2010年12月


1日●ぐるぐる回りながら飛ばされる人々
目の前が異次元(またはブラックホール?)への入り口のようになっていて、そのあたりの大気が竜巻のようにぐるぐる回りながら向こう側へ吹き出している。和服を着た女性が、あたかも遠心分離機にかけられたようにぐるぐる回りながら飛ばされてゆく、その姿が、私の目にはなぜかスローモーションで見えている。彼女のファンまたは下僕(しもべ)らしき男性も、ぐるぐると攪拌(かくはん)されながら飛ばされている。(ぐるぐる回りながら飛ばされてしまった以上、この人たちはもう“終わり”なのだろうか)と、私は漠然と思っている。
【解説】 ひとことで言うと「おかしな夢」だった。登場したふたりは実在の人物で、いわゆる社会的な成功者だ。「遠心分離機」という言葉がとりわけ印象に残っているのだが、この夢が何を言いたいのか、本当のところはわからない。



2日●木の葉模様のグリーンの着物
前後関係がわからないのだが、気がつくと私はグリーンの着物を手にとって眺めていた。ずっしりと重い正絹の着物で、全面に緑色の木の葉が描かれている。それが何という名前の木か思い出せないのだが、1枚1枚の葉はかなり幅が広くて丸っぽい、特徴ある形なのだ。私は(この着物、クリスマスにぴったりかも)と思いながら、しなやかな絹の手触りを楽しんでいる。
【解説】 目が覚めてから唐突に思ったのは、(現実の世界でも、いずれこの着物に巡り会えるのではないか?)ということだった。過去に何度か、夢で見たものとそっくり同じものを現実世界でも見た経験がある。最近では「モアイ像が描かれたグリーンのシャツ」を夢で見て、あくる日、現実世界でもそれと瓜二つのシャツを発見、驚いて即買いしてしまったばかりだ(笑)。さて、今回はどうなりますことやら。



3日●美味しそうな女王の冠
女王の冠。よく見るとデコレーションケーキだ。クリームを食べようと手を伸ばしている私。金色のゴージャスなイメージ。
【解説】 瞬間の夢。というか、おそらくこれは今夜見た夢の断片に過ぎないのだと思う。これ以外の部分は思い出せない。クリーミーで美味しそうな夢だった。



4日●戦後の群集のなか元捕虜を探す
人混みの中を、ブースケを抱いて歩いている。ここは戦後間もない日本だろうか。すすけた感じの街の色。髪を引っ詰め、もんぺを履いた化粧気のない女性たち。ゲートルを巻いた男の脚。場所はアメ横あたりの猥雑な道のようにも、駅構内のようにも見える。(このなかのどこかに、カウラ事件を体験して引き揚げてきた元捕虜さんがいるはずだ)と私は思っている。
【解説】 『ロスト・オフィサー』や『生きて虜囚の辱めを受けず』を読んでくださった方はおわかりのように、近代史上最大の捕虜脱走事件である「カウラ事件」は私のライフワークの一つだ。実は近い将来、このテーマで博士論文を書くことになり、このところ再びその調査を始めている。今夜の夢にはそのイメージが投影されていたようだが、なぜブースケまで登場するのだろうか(笑)。ちょっとおかしい。



5日●“つぐら”のなかのパンダ
飼い犬のパンダが狭い“つぐら”のなかで丸まって寝ている。穏やかな空気。暖かなお正月のイメージ。
【解説】 一瞬の夢だった。ちなみに“つぐら”とはこういうものです。



6日●白い足跡
近所の墓地の脇にある細い道を歩いている。今は夜中で、あたりには人っ子ひとりいない。私が歩くとペンキのようにハッキリした白い足跡が道に付くのだが、おかしなことに、私が前方に向かって歩いているにもかかわらず、足跡は私より一歩前に付くのだ。つまり本人よりも足跡のほうが先を進んで行くのである。何か変だなと思ったところで急に場面が変わり、夢がわからなくなってしまった。
【解説】 私よりも先に付いていたということは、その足跡の主は私ではないということだろうが、夢の中では私の足跡だという設定になっていたようだ。なにやら意味のわからない怪奇な夢だった。



7日●パン屋さんの匂い
明るい商店のような建物。大きなガラス窓から差し込む陽の光。甘いパン屋さんの匂いがする。酵母の匂い。ふっくらした丸顔の人が見える。知人の斉藤さん(男性)に似ているなと思ったところで、すぐに目が醒めてしまった。
【解説】 今夜も一瞬の夢だった。斉藤さんは家族ぐるみの古い友だちだが、ここ何年か逢っていない。何やら唐突な感じのする夢だった。



8日●白いムササビ(モモンガ)
ムササビのようなモモンガのような、ふわふわした生き物が四肢をピッと広げて空から降ってくる(あるいは逆に空に上昇してゆくのかも知れない)。私は真下からそれを見上げているのだが、もしかしたら私自身がムササビ(モモンガ)なのかも知れない。なぜか私は「お正月だなあ」と思っている。
【解説】 お正月どころかクリスマスもまだだが、なぜかひとりで勝手にお正月を連想する夢だった。ちなみに個人的にはムササビよりモモンガのほうが好きだ(笑)。



9日●……
【解説】 今夜もたしかに夢を見たのだが、夢の内容をメモする前に朝風呂に入ったりカフェオレを飲んでいるうちに、すっかり忘れてしまった。残念。



10日●クリスマスブーツ
靴のことを気にしている。おそらくクリスマスブーツのことだろう。しかし具体的に何をどう気にしていたのかは思い出せない。
【解説】 今夜の夢には具体的なストーリーがあったし、目が醒めた瞬間には覚えていたのだ。しかし数秒後には記憶がスーッと失われてしまい、ベッドから起き上がる頃には「靴」「クリスマスブーツ」というキーワード以外には何も覚えていなかった。



11日●紅白の組み合わせにスウェーデンを想う
私はどこかへ出かけるらしい。着てゆく物のことで少し迷っている。ツーピースを着て行くつもりなのだが、上半身(ブラウス)を赤、下半身(スカート)を白とするべきか、あるいは反対に上半身を白、下半身を赤とするべきかが決まらないのだ。何度か服を取り替えて試してみながら、心のなかで(紅白といえばスウェーデンの国旗だな)と思っている。
【解説】 目が醒めてから考えたら、スウェーデンの国旗は紅白ではなくブルーと黄色の十字ではないか。夢の中ではどうやらイングランドまたはアイルランドとスウェーデンを混同していたらしい。昨夜は茶道教室のクリスマスパーティーが催され、私は真紅のドレスを着て行った。また、社中の男性(鈴木さん)はイングランド国旗のTシャツを着てやって来た。これとは別に、家族が近々スウェーデンに行く予定もある。それらのイメージがすべて混ざり合って今夜の夢につながったのだろう。



12日●長屋で爆発
気がつくと、見たことのない家の前にひとりで立っていた。その家は古い造りの木造一階建てで、色は全体にベージュのイメージ。入り口には大きな格子戸が2枚並んでいて入り口が非常に広い(=中に入りやすい)感じがする。誰の家なのかはわからない。その家を一目見た瞬間に私は、「あ、長屋だ」と思った。次の瞬間、長屋の左奥のほうでドカンという音がし(あるいは音はしなかったのかも知れない。そのあたりは定かでない)、同時にオレンジ色の閃光が上がった。私はなぜか少しも驚かず、静かに「あ、爆発だ」と思っている。のどかさ。お正月。
【解説】 今夜の夢は一体何を言いたかったのだろう。長屋で爆発。なにやらミスマッチな感じである。テロの夢ではなかったようで、全体にむしろ穏やかな雰囲気さえ漂っていた。その証拠に、私は「爆発」の直後に「のどかさ」「お正月」を連想しているのである。なにやら不思議な夢だった。



13日●赤と黄色のキューブ、転がった
目の前にいきなり赤いキューブ(立方体)が現われた。一辺が約4〜5センチ。少し光沢のある紙で出来ているようだ。そのキューブがどこかへ転がって行ったあと、暫くして今度は黄色いキューブが現われた。こちらも一辺が約4〜5センチ、光沢のある紙で出来ている。やがて黄色いキューブもどこかへ転がって行った。そのあとも赤と黄色のキューブが何度も何度も繰り返し現われては、静かにどこかへ転がって行った。
【解説】 昨夜は珍しくひどい風邪をひいて高熱が出た。全身の節々が痛み、眠りは浅かったようだ。そのためか何度も短い夢を見ては覚め、夢を見ては覚め、順番も時系列もはっきりしない。しかしそのなかで印象的だったのは、小さな赤いキューブと黄色いキューブである。意味は全くわからないが、一晩中これらのキューブが夢の中で転がっていたようだ。目が覚めると風邪はだいぶ良くなっていた。



14日●「会いたかった」by AKB48
最初から最後までずっとAKB48の「会いたかった」が流れている。耳の中は音楽で一杯。それ以外は何も思い出せない。
【解説】 昨夜も風邪の余波で熟睡できなかったようだ。しかしそんなときにこんな元気な曲が流れるとは、ひどく場違いだ。



15日●大雪の中、サエキさんと公衆浴場へ
気がつくと目の前に昭和の御代の小学校を思わせる古びた木造の建物が建っていた。あたりは一面の雪。さらに真っ黒な夜空からもしんしんと降りつづく雪。誰から聞いたわけでもないのだが、ここが新潟だとわかる。寒い。とにかく寒い。私は校舎の方に向かって凍えながら歩いている。隣を歩いているのは友人のサエキけんぞうさんだ。もうひとり、その隣にも誰か知り合いの男性がいるのだが、彼の顔は見えない。私たちはこれから公衆浴場へ行くらしい。ここは廃校になった校舎を再利用して作った風呂場なのだった。どこかに湯気が見えたような気もする。しかし全体にひどく寒々しい風景。早く湯船に浸からないと凍死しそうだ。サエキさんに「ここは男湯ですね。じゃ、私は女湯へ行きますから!」と手を振ったところまでは覚えているのだが、そのあと一体どうしたのか、記憶がプツリと途切れている。お風呂に入った記憶はない。
【解説】 そういえば昨日は新潟在住の知人(リクルートでご一緒だった人)から電話があり、「こっちは雪がしんしんと降っているよ」と言われた。また2〜3日前には、新潟県の十日町で廃校を利用した美術館(ミティーラ美術館)を経営している友人にパーティーでお目にかかった。これらのイメージが今夜の夢の中核にあるのだろう。しかし、なぜサエキけんぞうさんなのか、なぜ公衆浴場なのか、そのあたりは全くの謎である。



16日●地球上には存在しない色の花
一面に花畑が広がっている。パノラミックな風景。一帯には、この世のものとも思われない色彩が溢れている。その花の色をなんと表現したらいいのだろう。地球上では見たことのない色。あえて言えば、金と紫とピンクの中間色のような、それでいて完全に透明な色。あまりの美しさに、私は思わず笑い出していたような気がする。恐れも躊躇もなくなったので、そのまま先へ先へと歩いて行くと、花畑はますますミステリアスに、鳥肌が立つほどの美しさを持って私の前にその全貌をあらわし始めた。ここはもしや楽園への入り口ではないのか。もしかしたら私は死んだのでは。ふとそんなことを思いながらも、私は愉快でたまらない。そのとき目の前から歩いて来るダライ・ラマ法王の姿が見えた。思わず手を振ると、法王も気さくに手を振りながら「はっはっは」と笑い、“It's not time for you to come here. Still too early.”(今は君がここへ来る時じゃないよ。まだ早過ぎる)とおっしゃった。えっと思った瞬間に辺りから花は消え、朝になっていた。
【解説】 数日前にひいた風邪がなかなか治らず、昨夜も頭痛がひどかった。薬が嫌いな私だが、とはいえどうにも我慢ができなくなり夜中に起きてバファリンを飲んだところ、ようやく熟睡することができた。そのときに見た夢がこれである。よく、人が死ぬときには綺麗なお花畑のなかを渡って行くと言うが、宗教を問わず人類の多くが似たようなことを言うからには、死期が迫った肉体は痛みや苦しみが消える何らかの物質で満たされ、楽しく美しく幸せな気持ちになるのだろう。今日はたった2錠のバファリンが実によく効いたので、それに近い肉体状態を擬似体験できたのかも知れない……などと勝手に思った私である。日常的に薬を飲んでいる人達にはわかりづらいだろうが、めったに薬を飲まない私のような人間にとっては、定量のバファリンさえ劇的な効果を持っているのだ。



17日●……
【解説】 ようやく熱は下がったが、代わりに咳がひどい。一晩中咳をしているので、そのせいか眠りは分断され、見たのかも知れない夢は全く思い出せない。



18日●……
【解説】 今夜も咳がひどかった。眠りについた暫くすると猛烈に咳き込んで起きてしまうので、今夜も夢どころではなかった。



19日●動く道路と逆走する私
画面の左から右に向かって、道路が一定の速度で流れている。私はその法則に逆らって、右から左に向かって道路を同じ速度で逆走している。右へ流れようとする道路と左へ進もうとする私。それぞれの努力が交差した結果、両者が動き続けているにもかかわらず、私は常に画面の真ん中に残っている。(なるほど。こうして時代の流れにうまく逆らうことが出来れば、むしろ常に“時代の中心”でいられるのだな)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 昨夜もだいぶ咳き込んだようだが、かろうじて夢は見た。なにやら禅問答のような夢。音はなく、登場人物も私ひとりだった。



20日●海と石油
夢の画面の左端でたたずむ人の、ギリシャ彫刻のように彫りの深い横顔。海と石油。温暖な気候。青い風。
【解説】 まるで一幅の絵画を見ているような夢だった。最近の私は、中近東の国々とのお付き合いが深まっている。石油のイメージはそこから来ているのかも知れない。



21日●父とスキーをする
山の前に渓流が流れていて、そのほとりには鄙びた温泉宿が建っている。木造2階建て、いかにも昭和の残像のような古ぼけた旅館だ。私はいつの間にか2階の一室に入り込んでいて、窓を開け放ち、欄干の上に立ってバランスをとりながら歩いていた。落ちたら真っ逆さまに川にドボンだが、自分は絶対に落ちないという自信があるので、私はとても楽しい気持ちでその上を飛び跳ねていた。部屋には先刻から父がいて、私を待っていたようだ。「おい、スキーに行こう」と誘う父の顔を見ると、驚くほど若い。まだ30代後半ぐらいだろうか。すると私も小学校に入る前の幼児なのかも知れないが、鏡がないので自分の姿は確認しようがない。父はニコニコ笑いながらスキーを履いて先に滑りだしたのだが、滑る場所というのが、窓の外の幅2〜3cmの欄干の上なのである。私も平気で父の後を追いかけた。欄干はジェットコースターのように登ったり降りたりして、スキーで滑ると実にスリリングで面白い。私たちは大笑いをしながらスキーに興じている。私は心の片隅で、(カンちゃんは生きているあいだにもう一度、私とスキーをしたかったのかも知れないな)と思っている。
【解説】 今から40数年も昔の話だが、初めてカンちゃん(父のニックネーム)とふたりきりで出かけたスキー場で、私のスキー板とスキー靴の間に隙間ができてしまい、どんなに締め付けてもスキーが外れてしまうというアクシデントが発生した。このとき父は苦肉の策で板と靴のあいだにレーズンパン(!)を挟んだのだが、それを見た私は怒ってしまい、「もう帰っちゃうよ」と言い張った。5〜6歳頃の出来事だが、今でもそのときの周囲の情景や、半分笑いながら困っているような父の表情、怒っている自分の顔、寒かった手足の感触などはハッキリ覚えている。父はもう亡くなってしまったが、元気なうちにもう一度一緒にスキーをしておけばよかったな、と時々思う。そういう潜在意識が今夜の夢になったのだろうか。



22日●ノーム(妖精さん)
前後関係はわからないが、すぐ目の前に山の斜面が見えた。潅木が生えていて、地面の上で何かが動いたなと思ったら、小さなお爺さんが立っていた。(あっ、ノームだ)と思う。ノームは身長5〜6cmで、おかしな形の帽子をかぶっている。イラストで見たことのあるとんがり帽子ではなく、新聞を折って作る兜のような形の帽子だ。このノームの前世は日本の侍かも知れないと思う。ノームは(わしについて来い)と言いたそうな表情でくるりと背を向けると、無言で歩き出した。私は(きっとシチューを食べさせてもらえるんだ)と思い、ノームについて歩き出した。
【解説】 このあと果たしてシチューを食べたのか食べなかったのか、記憶がない。ノーム(Gnome)は大地を司る精霊だそうだが、私はその方面の興味はほぼゼロ。なぜ夢に現われたのか、思い当たる節もないのだが……。



23日●3人で「真理」を語り合う
私を含む3人の人間が向き合っている。それは、とてもよく知っている3人だった気がする。娘と息子と私かも知れないが、なぜか顔を思い出せない。私たちはそれぞれ一言ずつ短い言葉を言い合った。この世の真理についての言葉だったと思う。その言葉も何故か思い出せないが、色に表わすと明らかに「ゴールド」だったと思う。私たちは静かに微笑んでいる。
【解説】 静かな、クリスマスシーズンに相応しい、何かを超越したようなイメージの夢だった。



24日●生き別れた娘を求めて浮遊する魂
目の前に30歳ぐらいの見知らぬ男性(日本人)がいる。彼の額には、ブッダとキリスト(だったと思うのだがハッキリと思い出せない)の姿が3Dで交互に浮かび上がって見える。私は思わず「凄い顔相(がんそう)ですね」と口にしていた。すると男性は頷きながら「ええ、そうなんです」と答えた。ところがその直後に彼の額を再び見たところ、今度は先刻とは全く異なる「石油コンビナートの相」が浮かび上がって見えたではないか。それは強烈かつ破壊的なメッセージに見えた。私は、(あ! 石油コンビナートが……)と思ってから、(いや。むしろ原子力発電所に似ている)と思い直した。そのあと改めて男性の顔を見ると、驚いたことに彼は60歳ぐらいの女性に変わっていたではないか。驚いて見ていると、彼はその後も様々な人物に変わり続けるのである。そのうち、この人は遠い昔に生き別れになってしまった娘を探して旅をしている魂なのだということに私は気づいた。娘を慕うあまり、この人の魂は行先を失い浮遊霊になってしまったのだ。私はこの件について解決するとびきり素晴らしいアイデアを思いついた。それはもう、世界中の苦しんでいる人を助けることができる画期的な治療法だ。まずは目の前にいるこの人を助けなくては。そう思った瞬間に恐ろしいほど気持ちが高揚し、弾かれたように目が醒めてしまった。
【解説】 今夜の夢は、ラストがいちばん凄かったのだ。つまり、苦しんでいる魂を救うためのとてつもない名案を、私は夢のなかで思いついたのである。それはノーベル平和賞を受賞してもおかしくないほどの画期的なアイデアだったように思うのだが……夢から飛び起きた瞬間にすべてを忘れてしまった。なんと残念なことだ!



25日●寝言でマントラ
誰かが寝言を言っている。どうやら息子の声のようだ。具体的に何を言っているのかはわからないが、どうやらそれは深い意味のあるマントラ(真言)らしい。(寝言でマントラを唱えるとは、なかなかやるな!)と思っている私。
【解説】 わけのわからない夢だった。この前後にもストーリーがあったのかも知れないが、それも思い出せない。



26日●……
【解説】 今夜はブースケ、あるいはパンダ、あるいはその両者が夜中に何度もベッドの上を走り回ったため、そのたびに腹部や顔を踏み潰されては目が醒めてしまった。というわけで、見たはずの夢もすっかり忘れてしまった。



27日●改造された東京メトロにて
見たことのないメトロの駅。地下深いところにいるらしいが、とても広々としている。私の近くには2人の「知人」がいたような気がする。「知人」という設定だが、実際には知らない顔だったかも知れない。ここは丸ノ内線の駅らしい。しかし路線図に乗っているのは知らない駅名ばかりだし、駅の様子も昨日までとはまったく変わっている。私はここからひとりで目的地に向かうのだ。先のふたりが「○○駅で乗り換えて、その先は××線に乗るんですよ」と教えてくれたのだが、私にはサッパリ様子がわからない。しかし、迷いながら新しい路線を開拓するのは楽しいかも知れない。そう思いながら私は駅の中を歩き出した。
【解説】 東京メトロ丸ノ内線は、私がいちばん頻繁に使っている路線である。今夜の夢に現われたメトロは、実際のメトロよりも広く明るい感じがした。「新しい出発」のようなイメージが残る夢だった。



28日●超安産の“半跏思惟出産”
前後関係はわからないが、スキーをするときのように軽く膝を曲げた体勢をとって上半身を心持ち前に倒したところ、いきなり赤ちゃんが産まれた。痛みもなく、いきなりである(普通に洋服を着ていたのに、何枚もの布を通過して赤ちゃんは洋服の外に出てきたのだ)。妊娠の兆しなど少しもなかったというのに、突然の出産とは驚きである。「リア(娘)やナサ(息子)を産んだときは陣痛があったのに、今回はどうしてこんなに無痛だったのかなあ」と不思議に思っていると、そばにいた息子が「この20年間で科学はそこまで進歩したんだよ。今の産み方は半跏思惟(はんかしい)出産と言って、完全な無痛分娩なんだ」と涼しい顔で答えた。半跏思惟出産なんて、まるで仏像のような名前だなと思う。それにしても出産の夢とは縁起がいい。きっと来年はとびきり良いことがあるに違いないと思い、私は大喜びしている。
【解説】 夢の最後で、どうやら私はこれが夢だということに気づいていたらしい。「縁起のいい夢だ」と夢のなかで納得してたのだから笑える。実は、2011年の1月1日には個人的にとても良いこと(慶事)があるのだ。来年は良い年になる。そんな予感がしている。この夢はその予感をさらにバックアップしてくれる吉夢だと思う。



29日●ダライ・ラマ法王と半跏思惟像
最初、私は何か理不尽な相手に対して強く抵抗していたような気がする。相手が何だったのか、どのように理不尽だったかは思い出せないが、私は一歩も引かない様子だ。それとは全く関係ないタイミングで、いきなり第14世ダライ・ラマ法王が現われた。法王は少し斜めを向いて説法されているようだ。そのお姿が広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつ・はんかしいぞう)に似ているな、と思った瞬間に急に気が楽になり、それから徐々に目が醒めた。
【解説】 今夜の夢を見るまで気づかなかったが、確かにダライ・ラマ法王は弥勒菩薩半跏思惟像にどこか似ていらっしゃるような気がする。それにしても昨夜の夢にも「半跏思惟」という言葉が登場したわけだが……一体これはどういう意味なのだろう。長いこと夢日記を付けているが、半跏思惟像の夢などこれまで一度も見ていないと思う。それが立て続けに二夜連続で見ることになろうとは……。これは来年の私に対する何らかの“お告げ”なのだろうか。



30日●意外なゲイカップル
目の前に誰か知り合いの男性がいた。髪はスポーツ刈りまたは角刈りで、いかつい体型の中年男性だ。夢の中ではその人と談笑していたのだが、何を話していたのか、どんな顔だったかは全く思い出せない。暫くすると、部屋にもうひとり別の男性がやって来た。その人も私の知り合いで、最初の男性より若く、やや華奢な体型をしている(ただし身長はふたりとも180以上あってマッチョな感じだ)。次の瞬間、ふたりはベッタリ抱き合って笑いながらイチャイチャし始めた。ふたりとも肌に密着したピタピタのランニングシャツを着ているので、筋肉の動きまでハッキリ見て取れて、ちょっとキモい。私はふたりがゲイであることを初めて知り、心のなかで(えっ、マジで!?)と驚愕している。
【解説】 夢に登場したふたりは日本人だったと思うが、どんな顔だったかは少しも思い出せない。こんな夢をみる理由も思い当たらない。



31日●びっくり大仏殿
気がつくと私は奈良の大仏の足元(左足の側部あたり)にいた。と思いきや、それは大仏ではなく、なんと巨大なクリスマスツリーだったではないか。ふと見ると、蓮の台座から細長い藁のような紐状の物が出ていたので、何だろうと思いながら引っ張ったところ、いきなり大仏殿全体が大きくユラユラと揺れだした。あまりに揺れが大きいので、建物の中にいた人達は皆バタバタと転んだり、床の上を転がったりしている。しかし、皆どことなく楽しそうだ。クリスマスツリーもバサバサと踊るように揺れている。私は転びそうになりながらも、そのへんの柵につかまって耐えている。この揺れ、最初は大地震かと思ったが、どうやらお寺のアトラクションらしい。遊園地の“びっくりハウス”も顔負けだ。最近のお寺はなかなか味なことをする。そんなことを思っているうちに揺れながら目が醒めた。
【解説】 これが2010年最後の夢かと思うと、なにやら意味深長だ。考えようによっては仏教とキリスト教が融合した夢だから、理想的な夢と言えるのかも知れない。そういえば2010年は平城遷都1300年祭だった。その1年を締めくくる夢が奈良の大仏殿というのも、何かのご縁だろう。





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