書名		マンゴーの木
		著者		山田真美
		出版社		幻冬舎
		発行日		1998年12月27日
		定価		1,600円(外税)
		四六版上製332ページ
		ISBN4-87728-273-4 C0095

｢古代インドの神秘に迫る、最高に魅力的な一冊｣
　　　　― インド観光大臣オマーク・アパング氏推薦

目次

プロローグ 第一章 生きていた魔法使い 第二章 香港コネクション 第三章 四度目の正直 第四章 タロット・カード占い 第五章 ケララの魔術師 第六章 マラヤラム語の秘密 第七章 インドの花咲爺さん 第八章 吃驚仰天 エピローグ

朝日新聞　1999年1月24日(日曜日)
　インド在住の著者が、目の前でまいた種から「マンゴーの木」をまたたく間に成長させる魔術師を追うノンフィクション。確かではない情報を頼りに長い時間をかけ、インド中を歩く。読みながら一緒にインドを旅している気分になる。改めて、インドの奥深さと許容量の大きさを感じた。(評・小林紀晴=写真家)

東京新聞　1999年2月７日(日曜日)
　神秘の国インドを彩る魔法。呪文を唱えただけで種が伸びて実をつける「マンゴーの木」という古代魔術を追いかけて九年。最南端ケララ州でついに発見した古代魔術師はどくろを小道具に使い、コブラを操った。 　インド在住の著者が、魔術師たちとの交流や魔法大会で審査員を務めた貴重な体験をユーモアたっぷりにつづった。魔術を切り口にして、多様で複雑な大国を説き明かしたインド論でもある。

共同通信　
宮崎日日新聞1999年1月10日、
大分合同新聞1999年1月11日、
山形新聞1999年1月18日、
南日本新聞1999年2月14日など
　著者はよほどマジック好きなのだろう。「インドには呼吸を止めたまま一時間でも二時間でも池の底に座っていられる百八歳の魔法使いがいる」と聞かされ、初めてインドを訪れたのが八年前。 　「百八歳」には会えなかったが、今度は何もない地面からマンゴーの木を突如、生やすことができる魔術師の話を聞き、やっと訪ね当てたら、何と三日前に亡くなったばかり。 　あらゆる機会を使いマンゴー魔術を一目見ようとする著者は、偶然の力やインドの友人の手助けもあり、ようやくマンゴー魔術師を発見する。

AB Road　1999年3月号
　たった今、地面に埋めた種が、呪文を唱えると、ニョキニョキ伸びて実をつけるまでに成長する…。そんな「マンゴーの木」の魔法使いの噂を聞いたばっかりに、インドという底なし沼にハマッてしまった著者。世にも不思議な幻の古代魔術を求めて九年。夢にまで見た魔法使いにははたして本当にめぐり合えるのか？テンポよく進むストーリーに魔法にかかったように吸い込まれてしまう魅力的な一冊。

望郷　1999年4月号
　地面に小さな穴を掘って種をまき、一枚の布をかぶせる。そしてなにやら呪文をとなえてさっと布を取り払うと、青い実までつけた数十センチのマンゴーの若木が忽然と出現する―インドに古くから伝わる大道芸の魔術「マンゴーの木」。その伝承者を探し求める旅を綴った、スリリングなドキュメントである。 　著者はインド神話の研究者で、現在は夫と二人の子どもとニューデリーに住む。「マンゴーの木」という神秘的な魔術の存在を知ったのは、一九九〇年の最初の調査旅行のこと。その最後の伝承者をスラム街に訪ねたが、ちょうど三日前に死んでしまったと告げられる。 　ところが八年後、ふとしたきっかけで手に入れた本の表紙に、なんとその魔術師の写真が載っていた。永遠に失われたはずの魔術が、まだ生き残っていたのだ！ 　香港出身の米国外交官夫人の家で見せられたとんでもないコレクション。遠くにあるテレビから突然聞こえてきた南インドの魔術師学校のニュース。ことごとく的中するタロットカード占い。そしてついに出会った「マンゴーの木」…。 　なにげない会話から重要な手掛かりがこぼれだし、出会いが出会いを呼んで、伏線が次々と花開く。著者の願望がどんどん実現されていくその後の不思議で運命的な展開は、まさにジェットコースター感覚。実体験に即したドキュメントのはずなのに、まるで村上春樹の小説を読んでいるような気分になってしまう。 　個性あふれる魔術師たちや反骨のジャーナリストなど、登場人物がそろって魅力的だし、新しいインドの姿がいきいきと描かれていて、楽しめる。著者の前向きな姿勢と多才ぶりも、痛快だ。 　この貴重な成果を、今度は"各駅停車"の学術書としてじっくり読ませてもらいたいと強く感じた。(評・丸山純)