2009年1月


1日(初夢)●地図つきジグゾーパズル名刺
喫茶店のテーブルに、白っぽいシャツにネクタイを締めたサラリーマン風の男がふたり、向かい合って座っている。両者とも30歳前後の日本人だ。名前がわからないので、仮にA・Bとする。Aは無言で名刺大の紙を取り出し、Bに渡すなり足早に喫茶店を去った。Bは渡された紙を読もうとするのだが、印刷された文字があまりにも小さく、そのままでは読むことが出来ない。Bの部下らしき若い男が2〜3人やって来て、解読を手伝おうとする。虫眼鏡を使って見たところ、紙には地図と文字(おそらくAの氏名や連絡先)が印刷されているようだ。ところが紙はジグゾーパズルになっており、強く動かすとバラバラに崩れてしまう。また地図には実際の等高線に準じた凹凸があるため、実に読みにくい。Bは無言のまま(ゼスチャーのみで)「紙を可能な限り大きく拡大コピーするように」と部下に命じた。部下が足早にコピー機のある部屋へと去って行く。私は一部始終を黙って俯瞰している。
【解説】 目が醒めてから第一に思ったことは、(初夢にしては地味な夢だな)ということであった。そう言えば今夜の夢には一切の「音」がなかった。数人の男たちが登場して何らかのコミュニケーションが図られるのだが、それらはすべて無言で、いわば以心伝心で行なわれるのだ。そう言う意味では、パントマイムを見ているようだった。ちなみに手持ちの『夢の事典』(日本文芸社)には、残念ながら「ジグゾーパズル」「名刺」「地図」いずれの意味も載っていなかった。



2日●橋の上で寿老人と語り合う
最初に何か別のストーリーがあったのだが、その部分は思い出せない。気がつくと私は古めかしい感じの橋の上にいた。太鼓橋または眼鏡橋のような変則的なデザインの橋だったかも知れない。私のすぐ横に、頭の長い神様がいた。ひと目見ただけで(あっ、寿老人だ)と思う。寿老人は欄干にもたれている。その姿は“老人”と言うよりも、“永遠にオトナにならないコドモ”または“純粋な妖精”のようだ。寿老人と私は橋の上に立ったまま、人生に関する、しかしそれほど深刻ではない話を一つ二つした。そのあと別の誰かに会ったような気もするが、その先の内容は思い出せない。
【解説】 そう言えば以前も「橋の上で欄干にもたれた寿老人」の夢を見たことがあるような気がする。そう思って過去の夢日記を調べたところ、驚いたことに昨年5月18日には「釣竿と鯛または海老を持った寿老人が太鼓橋を歩いて来る夢」、7月4日には「欄干に顔をうつぶせた寿老人に『帽子の中を見せて』と頼む夢」、1度ならず2度までも似たような夢を見ているではないか。さらに夢日記をたどって見ると、昨年だけでも2月9日(寿老人に「鶴と鹿はどうなさったのですか」と尋ねる夢)、3月4日(森で寿老人風のおじいさんに遭う夢)、9月25日(ウルトラマンの頭が寿老人になった夢)と、1年のうちに計5回も寿老人の夢を見ているのだ。まったくおかしな話である。ちなみに日本では「福禄寿」と「寿老人」が常に混同されており、福禄寿の頭が長く描かれることが多いのだが、私は「長頭の神様イコール寿老人」説を支持する。ちなみに「福禄寿」は、もともとは「福」「禄」「寿」3人の神様の総称であるから、寿老人は福禄寿の中に含まれているのである。だから七福神のメンバーに「福禄寿」と「寿老人」の両方を重複させて入れておくのは、本来は理に叶ったことではないと言える。いずれにしても、お正月の夢に寿老人が登場してくれたのはお目出度いことだ。



3日●緊急着陸する飛行機
飛行機の内部が見える。私は乗客ではなく、この場面を客観的に見ている部外者なのだと思う。つまり私自身は安全な遠隔地にいて、ビデオメールとか千里眼のような方法でこの場所を見ているのだ。最初は乗客が見えていたが、やがて視点はコックピットに移った。機長の姿が見える。若い日本人だ。この飛行機には、何か異常が起きているようだ。まだ誰も気づいていないようだが、私にはそれがわかる。暫くして、ようやく機体の異常に気づいた乗務員たちが騒ぎはじめた。急激に失速する機体。必死で高度を保とうと務める機長。しかし減速は続く。やがて飛行機は近くのエアポートに緊急着陸することになった。緊迫した雰囲気。どうにかランディングし、非常口から脱出する乗客たち。ところが機長だけは即座に脱出することを許されておらず、こんな緊急時だというのに管制塔と(英語で)「こちら鈴木です。緊急着陸に成功しましたので、脱出の許可をお願いします」とやり取りしているではないか。この機体はあと4秒で爆発する。(管制塔の指示など無視して早く逃げ出せ!)と思ったところで場面が変わり、空港の中。私は小さなスーツケースをガラガラ転がしながら、3人ほどの友人と歩いている(顔は見えないが3人ともスタイルが良く都界的な女性だったようだ)。その直後に思いがけない人と遭遇したと思うのだが、詳細は思い出せない。
【解説】 『夢の事典』によれば、「飛行機が墜落する夢」の意味は「自分が堕落したり人生の奈落に突き落とされることへの強い不安」だという。しかし私の夢はときどき「正夢」になるから注意が必要だ。198×年に某エアラインの飛行機が燃えながら落ちて来る夢を見たときは、30分後にその航空会社の旅客機が実際に墜落して数百人が亡くなった。今夜の夢が正夢でないことを祈る。なお、機長の名前は「鈴木」だったと思うが、もしかしたら聞き違いかも知れない。日本で多いほうからベスト10に入るような平凡な苗字だったことは間違いないのだが。



4日●角型飛行ロボット
顔が付いた模型飛行機のような、角張った飛行ロボットのような、何だかわからないが「全体が角張って」「四角い顔の付いた」「空を飛べる」物体が見える。全長は1メートルぐらい。すべて直線で出来ており、曲線はひとつも無い。顔の輪郭は黄色かオレンジ色で、あとは全身がメタリックシルバー。顔はひどく醜いのだが、何故か憎めない。いましもロボットは飛ぼうとしている。しかし彼の顔は左に90度回ったままだ。これでは前方が視界に入らず、危険きわまる。私があわててロボットの顔を正面に向け直していると、どこからともなく科学者らしき人が2〜3人現われて、無言でロボットの調整を始めた。
【解説】 今夜の夢には何か複雑なストーリーがあって、ロボットが登場するのは夢の一部に過ぎなかったように記憶している。しかし、具体的に覚えているのはこの部分だけ。そう言えば昨夜と今夜は二夜連続で「飛ぶもの」の夢を見たわけだが、どういう意味だろうか。



5日●出席していないのに「出席した」と嘘をつく
学校のような場所が見える。たくさんの人々のなかに、数人の“友達”がいる。現実世界で私はその人たちを見たこともないのだが、夢の中ではどうやら“昔からの友達”という設定なのだ。全員男性だったと思う。年齢は20代にも30代にも40代にも見える、不思議な人たちだ。私は何か理由があってその場を去る。夜になってから、ひとりの女性とバッタリ逢った。誰なのかよくわからないが、この人も“親しい女友達”という設定だ。フリーアナウンサーをしているNさん(現実世界での知人)に似ていたので、仮にNさんとしよう。Nさんは私に逢うと本当に嬉しそうに相好を崩し、「今日の○○には出席なさいましたか」と質問してきた。○○は、私が学校のような場所を去ったあとで行なわれた行事だ。当然、私はその行事に参加していない。ところが何故か私は「はい、出席しました」と答えてしまう。Nさんはますます喜んで、「それは素晴らしい!」などと興奮している。最初に「出席した」と言ってしまった手前、私はその嘘をつき通さなければならないハメに陥った。しかしNさんのような純粋な人を騙すのは気持ちの良いものではないし、Nさんも例の“友達”の知り合いのようだから、私の嘘などすぐにバレてしまうだろう。(出席してもいないのに、どうして出席したと嘘をついてしまったのだろう)と悔やんでいるところで目が醒めた。
【解説】 起床して、今の話が単なる夢だとわかった瞬間、思わずホッと胸を撫で下ろした。『夢の日記』によれば「嘘をつく夢」の意味は「自分を良く見せたい心理。困難な状況に直面して精神的に追い込まれている。嘘をついた相手は、無意識に自分が迷惑をかけていると思っている人」だそうだが、現実世界でNさんに迷惑をかけるようなことは一切していないので、ますますわけがわからない。



6日●ホテルから出て行く科学者を見送る
私は大きなホテルに滞在している。海外なのか国内なのかは不明。同じホテルにはたくさんの仲間(同僚?)が泊っているようだが、それが何のグループなのかはわからない。親しい間柄の人たちではなく、ビジネス関係者だったと思う。私はかなり上のほうのフロアにいるようだ。廊下がざわざわっとして、見ると10人ほどの男性がエレベーターに向かって歩いて行くところだった。彼らは国際会議に出席していた各国の科学者たちで、なかにひとり知人の姿も見えた。一瞬(声をかけようかな)と思うのだが、なぜか躊躇した私は、彼らがエレベーターに乗って降りて行くのを黙って見送っている。夢の最後のほうで、薄灰色っぽい石膏像のパンダ(高さ50センチぐらい)が10個ほど並んでいる風景を見たように記憶している。
【解説】 昨夜は今年になってから初めてテレビを観た(注/私はほとんどテレビを観ない人なのだ)。その番組ではホテルニュージャパンの火災の再現フィルムを長時間にわたって見せていた。なかなか面白い番組だったので、思わず真剣に観てしまった。おそらくそのために「ホテルの上のフロアにいる夢」を見たのだろう。科学者に声をかけなかった理由はわからない。



7日●Xさんは満身創痍
前後関係はわからないが、気が付くと目の前に知人のXさんが立っていた。ひと目見て、(あっ。Xさんは健康状態が思わしくないのだな)と思う。その象徴として、Xさんは顔の目立つ箇所に包帯を巻いていた。しかしそれは氷山の一角で、実際のところXさんは満身創痍、もう心も体もボロボロなのだと思う。(この分だと、Xさんはもう長いことないのではないか)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 お正月早々、Xさんにとっては縁起でもない夢だった。実際にXさんが満身創痍かどうか私は知らないが、夢のなかに現われたXさんからは、生命力というものが全く感じられなかった。夢が当たっていないことを願うのみだ。



8日●鏡のなかの自分に驚愕する
高貴な感じのするクリスタルの城が見える。城と言っても巻貝のような形をしており、外壁が透明なので外から丸見えだ。城のなかには螺旋階段がある。私はその階段をぐるぐると登って行った。最上階にとても小さなホテルのフロントがあった。全体に薄暗く、静かな環境だ。フロントの壁に大きな鏡が掛けてあり、期せずして自分の姿が写った。驚いたことに、そこに写った私は現実の10倍ほど眉毛が濃くなっているではないか。まるで「ひげダンス」のひげを眉に付けたような信じがたい毛深さである。私はホテルマンに鍵を返し、チェックアウトの手続きをした。ホテルマンは男性で、おそらくギリシア人だと思う。彼はじっと私の眉を見ている。私は心の中で(この人は普段の私の顔を知らないし、それにどうせ二度と逢うことのない人だから、まあいいや)と思った。そのあと色々な場所へ行き、何人かの人と逢ったのだが、具体的なことは何も思い出せない。ただ、とても楽しく幸せな気分が続いたように思う。そのうち、目の前にいきなり先ほどとは別の鏡が現われた。そこに映し出された私は、なんと相撲取りのように太っていた。驚愕しながら(まずい! これは太り過ぎだ!)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 現実世界では見ることのない“太った自分”との衝撃の対面であった(苦笑)。実は、昨夜は“行列のできるラーメン屋”に行き、美味しいけれどもギトギトと脂ぎった豚骨ラーメンを食べたのだ。それで胃もたれした状態のまま眠ったために、こんな夢を見たものと思われる。一昨日に引き続いて「ホテルをチェックアウトする夢」を見たのも気になるところだ(もっとも一昨日の夢でチェックアウトしていたのは私ではなく科学者の友人だが)。『夢の事典』によれば、「眉毛が太くなる夢」の意味は「あなたの意志が固いことを意味しています」、「ホテルをチェックアウトする夢」の意味は「十分に充電が出来た証拠」だそうである。



9日●中国系の古い友達を懐かしむ
夢の最初のほうでイラストレーターの篁カノンさんを見かけ、「カノンさん、こんなところにいたの?」と声をかけようとするのだが、その瞬間に場面が変わってしまい、気がつくと私は見知らぬ外国にいた。娘も一緒に来たはずだが、別行動をとっているのだろう、今この瞬間は近くにいない。私はモノレールに乗っている。少し高いところから見下ろす街は、初めての場所なのにひどく懐かしい。猥雑で、人なつこくて、エネルギーに満ちた街だ。やがて眼下に大きなプールが見えてきた。何千人もの中国系の人たちが、思い思いに水泳や日光浴を楽しんでいる。その風景を見た瞬間、私は長いあいだ忘れていたことを突然思い出してハッとする。そう言えば昔、中国系の友達のTさんと何か約束したことがあった。私には、Tさんに渡さなければならない物があったはずだ。モノレールから降りた私は、市役所らしき場所を表敬訪問したり、ショッピングセンターにも行くのだが、どこへ行ってもTさんとの約束のことが気になっている。Tさんに何を渡す約束だったのか、それすら思い出せないのがもどかしい。ショッピングセンターで(ひょっとしたら、私が探している物はここにあるのではないか)と思い、品物を片端から手にとって見るのだが、Tさんとの約束の品はそこにはなかった。そのうち、日本へ帰る時間が迫って来た。私は娘との待ち合わせ場所(空港?)を目指して、再びモノレールで移動を始めた。移動しながら、(中国系の人たちが読んでいる新聞に尋ね人広告を出せばTさんの居場所がわかるのではないか)と思う。私自身は何度か引っ越しをして住所が変わってしまったので、Tさんからは連絡の取りようがないはずだ。新聞広告を出すのはいいアイデアだ。そう心の片隅で思いながらも、(しかし過ぎた日はもう戻って来ないのだ。きっとTさんに連絡は取れないだろう)と思い直し、私はほろ苦い気持ちを持て余している。
【解説】 今夜の夢には、このほかにも色々な場面や人々が登場したと思うのだが、それらはすべてコマ切れになっていて、瞬間だけ現われては消えるので、今となっては詳細を思い出すことが出来ない。全体に、「過ぎ去った時間は二度と戻っては来ない」という主題で彩られていたように思う。



10日●おかっぱ髪の少女
大勢の人々が列を作って並んでいる。彼らは合唱隊で、これからコンクールで歌を歌うのかも知れない。個々の顔は見えないが、列の真ん中あたりにひとりだけ際立って目につく少女がいた。長い黒髪の前髪部分だけをまっすぐに切り揃えた、おかっぱ髪の少女だ。(あれは娘かな?)と思った瞬間に場面が変わってしまい、そのあと何か別の長い夢を見たようだが、その内容は全く覚えていない。
【解説】 今夜は夜中から目が醒める瞬間まで、断続的に色々な夢を見ていたように思うのだが、ハッキリ思い出せるのは「おかっぱ髪の少女」の顔だけである。



11日●火花を散らす女たち
私は大きなスタジオ風の部屋にいる。どうやらここはクラシックダンスの教室らしい。室内には数人の女性がいる。彼女たちはセミプロ級の腕前のようだ。私は入りたての新人だが、彼女たちの人間関係がひどく刺(とげ)々しいものであることに気づいているので、なるべく当たらず障らず、ここの人たちとは深入りしないように気をつけながら関わっている。今も2人の女性のあいだに火花が散っている。次の発表会に誰が出場するか、その出場権をめぐって2人は揉めているのだ。2人とも若造りだが、50を過ぎた中年女性だ。私は彼女たちの話が聞こえない振りをしながら、出口の近くでそそくさと身支度をしている。すると、今まで揉めていた2人のうちの女王様タイプの女性が、何を思ったか物凄い勢いで出口から出て行った。女優のように大きく内側に巻いた彼女の派手な髪が、私の頬を軽く打った。強い香水の匂いと、怒りに青筋の立った彼女の傲慢そうな横顔が通り過ぎて行った。
【解説】 ほんの一瞬の夢だった。ネチネチした嫉み合いのような人間関係が私は大の苦手である。そういう場面にはなるべく近づかないように日頃から気をつけているが、世の中には(つまらぬ嫉妬から)始終いざこざを起こしている人がいるらしい。実は先日もそういう人を身近に見て、嫌な気分になったばかりなのだ。そのときの気持ちが今夜の夢になったようだ。



12日●クールな美少女とお茶をする
私は日本国内の見知らぬお屋敷街にいる。プチブルジョワ風の人々との語らい。そのあとハイソな感じのレストランに入り、よく磨き込まれた銀の食器で昼食を摂ったようだ。メニューの中に蟹コロッケがあって、とても美味しかったように記憶している。テーブルをはさんだ反対側には品の良い中年の夫妻と、左端には(夫妻の娘らしい)少女が座っている。少女は先ほどから黙っていて、そのため私は最初、彼女の存在に気づかない。しかし一旦気づいてみると、ハッとするほどクールなまなざしが印象的な美少女である。少女は「私がX子です」とみずから名乗ってくれた。どうやらうちの息子のガールフレンドらしい。それからX子さんと私は色々な話をした(彼女の隣りにいたご夫妻は、この時点で私の目には見えなくなっている)。私たちは香りの良い紅茶を飲みシフォンケーキを食べながら、まったりお喋りをしている。X子さんは「ハワイに行ったり沖縄に行ったり、親を差し置いて私たちばかり海外旅行をしていてすみません」と言ってニッコリ笑った。どうやら息子とX子さんは(学会出席のため?)交代でハワイと沖縄へ行くことになっているらしい。私は息子から何も聞いていなかったので、X子さんに「教えてくれてありがとう」と感謝している。
【解説】 現実では逢ったことのない“息子のガールフレンド”という設定のクールで知的な美少女とお茶をするという、なんとも楽しい夢だった。ちなみに現実世界における息子は高校生(今年ハイスクールを卒業し大学に進学予定)。理系志望なので、いずれは学会にも出席するようになるのだろうが、それはまだ先の話である。正夢になって欲しいステキな夢だった。



13日●パキスタン人(イラン人?)から何か教わる
私は商店街を歩いている。歩行者専用の狭い舗道。おそらく日本だと思うが、見たことのない風景だ。途中、誰か2人組(?)の人たちとすれ違い、挨拶をした。もう少し先へ行くと、道がゆるやかに右に蛇行して、商店街は今までの屋根なしからアーケードへと変わった。前方から2人の男たちが足早に近づいて来た。2人はパキスタン人またはイラン人で、向かって右側の男は見上げるほど背が高くスラリとしている。通り過ぎ際、背の高いほうの男が笑顔で私に何かを教えてくれた。それは国家機密とか世界情勢に関係した重要な情報だったように思うのだが、残念ながら詳細は思い出せない。そのあと暫くすると、私は再びもとの屋根のない商店街にいて、最初の2人組とすれ違って挨拶をしていた。もう少し先へ進むと、道が蛇行してあたりはまたしてもアーケード商店街になった。向こうから先ほどの2人組(パキスタン人またはイラン人)が近づいて来た。私は(何もかもがさっきと全く同じだ)と思う。向かって右側の背の高い男が、通り過ぎ際に笑顔で何かを教えてくれた。彼の言葉は1回目と一言一句変わっていない。そこで目覚まし時計が鳴り出し、夢はいきなり終わってしまった。
【解説】 今夜は全く同じ筋立てのドラマを立て続けに2回見るという、かなり珍しいパターンの夢であった。アーケードで出逢った男性2人組は、いわゆるアラブ人のような顔立ちだがアラブ人ではない2人というイメージだった。夢の中の私が彼らを「パキスタン人またはイラン人」と直感しているのも、そういうことである。彼らから何か重要なことを教わったのだが、内容を思い出せないのは残念である。現実世界でパキスタン人またはイラン人の男性に逢ったら、きちんと話に耳を傾けようと思う。※注/「アラブ人」とはアラビア語を話す人のことで、ウルドゥー語を話すパキスタン人やペルシャ語を話すイラン人は(たとえ宗教や見た目がアラブ人そっくりであっても)決してアラブ人とは言わない。



14日●突然の車線変更を予告する“おかめ”
私は高級自動車の後部左側の座席に乗っている。すぐ左上の虚空に、女性の丸い顔がボーっと浮かんでいるのが見える。パッと見た瞬間、(なんだか神さまのような雰囲気の顔立ちだな)と思う。丸顔の女性は正面を向いているが、典型的な“おかめ顔”のようだ。彼女は正面を見据えたまま、「左車線の車がトツゼン車線変更して、この車の直前に割り込んで来るから気を付けて」と言った。その一言で私は一気に目が醒めた。
【後日談】 この夢を私は実際に自動車の後部座席でウトウトしながら見たのだが、夢から醒覚めたわずか2〜3秒後、それまですぐ左隣のレーンを走っていた車が、ウィンカーも出さずにいきなり右車線に出て割り込んで来た。こちらの車を運転していた友達がすぐにブレーキをかけたから事無きを得たものの、ボケッとしていたら頭ぐらいぶつけていたかも知れない。私はこの“デジャヴ夢”のお蔭で、すぐに両手で身体を支えて身構えることが出来た。実は、この夢を見るわずか数時間前、私は友人たちと一緒に京都の千本釈迦堂にいた。ここは「おかめ」発祥の地で、お寺には何百もの「おかめ」の像が安置されていた。千本釈迦堂をお参りした数時間後におかめさんが夢に現われ、私に危険を教えてくれたようだ。何とも不思議な話である。



15日●キンキラキンの西田敏行さん
会社の会議室のようなところ。部屋の真ん中に事務用の回転椅子が置いてあって、そこに俳優の西田敏行さんが座っていた。西田さんは無言のまま(或いは軽くハミングぐらいしていたかも知れない)手を大きく左右に広げ、ミュージカルの舞台上にいるときのような大仰な笑みを浮かべている。しかし何と言っても特筆すべきは、そのいでたちだ。スーツから始まって、シャツ、ネクタイ、靴、帽子、鞄、それにチラッと見える入れ歯に至るまで、ありとあらゆる持ち物がキンキラキンの金づくしなのだ。まるで「今太閣」だと思う。西田さんが付き人に向かって「ねぇ○○ちゃ〜ん、お茶持ってきてくれる〜?」と頼んでいる。私は心の中で、(西田敏行は西田敏行という役柄だけを一生演じ続けるのだろうな)と思っている。
【解説】 何やら突拍子もない印象の夢だった。私はなにしろテレビを見ない上に、邦画もほとんど観ない人なので、西田さんが出ていらっしゃる番組も存じ上げない。にもかかわらずこうして夢に見たからには、西田さんという人は相当インパクトの強い役者さんなのだろう。



16日●3マス進んで1回休み
小さなマスを3つ進んだら、1回休み。そのあとに大きな横長の長方形のマスがある。途中、2人の外国人男性と会話する。
【解説】 今夜の夢には、具体的で長いストーリーが間違いなくあったのだ。ところが目が醒めてみると、肝心の中身は忘れてしまい、思い出せるのは夢の骨格部分だけ。そう言えば今月13日の夢の中でも、私は2人の外国人男性と何らかのコミュニケーションを図っていた。今夜の夢に登場した2人が13日の夢に現われた2人と同一人物なのかどうか、正直なところよくわからない。



17日●寒気とロシア語
耳を凍らす冷たい空気。吐く息が真っ白で、視界一面に幻想的な雪景色が広がっている。その風景の真ん中を、1本のまっすぐな道が通っている。道の行く手に濃霧が立ち込めているため、その先がどのような風景なのかは全くわからない。すべては美しく、まるでバレエの『くるみ割り人形』の世界のようだと思う。私は小走りに道を横切っている。すぐ左横を見知らぬ3人が走っている。太った中年の父親と、小学生ぐらいの息子がふたり。父親が息子たちに向かって何やら早口で言った。その言葉はロシア語またはそれに近い言語だったと思うが、何を言ったのかは不明。私はこの場所を野尻湖へと通じる道かと思っていたが、もしかしたらロシアなのかも知れない。道を渡り終えて反対側の歩道に立った途端、道の行く手が一層白くなって、その直後に寒気がドッと襲ってきた。あまりの寒さに震え上がったところで目が醒めた。
【解説】 目が醒めてみると、現実世界でも寒さに震えていた。昨夜は手違いで暖房をすべて消し、しかも割と薄着で寝たものだから、途中ですっかり体が冷えてしまったのだ。それにしても夢の中で見た風景は美しかった。あそこはロシアだったのだろうか。もう一度行ってみたい。



18日●理想的な街と完全犯罪
私は見知らぬ外国の街で暮らしている。家族がいるのかいないのか、自分が何歳なのか、どんな仕事をしているのか、詳細は何一つわからない。そこはヒマラヤのようなアラブのような、しかしそのどちらでもない街で、全体に桃源郷のような雰囲気が漂っている。気候的には暑くもなく寒くもなく理想的だ。私は毎日のように街のメインストリートを通る路線バスに乗り、ひとりで仕事場(?)へ出かける。大きなマーケットの信号を超えたところにあるバス停で、私は毎日バスを降りる。バスは2階建てで、天井がない2階部分は風通しが良く爽やかだ。メインストリートはまっすぐに伸びており、両側の歩道には大勢の人が歩いている。道の行き止まりには美しい山が聳えている。この山からは非常に良いオーラが感じられる。古い宗教の総本山なのかも知れない。私はこの暮らしに満足している。ある日、私はいつものようにバスの2階席に座っていた。いつもと違うのは、右隣りの席に友達が2人乗っていることだ。ふたりとも長い金髪を腰まで垂らした白人の女性で、年齢は18歳前後。彼女たちとタメグチで話しているから、私自身もかなり若いのかも知れない。今日の私はいつになく浮き浮きしている。近々日本へ一時帰国することが決まったからだ。私たちのすぐ前の席は一段低くなっていて、そこには白人の母子が座っていた。40歳前後の母親と高校生ぐらいの娘だ。ふたりは小さな声で何か話している。それは「完全犯罪」に関する事柄だったと思う。私たち3人はクスクス笑っている。何故ならば、前の母子が言う「完全犯罪」があまりに稚拙なものだったからだ。金髪のうちのひとりが、前の母子には聞こえない小さな声で(何故か流暢な日本語で)「それは完全犯罪というよりは○○○○よね」と言った(※○○○○に入る言葉は最初から聞き取れなかった)。私は笑いながら「それを言うならミカイ密教でしょう」と言った。そんなことを言って笑っているうちに、いつものバス停で降り損ねてしまった。気がつくとバスは野菜マーケット前の交差点を通り過ぎようとしているところではないか(※私が降りるべきバス停は「大きなマーケット」の信号の先にあるバス停で、「野菜マーケット」とは別の場所なのだ)。私は心の中で(乗り過ごしたけど、別にどうってことないわ。歩いて戻ればいいんだから)と思っている。目の前には例の美しい山が、ひときわ大きく聳えていた。
【解説】 今夜は驚くほど長い夢を一晩中見ていたような気がする。つまり、この街で暮らしている夢だ。何日も、何週間も、あるいは何か月もの時間を過ごした気がするが、その間の詳細は一切思い出せない。この夢のキーワードは「完全犯罪」だったように思うが、全体の穏やかな雰囲気の中で、その一言だけが異質でありながら、私にはひどく自然なものに思われたのも奇妙な話である。穿った考え方をすれば、完全犯罪と究極の平和は紙一重なのかも知れない。と言うよりは、究極の平和は完全犯罪の結果としてのみ訪れ得るものではないのか。真の意味での完全犯罪を成功させることは、完全なる桃源郷を創造することと同程度に難しい。何故なら、「完全」という行為は「神」にしか出来ぬ業(わざ)だからである。なお「ミカイ密教」などという言葉は聞いたことがないし、それが何なのか皆目見当もつかない。そう言えば、昨夜と今夜の夢には共に「まっすぐな一本道」が登場した。昨日の道は幻想的で美しいが先が見えず、今日の道は行く手に素晴らしいオーラを放つ山があり宗教の総本山が控えているようだった。どちらも何かを示唆する夢だった気がしてならない。



19日●吉祥天の改名
吉祥天の名前が変わることになった。新しい名前は、「すべての神仏の中で頂点に立つ者」という意味だ。天に届くほど大きな吉祥天の姿が見える。それを見上げる私の気持ちは、雲ひとつない空のように爽やかに晴れ渡っている。
【解説】 今夜の夢には長いストーリーと、いくつかの印象的なエピソードがあったように思うのだが、そのなかで吉祥天はとりわけ強烈なインパクトをもって現われたため、今になって思い出せるのはその部分だけである。改名後の吉祥天の名前を私は何故か思い出せないのだが、それは「曼荼羅」とか「太陽」とか「宇宙の中心」を意味する漢字3〜4文字の名前だったように思う。



20日●お面の新旧交代
古いお面と新しいお面。ちらっと見える白い面のつややかさ。今が新しい物と古い物を取り換えるベスト・タイミングだ。私は(お面のデザインに関すること、或いは新しいお面を掛けておく場所に関することで)娘に意見を求めている。
【解説】 あっと言う間に終わる電光石火の夢だった。しかし「お面」の夢とは、どうにも面妖である。つい最近「おかめ」の面を大量に見たことが今夜の夢の引き金になっているのかも知れないが、どうもそうではないような気がしてならない。ちなみに『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「マスク」の意味は「本心をさらけ出す自信がない/自己防衛本能」、「マスクをはずす」の意味は「自信がつき、これまで畏れていたものを克服できるチャンス」だという。娘に意見を求めていた理由は、実際に私が彼女を信頼していることの表われだと思う。

【後日談】 この夢を見た5日後の1月25日、お茶仲間とご一緒に新橋演舞場へ「初春花形歌舞伎」を観に行った。最初の演目は市川海老蔵の「七つ面」。私は歌舞伎に不案内で、海老蔵を見るのが初めてなら「七つ面」という演目を観るのも初めてである。内容を簡単に言ってしまえば、海老蔵が7つの面を次から次へと取り換えて着け、お正月らしい華やかな舞いを舞うというもの。舞台が始まってすぐに(あっ!)と思ったのは、使われた7つの面のうちの2つまでが、夢に現われた面と瓜二つだったのである。しかも「面を取り換える」という趣旨までが同じとは、一体どうしたことか。キツネにつままれたような気分であった。


21日●食べても減らない霊的な丸い食べ物
直径30センチほどの円形の食べ物が見える。パッと見はピッツァに似ているが、ピッツァよりも薄く、トッピングも施されていない。色はクリーム色。この食べ物は霊的な力を持っていて、食べた人に良い力を授けてくれるのだという。私はこの食べ物を皆に分けてあげることにした。最初はやはり両親にあげよう。そう思って丁寧に食べ物を切った。ふたり分を合わせてちょうど140度の角度になった。私は心の中で(つまり1人当たりに食べ物全体の20%近くをあげる計算だ)と思っている。場面が変わり、今度は直径2〜3センチの小さな丸いお菓子が見える。色はくすんだ薄紫色で、どこか仏教的な感じがする。この食べ物にも霊的な力が籠められており、一口食べるだけで大変な幸運を呼び込めるらしい。私はその食べ物を持って、いろいろな場所を旅している。行く先々で人に逢い、お菓子を分けてあげるのだが、不思議なことに、このお菓子は分け与えても分け与えても少しも減らない。それどころか時間が経つにつれて、最初に見たときよりもつやつやと輝きを増してきたように見える。私が最後に辿り着いた先は、「弘法大師空海がいらっしゃるお寺」という設定の見知らぬ寺だった(高野山の風景ではない)。お菓子を手に寺の中に入って行くと、不意に空海から「はい、御苦労さまでした」と労いの言葉をかけられた。つくづくそのお顔を見れば、そこにいらっしゃったのはナント知り合いのお寺の御住職だったではないか。(この方が弘法大師空海だったのか!)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 今夜は一晩中「霊的な力を持つ丸い食べ物」の夢だけを延々と見ていたような気がする。色々な場所を旅したように思うのだが、具体的にどこへ行き誰と逢ったのかは思い出せない。最後に知り合いのお坊さんが弘法大師空海になっておられた場面は、非常に印象的だった。「この世の中は、どこでバッタリ仏と出逢うかわからないのだから、出逢った人には仏に接するように接しなさい」ということなのかも知れない。



22日●……
【解説】 今日は仕事でほぼ徹夜をしてしまった。ゆえに夢は見ていない。



23日●ブースケの大脱走
前段に長いストーリーがあったのだが、その部分の詳細は不明。気がつくと、目の前に愛犬のブースケがいた。私は彼を散歩に連れて行こうとしているのだが、いつも使っているリードとハーネスが何故か見当たらない。仕方がないので、代わりに縄を使うことにした。ところが大通りまで出たところで、ブースケが突然全力で走り出し、その勢いで縄が途中からプツリと切れてしまった。ブースケはあっと言う間に道を横切り、商店街が続く大通りを全力で走って行く。見る見るその姿が小さくなって行くのを成す術もなく見ていると、家族がやって来て「どうしたの?」と声をかけられた。私は茫然としながら「ブースケが逃げた」とだけ言った。家族は驚いて道の反対側を目で追っているが、私は(今度という今度はもう、ブースケは戻って来ないだろう)と、早くも諦めモードで思っている。こんな形でブースケと別れる日がやってくるとは思ってもいなかったが、しかし彼は彼なりに考えた末に大脱走を試みたのかも知れない。それは彼の自由意思によるものだから、止めることは出来ない。私は追いかけることをせず、諦めて家に戻った。そのあと何日か経ったようだ。私が次第にブースケのことを忘れかけていると、突然、見たことのない中年男性がやって来た。その人は大きな目と濃い眉と角刈りの頭が印象的な、背が高くがっしりした体形の体育会系の男だ。男は、何故かブースケを抱いていた。どこかでブースケを見つけ、わざわざ連れて来てくれたらしいのだ。私はブースケの姿を見てもさほど驚くわけでもなく、(あ、ブースケだ)と淡々と思っている。
【解説】 実は、現実世界で買おうか買うまいか迷っているリードとハーネスのセットがある。迷っている理由は、価格帯がやや高めなのと、今まで使っていたハーネスと形(基本構造)が異なるからだ。今夜の夢には、買おうか買うまいかと迷っている現実の気持ちが単に投影されただけかも知れないが、しかし、「新しいリードとハーネスはあまり良くない」という夢からの警告かも知れない。やはり、あのリードとハーネスは買わないことにしよう。

【後日談】 この夢を見た9日後の2月1日、散歩に行こうとして、ブースケのリードがないことにハタと気づいた。家中くまなく探したが一向に見つからない。こんなことは、ブースケを飼い始めたときから今日までの6年間で初めてのことだ。困っていると家族が「これを使ったら?」と言いながら、なんと縄を持って来たではないか。9日前の夢を思い出して私がとても嫌な予感に襲われたのは言うまでもない。家族に事情を話したところ、「そんな夢を見たのなら縄を使うのは危ない」ということになり、結局、ブースケの散歩は中止となった。もしも家族の提案どおり縄を付けて散歩に行ったら、ブースケはどうなっていたのだろう。夢に助けられたような気がするのは私の思い過ごしだろうか?


24日●満月とお坊さん
こんもりとした山。全体に丸く、穏やかなイメージ。今は夜の始まりで、中空には大きな満月が懸かっている。至るところでススキが揺れていたような気もする。右側の山裾のほうから5〜6人の男たちが山を登って来た。その姿はシルエットでしか見えないが、お召し物から察するに全員がお坊さんのようだ。彼らは山頂まで来ると、立ったままの姿で静かに静止した。「満月とお坊さん」というパーフェクトな組み合わせを間近に臨み、私は温かな風に吹かれながら(平和だなあ)と思っている。
【解説】 21日の夢に引き続き、今月2度目の「お坊さま」の登場である。それでふと思ったのだが、ごく一般的に言って、「お坊さまが登場する夢」は割と珍しいのではないだろうか。私の夢にはしばしばお坊さまが現われる。高野山の学生なのだから、これは当然と言えば当然の現象かも知れない。のみならず、いわゆる“神仏”と呼ばれる存在も、夢の中によく現われる。今月だけでも寿老人、おかめさん、吉祥天が現われてくれた。お正月早々おめでたい限りである。



25日●鶴の夫妻が経営する店
すぐ目の前に小さな店舗が見える。何を商(あきな)っている店なのかよくわからないが、布とか糸とか、裁縫に関係のある物の専門店だった気がする。店先には1羽の鶴がいて、一生懸命お店を切り盛りしていた。彼(彼女?)は仕事に熱中しており、私の存在には少しも気づいていないようだ。そのあと私が一瞬目を離したすきに、最初は1羽だった鶴が、いつの間にか2羽になっていた。彼らは夫婦鶴なのかも知れない。白と黒のツートンカラーが綺麗なご夫妻だ。私は黙って彼らを見守りながら、(この鶴たちは何かの恩返しをしているのだろうか)と思っている。
【解説】 短い夢だった。場面は鶴が経営する店舗を真正面から見据えたワンシーンだけで、鶴の動き以外には何の動きもなく、静かなイメージだった。この前後にも何かストーリーがあったのかも知れないが、思い出せるのは鶴の部分のみ。それにしても彼らは何を商っていたのだろう。黙って見ていないで、客として店に入ってみれば良かった。



26日●ボタンをめぐる物語
服に付けるボタンのことで頭が一杯になっている。私はボタンを買ったり売ったりしているようだが、果たしてそれが大量のボタンをめぐる物語だったのか、それともたった1つのボタンをめぐる物語だったのか、そのあたりは思い出せない。途中で誰か大富豪が現われて、ボタンのために出資してくれることになった。それは私にとって素晴らしいニュースだ。喜んでいるところで目覚まし時計が鳴り、夢は唐突に醒めてしまった。
【解説】 何のことやら意味のわからない夢。しかも、いきなり目覚まし時計に叩き起こされたせいで、目が醒める瞬間に夢全体のストーリーがぼやけてしまった。ちなみに、現実世界では「ボタン」と言われて思い当たる節はない。昨夜の夢には裁縫道具が登場し、今夜はボタン。ひょっとしてこれは二夜連続の続き物なのだろうか?



27日●改札口と水戸黄門
私は“社会的に偉い男の人”のそばにいる。少し歩いて行くと、電車の改札口もしくは空港の搭乗ゲートのような場所が見えてきた。改札口の手前には、水戸黄門と助さん(または角さん)が2人で歩いていた。黄門様は、お馴染みの黄色い頭巾をかぶり、手には杖を持っていた。私は心の中で(あの頭巾、何と言う名前だろう)と思いながら黄門様たちとすれ違っている。
【解説】 またしてもわけのわからない夢だった。夢から醒めて「水戸黄門 頭巾」でネット検索していたら「水戸黄門大学」という面白いページに辿り着いた。どうやらあの頭巾には名前はないらしいが、作り方はわかった。いつか作ってみようか(笑)。



28日●墓石の裏側
すぐ目の前に墓石が見える。誰の墓なのかはわからない。字が彫ってあったはずだが、なぜかその部分は見なかったのだ。つい最近誰かが来たばかりなのか、花が飾られていたような気がする。何を思ったか、私は墓石の裏側に回り、そこに刻まれている何かを発見した。(ああ、なるほど)と納得したところで夢は終わってしまった。
【解説】 夢で見た墓に眠っているのは誰で、墓石の裏側には何が刻まれていたのだろう。詳細は何ひとつ覚えていない。ちなみに「墓の夢」の意味は「過去に葬った記憶が蘇る可能性/人生の転機」だそうである。



29日●風のように爽やかな高校生たち
人里離れた山の中に、真新しい高校の校舎が見える。おそらくお金持ちの子弟が通う私立学校なのだろう、華美ではないが全体に贅沢な造りだ。建物の入口付近には人っ子一人おらず、しんと静まり返っている。だがピカピカに磨かれた廊下を通って建物の奥のほうへ行ってみると、そこには制服を着た生徒たちが大勢いた。男子も女子も薄いグレーのブレザー姿で、思い思いに笑ったり歓声を上げながら兎のように軽快に走り回っている。彼らはまるで風のように爽やかだ。ミニスカートの裾を揺らしながら駆けているショートヘアの女の子の笑顔が知人のTさんに似ている、と思ったところで目が醒めた。
【解説】 健康そのものの高校生たちが笑顔で駆け回っている、エネルギーに満ち溢れた実に明るい夢だった。現実の日本のどこかにも、あれほど元気な高校生がいるのだろうか。いて欲しいけれど、残念ながら夢の中だけのような気もする。なお知人の「Tさん」は、いつも髪をいじってもらっている美容師の女性である。



30日●日比野さんの新しい計画
アーティストの日比野克彦さんと何やら話しこんでいる。と言っても、話しているのはもっぱら日比野さんだけで、私は聞き役に徹しているのだが。日比野さんは何か新しい計画を練っているようだ。その内容がとてつもなく面白いので、私は「ふむふむ」「ほお〜」などと相槌を打ちながら、(やっぱり、この人は凄い人だな)と思っている。このあと、全く違う夢をもう一つ見たような気がするのだが、そちらはどうしても思い出せない。
【解説】 現実世界では、日比野さんと逢うといつも日比野さんが聞き役で、私がベラベラ喋っていることが多い。実際、日比野さんという人はビックリするほど聞き上手なのだ。その日比野さんが、今夜の夢の中ではアートに関することで何か熱弁をふるっていらっしゃった。ところが残念なことに、それがどんな内容だったかは少しも思い出せないのだ。私のバカバカ。



31日●博士論文のテーマを模索する
私は大学院博士課程に進むことを決めたようだ。目の前に白い紙を広げ、そこに思いついたことを書き散らかしている。どこの国の、どの大学に行くか、博士論文のタイトルはどうするか。真剣に考えているうちに、何か方針が決まったようだ(※ここでいきなりブースケが胸の上に飛び乗って来たため、驚いて目が醒めてしまった)
【解説】 この夢を見る半日前、高野山大学に修士論文を提出した。ほっとしたのも束の間、夢の中では早くも博士論文を書き始めようとしていた。我ながら驚くほど勤勉だと思う。今夜は夢の続きをもっと見ていたかったが、ブースケに邪魔されたのは誠に遺憾なことである(苦笑)。





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