2010年3月


1日●達筆
誰かの展覧会オープニング。入り口で芳名録に名前を書くように勧められる。ところが芳名録を見ると、第1ページ目にとんでもない達筆で最初の人のサインがしてあるではないか。それは見たこともないほどの達筆で、何と書いてあるのか全く読めないが、右上から左下へと振り下ろされた1本の線と左上から右下へと振り下ろされたもう1本の線が交差して「メ」のような形になった文字である。まるで花押(かおう)のようなデザインのサインだ。どうやらこの1文字で「草」と読むらしいのだが、草というよりは草を刈る釜のように鋭利な文字である。私はその隣に自分の名前を書く気にはなれなかったので、ページを1枚めくってみた。ところが第2ページにも、やはりとんでもなく達筆のサインが残されている。どんな文字だったか思い出せないが、1ページめのそれよりも少し複雑で画数の多い文字だった気がする。私は(今日はどうしてこんなに達筆の人が多いのだろう)と首をかしげながら自分の悪筆を恥じ、結局、芳名録にはサインしなかった。
【解説】 達筆といえば空海だが、今夜の夢に登場した文字は空海のそれとは似ても似つかない、どちらかといえば女性的でやさしい文字だった。ちなみに私は筆字がニガテ。小・中学校のときの国語の成績はずっと「5」だったのに、書き初めの授業がある学期だけ「4」をもらったことがある。ちょっと憤慨しながら先生に理由を聞くと、「書き初めをマジメに書かなかったからだ」と言われた。先生、私、あれでもマジメに書いたつもりなんですけど(大汗)。というわけで「習字」からは嫌なイメージしか連想しない。しかしまあ、そうは言っても逃げてばかりもいられないので、そろそろ書道を習おうかしらと思う今日この頃……(芳名録に記帳する機会も増えたことだし)。ちなみに「メ」と書いて「草」と読む漢字はないと思う。



2日●半額セール
「それ」が何かはわからないのだが、「それ」の定価は1,000円だという。しかし私は「それ」を500円でゲットした。金額的には小さいが、「それ」を半額でゲットするということ自体に大変な意味があるようだ。誰かが「幸先が良いですね」という意味のことを言った。私はそれに対して返事をせず、ポーカーフェイスを通している。「それ」のサイズは両手で持てるぐらい。軽くて、箱に入っていたような気がする。
【解説】 「それ」が何なのかサッパリ思い当たる節がない。ちなみに私は(仕事の帰り道など)割と遅い時間帯に24時間営業のスーパーマーケットに立ち寄ることが珍しくないので、半額セールは日常の風景だ(笑)。



3日●「女子高生で〜す♪」
前後関係はわからないが、気が付くと映画館の入り口あたりにいた。一緒にいるのはピカミちゃん(マイミクの女子高生)だ。ほかにも何人か仲間がいるようだが、顔などは見えない。見えるのはミニスカートを履いた足元だけ。ピカミちゃんたちがどんどん先に行ってしまうので、私もあわてて付いて行った。もぎりのお姉さんが「全員、女子高生ですね?」と言った。ピカミちゃんたちが異口同音に「は〜い。女子高生で〜す♪」と言って入り口を入ってしまったので、私もドサクサ紛れに「女子高生で〜す♪」と言いながら通ったら呼び止められなかった。そのあと何の映画を見たのかは思い出せない(おそらく何も見ないうちに夢が終わってしまったのだと思う)。
【解説】 いくらなんでも図々しい夢だった(苦笑)。もぎりのお姉さん、嘘をついてゴメンナサイ(っていうか騙されるなよ(爆))。



4日●正方形に5つの円を描く
目の前に縦横1メートルほどの正方形の壁面があって、正方形のなかには5つの黒っぽい円形が描かれている。5つの円はサイコロの「5」の目と同じような配列だ。その正方形の隣りにも同じ大きさの別の正方形があって、そこにもやはり5つの円が描かれている。その隣りにも、そのまた隣りにも、延々と正方形が続いている。ときどき、5つあるべき円のうちの幾つかが欠損した正方形が混じっている。そういう欠損を発見すると、私はただちに円を描き足さなければいけない。黙々とその作業を続けている最中に目が醒めた。
【解説】 今夜の夢は、少し前から凝っているmixiアプリの「庭爺」に関係しているような気がする。「庭爺」とは、縦10x横10=合計100マスの小さな区画から成る土地に、桜、松、鳥居、やしろ、池、ししおどし、モアイ像といったさまざまなアイテムを設置して庭を作り上げ、庭全体としての得点(ハッピーポイント)を競うゲームである。私はモアイ像の配置にかなりこだわりがあり、「何マスおきに何個のモアイ像を並べるとハッピーポイントが○○になり……」というようなことをよく考えているのだ。「庭爺」のやりすぎが原因で今夜の夢をみたことは、ほぼ間違いないと思う(苦笑)。



5日●喜劇「007」
目の前で「活劇」が繰り広げられている。しかし活劇の舞台は作られた空間ではなく、リアルな世界だ。つまり現実の世界そのものがステージになっているようなのだ。主演俳優は知人のHさん(70代の男性)。Hさんが演じる役は「007」のジェームズ・ボンドに匹敵する国際スパイらしい。しかしストーリー的にはどこかが決定的にズッコケテいて、完全な喜劇である。私は終始大笑いしながら舞台を観ている。私の隣には、茶道の荒井先生もいらっしゃった気がする。
【解説】 先日、荒井先生から「映画を観たいですねえ。たとえば封切り中の『ナイン』とか、少し前に上映されたシャーリー・マクレーンの『ココ・シャネル』とか」と誘っていただいた。今夜の夢はそのことと微妙に関係しているのかも知れない。



6日●……
【解説】 今夜は何か「車」または「車輪」に関係のある夢をみたような気がするのだが、残念ながら詳細を思い出せない。



7日●キャンペーンガール候補の女性から断られる
私は美容関係またはマスコミ関係の大会社に勤務しているようだ。あるキャンペーンで使うイメージガールを探しに街へやって来た。キャンペーンのテーマは思い出せないが、どうやら私は「夏」のイメージを体現できる若い女性を探しているらしい。問題は、締め切りの時刻までにあまり時間がないこと。急いで歩いていると、ひとりの女性を見かけた。彼女は推定年齢22〜23歳、身長165センチ前後、顔が小さく、体形はほっそりしている。いかんせん美人とは言い難い(目鼻立ちが小さくまとまっていて華やかさがない)のがやや問題だが、この際そんなことは言っていられない。私は彼女に近づいて声をかけた。少し警戒気味の彼女に対して、私は突然話しかける非礼を詫びながら、「○○の社員で△△と申します。○○○○というキャンペーンのためにイメージガールを探しています。今日の△時までに候補者をひとり探して社に連れて帰り、ほかの社員が探してきた候補者全員のなかからその場ですぐにグランプリを決めます。審査員はAさんです。ぜひ貴女も参加してくださいませんか」という趣旨のことを懇切丁寧に説明した。女性は黙って話を聞いていたが、やがて「実は私、□□の社員なのですが」と、某大手化粧品会社の名前を挙げたうえで、「そういうことでしたら、こういうスタイルが良いかも知れませんね」と言って目の前の台の上にいきなり登った。驚いている私を尻目に、彼女はそこで化粧を直したり、髪にグリッターのようなものを塗り始めた。すぐ近くにはふたりの男性がいる。彼らはどうやら□□のライバル社の社員らしいのだが、彼女も彼らの存在など黙殺している。そうこうするうちに彼女は髪をオールバックにして、細長い脚がすらりと見えるショートパンツを履き、顔が日焼けしたように見えるよう何か光るものを塗って、いかにも夏の女王といった風情に変身した。私が「最高! 早速行きましょう!」と促したところ、彼女はなぜか首を横に振り、「私は行きません。審査員にAさんが入っているからです。Aさんに関しては良くない噂しか聞きませんから、関わり合いになりたくありません」と言って断った。私はすぐには彼女を諦らめきれず、何度か再考を促したのだが、「行かない」という彼女の決断は変わらなかった。私は半分途方に暮れながらも、(しかし彼女は固執するほどの美人ではないし、Aさんの評判が悪いのは本当だから仕方ない。別の女性を探そう)と思っている。
【解説】 目下、現実世界でもOKが出るか出ないか微妙な問題を抱えている。だから、こういう夢をみる自分の心理状態はよくわかる。わからないのはAさんの登場だ。Aさんは私が子どもの頃に近所に住んでいたオジサン。会社人間としてはまあまあエリートだったが、大人になってから偶然仕事で再会してみると、実に傲慢で毒舌で、パワハラ寸前の最低な男だった。そんなAさんが登場した夢なので、私は現実世界における問題にかなりストレスを感じているのかも知れない。※注/この日記を書き終えた瞬間、現実問題のほうは(先方から電話がかかってきて)一気に解決した。というわけで、夢ではキャンペーンガールが見つからなかったが、現実世界ではハッピーエンドになりそうである。



8日●読みにくい人名
気がついたとき、私は紙に書かれた人名を読んでいた。それがいわゆるヤンキー文字というのかドキュンネームというのか、「夜露死苦」と書いて「よろしく」と読ませるような当て字の人名ばかりなのだ。いくつもあるそうした名前のうちの3つを私は音読した。そのうち2つは完全に忘れてしまったが、1つは「かおり」と読む名前で、「花」の字が含まれていたと思う。
【解説】 そういえば、mixiにおける私のハンドルネームは魔魅凛(まみりん)。かなりヤンキー風味ではある(苦笑)。



9日●ヌード写真の撮影
目の前に、見知らぬ写真家と彼のアシスタント数人がいる。これから私のヌード写真を撮るらしい。「顔がわかっちゃうと困りますから、あとで(画像処理ソフトで)顔だけ消してくださいね」と私は真顔で頼んでいる。写真家はアッサリした性格の人のようで、あっという間に撮影は終了。すぐに紙焼きされて出てきた写真を見て、私は「あれ。思っていたより案外見られますね。でも週刊誌に載せるときは顔を消してくださいね。でも“作家”って肩書きがあると誰かわかっちゃうかな」などとブツブツつぶやいている。写真家は「こうなったら臨月のヌード写真も撮りましょうよ。週刊誌には、今日撮った写真と臨月の写真を両方一緒に載せたほうが絶対インパクトがありますから」と言った。私は心のなかで(でも私は臨月じゃないんですけど。おなかに詰め物でもして撮影する気なのかな)と思っている。
【解説】 この夢を見る数時間前、ANAインターコンチネンタルホテル36Fにあるマンハッタン・ラウンジで催されたビジネス交流会に顔を出した。外国人の多いパーティーだったのだが、そこで出会ったアメリカ人が「今ね、ワイフ(日本女性)が妊娠中なんですよ」と言い、それに対して私は「だったらお腹の大きいうちにヌード写真を撮っておくといいですよ。女性がいちばん美しいのは臨月のときだから」と答えた。そのイメージがなぜか自分自身に降りかかって今夜の夢になったようだ。



10日●庭いじりと消防隊
どこにでもあるような山里の風景。すべての木々が芽吹いて一帯がピンク色に染まっており、いかにも日本の春らしい「霞か雲か」といった風情だ。私はスコップを使って庭いじりをしながら、(庭爺は元気かな)などと思っている。ふきのとうを採っていたような気もする。そのとき、麓のほうから赤い車が上がって来た。小型の消防車だ。サイレンは鳴らしていない。手を休めて待っていると、私から10メートルほどところで離れたで車が止まり、制服を身につけた消防士さんが3〜4人、車内から下りてきた。先日の一日消防長や消防団音楽隊のイベントで逢った皆さんだ。中学の同窓生で音楽隊長のM君が、「これから花見だから、真美さんもおいでよ」と誘ってくれた。「じゃあ私も行くね」と答えようとした瞬間に場面が変わり、何かまったく別の(長大なストーリーの)夢をみたのだが、そちらの内容はなぜか少しも思い出せない。
【解説】 最近のマイブームである「庭爺」と「消防隊」、それに、ここ数日あちこちからお声がかかっている「お花見」。これら3つのことがミックスされた夢だった。特に大きなストーリーがあったわけではないが、さわやかな気持ちになる夢だった。

【後日談】 夢から覚めた直後、消防署に勤務する女性の知人から電話がかかってきた。彼女の実家がある○○村(日本でも有数の美しい山村)でお花見をしましょうというご招待だった。彼女から電話がかかってくるのはこれが初めて。夢との関係が興味深い。


11日●「トン」で始まる言葉
頭に「トン」が付く言葉を探している。最初は「トンガ」とか「トンカツ」といった言葉が頭に浮かんだが、そのうちに「トンダーベルイージー」という不思議な言葉が脳裏に浮かび、心から離れなくなった。それは歌の一節らしい。ベルは"bell"、イージーは"easy"として、最初の"Tonder"はどういう意味だろう。聞いたことのない単語だ。固有名詞(人名とか地名とか)だろうか。私は「トンダーベルイージー」の意味が気になって、その先へ進めずにいる
【解説】 目が醒めてから、(そういえば大学時代に「トンダーベルイージー」という歌詞の入った合唱曲を歌ったことがあったかも?)と不意に思った。しかしその言葉をネットで検索してもヒットしないので、私の思い違いかも知れないが。さらに調べたところ、デンマークにはTonderという街があるそうだが、私自身は行ったことも聞いたことも、また行く予定もない。



12日●キャバレー浦島へようこそ
夜道を歩いていて、ふと見上げると「キャバレー浦島へようこそ」という毒々しいピンク色のネオン広告が夜闇に瞬いていた。文字の下には、大きな海亀に乗った浦島太郎の絵が描かれていた。
【解説】 この場面以外、まったく思い出せない。ごく一瞬の夢だったようだ。それにしても「キャバレー浦島」とは、いかにもおうちへ帰れなくなりそうなチープなネーミングである(苦笑)。

【後日談】 夢から醒めてすぐに友人(独身男性)からメールが来て、「今、○○県に来ています。道の駅で大きな海亀を見ているところです」とあった。なんというビンゴ(笑)。


13日●爺さんの頭に刻まれた呪文
爺さんの頭がたくさん見える。あえて言うが、それは「老人」でも「老紳士」でも「お爺ちゃん」でも「お爺さま」でもなく、あくまでも「爺さん」なのだそうだ。それらが本物の人間の「爺さん」なのかどうかは不明。アンドロイドの頭部かも知れない。たくさん並んだ爺さんの頭のひとつが、今、私の目の前にある。その爺さんは頭頂部が禿げて、耳の上だけに髪が残っている。いわば土星のような禿げ方だ。爺さんの額から頭頂部にかけて、横5センチ×縦15〜20センチほどの黒いお札のような物が貼られている(黒ペンキが塗られているのかも知れない)。頭の周囲には、たくさんの文字が刻まれている。呪文のように妖しげな雰囲気だ。私はロゼッタストーンを発見した考古学者のような気分で、それらの文字を解読しようとしている。
【解説】 サッパリわけのわからない夢だった。夢の中では、爺さんの頭のまわりに書かれていた文字が読めたのだが、起床してみると1文字も思い出せない。現代日本語ではない、お経のような、古い漢文のような文字の並びだったのだが。あれは空海の時代の言葉だったのかも知れない。



14日●バス発着所の六角堂
かなり広いバス発着所のような場所。ここはいわゆるバスターミナルなのだろう。しかし全体に寂れているというか閑散としており、私のほかには、紺のユニフォームを着て帽子をかぶった男性職員が1人と、帰宅途中の女子高生が2人見えるだけだ。皆、穏やかで地味な顔をしている。あれは昭和の顔だと思う。敷地のあちらこちらに電話ボックスかチケット売り場らしき小屋が建っている。六角柱の上にかなり尖った円錐形が乗った、可愛らしい形の建物だ。(バスの発着所になぜ六角堂が?)と私は思っている。
【解説】 とても静かなイメージの夢だった。実際には行ったことのない場所だが、なぜかとても懐かしく、ちょっとの間だけ昭和に戻ってみたくなった。



15日●扉を開くと呪文がいっぱい
気がつくと私は地下階段らしきものを降りていた。扉(あるいはページ?)を開くと、向こう側の闇の中に夥しい数の文字が見えた(ただし読めない文字ばかりである)。さらに次の扉(ページ?)を開くと、今度は夥しい数の数字の羅列だ。「e=mc2(eイコールmc二乗)」という青いネオンサインが光っていたような気もする。さらに次の扉(ページ?)を開いたところ、またしても夥しい数の文字。そこに書かれているのは呪文かも知れないが、例によって読めない文字ばかりである。これを延々と繰り返している私。音は一切聞こえない。途中で赤い鳥居を見たような気もする。
【解説】 そう言えば一昨日も呪文の夢を見た。何か深い意味があるのだろうか。怪しげでミステリアスで、しかもなぜか癒される夢だった。なお「地下階段」と「鳥居」は、最近ハマっているアプリ「庭爺」の影響に違いない。



16日●ロンドン橋落ちた
気がつくと私は橋の欄干につかまって川面を見下ろしていた。誰かが「ここはテムズ川ですよ」と(おそらくフランス語で)教えてくれた。では、そろそろロンドン橋が落ちる時刻かな、と思った途端に橋全体がいきなりグーンと下がって、私は橋ごとテムズ川の水面ギリギリの高さまで落下した。すぐ目を鼻の先に川が流れている。青い鏡のように透明な水に映った自分は、なぜか金髪の少女だった。誰かが笑いながら私に水をかけてくる。いたずらな子どもたちのようだ。おかげで私は水浸しになってしまった。
【解説】 まるで詩の世界へ入り込んだように幻想的な夢だった。今夜の夢で私は金髪の少女だったが、そういえば今月3日の夢の中では女子高生だった(自分の顔を見たわけではないが、状況から推察してそうだったらしい)。「昔に帰りたい」という願望がゼロの私が少女に戻った夢を見るのは、おかしな話ではある。

【後日談】 起床してすぐに洗濯機を回し、別の用事を済ませてから洗濯機のところへ戻ったところ、あろうことか辺り一面水浸しである。排水関係の何かが壊れたらしいのだ。お蔭でその処理に数時間もかかってしまい、私自身も当然びしょ濡れ。この夢はもしかしたら水難の相を予言していたのかも知れない。そういえば以前も何度か水難の夢をみて、直後に実生活でも水関係のプロブレムが起こったことがある。水関係の夢をみたら、この次こそは気をつけなければ。


17日●実験室でずいずいずっころばし
私は正方形の薄暗い部屋の中にいる。どことなく日本昔話のような雰囲気の部屋だが、私は白衣を着て試験管のようなものを持っているから、ここは理科の実験室なのだと思う。部屋の中央に置かれた大きなデスクには、20cmほどの間隔で直径4〜5cmの穴がたくさん開いている。私の仕事は、試験管の中身をそれぞれの穴の中に入れてゆくことだ。その際、「ずいずいずっころばし、ごまみそずい」と心の中で歌いながら作業するのが決まりらしい。試験管の中身は金色のゲル状の物質で、空気に触れるとすぐ球状になる。それは地球以外のどこかから持ち込まれた物質のようだ。
【解説】 まるで意味不明な夢だった。それにしても「ずいずいずっころばし、ごまみそずい」という呪文のような言葉は何を意味しているのだろう。また、あの金色のゲル状の物は何だったのか。わからないことばかりだ。



18日●……
【解説】 今夜も夢を見たことは間違いないのだが、内容を思い出せない。何かとても印象的な緑色の物が登場したような気がするが。



19日●二者択一と西部開拓史
目の前に、何か2つの選択肢が見える。それは「受験 or 就職」とか「海外留学 or 国内進学」のような、人生の分岐点(しかも10代の若い人たちがぶつかるような類いの)だった気がする。白い紙の束。あれはテスト用紙かも知れない。突然場面が変わり、私は幌馬車に乗っていた。西部開拓史時代を思わせる埃っぽいにおい。同じ馬車には、アーミッシュのような黒っぽい服装の人々が乗り合わせている。山高帽をかぶったオジサンと話したような気がするが、会話の内容は思い出せない。
【解説】 こうして書くと結構長い夢を見たようだが、実際には一瞬だったような気がする。前半と後半にまったく共通性がなく、いきなり場面が変わったようだ。特に面白味のない、わけのわからない夢だった。



20日●畑と死体
山また山の地形。斜面には広大な畑があって、私は延々と畑仕事に精を出している。実にいろいろな種類の作物が植わっていたが、そのうち覚えているのはミカンだけ。そのほかに何が植わっていたのかは思い出せない。斜面の途中に大きな穴が掘ってあり、そこへ人間の死体と埋めようとしたような漠然とした記憶があるのだが、詳細は思い出せない。
【解説】 今夜の夢は、間違いなく2つのことの影響を受けているようだ。1つは「庭爺」、もう1つは昨日見たばかりの映画『スタンド・バイ・ミー』である(この映画には轢死体を見に行く子どもたちが登場するのだ)。以前から私の夢は面白いほど現実世界の出来事とリンクする。今日の夢はその典型だろう。



21日●批評家のホステス
モスグリーンのドレスを纏った髪の長いホステスが、キンキン耳に響く甲高い声で「本当はこうしなくちゃいけないのよ!」と批判的な口調で述べている。私はその声を不快に思っている。ホステスは35歳前後で、いかにも性格のキツそうな美人だ。
【解説】 何が「本当はこうしなくちゃいけない」のか、サッパリ意味がわからない。現実世界には、こんなやかましい女友達はひとりもいないのだが……。



22日●女子大でカウラ事件の講義
大学の教室。私は春らしい明るい色のラフなデザインのスーツを着てレクチャーをしている。ここは女子大なのだろう、生徒はひとり残らず女性だ。授業中に携帯を使ったり化粧をしているような失礼な学生はひとりもいない。皆、真剣なまなざしでこちらの話に耳を傾け、ノートを取っている。私はカウラ事件について話していたようだ。
【解説】 数日前に知人から、「私は某女子大から頼まれてたまに講義をするんですが、あの学校の内情はひどいものです。授業中に化粧はするわ携帯は使うわ、勉強する気配もありません」というトンデモナイ話を聞かされた。その印象が、まったく正反対のイメージとなって今夜の夢に登場したようだ。「女子大」と言えば、私も一昨年の夏に学習院女子大で特別講義をさせていただいたが、あのクラスの学生さんたちは実に真面目で、積極的に授業に取り組んでいた。女子大にもピンからキリまであるということ。



23日●或る女優の凋落
目の前にひとりの女優さんが立っている。彼女、Kさんは、1970年代後半〜80年代前半にかけて人気のあった女優さんだ。当時はお人形さんのように可愛らしかったが、今こうして見ると恐ろしく醜い。いや、単に「造形的に醜い」というよりは、悪魔が乗り移ったような「邪悪な醜さ」なのだ。本人であることが全く信じられない、極端な変貌ぶりである。私は(これがKさん?!)とショックを受けながら、心のどこかで(これだから人生は最後の最後まで勝負がわからないのだよ)と思っている。
【解説】 そういえば最近、Kさんを見かけない。私は基本的にテレビを観ない人なので、そのせいもあるかも知れない。しかし少しでもメディアに露出していれば、ネット上で見かけないはずはない。全く見かけないということは、おそらく女優業を辞めてしまったか休業しているのだろう。夢の中の彼女が醜い姿だった理由はまったくわからない。



24日●……
【解説】 何か心が踊りだすような明るいイメージの夢を見たのだが、内容は全く思い出せない。



25日●風が吹いて髪が飛んで……
広葉樹の並木。きっとここは川べりの遊歩道なのだと思う。私の正面に、もうひとりの私が立っている。年齢は高校生ぐらい。肩にかかるぐらい短いおかっぱ髪で、実に楽しそうにニコニコ笑っている。それを見ているのは現在の自分。高校生の私を観察しながら、(実際の高校時代はこんなに可愛くなかったぞ)と思う。何台か自転車が通り過ぎて行った。健康な若さ。静かな時の経過。まるで絵画を見ているようだ。高校生の私はまっすぐにこちらを向いて立ったまま、楽しそうに笑いつづけている。そこへ俄かに強風が吹いてきた。夢の画面左から右方向へと、凄まじい勢いで風は吹き、すべてのものを吹き飛ばしはじめる。木々を覆っていた葉っぱがみるみるうちに飛ばされていった。葉っぱと共に高校生の私の髪もどんどん飛ばされ、あれよあれよという間にツルツルになって、最後にそこに立っていたのは土星型に髪の禿げた90歳ぐらいのお爺ちゃんだった。高校生の私は、もうどこにもいない。観察者の私は爆笑しながら「庭爺!」と呼ぼうとした。そこで目が醒めた。
【解説】 途中までとても雰囲気のいい夢だったのに、最後はほとんどドリフのコント。しかも「庭爺」。もう笑うしかない(苦笑)。



26日●なぜかイスタンブール
私は旅の支度をしている。どのような目的の旅なのかは不明だが、行き先はイタリアのトレントだ。出発日は今日か明日か、ともかく目前に迫っているらしい。ところがその後、誰かから連絡が入り、私の行き先は急遽イスタンブールに変更になった。(なぜイスタンブール?)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 今夜の夢には続きがあった気がするのだが、この部分しか思い出せない。そう言えば少し前、弟が論文を書くためにイスタンブールへ行ってきた。もしやそのことが今夜の夢に影響しているのだろうか。

【後日談】 この夢を見た翌日の朝、メールボックスを開くとスイス人の友達からメールが届いており、「これからイタリアのトレントへ行く」とあった。不思議な一致である。ちなみに私自身はトレントへもイスタンブールへも行く予定はない。


27日●大仏の頭とりんごのすけじいちゃん
長いまっすぐな道路を車で走っている。道の中央には幅10メートルほどの大規模な分離帯があって、そこにはジャングルのように鬱蒼と木々が生い茂っている。分離帯を挟んで両側に上り下り線の車道が設置されている。ここは日本らしいのだが、なぜか自動車は右側通行だ。ここは長野市の近辺という設定らしいが、目に映る風景は実際の長野とは似ても似つかない。私は誰かが運転する車に乗っている。車内には私を含め少なくとも3人がいて、いかにも物見遊山風の楽しい雰囲気が漂っている(ただし同乗者の顔は見えない)。不意に、中央分離帯のジャングルの中に大仏の頭が見えた。「大仏だ! 大仏の頭が見えた!」。騒然とする車内。急いで車を停め駆け寄ってみると、それは高さ5〜6メートルほどの大仏の「頭部」だった(※首から下は存在しない)。頭のなかに入ってみると、そこは空洞で、洒落たデザインの家あるいは商店のような造りになっている。そこに2人の老人がおり、うちひとりは隣之助(りんのすけ)じいちゃんではないか。幼い頃の私が間違えて「りんごのすけじいちゃん」と呼んでいた父方の祖父だ。おじいちゃんは私の顔を見ても驚くわけでもなく、淡々と2階へ案内してくれた。そのあと夢がどう展開したのかは残念ながら覚えていない。
【解説】 父方の祖父の夢を見るのは、もしかしたら生まれて初めてかも知れない。この祖父とは一度も同居したことがないうえ、年に一度会うか会わないかだったし、私が4歳の時に亡くなってしまった。だからほとんど思い出すこともない祖父なのだ。なのに今朝は何故、こんな夢を見たのだろう。祖父がすぐ目の前に立っているような、生き生きとしてリアルな夢だった。



28日●シントロス
シントロスという言葉が何度も何度も聞こえてくる。「ト」の音が強調された発音だ。シントロスはインドに関係した透明な器で、どんな形にも変わるという。私は(そうか。シントロスか)と思っている。
【解説】 まったく意味のわからない夢。「シントロス」という言葉にも聞き覚えがない。起床してから「シントロス」でググってみたが、該当する項目はなかった(※「Syntros」という会社は複数あるようだが、「syntros」という英単語は辞書にない)。



29日●モンゴル・カフェ
私は見慣れぬ街にいる。誰かがやってきて「目抜き通りの交差点に○○○カフェが出来たらしいですよ」と(何やら聞いたことのない言葉で)告げた。最初は「○○○」の部分がうまく聞き取れなかったのだが、よく聞くと「○○○=モンゴル」であることが判明。私は俄かに関心を掻きたてられて交差点へと向かった。埃っぽい賑やかな道を歩いて行くと、街で一番大きな交差点にさしかかった。そこに新しいカフェが出来ていた。ドアを押して中に入ると、そこはホテルのロビーのように広い空間で、数十人から100人ほどの男たちが飲み物を飲んだり水煙草を吸っている。このなかに首相(大統領?)がいるはずだ。私はその人を探している。
【解説】 。



30日●婚約しました(笑)
最初、「女友達のXさんが結婚を前提とした交際をしている」という話を、風の頼りに聞いた。暫くしてXさん本人から「婚約しました(笑)」という連絡がきた。しかし最後の“笑”はどういう意味なのだろう。彼女の話を信じるべきか否か、私は迷っている。
【解説】 今夜の夢にはもっと長いストーリーがあったように思うのだが、思い出せるのはこの部分だけ。Xさんは現実世界では最近会ったばかりの人で、いわゆる“深い話”をしたこともない。そのせいか、彼女の話がジョークなのか本気なのか判断に迷うことがままある。その気持ちが今夜の夢となって現われたのかも知れない。

【後日談】 夢から2日後の4月1日午前0時、驚いたことに、Xさんがネット上の某所に「婚約しました」という日記を書きこんでいた。4月1日午前0時の書き込みといったら、内容がどんなことであれ、文章の最後に(笑)を付けているのと同じようなものであろう。やはり夢のとおり、Xさんの婚約話はジョークだったのかも知れない。


31日●パソコンの直し方を息子から教わる
私のパソコンが壊れたらしい。直すためには内部から“或る部品”を取り出し、ハンマーで叩き壊すしかないという。“或る部品”は、一辺が5〜6センチの正方形で、材質は半透明な薄いセロファンまたはそれに類似した物だ。私はそれをパソコン内部から取り出し、ハンマーで叩き壊し始めた。するとそこへ幼稚園児ぐらいになった息子がやってきて、「パソコンの故障は遊園地へ行けば早く直せるよ」と言った。私は(確かにそうだ。遊園地へ行けば早く直るに決まっている)と思い、すぐに駆けだしていた。場面が変わり、私は一人乗りのリフトに乗っていた。リフトで宙吊りにされたまま進んでゆくと、何やら楽しいアトラクションが見えてきた。どんなアトラクションだったかは思い出せないが、見ているだけで心がワクワクする内容だったと思う。するとそこへ息子が後ろから追いかけて来て、「ごめん、やり方が間違っていた! 正しいやり方を教えるからリフトから降りて!」と叫んだ。それを聞いた私はあわててリフトから飛び降りようとしている。
【解説】 夢の内容以上に、幼稚園児の姿に戻った息子の可愛らしさがひときわ印象に残る夢だった(注/現実の息子は今年で19歳)。なお、「パソコンの故障」にも「遊園地」にも、現実世界では思い当たる節がない。





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