2008年10月


1日●異次元への脱出
低山と低山の間にある一種の“くぼ地”のような場所に大勢の人が溜まっている。彼らはここからよそへ行きたいのだが、なかなか脱出できないでいるのだ。しかし、うまくやればいきなり異次元へ脱出することも不可能ではないという。暫くして、私は瞬時に異次元へと脱出することができた。(脱出成功!)と心の中でガッツポーズを決めている。
【解説】 ここ数日は、人から非難されたり失望させられたり絶体絶命を感じるなど、酷い夢しか見ていなかった。しかも昨夜は知人の口の中に糸ミミズが湧くというトンデモない夢まで見てしまい、かなり閉口していたのだが、今夜はそれらの悪夢を払拭するような内容の夢であった。異次元がどこなのか具体的にはわからないが、この「変わるときはゆっくり少しずつではなく、一挙に劇的に変わる」という発想は、密教で言うところの即身成仏(三密加持すれば速疾に顕る)に通じるかも知れない。実に縁起が良い。この夢もグラスゴーのホテルで見た。


2日●高度1,000メートルから滑り落ちる
凄まじく高いビルの上。誰かが「このビルは高さが1,000メートル以上あって、世界一ですよ」と言っている。私は心の中で(世界一高いビルは台湾101で、高さは500メートルちょっとだと思ったが。アラブのどこかでそれより少し高いビルを建設中らしいけど、それは600メートル程度だったはず。1,000メートルのビルはさすがに無いでしょう)と思っている。ビルの屋上には滑り台がある。スキーのジャンプ台かも知れない。いずれにしても、おそろしく幅が狭い。太った人ならお尻が乗らないだろうと思われる狭さだ。滑る予定はなかったにもかかわらず、私は何故かその滑り台に座り(誰かに座らされたのかも知れないが、そのへんの経緯は覚えていない)、あっと言う間に物凄いスピードで滑り落ち始めていた。コースの最後が急角度で上向いており、天に向かって飛び出すように突き出ている。皆はここから勢い余って飛び出し、そのまま帰らぬ人となってしまったようだ。しかし私はギリギリのところで止まり、コースの外へ飛び出さずに済んだ。
【解説】 この夢もグラスゴーのホテルで見た。高いところから滑り台で急降下する夢を、私はときどき見る。そういう夢を見るときは何の前置きもなく、心の準備も出来ないうちにいきなり滑り始めるのが常だ。これは人生に似ている。人生におけるさまざまなハプニングも、まさかと思われる場面でいきなり始まってしまうものだ(だからこそ「ハプニング=思いがけなく起こること」と言うわけだが)。こういう種類の夢の中で、私は物凄いスリルを味わいながらも最後の最後のギリギリで九死に一生を得るという役回りである。これも私の人生によく似ている。おそらく私はトンデモなく悪運が強いのだ。
【後日談】 この夢を見た4日後のニュースによれば、「アラブ首長国連邦のドバイ政府系不動産開発最大手ナキールは5日、ドバイに高さ1000メートル以上の超高層ビルを建設する計画を発表した。 (中略)超高層ビルは四つのタワーで構成され、地上200階以上。同社はこのビルを中心とする新市街の2020年完成を目指している」(10月6日、読売新聞)だそうである。もしや夢に登場した“1,000メートル以上のビル”とは、このビルのことを指していたのだろうか。そうだとしたら、私はまだ建設も始まっていないビルに行ってきたことになるわけだ。


3日●4本のウィスキー瓶による配列
角型のウィスキー瓶が4本見える。これらを上手に配列しなくてはいけないのだが、列が乱れてしまうこともある。乱れたら修正してやらなくてはいけない。瓶のお尻とお尻とくっつける並べ方と、瓶の口と口をくっつける並べ方、それにお尻と口をくっつける並べ方を私は研究している。近くに綺麗なピンク色が見えるが、それが何なのかはわからない。
【解説】 まるで意味不明な夢だった。昨日は現実世界でもウィスキー蒸留所を見学に行った。このヘンテコな夢を見たのはそのせいだろう。この夢ももちろんグラスゴーで見た。


4日●……
【解説】 今夜はスコットランドから日本への帰国便の中で過ごした。時差の関係で昼と夜がメチャクチャになったことに加え、飛行機の中ではずっと映画鑑賞に没頭していたため、夢は見ていない。


5日●空っぽの古い木箱
細長い木箱が見える。おそらく造られてから100年以上は経っているのだろう、見るからに重厚なアンティークだ。長さは70〜80センチ、幅と高さはそれぞれ30〜40センチぐらい。箱の中には、かつては重要な物が入っていたのだが、今ではすっかり空っぽのようだ。蓋を開けていないというのに、何故か私にはそのことがわかる。
【解説】 今夜の夢は一瞬で終わったような気がする。ちなみにこれはスコットランドから帰国して最初に見た夢。実は今回の旅に出る前、マジシャンの友人から「もしも旅先で木箱を見つけたら、土産に持って来て欲しい」と頼まれていたのだ。しかしマジシャンを納得させられるような木箱は、残念ながら見つからなかった。今夜「木箱」の夢を見たはそのせいだと思う。


6日●トットトッターとは何か
前後関係はさっぱりわからないのだが、唐突に「トットトッター」という言葉が頭に浮かんだ。昔どこかで聞いたことのある言葉だと思う。しかしそれが何であったか、考えても考えても思い出すことができない。しかも私が考えているすぐ横では、水前寺清子さんの「おーっととっとー」という歌声や、誰かがふざけて叫ぶ「おっさん酔ったー」という声など、トットトッターに似たような語感の言葉も飛び交っている。(えーと、トットトッターって何だっけ?!)と頭を抱えているところで目が覚めた。
【解説】 起床してすぐにネットで調べたところ、「トットトッター」とは赤ちゃんを寝かせて揺らす椅子の一種で、今でいう「バウンサー」のことなのだった。そう言えば、今年23歳になった娘が赤ちゃんだった頃に、ピンクの「トッタトッター」を使っていたことを急に思いだした。アレは自分で買ったのか、それとも人からの頂きものだったのか? 詳細はまるで覚えていないが、今もおそらく山小屋の屋根裏部屋あたりに仕舞い込んであるはずだ(ちなみに17年前に息子が生まれたときは、トットトッターを使った記憶はない)。それにしても、だ。23年前の出来事を既にすっかり忘れてしまっていた自分の記憶力の悪さにも呆れるが、ネットで調べたところ「トットトッター」では僅か48件しかヒットしなかったことも驚きだし、今になって何故そんな夢を見たのかも謎である。なお、夢の中に現われた水前寺清子さんの歌は「おーっととっと、いけないよ」とかいう歌詞だったと思う。幼い頃に確かに聞いた記憶があるのだが、こちらはネットで調べても曲名すらわからなかった。


7日●3つの分野から成る理系の学問
すぐ目の前に工学博士のYさんの姿が見える。今は何かの講義の最中なのかも知れない。誰か別の博士が、ある理系の学問について講義している。彼は、「この学問は○○と△△と□□の3つの異なる分野から成り立っています」と説明した。私が一旦はそのことを理解してうなずくと、博士は私に「では、この学問が何と何と何から成り立っているか、3つの分野の名前を言ってみなさい」と命令口調で言った。私は即答しようとするのだが、たった今聞いたばかり○○、△△、□□が何であったか、早くも忘れてしまっている。すぐに答えないと時間切れになってしまいそうだ。私は必死で3つの言葉を思い出そうと足掻(あが)いている。
【解説】 何かを思い出そうとして思い出せない夢。しかも今夜の夢は、「もう少しで思い出せそうだけど思い出せない」といった生易しいレベルではなく、「まるっきり一文字も思い出せない」という完全な忘却なのだった。そう言えば昨日は日本人の科学者3人がノーベル賞を受賞していらっしゃった。そのことが、もしかしたら今夜の夢に影響しているのかも知れない。


8日●赤い短冊を記憶せよ
それが何なのかはどうしても思い出せないのだが、目の前に赤い短冊があって、私はそのことを忘れないように記憶しようとしている。ほかに黄色い短冊もあったかも知れないが、そちらはどうやら私の担当ではないようだ。赤い短冊に書かれた内容を忘れないよう、私は神経を張り詰めてあちこちにメモを残している。
【解説】 目が醒めてみると、残念ながら短冊に書かれていたことは何一つ思い出せない。そこには何か国家機密に関わるような内容の文章が書かれていたような気がするのだが。


9●堅くて痛い石の風呂
気がつくと見知らぬ場所にいた。そこはイギリス(もっと具体的に言うとスコットランド?)らしいのだが、そのくせ少しも異国情緒が感じられない。もっとも私は窓のない部屋の中にいるので、ここが本当に外国かどうかを確かめること自体が難しいのだが。私が今いる場所は、どうやら旅館の一室らしい。それは非常におかしなデザインの部屋で、ウナギの寝床のように横に並んだ長方形のベッドルームが数室と、半分洞窟のようになった岩風呂が合体している。どこまでが寝室でどこからが風呂場なのか、境界がハッキリしないのだ。湯船は2つあって、右側の湯船は1人用。左側の湯船は3〜4人用で、一定の時間が経過すると自動的にお湯が溜まる方式らしい。どちらの湯船も石で出来ている。肌に当たったら痛そうだなと思う。しかも部屋全体に照明が薄暗く、なんとなく陰鬱な雰囲気な上、気持ちが悪いほどお湯がぬるいのだ。熱湯好きの私にはほとんど拷問である。左右の湯船の中央に洗い場があったので、そこで私が“かけ湯”をしていると、不意に知人のX子さんが現われた。私は心の中で(嫌な人と逢ったな)と思うのだが、何事もなかったように無言で黙礼をした。このあと全く別の場所へ行ったように思うが、その部分は思い出せない。
【解説】 一般的に言って「風呂」は癒しのイメージだと思うのだが、今夜の夢に登場した風呂は石で出来ており、「堅い(痛い)・ぬるい・暗い」と悪い意味で三拍子揃ったトンデモ風呂だった。しかも現実世界であまり好きではない人まで登場して、疲れるイメージの夢だった(苦笑)。私は少し休息が必要なのかも知れない。


10日●屋根に特長のある小さな家で暮らす
小さな家が見える。屋根に細長い突起部分(煙突または特殊なアンテナまたは避雷針?)があって、それがとても印象的だ。私はこの家で暮らしているらしい。懐かしい気持ち。場所はヨーロッパかも知れないが、よくわからない。
【解説】 屋根の突起部分が印象的な家と、そこに暮らしている私。見たことのない家だというのに、何故か懐かしい気持ちが湧いてきたのは不思議なことだ。


11日●4人の男女によるドラマ
パーティー会場のようなところに2組のカップルが立っている。全員が白人で、そのうちひとりの男性はジョークグッズの目玉を着けているので、まるでデメキンのようだ。私はその顔を見て噴き出しそうになっている。4人は何か揉めているようだ。どうやら誰と誰がカップルになるかでコンセンサスが得られないらしい。どのような話し合いが持たれたのかわからないが、最後に4人は男と男、女と女がペアになって出て行ってしまった(つまり男女2組ではなくホモセクシュアルとレズビアンの組み合わせになったわけだ)。彼らが消えたあと、誰かがやって来て私に「何があったんですか?」と聞いた。私は「別に何も。ちょっとしたドラマが演じられただけですよ」と答えた。
【解説】 4人の男女が何やらドラマを演じていたはずなのでが、不思議なことに彼らの顔は全く覚えていない。と言うより、最初から顔など見えていなかったのかも知れない。ジョークグッズの目玉を身に着けた男がひときわ印象的だった。
【後日談】 この夢を見た翌日、知人と世間話をしていたところ、「友達が突然ホモになってしまい、それが原因で人間関係に深刻な亀裂が入った」という話を聞かされた。色々と差し障りがあるので詳細をここに記すことは出来ないが、友人から聞いた話の内容が今夜の夢とあまりにもシンクロしているので驚いた。ちなみに、友人の話に登場する「ホモになった人」に私は一度も逢ったことはない。



12日●森本レオさんによる家族ドラマ
気がつくと、ありきたりな日常の風景の中で家族ドラマが演じられていた。この世界では、森本レオさんが皆から「おやじ」と呼ばれる存在で、川上麻衣子さんが森本さんの娘または愛弟子のような存在らしい。ほかにも何人か兄弟姉妹がいるようだ。私はこのドラマの傍観者なのだと思う。不思議なことに川上さんの姿が私には見えない。何故なら私はこの女優さんの名前だけは知っているが顔を知らないからだ。このドラマには特に大きな山場がない。本当に、ごく普通の暮らしが営まれているだけなのだ。しかしこれはテレビではないのでスウィッチを切ることも出来ない。(このドラマはいつまで続くのだろう)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 昨夜に引き続き、何故か今夜も「ドラマ」がテーマの夢である。ちなみに私はテレビを観ない人なので、芸能人の顔と名前がまるで一致しないことが多い。さすがに森本レオさんの顔は存じ上げているが、川上麻衣子さんという方はお名前しか知らなかったので、今しがたネットで調べてみた。公式サイトによればスウェーデンで生まれだという。うちの娘もスウェーデンの大学に留学していたが……だから夢に登場したとは思い難い。この夢に一体どのような意味があるのか、まるで謎である。


13日●癒しのナメクジ
ナメクジのような軟体動物の存在。それは少しもブキミではなく、むしろ友好と癒しのシンボルのようだ。温かく心地よい時間と空間。くすぐったい気持ち。私は笑い出しそうになっている。
【解説】 今夜の夢にナメクジのイメージが登場したことは間違いないのだが、それが生きたナメクジだったのか、何かの象徴だったのか、実体を伴わないイメージだったのか、そのあたりは思い出せない。ストーリー性は希薄ながら、何故か非常に癒される夢だった。


14日●財布のポケットの中身を入れ替える
折り畳みの財布が開かれて、目の前に置かれている。誰のものかはわからないが、男性用の平凡な黒い財布だ。この財布には4つのポケットが付いている。それらを仮にABCDと名づけることにしよう。それぞれのポケットの中身が何であるかはわからないが、その中身をすべて入れ替えるのが私の役目らしい。それも、できるだけ短時間に。ポケットには性別のようなものがあってA=♂、B=♂、C=♀、D=♀であるという。これら4つの中身をうまく入れ替えることによって、より良い男女関係を構築できるのだそうだ。(これって、前にもどこかで聞いたような話だな)と思った瞬間に目が醒めた。
【解説】 わけのわからない妙な夢だが、今月11日に見た4人の男女の夢とどこか似ていた気もする。財布のポケットに雌雄の別があるという発想自体が奇想天外だが、夢占い的にはどんな意味があるのだろうか?


15日●数字の入れ替え
洞窟のような場所。知的な冒険小説を読み進める時の気分にも似たワクワク気分。私は何か大きなプロジェクトを任されている。それは数字の入れ替えに関することだ。
【解説】 今夜の夢にはかなり具体的な内容があったのだが、目が醒めた瞬間に、その「数字」が何であったか忘れてしまった。そう言えば昨夜の夢のテーマも「入れ替え」だった。どういう意味があるのだろうか。


16日●雪の降る外国の街
見知らぬ外国の街。おそらく北ヨーロッパのどこかだろう。近くにバス停または鉄道駅があるらしく、たくさんの人たちが一か所に集まって乗り物を待っているようだ。気がつくと雪が降りだしていた。風に乗って舞うように降る、かなり激しい雪だ。それを見た瞬間に(クリスマスが待ち遠しい)と思い、私は爽快な気分になっていた。
【解説】 起床してから思ったのは、この夢に登場した見知らぬ風景のどこかに、今月10日の夢に登場した「屋根に特長のある小さな家」が存在するのではないかしらと言うことだった。そう思ったことに理由はなく、ただの直感なのだが、今夜の夢は10日の夢の続きなのだ、きっと。そんな気がしてならない。


17日●私的な年表
目の前に細長いメモ用紙が見える。そこには何かが整然と書き記されている。誰かの個人的な出来事をつづった年表のようなものかも知れない。英語で書かれていたような気がするが、日本語だったかも知れない(そのあたりの記憶は非常に曖昧である)。メモの最初のほうは、1行か2行の短い記述が淡々と並んでいるだけ。私はあまり興味を覚えず、ただ漫然と眼を通している。しかし最後に載っていた項目は非常に長く、文章にも熱意と感情が込められている。私はようやく真面目にそのメモを読む気になった。そこには、何か戦争に関係のある事柄が書かれていたように思うのだが、半分ほど読んだところで誰かが私の名を呼んだため私は席を立ち、年表を最後まで読み終えることは出来なかった。
【解説】 今夜の夢に登場した年表には、いったい誰の人生が綴られていたのだろう。最後まで読み進めていれば、そこには何か吃驚するようなことが書かれていたのだろうか。


18日●乾燥納豆の生産国
私は真空パックの四角い透明な容器に入った食べ物を手にしている。中身は乾燥納豆のように見えるが、あるいは細かく砕いたピーナッツかも知れない。数種類の穀物を粉砕したような物も入っている。容器にはラベルが貼ってある。私はそれを丁寧に読んでいる。原産国の欄には、とても珍しい国名が印刷されていた。私は(こんな国にも納豆の工場があるのだろうか)と訝(いぶか)しんでいる。
【解説】 ラベルに書いてあった国名は、一体どこだったのだろう。思い出せいぐらいだから、現実には存在しない国だったのかも知れない。


19日●空から降って来た金色の物体
前後関係はわからないのだが、屋外のカフェらしき場所で椅子に座っていると、いきなり拳(こぶし)大の金色の物体が空から降って来た。明らかに金属の塊なのだが、柔らかくふわりと降って来た様子はまるで雪か蝶々だ。しかもその物体は、地面へは落ちずに私の周囲をひらひらと舞っている。それを見て私は(これは幸先がいい)と思っている。
【解説】 目が醒めてから思ったのだが、今夜の夢には2〜3人の外国人が(カフェで一緒に座っている役柄で)登場したような気もする。とても感じの良いオーラを発していたのだが、黙って微笑んでいただけなので誰だったかはわからない。


20日●スイーツ(笑)
目の前にガラスのケースがあって、なかには甘いお菓子が入っている。私はそれを食したようだ(実はその直前にも何か非常に美味しいものを食べたような気がするのだが、何を食べたのかは思い出せない)。お菓子を食べている私の背後から息子が近づいて来て、いきなり英単語を2つ言って去って行った。それが何と言う言葉であったかも思い出せないのだが、私は心の中で(私も相当スイーツな女に見られているに違いないな)と思っている。
【解説】 何やらスイーツ(笑)な夢だった。息子が発した2つの英単語のうち、ひとつめは何か重要な言葉だったと思うのだが、さっぱり思い出せない。ちなみにここで言う「スイーツ(笑)」とは、いわゆる「ミーハーな女性」のことである。


21日●幼稚園のバス旅行にて
気がつくと大型バスに乗っていた。隣の席には幼い息子。すべての座席には母親と幼稚園児が並んで座っている。黄色人種、白人、黒人、いろいろな人種が一堂に集まっている。どうやらこれはインターナショナルスクールの幼稚園バス旅行らしいのだ。皆が楽しそうに笑っている。私も顔はおおいに笑っていると思うのだが、心の中では昔のことを考えている。そう言えば前回の幼稚園バス旅行のときには、誰か韓国人のお母さんがコリアン風の巻き寿司のようなものを作って来て、全員に分けてくれた。あれはとても美味しかった。去年の旅行は今年より楽しかった。しかし過ぎた時はもう帰って来ないのだから仕方がない。……そんなことを思っている。誰かが皆にお菓子を配ってくれた。あまり美味しくなかったが、私は楽しそうに笑いながら"thanks."と言っている。
【解説】 実際には12年生(高校の最終学年)の息子が、今夜の夢では幼稚園児に戻っていた。断わっておくが、私は懐古趣味者ではない。子どもたちにもう一度小さくなって欲しいとは露ほども思わない。子どもたちと対等に話せる今のほうがずっと楽しい。しかし夢の中では、何故か息子はしばしば3〜4歳の幼子に戻ってしまう。何故だろう。これは一体どういう心理なのか。小さな子どもは手がかかる分だけ可愛い。手のかかる子がいなくなって、私は淋しいのかも知れない。


22日●ミラクル
前後関係はわからないが、名刺より一回り大きいサイズの白いカードが回って来た。カードには英単語が2つ並んでいる。1つ目の単語は「miracle」。2つ目の単語が何だったかは、(夢の中ではわかっていたものの)目が醒めた途端に忘れてしまったのだが、それは中学生でも知っているような単純な単語だったと思う。カードにはたった2つの単語が書かれているだけだが、一目見ただけで、この言葉の組み合わせは英語としておかしいと思う。「最初の単語が名詞なのは間違い。形容詞のmiraculousに訂正しなくては」と思い、そのことを隣に座っている息子に話そうとしたところで目が醒めた。
【解説】 まるで意味不明な夢。しかも、今夜の夢でも隣に息子が座っているようだった。彼の姿を見なかったので、それが現実の彼(高校生)だったか昔の彼(幼稚園児)だったかはわからない。


23日●ブースケとパンダの失踪
なだらかな丘の多い街。広々とした公園。遠くで人々が集って遊んでいるようだが、近眼の私には彼らの姿までは見えない。おそらくここは西洋のどこかなのだと思う。私の横には夫が歩いている。ブースケとパンダも一緒だ。もうひとり誰かが同行しているようだ。それが誰なのかは最後までわからない(オトナかコドモかさえわからない)が、その人は私に対してどこまでも忠実で協力的だ。暫く歩いた後、私たちは家に着いたらしい。しかしブースケとパンダの姿が見当たらない。犬の世話は少し前に夫に頼んでいたので、どうしたのかと尋ねたところ「自由に遊びたがっていたから、リード(手綱)を外して公園の鉄棒の下に置いて来たよ」と言う。私は驚いて、犬を置いてきたという場所に戻ってみた。しかしそこには最早ブースケ達の姿はなかった。私はとても嫌な予感に胸を締め付けられながら、もうひとりの誰か(協力的な人)と一緒に走り回ってブースケとパンダを探した。しかし広い街のほうぼうを探すも、犬たちの姿は見つからない。そのうち日が暮れて、あたりが暗くなってきた。少し雨も降り始めたようだ。私は次第に(もう二度とブースケ達とは逢えないかも知れない)という悲しい思いに駆られ始めている。
【解説】 目が醒めてベッドの枕元にブースケとパンダがいることを確認し、とてつもなく安堵した。ブースケがいなくなる夢は過去にも何度か見ている。この恐怖感は、おそらく過去の経験から来ているものと思われる。昔、友人で作家のC・W・ニコルさんからいただいたベアという名の大型犬(アイリッシュセッターと日本犬のミックス)を飼っていたのだが、ベアが5歳の頃だったか、1泊2日で東京へ出かけるために家を留守にした間に失踪してしまったのである。状況から見て、誰かが故意に鎖をはずし犬を持ち去ったらしい(高級犬に見えたのかも知れない)。保健所にも届け出て必死で探したが、結局ベアは帰って来なかった。あのときの喪失感は今もハッキリと思い出せる。現在飼っているブースケは室内犬で、四六時中一緒にいるためベア以上に可愛いく、ほとんど本物の子どものような存在だ。突然いなくなったらどんなに悲しいだろう。その気持ちが繰り返し夢に現われるらしいのだ。


24日●ヴァイキング料理
驚くほど広いレストラン。一面にテーブルが並び、その上にはありとあらゆる種類の料理が所狭しと並んでいる。私はお皿を持ってテーブルからテーブルへと回り、美味しそうなものを少しずつ取っては食べている。私は髪をアップにしてエレガントなデザインの青っぽいツーピースを身にまとい、ハイヒールを履いている。
【解説】 今夜の夢で、どうやら私はパーティーに出席してヴァイキング料理を食べていたらしい。ほかに覚えていることはない。ただただ食事をした。それしか記憶しかない。役得というか、実にラッキーな夢である(笑)。


25日●テレビのなかの石井さん
テレビをつけると「石井」と書かれた大きな文字が目に飛び込んできた。続いて、別の場面でも「石井」「石井」のオンパレード、アナウンサーも「石井が……」「石井は……」と言っている。どうやら石井とはスポーツ選手らしいのだが、それがどうしたのかは全くわからない。
【解説】 石井とは誰なのか。スポーツ選手にそういう人がいるのだろうか。テレビを観ない私には見当もつかないのだが……。


26日●アウシュヴィッツ監獄からの脱走
私は政府系の某組織に所属する諜報部員のようだ。敵は世界を乗っ取る野望を抱いた凶悪な巨大組織だが、一部の腹黒い(しかし表向きはクリーンな)政府の要人とも繋がっており、それを隠れ蓑にして行動している。私たちは彼らの手から世界を守るために隠密行動を取ってきた。幼い子どもたちも同伴しているが、これは自分たちが諜報部員であることを敵に悟られないための手段であると同時に、子どもたちも実は訓練を受けた優秀なスパイなのだ。仲間のなかには、イラン系インド人のK(私と同年代の女性)や、彼女の娘(小学生)の姿も見える。ほかにも全部で10人ほどの仲間が行動を共にしている。やがて私は敵の正体を見破ることに成功した。敵は濃いブルーのバンに乗っている。しかし(このあたりの経緯はよく覚えていないのだが)私たちは逆に囚われてしまい、監獄に連行されてしまった。収容された部屋は、古い木造建築の洋室で、重厚な造りと高い天井は格調がある。部屋の中央にはいかにも高級そうな木製テーブルがあって、その周囲を囲むように8脚ほど椅子が置かれている。全体の見た目は「牢獄」と言うよりむしろ「裁判所の一室」か昔の「大学総長の部屋」といった趣だ。この場所の名前は「アウシュヴィッツ監獄」と言うらしい。その一室に押し込められる形で、私たち約10人は収容されている。拷問も尋問もないまま、それから瞬く間に何日かが経過したようだ。あるいは何週間もの時が過ぎたのかも知れないが、そのあたりの詳細は不明。私は意を決してここから脱走することにした。仲間の運命も私の行動にかかっている。その日も、いつものように敵の巡視員がやって来た。私はテーブルの下に潜り込むように身を隠して息をこらした。巡視員はごく形式的に室内をチェックしてはいるが、油断しているのだろう、あまりやる気がなさそうだ。ドアが開いており、遥か遠くに駐車中のブルーのバンが何故かハッキリと見える。車のナンバーを書き留めておこうと思うのだが、あいにく紙とペンがない。自動車からいちばん近い場所にKの娘が立っていたので、彼女に「ナンバーを書き留めろ」と身ぶりで指示したのだが、彼女にはそれが通じない。ナンバーはたかだた6〜7桁の数字だったので、私はその数字を暗記することにした。巡視員から促され、誰かがひとり部屋から出て行った。そのチャンスに私は素早くテーブルの下から滑り出ると、何事もなかったような平然とした足取りで部屋から廊下に出た。そのとき、何やら細長く粘ったもの(カメレオンの舌?)を巧みに使って巡視員から鍵を奪ったような気がするが、このへんの経緯は定かではない。部屋から出た私は敵の一味を装って堂々と廊下を歩き、そのまま玄関から外に出て、市井の人々が住むノーマルな街へと紛れ込むことに成功した。私が脱出したことを知った敵が大騒ぎを始める頃かも知れないが、ここまで追ってくることは出来まい。私はポケットから携帯を取り出して上司への連絡を試みた。上司は日本人とも西洋人ともつかない顔立ちの初老の男性で、名前は「日戸」というらしい(これで「にっと」または「ひど」と読むようだ)。私の代わりに息子が人質に取られるかも知れないが、Kが面倒を見てくれるから心配ない。それにしてもブルーのバンの車種は何と言うのだろう。ナンバーがわかっているから車種を報告する必要はないだろうが、車種がわかれば敵の逮捕はもっと早まるかも知れないのにと思う。自動車に詳しくない自分をほんの少し後悔している。
【解説】 ここで目覚まし時計が鳴り、夢は終わってしまった。今夜の夢はかなりスリリングで、実際に諜報活動をして来たような心のときめきがあった(笑)。今年見た夢のなかで、これは間違いなくベスト3には入ると思う。


27日●城内での拷問
ここは日本のどこかで、今は安土桃山から江戸末期にかけてのいずれかの時代らしい。私は城内に入り込んでいる。周囲には数人の同行者がいるようだが、気配がするだけで彼らの顔は見えない。場内では女性たちへの拷問が行なわれている。助けたいのは山々だが、それは出来ない。何故ならば、これは過去の事実であって、未来に生きる我々が過去を変更することは不可能だからだ。拷問を受けているお姫様を間近に見ているというのに、まるで映画のスクリーンを眺めているように現実感が希薄だ。お姫様の顔が無傷で、髪型にも乱れがなく、しかも取り繕ったような不自然な表情を浮かべていることから想像するに、これはすべてヤラセなのかも知れない。場面が変わり、私たちは城内の博物館のようなところにいた。壁には展示物が掲げられており、まるでマッチ棒を並べて描いたような稚拙なイラストで、今さっき見たばかりの拷問の様子が説明されている。「35℃の角度から腕を斜め上方に引っ張る」など、具体的な数字もたくさん書かれている。見ているうちに私は気分が悪くなってきた。
【解説】 まるで趣味の悪いアングラ劇でも見て来たような、後味の悪い夢。目が醒めてからよくよく考えてみると、「拷問の夢」でありながら、そこには1滴の血も見えなかったと思う。昨夜は就寝前に忍法に関する写真集に目を通していた。それが原因でこんな夢を見たのかも知れない


28日●……
【解説】 今夜は夢を見たのか見なかったのか、それすらも覚えていない。


29日●テロリスト一味から男友達を救う
空港の通路のようなところ。無機質で近未来的な質感と、白っぽいシルバーグレーの色合い。向こうから男友達のTさんが歩いて来た。いかにも悪そうな5〜6人の巨漢が彼を囲んでいる。彼らは全員が白人で、どこからどう見てもテロリストだ。Tさんは彼らに拉致されてどこかへ連行され、殺されるのかも知れない。テロリストたちとすれ違う瞬間、私はいきなり相手を一撃で根こそぎ倒してしまった。見知らぬ女性が小声で「本当に大丈夫か?」というような意味のことを尋ねて来た。彼女はおそらく私と同じ組織に所属するエージェントだ。私は短く「大丈夫だから放っておいて」とだけ返事をし、すぐに彼女とは離れた。そのあとどうなったのか具体的なことは覚えていないが、テロリストの襲撃はそれ以上なかったように思う。
【解説】 このところ、スパイ(エージェント)になる夢が続いている。こういう夢も悪くはないが、あまり寝た気はしない。たまには「まったり癒し系」の夢も見たいものだ。


30日●花のような黄色い立方体
廊下のような空間の一部が黄色い立方体になっていて、そこだけがまるで花のように明るい。その中を数人の男たちが歩いている。パッと見、全員がアメリカ人だった気がする。私は左斜め上のほうから無言で彼らを見下ろしている。
【解説】 今夜の夢には長いストーリーがあったのかも知れないが、思い出せるのはこの部分だけ。どこか「MIB」(メン・イン・ブラック)を髣髴させる情景だった。


31日●緑色の帯
緑色の地に銀糸で花の刺繍がほどこされた帯が見える。それは誰かからのプレゼントらしい。私は(この帯に合う着物を探さなくては)と思っている。
【解説】 一瞬の夢。帯をもっとしっかり見たかったのだが、気づいたときには目が醒めてしまっていた。




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