2001年5月27日号(第29号)
ひと足お先に、夏休み♪
　ナマステ♪ 　いよいよ夏本番。日本より一足早く、インドは夏休みに突入しました。 　そんなわけで、ここ2〜3日は旅の荷造りに忙しい私です。 　「旅」― ああ、なんて心地よい響きの言葉でしょう。 　なにしろ、「人生は、夏のヴァカンスのためにある」と言ってしまっても過言ではないほど、私の人生は「夏」に重点がおかれているのです。 　1年かかって稼いだお金の大部分は、夏にパーッと景気よく使いきってしまう(笑)。 　ブラジルの貧しいお針子さんとかが、爪に灯を点すような生活のなかで、コツコツとお金を貯め、年に1度のリオのカーニバルで全部使ってしまうという、まさにあの世界ですね(笑)。 　たぶん私の身体には、ラテン系の血が流れてるんだと思う(むふふ)。 　･･･というわけで、今年もそろそろ旅に出ます。 　今年の夏は、前半を日本、中盤を韓国、後半をパプア・ニューギニアで過ごす予定です。インドから持ち出す荷物の量も、今回は半端じゃないぞ♪ 　予定としては、まずは日本に戻り、埼玉・長野の両県で、 　　　≪ヒマラヤ仏教セミナー≫（仮題） を開催します。 　同セミナーは、財団法人 日印芸術研究所の公式プロジェクトの一環として行なわれるもので、インドヒマラヤの最東端にあるアルナーチャル・プラデ-シュ州から、伝統仏画師とラマ僧を招き、写経ならぬ写仏と、ヒマラヤ仏教の死生観を御紹介する予定です。 　　　★　★　★　★　★ 　　ヒマラヤ仏教セミナー 　　　― 仏画講習とラマ僧による講話の集い― 　このたび、仏教発祥の地インドより、伝統的仏画師2名と、ラマ僧1名を、日本に派遣することとなりました。 　日本とインドのあいだには、仏教を通じ、深く長い交流がありますが、文化交流面は、まだまだ十分に行なわれているとは言えません。 　そこで今回、ヒマラヤ地方に古くから伝わる仏画（タンカ）の技法を、伝統的仏画師を通じて日本の皆様に直接ご指導申し上げ、また、ラマ僧よりヒマラヤ仏教の死生観（『チベットの死者の書』）、瞑想法などについてお話申し上げる機会を設けさせていただきました。 　当セミナーが日印両国の理解発展に少しでも貢献できれば、誠に幸いに存じます。合掌。 　　　　　　　　　　　西暦2001年5月吉日 日印芸術研究所顧問 インド文化国際研究所理事長、インド首相文化顧問 哲学博士　　 　　　ロケーシュ・チャンドラ 日印芸術研究所顧問 日本印度学仏教学会理事長 東大名誉教授、文学博士　　 　　　前田 専学 日印芸術研究所会長 前インド観光大臣　　 　　　オマーク・アパング 日印芸術研究所理事長 同美術センター長 日本画家 　　　山田 真巳 日印芸術研究所副理事長 日印経済委員会委員 　　　ラリット･バクシー 日印芸術研究所言語センター長 作家　　 　　　山田 真美 　　　講 師 紹 介 仏画師（ソナム・ツェリング師、ロブサン・モンパ師） 　ともに、インドヒマラヤ東端のアルナーチャル・プラデーシュ州タワング出身。先祖代代から続く仏画師の家に生まれる。当地では“名人”の称号で呼ばれる。チベットのポタラ宮殿に次ぎアジア第２の規模を誇るチベット寺院「タワング・ゴンパ」の仏画も手がけている。 ラマ僧（ラマ・ツプテン・プンツォーク師） 　タワング出身。南インド・マイソールのギューメ密教大学大学院終了。同校で仏教哲学、チベット語の教鞭をとった後、故郷に戻り、現在はマンジュシュリ（文殊菩薩）孤児院院長。 タワング側コーディネーター（ドルジ・ノルブ氏） 　タワング出身。日印芸術研究所秘書官。タワング芸術文化スポーツ協会（SPACS）会長。モンパ民俗文化保存協会会長。 　　　★　★　★　★　★ 　なお、日程などの詳細は、決まり次第、掲示板でお知らせしますので、御興味のある方は是非お立ち寄りください。（セミナー開催は、埼玉が6月末、長野が7月上旬となる見込みです） 　ちなみに写仏って、このごろ日本でも密かにブームらしいですね。NHKからもテキストが出ているようですし。 　写仏は、精神のリラクゼーションに、大きな効き目があるようですよ。特に、“子供の頃お絵かきが好きだった”タイプの人に効くようですね。 　先進国の都会に住んでいる現代人は、（色々な意味での雑音が多すぎて）ひとつのことに集中して無我の状態になるということが難しいですから、写仏や写経のように、一点に精神を集中させる時間も、たまには必要かもしれません。 　さて、ヒマラヤ仏教セミナーが済んだら、お次は一路韓国へ･･･。 　昨年の夏も、一週間ほど韓国（ソウルと慶州）を訪ねてみたのですが、新羅（しらぎ）文化をもっとゆっくり見て回りたいので、今年も韓国♪ 　ソウルの大学校で史学の教授をしておられる、キムさんという年下の友達が、古都を案内してくださることになっています。 　で、韓国のあとは、ジャジャジャジャーン。なんと、パプア・ニューギニアに行ってまいります。 　行き先は、首都ポート・モレスビー（結構な都会)ではなく、ハイランド（山岳地帯）。以前にも、ちょっとお世話になったことのある酋長(笑)に、今回もお世話になるつもりです。 　旅のあいだに、書きかけ原稿は全て書き上げ、小説の年内刊行を目指しますゆえ、しばらく行方不明になる私を、どうかお許しください。 ←ヴァカンスだなんて優雅なことを言いながら、結局は、毎日のように仕事をすることになるんですよね、私の場合(笑)。 　 　特に、幻○舎の芝田暁さま（←全然伏字になっていない…（笑））。 　もしもこれを読んでいらっしゃったら、この場で申し上げます。次の作品は、ニューギニアの奥地が舞台ということで如何でしょうか？ ちゃんと取材してきますから、勝手に旅に出る私をお許しくださ〜い！ 　･･･ってなわけで、数日中にデリーを発ちます。 　旅のあいだ、『週刊マミ自身』の更新は難しいかもしれませんが、掲示板にはときどき顔を出しますので、皆さんもドンドン書き込んでくださいマセ♪ 　また、個人的なメッセージがありましたら、いつでもメールでお気軽にどうぞ♪ 毎日はチェックできないと思いますが、できるだけこまめに読ませていただきますので。 　あっそうそう、もうひとつ忘れずに書いておかなくては。 　先週のこのページでもお知らせした『モンキーマン』の事件は、デリー警察当局が、 　「一連の事件は、すべて、集団ヒステリーに陥った連中の妄想である。モンキーマンなどというものは、最初から何処にも存在しなかった」 という強引な声明を発表することによって、あっという間に幕を下ろしました。 　この声明にしたがって、マスコミ報道も収束。 　こうなると気の毒なのは、実際にモンキーマンの被害に遭った人達です。世間は、警察発表を鵜呑みにしてしまい、 　「モンキーマンなんて、最初から何処にもいなかったんだってさ。被害者を名乗っている連中は、おおかた、世間の注目を集める為に、自分で自分を傷つけたんだろう」 という、トンデモナイ論調になってしまったのです。 　確かに、モンキーマン・パニックも、後半は「事件が一人歩きしている」という感じで、警察の言うように“集団ヒステリー”の様相を呈していました。 　また、マスコミが連日のように、「事件を解決するどころか、糸口さえつかめない警察は無能だ」的な記事をバンバン書きまくっていたことも事実で、このことが警察の逆鱗に触れたのかもしれませんが…。 　しかし、だからと言って「最初から何処にもモンキーマンは居なかった」と結論づけてしまうやり方は、過激といえばあまりにも過激。 　猿と人間の合いの子のような「化け物」がいたなどとは、よもや思いませんが、夜中におかしな変装をして（おそらくは猿のマスクか、それらしく見える布を被るなどして）、人が寝ている屋根やテラスに闖入し、鋭い切っ先のようなもので他人を傷つけて面白がっていた「犯人」がいたことは、間違いないのです。 　現に、先週の『週マ』で御紹介した被害者のクマールさんも、 　「あれは絶対に猿ではなかった。間違いなく人間だった」 と、冷静にコメントしています。 　私もこの目で確かめてきましたが、クマールさんの身体につけられた傷は、自分で付けようとして付けられる種類の傷ではありません。 　また、4歳の息子さんの頭に、髪がごっそり抜けるほどの勢いで凶器を振りかざせる親がいたとすれば、その人は間違いなく鬼ですが、クマールさん夫妻は（私の見たところ）非常に温和で、きわめて正常な人でした。 　それに第一、犯行時には数十人の人々がその場に居合わせ、クマールさんが襲撃される現場を目撃しているのです。どうしたらこれが“狂言”になれるでしょう。 　今回の事件をふりかえって見ますと、リヤカーに果物を載せて売り歩いているクマールさんをはじめ、被害者は皆、カーストの低い、貧しい人ばかりでした。 　もしも、被害に遭ったのが社会的に“偉い”人々であれば、「被害者が嘘をついていたのだ」などという信じられないニュアンスで事件に幕が引かれることは、絶対に許されなかったはず。 　今回の被害者たちは、財力も教育も社会的影響力もなく、「被害者の会」を作ることさえ出来ない人たちなのです。 　 　そういった意味で、モンキーマン騒動は、インドが抱えている「暗い闇」の部分に一気に光を当ててしまったような、実に後味の悪い事件と言えるのではないでしょうか。 　しかし、これもインドの現実です。目をそむけずに、きちんと直視しなくちゃいけませんね。 　それから、HP特製パンダTシャツに関しては、懸賞クイズが終わった後も、 　「ひぇ〜ん。あのTシャツ、どうしても欲しいです〜。なんとかなりませんか〜」 というメールが何通も届いています。 　うんうん。わかります、その気持ち。あのパンダは、本当に、いつも着て歩きたいほど可愛いですからね。 　実を言うと先日も、あるパーティーで御一緒になったエジプト大使から、 　「うわ〜、いいな〜、そのTシャツ！最高にイケてるね〜！」 と、メッチャ羨ましがられたばかり。 　その翌々日にはカナダ大使館でも大注目されましたし、パンダTシャツは、国際マーケットでも十分に通用するようです(笑)。 　皆さんからの御要望が多いので、6月中にもう1度、パンダTシャツを景品にクイズ大会を開催することにしましたよ〜ん♪ 　詳細の告知は、掲示板で行ないます。前回ゲットできなかった皆さん、今回は頑張って再挑戦してみてくださいね♪ 　 　･･･では、そういうわけで、私はしばらく夏休みに入らせていただきます。 　日本滞在中は、遊園地にも頻繁に出没すると思いますので、見かけた方はお声をかけて下さい。一緒にジェットコースターに乗りましょう♪ 　それでは、皆さんもお元気で、よい夏をお過ごしください･･･。 　　　　　　　　　事事如意 　　　2001年5月27日 　　　　　天竺　ニューデリー　 　　　　　　　山田 真美

2001年5月19日号（第28号)
モンキーマン・パニック
　ナマステ♪ 　既に御存知の方も多いかと思いますが、デリーは今、“モンキーマン（猿男）”なる怪物の出現により、上を下への大騒ぎになっています。 　モンキーマンが最初に目撃されたのは、先月末のことで、出没先はデリー郊外のガージアバード。かなり庶民的な下町です。 　このとき警察に出された被害届によれば、 　「夜中にいきなり、猿のマスクを被った化け物が襲ってきて、鋭い爪で襲撃された。応戦する間もなく、化け物はどこかに去って行った」 というものでした。 　今月に入って、同様の被害は増加の一途をたどり、先週末からは、警察への通報数は毎晩30件から50件に激増。 　14日（月曜日）に、モンキーマンの攻撃による最初の死者が出たあとは、一日3000人もの警察官が特別警備にあたるなど、事件は次第に深刻な状況を呈してきました。 　モンキーマンによって殺された最初の被害者は、ラマンさんという35才の男性で、ノイダ58丁目の住人です。（ちなみに、私の自宅はノイダ15丁目。58丁目までは、自動車で15分ほどの距離です） 　事件の起こった14日早朝、ノイダ一帯は長時間にわたって停電していました。 　インドでは停電が年中行事のため、中流階級以上の人達は自家発電機（ジェネレーター）を持っているのですが、ラマンさんの家がある58丁目は、いわゆる“長屋”の立ち並ぶ庶民的な一角で、発電機を持っているような人はいません。 　その夜は、停電で扇風機が使えず、あまりの暑さに閉口したラマンさんや近所の人達は、涼をとるため戸外に出て、テラス（コンクリートが打ちっぱなしの、広場のような場所）で眠っていたそうです。 　そこにいきなり、“半分猿で、半分人間のような生き物”（目撃者の発言から引用）が現れ、ラマンさんの顔、首、腹部を鋭い爪のようなもので襲撃。 　ラマンさんは、病院に運びこまれたときには、既に絶命していたとのことです。 　同じ夜、近隣エリアでは13件もの類似の事件が発生。 　翌15日からは、モンキーマン・パニックは更に広がり、実際にモンキーマンによって負傷した人のほかに、 　「バンダール・アア・ガヤ！」（猿がそっちへ行ったぞ！） という声に驚いて逃げようとした人が2人、それぞれ階段や屋根から転落死しました。 　今日までに、警察が把握しているだけで、既に100数十人の人々が、“モンキーマンに襲撃されて”または“モンキーマンから逃げようとして”重軽傷を負っています。 　被害者の1人で、ノイダ31丁目の住人であるデべンダール・クマールさん（26才、男性、職業はリヤカーで果物を商う“ファラワーラー”）から直接話を聞くことができましたので、そのインタビューの様子を記します。 　※マ＝山田真美の発言 　　ク＝クマールさんの発言 マ「今回はヒドイ目に遭われましたね。一体何が起こったのか、具体的に教えていただけますか」 ク「はい。それは14日の早朝のことでしたが、その夜も例によって停電で、部屋の中が非常に暑かったので、屋根の上で寝ていました。近所の人達も、20人から25人ぐらい、屋根の上で雑魚寝をしていました」 マ「その場所に案内していただけますか？」 （クマールさんや近所の人たちの案内で、私も屋根の上に登る。このへんの家々は長屋建築になっており、その上全体を覆う屋根は、思ったより広い。地上からの高さは、3〜4メートルほど。地上から屋根の上には、階段が常設されており、誰でも簡単に登れる） マ「ここで寝ていらっしゃったのですね」 ク「はい。隣りには妻と息子もいました。近所の人達も、ぎっしりひしめき合うようにして眠っていました」 マ「最初に異変に気付いたのは、いつですか」 ク「午前2時頃、物音で目が醒めました。隣りの家の屋根から、こちらの屋根へ、誰かが飛び移ってきたのです。私以外にも、大勢の者が物音に気付き、目を覚ましました。ともかくその夜は暑く、寝苦しい夜だったので、熟睡している者など最初からいなかったのです」 （クマールさんの発言に、回りで話を聞いていた野次馬たちが大きく頷く） マ「こちらの屋根に飛び移ってきた人とは誰ですか。世間で言われているような、猿の顔に人間の体を持つ化け物でしたか？」 ク「正直に言って、顔がどんなだったかはわかりません。なにしろ暗がりでしたし、しかもそいつは、何か黒っぽいものを頭から被っていたのです」 マ「噂されているような、猿のマスクですか」 ク「そうかも知れませんが、よくわかりません。体が人間だったことは確かです。あっと思ったときには、私は鋭い爪のようなもので、全身を引っかかれていました」 マ「失礼ですが、そのときの傷を見せていただけますか」 （ここでクマールさんはシャツを脱ぎ、傷を見せてくれた。モンキーマンに襲われたのが月曜日の早朝、私が傷を見たのは金曜日の午後であったため、既に傷はだいぶ癒えていたが、それでもまだ、腕から脇の下、腹部、脚などに無数の引っかき傷がみとめられた） マ「これは、かなりひどいですね。襲われたのは貴方一人ですか」 ク「いいえ。隣りに寝ていた妻と息子も次々にやられました。あっという間の出来事でした」 （現在妊娠8ヶ月の奥さんの傷は、幸いにも首に一箇所だけの軽傷。4才になる坊やの傷が一番ひどく、頭部と頬をやられている。頭部は、引っかかれた際に髪まで抜かれてしまったそうで、直径4〜5センチほどの範囲が脱毛し、痛々しく腫れあがっていた） マ「お医者さんには行かれましたか」 ク「はい。すぐに近所のお医者さんに診ていただきました」 マ「お医者さんは何とおっしゃっていましたか」 ク「お医者さんは、これは人間や猿の爪による引っかき傷ではないとおっしゃいました」 マ「金属でつけられた傷だとはおっしゃいませんでしたか」 ク「いいえ。そこは大学病院ではなく、小さな町医者ですから、そういうことまでは調べられなかったのだと思います。でも、人間を含めた動物の爪による傷ではないと言うことでした」 （私の目でみたところ、傷は1ミリほどの等間隔で無数につけられており、とても5本の指でつけられたものとは思えませんでした。指先に鉄の爪をつけて引っかいたのであれば、傷と傷の間の巾はもっと広いはずですし、このようにすべての傷が等しく平行に付くはずがないからです。フォーク、または櫛のような形状の、先のとがった金属の武器で、一気に引っかかれた傷という印象を受けました） マ「犯行のあと、犯人はどこへ行ってしまったのですか」 ク「屋根の上のみんなが大パニックに陥り、逃げようとしているあいだに、犯人は来たときとは反対の側から屋根を飛び降り、どこかに走り去ってしまいました」 マ「あなたは、モンキーマンを猿だと思いますか、人間だと思いますか」 ク「あれは、間違いなく人間でした。あの走り方は、猿やゴリラにはできない走り方でしたから」 　　　　　　（以下略） 　さて、今回の一連の「モンキーマン・パニック」で、警察や新聞社に寄せられた情報、および私自身が被害者から聞いた情報を総合してみると、モンキーマンには次のような特徴があることがわかります。 �@顔は猿に似ており、首から下は人間。 �A身長は1メートル20〜50センチと小柄。 �B2本の脚で直立歩行をし、驚くべき跳躍力がある。 �C3時間のあいだに12箇所に出没するなど、非常に行動半径が広く、動きが素早い。（このため警察の内部には、モンキーマンは単独ではなく複数犯による犯行との見方もあるらしい） �D鉄の爪（のようなもの）が武器。 �E出没する時間帯は、深夜から早朝4時にかけて。 �F出没する場所は、屋根やバルコニーなど屋外のみ。 �G「ヘルメットを被っていた」「ローラースケートを履いていた」という一部情報もあり。 　現在、最も懸念されているのは、モンキーマンそのものよりも、むしろモンキーマンによって引き起こされる集団ヒステリーの拡大です。 　18日深夜には、モンキーマンと間違われた男性が、50人ほどの群集から殴る蹴るの暴行を受けたうえ、有り金を全部盗まれて病院にかつぎこまれるという、陰惨な事件がありました。 　不幸中の幸いで、この人の生命に別状はありませんでしたが、こうした集団パニックは、しばしば大きな暴動を誘発することがあります。 　本当に怖いのは、モンキーマン本人よりも、むしろ、モンキーマンに便乗して集団暴行に走る、人間の心の中に潜む闇の方かもしれません。 　モンキーマンに関する情報は、何かわかり次第、掲示板でお知らせいたします。 　皆さんも、戸締りはしっかりなさってくださいね♪ 　　　　　　事事如意　 　　　　　　　　　　2001年5月19日 　　　　　　　　　　　天竺　ニューデリー　 　　　　　　　　　　　　山田 真美

2001年5月12日号（第27号)
火葬場で想ったこと
　ナマステ♪ 　のっけからおかしな話題で恐縮ですが、昨日は朝から晩まで、一日がかりでデリー市内の火葬場めぐりをしてきました。 　実は、うちのホームページをご覧になったという某大手出版社（語学教育関連書籍などを数多く出版している老舗）の編集部さんから、 　 　「今度、うちの月刊誌で“世界のお葬式”を特集することになりました。つきましては、是非とも、インドのお葬式事情について書いて頂けませんか」 　･･･という依頼がありまして。 　その原稿に添付する写真を撮るために、なんと火葬場を歩き回ってきた次第なのですよ。 　このところ、ニューデリーの最高気温は、連日45度を突破。この炎天下の火葬場取材は、いやはやさすがに、相当キツイものがありました。 　インドでは、火葬場の多くが、聖なる川のほとりにあります。 　と言うと、ほとんどの皆さんは、即座にガンジス河を連想なさるでしょうが、実際は、インド全国の津々浦々に、その土地ならではの“聖なる川”があるのです。 　ここデリーで聖なる川と言えば、ヤムナ川。 　ヤムナ川のほとりには、いつ行ってみても、洗濯や食器洗いをする人達に混ざって、遺体を焼いている風景が見られます。（そうです。ここでは、火葬場はアウトドア。しかも、棺桶というものがありませんから、遺体は誰の目にも丸見え。） 　うずたかく積まれた火葬用の薪と、その上に乗せられた、白い死装束を着せられた遺体。その脇には、やはり白い衣装を身につけたお坊さんと、ほぼ普段着のまま集まった親族やお友達。 　今しも焼かれようとしている遺体は、死後数時間から、せいぜい半日経ったばかりでしょうか。ヒンドゥー教では、 　 　「遺体は、できるだけ早く焼いてしまったほうが良い」 と考えるため、よほどの事情がない限り、亡くなった当日、遅くとも翌日には荼毘に伏し、骨はそのまま川に流してしまいます。 　その理由は、いつまでも遺体や遺骨を残しておくことによって、せっかく身体を抜け出した魂が、もとの容器（遺体）に戻りたくなってしまうから。 　死者に安らかに成仏してもらうためには、遺体や遺骨など、故人が執着を覚えそうなものは、すぐに処理してしまうべきだという考え方です。 　もともと、ヒンドゥー教式の葬儀では、薪代がせいぜい1000円とか1500円、お坊さんへのお礼が300円から1500円程度。 　新聞を開いても、ローンで買える分譲墓地の広告なんて入っていませんし、偉いお坊さんにたくさんお金を払って立派な戒名を書いていただくなんてシステムも発想もありませんから、インドのお葬式そのものが、既に、執着とは無縁のものなんですよね。 　なかには、自分の家からずっと遠いところにある憧れの河（たとえばガンジス河）まで、遺骨を撒きに行きたいと考える遺族もいます。 　そんな場合も、わざわざ職人さんに骨壷を焼かせ、そのなかに遺骨を入れて運ぶ人もいる反面、そのへんにあったお菓子の空き箱を代用する人もいます。 　要するに、そのへんの“形式”は、どうでもいいことと考えられているのです。 　そんなわけで、ヒンドゥー教徒は、お墓も建てず、戒名や位牌も持ちません。骨と灰さえ川に流してしまえば、それでおしまい。 　あとは、“輪廻転生”の時を待つばかりです(笑)。 　日本では、お墓にン百万円、戒名にン十万からン百万円かかるというような話をしますと、インド人は、ショックのあまり、今にも心臓発作を起こしそうな様子で驚き、 　「そんな国では、うかうか死ぬこともできないなぁ。でも、本来の仏教では、そういうことはあってはならないはずだがね」 と、批判と同情の入り混じった溜め息をつきます。 　ヒンドゥー教徒が、お葬式にお金をかけず、お墓も立てない最大の理由は、“来世”を信じているから。 　いったんは死んでも、しばらくすれば、別の場所に別の形で生まれ変わってくる命なのですから、死を恐れたり、生に執着したり、お墓を立てたりする必要は、まったくない。 　･･･そう、彼らは考えるわけです。 　そのような確固たる哲学が根底にありますから、インドのお葬式は、どこかアッケラカンとしていて、妙に明るいんですよね。 　この明るさには、遺族も、そして参列者も、精神的にずいぶんと救われます。 　そう言えば、私の友人に、どんなときでも必ず、ポケットに500ルピー（約1500円）を入れて歩いている、ヒンドゥー教徒がいます。 　何のためにそうするのかと、理由を尋ねたところ、 　「だって、人間は生身で生きているんだから、いつどこで野垂れ死にするか、わからないだろう？ 万が一のときは、倒れたその場所で、見知らぬ人達の手で弔ってもらう可能性だってあるんだよ。そのとき、見も知らぬ人に、金銭的な迷惑までは掛けたくない。だから、自分の死体を焼くための、薪代の500ルピーだけは、どんなときでもポケットに入れてあるんだよ」 という答えが返ってきて、なるほどと、目からうろこが落ちる想いでした。 　最近は日本でも、万が一の事態に備えて、自分の頭や体が元気なうちに“遺言状”を書いておく動きは、以前に比べ活発になりつつあるようですね。 　（そういうことをちゃんとしておかないと、たとえば急に倒れて、そのまま意識が戻らなかったような場合に、望みもしない生命維持装置をつけられ、植物人間のまま何年も生き永らえる事態などが、先進国では起こりかねませんから。） 　日本の友人で、遺言状を作っている人は何人も知っていますが、自分のお葬式費用をポケットに入れて持ち歩いている人なんて、見たことないな(笑)。 　もっとも、日本だったら百万円の札束を持ち歩かなくちゃなりませんから、物騒ですし、それに第一、ポケットが破れちゃう(笑)。 　形式ばかりが重んじられて、義理が先行する立派なお葬式よりも、胸ポケットに入れたお金で薪代が足りてしまうような、素朴な葬送の仕方が、私は好きだな。 　そんな想いが、ふと胸に去来した、火葬場の暑い一日でした。 　さて、このへんで気分を変えて、お待ちかね、パンダTシャツ完成記念クイズの正解と、当選者の発表にまいりましょう。 　 　　今回のクイズは、ひっかけ問題（第1問と第3問）につまづく人が続出でしたよ。うふふ、ゴメンね。 　第1問は、 　ここインドは、世界有数の○○の産地。山田真美は、「○○好き同盟」のホームページにリンクしているほどの、○○好きです。それでは、日本語で、○○の数を数えるときの正しい単位は何? 　○○に入る単語は“いか”ですが、質問しているのは、いかの数え方。 　ストレートに「第1問の答え＝いか」と答えてくださった方も何人かいらっしゃいましたが、次回は、もう少し落ちついて問題を読んでね(汗)。 　「本」または「尾」と答えてくれた方も、案外と多かったですぞ。しかしこれらは、正式な数え方ではありませぬ。残念。 　というわけで、正解は 杯（はい）でした。辞書を引いてくれれば、一発でわかったはずなのに〜。 　では続いて、第2問。 　山田真美の著書のひとつに『吉祥天と行くインドの旅』がありますが、この吉祥天は、もともとヒンドゥー教の女神様です。では、インドで吉祥天は何と呼ばれているでしょうか? 　�@ヴィシュヌ 　�Aクリシュナ 　�Bラクシュミー 　これは、「その他作品紹介」のページをごらん頂ければ、一目瞭然。正解は�Bラクシュミーでした。 　ちなみにヴィシュヌは、やはりヒンドゥー教の神様で、ラクシュミーの旦那さん。クリシュナは、ヴィシュヌの化身とされる、横笛が上手でハンサムな男の神様です。　 　さて。今回、いちばん正解率が低かったのは、最後の問題（第3問）でしたよ。 　今回、特製Tシャツのキャラに選ばれたパンダくんには、うさ子さんという名前の、憧れの女性がいます。さて、うさ子さんの職業は、ズバリ、次のうちのどれ? 　�@中東に強いスパイ 　�Aバーのママ 　�Bベリーダンサー 　�C八百屋さんの看板娘 　�D〆切に追われる作家 　パンダくんの自宅（TABASCO ROOM）まで飛んで調べてくださった方々は、全員正解でしたね。 　 　しかし、�@あるいは�Dに引っかかってしまった方や、うさぎ＝ニンジンという連想から�Cと答えてくださった方も散見しました。 　（ちなみに、�Bと答えた方は皆無でした。） 　正解は、�A「バーのママ」ですよ。 　スタッフによる厳正なる抽選の末、パンダくんTシャツ当選者は、 　★ひろこ＠う〜に〜＠くろひょう様 　★月邨木蓮様 　以上の2名様に決定しました。おめでとうございます♪ 景品のTシャツは、月曜日には発送いたしますので、どうぞお楽しみに。 　それでは、明日からの一週間も、皆さんお元気でお過ごしください。 　 　　　　　事事如意　　 　　　　　　　2001年5月12日　 　　　　　　　　　　 ニューデリー　山田真美

2001年5月5日号（第26号)
パンダTシャツ完成記念クイズ大会
　ナマステ♪ 　先週のこのコーナーで、 　「うちのホームページ特製パンダTシャツが、ついに完成しましたよ〜ん♪」 ってなことをお知らせしましたところ、この1週間で、吃驚するほどたくさんの読者の皆さんから、 　「Tシャツは、どうしたらゲットできるのですか?」 　「クイズ大会を開催するなら、早く開催してください。景品のパンダTシャツを着て、この夏をハッピーに過ごしたいので」 というような内容のメールを、山ほど頂きました。 　メールをお寄せ下さった皆々様、どうもありがとうございました♪ 　･･･というわけで、今週のテーマは、皆様のリクエストにお応えして、 　　パンダＴシャツ完成記念 クイズ大会 に決定！ 　クイズに正解した方のなかから、抽選で2名様にパンダTシャツをプレゼントいたしま〜す♪ 　 　素材 / 綿100％ 　文字と絵の部分 / 全刺繍 　地色 / 黒、ネイビーブルー、グレー 　（ただしグレーは、サイズ�Bのみ在庫あり） 　サイズ / �@小さ目のM。小柄〜普通体型の女性向き 　�A大き目のM。大柄な女性、中肉中背の男性向き 　�BL。大柄な男性向き 　�C2L。かなり大柄な男性向き 　パンダイラスト提供 / TABASCO ROOM 金之助さん 　それでは早速、クイズに行きます。 　≪第1問≫ 　ここインドは、世界有数の○○の産地。山田真美は、「○○好き同盟」のホームページにリンクしているほどの、○○好きです。それでは、日本語で、○○の数を数えるときの正しい単位は何? 　≪第2問≫ 　山田真美の著書のひとつに『吉祥天と行くインドの旅』がありますが、この吉祥天は、もともとヒンドゥー教の女神様です。では、インドで吉祥天は何と呼ばれているでしょうか? 　�@ヴィシュヌ 　�Aクリシュナ 　�Bラクシュミー 　 　≪第3問≫ 　今回、特製Tシャツのキャラに選ばれたパンダくんには、うさ子さんという名前の、憧れの女性がいます。さて、うさ子さんの職業は、ズバリ、次のうちのどれ? 　�@中東に強いスパイ 　�Aバーのママ 　�Bベリーダンサー 　�C八百屋さんの看板娘 　�D〆切に追われる作家 　全ての答えがわかった方は、答えと、希望Tシャツの色・サイズを、5月11日までに 　　　　　yamada_mami@hotmail.com 宛てに、必ずメールでお知らせください。 　抽選で2名様に、お好きな色のTシャツを差し上げます。なお、当選者の発表は、『週刊マミ自身』5月12日号で行ないます。 　･･･というわけで、皆さん頑張ってくださいね。 　 　健闘を祈る♪ 　　　　　事事如意　　 　　　　　　　2001年5月5日　 　　　　　　　　　　 ニューデリー　山田真美 　≪追伸≫ 　今日5月5日は、マジェイアさんとイナダ虫さん（ともにうちのホームページの常連様）のお誕生日です。 　　Happy birthday to both of you！ 　（ケーキを食べすぎないようにね♪）