2010年10月


1日●白い犬の毛
どこかへ出かける道すがら、オシャレな黒い洋服に白い犬の毛が数本付いているのを発見した。一緒にいたのは、確か娘だったような気がする。私たちは「大変、こんなところにポチの毛が付いてる」と言いながら毛を払っている。
【解説】 今夜の夢の中では「ポチ」という犬が生きていることになっていたが、実際には20数年前に老衰であの世に行った犬である。久しぶりに夢に現われたかと思えば、全身を見せるわけではなく、登場したのは数本の毛だけ。奥ゆかしい子だ。



2日●落下する額縁
誰かが玄関にかがんで靴を履いていると、壁の高いところに掛けてあった大きな額縁がいきなり落下して、かがんでいた人の頭を直撃した。私は声にならない悲鳴をあげながら、(今日は物が落ちる日だ。気をつけよう)と思っている。
【解説】 ごく短い夢だった。靴を履いていたのが誰だったかはわからないが、その場所が自宅の玄関だったことは間違いない。そこには実際、やや不安定な方法で大きな額縁が飾ってあるのだ。これまでの経験に照らすと、私が「これは落下する」と直感的に思ったり夢で見たりしたものは、かなり高い確率で数秒から数時間以内に落下する。過去には「天井のシャンデリアが落ちて来る」と直感して急いで場所を移動し、数秒差で命拾いしたこともある。飛行機が落ちたこともある。私のこうした直感には自分でも説明の付けようがないのだが、子どもの頃からそういうことがたびたび起こったので、(経験則として)自分の第六感には素直に従うことにしている。今朝は念のため、玄関からくだんの額縁を取り外した。備えあれば憂いなし。これで一安心である。



3日●インド人の同級生と謎解きをする
海に面して大きくカーブし、途中から二股に分かれた道。私は道の分岐点あたりに立っている。視界に入る風景のどこかに「三角形」のイメージがある。同級生の男子が3人(または2人?)、私のすぐ近くに立っているのだが、彼らはどう見ても30代のインド人だ。私たちは何かの謎を解いている最中なのだと思う。このあとはバラバラに別れて捜索を続けた。
【解説】 今夜の夢にはもっと長いストーリーがあったのだ。それは基本的にはミステリーで、何らかの美しくも物悲しい出来事が幾つか散りばめられていたように思う(ただしそれらの出来事に関して私は「当事者」ではなく、あくまでも「傍観者」だったようだ)。残念ながら詳細は覚えていないが、「三角形」「同級生」「インド人」のイメージが奇妙なほど強く残っている。



4日●ブースケ首相!
誰かが椅子に座っている後ろ姿が見えた。ライオンの鬣(たてがみ)を思わせる、ちょっと長めでワイルドなヘアスタイル。茶髪に染めてはいるが、この人は間違いなく小泉純一郎さんだと思う。心の中で(小泉首相!)と呼びかけると、その気配が通じたのだろう、その人がおもむろに振り向いた。見るとナントそれは、ヘアスタイルだけ小泉首相になったブースケだったではないか。(あっ、ブースケ!)と叫びそうになったところで場面が変わり、別の夢が始まったのだがその内容は覚えていない。
【解説】 犬のブースケ(シーズー♂7才10か月)が、夢の中とは言えついに首相に昇進したようだ。いやはや、ずいぶん出世したものである(苦笑)。



5日●教室の机に置かれた赤いウール
人の気配。教室のような部屋。椅子に座ったままこちらを向いている女性。その人は若くはないが、目が大きく綺麗な人だ。肩にかかる髪を女らしく巻いている。机の上には赤いウール(コートあるいは毛布?)が見える。何かハプニングがあったのだが、その内容は全く思い出せない。細かなことは全て忘れてしまい、最後に私の目は赤いウールだけをとらえていた。
【解説】 わかったようなわからないような夢。この前後にもストーリーがあったのかも知れないが、目覚めてみるとなぜか赤いウールのイメージだけが強烈に残っている。その赤色は明るく、生命力に満ちていたような気がする。



5日●枝分かれ
前後関係は思い出せないのだが、すぐ目の前に30センチほどの小枝が見える。葉は1枚も付いておらず、特に変わった形でもないのだが、幾つかに枝分かれしていることが気になる。「枝分かれしているということが重要なのだ」と私は思っている。
【解説】 またしても意味のわからない夢。そういえば今月3日の夢には「二股に分かれた道」が登場した。2つの夢には何らかの共通項があるのかも知れないが、それが具体的にどういう意味なのかは定かでない。



6日●……
【解説】 今夜は仕事で徹夜。ゆえに夢は見ていない。



7日●他者の意思に支配される首相と国民
日本国の首相が世界でも稀にみるトンデモ法案を可決させたらしい。それによれば、今後、日本では新しい法律を作る際に法律家の手は一切加えず、また民意も問わず、コンピュータがランダムに作文した事柄をそっくりそのまま法律として採用するのだという。本日、その記念すべき“コンピュータ作”の法律第1号が施行された。新しい法律の内容は「すべては1である」というものだった。私はこのニュースを新聞で知り驚愕している。コンピュータが勝手に法律を作り、人間には反論する余地もないという話は気が狂っているし、第一、「すべては1である」とは一体何のことだ? 私は驚き呆れ怒りながら心の中で、(するとこれからは消費税も1%、産むことが許される子どもの数も1人、目の数も1個、耳の数も1個、太陽系にある惑星の数も1個、毎日が1月1日ですか?)と憤っている。こんな大ニュースなのに、新聞もテレビも何一つ論評していないし国民も黙したままである。「日本人はいつからこんなにダメになったんだ!」と悲しくなったところで目が醒めた。
【解説】 今夜の夢には、いまだに過去の「負」を背負って生きている日本人の悲哀がにじんでいたように思う。おそらく今夜の夢のテーマは「いい加減、目を覚ませ日本人!」だったのだと思う。



8日●荒井先生と喫茶店へ
茶道の荒井宗羅先生とふたり、喫茶店で何事か話している。そこは驚くほど昭和チックな空間だ。すべてが濃い茶色の空間。店の奥まったコーナー席。何の話をしているのか定かではないが、あたりの時間軸全体が完全に昭和になっている。
【解説】 先生と何の話をしていたのだろう。詳細は何も思い出せない。ただ濃厚な昭和の匂いだけが記憶に残っている。



9日●カードに因縁を付けられる
緑色のイメージの店がある。その店で買い物をし、カードを出したところ、ヤクザ風の男の店員(推定50歳)から、「お客さん、このカードは使えませんよ」と失礼な口調で言われた。男の話では、最近カードに関する決まり事が変わったので、今ではカードの右上に本人確認のための指紋が登録されていない限り使用できないというのである。私は心の中で(そんな話はあり得ない。これは新しいカードを作らせるための口から出任せに違いない)と思い、さてどうしたものかと作戦を練っている。
【解説】 このあとで何か良い解決策が生まれたような気もするのだが、全く覚えていない。全体に意味不明な夢だった。この夢は信州の山小屋で見た。

【後日談】 この夢を見た翌日、とある店でカードを使おうとしたところ、なぜか使えなかった。不審に思ってカード会社に問い合わせたところ「磁気不良」だという。昨日まではまったく問題のなかったカードがいきなり磁気不良を起こすのも驚きだが、しかも、この夢を見た直後である。しかもしかも、その店の内装はグリーン一色だったではないか。とんでもない正夢である。


10日●止まらない電車から栃木で飛び降りる
気がつくと電車に乗っていた。窓の外には、絶え間なく続く壁。どうやら電車はトンネル内を走っているようだ。そのままの状態が延々と続き、やがて私は、この電車が基本的には“永遠に止まらない電車”だということと、“この先も永遠にトンネルが続く”という事実に気づいて愕然とする。このままだと、何年も何十年も電車は走り続け、私はこの中で年老いて死ぬしかないだろう。ふと右手の中を見ると、そこには1枚の古びた切符があり、なぜか「栃木」と印刷されていた。なぜ栃木なのか、思い当たる節は全くないが、それは私が知っているあの「栃木県」とは別の場所のような気がする。そのあと判明したのは、この電車が何かの拍子にほんの一瞬だけ停車することがあるらしいということだった(ただしそれは特別に運の良い場合に限られる)。私は電車が「栃木」で一瞬停車することを確信し、その瞬間を狙って飛び降りる心の準備をしている。
【解説】 外の景色が見えない乗り物の移動は、退屈なうえにストレスの溜まるものだ。トンネルの中を延々と走り続ければ、精神的にかなりのストレスを強いられるだろう。人生という名の列車であれば尚のことだ。今夜の夢の中で私はトンネル内を延々と走る列車から飛び下りる準備をしていたが、飛び降りると決めた瞬間、何やらとても爽やかで楽しい気持ちになったことを覚えている。それにしてもなぜ「栃木」なのだろう。思い当たる節はないのだが。この夢は信州の山小屋で見た。



11日●人生で最も大切な3つのこと
私は見知らぬ田舎を旅しているようだ。一種独特の懐かしさを覚える風景。炭坑または炭坑跡が見えたような気がするが、それはただの灰色っぽいイメージだったのかも知れない。色々な場所へ行き、色々なことがあるなかで、私は人生で最も大切な3つのことを知ってしまった。「そうか! そうだったのか!」という感動と共に目から鱗が落ちまくり、私は一気に悟りが開けたように、未だかつてない清々しい気持ちになった。3つのことを忘れてしまわないよう、私は必死でその内容を紙(あるいは石だったかも知れない)に書きつけている。すべて書き終わりホッとしたところで目が醒めてしまった。
【解説】 目が醒めてみると「3つのこと」が何だったのか全く思い出せない。必死で思い出そうとするのだが雰囲気しか思い出せないのだ。人生の秘密が解けたというのに、全くなんということだ! しかし考えてみると、今夜の夢の中でハタと気づいた「人生で最も大切な3つのこと」は、生身の人間が知ってはいけないことだったのではないか。夢の中ではそれを知ることが許されたが、その情報を夢の外へ持ち出すことは厳禁されていたのではないか。単なる勘だが、どうもそんな気がした。この夢は信州の山小屋で見た。



12日●R.I.P.
私の目の前に海が広がっている。“R.I.P.”(Rest in peace)という言葉が脳裏に浮かぶ。と思う間もなく、25歳ぐらいから60歳ぐらいまでさまざまな年齢の男たちが数人駆けて来て、海に浮かんだボートに勢いよくスライディングして足から滑り込んだ。全員が一緒に大きなボートに飛び込んだのではなく、ひとりひとりが別々の小さなボートに飛び込んだのである。それらのボートには半分だけ覆いがついており、人間が寝転んでピッタリの長さがある。そのため、ボートはどことなく棺桶を思わせる。事実、それらのボートは男たちの棺桶になるのだ。彼らはこのボートで沖へ沖へと流されてゆき、そのまま海の藻屑と消えるのである。その間に男たちは悟りを開くのかも知れない。特にいちばん若い25歳ぐらいの男はいかにも悟りを開きそうな顔をしている。何か崇高なオーラを感じて、私は今まで体験したことのないような種類の心の高揚を感じている。
【解説】 まるで補陀落渡海(ほだらく・とかい)を実際にこの目で見て来たような気分にさせられる、不思議な夢だった。「R.I.P.」は「安らかに眠れ」を意味する言葉で、西洋の墓標には必ず刻まれている。今夜の夢の中ではこの言葉が一番印象に深く残っている。しかし、なぜこのような夢を見たのか、思い当たる節はない。この夢は信州の山小屋で見た。



13日●左足の下から草
気がつくと土の上を歩いていた。両足を同じように動かしているにもかかわらず、左足を地面に置いたときだけ土が少しめくれ、その中から20〜30センチほどの草がワッと生えるのだ。野蒜(のびる)のように細くてまっすぐな葉である。これは一体どういう現象だろうと思いながらも、私は速度を落とさずにそのまま歩き続け、左足が踏んだ地面からは草が生え続けている。
【解説】 この夢を見て思い出したのは、イザナギ神が顔を洗ったところ左目から天照大神、右目から月読神が生まれたという神話だ(ちなみに鼻から生まれたのはスサノオ神)。日本では古来、左は右よりも上位である。これは世界的に見てかなり珍しい(一般的には右が上位)。日本と同様に左が上位だったのは、古代ユダヤぐらいのものである。そのことと今夜の夢に関係があるのかどうか定かではないが、ともあれ、起床してすぐに思い出したのは天照大神だったということだ。
この夢は信州の山小屋で見た。


14日●タイムマシン風のチューブ内を移動する
目の前に鳥居のトンネルが見える。その中へ入ろうと思ったのか思わなかったのか、自分の心の動きすら定かではないのだが、気がつくと何者かの力によって私はその中へ引きずり込まれていた。鳥居はたちまち近未来的なデザインのチューブに変わり、周囲の壁が凄まじい勢いで後ろへ動き始めた。しかし主客はその逆で、実際にはチューブは動いておらず、私自身が凄まじい勢いで前進しているらしい。そしてそれは私の意思によるものではない。何者かが私を前へ前へと押し出しているのだ。タイムマシンという言葉が脳裏をよぎる。灰色のチューブは、右曲がりにやや蛇行しながらどこまでも続いている。
【解説】 目が醒めて真っ先に思ったことは、「今夜の夢には音がなかった」ということである。音がない世界は、実にアンリアルだ。そのためか、今夜の夢にはまるで現実感が伴わない。もっとも、夢なのだから現実感が伴わないのは当たり前か。
この夢は信州の山小屋で見た。


15日●洞窟の中で3つの宝を探す
気がつくと山の中にいた。妖気、魅力、この世のものとも思われない雰囲気。すぐ目の前に岩山があって、洞窟がパックリと口を開いていた。私は誰かから「3つの宝を探して来るように」と指示されたようだ。指示したのは日本人の男性で、どんな顔だったかは思い出せないが、目が異様に大きく、まるで異星人のような不可思議なオーラを漂わせた人だった。3つの宝は「三種の神器」のことかも知れないが、それらは鏡・勾玉・草薙の剣から形を変えて、別の何物かになっているらしい。私は洞窟に入った。それは驚くほど細長く薄暗い洞窟で、幅は数メートル、長さは何キロもまっすぐに続いている。私は洞窟の奥へ奥へと歩きだした。両側には、大きな岩やエキゾティックな露店が並んでいる。明るすぎず、しかしムードたっぷりのイルミネーション。アリババが「開けゴマ」と呪文を唱えて入った、あの秘密の洞窟に似た雰囲気。時間がないのか、私は走っている。洞窟の暗がりの中で、再びあの異様に目の大きな男と会い、何やら指示を与えられたような気もするが、そのあたりの詳細は覚えていない。3つの宝のうちの1つを私は獲得したようだ。
【解説】 さて、獲得した宝は一体何だったのだろう。残念なことに何ひとつ思い出せない。全体に謎めいていて、遊園地のアトラクションのようなわくわく感漂う夢だった。この夢は信州の山小屋で見た。



16日●本の完全原稿づくり
私は本の完全原稿を作っている。紙選びからフォント選び、ページごとのレイアウトデザインまで、すべてを自分ひとりで行なっているので、慣れない作業ばかりでたいへん神経を使う。まるで職人になったような気分だ。目の前で紙がパラパラとめくれている。私は間違いがないか確かめながら、「急がないと間に合わない」などと思って軽い焦りを感じている。
【解説】 現実世界では、目下、年末に上梓する予定の本を作っている最中だ。現実でも、ほぼ私ひとりで本づくりをしている状況なので、今夜の夢には現実がそのまま投影されていた感がある。この夢は信州の山小屋で見た



17日●……
【解説】 今夜は(車で)信州から東京へと戻った。そのため横になって寝ておらず、夢らしいものは見ていない。



18日●旧友“Kちゃん”との淋しい再会
前後関係はよくわからないのだが、女子高時代の旧友(Kちゃん)に再会し、私はドキドキしながら大喜びしている。Kちゃんの家へも行ったような気がするが、なぜかKちゃんは「逢うのはこれが最後だよ」という意味のことを言った。それがどういう意味なのかわからず、私は今までの楽しかった気持ちに水をかけられたようになってシュンとしてしまうのだが、その気持ちは表に出さず、努めて元気な様子を装って、「わかった。じゃあ、一回だけ楽しく遊ぼうね」と答えた。Kちゃんの顔には憂いと諦めのような表情が浮かんでいる。私はKちゃんと手を繋ぎ、それこそ女子高生のように遊び回ったのだが、何となく気持ちが冴えない。明らかにKちゃんは楽しんでいない。Kちゃんとはこれでサヨナラなのだろうか、と思ったところで目が醒めた。
【解説】 嬉しさと淋しさが綯(な)い交ぜになったような夢だった。現実世界では、Kちゃんとは30年以上逢っていないし完全な音信不通である。今どこでどうしているかわからないだけに、こんな形で夢に登場したKちゃんの安否が気遣われる。



19日●窒息寸前
公害か黄砂によっていきなり空気が汚染され、呼吸が苦しい。窒息しかかったところで目が醒めた。
【解説】 今夜の夢にはもっと長いストーリーがあったのだが、最後にいきなり窒息しかかったことによって、それまでの内容を完全に忘れてしまった。目が醒めてみると、飼い犬のパンダ(6歳の♀狆)が私のベッドの上で布団をビリビリ引き裂き、中の綿を出していたではないか。お蔭であたりは雪が降ったような真っ白な世界(大汗)。私の鼻のあたりにもたくさん綿が付いていた。窒息しかかる夢は、これが原因だったのだ。本当に困ったお犬様である。



20日●ジニアを連れて道に迷う
気がつくと私のすぐ脇でジニアが笑っていた。ジニアはインドの女子中学生。美人で頭がよく、今年は全インドマジック大会で準優勝したほどマジックが上手い。どうやらここは東京で、私は今からジニアを東京見物に連れ出すところらしいのだ。ところが不思議なことに、目の前に広がっているのは見たこともない街で、少しも日本らしくない。むしろヨーロッパのような、しかしヨーロッパとも微妙に何かが違う、100年ぐらい前の地球上のどこかに存在したのではないかと思われる重厚でレトロな街並みなのである。ともあれジニアが街を見たがっているので、私は彼女を連れて外に出た。ふたりが目指しているのは、ロータリー交差点の一画にあるレンガ造りの古い建物だ。そこにはジニアと私が大好きな何かがあるらしい(それが何であったかは夢の中ではハッキリわかっていたのだが、目が醒めてみると思い出せない)。暫く歩くと目的の場所に着いたのだが、なぜかそこには予想とは異なる建物(郵便局、あるいは、私もジニアも興味のない商品を扱ったショールーム?)が建っていた。番地は合っているのに、目指す建物はそこにはないのだ。そのあとレトロな雰囲気のバス(?)に乗って街をめぐり、くだんの建物を探しまわった気がするが、何をしても目的の場所にたどり着けない。そのうちに(現実世界で犬が鳴いたことがおそらく原因で)夢がグダグダになってしまい、ストーリーがわからなくなったところで目が醒めた。
【解説】 来年はジニアのマジックショーを東京で開催する予定だ。実際に道に迷うことのないよう、準備万端で臨もうと思う。



21日●不動産を介して運命の異性に出逢う
見知らぬ男女の姿が見える。彼らはまったくの他人同士で、今は別々の場所に暮らしている。ふたりには恋人もなく、それぞれ淋しく暮らしているのだが、「どこかに家を建てたいな。そのためには、こんな形の土地が欲しい」と、具体的な不動産のビジョンを持っているようだ。その夜、ふたりは別々の場所で眠り、別々の夢を見た。それぞれの夢の中で、ふたりは一種の啓示を受ける。つまり、「おまえが探している土地は、あそこにある」というビジョンが夢のなかに浮かんだのだ。眼が醒めたふたりは、それぞれの家を出て、夢に導かれるようにある場所をめざした。ふたりは全く同じ時刻に、道の右と左から、それぞれ同じ場所にたどり着いた。ふたりは、理想ににピッタリの空き地を目の前にするや大喜びし、次いで、道の反対側から駆けて来た異性の姿を見ると、それが運命の人である事を瞬時に悟っていた。私はその一部始終を静かに見つめながら、心のなかで(どうぞお幸せに)と祈っている。
【解説】 とても不思議な夢だった。あたかも私の夢の中で、ふたりの男女が正夢を見たような……。今夜はこれとは別に3つの夢を見た記憶がある。それらの夢は、上記の夢よりもさらに幸福感に満ちたドラマティックな内容だったのだが、残念なことに内容を思い出せない。いずれにしても、今夜は非常に夢見が良かったと言える。



22……
【解説】 今夜は仕事のためにほぼ徹夜。そのため夢らしい夢は見ていない。



23日●赤ちゃんの泣き声をたどって
遠くのほうから甲高い赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。空気を引き裂くような音。虐待だろうか。嫌な予感がして、私は声のするほうへ近づいて行った。入り組んだ細い道。まるでアリババが棲む街、または迷路のようだ。探しても探しても赤ちゃんは見つからなかった。
【解説】 起床してみると、実際にどこかで赤ちゃん(正確には2〜3歳の幼児と思われる)の甲高い鳴き声が聞こえていた。かなり遠方からの声だったが、暴力を受けて泣いているのではなく、いわゆる“我を通すために”泣いている声のようだったので安心したが。私が住んでいるあたりは都内の住宅街で、周囲は一軒家ばかり。子どもの泣き声を聞くのは久しぶりだ。それにしても子どもの泣き声を聞いただけで虐待を疑わなければならないとは、どうにも世知辛い世の中になったものである。



24日●母にお使いを頼む
母にお使いを頼んでいる。具体的には、母から誰かに複数の品物を届けてもらう(小さくて軽いものばかりを5〜6点)だけなのだが、そのなかに「大島紬の切れ端」がある。これだけは相手に差し上げてしまわず、見せるだけ見せて、そのあとは持ち帰って欲しい。そのことを私は母宛ての手紙に書き、それでも信用できず、母に直接会って口頭で伝えている。母は「はい、わかりました。大島紬は必ず持って帰ります」と、私の言葉を復唱している。母と私の周囲には、家族らしき人々が2〜3人いたような気がするが、彼らの姿はハッキリとは見えなかった。
【解説】 年をとると親子の立場が完全に逆転し、子どもの頃に母から言われたようなことを母に向かって言っていることがある。今夜の夢などは、まさにその典型だった。しかしなぜ大島紬が登場したのか、その意味は全くわからない。



25日●池の右上で事件は起こった
縦に長い池が見える。例えて言えば長野県のような形だ。不思議なことに私の目には、その池が「リアル」ではなく「二次元の存在」として見えている。つまり、池に厚みがないのだ。池の右上あたりに×印または赤い印が付いていたかも知れない。それを見ると私は即座に、(池の右上あたりで何か事件が起こったようだな)と知った。
【解説】 一瞬の夢だった。「池の右上」「事件」という印象だけが強烈で、あとのことは何もわからない。



26日●薬局の角に空き缶を並べる
気がつくと私はアメ横にある薬局の前に立っていた。薬局は大通りと小路が交差する三叉路にある。大通りの側は人通りが激しいが、小路のほうは閑散としている。その間に薬局は立っている。私は薬局の角の道路上に空き缶を4つぐらい並べている。缶コーヒーの空き缶だったような気がするが、違うかも知れない。
【解説】 実在するアメ横の薬局前の道路上に、ただただ空き缶を並べているというシュールな夢。意味は全くわからない。ちなみに、この店で買物をしたことは一度もない。



27日●日本への帰国チケット
気がつくとインドにいた。ヒマラヤのどこかだろうか、人里離れた山の風景が、淋しくもあり美しくもある。私は明日、日本へ帰ることになったらしく、そのことを大いに喜んでいる。ところが肝心の航空券がまだ取れていない。かなり長い距離を歩いてチケットカウンターまで行ってみると、窓口の女性(なぜか高校時代の同級生のT子さんに似ている)が、「チケットはまだ取れていません。たぶん取れると思いますが取れないかも知れません。今日はもう閉店です」という意味のことを優しい口調で告げて、目の前でカウンターを閉めて去ってしまった。私はほんの少し困ってみたものの、内心では(大丈夫、チケットは必ず取れる)という妙な自信に溢れているのだった。そこへ幼稚園児ぐらいの姿に戻った息子が現われた。私が「明日、日本へ帰るからね」と告げると、息子はとても嬉しそうな顔をした。
【解説】 昔インドに住んでいた頃は、日本への一時帰国が本当に待ち遠しかった。6年間の滞在を終えて日本に帰国するときは、「万歳!」と叫びたいほど嬉しかった。しかし日本で暮らしている今は、たまにインドへ行くのがひどく待ち遠しい。おかしなものだ。



28日●……
【解説】 今月28日と29日に見た夢は、起床してすぐにメモを取らなかったため、残念ながら内容を忘れてしまった。



29日●……
【解説】 上に同じ。



30日●ホテルで昼寝
気がつくとホテルの一室にいた。ホテルと言っても、床に直接布団を敷いて寝るタイプの部屋で、韓国のオンドル部屋に似ている。私は布団の中でぬくぬくしている。同じ部屋には誰か親しい女友達がいて、笑いながらおしゃべりをしていたような気もする。それにしても眠い。時計を見ると午前10時半だ。廊下からはルームサービス係が歩き回っているような足音がしているが、ホテルのチェックアウトは正午だから、あと1時間半ゆっくり寝ようと思う。
【解説】 夢のなかでも眠いという、おかしな夢だった。このところ少し睡眠不足気味だ。それでこんな夢をみたのだろう。



31日●'80年代のアイドル
昭和臭の漂う喫茶店。丸テーブルがたくさん並んでおり、それぞれのテーブルには若い男女が2〜4人ずつ座っている。正面には幅3〜4メートル×奥行き2〜3メートルほどの小さなステージがあって、その上ではいかにも'80年代風の女性アイドルが歌っている。セミロングの巻き毛、ふわっとした乙女チックな白いミニワンピース(当然パフスリーブ)。いかにも可愛いアイドルらしい風貌だ。その顔は、若かりし頃の柏原芳恵さんと石川ひとみさんを足して2で割ったような清楚な感じ。私はステージから一番遠い席に座って、店全体の風景を静かに眺めている。
【解説】 1980年代初頭にタイムスリップしたような夢だった。ちなみに私には懐古趣味はないし、あの時代に戻りたいとも思わない。夢は全体にセピア色に霞んで見えた。





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