2007年9月


1日●代理がルール
大勢の子ども達の代わりに、一人の美女が何かをしている。中国風のダンスだったような気がするが、詳細は定かではない。この世界では「代理」がルールのようだ。

【解説】 まるで意味のわからない夢。しかも起床してみると、夢で見た美女の顔さえ思い出すことが出来ない。


2日●ぐるりと半回転する顔
私はインドの空港の通路を歩いている。通路の先の方には、野球帽を前後逆さまに被った空港職員らしき若いインド人が立っている。するといきなり彼の顔がぐるりと半周ほど回転し、日本人の顔に変わった。それは知人のTさんの顔だったような気がするのだが、よくわからない。

【解説】 昨日から2ヶ月の予定でインドを訪ねており、これがインドで見た最初の夢。


3日●巨大な芋虫と半透明になる肉体
道の角のフェンスの前で、制服を着た大勢の中学生(あるいは高校生かも?)に混じって立っていたところ、カーブを曲がり損ねた大型バスが突っ込んで来た。学生は次々に押し潰され、バスと合体して巨大な芋虫になった。私はその場から走って逃げだした。民家の裏に隠れ息を潜めていると、白い法衣を纏った僧侶(または神主)が何人も何人も追いかけて来た。建物の2階へ上がり、肉体を半透明にして物陰に隠れていると、島崎藤村によく似た品の良い男性が現われた。その人を見た私は「サナルに『破壊』の英語版を送らなくては」と思っている。

【解説】 意味不明で不気味な夢だったが、最後に登場した島崎藤村の意味はわかる。現実世界でサナル・イダマルク氏から『破壊』の英語版を送って欲しいと頼まれているからだ。芋虫が何かを象徴しているように思われたが、何を象徴しているのかは謎。


4日●インドの石窟にて
私は親戚とともにインドの石窟のようなところにいる。そこで姪のK子ちゃんと逢ったので、「久しぶり」と挨拶を交わしている。
【解説】 今夜の夢に登場したK子ちゃんは上智大学の博士課程に在籍しており、(思想的に)親族の中で最もインド世界に近いところに身を置いている一人である。その彼女とインドの石窟で逢う夢は、近くの街(例えば新宿や銀座あたり)で逢うよりもずっと自然な感じがした。


5日●対向車と接触
自動車の後部座席に座っていると、対向車が近づいて来て、あっと言う間にボディーの左側をこすってしまった。

【解説】 夢はこのあとも続いたように思うのだが、この先の内容は思い出せない。対向車がこちらの車体の左側をこすって行ったからには、夢に現われた場所は右側通行だったようである。ちなみに現在訪問中のインドは(英国式なので)自動車は左側通行だ。


6日●凍った雪の上に裸の男を捨てる
長野市の実家。仏間にふとんをたくさん並べ、皆で寝ている。気がつくと隣のふとんにTさんが寝ていた。仰天した私が「こんなところで何してるんです。帰ってください」と抗議しても、Tさんはニヤニヤするばかりで立ち退こうとしない。そればかりか服を脱いで、寝る準備をしてしまった。それにしても一体、今は何時頃なのだろう。朝なのか夜なのか、それすらもわからない。母は台所にいるようだ。包丁で何かを刻む音が聞こえてくる。私は皆を起こさないように気をつけながら、Tさんが脱いだ衣類を急いでまとめ、家の前の道路に投げ捨てた。次にTさんを抱きかかえて玄関の外に運ぶと、半分凍った雪の上に投げ捨てた。この期に及んでTさんはようやく諦めたらしく、衣類を拾って踵を返し、二度を振り向かずに決然と去って行った。

【解説】 なんとも不気味な夢だった。Tさんは仕事がらみの古い知人だが、特に用事もないので何年も逢っていない。何故このような夢を見たのかは不明。


7日●仮の住まい
大きな家の中。それは変わったデザインの家屋で、ひとつの部屋の中が3階建てになっているのだ。部屋のあちらこちらには、ゆったりと幅の広い階段がある。娘と息子はそれぞれ階段に座ったり寝転んだりしながら、読書を楽しんでいる。姪のK子ちゃんも来て、何か言葉を交わしたような気がする。ここは広々とした素敵な家だ。しかしここは仮の住まいだから、じきに引っ越さなくればならないのだ。無常感。淋しい気持ち。

【解説】 この世はすべて仮の住まいで、私たちは人生という名の旅をしているに過ぎない。今年は現実世界でも長年住み慣れた家を引っ越し、身辺があわただしい。インドを一人旅している今、諸行無常を感じさせるこんな夢を見るのは乙なものだ。


8日●ブースケの死
気がつくとガラス瓶の中でブースケが死んでいた。といっても、そこにある死体はブースケではなく、どう見てもネズミかモルモットなのだが(しかし夢の中ではその生き物がブースケだという設定になっている)。瓶の中は水でいっぱいだ。死体は水底に沈んでいる。溺死だったのかも知れない。ひどい匂いがしている。私は犬を全部で3匹飼っていたらしいのだが、そのうちブースケを含む2匹が死んでしまい、残りはパンダだけになってしまった。パンダは私のそばに寄り添って甘えている。しかし彼女ではブースケの代わりにはなれない。とても悲しい気分。

【解説】 今回、2ヶ月間にわたり単身でインドへ来ることが決まって、私が真先に心配だったのは飼い犬のブースケのことだった。犬は「2ヶ月後には戻るからね」という私の言葉を理解できず、いつ帰るとも知れないご主人を玄関で延々と待つばかりだ。それだけでなく、ブースケは私が留守をすると食欲がなくなり、その果てに食べた物を吐いてしまうのだ。そういう心配がインド旅行中も常に頭の片隅にある。今夜の夢は、まさにそんな気持ちを表現していたのだろう。


9日●ジャングルで虎と格闘
前後関係は思い出せないが、気がつくと私はケララのジャングルにおり、素手で虎と格闘していた。

【解説】 目が覚めてみるとACが故障して止まってしまっており、部屋は恐ろしく蒸し暑かった。夢の中に南のジャングルが登場したのは、この暑さのせいに違いない。


10日●甲板で叫ぶ子ら
大きな船の甲板のような場所。そlこに、インド人らしき10〜15歳ぐらいの子ども達が10人ほどおり、口々に何か叫んでいる。私は指導者のような立場の人間らしい。私が何かをすると、即座にこれらの子ども達が叫ぶことになっている。

【解説】 船の甲板が印象的な夢。そのほかのことは、(子ども達が何を叫んでいたかを含めて)詳しく思い出せない。


11日●……

【解説】 今日は夢を見たのか見なかったのか、目が醒めてみると何も思い出せない。


12日●羊の口から伝説の生き物
1匹の羊の口の中から伝説の生き物が出現した。そのあと一帯は、見たこともないミステリアスな生き物でいっぱいになる。

【解説】 羊と思われた生き物は、あるいは山羊だったかも知れない。意味はわからないが幻想的な夢だった。この夢を見たことで、子どもの頃に読んだ『ももいろのキリン』という絵本を急に思い出した。


13日●それぞれの宿泊料金
皆のホテル代が記された1枚の紙が見える。私の宿泊料は1泊3,500ルピーでいちばん高く、マヤの宿泊料は1泊1,000ルピーでいちばん安い。こうやって皆が差別されていた事実を初めて知り、目か鱗が落ちる思いだ。

【解説】 またしても意味のわからない夢である。ちなみに私は現在、インド最北端に位置するラダックのホテルに宿泊中である。マヤは実在の人物で、現地で友達になったドイツ人女性(歯医者さん)。現実にはホテルの宿泊料は明朗会計なので、このような差別が行なわれているという事実はない。


14日●レトロな列車で恋人に逢う
最初に何やら2本立ての面白い夢を見たと思うのだが、その内容はどうしても思い出す事が出来ない。次に気がついたとき私は列車(と言うか汽車?)に乗っていた。ひどくレトロな雰囲気。そこで男の人から声をかけられた。どうやら彼は恋人らしいのだが、私は記憶喪失を患っているらしく、彼のことを何一つ思い出せない。

【解説】 記憶喪失を患っている夢を見るのは珍しい。しかも、目が醒めてみると相手の男性の顔も完全に忘れてしまっている。“恋人”という設定の相手に逢ったにもかかわらず懐かしさも親しみも感じなかったようだし、どうにも奇妙だ。


15日●スロットで大当たり
スロットマシンで大当たりが出た。しかしお金の取り出し方がわからないので、ジグメットのところへ聞きに行った。そのあとストゥーパ(仏舎利塔)が登場する夢を見たような気がするのだが、その内容は覚えていない。

【解説】 現実世界の私はギャンブルには一切興味がなく、スロットマシンもプレイしたことがない。そんな私が夢の中では大当たりを出していた。ちなみにジグメットとは、現在泊まっているホテルのオーナーである。


16日●猫語で話す猫好きの婦人
日本のどこかにある小さなホテルのバンケットルーム。ここで猫好きの集まりが開催されている。英国貴族が競馬を見るときにかぶるような仰々しい帽子をかぶった御婦人(60歳前後の日本人)が、ピチピチの真っ白なドレスをまとった巨体を揺さぶりながら近づいて来て、「ニャン、ニャン、ニャ〜」と猫語で話しかけてきた。私もそれにつきあって「ニャン、ニャン、ニャ〜」と応じた。おばさんは化粧直しをするためにパウダールームへと消えて行った。同じクラブのメンバーである別の女性(この人は猫語ではなく人間の言葉で話す)が来て、「このあと懇親会をしたいのだけど、場所はどうしたらいいかしら。このホテルでも食事が出来るのよね」と言った。私はいつの間にか身内になったような気持ちで、「そうですね。じゃあ、懇親会はここでやりましょうか」と答えている。このあと、大きな日本家屋が登場する夢を見たような気がするのだが、詳細は覚えていない。

【解説】 夢の中では確かに猫の言葉が話せたのだが、目が醒めてみると思い出せない。残念なことだ。ちなみに現実の私は大の犬好きである。


17日●戦争の予感
オーストラリア大使(?)が、かれこれ1ヶ月も北の島に駐在しているという。これは奇妙だ。近いうちに戦争が起こるのかも知れない。警戒している私。

【解説】 例によって意味不明な夢である。「オーストラリア」は言うまでもなく娘が現在留学している国だが、「大使」及び「戦争」というキーワードに思い当たる節はない。


18日●「マミ」でないことを証明せよ
海岸のような場所。砂浜には灌木も生え、可愛らしい花が咲き乱れている。数人の西洋人の男女が見える。彼らは私の知り合いらしいのだが、顔に見覚えはない。彼らは口々に「マミ、マミ!」と、まるで天使が歌を歌うように優しく私を呼んでいる。私が"I am not Mami."と答えると、彼らは一斉に"Then you have to prove that you are not Mami.(それなら貴女がマミではないことを証明なさい)"と言うのだった。

【解説】 目が醒めてみると、表でインド人の子どもが窓に向って「マミー、マミー!」と大声で呼んでいた。どうやらそれでこんな夢を見たらしい。ちなみにヒンディー語でマミーは「お母さん」ではなく、自分の母親の兄または弟の奥さん(つまり母方の伯母/叔母)のことである。


19日●マラソン大会を俯瞰する
マラソン大会が行なわれている。私は複数の人々と一緒に、その光景を高いところから俯瞰している。先頭のグループを走っている男性のうちの一人(黒人だったような気がするが定かではない)に向かって、黄色い矢印が付いている。私たちは彼を応援しているらしいが、ファンというわけではないようだ。ほかにも複雑なストーリーの夢を見た気がするが、その内容は思い出せない。

【解説】 現実の私にはマラソンを見るという趣味はないので、何故このような夢を見たのか定かではない。


20日●食事療法でガンを治す
私は長い一人旅をしている。途中で多くの人と逢い、さまざまなエピソードがあった気がする。ある場所まで辿り着いたとき、その土地の女性(?)から、「貴女ガンなんですってね。それでこの世の名残りに旅に出ることをご主人は許したんですって?」と言われた。私がガンだったとは初耳だが、そう言えば口中の右上方に小さなマークがあって、あれがガンなのかと思う。私は女性に向かって「ええ、そうですよ」と普通に答えた。そのあと砂埃が舞う丘を登って、城のような建物を見たような気がする。従弟のMちゃんの話題が出たような気もするが、詳細は覚えていない。レストランでメニューを見ながら、(脂っぽい食べ物は一切やめることにしよう。ヨーグルトと果物を大量に食べて、この旅が終わるまでにガンを自然治癒してしまおう。きっと皆、驚くよ)などと前向きに考えている。

【解説】 これまた意味不明な夢だった。この場合の「ガン」が何を示唆しているのかはわからないが、夢の中の私は運命をポジティブに捉え、自然を味方につけて病を治癒しようと決意していた。全体に何かを暗喩するようなイメージの夢だった。


21日●付け髭をつけた詐欺師
会議室のような場所。数人のビジネスマン(インド人と西洋人?)とMさんが座っている。私は部屋の反対側から黙ってそれを見ている。リライアンス(インドのトップ企業)の話題が出ると、Mさんが「リライアンスの社長ならよく知っている。昔からの友達だ」と(おそらく英語で)言った。私が(うっそ〜! そんな話、聞いたことがない)と思いながらそちらを見ると、驚いたことにMさんは鼻の下に付け髭をつけ、詐欺師に扮していた。その姿に思わず噴き出しそうになったところで目が醒めた。

【解説】 またまた意味不明な夢である。リライアンスはインドの大企業だが、社長とは個人的に面識はない。Mさんは友達(日本人男性)だが、もちろん詐欺師ではない。


22日●先が3つに分かれた銀色のもの
空の右上の方に、先が3つに分かれた銀色の金属性のものが見える。それが一体何であるかはわからない。私は心の中で(金属は良いしるしなのか? 悪いしるしなのか?)と考えている。

【解説】 最近どうも奇妙な夢が続いている。先が3つに分かれた金属製のものと言えば、インドではシヴァ神やドゥルガー神といった戦闘的な神々が手に持つトリシュール(三叉激)を思い出す。そのイメージが夢に現われたのだろうか。



23日●幻想的な生き物がいっぱい
恐竜に似た幻想的な生き物がたくさん空に舞い上がって、アーチ状の形を描きながらぐるぐる飛んでいる。そこには何か深い理由があり、人間界の心の問題が絡んでいるらしいのだが、詳細はどうしても思い出せない。

【解説】 少し前にもこれと似た夢を見たことがある気がするのだが、気のせいかも知れない。今夜の夢に現われた恐竜のようなものは「古代の記憶」というか、私の原初的で未開な部分を現わしているような気がした。


24日●社交的な白人の男女
大勢の白人の男女。海岸のような場所。賑やかで社交的な、自由な雰囲気。楽しい会話が飛び交っている。

【解説】 今夜の夢はイメージだけが残っていて、具体的な中身は思い出せない。全体に友好的で活発なイメージだった。


25日●軍人から「女はいいね」と揶揄される
今はおそらく第二次世界大戦の末期なのだと思われる。私は病院に勤務する医療関係者または女学生(医学部の学生?)で、似たような境遇の2人の女友達と一緒に海の近くを歩いている。大きくカーブした道の曲がり角に大きな岩がある。私たちがその陰で少し休んでいると、向こうから3人の日本軍人(全員22〜23歳ぐらいのエリート)がやって来て、こちらに向かっていきなり「君たちはいいね。この非常時でもゆっくり休んでいられるから。女は得だね」という意味のことをさらりと言った。呆気に取られているうちに、3人は坂を下ってどんどん行ってしまった。私は心の中で(貴方の目が節穴だから見えないだけで、女にもやらなくてはならないことは山ほどあるんですよ)と思っている。

【解説】 いきなり第二次大戦の夢である。現在私はインドを旅しており、この頃はスバーシュ・チャンドラ・ボースについてインド人と意見を交わすことが多い。そのせいで二次大戦の夢を見たのだろうか。しかし「女だから」と揶揄されたことは、私の実生活の中では稀である(というか、ほとんど皆無)。今夜の夢に登場した軍人が何を意味するのか、意味はわからない。


26日●完全無視
見知らぬ男性2人と連れだって、ひと気のない広々とした道を歩いている。海が近いようだ。2人のうち1人は私のことをよく理解してくれている人で、もう1人は初めて逢ったばかりの人だ。2人は同じ職場の同僚らしい(※ただし私はその会社の社員ではない)。後者は私に対して一種の“懐疑的な視線”を向けてくる。私が何者であるか全くわかっていないようだ。彼からもらった名刺には、S社の名前が刻まれていた。彼は私の存在を完全に無視して、もう1人の男性に向かって何か私の知らない話(仕事の話らしい)を始めてしまった。私は無言で歩きながら、前々から作ろうと思っていた本のことを考え始めた。それはカラー写真満載の豪華本だ。本のことを考えていたら、気がつくと隣を歩いている人の姿が娘と息子に変っていた。息子が「その本は絶対に面白いから早く出版した方がいいよ」と言い、娘は「本の装丁は私が担当するから」と言った。私は(早く本を作って父親参観日で無料配布しなくては)と思っている。

【解説】 昨日の夢で私は「海の近くを歩きながら見知らぬ男性から揶揄された」が、今夜の夢では「海の近くを歩きながら見知らぬ男性から無視された」。似たような夢が2晩続いたわけだが、現実世界では誰かから揶揄や無視などされておらず、何故このような夢を見るのか理由は定かでない。S社は実在する日本のメーカー。超一流とまでは言えないが、一・五流ぐらいか(笑)。しかしこの会社に知人は1人もいないので、夢の中にS社が現われた理由も謎。なお現実世界でも、今年10月末発行予定の本の装丁は娘(LiA)が担当してくれている。


27日●巻き寿司にあたり、歌舞伎に誘われる
10数人の親しい人々(同級生?)の集まり。何故か私だけ少し年下らしく、皆から(良い意味で)年下扱いされている。私以外は全員が日本人男性だ。料理屋で畳の上に座り、巻き寿司を食べたような気がする。そのあと別の店に移動して再び同じメンバーで何か喋っていると、そのなかの1人が不意に「真美ちゃん、もう具合はいいの?」と聞いてきた。最初から具合など悪くなかったので「私ならずっと元気だけど?」と答えると、皆から一斉に「嘘ばっかり。さっきの店で巻き寿司に中(あた)たって、ちょっと苦しそうだったじゃないか。忘れちゃったの?」と驚かれた。私が巻き寿司に中って苦しんだとは初耳だ。そんな大事なことを自分は忘れてしまったのだろうか。思い出そうとするが、どうしても思い出せない。窓の外に目をやると、そこはビルの工事現場だ。誰かが窓から見えている場所の名前を言い当てた。それは東京のどこかにある有名な地名だったと思う(三田とか新橋とか京橋とか言ったような気がするが思い出せない)。私は、本当はその場所がどこであるか知らないのだが、知ったかぶって「本当だ。ここは○○ね」と涼しい顔で地名を言った。このとき、先刻からずっと静かにしていた知的で優しい雰囲気の男性が、「僕はこれから歌舞伎を見に行くので、これで失敬します」と言い出した。それを潮に皆も店を出た。もう1人の陽気な男性が「じゃあ僕も歌舞伎を見てから帰ることにする。真美ちゃんはどうする?」と聞いてきた。私も歌舞伎を見たいのだが、よく見たら今日の自分はひどい格好をしている。着古してよれよれのTシャツに、同じく着古して膝が飛び出した黒いジャージのパンツだ。こんな格好ではとても歌舞伎には行けないな、と思ったところで目が醒めた。

【解説】 巻き寿司に中ったり、ひどいよれよれの服を着ていて歌舞伎に行けなかったり、筋立てとしてはひどい夢なのだが、全体的には何故か楽しいイメージが残る夢だった。歌舞伎に誘ってくれた男性はとても懐かしい感じがして、遠い過去にもどこかで逢ったことのある人に思えてならない。


28日●なかなか発展しない男女を教育する
一組の男女が見える。学生時代から知っているA君とB子ちゃんのカップルのようだ。2人はもう何年も付き合っているのだが、まだ手さえ握っていないという。あまりの発展の遅さに痺れを切らした私は、私の横を歩いていた男性(誰か身内だった気がするが顔は見えない)と腕を組んで、これ見よがしに2人の前を歩き始めた。きっと2人は何かを学んだことだろう。

【解説】 今夜の夢にはこの前にも長いストーリーがあって、それはとても楽しい内容だったのだが、目が醒めたときに覚えていたのはこの部分だけ。なお現実世界のA君とB子ちゃんは全然ウブではなく、逢ってすぐに手をつなぐどころか、数日後には恋人関係に突入していたと記憶している(笑)。今夜の夢に彼らが初々しいイメージで登場した理由はわからない。


29日●山越えする人達のお風呂の世話
緑が生い茂った山の麓。大勢の日本人の姿が見える。どうやら団体旅行客のようで、全員が60歳前後の“普通のおばさん”だ。彼女達はこれから徒歩で山越えをしようとしているらしい。おばさん達は実に健康的でやまかしい。私は彼らのガイドのような役なのだが、山越えについて行ってあげることは出来ない。その代りに、彼らが目的地まで持って行く用紙(一種のビザのようなものか?)に有効な助言を書き込む権限は持っているようだ。私は彼女達がいちばん喜びそうなことを書いてあげたいと思い、迷わず「到着したらなるべく早くお風呂に入れてあげてください。お湯の温度は42℃に設定してください」と書き込こもうとした。しかし、私がペンを動かしているとそれを邪魔しようとする別の女性(旅館と旅行会社の間に入って中間マージンを絞り取っている人)がいたりして、なかなか文章を書き終えることが出来ない。ようやく文章を書き終え用紙を見せると、おばさんたちは大喜びしてくれた。

【解説】 現実世界の私はインド旅行中だが、一昨日から泊まっているアーメダバードのホテルにはシャワーがなく(注/水を溜めるためのバケツと柄杓はある)、お湯も出ず、水道から出る冷たい水を頭からかぶって文字通り“行水”をしている。それでこういう夢を見たのであろう。ちなみに私は日本にいると毎日2回は湯船に浸かる人だが、今回インドに来てからは何故か“お風呂の禁断症状”が出ていない。不思議なことだ。



30日●満面に笑みを浮かべるI君
右側に城壁のような巨大な壁が見えている。私が誰か親しい人と一緒に道に沿って歩いて行くと、向こうから旧友のI君が近づいて来た。I君は女性を同伴しているようだ。2人がどのような関係なのかは私にはわからないが、I君はこれまでに見せたことのないような晴れやかな顔で笑っている。まさに満面の笑みといった感じだ。私は心の中で(I君はようやく幸福を見つけたらしい。良かった良かった)と喜んでいる

【解説】 今日の夢はもっと長く、非常に面白いストーリーだったと思うのだが、思い出せるのはこの部分だけ。I君は中学時代からの古い友達で、独身だ。浮いた噂はさっぱり聞かないが、こんな夢を見たことだし、もしやI君に春が訪れる予感?





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