2010年8月


1日●インドからの帰国と天狗の面
最初に教室のような部屋が見えた。どうやらそこはインドらしい(但しインド人の姿が見えたわけではなく、夢には最初から最後まで私1人しか登場しないのだが……)。教室の正面、ブラックボードの右上のほうに、天狗あるいはそれに類似した神様のお面が掛けてあって、それが非常に強い印象を与えている。何か精神の葛藤があったあと、私は急遽、「日本へ帰ろう」と思った。一旦「帰る」と決めた瞬間、それまで胸の中でとぐろを巻いていた黒雲のようなものが一気に晴れ、驚くほど爽快な気分がやって来た。まさにルンルン気分で身支度を済ませ、住んでいた家も家財道具も大部分をそのまま放置して、私はさっさと日本へ戻ってしまった。それから暫く解放感を満喫していたのだが、ある日突然プラカーシュの顔を思い出した。プラカーシュはインドでサーバントとして雇っていたネパール人の少年だ。そう言えば彼に「さようなら」を言わず帰国してしまったが、彼は今頃、所持金もなくなって困り果てているのではないだろうか。急に心配になった私はインドを訪ねてみた。例の教室のような部屋に入って行くと、人影のない静かな部屋の正面にポツンと、例の天狗のお面が掛かっていた。
【解説】 今夜の夢には見事なほどの「序破急」の展開があった。スピード感と緊張感がみなぎった夢でありながら、音はなく、しかも登場人物は自分だけ。心の内側を静かな湖面に写してみたような、何か訴えかけてくるもののある内容だった。特に「天狗の面」に今夜の夢のメッセージが集約されていた気がするのだが、それはやや“威圧的に”何かを訴えていたように思う。



2日●メタリックな卵が2つ
前後関係がまったくわからないのだが、すぐ目の前に卵が2つ並んでいるのが見えた。2つの卵は「双子」らしい。殻の感じが金属的で、色は金と銀の中間のような感じ。私たちはこれらの卵を観察したほうがいいと思う。
【解説】 意味のわからない夢だった。最後に「私たちは……観察したほうがいい」というフレーズが頭に浮かんだが、「私たち」とは具体的に誰のことなのだろう。人類全般という意味なのか、具体的に誰かを指しているのか。まったくわからない。



3日●記憶しなければいけない3つのこと
記憶しておかなければいけない事柄が3つあって、私は必死でそれらのことを頭に刻みつけている。しかし、すぐに忘れそうになるので、メモを取ることにした。3枚の紙に3つのメモを取り、ようやくホッと安堵する。ところが今度はメモった紙を紛失してしまったではないか。頭の中はからっぽだ。何を記憶しようとしたのか少しも思い出せず、私は困っているのだが、困りながら、「困るは『こまる』ではなく『あずる』と読んだほうがいい」などと心の中で思っている。
【解説】 目が醒めてから、記憶しようとした3つの事柄を一生懸命思い出そうとしてみたのだが、やはり思い出せなかった。最後に「困る」を「あずる」と読んでいたが、これは讃岐弁である。現実世界ではこのところ讃岐弁の研究をしているので、それが夢にも現われたらしい。全体的に「何が言いたいのかサッパリわからない夢」であった。とりあえず何かをメモしたら、その紙をなくさないように注意しようと思う。



4日●寝湯とゼットン
最初に別のストーリーがあった気がするのだが、そこは思い出せない。気がつくと私はのんびり寝湯(ねゆ)に浸かっていた。ここは過去に来たことのない温泉だ。温度がぬるめで、この分だと何時間でも湯船に入っていられそうである。足もとに案内板のようなものが見えた。温泉の効能が書かれているのかと思って目を凝らすと、そこには何故かゼットンという怪獣の身長や体重、得意技などが書かれていた。「えっ?」と思ったところで目が醒めた。
【解説】 とてものんびりした気持ちの良い夢だったのに、最後は何故かゼットン(苦笑)。意味不明である。

【後日談】 目が醒めて一番にしたことは(足りない食材を買いに)コンビニへ行くことだった。ついでに1冊の雑誌を買い、なぜか前からではなく後ろから開いたところ、最初に見たページに知人の顔写真が載っていた。日本文化デザインフォーラムでご一緒の稲本健一さんだが、彼はなんと「ゼットン」という会社の社長さんなのである。これって正夢だろうか。ちなみに普段の私は雑誌を後ろから読むなんてことはしない。必ず前から開く。今日に限って後ろから開きたくなったのも不思議な話だ。


5日●スローモーションで飛ぶ巨大ペリカン
気がつくと私は、かなり交通量の多い道路の脇に立っていた。そこは見たこともないほど複雑に絡み合った立体交差の道で、片側車線だけで5〜6レーンはあっただろうか。絶え間なく自動車が走っている。私は赤ちゃんを抱いており、近くには仕事関係の知人(おそらく白人男性だったと思う)が2〜3人立っていたようだ。不意に、眼下のアンダーパス(ガード下の通路)から、驚くほど巨大なペリカンが4〜5羽、悠然と飛び出して来た。あまりにも意外な展開に驚愕して、私は手すりから身を乗り出し、赤ちゃんにも見えるよう体勢を変えてあげながらペリカンに注目した(この時点でわかったのだが、抱いていた赤ちゃんは人間に生まれ変わったブースケであった)。ペリカンは私の目の前を右から左へとスローモーションで飛んでいる。ボスらしき1羽が先導し、その後方を残りの数羽が飛んでいる。アンダーパスから出た彼らは、自動車のほんの少し上を優雅に低空飛行している。そのあたりだけ時間の進み方が異様に遅く、実際のスピードの10倍程度のスローモーション動画を見ているようだ。ペリカンは驚くほど大きく、1羽の重量が1トンはあったのではないか。まるで象並みの存在感である。次第に高度をあげてゆくペリカンたち。私はまさに夢でも見ているような気分でペリカンを見送っている私。その直後、少し離れた別の場所で何か別の巨大生物がスローモーションで空を飛ぶ光景にも遭遇したのだが、それが何であったかは思い出せない。
【解説】 とても幻想的で美しい夢だった。そういえば数年前、オーストラリアの北方にあるデイントゥリーという森林の中で、100羽以上のペリカンの大群が一斉に地上から舞い上がる場面に遭遇したことがある。鳥類にしては重量があるため、ゆっくりと高度をあげてゆく感じで、まさにスローモーション映像を見ているようだった。あのときに見た光景が、不意に夢の中で再現された感じであった。なお、ブースケは私の愛犬(7才シーズー♂)である。そういえばつい先日、電車の車内でなんとブースケそっくりの人間の赤ちゃんを見た(笑)。今夜の夢にはその出来事も反映されたようだ。



6日●全裸でレモン片手に演説する女優
家庭用の小さなお風呂場が見える。もうもうと立ち込めた湯気が視界をさまたげているが、湯船に入っているのは20歳ぐらいの多岐川裕美さんらしい。風呂のこちら側では、私を含む何人かが多岐川さんに注目している。多岐川さんは演説をぶっている。話の詳細を思い出せないのだが、どうやらコソ泥などの軽犯罪に対する憤りを述べていたようだ。その口調はまるで「青年の主張全国コンクール」の決勝戦のような堂々たるものだ。私は(テレビで見る多岐川さんはとても女らしい人だけど、こうして話を聞いてみると随分オジサンっぽいなあ)と思い、驚いている。そのうちに多岐川さんは、なぜかレモンを片手に持って高く掲げて演説を続けながら、いきなり風呂の中で立ち上がった。そのためヌードが丸見えになってしまったのだが、カメラを取り出すような不埒な人は一人もいなかった。私は(さすがは多岐川さん。これも彼女の人徳だ)と思っている。
【解説】 何のことやら全く意味のわからない夢。多岐川裕美さんといえば、実際には50代後半ぐらいかと思うが、20歳ぐらいの時の妖艶な美しさは只事ではなかった。あのように妖しい美しさを持つ女優さんには、その後(日本では)一度も出逢わない気がする。そういえば彼女は昔、『酸っぱい体験』という歌が大ヒットして、テレビCMで酸っぱい飲料を飲むシーンも大評判になっていた。夢にレモンが登場したのは、そのためかも。



7日●「黒いウサギ」と伝える
前後関係がわからないのだが、私はある決められた時間内に「黒いウサギ」という言葉を誰かに伝えなくてはならないらしい。ところがメッセージを伝えるべき相手が現われず、焦っている。そこへ若い女性が現われたので、私は「黒いウサギ」と言った。本当は「失礼ですが」とか「よろしくお願いします」と付け加えたかったのだが、そうする時間もなかったのだ。するといきなり場面が変わり、私はどこか広いお寺の境内(?)の床に仰向けに転がっていた。高い天井の隅のほうで、黒い影のような物がサササッと動いた。ネズミだと思い注視していると、相手は私の視線を感じたのか、途中で凍りついたように止まってしまった。よく見ると、それはネズミではなく、ネズミの形のシミだった。
【解説】 黒いウサギに黒いネズミ(のシミ)と、影のような生き物が登場する夢だった。この夢は信州の山小屋で見たのだが、夢から醒めると、隣で寝ていた娘のLiAから「そういえば夜中にいきなり“黒いウサギ”って言われたよ。寝言と言うより、キーワードでも読み上げるような口調だった(笑)」と言われた。寝言まで言うとは、よほどこの言葉が気になっていたのだろう。この夢は信州の山小屋で見た。



8日●煙突のある裏町
見知らぬ場所を歩いている。すぐ近くに工場の煙突が数本立っていて、町全体に黒く煤(すす)がかかっているようなイメージ。いかにも裏町である。早足に歩きながら、私は(以前にもこれと似た町へ行ったことがある)と思っている。
【解説】 この夢の前後にも何かストーリーがあったような気がするが、残念ながら思い出せない。東ヨーロッパを思わせるイメージの町だったが、私は現実には東ヨーロッパへ行ったことがない(寒い場所が嫌いなので)。この夢も山小屋で見た。



9日●太った女のKYな孫に予定を邪魔される
知らない街。異国的な風景。古いヨーロッパ映画に登場するような地味な(しかし素敵な)アパートに私はひとりで住んでいる。今日は夕方から友人のYさんと逢うことになっている。ところが、何かにつけて私の人生の邪魔をする初老の太った女がいて、今日も邪魔をしてきた。なんと彼女の孫(4〜5歳の男の子)の世話を押し付けてきたのだ。夕方になって、男の子がひとりで遊びに来てしまった。私は迷惑がりながらも、その子の顔を見るとなぜか急に遊んであげたくなって、デパートへ連れて行くことにした。男の子はエキゾティックな顔立ちをしている。日本語を話しているが見た目はハーフだ。知人のタルンという男の子とよく似ていたので、ここでは仮に「タルン似」と呼ぶことにしよう。タルン似と私はデパートの最上階へ行った。何か子どもが喜ぶものを置いているフロアだ。タルン似は大喜びで、それを見ているうちに私も楽しくなってきた。タルン似はKYなところはあるが、それは彼のお婆さん(例の太った初老の女)の教育が悪いからであって彼自身のせいではない。私はタルン似の我儘でKYな性格を少しずつ治してゆくことにした。タルン似は本当は素直な子で、注意されるとすぐに非を改める。そのため私も、この子と一緒にいるのが苦痛ではなくなってきた。そのあと別のフロアへ行った。私はタルン似に何か買ってあげたくなり、「今日の記念に何か買ってあげようか」と聞いた。すると彼は目の前の宝石売り場へ走って行って、オパールだったかサファイヤだったか忘れたが、大きな原石を欲しがったではないか。私があわてて「そういう高い物は誕生日にしか買ってあげない」と言うと彼もアッサリ諦め、何か廉価な物を選んだ。私は心の中で(当分この子の誕生日が来ませんように)と祈っている。さて問題は友人のYさんとの約束だ。どうやらこの世界には携帯電話という物が存在しないようで、Yさんに連絡するためには一旦アパートへ帰らなければならないらしい。Yさんには逢わなければならないが、そうかと言って小さな男の子を見捨てることもできない。決断を下そうとした瞬間、犬(パンダ)に飛び付かれて目が醒めてしまった
【解説】 イミシンな夢であった。本当はしたいことがあるが、しようとすると邪魔が入る。しかも、邪魔は意外な形で入る。さらに、最初は邪魔だと思っていたことが次第にそれほど嫌ではなくなり、最初の予定をおびやかすようになる……というのが今夜の夢のテーマなのだが、問題は「太った初老の女」が現実には何を(あるいは誰を)暗示しているかということだ。まあ、該当しそうなもの(あるいは人)は複数存在しているのだが(苦笑)。現実を看破されたような、しかしどこかユーモアと諦観の漂う夢であった。もしかしたら私は悟りを開きかけているのかも知れない(苦笑)。最後は(犬に起こされて)ストーリーが尻切れトンボになってしまったが、確か私は男の子を連れたままYさんに逢うことにしたのだと思う。この夢も山小屋で見た
【後日談】 この夢を見た翌日、なんとタルンのお母さま(米国在住)から約1年ぶりにメールが届いた。特に急な用事があるわけではなく、「急に貴女のことを思い出したので書いています」というような内容だった。私の夢にタルンそっくりの少年が現われた同じ時に、タルンの母も私のことを思い出していたとは! ちょっと不思議な以心伝心である。



10日●女子アナのスケジュールを覗き見
最初に誰かが死んだ。殺されたのかも知れない。誰だったかどうしても思い出せないのだが、妖艶さとスタイルの良さで知られる国民的美女だった気がする。その人が死んだことを、なぜか私は心から祝っている。場面が変わり、目の前に2人の女子アナが見えた。そのうち1人は肉感的で、いかにも男受けしそうな(女性受けは悪そうな)美女だ。仕事を終えた2人はありきたりな挨拶を交わし、それぞれの家へ帰って行った。そう言えば明日は元旦だ。私はふと肉感的な女子アナの私生活に好奇心を覚え、彼女の正月の予定を覗き見ることにした。目の前の装置をいじると、壁の巨大スクリーンに彼女のスケジュールが映し出された。1月1日の予定は「ON DUTY」と英語で書かれていたと思う。奇妙な表現だが、彼女はこれで「出社」と言いたいらしい。2日、3日、4日の予定も「ON DUTY」とあり、5日は「FRANCE」となっていった。しかしその翌日からは再び「ON DUTY」である。私は心の中で(1日でフランス旅行に行って来られるはずはないから、「フランス」は彼女の行きつけの美容室かレストランの名前なのでは?)と思う。私は急に楽しい気分になって、笑い出しそうになっていた。
【解説】 「家政婦は見た」的な夢であった(笑)。夢の冒頭でいきなり死んだ「美女」と「女子アナ」は別人のはずだが、タイプ的には酷似していた。女子アナは知人のXさんに似ていたが、Xさんはアメリカに留学したことがあるにもかかわらず英語はほとんど話せないという残念な人だ。今夜の夢に登場した「ON DUTY」という奇妙な表現や、どこか見栄を張った感じのする「FRANCE」という言葉が、Xさんらしいと言えば言える。しかし現実にはXさんとは長いこと逢っていないので、今どこでどうしているのかはわからない。夢に登場した理由も不明。この夢も山小屋で見た



11日●真夜中にハロウィンを祝う子ども達
デパートの売り場のようなイメージの広い部屋。今は真夜中らしいが、大勢の人が集まっている。服装から察するに、どうやらパーティーをしているらしい。そこへ3人の幼い男の子を連れた客が入って来た。男の子たちは全員シルクハットにタキシード姿だ。尖った犬歯の入れ歯をしていたかも知れない。どうやら今日はハロウィンらしいのだ。私は(今はハロウィンの季節だったっけ?)と心の中で疑問に思いながら時計を見た。夜中の1時近い。こんな時間に幼児を遊ばせていいわけがない。しかし私の立場では、思ったことをそのまま口にできないのだ。おそらく私はここの従業員なのだと思う。30分か1時間ほど奥のオフィスに籠って仕事をして、再びパーティー会場に戻ってみると、3人の子どもたちは相変わらず賑やかに走りまわっていた。私は(ちゃんと睡眠を取らせなくては体に悪いだろうに)と思う。そのあと再び奥のオフィスへ行ってみると、応接セットの小さなテーブルの上に花瓶があって、1輪の花が活けてあった。それを見ると、私は一瞬にして何かを納得した。
【解説】 昨日の夢は正月、今日の夢はハロウィンという設定である。真夏にこんな夢を見るとは、ずいぶん季節感がおかしくなったものだ。そういえば昨夜、山小屋を大掃除していたら、昔インドで撮ったハロウィンの仮装写真が10枚ほど出てきた。写っていたのは私、娘、息子の3人である。ひょっとするとこの写真が今夜の夢の原因だろうか。それにしても私は最後に何を“納得”したのだろう。思い出せないだけに気になる。この夢も山小屋で見た



12日●怖い病院
病院のような建物。院長(女性)の家は病院に隣接しており、病棟からは細い渡り廊下(ただし屋根・壁つき)を通って行ける構造だ。その廊下は何度か鍵状に曲がっている。夢の最初のほうで、いくつかの事件が起こった。どれもゾッとするような陰惨な事件だったのだが、そのうち覚えているのはゴルフボール大の赤い塊と血があちこちに散らばっていたこと。どうやらそれは院長の老母と関係があるらしい。院長の老母は奥の部屋で寝たきりで、最近は院長以外、誰も顔を見た者がいない。院長は50歳前後のやや肥満気味の女性で、ぼさぼさの長い髪を後ろで無造作に束ねている。肌は褐色で、インド人のような顔をしている(あるいは本当にインド人なのかも知れない)。全部で2〜3人の登場人物がいたのだが、顔を思い出せるのは院長だけ。残りは西洋人だったり日本人以外のアジア人だったりで、日本人は私だけのようだ。色々なことがあったが詳細は忘れてしまった。最後に誰かが血相を変えて院長を呼びに来た。院長の母親が大変だという。院長のあとを追って私たちも(例の渡り廊下を走って)院長宅へと急いだ。驚いたことに、院長宅の入り口の白い壁は肉片と血痕で真っ赤に染まっていた。「院長の母親の姿を見るのが怖い」と思ったところで、運良く(?)犬のパンダが起こしに来たため目が醒めてしまった。
【解説】 『サイコ』のように不気味な夢だった。そういえば昨夜は久々に楳図かずお大先生の恐怖漫画を読んでから寝た。それで早速こんな夢を見たのだろう。また最近は100歳以上の日本人のうち生死不詳の者が驚くほど多いとニュースになっている(遺族による年金詐称)。この事件も、今夜の夢に影響を与えているのかも知れない。この夢も山小屋で見た

【後日談】 この夢を見た直後、インドの友人からメールが届いた。個人的なことなので詳細は書けないが、ひとりの女医さん(インド人)に関することで私に頼み事があるという内容だ。私はその女医さんに逢ったことがないし名前を聞くのも今日が初めてなのだが、年齢は50歳ぐらいだという。夢に現われた女医も50歳ぐらいだった。これで顔や体型も似ていたら「ビンゴ!」である。なお、友人からのメールに書かれていた本物の女医さんは9月に来日する予定。その日が楽しみだ。
【後日談の、そのまた後日談】 9月某日、上記の「後日談」に書いた女医さんに会った。「やはり」と言うべきか「まさか」と言うべきか、現われたお医者さんは夢で見た人の顔と瓜二つであった(ただし肥満体ではなかったが)。髪のボサボサ加減も夢とそっくりで、どうにもこうにも不思議というか奇妙である。


13日●……
【解説】 今夜はブースケ(犬♂)に盛りがついて一晩中パンダ(犬♀)を追い駆け回していたため、あまりの騒々しさに夜中に数回ほど叩き起こされてしまった。そのため、見たはずの夢の内容はまったく覚えていない。



14日●……
【解説】 昨夜に同じ。ブースケは夜中にキィキィ言いながら大騒ぎをし、昼間はグースカ爆睡している。つまり完全に昼夜が逆転しているのだ。なんという安眠妨害。頼む、騒ぐなら昼間にしてくれ!



15日●必死でメモを取る
忘れてはならない2つのことがあって、私は必死でメモを取っている。短冊のような紙に縦書きしていたと思う。メモをし終えてホッとしたあと、どこか別の場所に行った気がするのだが、そのあとのことは思い出せない。
【解説】 そういえば私は比較的ひんぱんに「必死でメモを取る」夢を見る。眼が醒めてみると、大抵の場合はメモしたことの内容を思い出せないのだが、今回もご多聞に漏れず、何を書いたか覚えていない。この種の夢はちょっとばかり疲れる。この夢も山小屋で見た。



16日●ドはドンガラガッシャンのド
森の中を歩いていたら、とても素敵な桑の木があって、その下に可愛いキューピーさん(人間の赤ちゃんほどの大きさがある)が座っていた。キューピーさんは私の顔を見るなり、待っていましたとばかり、「ドはドンガラガッシャンのドだよ。じゃ、レは何のレ?」と聞いてきた。私は一瞬「うっ」と思ったが、すぐに「レはレレレのレ〜」と答えた。その直後に現われた魔法使いのようなお婆さんからアップルパイを貰ったように思うのだが、そのあとのことは思い出せない。
【解説】 一瞬「おとぎの国」へ行って来たような、なんとも不思議な気分になる夢だった。ちなみに「レレレのレ」は『天才バカボン』に登場するお掃除おじさんのキメ台詞である。念のため。
【後日談】 この夢を見た数日後、ある女性からアップルパイをいただいた。個人が特定されるといけないので、これ以上のことは書かないが、彼女は夢に現われた魔法使いのお婆さんに瓜二つだった。



17日●3人の長身イケメンに囲まれる
私は細長い廊下を歩いている。右隣りに背の高い男性がいるようだが、顔は見えない。反対側から2人の男性が歩いて来た。1人は友達のAさん(芸能人)で、もう1人はキムタクを150%濃くしたような感じのイケメン。後者(キムタク似)は実際には見たことのない人だが、夢の中では私の“元彼”という設定になっている。この人を仮にBさんとする。Aさんが私に「やあ久しぶり、こんなところで何しているの?」とにこやかに話しかけて来た。Bさんもにこやかに挨拶してきた。これは意外だった。私はBさんに(過去のことで)何か怒られるのではないかと思い、正直ビビッていたのだ。Bさんが怒っていないことを知ってホッとする。そのとき、それまで隣りを歩いていた男性(仮にCさんとする)が突然、「AさんもBさんもイケメンですね」と冷たく言い放った。このとき初めてCさんの顔が見えたのだが、この人もやはり背の高いイケメンで、実際には見たことのない顔だが夢の中では“今彼”という設定のようだった。つまりAさんは“友人”、Bさんは“元彼”、Cさんは“今彼”という設定で、全員が長身のイケメンなのである。私は心の中で能天気に「なんて豪華なメンバー!」と思っている。
【解説】 なんともバブリーな夢だった(笑)。しかし実際には、私は“すごいイケメン”は好きではない。むしろ“プチイケメン”とか“よくよく見るとイケメン”ぐらいのほうが風情があってステキだと思う(笑笑)。現実にこんな3人に囲まれていたら疲れそうだ。この夢も山小屋で見た



18日●マナちゃん
夜の気配。私は大きなモールの中にある喫茶店のような場所にいて、ハッと気がつくと両手で小さな子どもを抱きかかえていた。一目見た瞬間、(あっ、マナちゃんだ!)と思う。マナちゃんは友人のお子さんで、もうすぐ4歳になる女の子だ。マナちゃんはちょっと疲れたような、怒ったような表情を浮かべ、胎児のように手足を曲げた姿勢でじっとしていた。私は(いつからマナちゃんを預かっていたのだろう)と不思議に思いながらも、とにかくこの子を家に連れて帰らなくてはと思う。本当はこれからお楽しみ(飲み会または音楽のライブショー?)が予定されていたのだが、それはキャンセルすることにした。マナちゃんが手に何かをしっかり握りしめていたので、それを受け取って見たところ、綺麗に丸めてビニール袋に入れたおむつ(使用済み)だった。マナちゃんが自分で使って自分で綺麗に丸めてビニール袋に入れたらしい。それは、マナちゃんが赤ちゃんを卒業してお姉さんになった印なのだと思う。「マナちゃん、えらいね!」と言おうとしたところで目が醒めた。
【解説】 マナちゃんは友人の娘さんだ。赤ちゃんの時からずっと写真で成長を見せてもらっているが、まだ実際に逢ったことはない。マナちゃんのママは現在第二子をご懐妊中で、マナちゃんはもうすぐお姉さんになる。マナちゃんがなぜ私の夢に遊びに来てくれたのか理由はわからないが、何かを強く訴えかけて来るような、印象的な夢だった。この夢も山小屋で見た



19日●人類の未来を憂慮する赤ちゃん
夢の画面の左下に可愛らしい女の赤ちゃんと、複数の男たちが見える。男たちは政治家あるいはそれに似たプロ集団らしい。赤ちゃんと男たちの関係は不明だが、血縁関係はなさそうだ。赤ちゃんは1歳ぐらいで、キューピー人形のように目がくりくりとして可愛らしいが、実は恐ろしく精神年齢が発達している。赤ちゃんは人類の未来を憂慮しながら、なかば諦めに似た感情を抱いている。しかし赤ちゃんが何を考えているか誰も知らない。
【解説】 今月は9日に「4〜5歳の男の子の夢」、11日に「3人の子ども達の夢」、16日に「キューピーの夢」、18日に「3歳ぐらいの女の子の夢」、そして今夜は「キューピーのような赤ちゃんの夢」と、幼い子どもの夢が続いている。夢は私に何を言いたいのだろう。今夜はこのほかに2つ夢を見たような気がするが、その内容は思い出せない。この夢も信州の山小屋で見た。



20日●運転席でいきなり懸垂
山奥の道を自動車で走っている。アスファルト舗装はされておらず、土煙が舞っている。大きなカーブに差しかかったとき、私は運転席に座ったままいきなり鉄棒のようなものに両手でぶら下がり、腕に筋肉をつけるために懸垂を始めた。
【解説】 短い夢だった。腕に少し筋肉をつけたいのは確かだが、それにしても運転席でいきなりとは……シュールすぎる。この夢も信州の山小屋で見た



21日●息子にフワフワした物を届ける
田舎道。車を運転している私。2つの異なる風景、または2本の異なる道(ただし2つの風景または2つの道は、かなり近い場所にあるらしい)。雲か綿菓子のように白くてフワフワした大きな物。幼い頃の息子のイメージ。私は誰かに何かを届けようとしているようだ。おそらく息子にフワフワしたものを届けようとしているのだろう。それは割と急ぎの仕事らしい。ほのぼのとした雰囲気。隠遁生活。静かな昼下がりのイメージ。
【解説】 今夜の夢にはストーリーらしいストーリーがなかったのかも知れない。眼が醒めてみると断片的なイメージだけが残っており、まとまった文章にならない。平和でシンプルなイメージの夢だった。フワフワした物は、「形にならない未来」とか「漠然とした希望」とか「夢」を表わしていたのかも知れない。この夢も信州の山小屋で見た



22日●身代わり、奈落の底へ
地面が全体に左側に傾いている。私のすぐ左前には奈落がある。一体どれほどの落差があるか見当もつかないほど、深い深い奈落だ。私はときどきスーッと気が遠くなって、奈落へ落ちて行きかける。何度か落ちかけてはハッと意識が回復して、どうにか落ちずに済んでいる。その直後、私が抱えていた白くて柔らかいクッションのような物が風で飛ばされ、ふんわりと奈落の底に落ちて行った。(ああ、クッションが私の身代わりになってくれたのだな)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 夢から覚めてみると、白いクッションを必死で抱えたままベッドから落ちそうな体勢になっていた(苦笑)。これでは奈落に落ちる夢を見るわけだ。この夢も信州の山小屋で見た。



23日●ビニール袋を這い上がる虫たち
気がつくと私は右手で透明なビニール袋を握りしめていた。中にはたくさんの昆虫や蜘蛛、それに枯れ葉のようなものが入っている。彼らが袋から出ようとして恐ろしい勢いで這い上がって来るので、私は袋を揺さぶって虫を下に落としている。
【解説】 今夜の夢には、もっと長く複雑なストーリーがあったと思う。しかし思い出せるのはこの部分だけ。文字にするとかなり不気味だが、夢を見ているときは、「虫を外に出さないようにしなければ!」と、そのことに夢中で、気味が悪いと感じている暇はなかった気がする。この夢は山小屋から東京に戻って最初の夜に見た。



24日●空から人間が降ってくる
高い塔のような建物。西洋の教会のようだ。その屋根の上から、たくさんの人が降って来る。私は(今日はずいぶん人間がよく降る日だな。土砂降りは英語で it's raining cats and dogs だけど、今日からは it's raining human と改めたほうがいい)と思い、落下物に直撃されないように気をつけながら下の道を歩いている。
【解説】 唐突なイメージの夢だった。ちなみに私は昔から「落下物」に対して異様に勘が鋭い。高校生のときには工事現場から落ちて来るスパナ、インド在住中は鎖が切れて押して来る巨大シャンデリアの異変を数秒前に感知し、その場からすぐに立ち去ることで事故に巻き込まれずに済んだ。今夜の夢は何かの警告かも知れないので、教会の脇を歩くときは気を付けることにしよう。

【後日談】 この夢を見た6日後、生まれて初めてフランス映画『アメリ』を観た。有名な作品だし、前々から気になっていた映画ではあるのだが、食わず嫌いというか(※女優さんの顔があまり好みではない)、今まで一度も観る機会がなかったのだ。今頃になって急にこの映画を観る気になったのは、単にネット上で無料配信されていたからに過ぎない。しかし驚いたことには、映画の冒頭、教会の屋根から飛び降りた自殺者がアメリ(主人公)の母親に直撃し、アメリの母が即死! その風景は、夢で見た内容と瓜二つだったではないか。映画を観ながら、なんとも不思議なデジャヴュ感を味わった


25日●覚えておくべき足のこと
自分の足のことで、何か覚えておかなければいけないことがある。私はメモを取ろうと思うのだが、紙も携帯も持っていないので記録することができない。それは何か四角形に関係のある事柄だったと思う。
【解説】 目が醒めてみると、「覚えておかなければいけないこと」が何だったのか少しも思い出せない。「四角形」の意味も不明。



26日●天井で揺れている遊具
体育館のようにだだっ広い室内。天井から下がった遊具のようなものが10個か20個ぐらい、ゆらゆら揺れている。それを見上げる私は、運動用マットの上に転がっていたのかも知れない。私は、昔どこかで見た七夕飾りのことを思い出している。
【解説】 今夜の夢にはもう少しストーリーがあったような気がする。具体的なことは思い出せないが、2〜3の登場人物もいたようだ。しかし目が醒めてみると詳細は何も思い出せない。



27日●……
【解説】 今夜も夢を見たには見たのだが、その内容(キーワード)を書き止めておいた紙を紛失してしまったため、残念ながらどんな夢だったか思い出せない。「茶道」に関係した夢だったような気がするのだが……。



28日●70年代ディスコっぽい曲を歌い踊る女子高生
広い部屋で大勢の女の子たちが歌い、踊っている。今風のメイクをしているが、振り付けがどこか70年代っぽい。着ているセーラー服は70年代にしてはオシャレすぎ、スカート丈も短すぎるが、かと言って2010年にしてはレトロな(というか懐かしい)雰囲気を漂わせている。場所のイメージは70年代のディスコを復活させて今風にしたような感じ。私は女の子たちの一員なのか、それとも少し離れたところで傍観している現在の私なのだろうか。そのへんはわからない。私は(こうして見ると、ずいぶん単純な振り付けだな)と思っている。
【解説】 そういえば私の高校時代はディスコの全盛期だった。長野市に住んでいた当時の私たちは、ディスコへ行くのは大学に入ってからだと思っていたし、当時はメイクをする女子高生なんていなかった(するのは不良少女だけ(笑))。とはいえ、夏休みに帰省するイケてる先輩が「ディスコで流行っている最新のステップ」をわざわざ教えてくれるので、意外に流行物には詳しかったりしたのだが。特に青学に進学した先輩は流行に敏感で、「さすが青学(笑)」と評判だった。……というようなことを急に思い出させてくれた今夜の夢であった。



29日●KK北海道
どこか基地のような場所。宇宙服のような、それでいてよく見ると宇宙服ではない奇妙な服を着た人たちが忙しく働いている。私は誰かから「KK北海道」というメッセージを受け取ったようだ(ただし誰からそのメッセージを受けたのかは不明)。「KK北海道」は暗号なのだと思う。(KKって何だろう。人の名前だろうか)と思うが、瞬く間に時は過ぎてゆき、私はそのことを誰にも質問できぬまま次の任務へと駆り出されてしまった。
【解説】 「KK北海道」も不明なら、「次の任務」が何であるかも不明。全体にスパイドラマのような雰囲気だった。ちなみに当面のところ、北海道へ行く予定はない。



30日●二の腕だけ痩せない
気がつくと二の腕だけが異様にデブになっていた。今までの2倍、いや3倍近い太さがある。どうして二の腕だけがこんなにデブってしまったのだろう。二の腕を細くするために腕立て伏せをしようかと思ったのだが、すぐに「そういえばこの方法は既に試して失敗したのだった」ということを思い出し、腕立て伏せはやめることにした。そのあと誰かと腕の太さをくらべて大笑いをしたような気がするが、相手が誰だったかなどの詳細は思い出せない。
【解説】 私はどちらかといったら細めの体形だが、二の腕はもっと痩せてもいいと思う。もしも全身のどこか一か所を痩せられるなら、二の腕を希望する。そんな気持ちが夢に現れたのだろうか。ハテ?



31日●ケーブルカーでお爺さん・お婆さんに会いに
前後関係など詳細は全く思い出せないのだが、気がつくと私はケーブルカーに乗っていた。よくあるような山の中のケーブルカーではなく、周囲には高層ビルや高速道路など大都会の風景が広がっている。このケーブルカーに乗って行けば、私は懐かしいお爺さん・お婆さん(そして母親?)に会えるのだと思う。ただしここで言う「お爺さん・お婆さん」は血のつながった祖父母という意味ではなく、大きな意味での(昔話に出て来るような)お爺さんお婆さんだったかも知れない。
【解説】 今夜の夢には、最初から具体的なストーリーがなかった気がする。ただ「お爺さん・お婆さん」というキーワードと、ケーブルカーに乗った記憶だけがふわふわと浮いている感じである。ちなみに、途中で一瞬だけ「懐かしい母」のイメージが浮かんだが、私の母は存命である。念のため。





※夢日記の一部または全部を許可なく転載・引用なさることは固くお断りいたします。
©Mami Yamada 2004-2010 All Rights Reserved.