2008年2月

1日●蓮がいっぱい
夢の中で私はあちらこちらを旅している。何か特別なことをしているわけではなく、行く先々の風景の断片だけが視界に映っている。どこへ行っても蓮が咲いている。少し濃いめの桃色が印象的だ。その間、私は誰かから「ペマ」という言葉を耳にしたような気がする。

【解説】 今夜の夢は旅をしているイメージと、実際の蓮の色よりもやや濃い桃色が印象ばかりに残り、具体的なストーリーがあったのかなかったのか、少しも思い出すことが出来ない。「ペマ」という言葉を聞いたのは確かだが、誰がそう言っていたのかは覚えていない。ちなみに「ペマ」はチベット語で「蓮」のことである。



2日●○○さんとの親戚関係をH大使に説明する
気がつくと目の前に旧知のH大使ご夫妻が立っていらっしゃった。立食パーティーの会場なのだろうか。周囲にはほかにも各国の外交官が大勢いらっしゃるような気がする。H大使が1枚の家系図を私に見せながら、「ほら、○○さんと△△さんは親戚関係なんだよ」と仰った。それを拝見しているあいだに、○○さんは私自身の遠縁でもあることを思い出したので、「○○さんはうちの親戚筋でもあるんですよ。叔父の連れ合いの弟の……」という感じで説明したところ、私の話を聞き終えたH大使はにこにこ笑いながら「つまり○○さんは真美さんの遠縁に当たるというわけだね」と一言でまとめてくれた。私は心の中で(つまり△△さんも私の遠縁に当たるわけだ)と思っている。ここで目覚まし時計が鳴り、夢は唐突に終わってしまった。

【解説】 全体にわけのわからない夢だった。しかも、夢の中ではわかっていたはずの○○さんと△△さんが一体誰なのか、目が覚めて見るとさっぱり思い出せない。○○さんと△△さんのうちの一人は大物政治家(元総理大臣とか)だったような気もするが、それも定かではない。H大使は実在する外務省幹部。十年来の知り合いで、ご夫妻からとても良くして頂いている。つい最近もパーティーでお目にかかり、楽しくおしゃべりしたばかりだ(但しそのときは家系図の話など出なかったが)。



3日●いい年をして
最初、私は何かに夢中になっている(しかし、それが何であったのかはどうしても思い出せない)。暫くしてふっと我に帰った私は、(いい年をして、何バカなことしてるんだろう)と思い、自分がたった今していたことを一種の羞恥と共に思い出している。

【解説】 夢の中の私は、何か若い女の子が夢中になるようなことに夢中になり、その直後にそんな自分の行為を「いい年をして」の一言で切り捨てていた。これはまったく自分らしくない夢だと思う。私は基本的に「大人らしく」とか「子どもらしく」ということを信じていないし、人間の器量を年齢でくくるほどバカバカしいことはないとも思っているので、「いい年をして」という考え方は嫌いだ。今夜の夢の私は、私自身から見て魅力のない人間だった。



4日●若年寄のような女子大生の群れを追い越す
広いホールのような場所。何か大事な仕事が待っているらしく、私は建物の奥に向かって小走りに駆けている。途中、女子大生の集団に遭った。皆、流行のファッションに身を固めて髪を茶色く染めているが、生命力が弱いというかキラメキがないというか、ダラダラした歩き方がまるで若年寄のようだ。私は彼女たちを追い越してどんどん先へ進んでゆく。途中、ひとりの女の子が気分を害して床にうずくまる姿が左後方にちらりと見えた。私は心の中で、(この子たちの戸籍上の年齢は20歳でも、生命力に関して言えば老婆並みだな)と思っている。

【解説】 今夜の夢にはもう少し長いストーリーがあったように思うのだが、残念ながらこの部分しか思い出せない。



5日●ベッドの上で踊る女の子
和洋折衷の広い部屋。中央に巨大なベッドが置かれていて、その上でひとりの女の子が踊っている。どうやらNさんの長女Aちゃんらしい。しかしAちゃんはもう成人しているはずだが、この子は何故か小学生ぐらいの姿のままだ。(一体どうしたことか)と怪しむ私。彼女の踊りは優雅でも華麗でもなく、ひょうきんで下手くそで、見ていて気の毒になる。私はそっとドアを閉じてその場から去ったが、それでもAちゃんは下手くそな踊りを続けていた。

【解説】 Nさんは古い友人だが、最近長いこと逢っていない。当然、娘さんのAちゃんにも逢っていないし、今どうしているのか消息も聞かない。突飛な印象の夢だった。



6日●たるんだ雰囲気のテレビのクルーたち
気がつくと土手を歩いていた。日暮れ時ののどかな風景。向こうからテレビ局のクルーらしき男たちが5〜6人歩いて来た。皆、にこにこ笑っている。およそジャーナリストらしさの感じられない、たるんだ顔だ。彼らのうちプロデューサーらしき男性が、仕事のことで私に何かを告げたようだ。私は心の中で(平凡なプランだなあ)と思い、あまり期待しないことにした。翌日も同じメンバーに逢ったが、やはり彼らの顔には締まりがなかった。私は改めて(この人たちに期待するのはやめよう)と思っている。
【解説】 夢で見た男たちに見覚えはなく、藪から棒な印象の夢だった。



7日●……
【解説】 今夜は何か長い夢を見たように思うのだが、残念ながら少しも内容を思い出せない。



8日●白人の女友達と再会する
昔よく逢っていた白人の女友達と再会し、楽しい時間を過ごしている。彼女が働いている大使館(または国連関係の施設?)の中にあるカフェでお茶を飲んだような気もする。私たちは或るプロジェクトを共同で行なおうとしているのかも知れない。

【解説】 今夜の夢には具体的な内容が間違いなくあったはずなのだが、起床してみると曖昧な記憶の断片しか残っていない。しかも、再会した相手が誰だったのかすら思い出せない。英語圏以外の白人だったことは確かなのだが……。



9日●寿老人とバッタリ
道を歩いていると、向こうから寿老人がやって来た。鶴と鹿の姿が見えなかったので、「今日は鶴や鹿はどうなさったのですか」と聞くと、寿老人は笑いながら「家で留守番をしています」と答えた。そのあと何かとても面白いことがあったと思うのだが、詳細は思い出せない。

【解説】 寿老人と言えば七福神の一柱で鶴・鹿・桃がトレードマークだが、今夜の夢ではそのうちの鶴と鹿を家に置いて来たという。なんともユーモラスな印象の夢だった。



10日●大漁
海。大漁のイメージ。鯛と海老。大漁旗がひらめいている。

【解説】 今夜の夢にもストーリーはあったはずだが、目が醒めてみると残っているのは“大漁”のイメージのみ。最近の私は七福神グッズの収集に凝っており、毎日のように漁業のシンボルであるゑびす様(恵比寿神)の絵やフィギアを目の当たりにしている。そのイメージが今夜の夢になったのだろうか。



11日●大きな空に架かる虹
広々とした場所。どこか南のほうにある外国。空が大きい。近くには湖または海がありそうだ。目の前に大きな虹が架かっている。周囲の人々が楽しそうに笑いさざめく声。私は少しはしゃぎながら、この虹を渡ってみたいと思う。

【解説】 今夜の夢にはこの前後に別のストーリーがあったように思うのだが、何故か詳細を思い出せない。大きな虹は幸福な未来への架け橋のように見えた。

【後日談】 夢の直後、朝食を作っていると高校へ行く息子が起きて来て、開口一番にいきなり、「あのさ、“虹”が付く熟語には、どんな言葉があったっけ」と尋ねてきた。息子にこの質問をされるまで、私は今夜見た夢の内容を忘れていたのだ。彼が「虹」と言った途端に、にわかに夢の内容が思い出されたのであった。その後、息子を送り出してからパソコンに向かいメールをチェックをしたところ、友人のFred Sternから半年ぶりにメールが届いていた。彼は世界的に有名な環境アーティスト(ユダヤ系アメリカ人)で、世界中の紛争地域などに赴いては人工的に虹を作っている。そのため彼は“Rainbow Maker”(虹を作る人)の愛称で世界的に知られているのだ。夢の中で大きな虹を見て、息子からは「虹が付く熟語」について問われ、とどめに「虹を作る人」からもメールを受け取るとは、なんと不思議な朝だろう! ちなみにFredからのメールの内容はベネズエラに関することだった。


12日●この二人は出来ている
私はタクシーの助手席に座っている。後部座席にはAさん(女性)とTさん(女性)が乗っているようだ。私たちは何か差し障りのない大人の会話をしている。やがてタクシーが停まった場所には、Oさん(女性)とその上司であるNさん(男性)が立っていた。どうやらOさんとNさんは私たちを待っていたらしい。Oさんの雰囲気が微妙に変わったように思い、よくよく観察したところ、これまではショートヘアだった彼女の髪が腰のあたりまで伸びているではないか。人間の髪はほんの数か月でここまで伸びるものかと訝(いぶか)しく思う。Nさんもすっかり雰囲気が変わってしまい、半年前に見た時と比べて10歳分ぐらい一気に老けたようだ。(NさんはOさんで苦労しているのかも知れないな)と私は想像している。無邪気なAさんとTさんは何も感じないらしいが、私はハッキリとOさんとNさんが“出来ている”ことを感知した。私は心の中で(この二人はお互いを生かせない悪い相性だから、1日も早く別れたほうがいい。しかし二人はそのことに気づかないだろう)などと思っている。

【解説】 今夜の夢に現われた人たちは全員実在するが、夢の内容が内容なので細かなコメントは避けることにする。



13日●食糧が足りない!
山の中の古い一軒家。見覚えはないが、どうやらここは私の山小屋らしい。気づいた時にはパーティーが始まっていた。10人ほどのゲストの姿が見える。KさんやN子ちゃんの姿が見えるほかは、誰が来ているのかよくわからない。ここが私の家である以上、このパーティーは私が主催したのだろう。しかし不思議なことに、いつどうやって誰に招待状を出したのか、何も思い出せないのだ。パーティーの準備はまるで出来ていない。あわててキッチンへ行ってみたが、冷えたご飯とキャベツ(?)が置いてあるだけではないか。これではパーティーが開けるはずもない。しかし近所には店がない。私は途方に暮れている。

【解説】 今夜の夢の中で、私はただただ途方に暮れていたように思う。KさんやN子ちゃんは良く一緒に食事をする仲間だが、今夜の夢に彼らが登場した理由は不明。現実のキッチンには、もちろん色々な食材が常備されている。念のため(笑)。



14日●夢で見た階段
はじめに何か緑色の物を見たような気がするが、それが何だったかは思い出せない。次に気づいたとき、私は階段を登っていた。それは幅の広い階段で、すすけた色が大正から昭和初期のスタイルを感じさせる。手すりが特徴のある竹で出来ており、それを見た瞬間に私は、(そう言えばこれと全く同じ光景を何年か前に夢で見たことがある!)と俄かに思い出した。あれは一体いつの夢だったろうか。あのときの夢によれば、階段を登りきったところは食堂で、大きな座敷になっていたはずだ。そんなことを思い出しながら階段を登って行ってみると、やはりそこには夢で見たのと寸分違わない座敷があったではないか。そのあと何人かの友人と食事をしたような気がするのだが、詳細は思い出せない。

【解説】 今夜の夢で見たものと全く同じ階段と座敷を、前にも夢で見たことがある。気になったので過去の夢日記を片端からひもといて調べたところ、その夢を見たのは2004年12月17日であることがわかった。ところが不思議なことには、現実世界ではそのような場所を見たことがないのである。同じ夢を(しかも3年以上の間隔をあけて)2度も見るとはどういうことだろうか。

【後日談】 実は、昨夜は“だだおし”という祭りを見るために大和の長谷寺を詣でており、この夢を見たのは奈良県内の旅館の一室だったのだ。夢から醒めて数時間後、今度は伊勢神宮を参拝し、そのあとで行った料理屋が夢に登場した食堂と瓜二つだったのには仰天した。店の1階から2階へと通じる階段のサイズ・色・形、変わったデザインの竹の手すり、座敷の風景その他諸々が、すべてドンピシャリ夢と同じなのだ。一緒に旅をしていた友達に向かって「この階段と座敷がそっくりそのまま、昨夜の夢の中に現われたですよ」と告げたところ、「長谷の観音様と伊勢の天照大神のご利益が、早速あったんじゃないですか」と言われてしまった(汗)。理由はともあれ不思議なことがあったものだ。ちなみに料理屋のある場所は伊勢のおかげ横丁である。


15日●重い豚を運ぶ
目の前にたくさんの豚がいる。どの豚も実によく太っている。私はそのうちの1頭を抱きかかえて運ぼうとしているのだが、いかんせん相手が重過ぎて持ち上げることすら出来ない。それでも必死で豚を運ぼうとしている。このあと全く別の夢を見たように思うのだが、その内容は思い出せない。

【解説】 昨日はDVDで映画『千と千尋の神隠し』を初めて観た。そのなかに主人公の両親が豚にされてしまう場面や、小さな生き物が自分より大きな生き物を運ぶ場面などがあり、それが今夜の夢に繋がったものと思われる。



16日●恐ろしく高い橋から100メートル下を見下ろす
私は橋の上に立っている。腕にはブースケを抱いているようだ。周囲は見渡す限りの深い森。私は橋の欄干に近づいて行って、そっと下を見た。その瞬間、自分が想像を絶する高さのところに立っていることに気づく。橋から川面までの落差は、優に100メートル以上あるだろう。まさに断崖絶壁だ。私は足がすくみ、軽い眩暈を覚えている。

【解説】 今夜の夢にはもっと長いストーリーがあったようだが、この部分しか思い出せない。橋の欄干から見下ろしたときの驚くほどの落差が、リアルで強烈な印象を残す夢だった。



17日●恐ろしく高い窓から同級生と共に飛び降りる
学校のような建物。部屋の中には同級生のS君・T君の姿が見える。私はS君と人生について語っている。T君はニヤニヤしながらまるで太鼓持ちのようにS君と私に同意している。私が「右翼」について何か意見を言ったところ、不意にS君が「僕は右翼大賛成なんですよ。窓から飛び降りませんか?」と言いながら窓から飛び降りてしまった。私は窓から顔を出して真下を見た。窓から地面までの落差は約10メートル。どう考えても無傷で飛び降りることは出来ない高さだが、S君は無事にふわりと着地した。それを見て、私も窓から飛び降りることにした。窓枠の上に立ち、躊躇せずに窓枠を蹴る。凄まじいスピードでの落下。しかし最後は無事にソフトランディングできて、私は何事もなかったようにS君の横に立ってお喋りを始めた。T君は飛び降りずに階段を使っておりて来て、再び我々の会話に横から口を入れてきた。(飛び降りなかったあたりが御調子者のT君らしいな)と私は思っている。場面が急転し、どこかの職場らしき風景。目の前には中学時代の同級生のM美がいて、私たちは何か硬い社会問題について語っていたようだ。さらに場面が変わり、私は誰かから眉毛の形を褒められた。

【解説】 昨夜に引き続き“高いところから下を見る夢”なのだが、見ていただけの昨夜に対して、今夜は思い切って飛び降りていた。一緒に飛び降りたS君は中学校の同級生だが、特に親しい相手ではなく、何故今夜の夢に現われたのか理由がわからない。次の夢に登場したM美も、S君と同様に中学校の同級生。しかし彼女も長いこと逢っていない人である。共通しているのは、S君もM美も共に真面目な秀才だったことぐらいだろうか。眉毛の形うんぬんに関して言えば、現実世界では自分の眉の形は気に入っていないし、また褒められることもない。なお、現実世界のS君が右翼を好きかどうかは定かでないが、彼が世間で言うところの“超保守的な大学”を出て“超保守的な職場”に務めていることは事実である。ちなみに『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「飛び降りる」の意味は「緊張することが多い環境/理想と現実のギャップ/心労が多い状態/ハプニングや大きな失敗が予測されるので何事も慎重に」だそうである。



18日●せんかた・ふじよ
前後関係はわからないが、いきなり「せんかた・ふじよ」という名前がどこかから聞こえてきた。漢字表記も見えたのだが、一瞬のことだったので1文字目が「千」、3文字目が「多」であることしか確認できなかった(2文字目は「賀」だったような気もするが、違うかも知れない)。「せんかた・ふじよ」はT氏の恋人の名前らしい。(せんかたって変な名字だな)と私は思っている。

【解説】 何のことやら意味不明な夢。T氏は友人のひとりだが、恋人の名前は「せんかた」云々ではなかったはずである。



19日●……
【解説】 今夜は間違いなく夢を見ており、しかもそれは何やら幸福な印章の長い長い夢だったのだが、残念ながら内容は全く思いだせない。



20日●夜のドライブ
暗い夜道。私は誰かが運転する車の後部座席に座っている。道は右方向にやんわりとカーブしている。カーブが終わったところの右側にバスの停留所があって、バックパックを背負った男性(顔は見えない)が上半身を前傾し苦しそうに息をしているのが見えた。車は減速することなくそのまま走り続け、男は私の視界からすぐに消えて行った。

【解説】 モノクロームのサイレント映画を見ているような静かで暗い印象が残る夢だった。ドライブの途中、苦しそうにしている男が視界に映っているにもかかわらず、車は減速せず、私は彼を助けようとしなかった。そこには何か「自分ではどうすることも出来ない、抗(あらが)えない運命」のようなものが示されていた気がする。



21日●バス停にて
寂びれた感じのするバス停。左端のほうに眼鏡をかけた見知らぬ中年男の顔が見える。私はこの男に対して何の感情も持ち合わせていない。風が吹いている。男がコートの襟元を掻き合わせたようだ。おそらく私は乗り物を待っているのだが、行き先はどうしても思いだせない。無感情。孤独なイメージ。

【解説】 昨夜に引き続き、今夜もバス停の夢だった。今夜の夢にはもう少しストーリーがあったような気がするのだが、覚えているのはこの場面だけ。寂びれた孤独な印象が残っている。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「バス停」の意味は「プライベートではなく会社やグループなどが関与した側面で人生の転機に立っているしるし」だそうである。



22日●堅牢な屋敷
どっしりと堅牢で大きな屋敷。微笑んでいる人。安堵と幸福のイメージ。

【解説】 今夜の夢には心安らぐストーリーがあったように思うのだが、残念ながら起床と同時に忘れてしまった。しかしそれはかなり良い夢だったようで、その証拠に今朝はとても目覚めが良かった。



23日●威厳ある紳士の庇護
私のすぐ横には、法王または陪審員のような正義を司る年老いた紳士がいるようだ。その人は「人間」というよりも、「神」または「正義という概念」に近い大きな存在なのかも知れない。その人がこちらに向かって微笑んでいる。私はその人の大きな庇護の中にいるようだ。

【解説】 今夜の夢にはもう少し具体的なストーリーがあったような気もするのだが、何故か思い出すことが出来ない。大きな安心感に包まれているような夢だった。



24日●貴族の紋章とふたつの火星
目の前に壁があって、壁の中央部分はチューリップのようにも鋏(ハサミ)のようにも見える大きな紋章の形にくり抜かれている。これはヨーロッパの貴族の紋章なのだろう。私はこれから火星に行くことになっている。紋章の形にくり抜かれた壁の向こう側に、火星がふたつ並んでいるのが見えた。

【解説】 昨日はJAXAへ行き、HIIロケットによる「きずな」の打ち上げを生中継で見た、火星が登場したのはおそらくそのせいだろう。貴族の紋章に関しては思い当たる節はない。



25日●報復計算マシン
知らない場所を黙々と歩いている。私の頭上には「報復計算マシン」という名の縦長の機械が取り付けられ、すぐ右隣には数学にめっぽう強い寡黙な男が歩いている。もしも誰かが私を侮辱したり裏切ったりいじめたり不誠実な言動をしたりした場合には、右隣の男がすぐさまその言動を数値に直し、数値は頭上のマシンにインプットされて微積分計算が加えられる。そして、或るひとりの人間から受けた侮辱や裏切りやいじめや不誠実な言動の総量が臨界点を超えてしまうと、マシンは警報を鳴らして私にその事実を知らせてくれるのだ。この段階に至って初めて、私は私を侮辱した相手に報復することが合法的に許される。つまり、この段階まで来たら相手に何をしても良いということらしい。しかし私は平和を愛しており、出来ることなら流血騒ぎは避けたいと願っている。私はなるべく人から侮辱や裏切りやいじめを受けないよう注意しながら生きることにした。そうすることが平和を保つための最善の方法だからである。

【解説】 なんとも奇妙な夢だった。そう言えば、昨日は20代の女性から「同性による嫉妬」に関する相談を受けた。そのときに彼女から「マミリン先生も同性から嫉妬されたりいじめられたりした経験がありますか」という質問を受け、自分の経験について色々と語った。おそらくそのことが今夜の夢になったのだと思うが、それにしても頭の上に「報復計算マシン」などという奇抜なモノを取り付けて歩くとは……夢とは言え、かなりぶっ飛んでいる。



26日●道の反対側に立つX子の変貌ぶり
私は広い道路のこちら側に立っている。交通量が極端に少なく、自動車も人間もまるで見かけない。道路は左のほうへ行くにつれて緩やかにカーブしており、ちょうどそのあたりに横断歩道があるようだ。横断歩道を渡った反対側には、学生時代の友人・X子が立っているらしい(ただし彼女の姿は見えない)。私はそこで彼女と合流し、さらにどこかへ行く予定なのだ。久しぶりに逢ったX子は、真面目くさった顔で道徳の教科書に出てきそうな立派な言葉を口にした。私は心の中で(X子のキャラってこんなだったっけ? もっとフランクで面白い子だったのに、いやに堅物じみてしまったな)と残念に感じている。

【解説】 今夜の夢はもう少し長かったような気がするのだが、この部分しか思い出せない。X子は学生時代の友人。学生時代は一見「不真面目で反抗的」でありながら「本当は寂しがり屋で心優しい」キャラが魅力的な女の子だったのだが、大人になった途端、あまりジョークも言わない真面目な人になってしまった。そんなわけで彼女とは長いこと逢っていないが、元気にしているのだろうか。



27日●……
【解説】 27日は私の誕生日。寿司屋→カラオケボックスの順に夜遅くまで過ごし、家に帰ってからは性懲りもなく映画(『バベル』)を観るなどしていたので、就寝が朝の4時過ぎになってしまった。その後、6時前には息子の朝食を作るために起床。あわただしい眠り方をしたせいか、今夜は夢を見たかどうか記憶がない。



28日●山奥の古めかしい病院にて
最初に2つの異なる場所へ行き、そこで何か素敵な出来事に遭遇したように思うのだが、それがどんなことであったかはどうしても思い出せない。気がついたとき私は山奥の大きな病院の前にいた。そこは昭和初期またはそれ以前の日本、或いはヒマラヤの奥地かも知れない。非常に古めかしく、仰々しい感じ。病院の建物はいくつもの棟に分かれており、見た目は病院というより学校のような印象だ。すべての入り口には垂れ幕がかかり、特別な行事をしているような厳粛で取っ付きにくい雰囲気である。偉人のような口髭を生やし、紋付き袴を履いた老紳士も何人か見かけた。私は洗面所に行こうとしている。手を洗い、口を漱(すす)ぎたいのだ。しかしどの建物に入ってみても、洗面所は存在しないか、存在しても使い物にならない。私は(ここは使い物にならない場所だ)と思い、踵(きびす)を返してここから出ようとしている。

【解説】 今夜の夢の中で私は3つの異なる場所へ行ったのだが、そのうち最初の2つは、心がほっと安堵するような“素敵な場所”だった気がする。唯一ハッキリと覚えているのは3つ目の場所(学校のようなイメージの仰々しい病院)だ。ちなみに『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「病院」の意味は「心身の癒しが必要/仕事がオーバーワーク気味なので休養を取る必要あり」とのこと。ただし「退院」の夢は「スランプからの脱出」を意味するそうだ。



29日●心地よい山
前後関係は全く思いだせないのだが、私は心地よい山を登っている。なだらかな稜線。暖かな大地。何の心配も恐れもなく、私は赤ちゃんに戻って母胎にいるような安らぎを感じている。

【解説】 今夜の夢に果たして具体的なストーリーがあったのかなかったのか、思い出せるのは心地よい山のイメージだけである。ちなみに私の夢には「海」よりも圧倒的に「山」のほうが多く出現するような気がするが、これは故郷(信州)の風景が影響しているのかも知れない。





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