2009年11月


1日●鏡に映った白髪に驚く
最初、私は10人前後の人々と会議をしていたようだ。何を話し合っていたのかは思い出せないが、きわめて真面目な議論だったように思う。そのあと別の場所で行なわれる別のミーティングに出席するため、私はひとり部屋を抜け出て、建物の外に出るべく螺旋階段を下りて行った。すると、階段の途中の壁に1枚の鏡が掛けられており、そこでようやく自分の顔が見えた。驚いたことに、そこに映っていた私は髪を長く伸ばしており、その半分ほどが白髪ではないか。鏡に駆け寄り、私はまじまじと自分の髪をチェックした。すると、自分の目線で見下ろしていたときには黒く見えていた髪が、実際には半分ほど白髪になっていたではないか。(これは大変。目の錯覚とは恐ろしいものだ。やはり物事は角度を変えて見なくてはいけない)などと反省しながら、私は生まれて初めて髪を染めるために美容院へ行こうと思っている。
【解説】 昨夜は少しワインを飲み過ぎて、夜中にほんの少し頭が痛かったのだ。おそらくそれが原因で今夜の夢を見たのだろう。ちなみに現実世界では、私の髪はまだ黒い(今のところ)。いずれは白髪になる日が来るのだろうが、今日までのところは一度もヘアダイをしたことはない。また、髪を長く伸ばす予定もない。



2日●善と悪
はじめに何か「善」を具現化したようなモノが見えた。あるいは、私自身が何らかの「善」を行なったのかも知れない。いずれにしても具体的にどんな「善」だったかは思い出せないのだが……。そのあと道を歩いて行くと、右斜め後方の少し高いところに、「何か」が存在するのを強く感じた。ハッとして振り向くと、そこには細長い看板のようなものがあり、それを見た瞬間、私はこれまで自分が「善」だと信じてきたものが「悪」で、「悪」だと信じてきたものが実は「善」だったことに突如気づいたのである。目からウロコが落ちる感覚があり、私はこれまでの自分の価値観を綺麗さっぱり変える準備が出来た。
【解説】 夢が終わって目が醒めたとき、私はいま見たばかりの夢の内容を完全に忘れてしまっていた。ところがそれから10数時間して、ある会合で大勢の人たちと話していたとき、私は(インド宗教の話題からの派生で)「善悪」に関する発言をした。その瞬間、弾かれたように、今夜の夢の内容を鮮やかに思いだしたのである。あの会話がなければ、夢の内容は永遠に忘却の彼方だったことだろう。記憶の引き金は意外なところにある。



3日●読めない漢字
目の前に漢字が次々に現われては消える。今まで一度も見たことのない漢字ばかりだ。読み方がわからず右往左往しながらも、それらの漢字を作った人々の想像力の豊かさに感動して、私は楽しい気持ちになっている。「草冠に松」と書いた漢字が現われ、私は心のなかで(この漢字、見たことがある。春に関係のある植物だったような気がするけど、読み方は何だっけ!?)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 私はmixiユーザーだが、一昨日は「能力大学‐漢字テスト」というアプリにハマった(笑)。世の中は何年も名前から「難解な読みの漢字ブーム」らしいが、私はそういったブームに興味がないので、DSをはじめとするあらゆるゲーム機も書籍も、漢字に関係した物は一切使ったことがない。で、今回、初めての「my漢字ブーム」到来である(笑)。と言ってもたった1日しかハマらなかったが(笑)、1日でレベル13まで行ったのだから、まあまあ良いセン行っているのでは(と自画自賛(笑))。
【後日談】 起床してすぐにパソコンを立ち上げ、「仕事を始める前に一試合だけ……」と思って前述のアプリに挑戦したところ、なんと第一問が「菘」だったではないか! (うわっ、この漢字、夢で見たばかりだよ……。実在したんだ!) 結局、読めずにタイムアウト。あとで調べたところ、読み方は「すずな」であった。やはり春に関係のある漢字だったんだ(※菘は春の七草のひとつ)。こんなことになるとわかっていたら、起床してすぐに漢字の読み方を調べたのに。



4日●本の一部が書き換えられた
過去に自分が書いた本を手にして歩いている(ただし、どの本だったかは不明)。ページを開くと、「カヤマ」とか「サヤマ」という言葉が目に飛び込んできた(カタカナではなく漢字だったと思うが、音しか覚えていない)。その言葉は、私が書かなかった言葉だ。それなのに、いつ誰がどうして、この部分だけを書き直したのだろう。奇妙に思いながら海の見える美しい坂道を登っている私と、海をバックに歩く私を見ているもうひとりの私。
【解説】 この夢を見る前日は、葉山に住む友人を訪ねていた。そこは海の見える坂のある街で、私は友人のお母さまへのお土産に拙著(『夜明けの晩に』)を持って行ったのである。そのあたりの事柄が今夜の夢になったのだろうと思うが、「カヤマ」とか「サヤマ」という名前には思い当たる節がない。あるいは「ハヤマ」だったのだろうか?



5日●胸突き八丁の坂
気がつくと急な坂を登っていた。それは驚くほど勾配のきつい、まさに胸突き八丁の坂だ。しかしその坂の向こうには、大きな仏教寺院(善光寺?)があるという。この坂さえ超えれば、道は開ける。私は(もう少しだ、頑張れ!)と自分を励ましている。
【解説】 「胸突き八丁」という日本語はもちろん知っていたが、今夜の夢を見るまで、実際の胸突き八丁がどんな物であるかヴィジュアルで見ることはなかった。まさに、胸に付きそうなほどの急勾配。その向こうにあるのは、おそらく「救いの象徴」なのであろう仏教寺院。まさに「人生」を思わせる夢だった。



6日●ぼったくり摘発
こじんまりとしたブティック、あるいは小さな割烹料理屋のような場所。そこは外界から鎖ざされた空間で、私はひとり、その部屋に立っていた。同じ部屋の反対側には、若くはないが年寄りでもない着物姿の女性が見える。彼女がこの店のママなのだろう。したたかな眼差し。彼女がお金のことで何か発言した。それは明らかな“ぼったくり”だった。私は(この時を待っていたのですよ)とでも言いたげに胸ポケットからIDカードのような物を取り出し、「査察官です」と告げた。女の頬がひきつる。私の合図で(おそらく武装しているらしい)10人ほどの男が部屋になだれ込んできた。ぼったくり摘発ミッションはほんの数秒でコンプリートし、私は何事もなかったように静かに部屋から出ようとしている。
【解説】 何やらテレビドラマの一場面のような夢だった。とは言え、このような夢を見た理由に心当たりはないし、店にいた女の顔にも見覚えはないのだが。



7日●……
【解説】 今夜は長野市の実家に泊まったのだが、思いがけず夜中に冷え込み、何度か目が醒めてしまった。そのためか今夜は見た夢を覚えていない。



8日●ゲシュタルト崩壊
お習字で「愛」という漢字を何度も何度も練習していたところ、「愛」の字が次第におかしな形に見えてきた。(本当にこれが文字だろうか? おかしな虫のようにしか見えないけれど)と思いながらも練習を続けていると、不意に「笑」という文字が見えた。それを見た瞬間、私は急に眠気から覚めた人のように正気を取り戻し、ゲシュタルト崩壊の危機から立ち直っていた。
【解説】 そう言えば、「愛」と「笑」は、どことなく形が似ているような気がする(笑)。文字のゲシュタルト崩壊に関してはこちらをご参照ください。



9日●犬に関する勉強会
小型犬のケアの方法を学ぶため、勉強会に出席に参加している。参加者は私を含めては3人だ。後方のドアが開き、初老の見知らぬ男性がやって来て、ブースケを指さしながら「この犬は痩せてないからいいね。この犬をモデルに○○をつくろう」と言った(※○○が何なのかは謎)。どうやらこの人が今日の講師のようだ。そのあと私たちは犬の入浴法を教わったのだが、それは従来の入浴法とはまったく異なるユニークなやり方だった気がする。
【解説】 目が醒めてみると、いま見たばかりの夢の中身をほとんど思い出せない。講師の顔も、教わったはずの入浴法も忘れてしまっていた。残念!



10日●いきなり「デブ」の烙印を押される
私のすぐ後ろに、30代後半ぐらいの女性が立っている。パッと見た瞬間、私は「この人の名前はモーリアさんだ」と確信した。予想どおり、彼女の名前はモーリアさんだった(ただし民族的にはどこからどう見ても日本人なのだが)。モーリアさんはかなり体格の良い女性だ。体重も、おそらく私の2倍はあるだろう。私の前には2人の女性が立っている。知らない人たちだが、こちらは恐ろしく痩せている。ほとんど「ガリ痩せ」の部類である。モーリアさんは私たちを見ると、遠慮ない口調で「シルエットが大事なのよね」と言い、私の腰のあたりを触りながら「アナタはデブすぎ」と言い放った。唖然としている私を残し、モーリアさんはカツカツという靴音を残して去って行った。私は(アナタにデブと言われたくないわ〜)と思いながら呆れている。
【解説】 かなり太めの女性からいきなりデブ呼ばわりされるという、前代未聞の夢だった。一体この夢は何を言いたいのか。サッパリわからん(笑)。



11日●Mさんから道を聞かれるが答えられない
前後関係はまったく覚えていないのだが、気がつくと私はゆるい勾配の坂道に立っていた。坂の上のほうから知り合いのMさんが歩いて来た。Mさんは若い頃に美人タレントとして鳴らした人で、60歳を過ぎた現在も美人である。しかも性格の良い人なので、私は日頃からMさんに好感を抱いているのだ。いま目の前にいるMさんは、毛皮のロングコートを着て、落ち着かない様子で四方をキョロキョロと見回している。そのうち私の存在に気づいたMさんは、挨拶抜きでいきなり「マミさん、○○への道順ってわかる?」と尋ねてきた。(注/夢のなかでは○○が聞き取れたのだが、目が醒めてみると何という場所だったか思い出せない)。知らない場所だったので、私はMさんを助けてあげることが出来なかった。Mさんは困ったように(「誰か来ないかな」という顔で)周囲を見回している。
【解説】 短い夢だった。Mさんは現実世界の友達。例年ならば年に何回か会食をするのlだが、今年はタイミングが合わず、まだ一度もご飯をご一緒していない。こんな夢を見たことだし、年内にお食事に誘ってみよう。



12日●息子から注意される
ロンドンにいるはずの息子がいきなり目の前に現われて、小声で「母さん、例のアレね、ちょっとやめた方が良いと思うよ」と言った。私は心のなかで(息子はコンサバだから、目立つことは嫌いなんだろうな)と思い、一応小さく頷いておいた。
【解説】 息子から何を注意されたのか、詳細を少しも思い出せない。息子よ、忘れっぽい母で面目ない(笑)。



13日●四角い岩から飛び降りろ
アメリカ西部かオーストラリア北部にありそうな、赤茶けた土のアウトバック。見渡す限り建物はなく、ところどころに岩がゴロゴロと転がっているほかは、背の低い灌木やサボテンが生えているだけ。私は、尖(とが)った岩の上に爪先立ちで立っている。それは大きな四角い岩の突端部分のようだ。岩が45度の角度に傾いたまま倒れているので、角の部分が上を向いているのだ。目の前に岩肌のようなものがあったので、私はそこにつかまっている。定期バスが乱暴な運転でやって来て、運転手が大声で「アンタ、なんでそんなところにおっ立ってるんだい!?」と訛りの強い英語で叫んだ。バスが行ってしまったあと、私は岩から飛び降りてみた。すると突然、周囲の風景が変わり、またしても私は大きな四角い岩の上に立っていた。それは高さ2〜3メートル、幅5〜6メートル、奥行き3〜4メートルの岩だ。今度の岩は傾いていないので、岩の尖った部分ではなく平らな面の上に立っていられる。その岩からも飛び降りると、私はまたしても別の場所にワープしており、目の前に小学校時代の同級生だったF子ちゃんが現われた。F子ちゃんは艶然と微笑んでいる。目もとが普段より謎めいて、なんだか色っぽい。彼女に何か言いたいことがあるのだが、何も話さぬまま、気がつくとF子ちゃんは消えていた。そのあと私は岩から飛び降り、再び別の場所にワープして大きな四角い岩の上に立っていた。このあとも何度か移動を繰り返し、そのたびに四角い岩の上に立ったり飛び降りたりしているうちに、気がつくと朝になっていた。
【解説】 目が醒めてパッと思ったのは、「キューブリック監督の映画のような夢だったな」ということだった。どこへ行っても四角い岩が現われる、あのシュールな感じが、『2001年宇宙の旅』のなかに何度も現われるおかしなモニュメントを髣髴させたのである。単純な、しかし哲学的なイメージが残った。ちなみにF子ちゃんは小学校のクラスメートだが、現在では沖縄で暮らしている。彼女が夢に現われた理由は謎。



14日●……
【解説】 今夜はほぼ徹夜をしてしまい、そのため夢は見ていない。



15日●水底で眠る仙人をまねようとする
目の前に、驚くほどよく澄んだ水が見える。底まで3〜4メートルしかない浅い池だ。しかし、その水の美しさは実に神秘的で、私の心は強く惹かれている。水底を覗くと、白髪の仙人が横たわっていた。彼は水中でも呼吸できる方法を編み出したらしい。私は彼をマネてみることにした。頭から水に飛び込んだ私は一気に潜って行って、池の底に仰向けに横たわり、こわごわ息を吸ってみた。すると驚いたことに普通に呼吸ができるではないか。ところがそれは1回だけで、2回目以降はやっぱり呼吸が出来ないのである。みるみるうちに息が苦しくなってきた。このままでは死んでしまう。私はあわてて水面に上昇しようとするが、来たときは2〜3メートルしかなかったはずの水深が、いつの間にかその数倍の深さになっている。私は必死で手足を動かし、あわや窒息寸前というところでどうにか水の上に顔を出すことが出来た。
【解説】 目が醒めてみると、実際にかなり息苦しく、呼吸が乱れていた。どうやら毛布が顔の上にかかり、その上にブースケ(犬)が乗っていたらしいのだ。危ない危ない(汗)。そういえば拙著『インド大魔法団』には、池のなかに2時間でも3時間でも潜っていられるという伝説の魔法使いの話が登場する。今夜の夢にあらわれたのは、もしやその人だったのではないだろうか。



16日●ピアノを弾く準備
前後関係はハッキリしないが、私はピアノを弾く準備をしている。いつ、誰のために、どんなシチュエーションで演奏するのかは謎。私は暫くのあいだショパンの「ノクターン」を復習していたが、(ノクターンは夜の曲だ。演奏時間帯が昼間である場合を考えて、何かもう1曲準備しておこう)と冷静に想っている。
【解説】 昼のために用意した曲が何だったかは不明だが、ここ何年もピアノに触っていないので、うまく弾けるわけがない。にもかかわらず夢の中の私は余裕綽々といった風情で堂々としていた。我ながら肝が据わっていてよろしい(苦笑)。



17日●中華料理店で豪遊
今日はおそらくmixiシーズーコミュのオフ会なのだと思う。気がつくと周囲にはシーズーを連れた若い女性10人ほどの姿が見えた。そこは、かなりコアな感じのする中華料理店で、ここのオーナーは香港の九龍出身らしい。目の前の大きな赤い円卓には、所狭しと料理が並んでいる。立ちのぼる湯気。私たちはそれから2〜3時間をかけて豪遊したようだが、今日は誰かお大尽な友達がいたため、お勘定はその人がすべて支払ってくれたらしい。「あざーす」と言ったところで目が醒めた。
【解説】 この夢を見る数時間前、mixiシーズーコミュの友達(リアル友でもある)たちと「ラーメンが食べたいね」という会話を(ネット上で)交わしていた。それがそのまま夢になるのだから、私って本当に素直というか単純だ。



18日●馬と一緒に閉じ込められる
ハッと気がつくと、私はコンテナの中に馬と一緒に閉じ込められていた。(これは呑馬術のさらに先をゆく高等なマジックだな)と思い、私は息をこらして外の様子を窺っている。
【解説】 少し前に「呑馬術」という和妻(=日本の伝統的マジックのこと)を見た。文字どおり、馬を丸ごと1頭呑み込むというトンデモないマジックである。この夢は間違いなくそのときのイメージの反映であろう。



19日●ど真ん中
色々な人から、「真美さんは、どんぴしゃりのど真ん中の該当者ですね!」と言われている。確かに私はいちばん適切な該当者だろう。納得したことはしたものの、あまり嬉しくはない。
【解説】 果たして私は何の該当者だったのだろう。詳細を思い出せないのが実に残念だ。



20日●3枚の竹の板
目の前に、3枚の細長い竹の板が並んで立て掛けられている。長さは数メートルといったところ。何人かの仲間が、板の上に乗って上から下まで滑り降りている。私も、何度も何度も繰り返し板を滑り降りている。
【解説】 今夜の夢は、子ども時代に戻って遊んでいるわけではなく、かと言って現在の自分に関係しているわけでもない、何のことやら皆目わからない内容だった。登場した「仲間」が誰だったのかも思い出せない。



21日●口が消えかかった人たち
口の部分だけが消えかかった男女が、10数人ほど並んでいる。彼らの口の部分は、ぐるぐると渦を巻きながら小さくなってゆき、やがて完全に消えてしまうらしい。私は心のなかで、(以前にもこんな口の人を見たことがある。嫌いな口だ)と思いながら、不気味な気持ちで彼らを見つめている。
【解説】 「口が消えかかった人」というアイテムは、なかなか不気味である。確か、そんな妖怪がいたように記憶しているのだが、さて何という名の妖怪だったろうか。



22日●夜の学校にて
夜の学校。ガラス越しに講堂を覗くと、堂内には着物姿の学生たちがたくさん集まっていた。見た目からして日本の大学生だ。これから講堂で何らかの儀式が始まるのかも知れない。学生たちは大人しくフロアに立っているわけではなく、宙にふわりと浮かんだり、床の上でぐるぐる回ったりしている。
【解説】 とても幻想的な夢だった。あるいは、あれは廃校になった幽霊学校だったのかも知れない(その証拠に、生徒たちには足がなかったような気がする)。



23日●貴重な卵を守る
夢のなかで寝返りを打つと、そのたびに誰か(男性)が小さな声で「卵が…!」と言う。私が「卵?」と聞き返すと、声の主は「卵です」と答えた。何のことかわからないが、どうやらそのへんには卵があって、それは非常に貴重な物らしいのだ。私は卵を誤って潰してしまわないように細心の注意を払いながら、そのへんで寝返りを打ち続けている。
【解説】 これまた意味のわからない夢。声の主は友人だったような気がするが、定かではない。



24日●……
【解説】 目下、ブースケに盛りが付いており(しかも今回はかなり重症)、昼も夜もノンストップでキイキイ騒いでいる。あまりにもうるさいので、同じ部屋で寝ている私はグロッキー気味だ。そのためか今夜は、見たはずの夢を思い出せない。思いだせるのはブースケのキイキイ声と部屋を走り回る足音だけである(大汗)。



25日●……
【解説】 昨夜と同じ理由により、今夜もブースケに安眠を妨害されて眠りが浅かったためか、見たはずの夢を思い出せない。「何らかの夢を見た」という記憶だけはぼんやり残っているのだが……。



26日●……
【解説】 昨夜に同じ。夢を思い出せないだけでなく、さすがに睡眠不足がひどくなってきた。盛りがついたブースケは、かなりしつこい(苦笑)。しかしながら、犬たちだけ別の部屋に寝かせようとすると、こちらの寝室に入って来ようとドアをノックし大騒ぎになるので、結局こちらは寝不足になる。……暫く「夢」は諦めよう。。



27日●同窓会で密談する人たち
平凡なたたずまいの小さな喫茶店。今、この店内では同窓会が行なわれている。集まっている人々も、ごく平凡な日本人だ。店の一角が細長い廊下のようになっていて、そこだけが死角になっている。同窓会のメンバーのうちの3〜4人が、そのコーナーに引きこもり、椅子に座って小声で話し合っている。彼らは今、何やら密談をしているのだ。
【解説】 何となく唐突な印象のある夢だった。平凡な喫茶店、平凡な人々、平凡な同窓会。にもかかわらず、そこで密談が交わされているというシチュエーションが、何となく面白かった。一体これがどんな種類の同窓会だったのかは不明。



28日●おばあちゃんの家
気がつくとおばあちゃんの家の入り口に立っていた。木製のゴミ箱、垣根、木の門。(あっ、おばあちゃんの家だ!)と思う間もなく、私は無性に懐かしい感情に襲われて門の中へ駆け込み、おじいちゃんが剪定した盆栽や樹木がたくさん茂った庭をぐるりと抜け、ガラガラを音をたてて玄関の扉を開けて開いた(その頃は施錠なんてしないので、扉はいつでも簡単に開いたのだ)。「おばあちゃん!」と言いながら玄関に入る。おばあちゃんの優しい笑い顔が見えたところで目が醒めた。
【解説】 久しぶりに祖母(=母の母)の夢を見た。祖母は、私が大学を卒業してオーストラリアに留学する直前の1982年7月に病気で亡くなった。今から27年も昔の出来事だ。亡くなったときに祖母が住んでいた家は、私が小学校の1〜2年生の頃に新築した家だが、今夜の夢にあらわれた夢は、その前に住んでいた古いほうの家(戦前の建物)である。どちらの家も、疾うの昔に取り壊してしまって今は面影すら残っていない。古いほうの家に関して言えば、今こうして思いだそうとしても細かなデザインは思いだせないのに、夢のなかでは畳の目の一つ一つまでがハッキリと見えた。潜在的な記憶とは凄いものだ



29日●インドの道の曲がり角
数人の人たちと一緒に1台の車に乗っている。どうやら彼らはインド人らしいが、顔はよく見えない。車が走っている道路はニューデリーの目抜き通りだという(ただし、実際には見たこともない風景なのだが)。道路はすべて平行または直角にデザインされている。そこには交通渋滞もないし、道路の穴凹もない。まったくインドらしくない理路整然とした街なのだ。車は目抜き通りを走っていたかと思うと、途中で何度か平行する細い通りに入り、また目抜き通りに戻るということを繰り返している。一緒に車に乗っていた男がヒンディー語で、「この次からは、ここで曲がるのがいいです。このポイントを覚えておいてください」と言った。男が指さしたところには、大きなホテル(ハイアット?)が建っていた。
【解説】 何やら意味のわからない夢。上の文章を書いていて思いだしたのだが、そう言えば今夜の夢の途中で、何かワクワクするような出来事があった気がする。しかし、それが何だったのかは残念ながら思い出せない。



30日●肺に効く薬
誰かが目の前に現われて、「近頃どうも肺の調子が良くないんです」と言った。それは友人の誰かだったように思うのだが、誰なのかはよくわからない。私はブータンから持ってきた薬を取り出し、「これは肺の病気にとてもよく効きますよ。飲んでみてください」と言いながら差し出した。友人は礼を言い、お金を払おうとしていたが、私はそれを制止して「お金なんか要らないから、とにかく早く薬を飲んで病気を治してください」と言っている。そのあと数人の友人がかわるがわる訪ねて来たような気がするが、それが誰だったかも思い出せない。
【解説】 この夢を見て、ブータンやチベットには肺や喉の疾患に効くお茶があることを思い出した。昔、日本人の友人が「何か月も咳が止まらない。病院へ行っても『特に悪いところはない』と言われてしまい、どうしてよいやら困っている」と言っていたので、ヒマラヤへ行ったついでにチベット医師からお茶を買って来たことがある。そのお茶を飲んだ友人は、何か月も止まらなかった咳が1週間ほどで止まったそうである。この次ヒマラヤへ行ったら、またあのお茶を買って来ようと思う。

【後日談】 この夢を見た丸一日後、年下の女友達から「私、最近なんだか肺が弱っているみたいなんですよね」と言われた。彼女から肺の話を聞くのは初めて。彼女に限らず、そもそも誰かと話していて「肺」の話が出ること自体が稀だ。肺の夢を見た翌日に肺の話が出ること自体、どうにも奇妙である。彼女にブータン茶をプレゼントしようと思う。




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