2007年11月

1日●宝の山
洞窟のような奥まった場所。気がつくと目の前に宝石の山があった。子どもの頃に読んだアラビアン・ナイトの世界を思い出させる光景だ。金銀のきらめき。胸の高鳴り。

【解説】 夢の途中で宝石の山に出逢い、目醒めてみるとその場面しか思い出せない。幸先が良い感じの夢だった。


2日●倍増する純金
金の砂がぎっしり詰まった白い布の袋が見える。袋自体はシンプルなものだが、中身は純金だ。純粋なきらめきが感じられる。袋の大きさは枕の半分ぐらいで、厚みのある立方体だ。最初は1つしかなかった袋が、次の瞬間には2つに増えていた。私は瞬時に2倍に増量した純金に驚いている。
【解説】 昨日に引き続き、きらめくような宝の夢である。私は2ヶ月に及ぶインド訪問から戻ったばかり。2日連続の宝の夢は、何か幸先の良い未来を予見してくれているようで嬉しい。なお『夢の辞典』(日本文芸社)によれば、「夢の中で金色に輝いているもの」の意味は「自分の中の男性的な部分からのメッセージ」なのだ そうである。


3日●髪の色が変化する女性
髪の長い女性の上半身が見える。顔がよく見えないのだが、おそらく白人ではないかと思う。彼女の髪は最初のうち金髪だったが、じきに薄ピンク色になり、続いて虹色になった。私はその光景をただ傍観している。
【解説】 意味のよくわからない夢。女性に見覚えはなく、ストーリー性もなく、単なるビジュアルのような夢だった。ちなみに私自身は生まれてから唯の1度も髪を染めたことがない。また、染める予定もない。白髪が出たら染めるかも知れないが、未来のことはわからない。「髪を染めない」という点について、私は極めてコンサバな人間なのである。だから今夜の夢に登場した人物は、(私の定義によれば)コンサバではない女性ということだ。もしかしたら私の心のどこかに、コンサバの殻を破壊したいという気持ちが隠されているのかも知れない。



4日●果てしない旅
ススキが揺れている野原。長い長い道のり。秋の色に彩られた山の匂い。旅をしているのはおそらく私自身なのだろうが、全体の風景が自分の目にはかなり客観的に映っている。長い年月が経過したような気がするが、あるいはほんの数時間が経っただけなのかも知れない。目醒めた時、私はひどく懐かしい想いの中にい た。
【解説】 全体に遠い世界の出来事のようであり、まさに夢物語のような夢だった。ススキが印象的だったが、「淋しい」という感じではなく、むしろ豊かに満ちているイメージだった。



5日●ストライプのセーター
前後関係は全く思い出せないのだが、目の前に白黒のストライプのセーターを着た女性が見える。懐かしく温かな気持ち。
【解説】 今夜の夢にはそれなりにストーリーがあったように思うのだが、セーターのこと以外は何故か思い出せない。


6日●四つ足の物
目の前に四つ足の物が見える。おそらく机ではないかと思う。私は心の中で「四つ足の物で中国人が食べないのはテーブルだけ」というジョークを思い出している。
【解説】 今夜の夢には前後にストーリーがあったように思うのだが、何故かこの場面しか思い出せない。なお、このジョークの続きは「空を飛ぶ物で中国人が食べないのは飛行機だけ」である。


7日●お下げ髪のブースケ
壁に向かってチョコンと正座した小さな女の子の後ろ姿が見える。私は後方から、その子の肩までかかる髪を櫛で梳(す)いてあげている。顔の両側の髪を少しずつとってお下げ(三つ編み)に編み、先っぽの部分に赤いリボンを飾ってあげていたところ、不意にその子の顔が壁に掛けられた鏡に映った。鏡に映っていたの は人間の女の子ではなく、嬉しそうに微笑む飼い犬のブースケだった。
【解説】 ブースケが人間になる夢は、これまでにもたびたび見ている。それはひとえに、私の心の中にある(ブースケが本当の子どもだったら楽しいだろうなあ)という願望の表われに違いない。そう願うほどに、私はブースケのことが大好きなので。今夜の夢で、彼は赤いリボンをつけた女の子になっていた。案外似合っていたので、今度ヒマなときにやってみよう(笑)。


8日●奇跡的に落ちない蓋
私は化粧台の前に立っている。手の中には化粧品のビンが握られている。ビンのフタを外したところ、誤ってフタが手から落ちてしまった。あっと思った時にはも う、フタは洗面台と壁面の間の隙間に落ちそうになっているではないか。(しまった! フタが隙間に落ちてしまったら、取り出すことは難しい)と思う。と ころがフタはくるくる回りながら一瞬にして軌道を変え、壁面との隙間には落ちずに洗面台の中へ転がって来た。それを見て私は、(これは間違いなく強運のしるしだ。運はまだ私の方に向いている。現在ある問題はきっと解決するだろう)と思った。
【解説】 現実世界で今、少し難航していることがある。この件に関しては9対1ぐらいの割合で「負け」の気配が強いのだが、この夢を見た瞬間、何故か(これはどんでん返しで勝てるという予告なのでは?)と思い直した。
【後日談】 この夢を見た直後に現実世界でも、或る容器の蓋がテーブルと壁面の間へ落ちそうになり、ひやっとさせられることがあった。そしてその直後に、上の「解説」 にも書いた「難航していたこと」が解決し、私は思いがけず勝利を収めることが出来た。理由あってこれ以上具体的な話は書けないのだが、この夢は明らかに「逆転勝ちを予知する夢」だったように思う。


9日●何かを諦めようとする女
長く淡々とした物語が夢の中で展開している(但しそれがどのようなストーリーだったかは思い出せない)。うつむいて歩く髪の長い女性の姿が、夢の中にぼんやり浮かんで見える。彼女はおそらく20代後半で、今から何か大事なものを諦めようとしているようだ。誰にも言えない、静かだが複雑な状況が見える。夢から醒めたとき、私は少し悲しい気分を持て余していた。
【解説】 今夜の夢は果たしてどのような物語だったのだろう。具体的な内容を思い出せないだけに妙に気になる。俯いた見知らぬ女性の姿が印象的だった。



10日●高く飛んで、ふんわり着地
巨大な体育館の中。気がつくと私は全力で走っていた。目の前には跳び箱。それも4〜5段ではなく、50段ほど積み上げられた、まるで塔のように高い跳び箱 だ。走っている自分を別の場所から見ている自分がいる。跳び箱の手前まで来た私は、思い切ってカモシカのように踏み切り、高く高く跳んだ。それを見ている 視線はもうひとりの自分だ。目もくらむような高さまで堆(うずたか)く積み上げられた跳び箱を飛び越えた私は、ふんわりと、嘘のように軟らかく着地に成功 した。「おめでとう。ソフトランディング成功ですね」という誰かの声で目が醒めた。
【解説】 時間にして1〜2秒の短い夢だった。50段も積まれた跳び箱を飛び、しかも怪我ひとつせず柔らかく着地するという現実ではありえないことが、夢の中では驚くほど簡単にできた。高く飛んだことよりも、むしろ着陸に成功したことのほうに意義があると感じた夢だった。



11日●刻々と変化する髪型
男女の顔が交互に見える。ふたりとも20代前半で、モデルのように端正な顔立ちだ。顔は交互に現われては消え、そのたびに新しい髪型に代わっている。(きっとこれは新しいウィッグの宣伝なのだ)と私は思った。
【解説】 今月3日にも髪の色が変化する女性の夢を見た。これは何かの暗示なのだろうか。「髪型を変える」ことにはどんな意味があるのだろう。私は私を変えたいと願っているのだろうか。



12日●リュックサックを背負った子ども達
3階建てのアパートの窓から外を眺めている私。アパートの前にある小さな公園では、リュックサックを背負った10人ほどの子ども達がわいわい騒いでいる。あの子たちはこれからバスに乗って山へ遊びに行くのだ。懐かしい時間の流れ。あの中には小さな「真美ちゃん」がいるのだと思う。
【解説】 幼い頃の自分がリュックサックを背負い、大勢のお友達と一緒に山へ遊びに行こうとしている、その姿を高いところから(大人になった私が)眺めている夢。私は子供時代の自分があまり好きでないので、その頃の自分の姿を見たいとは特に思わない。今夜の夢も、「山に行けることになってワクワクしている子どもの心境」ではなく、「その景色を見て懐かしい時間の流れを感じている大人の自分」がメインテーマだったようだ。



13日●毛糸で編みこまれた女性の顔
音のない静かな情景。目の前には、平らに置かれたセーターの胸の部分(?)が見える。濃紺の地色に、明るい色で女性の顔が編みこんである。髪の長い西洋人の顔だ。よほど細い毛糸で編んだのだろう、顔の部分はとても精巧に出来ている。私はただ、その情景を見ているだけ。
【解説】 ほんの一瞬の夢だった。毛糸で編みこまれていた顔に見覚えはなく、今夜の夢は全く意味がわからない。



14日●建築中の家を俯瞰する
家を建てている。建築関係者の男性が数人、建物を出たり入ったりしている。私は心眼で、この家が完成したときの展開図を俯瞰している。2階建で、全体がほぼ立方体の可愛らしい家だ。私はこの家で暮らしてもいいと思っている。
【解説】 私は夢の中でしばしば、ひとつの情景を高いところから「俯瞰」していることが多い。今夜の夢もそうであった。それで気づいたのだが、現実世界においても私は物事を客観的に分析することが好きだ。「俯瞰する夢」は、そんな私の心の癖を無意識に表わしているのかも知れない。



15日●空飛ぶ教室
高校の教室。クラスメートは皆、当時の姿のまま席についている。机や椅子、黒板などもあの頃のままだ。ところが教室は飛行機になって、いきなり空を飛び始めた。と言っても、窓の外の風景が見えているわけではなく(注/そもそもこの教室には窓がないようだ)、「空を飛んでいるらしい」という感覚があるだけなの だが。J子ちゃんとSちゃんが皆に飲み物を配り始めた。私たちは女子高生の姿のまま、教室ごと空を飛び続けている。
【解説】 最近なぜか女子高時代の夢をよく見る。J子ちゃんとSちゃんは当時のクラスメートで、ふたりとも確かにスチュワーデスになった。しかし現在の彼女達の消息は知らない。彼女達の登場にどんな意味があるのか、思い当たる節もない。



16日●無限に増殖する蓮の花びら
蓮の花が見えている。私は心の中で(花びらよ、開け)と唱えた。するとたちまち花びらが開き、開いたところからみるみる散り始めて、あとからあとから夥しい 数の花びらが嵐のように舞い散り始めた。まるで桜吹雪の蓮バージョンのようだ。しかも蓮の花びらの1枚1枚にはサンスクリット語で「オーム・マニ・ペメ・フーム」のマントラ(真言)が書き込まれている。花びらの嵐の中に身を置きながら、私は静かに瞑想している。
【解説】 実に神秘的で、うっとりするほど美しい夢だった。夢の中で蓮の花を見たのは、覚えている限りこれが初めてかも知れない。ちなみに「オーム・マニ・ペメ・フーム」は最強のマントラである。



17日●「ゴージャス!」と叫ぶ天使たち
ボールルームのように巨大な部屋。舞踏会でも行なわれているのだろうか、着飾った人たちが何十人、何百人も動き回っている華麗な姿が見える。その部屋を高いところから俯瞰している私。すぐ横には仲の良い友達がいるようだ。私たちは盛んに「ゴージャス!」と言っている。部屋のことを「ゴージャス」と言っているのか、何か別のことについて話しているのか詳細は不明。砂糖菓子のように甘く楽しく無邪気な雰囲気。白色のイメージ。空にふんわり浮いている私たちは天使なのだと思う。
【解説】 なにやら楽しい雰囲気の夢だった。最後に私は自分が天使であることに気づくのだが、自分の顔形は最後まで見えないまま。しかしおそらく今夜の私は、現実の自分とはまるで異なるキュートな姿をしていた気がする。



18日●空を舞う妖精たち
白い綿毛のようなものが見える。妖精らしき生き物たちが軽々と空を舞っている。清潔なイメージ。むかし森永製菓から発売されていた妖精カード入りのクラウンンチョコレートを不意に思い出した私は、無性にチョコレートを食べたくなっている。
【解説】 昨夜の天使に引き続き、今夜は妖精の夢である。いずれの夢の中でも、空を舞っていたのは天使であり妖精だが、実際には私自身も空を舞う気分を味わっていた。解放的で自由なイメージの夢だった



19日●……
【解説】 今夜も夢を見たことは間違いないのだが、その内容はどうしても思い出すことが出来ない。



20日●ススキの原っぱを歩く
人けのないススキの原。光と影。やわらかく暖かな風と、その向こうに潜む涼しい風の予感。私は旅をしている。
【解説】 今夜の夢には特にストーリーらしいものがなく、ススキの揺れる原っぱをずっと歩いていたように思う。そう言えば今月4日にも似たような夢を見ている。永遠に続くかと思われるほど単調で変化のない夢だった。



21日●弁天さまの微笑み
気がつくと、目の前にふくよかな微笑みがあった。(弁天さまだ)と思う。その瞬間、微笑みが極限まで拡散して太陽のようになった。
【解説】 竹生島の弁才天にお参りするため、昨日から滋賀方面に旅行に来ている。今夜の夢は旅館で見た。



22日●S子は気分が悪い
学生時代の同級生だったS子の姿が見える。S子は気分が悪いようで、食べた物を食器の中に戻してしまった。それを見た途端、私まで気分が悪くなってきた。
【解説】 現実世界でも最近、食事中に知人のお子さん(※S子ではない)が気分が悪くなり、いきなり食器の中に戻すという現場に遭遇した。その光景が今夜の夢の中で再現されたわけなのだが、それにしても何故S子が登場したのだろう。S子とは10年以上逢っていないし、彼女が何故こんな役柄で登場したのか理由がわからない。何事もないと良いのだが……。



23日●カラオケで『信濃の国』を歌う
カラオケバーで長野県の県歌『信濃の国』を歌っている。一緒に歌っているのは、信州出身の若い女の子だ。歌いながら(このメロディーはほとんど軍歌のノリだ)などと思っている私。歌詞を6番まですべて歌い終わった時には、さすがに額がうっすら汗ばんでいた。
【解説】 昨夜は現実世界でもカラオケに行った。メンバーの中に須坂市(長野県北部にある市の名前)出身の女の子もいたので、彼女と『信濃の国』を歌おうとしたのだが、いざ歌いだしたところ彼女が「わからなくなっちゃいました」と言い出し、結局最後まで歌いきることが出来なかった。今夜の夢の中で私はその無念(笑)を晴らすように、この歌を最後まで歌っていた。全力で歌ったせいか、なかなか気持ちの良い夢だった。



24日●男神の無断外泊
男神が女神に無断で外泊をした。女神は赤い色の寝室にいて、男神の安否を気づかっている。
【解説】 今夜の夢にはもっと長い物語があったように思うのだが、この場面しか思い出せない。それにしても男神の無断外泊とは、ずいぶん色っぽい夢だった。



25日●シーズー探し
見知らぬ部屋。切り取られた長方形のような形の部屋。部屋の左下にはシーズー犬が隠れているらしい。私はこれからその犬を探すところだ。
【解説】 何やら意味のわからない夢だった。このあとストーリーが続いたような気もするのだが、何故か思い出せない。



26日●空を舞うコウノトリ
私は柔らかな敷き藁の上に転がって、空を見上げている。何羽かのコウノトリがくるくると円を描いて飛んでいる。そのうちの1羽は、どこからどう見ても完璧な円を描いている。私は急に円周率のことが気になりだした。声に出して「3.141592」と言ってみるが、その先が思い出せない。(円周率の小数点以下9桁目の数字は何だっただろう)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 先週は兵庫県豊岡市で開催された日本文化デザイン会議に出席していた。そこでコウノトリの舞いを実際に見たことが、そのまま今夜の夢になったようだ。起床してから円周率を調べたところ「3.14159265358979323846264338327950288……」と続き、小数点以下9桁目の数字は「3」だそうである。



27日●太鼓を運ぶ
どこか見知らぬ国の大通り。私はビルの3階あたりから階下を見下ろしている。大きな太鼓が2〜3人がかりでビルから運び出されている。この近くで大きな祭りが始まるらしい。明るい雰囲気。
【解説】 今夜の夢には前後にもストーリーがあったような気がするが、残念ながらこの部分しか思い出せない。



28日●作家と犬と山登り
日本のどこかにある欝蒼とした森。イメージ的には熊野古道を思わせる風景だ。私は山を登っている。すぐ横には作家のXさんの姿が見える。Xさんはいつもの顔で笑っている。彼女の笑いは例によって空虚だ。足元には犬のブースケ。私たちは一緒に山を登っている。山頂には古い仏教寺院があるらしい。私たちはそこを目指している。
【解説】 ずっしりと重厚な感じのする山の風景と、Xさんの空虚な笑いが対照的な夢だった。Xさんは現存する日本人作家(女性)。親しい友人ではないが、私は彼女から頼まれていることがある。そのことが心にあって今夜の夢に彼女が登場したのだろう。ブースケまで一緒に山を登っていた理由は謎。



29日●……
【解説】 今夜は果たして夢を見たのかどうか、それすらも思い出すことが出来ない。



30日●何度も繰り返し溺れる白熊
温暖化のために極の氷が溶けて、大海原で白クマが溺れるアニメーションが延々と続いている。同じクマが何度も繰り返し溺れるので、私は悲しみと怒りの混ざった心境で(気の毒だから、そういう地獄の責めはいいかげんやめろ)と思っている。
【解説】 数日前、話題のアル・ゴア映画『不都合な真実』を観た。夢に現われたシーンは映画の一部分。このアニメ部分が妙に印象に残り、夢にまで現れたようだ。





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