2011年4月


1日●号泣して楽になる
最初に何か平凡なイメージの夢があって(注/その部分の詳細は思い出せない)、夢の最後に私は誰かに逢ったように思う。それは現実世界では既に死んでしまった、非常に近しい関係の人だった気がするのだが、祖父母や父など肉親ではなかったようだ。その人の顔を見た途端、私は突然感極まって泣き出した。それも“号泣”という言葉がぴったりの激しい泣き方だ。泣き出した瞬間、にわかに気持ちがスーッと楽になってゆくのを感じた。
【解説】 今夜の夢に果たしてストーリーらしきものはあったのか、なかったのか。覚えているのは号泣している自分だけ。かなりインパクトの強い何者かに逢ったはずだが、それが誰なのかもわからない。おかしな話だ。ところで現実世界では“泣く”ということがほとんどない私だが、夢のなかで号泣してみたら存外気持ちの良いものではないか(苦笑)。声に出して激しく泣くことはスポーツの一種なのかも知れないな、と思った。



2日●小柄なS子の意外なパワフルさ
前後関係はわからないが、気がつくと目の前に高校時代の同級生のS子が立っていた。そこは橋の袂(たもと)あるいはハイウェイの入口のような、道路が新しいフェーズに入ってゆく手前のようなイメージの場所で、車を一時停止できる狭いスペースがある。S子はそこに車を停めていた。S子に会うのは久しぶりだ。一目見てるなり心のなかで(S子ってこんなに小さかったっけ?)と意外の感を持った。面白いのは、小柄なS子が小型バスのように大きな車に乗っていたことだ。その車を、S子は「ちょっとバックさせるから待ってて」と言いながらグイグイと勇ましく動かすのである。私は車の外に立ってその様子を見つめながら、S子のヤワな見た目とパワフルな行動のギャップにちょっと驚いている。もうひとり別の同級生(K美?)が横に立っていたような気もするのだが、彼女の顔はハッキリとは見えなかった。
【解説】 高校時代の同級生が登場する夢をときどき見ることがある。これは私にとっての高校時代が楽しい想い出に満ち溢れていることの証拠かも知れない。また、この夢は“新しい道へ入る前の短い休憩時間を楽しんでいる私”という構図でもあった。大学院入学という人生の新しいチャプターが4日後に始まろうとしている今、これからの生き方を示唆するような夢だった。



3日●講演会にやって来た意外な人
小学校の大教室のような部屋。私は100人ほどの聴衆を前に講演をしている。聴衆のなかにグリーンだったかブルーだったか、パッと目を引く田舎っぽい原色の上着を着た女性の姿を見つけた私は、「あっ」と思う。それは私がずっと敬遠してきたTさんだったではないか。(なぜTさんが来ているのだろう)と思いながらも普段どおりに講演を続ける私。途中、話が仏像のことに及んだ。私は自分の手指で印契(いんげい)を結びながら、「こういう手指の形全般をインドの言葉で何と言うかわかりますか」と尋ねた。聴衆のうち3〜4人が手をあげている。私はひとりひとりの答えを聞いたが、返って来たのはトンチンカンな答えばかりだ。Tさんも手をあげていたので指名すると、なかでも特にトンチンカンで稚拙な答えが返ってきた。私は「皆さん違いますよ。正解は○○○です」と答えた(注/ただし○○○が何という言葉だったかは思い出せない)。それを聞くと皆はちょっと不思議そうに首をかしげながらも、その言葉をノートにメモしていた。その直後に私は(しまった。今の答えは「ムードラ」なのに、どうして「○○○」などと間違った答えを教えてしまったのだろう)と思うのだが、訂正しようとはしない。講演会が終わり、私は聴衆に向かって「このあと、隣りの部屋でお茶会をしますから希望者は残ってください」と告げた。するとまたしてもTさんがお茶会に残ったではないか。私は(何なの、この人。頭、大丈夫?)と思いながらTさんをさりげなく観察した。Tさんは小柄で、いかにもエネルギーが微弱な感じ。幼稚というよりは精神が弱そうな雰囲気を漂わせているが、少なくとも邪気は感じられない。(なんだ、ずいぶん平凡な女性なんだな)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 Tさんは、ほんの一時期「もしや私のライバルか?」と思った相手。しかしその後、彼女は至極平凡な人になってしまい、私の意識から完全に消えた。夢に現われたTさんは存在感が希薄で、空気が抜けてしぼんだ風船のように小さく見えた。



4日●父の残像
父が笑っている。それは私が子どもの頃に見た、若くて元気な父の姿だ。「カンちゃん!」と声をかけようと思った時にはもう、父の姿は消えていた。私は(ああ、今のはカンちゃんの残像だったのだな)と思っている。
【解説】 父が亡くなって今年で7年になるが、この頃父のことをよく思い出す。もっと話したかったと思うことが、今頃になってたくさん出てきたのだ。もう少し、せめてあと10年余計に生きていてくれたら、もっと親孝行ができたのにと思う。ちなみに「カンちゃん」は父のニックネームである。



5日●……
【解説】 今夜は東京宅の引越し準備と、明日の(お茶の水女子大大学院への)入学式準備とが重なり、とてつもなく忙しかった。そのせいか夢を見た記憶もない。



6日●よく磨かれた鏡
よく磨かれた古い木造の建築物。出身高校の建物に酷似した風景。階段の踊り場の壁には、よく磨かれた鏡が取り付けれられている。それを見ると私は、「お茶の水女子大と長野西高校は、姉と妹のようによく似ているなあ」と思った。
【解説】 今夜の夢にはもっと長いストーリーがあったように思うのだが、階段の踊り場の風景しか思い出せない。この夢を見たのはお茶の水女子大の入学式の直後である。入学式で初めてお茶大の校歌を聞いたが、その歌詞は「みがかずば 玉もかがみもなにかせん 学びの道も かくこそありけれ」。同様に私の出身高校(長野西)でも、鏡を磨き心を磨けと強く推奨していた。長野西の教諭にはお茶大出身者が多かったし、両校のスクールカラーはかなり似ているかも知れない。そのことを夢のなかで再確認した私なのであった。



7日●雨のような、音楽のような
すぐ近く(たとえば隣りの部屋とか……)から、何か物音がしている。それは雨音にも聞こえるし、音楽のようにも聞こえる音だ。懐かしいような、少し湿った昭和のような音。
【解説】 目が醒めると実際に小雨が降っていた。あれは夢ではなく、現実の音が耳に入っていただけなのかも知れない。。



8日●大学院の仲間と人生について話し合う
校舎と校舎のあいだの庭のような場所。私の近くには大学院の担当教官と、同窓の院生がいる。私たちは今後のスケジュールから人生全般の計画について広範に話し合っているようだ。そこへ新たにD3(ドクター3年目)に在籍中の先輩が現われて、Y子さんの名前を口にしたような気がする。Y子さんは私の個人的な友人で、今はロンドンに住んでいるし、この大学の関係者ではないはずだ。しかしD3の先輩によれば、Y子さんはこの大学の院生だという。(それはおかしいな、人違いでは?)と思ったところで夢が有耶無耶になってしまい、その先のストーリーは覚えていない。
【解説】 今夜の夢に登場した庭は、どちらかというと出身高校の校庭に似ていた。私が通っていた高校(女子高)には、校舎と校舎のあいだに「クローヴァーの庭」「デイジーの庭」と名づけられた小さな庭があった。休み時間になると、女子高生たちがそこへ腰をおろして本を読んだりおしゃべりをするのである。私はその雰囲気が本当に好きだった。このたび進学したお茶の水女子大学にそういう庭はないと思われるが、イメージとしては、この大学は私の出身高校によく似ている。夢のなかでは2つの学校のイメージが素敵に融合していたように思う。なお「D3の先輩」は現実世界では見たことのない人。Y子さんもお茶大の出身者ではない。



9日●猛スピードでチューブの内部を滑る
最初に何か夢を見たのだが、その内容は思い出せない。そこからいきなり抜け出る形で、私は細長いチューブの中を猛烈なスピードで滑っていた。チューブの半径が50センチほどしかないので、両手を脇に付けて転がった体勢なのだが、自分の頭が先頭になっているのか、はたまた足が先頭なのか、それすらもわからない。と言うのもチューブの先のほうが恐ろしく明るい光に溢れているため、具体的な形のあるものは何も見えないのだ。時速は200km、あるいはそれ以上のスピードが出ていたかも知れない。どこかにぶつかったら死ぬことは間違いないが、このスピードでぶつかれば木端微塵になりそうだから苦しむことはあるまい。チューブは右へ左へ上へ下へとどこまでも蛇行している。夢の結末がどんなだったかは思い出せない。
【解説】 ときどきチューブの中を滑り降りて(あるいは滑り昇って)ゆく夢を見る。どういう意味があるのかはわからないが、イメージとしては時空を超えている感じだ。こう書いてみて気が付いた。あれはタイムマシンのような乗り物なのかも知れない。この夢は信州の山小屋で見た。



10日●子どもの教育施設を備えた素晴らしいスーパーマーケット
気がつくと車を運転していた。メルセデスベンツだろうか、コンパクトで地味だが品のある良い車だ。車体の色はおそらく濃紺。隣りの席にはチャイルドシートが取り付けて合って、洋服を着て帽子まで被ったブースケがおとなしく座っていた。どうやらここは長野市らしいが、現実の長野市とは全く様子が違う。目の前に広がっている風景は外国(先進国)のような、または近未来のような、大変に洗練された街並みだ。高層ビルは一つもなく、緑が多く、驚くほど土地が広い。暫く運転したあと、市内の中心部にあるスーパーマーケットに到着した。私はブースケを抱いて店内に入った。これまた見たこともないほどスペースの広い、高級で上品な素晴らしい店舗だ(しかも商品価格はあくまでも庶民的)。犬が一緒に入れる点も好感度が高い(あるいは、ブースケは人間なのかも知れない)。奥のほうにあった重厚な扉を押して中へ入ると、その先は子どもの教育関係の専門スペースだという。これまた信じられないほど広い。カーペットが敷き詰められた広い廊下は何本にも分岐しており、その先には無数の小部屋がある。ここには学習塾を含むさまざまな教室をはじめ、宿泊施設などもあるらしい。すべて子ども専用だ。廊下で数人の小学生の男の子とすれ違ったが、彼らは一様に明るく賢い眼をしていた。子ども用のトイレがあったので、どんな造りになっているのか覗いてみることにした。男性用・女性用と並んでいるうちの何故か男性用のほうを覗いて見たのだが、実際に覗いたのは私ではなく私の代理人だった気がする。そのあと一般の商品売り場へ戻り、家具インテリア売り場で素敵な赤い飾り(天井から下げて飾るガラス製品?)を見た。私はこの店の名前を思い出そうとしている。「イトーヨーカドー」ではないほうの庶民ブランドのスーパーかも知れない。その名前を思い出したいのだが、何故か思い出せない。
【解説】 現実には見たこともない、とても素敵なお店に行く夢。特に子どもの教育関係の施設が驚くほど充実していたのが素晴らしい。現実にもあんな場所があったら素敵だ。ベネッセの福武さんあたりが造ってくれないだろうか(笑)。この夢は信州の山小屋で見た。



11日●家屋の倒壊
天井の高い、古民家風の家の中。信州の山小屋に似ているが、違うかも知れない。突然、視界がぐらりと揺らいだと思うと、あっという間に家が倒壊していた。どうやら大規模な地震が起こったらしい。私はかすり傷一つ負っていないが、家の梁や柱はかなり傾いてしまった。どうやら家族や犬も無事だったようだ。数メートル先の窓から光が差している。私は光の方へ向かいながら、(震源地は東京だろうか。だとしたら大変なことだ)と思っている。
【解説】 残念ながら最近は、こんなイメージの夢をよく見る。震災発生から数えて今日でちょうど1か月。いつになったらこの手の夢を見ずに済むようになるのだろうか。今夜の夢は信州の山小屋で見た。



12日●ブースケを抱いてビルから飛び降りる
気がつくと高いビルの屋上に立っていた。腕の中には飼い犬のブースケ。そこへ何か大事件が起こったようだ。おそらく大地震だったと思うのだが、揺れた感覚はない。しかしとにかくそれは未曽有の大事件で、私たちは一刻も早くビルから飛び降りなければならなくなった。私は不思議に落ち着いた気分で、ブースケをしっかりと抱き直し、地上に敷かれたマットレスに向かって思いきり飛んだ。その瞬間に夢の場面が切り替わったように思うのだが、そのあとのことは思い出せない。
【解説】 昨日に引き続き、今夜も地震の夢である。実は私は昔から高いビルが嫌いなのだが、それは地震が起こった際の危険を思うからである(※高所恐怖症ではない)。むかし所有していた10階建てのビルも「地震が来たら危険だから」という理由で数年前に手放した。今住んでいる家は2階建てである。高層ビルに住むことは生涯二度とないだろうと思う。今夜の夢は信州の山小屋で見た。



13日●無表情・無言の母を淋しく想う
今は夜で、気がつくと母がいなくなっていた。家族総出で母を捜している。母は自分が誰なのかよくわからないらしく、最近では会話もほとんどないという設定らしい。やがて庭の片隅に置かれた自動車の座席に座っている母を発見した私は、母に話しかけてみるのだが、母はぼんやりと虚空を見つめ、無表情に黙していた。私は何とも言えない淋しい気持ちで、(これでもまだ「母は生きている」と言えるのだろうか。母とはもう二度とまともな会話はできないかも知れないな)と思っている。
【解説】 実際の母は幸いにも健康だが、夢のなかで見た母は生気が抜けて、感情もオーラも失せているように見えた。祖父母や父母を見ていると、「老いる」ということは存外難しいことだなと思う。昔なら風邪をこじらせた程度のことで人はポックリ逝けたわけだが、今は医学の進歩のため「無理やり」生かされることが少なくない。これは一種の拷問だなと傍で見ていて思うことがある。母は今、78歳。ここまでは「健康に老いて」きてくれた。今夜の夢のようなことが起こらないことを切に願う。今夜の夢は東京で見た。



14日●ジニアと海藻
気がつくと私は海岸にいて、ジニアと遊んでいた。私はそのへんにあった海藻を手に取り、ジニアに向かって「海藻を食べることによって、いかにして放射性ヨウ素に起因する甲状腺ガンを防げるか」について説明している。
【解説】 ジニアは14歳の中学生マジシャン。この9月に代々木公園で行なわれるナマステ・インディア2011への出演が予定されており、私はそのプロデュースを手がけている。代々木の後は東北地方(宮城県下)への慰問公演を計画しているのだが、それにつけても困惑するのは、インドで報道されている放射線被害に関するニュースの過剰さだ。福島第一原発の事故発生後、インド政府は世界で唯一「日本からの食品輸入を全面禁止」し、さらにその数日後には「先の発表は間違いでした」として禁輸措置を撤回したばかり。こうしたインド政府の対応により、インド人は日本における放射線被害状況を必要以上に大袈裟に捉えている向きがある。だからジニアを日本に連れてくることに関しても、私はナーバスにならざるを得ない。一体いつになったら今夜のような夢を見なくて済むようになるのだろう。先は長いな、と思う。今夜の夢は東京で見た。



15日●自分の血肉を犬たちに与える
大震災の影響なのか、あるいは新たな地震が起こったのか。原因はわからないが、遂に食糧が底を付いたようだ。私は飼い犬のブースケとパンダと共に、どこか洞窟のような場所に閉じ込められている。ひもじいのだろう、犬たちは悲しそうな目でこちらを見ている。それを見た私は、自分の肉体を犬たちに与えることにした。右手にナイフを持ち、左手の手首あたりを切ると、真っ赤な血が吹き出した。これで私は死ぬだろうが、少なくとも犬たちは暫く生き延びることができるだろう。(頑張って生きなさい)と心のなかで犬に呼びかけている私。
【解説】 文字にしてみると何とも恐ろしい内容なのだが、そこには悲鳴も泣き声もうめき声もなく、「終末はこんなにも静寂なのか」と思わせるような淡々とした夢でもあった。それにしても最近はこんな夢ばかりだ。今夜の夢は信州の山小屋で見た。



16日●清潔な障子
目の前に小さな正方形の窓が見える。窓には白い障子紙が嵌められている。しみ一つない清潔な障子。夜明けのイメージ。
【解説】 今夜の夢に果たしてストーリーはあったのだろうか。思い出せるのは障子だけである。そういえば昨日は現実世界で窓拭きをした。ピカピカに磨き上げた窓を見ていると、無性に嬉しくなる。その気持ちが今夜の夢になったのだろうか。今夜の夢は信州の山小屋で見た。


17日●慶應の美少女
最初に、大学の建物が見えた。明るく清潔で新しく、近未来的あるいは宇宙的なデザインの建物。慶応義塾大学らしいが、実際の慶應とはだいぶ趣が異なっている。広々としたフロアには、18歳ぐらいの知的な美少女が立っている。肩まで伸ばしたボブカット。スラリと伸びた四肢。小顔。理知的で大きな瞳。いかにも近未来の美少女だが、それは未来の私(または私の分身)らしい。しかも彼女は80歳ぐらいになると東大に合格し、ニュースで取り上げられることとなるのだ。「東大は、ちょっと実力を試すために受けてみたんです」と笑う彼女は、とても80歳には見えない。可憐な少女の面影がそのまま残っている。美少女ならぬ美老女だ。それら一連の出来事を、私はどこか別の次元から観察しているらしい。そのあと私はバスに乗ったようだ。私は愉快な気持ちで「慶應、慶應」と思っている。
【解説】 とても楽しい夢だったのだが、文字にしてみるとかなり奇妙な内容である。今月は家族のうちの2人が新らたに学生になった。ひとりはインペリアルカレッジ・ロンドンを辞めて慶應義塾大学に入り直した息子。もうひとりはお茶の水女子大学大学院博士課程後期に入った私。今、我が家は新1年生の活気に溢れている。その雰囲気が今夜の夢には現われているのだろう。しかし夢が映していた風景は現在ではなく、近未来のようだった。私は自分の「DNAの未来」についてしばしば考える。私のDNAは既に娘と息子の肉体に乗り移っているわけだが、それはやがて孫へ、そして曾孫へと引き継がれてゆくだろう。その過程の何処かで、今夜の夢に現われた美少女が登場するとしたら愉快だ。私のDNAがあんなステキな美少女になるのなら、今在るこの肉体の終焉など恐れるに足りない。DNAの未来に乾杯。
今夜の夢は信州の山小屋で見た。


18日●大震災と3人の男達
ブラックスーツを着た3人の男達。彼らは秘密主義と権力に繋がった人達のようだ。顔は見えない。なぜなら彼らは闇の中に佇(たたず)んでいるから。重く暗いイメージ彼らの世界に引きずり込まれると、その向こう側には大震災の闇が待っている。
【解説】 今夜の夢にストーリーはあったのだろうか。3人の男達から立ち上る黒っぽいオーラだけが印象に残り、それ以外のことは思い出せないのだが……。



19日●教室の片隅の勿体ぶった女
教室らしき場所。節電をしているのか全体に暗い。部屋の片隅には教授と学生の中間のような立場の女性が立っていて、薄笑いのような笑みを浮かべながら小さな声で何か注意事項を述べている。私はその声を聞き取れないが、どうせ大したこともない内容をさも大事なことのように、勿体ぶって話しているのだ、この人は。私は黙って彼女の口元を見つめている。
【解説】
今夜の夢には音がなかった。光も乏しかった。全体にくすんだイメージの夢だった。


20日●隠し事が警察にバレかかってドキッとする
道の交差点のような場所。私の右隣には誰かが歩いているようだが、誰なのかはわからない。目の前に(つまり道が交差している角に)2階建ての平凡な民家があって、その前に数人の警官が詰めていた。私は誰とも話をした記憶がないのだが、にもかかわらず、自分の隠し事がバレかかっていると知ってドキッとする(その隠し事は法に触れる犯罪ではなく、あくまでも私個人が表にしたくないと願っている秘密らしい)。その直後、私にかけられた嫌疑は全くの誤解であることが分かり、警察は去って行った。私は(そう言えばこんな夢を過去にも見たな)と思い、これが夢であることを理解していた。
【解説】
何か隠し事がバレかかるものの、それがどんな秘密だったのかは明らかにされないままの夢。私はいわゆる“法に触れる犯罪”は1つも犯していない自信があるが、しかし、できることなら死ぬまで隠しておきたいことは山ほどある(笑)。まあ長く生きていれば、人間なんて大抵そんなものだろう。むしろ隠しておきたいことが一つもない人生なんてツマランよ(爆)。


21日●おかしな色の信号灯
目の前に信号灯が見えている。しかし配色がおかしい。左から順に水色・黄色・黄土色となっている。正しいのは黄色だけだ。(こういう間違いは警察の交通課に知らせればいいのだろうか)などと思いながら信号待ちをしている私。
【解説】
今日もなぜか警察関係の夢だった(苦笑)。しかしこの状況下で信号待ちをしていても仕方ではないか、早く携帯で警察に連絡しなさいよ、と目が醒めてから一人ツッコミを入れたくなるような夢ではある。


22日●こすると金鉱山が生じる掃除道具
とても不思議な白いキューブがあって。それで掃除をすると何か特別な効果があるのだそうだ。どんな効果だったかは覚えていないが、それでこすった箇所が金の鉱山になるとか、そんな話だったかも知れない。私はそのキューブでお風呂場を掃除している。こするたびにキラキラ模様が飛び交っている。
【解説】 その後、お風呂場が金の鉱山になったかどうかは覚えていないのだが、
なんとなく楽しくなるような夢だった。


23日〜25日●……
【解説】
23日から25日までに見た夢の内容をメモした紙を紛失してしまったため、3日分の夢の内容がわからなくなってしまった。残念!


26日●毛皮コートを着た女が「鯨を捕るな!」と叫ぶ
前後関係はわからないが、気がつくと目の前に派手な化粧をしたケバい女が立っており、「日本人は鯨を捕るな!」と叫んでいた。たしか日本語で叫んでいたように思うが、あるいは英語だったかも知れない(そのへんの記憶は曖昧)。驚いたことに彼女はアザラシの毛皮のコートを着ているではないか。捕鯨に反対しながらアザラシを着るこの女は、一体どういう神経の持ち主なのか。彼女の巨大なつけまつ毛がバサバサするのを見つめながら、私は(最悪!)と思っている。
【解説】
この夢を見て思い出したが、反捕鯨がちょうど西洋諸国でブームになったばかりの頃、アメリカの有名歌手(女性)がこれと同じことをしでかし、日本のマスコミから総スカンを食っていた。どこかに当時の記事が残っていないかなと思い検索したところ、こんな記事が見つかった。これを読むとOさんにも悪意はなかったようだが……しかしアザラシのコートは衝撃的すぎて死ぬまで忘れられないでしょう(by ベジタリアンの私)。


27日●ジェンダー学の先生
私は電車に乗っている。向かいの座席に座り、ニコニコ笑っている優しそうな中年女性が先程から気になっている。私が持っていた荷物を落としそうになると、その女性はすぐに助けてくれた。この人はジェンダーの先生なのだと思う。
【解説】
今夜の夢にはもう少し筋らしい筋があったのだが、この部分しか思い出せない。お茶大に入り、生まれて初めて「ジェンダー学」の先生方に囲まれている。入学前は「ジェンダー」=「少し怖い先生」のイメージが正直あったのだが、実際には優しくのんびりした感じの女性の先生が多い。今夜の夢にはそのイメージが素直に現われていた気がする。


28日●4本指のロボットの手
卍に似た形の4本指のロボットの手が、ガリガリと壁を引っ掻きながら滑り落ちてゆく。その先は黒い宇宙。
【解説】
わけのわからない夢。覚えているのはこの一場面だけである。目が醒めた瞬間に「なんという暗黒夢」と思った。


29日●女の子の自転車事故
小学生ぐらいの女の子がふたり、下り坂を自転車でやって来る。恐ろしいスピードだ。私は「危ないからスピードを落としなさい」と呼びかけてみたのだが、遠すぎて声が届かない。そのうち女の子のひとりが縁石のような物に乗り上げて派手に転倒した。私は全力で駆けて行き、女の子に「大丈夫?」と声をかけたが、女の子は死んでしまったらしく反応がない。転ばなかった方の女の子は自転車から降りて、その場に無表情に立ったまま友人を見下ろしている。その冷たく凍った表情を見て私は(これは巧妙に仕組まれた殺人事件なのかも知れない。原因はきっと女の嫉妬だ)と不意に思う。私は消防と警察に連絡しようとするが、なぜか携帯電話が見つからない。そうこうしているうちに目が醒めてしまったようだ。
【後日談】 この夢を見た2日後、新しく引っ越して来た家のすぐ外で、小学校高学年生と思しき女の子が自転車事故を起こした。自転車で坂の上から飛ばして来たふたりの女の子のうちのひとりが、植木を囲ったレンガのような物に激突して派手に転んだのだ。幸いこの子は大事に至らなかったが、坂の風景、ふたりの女の子、転び方などが夢と瓜二つであった。ちなみに私はこの家に5月1日に引っ越したので、夢を見た段階では周辺の詳しい道路事情を知らなかったのだが。



30日●放射性物質でドロドロの部屋
暗い大きな部屋。床にはドロドロに止めた放射性物質が溜まっている。全体に茶色のイメージ。私は仕事(というかミッション)でその中へ入って行くしかないようだ。長靴を履いていたと思うが、そんなことをしたところで被曝はまぬがれないだろう。それでも私は泥の中へ入り、淡々と仕事をこなしていた。
【解説】
なんとも恐ろしい内容の夢なのだが、印象としては非常に淡々と落ち着いていた。こういう夢を日常的に見ること自体がどうにもシュールである。




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