到着することが出来た。今夜の夢は、まるで障害物競走でもしているような慌しい雰囲気に包まれていた。



26日●落語家風の男から仲間はずれにされる
4人でユニットを組んで何かをさせられることになった。4人の内訳は、落語家風の男性(40歳前後)、ヌッと背が高いだけで他に何の取り得のない男性(50歳ぐらい)、長いものに巻かれるタイプの女性(25〜30歳)、それに私である。このうちの落語家風の男が、何故か私を徹底的にボイコットしようとする。4人でユニットを組んでこれから何かをしなければならないというのに、彼は私には声をかけず3人だけで話し合いをしたり、食事に行こうとする。背の高い男と長いものに巻かれる女は、特に悪い人でも良い人でもなく「どちらにでも転ぶタイプ」のようで、落語家風の男の言い成りになっている。普通ならばひどい疎外感を覚えるところだが、実は私はこの3人に逢うのは初めてなのだ。しかも、このユニットは誰かの手で無理に結成されたものなので、そもそも私には3人に対する特別な感情というものが存在しない。今また私を無視して食事に行こうとしている3人を目の前にして、私は心の中で(こんな人たちと一緒にいても、良いことはひとつもない)と思い、かえって清清しい気持ちで彼らと袂を分かつことにした。

【解説】 今夜の夢は、「意味もなくいじめを受け、逆に彼らを見限る」という内容だが、そう言えば世の中には今夜の夢に登場した「落語家風の男」タイプの人間が少なくない。しかしそれ以上に圧倒的に多いのは、長いものに巻かれて強いリーダーに服従する「自分の意思を持たない人々」であろう。そういう人たちが3人も登場した今夜の夢は、一体何を意味していたのだろう。ちなみに、「落語家風の男」は、現実世界でも知っている或る男性と顔がよく似ていた。



27日●風吹ジュンの顔をした樋口可南子という名の女性にお弁当をあげる
広く明るいショッピングセンターのようなところ。その一角がパーティー会場になっていて、綺麗なワンピースを着た女性たちがたくさん集まっている。昼間なのか、全体にライトでカジュアルな雰囲気。私は(成り行きから)パーティーの司会進行役を務めることになりそうだ。近くに友達で女優の蜷川有紀さんがいたような気もする。向こうのショッピングセンターのほうから、高級お弁当が1個だけ差し入れられることになった。1個のお弁当を皆で分けるのも大変だと思い、私はその場に居合わせた数十人の女性に対して、「このなかで4月1日がお誕生日の方はいらっしゃいますか? いらっしゃれば、その方にお弁当を差し上げます」と言った。夢の中では、どうやら今日は4月1日らしいのだ。しかし4月1日生まれの女性はひとりもいなかった。そこで、「では4月2日が誕生日の方はいらっしゃいますか?」と尋ねたところ、ひとりの女性が手を上げた。その人は、女優の風吹ジュンさんそっくりの顔立ちをした女性だが、名前は樋口可南子さんと言うらしい。初対面であるにもかかわらず何故か彼女の名前を知っていた私は、「では、樋口可南子さんにお弁当を差し上げます」と宣言した。

【解説】 賑やかで明るく、綺麗な女性がたくさん登場する夢。しかも、美しい女優さんが何人も登場していることが印象的だった。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「美女」の意味は「心身ともに健康な状態、異性を強く求める気持ちの高まり」(ちなみに「女優」の意味は掲載されていなかった)、「お弁当」の意味は「家庭の円満、家庭の幸福」だそうである。



28日●越えてはいけない境界線
大きな建物の入り口付近。古いお寺のようだが、それにしては僧侶の姿が見えないので、あるいは何か別の建物かも知れない。私の2〜3メートル前には母と叔母(母の妹)がいて、これから建物に入ろうとしているらしい。彼女らは、足元に引かれた白っぽい線(畳のへりのようにも見える)を見ながら、その線を踏まないように気をつけている。どうやらこの線は、越えてはならない何かを示す境界線らしいのだ。母が叔母に向かって「本当はそうしたい人もいるだろうけど、できない決まりなんですって。気の毒にねえ」というような意味のことを言った。私は黙って後ろからその光景を見ている。

【解説】 今日の夢はどこか仏教的で、厳格なイメージを残すものだった。母と叔母がすぐ目の前にいるにもかかわらず、彼女たちとお喋りすることもなく、ただじっと見守っていただけなのも奇妙なことだ(注・現実世界においては、私は母とも叔母ともすこぶる仲が良い)。あの境界線は、もしかしたら「この世とあの世」とか「生と死」または「世俗と悟り」の分岐点だったのかも知れない。目が醒めてから、ふとそう思った。



29日●右腕の傷
気がつくと、右腕の内側部分に小さな傷が出来ていた。小さいにもかかわらず、割と強い痛みがある。しかし、どうしてこの傷が出来たのかがわからない。私がじっと腕を見ていると、近しい感じのする年上の女性(母?)がやって来て、「その傷のことは諦めなさい」とか「その傷のことは秘密にしておいたほうがいい」とか、何か辻褄の合わない不思議なことを言ったような気がするのだが、詳しい内容は思い出せない。

【解説】 夢から醒めてみると、右腕の痛みなど少しもなかった。あるいは、寝ているあいだに何か重いもの(犬のブースケとか……)が乗っていたのかも知れないが、真相は不明。



30日●ストーカーと可愛い少年とオートリキシャ
見たことのない、しかしどこか懐かしい感じのする田舎の風景。実際に私が山小屋を持っている長野県の北のはずれと似ているが、どうやらそこはインドらしい。私はこれまで住んでいた家から山一つ分低いところにある別の家に引っ越したようだ。家の中の様子がちらっと見えたが、そこは築200〜300年は経過していると思われる木造家屋で、重厚に黒光りしている。私は何か用事があって下の村まで歩いて行った。途中、とてもしつこい若い男に付きまとわれる。男は30歳前後で、見たことのない顔だったことは覚えているのだが、それがどんな顔だったかは思い出せない。男がストーカー並みにしつこいので、私は男から逃れるためにそのへんの家に入り、そこにいた長老(?)と話し始めた。すると、どこからともなく可愛らしい少年(ヒマラヤの出身らしい)がニコニコしながらやって来て、懐かしそうに私の両手を強く握り、その手を放そうとしない。私はこの少年に対して言葉にならない愛着を感じ、そのまま手を握らせておいた。暫くして、その家からも出た私は、ひとり山道を登って図書館(?)のような建物に入った。中にはヨーロッパ風の洒落たカフェがあったように思う。私はここで急用を思い出し、急いで家に戻ろうとする。家までは歩いて行ける距離だが、日の暮れかけた山道を歩くのが億劫だった私は、ちょうど道路を走って来たオートリキシャ(※よくインドの街中を走っている小型の三輪タクシー)を停めた。オートリキシャには既に客(インド人だったと思う)が乗っているのだが、私は意に介しない。「近くて申し訳ないのだけど……」と英語で行き先を告げ始めた私に、運転手(東京宅の近所のクリーニング屋のご主人によく似ている)は、ヒンディー語と日本語で「知ってますよ。○○○の山田さんでしょう?」と答えた(注・○○○は実際に私が山小屋を持っている場所の名前)。どういうわけか、運転手は私のことをよく知っているらしい。私はそのオートリキシャに乗り込もうとしている。

【解説】 何やら支離滅裂な夢だった。場所がインドなのか山小屋なのかわからない(しかもヨーロッパ風のカフェまで登場する)上に、登場人物もインド人なのか日本人なのかわからない。言葉もヒンディー語と英語と日本語が飛び交って、まさにカオスだった。全体に支離滅裂でありながら、しかし何故かしっくりと自分の心に馴染む夢だったのが不思議である。夢のどこかでMさん(インド人の大富豪)が一瞬登場したような気もするが、そのあたりは定かではない。



31日●一筋縄では行かない不動産屋の主人
気がつくと私は、事務所のような無機質な部屋いっぱいに置かれた応接セットのソファーに座っていた。隣のソファーには50代後半と思われる馬面の男性が腕組みをして座り、部下らしきふたりの男性(彼らは私の背後にいるので姿は見えない)に対し大声で仕事の指示を与えている。馬面の男性は、目の上が大きく窪み、精力的だが知性の感じられない表情をしている。見るからに「金の亡者」あるいは「守銭奴」のようなオーラを発散しているが、本人は大富豪というよりはプチ富豪程度のようだ。職業は、どうやら不動産屋のご主人らしい。日本人かと思ったが、苗字を聞いたところ、東アジアの別の国の出身のようだ。彼は次々にかかってくる電話の処理や、部下への指示で忙しそうにしている。その言葉の内容を聞いているだけでも、彼が一筋縄では行かない大変なワンマン経営者であることがわかる。私は心の中で(こんなことをしてまでお金持ちになろうとする人の気持ちが私には全く理解できない)と思っている。

【解説】 今夜の夢にはもっと長いストーリーがあって、不動産屋の主人が登場するのはその最後部分だったように思うのだが、残念ながら前段階を思い出すことが出来ない。






※夢日記の一部または全部を許可なく転載・引用なさることは固くお断りいたします。
©Mami Yamada, 2004-2007 All Rights Reserved.