2010年9月


1日●森義朗元首相と想い出の写真を見る
前後関係は全くわからないが、気がつくと森義朗元首相とふたりで古いフォトアルバムを見ていた。その大半はインドで撮った写真のようだ。大量の写真を前にして、私達はああでもないこうでもないと、賑やかに共通の思い出を語っている。
【解説】 そういえば森さんと初めてお目にかかったのは、インドのニューデリーだった。当時、現職の首相でいらっしゃっった森さんがインドを公式訪問なさり、歓迎式典の会場でお目にかかったのだ。2000年のことである。麻生太郎さんもお見えになっていた。いま思えば懐かしい。元気で賑やかなイメージの夢だった。



2日●駅前ですれ違う西島秀俊にドキドキ
小さな駅。工事をしているらしく、入り口の部分が仮設のトンネルのようになっている。私は毎朝そこを通って学校に通う高校生のような気がするが、あるいは違うのかも知れない。細い道を通って駅に入ろうとすると、反対に駅から出てきた男性がいた。驚いたことに俳優の西島秀俊さんではないか。あっと思った瞬間、西島さんは私とすれ違ってどんどん歩み去ってしまったのだが、道幅が狭かったため、すれ違いざまにふたりの腕が触れた。何とも言えない幸せな気持ち。次の日もやはり、同じ時間にそこを通ると西島さんとすれ違った。再び、うっとりとした幸せな気分。そういう事態が少なくとも3日は続いたように記憶している。それ以上の進展はないのだが、私は現状に満足している。
【解説】 私は西島秀俊さんの静かなファンである。あの声と顔、そして何より“雰囲気”が好きなのだ。しかし「実際に会ってみたい」とは思わない。むしろそっとしておきたい相手である(道で偶然出会うようなことがあっても、気づかなかったふりをして通り過ぎるだろう)。そういう意味では、今夜の夢における私の(西島さんに対する)態度は及第点と言える(笑)。



3日●威勢のいいオジサン
威勢のいい見知らぬオジサンとおしゃべりしている。オジサンの年齢は60〜65歳。土建屋さんか魚屋さんのような雰囲気。
【解説】 長い夢だったのだが、この部分しか思い出せない。知らないオジサンなのに、なぜか懐かしい感じがした。



4日●峠道で“まみちゃん”に会う
山道を3〜4歳ぐらいの“まみちゃん”がひとりで歩いている。まみちゃんのすぐ前には大きな黒アゲハが飛んでいる。まみちゃんは、アゲハ蝶を追いかけてここまで歩いて来たのだ。まみちゃんは、皇室の女性がかぶるようなトラディショナルな“お帽子”をかぶり、フリルの付いた上品な白いブラウスに、赤いチェックのプリーツスカート。足元はレース飾りの付いた白いソックスに、黒い革靴を履いている。山道を歩くような服装ではないのだが、本人はそのことを少しも気にしていない。ただ無邪気に蝶々を追いかけているだけなのだ。まみちゃんが峠に差しかかったところで場面が変わり、峠を挟んだ道の反対側を歩いている“私”がいた。私は峠に向かっている。峠に着くと、道の反対側からふわふわ飛んで来た黒いアゲハ蝶と、その蝶を追いかけている小さな女の子の姿が言えた。思わず「まみちゃん!」と声に出して叫んだところで、目が醒めてしまった。
【解説】 “まみちゃん”すなわち幼い頃の自分に峠道でバッタリ会う夢。なんとも不思議な感覚の残る、懐かしいような切ないような嬉しいような夢だった。黒い蝶が印象的だったが、あとで考えてみると、あれは「魂」とか「先祖」といったイメージに近かったかも知れない。いつかゆっくり小さな“まみちゃん”に会いたいと思う、夢のなかで。



5日●祭りの会場を南へ移す
お祭りの会場が、従来の場所よりも何百メートルか南へ移動させられることになったようだ。それに対して強硬に反対している人たちがいるらしい。会場を南へ移動することを推進している人たちが、私のところへ意見を聞きにやって来た。私は「南に移ることに賛成ですよ」と本心を述べた。すると推進派の人たちは、一斉にホッとしたような表情を顔に浮かべた。場面が変わって、何もない山の中。私のすぐ目の前で、山道が左に向かって大きくカーブしている。不意に「馬」というキーワードが浮かんだ。手には箱のような、あるいはクシャッと無造作につぶした厚紙のような物。
【解説】 これは一体、どこのお祭りの夢だったのだろう。地名は一度も登場しなかったが、東京の高円寺あたりの話だった気がしてならない。最後に登場した「馬」というキーワードが何を意味しているのかは、全くもって不明。



6日●安全区域に入れてもらえないマリモ
アスファルト舗装していない土の道路を、マリモのような球形の物が10個から15個ぐらい、集団で移動している。これはおそらくマリモに身をやつした人間、または人間と同等の知性をもつ生命体なのだと思う。名前がわからないので、ここでは単にマリモと呼ぶことにする。彼らは長い距離を一生懸命に這って来て、今、ようやく安全区域に達しようとしている。逆に言えば、マリモが現在いる場所は危険区域だということだ。ようやく安全区域にたどり着いたマリモたちが敷地に入ろうとすると、目の前でガラガラを音を立てて重いステンレスのゲートが閉まり、マリモは締め出されてしまった。「人間ではないから」というのが、入場を制限された理由らしい。マリモよりあとからやって来た人間たちは、あたりまえのように安全区域に入れてもらっている(※私の視線は道路の上のマリモに向けられているので、人間たちに関して言えば足しか見えない。だから彼らの顔の表情は想像するしかないが、おそらく傲慢な顔をしているのだと思う)。このままではマリモたちは死ぬしかない。しかしマリモは平和な生物なので、文句を言うことも暴動を起こすこともない。マリモたちは静かに困惑しながら絶望している。私はマリモを助けたいと思い、すべてのマリモを抱きかかえて家に連れ帰った。そのあとのことは全く覚えていない。
【解説】 不思議な夢だった。なぜ「マリモ」なのか、それ自体が不思議だ。「小さな球形」であることが今夜の夢のポイントだったと思うのだが、その理由もサッパリわからない。



7日●『波へ波へ』を探して
前後関係は全くわからないのだが、『波へ波へ』という奇妙なタイトルの本があるらしい。「面白いから、ぜひ読んだほうがいいよ」と誰かから推薦された。私は一生懸命に、その本を探している。やがてどこかで『波へ波へ』を見つけた私は、その本を1行も読まないうちから、早くも同じ著者の別の本を買いに出かけた。しかし目指す2冊目はなかなか見つからず、何軒も書店を回った気がする。そのうちようやく、同じ著者の別の本(タイトルは不明)を手に取ることができた。しかしその瞬間、私は急に我に返って、(そういえば私、この著者のファンでもないのに、なぜ本を買い漁っているのだろう)と思う。するといきなり熱が冷め、一旦は手に取った本を元の場所に戻した私は書店をあとにした。そのあとどうしたのかは思い出せない。
【解説】 夢から覚めてすぐに、『波へ波へ』という本が実在するかどうかググってみたが、そういう本は存在しないようである。



8日●Y澤さんの家へ遊びに行く
見知らぬ民家。どことなく昭和を感じさせるたたずまい。どうやらここは古い友達であるY澤さんの自宅のようだ。玄関に入るとY澤さんが驚いたような顔で「真美さんじゃないか!」と言った。すぐに家の中に招き入れられる。Y澤さんは何度も「懐かしいね!」「本当に、よく来てくれた!」と言っていた。そこへY澤さんの奥さんと、奥さんのお父さんが現われた。私は皆に挨拶をする。奥さんは地味な感じの人で、ハッキリ言って顔立ちはイマイチだ。そのうえ笑顔もない。私は軽く失望する。奥さんのお父さんは日蔭の存在といった様子で、コソコソとどこかへ行ってしまった。そのあとY澤さんが一方的に現在の身の上を語りはじめ、私は相槌を打ちながら黙って聞いていたように思う。帰る時が来て、Y澤さんから何度も「また遊びに来てね!」と言われたのだが、それに対して自分がどう返答したかは忘れてしまった。
【解説】 Y澤さんは高校時代の友達。その後は全くの音信不通なので、今どこでどうしているかはわからない。日頃、Y澤さんのことを考えることは皆無だし、その意味で唐突な夢だった。



9日●山頂のラスボス
目の前に巨大な山がある。山の中腹あたりにはボスの家があり、さらに登って山頂に達すると、そこはラスボスの家だという。ラスボスの家の前には砂浜がある。どうやらその一帯は海らしいのだ。山頂に海があるとは不思議なことである。私はラスボスの家まで辿り着いた。足もとがたくさんの砂にまみれている感触。ラスボスはお爺さんと一緒に暮らしているようだ。
【解説】 何のことやらサッパリわからない夢。「ボス」や「ラスボス」の存在を感じたものの、彼らの姿は全く見えなかった。彼らが人間なのか、人間以外の生物なのか、あるいは非生物なのか、そのあたりのこともわからない。



10日●親切なお爺さんに会いに田舎へ
私は日本国内のどこかを旅している。何かの調査旅行だった気がするが、具体的な目的などはまったく思い出せない。最初は家族(の一部?)が一緒だったようにも思うのだが、すぐに別行動になり、娘がトランクを引いて隣りを歩いていたのを見たのを最後に、私はひとりになった。家族とは最後に飛行機で合流する予定なのかも知れない。私はローカル線の電車に乗って、どこか遠い遠い田舎へ行った。そこへは1日に3本しか電車が来ないので、乗り遅れたら大変だという。目指す家には親切なお爺さんがいる、という設定だったと思うのだが、実際にはその家に行った記憶もお爺さんに会った記憶もない。お爺さんの家に向かって青い稲穂が揺れている田んぼの畦道を歩きながら、私は早くも心の中で(この次にここへ来るときは泊まりがけで来よう)などと未来のことを思っている。この記憶とは別に、どこか別の町で、民家の前に置かれた大きな白いゴミ箱のような物を見たような気もする(田舎の場面とゴミ箱の場面、どちらの場面を見たのが先か順番はわからないのだが)。
【解説】 今夜の夢は、かなり長い夢だったはずなのだ。そのあいだ私はずっと旅をしていたのだが、目が醒めてみると具体的な記憶はほとんど残っていない。ただ、ノスタルジックというか、全体に優しい懐かしい雰囲気の漂う夢だった。



11日●探していたものが意外な場所で見つかる
私は「何か」を探している。それが「場所」なのか「人」なのか「人以外の生き物」なのか「物」なのかは不明だが、ずっと昔から「それ」を探していた気がする。懐かしく、優しく、少し淋しい気持ち。途中経過は忘れてしまったが、最後に私は目当ての「それ」を探し当てたようだ。ところが「それ」を見つけた場所は、意外にも昔からよく知っている身近な場所(たとえば実家とか)だったではないか。「灯台もと暗し」「幸福の青い鳥」という言葉が頭に浮かぶ。ようやく「それ」を見つけたにもかかわらず、私はなぜか相変わらず少し淋しい気持ちのままだ。「それ」を見つけた場所には、昔話に出て来るようなお爺さんとお婆さん(あるいは私の両親?)と小犬がいて、私に向かってにこやかに手を振っていた。私は世の無常のようなものを感じている。
【解説】 結局、探していた「それ」は何だったのだろう。最後に登場した小犬が「それ」だった気もするし、そうではない気もする。今夜の夢は全体に昨日の夢のイメージが似ていた。私は「お爺さんお婆さん」のオーラを必要としているのかも知れない。



12日●赤いシャツの人
目の前で、誰かが曲がり角を右に曲って歩み去って行く。赤いシャツを着た人の背中が残像のように印象に残った。
【解説】 今夜もそれなりに長い夢を見たように思うのだが、残念ながらこの場面しか思い出せない。



13日●マイナスをプラスに変換する男
私は見知らぬ男を訪ねている。彼の姿形はよく見えないのだが、雰囲気としては、中肉中背で平凡な顔形の60代の男性のような気がする。髪は薄い。日本語を話していたから日本人なのだろう。場所は山の中、あるいは周囲に田んぼがあるような田舎。この男は、何か良くない出来事を「ふわふわっ」と帳消しにしてしまう能力の持ち主だという。そのことを、男はもっと曖昧な言葉で表現したのだが、その言葉遣いが曖昧すぎてまるで風のようにサワサワと通り過ぎてしまったので、彼の具体的な言葉を私は覚えていない。要は「マイナスをプラスに変換できます」と言いたかったらしい。具体的は、男がこれまでに積んできた善行と引き換えに、世の中の悪い出来事を帳消しにできるらしいのだ。「これまでに私が行なった善い行ないと引き換えに、300人の自殺者の罪が帳消しになります」という意味のことを、男は聞きとりにくい言葉でボソボソと語った。私は男のこれまでの行動を思い起こし(※このとき、男の過去の行動がすべてデータとなって一瞬にして私の脳に送り込まれて来たのだ)、彼がその顔と同じように平凡な人生を歩んできたことを知った。この程度の善行で300人分の自殺者の罪が帳消しにされるという事実に、私は内心驚いている。(つまり「善行」とは何だ?)と考え込んだところで眼が醒めた。
【解説】 またしても意味不明な夢。「300人の自殺者の罪」が何を意味するのかはわからないが、プラスがマイナスを帳消しにするという考え方は(本質論ではないかも知れないが)この世を生きる知恵=処世術としては正しい。今夜の夢は「平凡な男の平凡な人生でさえ300人の他人を救えるのだから、おまえも(善行によって)たくさんの人を救え」と、暗に「善行」を薦めていたのかも知れない。もしそうだとすれば、これはかなり仏教的な夢だったのだろうか。



14日●文字と顔が印刷された緑のシャツ
古着屋さんの店先らしき場所。目の前のラックにたくさんのTシャツが下がっている。私は1枚1枚を手早く検分している。そのなかに気になるモスグリーンのTシャツがあった。胸の部分に4文字の単語と、人の顔のようなものが印刷されていたと思うのだが、恐ろしいスピードで次々に見ていたので細かなところまでは見えなかった。そのあと急に場面が変わって乗り物に乗ったような気がするのだが、詳細はまったく思い出せない。
【解説】 一瞬の夢。目の前で猛スピードで色々なものが動いているような感じで、細部まではとても見ることができなかった。最後に乗り物に乗ってどこへ行ったのかも不明。

【後日談】 この夢を見たわずか半日後、とある古着屋さんで、夢で見た物とそっくりなモスグリーンのTシャツに出逢った。胸には「MOAI」の文字と、その下にモアイ像の顔の部分のイラスト。この夢、まさにビンゴ!である。


15日●接待旅行の計画を練る
接待で誰かを日帰り旅行に連れて行かねばならなくなった。接待の相手は40代ぐらいの会社社長(男性)のような気がするが、その人の顔は最初から最後まで一度も登場しない。正直、接待旅行なんて面倒くさいと思うのだが、仕事だから仕方がない。某ツアーに参加することにした。スケジュール表によると、羽田(?)から飛行機に乗って日本の南のほうにあるリゾート地(長崎県または鹿児島県らしいイメージ)へ行き、そこから先はバスで観光地を7〜8か所ほど巡り、そのあと再び飛行機で羽田に戻るようだ。そこへ、旅の計画を聞き知ったらしい数人の中年女がやって来た。彼女たちは「接待旅行に連れて行くなんて、媚びを売るわけね」「いいご身分だこと」などと難癖をつけに来たのだ。私は心の中で(媚びを売るどころか、これは純然たる仕事だ)(生き残るためだ)などと思い、中年女たちのヤッカミを完全無視することに決めた。そのあと、旅程をよく見なおしたところ、つまらない行き先が多すぎることが判明。多少の違約金を取られるかも知れないが、旅程の一部をスキップしようかと思う。(早起きはつらいから、飛行機の便も遅いものに変えてもらおう)などと思っているところで目が醒めた。
【解説】 羽田から飛行機で長崎または鹿児島へ行き、バスで7〜8か所の観光地を巡ったのちに、同じ日のうちに再び飛行機で羽田に戻るなんて、接待どころか拷問旅行だと思うのだが(苦笑)。



16日●命がけの大迫力ジェットコースター
最初に「前座」のようなジェットコースターに乗ったのだが、その部分については「乗った」という事実しか覚えていない。「前座」という割にはかなりスリリングだったと思うが。次に気づいたときは、とてつもなく大規模なジェットコースターに乗っていて、今まさにループの頂上から真っ逆さまに落ちようとしているところだった。同じコースターには、私以外にも3人の日本人(若いカップルとオバサン?)が乗っていたような気がするが、詳細は不明。その直後に、いきなりグルグルと目にも見えない猛スピードで走り出したコースター。私たちは絶叫しながら大喜びしている。まさに心臓バクバク、気分は最高。このコースターの凄いところは、途中で一度レールから完全に飛び出し、数秒ほど宙を舞ったのちに、再びレールに飛び乗って走り続けるのである。そのスリルは半端じゃない。もしもレールに戻れなかったら100メートル+αの高さから転落して即死だろう。私は他の3人と一緒にわあわあ歓声をあげながらも、一瞬だけ冷静になって、(このコースターは今まで無事故だと言うが、遅かれ早かれ脱線・転落事故を起こして営業停止の行政処分を受けるのでは)と思った。しかしその直後にまた超大迫力のコーナーが迫ってきたので、私はたった今頭に浮かんだ危惧をすぐに忘れて、またしてもジェットコースターに没頭していった。
【解説】 私は10代の頃からジェットコースター系の「絶叫マシン」が大大大好きである。「世界一高い」とか「世界一速い」とか「世界一時間が長い」というふれこみのジェットコースターには、ハッキリ言って片っ端から乗った。年齢制限にひっかからない限り、これからも乗り続けるだろう。今夜の夢では、現実には絶対にありえない「レールから一度はずれて外に飛び出すコースター」に(しかも無料で)乗れて、サイコーでした!



17日●新興宗教の教祖に口説かれる
広大な日本庭園。持ち主は新興宗教の教祖らしい。今日は庭の特別公開日のようで、大勢の人たちが1列に並んで決められた順路に従って庭を歩いている。全体に緩やかな傾斜がある土地に、よく手入れのされた松などの植物が植えられていて、途中に池などもある無難で平凡な庭だ。しかしその広さは半端じゃない。入り口から出口まで優に1時間は歩いたと思う。山をそっくり1つ使って庭を作った感じである。出口にさしかかると、この庭のオーナーであるところの新興宗教の教祖が着物姿で立っていた。70歳ぐらいの、頭頂部が禿げた、卑しい顔の男だ。特に目つきがいやらしい。彼は背後で手を組んで偉そうに立ったまま、私のほうに色目を使って、「ガールたち、フレンズたち、世界中、10人」と、ワケのわからない片言(?)の日本語で言った。どうやら「自分には世界中に10人の彼女がいる。アンタも彼女になりなさい」と言いたいらしいのだ。私は心の中で(誰がおまえみたいなキモいオッサンの彼女になるか)と思いながら庭から出た。
【解説】 またまた意味不明な夢。登場した「新興宗教の教祖」の顔に見覚えはないが、顔そのものはしっかりと記憶したので、万が一現実世界でこの顔を見たら要注意だ(苦笑)。



18日●……
【解説】 今夜は仕事で完全徹夜をしたため、夢は見ていない。



19日●そして300日が経過した
いきなり「そして300日が経過した。○○○○○(後半部分はよく聞こえない)」というアナウンスが聞こえ、その声に叩き起こされるように私は上半身を起こした。どうやら、いつの間にか寝ていたらしい。いつどうやって寝たのかは思い出せない。ここは初めて見る部屋で、私が寝ているベッドは金属(あるいは金属に近い感触の素材)で作られている。医療用または未来の寝具なのだと思う。同じ部屋の別のベッドで寝ていた2〜3人の見知らぬ人たちも、アナウンスに叩き起こされる形で次々に目を醒まし、寝起きのうつろな表情で上半身を起こした。「DNA」「実験」「300日ごとに繰り返される」といった断片的な言葉が頭に浮かぶ。私は心の中で(これが終わったら、300日後にはまた実験をするのだな)と思っている。
【解説】 ロボットかクローンにでもなったようなSFチックな夢だった。300日が何を意味するのかわからない。



20日●……
【解説】 今日は深夜に飼い犬のパンダ(メスの狆、6歳)が何度も何度も起きてしまい、そのたびにご丁寧にも私のことを叩き起しに来るので、ひどい寝不足である。そのせいで、見たはずの夢もすっかり忘れてしまった。



21日●赤の広場
門前町のような雰囲気の町。細長い仲見世があって、20〜30人ほどの人で賑わっている。道は石畳。中国人らしき男が花火または爆弾のようなものを取り出して、いきなり火を点けた。途端に目の前が真っ赤になった。私は心の中で咄嗟に、(ここは赤の広場だ)と思っている。中国人は顎が四角く張り出していて、後ろから見ても顎だけが顔から飛び出して見えた。
【解説】 人混みで花火または爆弾に火を点けるという物騒な夢なのだが、そこには音はなく、むしろ静かで淡々としたムードが漂っていたのがおかしい。昨日は現実世界でも浅草の仲見世に行った。また、目下mixiアプリの「サンシャイン牧場」で花火の花を育てている(笑)。国際外交に目を転じれば、中国が尖閣諸島がらみで強硬手段に出ると大騒ぎしている。また先日映画館で観たばかりの『東京島』という映画には、顎の張った中国人が登場した。どうやらこれら諸々のイメージがごちゃ混ぜになって、今夜の夢に投影されたようだ。



22日●フロントグラスに肉塊
自動車の中。私は後部座席に座っている。車種など詳しいことはわからないが、ヒンドゥスタン・モータース製の「アンバサダー」あるいはそれに類似したデザインの車だった気がする。突然、前方から何か巨大なもの(虹色の牛?)飛来して、フロントグラスに激しく叩きつけられ、瞬時にぐしゃっと潰れて崩壊した。運転手が悲鳴をあげながら(といっても私には何の音も聞こえないのだが)物凄い形相で後ろを振り向く姿がスローモーションで見えている。運転手の顔はやはりインド系だった。
【解説】 一瞬の夢だった。「肉塊」と言うと、いかにも気味悪く聞こえるだろうが、実際には虹色の不思議な物体で、血も流れておらず、いわゆる生々しい感じはしなかった。強いて言えばアンリアル世界での出来事といった感じであった。



23日●お爺さんの身に起こった異変
7人の人がお寺の参道のような道を歩いている。7人は家族または親戚のようだ。そのうちのお爺さんに何か異変が起こった。亡くなったのか痴呆になったのか詳細はわからないが、実質的に言うと、お爺さんはその場からいなくなってしまった。
【解説】 昨夜は就寝前にミドリカワ書房の『恍惚の人』を見た。今夜の夢の理由は間違いなくこれだろう。



24日●レースをめくって螺旋階段を昇る
最初に見えたのは白いレースのカーテンで、その向こう側には私が子どもの頃に住んでいた家の北隅の部屋が見えたように思う。懐かしく想いながらカーテンをめくると、その1〜2メートル先にも同じような白いレースのカーテンがひるがえっていた。そのカーテンをめくって向こう側へ行くと、その先にもさらにレースのカーテン。その先にも、さらにレースのカーテン。それが延々と続き、夢中でレースをめくりながら先へ先へと進んで行くと、いつの間にか進路が時計回りに旋回しはじめ、足もとが階段状に高くなっていった。つまり螺旋階段になったのだ。レースのカーテンは50センチから1メートルに1枚ほどの頻度で現われるようになり、視界はレースの感覚で溢れかえっている。階段の勾配はどんどん急角度になってゆく。やがてついに螺旋階段のてっぺんまで昇りきると、天上から一筋の真っ白な光が降ってきた。まるで天国からの光のようだ。私は大きな白い光に全身を包まれて上を見上げている。心地よい暖かさ。無心。安心感。やり残したことはないという満足感。
【解説】 このあと自分がどうなったのかを思い出せないのだが、これは「死」のイメージの夢なのだろうか。あるいは「悟り」のイメージに近かったか。いずれにしても静寂と純白が非常に心地よい、どこか宗教的な夢だった。



25日●……
【解説】 昨夜は軽く頭痛がしたため、頭痛薬を飲んで寝た。そのためか夢を見た記憶はない。



26日●ジッパーのように道路の背が開く
目の前に灰色の道路が見える。私は歩いているのかも知れないし、自動車に乗っているのかも知れない。突然、目の前が数メートルほど盛り上がって道路が龍の背のような形になった。と思う間もなく、盛り上がった部分がまるでジッパーを開けるように縦にまっすぐ裂けたではないか。何事かと驚きながら見ていると、裂けた道路の中身が見えた。中も外と同様の灰色で、何か文字が見えている。数文字から10文字程度の漢字だ。大昔の書籍のタイトルではないかと思う。それを読もうとしているうちに目が醒めてしまった。
【解説】 非常に短い夢だった。道路が盛り上がり、裂け、その中に漢字が見えるという実にシュールな内容だが、一体どういう意味だろう。「地面に埋まった古文書を発掘する」という正夢にでもなったら面白いのだが(笑)。



27日●飛来する肉片
前後関係は全くわからないのだが、ハッと気がついたとき、前方から濃い桃色の肉片が飛んで来た。私は咄嗟にからだを倒して飛翔物を避けた。飛んで来たのは一辺が約20〜30センチの立方体だ。何のために飛来したのか理由が不明なら、肉片がその後どうなったのかも不明。ここは製肉工場なのかも知れないが、そのあたりの状況もよくわからない。
【解説】 まったく意味のわからない夢。ちなみに私はセミベジタリアン(動物性の肉は食べないが魚介類はOK)である。



28日●変わったアイスクリーム
娘が冷凍庫を開けて、「何この変なアイスクリーム?」と言いながら笑っている。彼女が見せてくれたのは、何か魚介類の形をしたアイスクリームだったと思う。
【解説】 このあとに長いストーリーが続いたのだが、残念ながら内容を思い出せない。



29日●大声で娘に呼びかける
旧約聖書の時代のイスラエル、またはヨーロッパの田舎のような素朴なイメージの風景。土がむき出しの道路。近くに幌馬車が見えたような気もする。私は娘に何かを伝えるために大声をあげている。娘は1メートルほど離れたところにいて、必死の形相で答えている。お互いに大声で叫び合っているので、私たちはきっと大喧嘩をしているように見えるに違いない。
【解説】 今夜の夢には非常にハッキリしたストーリーがあったのだ。そして私は目が醒める直前までそれを覚えていたように思う。ところが起床の瞬間にメールの受信音がして、私の意識はそちらに集中してしまった。その途端に夢のディテールを忘れてしまい、思い出せるのは上に記したようなイメージだけ。実際はかなり面白いストーリーだった気がするのだが。

【後日談】 夢から醒めた直後、別の寝室で寝ていた娘が起きてきて開口一番に言うことには、「なんだか疲れる夢を見た。マム(私のこと)と大声で喧嘩をしていたわよ」。驚いて詳細を聞いたところ、娘の夢の中で私たちは信州の山小屋に大勢の友人を招いてパーティーをしており、招待できなかった友人のことで喧嘩になったらしい(苦笑)。しかも娘の夢の中にも、インドのような古代イスラエルのような古めかしい風景と道路が登場したという。以前から娘の夢と私の夢はしばしば内容が「かぶる」のだ。実にまったく不思議なことである。


30日●自分が主人公の長大なドラマ
永遠に続くのではないかと思われるほど長い夢。ドキドキワクワク感。自分が主人公の壮大なドラマ。愛犬ブースケが重要な役どころで登場したような気がする。
【解説】 今夜の夢は、ひょっとすると生まれてから今日までに見たすべての夢の中で最も長大だったかも知れない。自分を主人公にして、何年間または何十年間にわたるドラマがそこでは繰り広げられていたのだ。ところが目が醒めてみると、おかしなことに何一つ思い出せない。こんな奇妙なことがあって良いものか。唯一思い出せるのは、ブースケが重要かつ感動的な役どころで登場したこと。内容を思い出せないことは残念だが、とても幸福な気持ちの残る夢だったから良しとしよう。





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