2007年7月


1日●二者択一を迫る編集者
前後関係はわからないのだが、気がつくと私の目の前で道が2つに分岐していた。そこへ編集者の芝田さんが現われて、「どちらか一方の道を選んでください」という意味のことをにこやかに告げた。言葉遣いは丁寧だが、そこには有無を言わさぬ迫力が籠もっていた。私は心の中で0.1秒ほどの間に、(変化はいつだって突然やって来る。考え込んでいる余裕はない。この瞬間に道を選び、そのことがこのあとの人生を決定してしまうのだ)と思っている。

【解説】 二者択一を迫られる夢はこれまでにも幾度か見たことがあるような気がする。例えば、道を歩いていたら目の前が二股に分かれているといった夢だ。しかし今夜のように第三者から(それも作家にとっては最も近しい関係にある編集者から)選択を迫られる夢を見たのは、おそらく今夜が初めてではないだろうか。「人生はすべて二者択一の連続であり、未来は一瞬の決断にかかっている」というのが私のかねてからの信条だが、現実世界ではこのところ二者択一を迫られる機会が恐ろしく増えた。それだけ責任ある立場を与えられるようになったとも言えるし、今が私にとって大きな変化の時期であるとも言えるだろう。今夜の夢は、そんな現実がストレートに反映された内容だったように思う。それにしても、芝田さんから二者択一を迫られた私は一体何を選んだのだろう。夢がそこまでは示してくれなかっただけに、結末が気になる。なお、現実世界では昨日、長年住み慣れた家から引越しをした。当然そのことも今夜の夢には関係しているのだろう。


2日●1枚のチケット
気がつくと、手の中に1枚のチケットがあった。何のチケットなのかはわからないが、これが新しい変化をもたらしてくれる物であると私は感じている。

【解説】 一瞬の夢。この前後にあったのかも知れないストーリーは、目が醒めると同時に忘れてしまった。短いにもかかわらず、何故か印象的な夢だった。



3日●親近感のわく案内人と楽しみなディナーパーティー
最初に何やら面白い夢を見たように思うのだが、残念ながら内容を思い出せない。気がつくと私はどこか屋外の広々とした場所(公園?)にいて、螺旋階段を登っていた。それは右側に旋回する石の階段だったと思う。但し、階段と言ってもそこにはほとんど段差がなく、ほとんど平坦に近いほど緩やかな登り勾配なのだが。左脇には誰か同行者がいるようだが、その人の姿は見えない。前方には案内役の男性が2人歩いている。2人のうち顔がハッキリと見えるのは1人だけで、彼は年の頃なら27〜8歳。どこかで見た顔だと思う。むかし仕事で一緒したことのあるTVディレクターのM君と、大学の後輩で私の講演会を企画してくれたA君を足して2で割ったような顔なのだ。私はこの人に親近感を覚えている。彼はゆっくりと階段を上がりながら後ろに顔を向けて、これからのスケジュールを笑顔で説明してくれている。その際、彼から夕食のメニュー(?)を渡されたり、ドレスコードについての説明を受けたような気もする。場面が変わり、高級感漂うフレンチレストラン。私は今しもテーブルに付こうとしている。どうやらイブニングドレスを着ているようだ。少し早く着き過ぎたのか、或いは私だけが時間正確なのか、ほかの人はまだ誰も到着していない。席次表を見たところ、私の右隣にはイラストレーターの押金美和さんが座ることになっていた。それを知って私は非常に喜んでいる。

【解説】 安心して道を任せられる案内人がいて、これから始まるパーティーには楽しみなことが待っているという、何やら全体にほっとするような夢だった。押金さんは昨年の暮れ『英語でしゃべらナイト』に掲載された“The Monday Monster”に挿絵を描いてくださったイラストレーターさん。現実世界でも押金さんとは今月中旬に初めてお目にかかることになっている。その楽しみな気持ちが今夜の夢には現われたようだ。


4日●「棄てないで欲しい」
学校のような建物。昭和を思わせる古めかしい雰囲気。校舎の角に手洗い場があって、そこに高校の同級生であるT子とM美が立っていた。2人とも高校時代のままの姿で、セーラー服を着ている。彼女達からは私の姿が見えていないようだ。2人は少し甲高い声で、「棄てないで欲しいよね」「そうそう、できれば最後まで棄てないで欲しい。うちの母親も最近そう言ってるよ」という言葉を交わした。どうやら異性関係のことを話しているらしい。おそらく次の授業が始まるのだろう、2人は小走りに去って行った。静けさの中に1人取り残された私は、心の中で、(T子もM美も異性にもてるタイプだった。高校時代の彼女達なら決して「棄てないで欲しい」などと言わなかっただろう。歳月が彼女達を変えたのだろうか)などと思っている。そのとき、素早い身のこなしで廊下をうろうろする怪しい白人男性の姿が見えた。何をしているのか定かではないが、どう見てもスパイのような男だ。私は男から見られないように壁に身を隠している

【解説】 ストーリー性には乏しいが、「棄てないで欲しい」というキーワードが妙に印象に残る夢だった。今夜の夢に登場したT子とM美はかつての同級生で、2人とも非常に大人びた感じのする美女だった。その彼女達の口から、「棄てないで欲しい」という弱気な言葉が漏れるのは、極めて意外だ。正直なところ、今夜このような夢を何故見たのか、その理由が私自身にもよくわからない。夢の最後に登場したスパイのような男にも、心当たりはまるでない。ちなみに『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「スパイ」の意味は「スリルや変化を求める心」とのことである。


5日●通訳する娘
娘が誰かのために通訳をしている、私からは彼女の右の横顔が見える。忙しい時間。そのあと娘と何か言葉を交わしたような気がするが、内容は覚えていない。

【解説】 今夜はこのほかにも幾つか短い夢を見たような気がするが、目が醒めると同時に忘れてしまった。ちなみに娘は現在夏休みで一時帰国中である。


6日●2つの球
すぐ目の前に小さな球が2つある。2つは全く同じ形で、大きさはゴルフボール程度。金色の地に、縦横に何本か黄色のストライプが入っている。球のことで誰かと会話をしたような気がするのだが、会話の相手も内容も思い出せない。

【解説】 昨夜同様、今夜の夢にも短いエピソードが幾つか登場したような気がする。しかし、そのなかで覚えているのは球の夢だけ。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「球」の意味は「万事丸く収まる/現在試練の只中にいてもいずれ問題は解決するので問題から逃げ出すな」、「数字の2」の意味は「対立と葛藤」、「金色」の意味は「心身ともにエネルギーの溢れた状態/女性の中の男性的な部分」、「黄色」の意味は「太陽のイメージ/幸福の象徴/躍動感/直観力/身勝手さ/ズケズケと物を言うことは自重せよ」だそうである。そう言えば今、現実世界では逃げ出したくて仕方のない問題が1つある(その問題とは、まさに「対立と葛藤」に関係したことだ)。今夜の夢は「問題から逃げ出すな」というアドバイスだったのかも知れない。



7日●打たれても凹(へこ)まない少女とブースケ化した息子
イベント会場のような場所。1人の美しい少女が「自分もイベントに参加したい」と願い出ている。顔つきや服装の感じから推して、少女は中国人かも知れない。主催者をはじめとする関係者は皆、何故かこの少女を仲間はずれにして、つらく当たっている。人々から冷たくされても少女はめげることなく交渉を続け、遂に猫の額ほど小さな場所を貰うことに成功した。ほかの参加者とは比較にならないほど狭く、とてもイベントを行なえるとは思えないような場所だ。しかし少女は与えられた場所にポールのようなものを何本か立てると、それをどんどん高く伸ばして行き、縦方向に陣地を増やし始めたではないか。少女は無言で働き続け、ピンク色の綺麗な羽根のような物で自分の陣地を美しく飾り始めた。私は心の中で(横に広がりを見出せない代わりに縦方向に可能性を求めるとは、なんと機転が利いて生命力に溢れた少女だろう。いずれこの少女が世界を乗っ取ってしまうかも知れない)と思い、一種の畏怖と嫌悪の入り混じった感情で少女を見ている。場面が急転し、気がつくと私は息子と一緒にいた。息子は3〜4歳と思しき姿で、ずいぶん面変わりしてふっくら丸顔になっている。こんなに幼いと言うのに、息子はハーバード大・オックスフォード大・東大のうちから将来進学すべき大学を早くも決定しなくてはならないらしい(それがこの世界での決まりらしいのだ)。息子のシャツの裾が乱れていたので、抱っこして直してやった。ふと見ると、息子のお腹が太ってぽっこり飛び出しているではないか。そのお腹を見て、(あれ? ひょっとしておまえブースケ?)と思ったところで目が醒めた。

【解説】 図々しいほどの生活力に溢れた美少女と、その少女を畏怖と嫌悪感をもって見つめる自分。これは一体、何を物語っているのだろう。現実世界では、この美少女に匹敵する人物に心当たりはないのだが。夢の後半は打って変わって、ブースケ化した息子の登場である。実際の息子は、ひょろりと細身の高校生。ブースケ(太目のシーズー犬)と似ても似つかないことは言うまでもないのだが……。なお、この9月からインターの11年生(日本でいう高2)に進学する息子は、そろそろ進学先を決定する時期に差し掛かっている。その一件が夢に現われたことは間違いなさそうだ。



8日●日本家屋に見える洋館
気がついたとき、私は2階建ての日本家屋にいた。階段を登って行くあいだに、(この家はちょっと見には日本の家に見えるが、実は洋館なのだ)と気づく。そのあと部屋の真ん中に転がっている丸くて柔らかな物(もしや犬のブースケ?)を見たような気もするが、それが何だったのかはわからない。

【解説】 現実世界でも1週間ほど前に引越しをし、以前の住環境(全面フローリングの近代的なビル)から一転、今は2階建ての日本家屋(なんと今どき珍しい全室和室)で暮らしている。木材と紙と畳に囲まれたここでの暮らしは、まさに“やすらぎ100%”だ。夢に現われた柔らかなイメージは、おそらく引越し先の新しい家のイメージなのだろう。しかし、実はその家が洋館だったと言うオチの意味は全くわからない。。



9日●海へ出て行く軍艦
どこかわからない大都会。一部が海に突き出したような形になっている。夥しい数の超高層ビル。街の中心部分には運河があって、その運河を今しも巨大な軍艦が進んでいる。運河の幅があまりにも狭いので、もう少しで船体がビルに触れてしまいそうだ。どうにか無事に運河から抜け出た軍艦は、大海原へ出て行こうとしている。私は諦めと一抹の淋しさと不安の入り混じった複雑な思いでその光景を見ている。

【解説】 今夜の夢に登場した軍艦は、戦艦大和にどこか似ていた。静かではあるが胸騒ぎのする、不穏なイメージの夢だった。



10日●上品なイメージの乗り物に乗る
夢の中で、私はずっと乗り物に乗っていたようだ。そのなかで覚えているのは、どことなくクラシックカーのような形の、上品なクリーム色の乗用車だ。

【解説】 今夜の夢は、何故か詳細を思い出せない。覚えているのは「乗り物に乗っていた」というイメージだけだ。しかし単に「移動する」だけではなく、そこには(クリーム色のクラシックカーに象徴されるような)一種の気品が漂っていたようだ。



11日●大きな丸いもの(スイカ?)
夢の画面の真ん中に、大きな丸いものが見える。(ビーチボールかな?)と思うのだが、どうやらそれはスイカらしい。

【解説】 今夜の夢にはもっと具体的なストーリー性があったように思うのだが、目が醒めてみるとほとんど思い出せない。私の夢にはしばしば「球形の物」が登場するのだが、そんな夢を見た後は一種の安定感がある。



12日●……

【解説】 昨夜はあまり体調が良くなかった。そのためか見た夢を思い出すことが出来ない。



13日●新生児室にて
産婦人科らしき建物。今は夕方で、あたりは静まり返っている。穏やかな雰囲気。廊下の突き当りの辺りが新生児室になっていて、清潔なタオルに包まれて気持ちよさげに眠る赤ちゃんの姿がガラス越しに見えている。父親らしき男性が赤ちゃんを覗き込んでいる。幸福そうな微笑み。父親と赤ちゃんは瓜二つだ。その光景を後ろから眺めながら、私も同じように幸福な気持ちを味わっている。赤ちゃんの父親は、知り合いのYさんだったようだ。

【解説】 ほのぼのとした時間がゆったりと流れる、穏やかな夢だった。不思議な感覚なのだが、この光景は近未来に実際この目で見るような気がしてならない。



14日●鋭利なナイフで指を切る
前後関係はわからないが、何かの拍子に鋭利なナイフで左手の人差し指を切ってしまった。不思議なことに痛みや出血はなかったように思う。傷も残らなかったようだ。私は心の中で(指を切るのは吉兆、それとも凶兆なのだろうか)と思っている。

【解説】 夢の中で抱いた疑問に応えるべく『夢の事典』(日本文芸社)を紐解いてみたところ、「ナイフ」の意味は「闘争心/破壊衝動/鋭敏な神経や感受性」、「切る」の意味は「不要なものを切り捨てようと前向きに考えている姿」、「人差し指」の意味は「自分がなりたいと思う自己イメージ/母親像」とのことである。これらの事柄を総合すると、さてどのような意味合いになるのだろうか。



15日●ブースケによく似た犬の死
気がつくと自動車に乗っていた。見慣れぬ都会の風景の中を走って行くと、少し緩やかなスロープを登った向こうに横断歩道が見えてきた。横断歩道の上では、ブースケそっくりな犬が死んでいたではないか。車に轢かれたのだろう、犬はお煎餅のようにぺちゃんこになっている。しかし不思議なことに犬は少しも出血していない。顔立ちや体型がヌイグルミっぽいためか、生き物が死んだという生々しさはない。むしろ哀愁が色濃く漂っている。私は家に置いてきたブースケのことを心配している。

【解説】 新居の階段の昇り降りがうまく出来ないブースケは、先日、ついに階段から転げ落ちた。ブースケはもともとドンくさい犬で、犬らしい野生の本能からは程遠い。私はいつもそのことを心配している。その上、今月はイベント続きでブースケを可愛がる時間が少ない。そんな諸々の心配が現われた今日の夢だったように思う。



16日●果物屋さん
私はたくさんの果物に囲まれている。甘い、素敵な香り。優しく柔かな色彩。南国、常夏のイメージ。

【解説】 今夜の夢に果たしてストーリーと呼べるようなものがあったかどうか、目が醒めると同時に忘れてしまった。覚えているのは果物の存在だけだ。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「果物の夢」の意味は「成功や豊かさのシンボル/努力の成果/愛情や人生の喜び」とのこと。



17日●「松」の名前を思い出せない
気がつくと私は漢字テストを受けていた。設問の内容は、どうやら「植物を表わす漢字を出来る限りたくさん書きなさい」というものらしい。夢の中で、私はとある植物を思い浮かべている。それはとても有名な植物で、姿形はハッキリと思い出せるのだが、何故かその名前を思い出すことが出来ない。悶々としていると、やがて突然、それが「松」という名の植物であることを思い出した。こんな簡単な名前を何故思い出せなかったのだろう。怪訝に思っているところで目が醒めた。

【解説】 夢の中の私は、松の形はハッキリ思い出せるのだが何故か名前が思い出せず悶々としていた。『夢の事典』によれば、「松」の意味は「健康/繁栄/長い努力が日の目を見る」だそうであるが、松の名前を夢の中で思い出だせなかったとなると、一体どのように解釈すれば良いのだろう。なお、私は松という植物が個人的には好きではない(と言うより、むしろ嫌いである)。



18日●50パーセントの幸福
見たことのない家。私はここで生活している。青い空のかけらが窓越しに見える。乾いた洗濯物のいい匂い。色々と悲しいことも在るが、私は今、50%幸せだ。

【解説】 今夜の夢にはもっと複雑なストーリーがあったように思うのだが、詳細は何故か思い出せない。夢の中の私は、現実とは別の場所で別の生活を営んでおり、「自分は50%幸せだ」と感じていた。50%というパーセンテージは、日頃の私の幸福観に鑑みると非常に低い数字だ。幸福が大好きな私は、常に自分を90%以上の幸福状態に置くべく日夜さまざまな努力をしているし、ごく些細なことからも幸福を感じられる一種の感性(≒おめでたさ)を持ち合わせてもいる。夢の中で50%だけ幸福だった自分は、私的にはかなり不幸だったのかも知れない。



19日●違和感に満ちたグループ旅行
見知らぬ土地を、見知らぬ人たちと一緒に団体旅行している私。道中、色々なことがあったように思うのだが、何故かその間の記憶は全くなく、気がついたとき私は空港らしき建物の中にある土産物店にいた。沖縄土産を買ったようだが、今回の旅で訪ねた先は沖縄ではなかったと思う。土産物店の中でグループの人たちと記念撮影をすることになった。そのときになって気づいたのだが、メンバーは全員が女性だ。しかし、その中に親しい友人はひとりも見当たらない。もしかすると娘が同行していたのかも知れないが、いたとしても姿は殆ど見えない。グループの中に、特に美人という訳ではないが妙に人目を引くひとりの女性がいた。彼女はロングのタイトスカートを履いている。シックなグレーのスカートであるにもかかわらず、安っぽいレースのリボンが縦に一列付いていて、それがスカート全体を台無しにしている。私はそのことに強い違和感を感じている。スカートの女性が何かジョークを言い、皆が笑った。私は少しもおかしくなかったのだが、無理をして一緒に笑った。彼女達と写真を撮り、デジカメの画面で確認したところ、気に入った写真は1枚も撮れていない。私は心の中で(この写真はブログには使えない)と思っている。

【解説】 今夜の夢で私は旅をしたらしいのだが、肝心の旅の部分に関する記憶がない。目が醒めたとき一抹の妙な淋しさが心に引っかかっていたことから察するに、もしかすると旅の途中に何か悲しい出来事があったのかも知れない。沖縄に行ったわけでもないのに沖縄土産を買ったり、折角のシックなスカートを安っぽいリボンが台無しにしていたり、笑いたくもないのに笑ったり、撮った写真が使い物にならなかったりと、何から何まで違和感に満ちた夢だった。現実世界の中でも最近、人間関係で少し違和感を感じている出来事がある。そのことが形を変えて今夜の夢になったのかも知れない。なお『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「土産」の意味は「想い出のシンボル/人生という名の旅から得た経験」であるという。そのような意味を持つ「土産」が違和感に満ちたものだったとは、夢とは言え残念なことだ。



20日●円満な丸顔の人
満月のように円満な丸顔の人。僧侶? 穏やかな口調。平和なイメージ。

【解説】 今夜の夢にはストーリーがあったのかも知れないが、思い出せない。穏やかなイメージの夢だった。



21日●夢日記をつける私
夢の中で夢日記をつけている。現実とは違って、パソコン上ではなく何故かノートに手書きだ。ちらちらと見える風景がヒマラヤのようにも見えたので、電気が通っていないかパソコンを持っていないのかも知れない。私はコツコツと数日分の夢日記を書き留めている。

【解説】 夢の中で夢日記をつけるという、一種の劇中劇のような夢。ヒマラヤの色が垣間見えたのが、懐かしいイメージだった。



22日●……

【解説】 今日は確かに夢を見たはずなのだが、何故かその内容を覚えていない。



23日●ルービックキューブのような音階
夢の中で不思議な音楽が鳴り続けている。それは単調で、聴く者の心を静かにかき乱す効果を持っている。私は次第に悲しい気分になってきた。その音階は、(五線譜の上に書こうとすると何故か思い出せないのだが)、どことなく“ルービックキューブのような”音楽だった。

【解説】 私の夢にはオリジナルの音楽が附属することがある。今夜の夢にも、なんとも言えない不思議なメロディーが登場した。目が醒めてすぐにそれを五線譜に書こうとしてみたのだが、何故かそれが出来ない。イメージとしては「ルービックキューブのような音階だった」としか言い様がないのだ。おかしな話である。



24日●生理的に好かない男からデートに誘われる
いかがわしく不潔な雰囲気の建物。私は何か用事があって、どうしてもこの建物の内部に入らなくてはならないらしい。しかし私は最初から、この建物に入ることに強い抵抗を感じている。建物の中に入ると、そこには見知らぬ若い男がいて、かなりダイレクトな口説き方でデートに誘われた。「今から君の部屋へ行っていい?」というような台詞だったと思う。男は背が高く、顔立ちはハンサムで、話術も巧みだ。雰囲気はどことなくホストっぽい。男を見た瞬間から、私はなんとも表現しがたい生理的嫌悪感を覚えている。男を遠ざけるために、「今からここへ私の伴侶が来ますよ」と口から出任せを言った。すると男は少し驚いたような顔で「ご主人が来るの? どうせ嘘だ」などと言って抵抗していたが、取り付く島のない私の態度を見て諦めたのか、暫くするとその場から消えていた。

【解説】 異性に口説かれたり異性を口説いたりという夢を私は滅多に見ないのだが、今夜の夢には“思いっきり嫌いなタイプ”の男性が現われ、思いっきり嫌いな口説かれ方をした。目が醒めたあとも暫く不快感が持続するような夢だった。



25日●相談相手は何処にもいない
誰かに相談したいことがあるのだが、誰に相談したら良いかがわからない。紆余曲折があって(ただし、この間のことは残念ながら思い出せない)、最後に編集者のSさんのところへ相談に行ったが、やはりここでも問題は解決しなかった。(結局、自分ひとりで解決するほかに方法はないな)と思ったところで目が醒めた。

【解説】 今夜の夢には非常に具体的なストーリーがあったように思う。しかし残念なことに起床と同時に忘れてしまった。夢に現われたSさんは私が人間的に信頼している編集者さんだが、その人にも解決できなかったということは、私が夢の中で抱えていた問題はかなり深刻なものだったのかも知れない。



26日●左利きの男と競争する
すぐ脇に、見たことのない左利きの男が立っている。その男と私は何かの競争(レース?)で競り合っている。やがて私が勝ち、男はどこかへ消えて行った。私のすぐそばにはもうひとりの男がいる。彼は最初から“黒衣”のような存在で、影の存在として最初から最後まで私の味方をしてくれていたようだ。

【解説】 今夜の夢で、一体私は何を競争していたのだろう。具体的なことは何も思い出せない。左利きの男に見覚えはなく、しかも起床した途端に顔そのものも忘れてしまった。



27日●細長い箱
静寂。趣のある優雅な和室。部屋の真ん中には細長い箱が置かれている。見覚えのない箱だ。その箱は、畳の目に対して斜めに置かれている上に、蓋も少しずれている。私はその蓋を直したいと思っている。

【解説】 一瞬の夢だった。私には「平行」を美しく感じるクセがあって、人の家に招かれたときなど、壁に掛けられた絵画が曲がっていたりするだけで、何とも落ち着かないイヤな気分になる。綺麗な平行線が保たれていることは、私にとって清潔感や潔癖感の象徴なのかも知れない。今夜の夢には平行が保たれていない箱が登場し、私はそれを直そうとしていた。現実生活の中でも、実は今、直したいと思っていることがある。その気持ちが形を変えて今夜の夢になったのかも知れない。



28日●梁(はり)を渡り歩くブースケ
気がつくと私は建物の天井裏にいて、そっと下を眺め下ろしていた。暫くすると下の階からブースケがそっと姿を現わし、器用な様子で梁(はり)を伝って歩いて行くではないか。そのあとをパンダも歩いて行く。その背中を黙って上から見下ろしながら、私は心の中で(ブースケったら、いつの間に梁を渡るなどという高度な技を覚えたのだろう。パンダのマネをして覚えたのだろうか)と思い、感嘆している。

【解説】 ブースケとパンダはともに愛犬の名前。ブースケ(シーズー♂)は運動神経が悪く、つい最近まで新居の階段の昇り降りすら出来なかった。しかし彼は、何度も階段から転げ落ちながらも自発的にコツコツと昇り降りの練習を続け、ついに最近、ゆっくりとではあるが自力で1階と2階を行き来できるようになった。その一部始終の出来事は非常に感動的だった。今夜の夢では、ブースケの運動神経は更にグレードアップし、なんと梁を渡れるまでになっていた。「この世に不可能はない」ということを思い出させてくれる、とてもサポーティブな夢だった。


29日●mixi(ミクシィ)の日記に誤字発見
パソコンの前に座り、mixiの日記をチェックしたところ、マイミクシィ最新日記が片端から「帰強」というタイトルになっていた。(帰強ってどういう意味?)と怪訝に思う私。しかも驚いたことには、私自身の最新日記までが「帰強」となっているではないか。そんな日記をつけた記憶はないので、何者かが違法にアクセスして勝手に日記をつけたものと思われる。色々と調べたところ、「帰強」は「帰郷」の間違いらしい。マイミクのうちソラさんの日記のタイトルだけが、「帰郷」に修正されていた。ミネルバさんがソラさんの日記にコメントを付けたので、タイトルが自動的に修正されたらしいのだ。(私も誤字を修正しなくては)と思う。

【解説】 まるで意味のわからない夢。mixiはご存知、日本最大のSNS。私は2年ほど前からぼちぼち日記をつけている程度だが、マイミクさんは基本的によく知っている親しい人だけである。「ソラさん」と「ミネルバさん」は実際のマイミクさん。今夜の夢では、誰かが私の名前で違法に付けたmixi日記に誤字があり、私はそれを訂正しようとしていた。これが何を意味するのかは全くわからないが、せいぜい誤字には気をつけるようにしよう。ちなみに「帰郷」という言葉に思い当たる節はない。



30日●気分爽快
具体的な出来事は思い出せないのだが、どこか清々しい場所(高原?)へ行き、一緒にいるだけでほっとする人たちと出逢った。穏やかな雰囲気。気分は爽快だ。

【解説】 今夜の夢には具体的なストーリーがあったのかどうか、それすらも思い出せない。ただ、とても爽やかな目醒めであったことは確かだ。



31日●美味しい胡麻(ゴマ)を食べる
最初にいきなりラーメンが運ばれて来た。湯気がもうもうと立っている。食欲をそそる胡麻の香りがしたので、丼の中を覗き込んで見ると、麺の上には大量の黒胡麻がかかっていた。そのあと色々な出来事があった気がする。途中、美味しい胡麻豆腐を食べた。また、久しぶりに逢った知り合いの男性(顔は思い出せない)から「真美さん痩せたね」と言われたことは覚えているのだが、それ以外の詳細は一切思い出せない。

【解説】 昨日は現実世界でも胡麻豆腐を食べた。そのことが夢に現われたのだと思うが、夢の中では胡麻が1度ならず2度にわたって登場しており、印象的だった。また今夜の夢では、久しぶりに逢った友人から「痩せたね」と言われるのだが、これは現実世界でも最近色々な人から言われることだ。私はもともと太りにくい体質なのだが、最近は特に新陳代謝が良くなったのか、食べても食べても贅肉にならない。そんなわけで、この頃は逢う人ごとに「少し痩せた?」と聞かれる。鏡を見ると、確かに少し痩せたような気もする。なんだか中学時代の“少年のような体型”に戻りつつあるようだ(笑)。




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