ここでは、読者の皆さまから寄せられた『夜明けの晩に』読後感想文のうち、一般公開をご快諾いただいた分だけをご紹介しています。

※プレゼント当選者(印の付いている方)には山田真美特選プレゼントをお贈りします。

〔No.001〕 投稿日:2002年3月3日 投稿者:ひかる様 (12歳、小学6年生、女性)

山田真美様。私は神秘的な物が大好きなので「夜明けの晩に」を読み始めた時(20ページぐらい読んだ時)はもうはまりまくっていました。そして3日で読み終わりました。すごく幻想的でよかったですよ。これからもがんばってください。 



〔No.002〕 投稿日:2002年3月4日 投稿者:鈴木央様 (37歳、公務員、男性)

最後の1行を読み終えるのが惜しくなるような小説だった。
古代史の謎や、遺伝子にこめられた意味といった興味つきないエピソードを楽しみつつも、思えば私は、満奈と鳥居の愛、を軸に読んでいた。ラストで、鳥居から贈られたターコイズの指環をはめ、「本当に、鳥居さんそっくり」。「感情が溢れ出しそうになるのを堪えながら」も、おそらくは未来へ向かい、「陽の当たる長い坂道を、まっすぐに歩きはじめた」満奈。
鳥居への永遠の愛を心に刻みつつも、未来に向かって歩いていく満奈は、少女時代に別れを告げ、これから青年時代をどう過ごしていくのであろうか。ショーンとアリエルという、満奈に思いを寄せる(ショーンの場合は無意識かもしれないが)2人の男たちは、これから、どう満奈にかかわっていくのか、鳥居と瓜二つの甥は今後どのように満奈にかかわっていくのか。満奈をはじめとする数々のキャラクターを手にした今、続編の登場も予感させる。
しかし、せっかく手に入れたキャラクター。仮に続編を出すとしても、拙速にならずに、長期スパンで仕上げていかれることを希望しする。
全巻とおして作者の筆力はすばらしいが、個人的には第14章空耳から第15章終焉にかけてが、特に気に入った。もっとも、1回読んだだけでの感想なので、もう1回、2回と改めて読むうち、また新しいものが見えてくるかもしれないが…。
予知夢をみたり、2人で同時に同じ夢をみたり、と、それだけ聞けばなんだか荒唐無稽なのだが、実際には読書中、まるでそんな感じはしなかった。おこってくる出来事を素直に受け止めながら読み進めることができた。これは作者の力量によるものであろう。
読了した日の翌日、もう1回読んでみようと思い、駆け足ではあったが、今日また、『夜明けの晩に』を読んだ。今回、再発見したのは、この作品での準主人公鳥居と、脇役マーシーというキャラクターの重要性だ。
苦労人で控えめ、いつも地味ながら芯があり心優しき鳥居と、若き日に深刻な苛めを経験し今は達観しているおかまのマーシーという両キャラクター。われわれ読者の記憶に、鳥居の生涯は共感をもって刻まれた。また、このマーシーというとてつもなく魅力的な脇役!!
また、こんなことにも気づいた。もしも、この2人のキャラクターがなかったら、この小説に出てくる人はエリートばかりになってしまい、つまらないものになってしまったことだろう。特に準主人公がエリートでなかったのは良かった。この2人の人物造型に成功したことが、この小説の大成功にとっても欠かせなかったと申せよう。
それと、鳥居と梶井基次郎は、ともに31歳で亡くなるなど、重なっていることにも、読み直してみて気づいた。
山田真美さんはいままで常に、前作を上回る作品を書いてきたが、今回の作品もしかりだった。しかも、とびきりだった。そして私は、この作品は大勢の人々が読むであろうと予測するのである。



〔No.003〕 投稿日:2002年3月6日 投稿者:KYOKO様 (女性)

イッキに読み終えました〜! 面白かったよ〜! うっうっ…、でも鳥居さんの生涯はあまりにも可哀想過ぎる…。
標高6180メートルで笑ってポーズとってる著者の写真を見て、あ然、ぼう然! (こんな作家って、もしや前代未聞〜?)
元々、アレ系の神話やら宗教がらみ、輪廻転生やらに興味があるし、ソレ系の大胆な仮定、推理や謎解きは大好きで、だからイッキに読めたんだと思います。ミステリー仕立てになっているので、推理小説好きなうちの長男(高3、大学受験終わってほっと一息)は、私が読み終えるや早速読み出していますよ! その感想もまた後日!



〔No.004〕 投稿日:2002年3月7日 投稿者:飛鳥様 (15歳、インターナショナル・スクール学生、男性)

1行目を読み始めた時から、いきなり吸い込まれるような作品でした。
奥が深く、先へ読み進めば読み進むほど惹きつけられて、読みながら(ヤバイ!気が狂うのではないか?!)と思ったほどです。
どのページをめくっても、そこには常に未知の世界が広がっていたからです。予知夢とか、≪かごめかごめ≫という童歌の歌詞にこめられた謎、古代イスラエルやインド、日本に封じ込められている人類の秘密。そういうものが、目に見えない闇の底から、これでもか、これでもかと襲い掛かってくるような、今まで体験したことのない新しい恐怖感でした。
ヘンな言い方かもしれませんが、この本は上下巻を通じて、ストーリー全部が最初から最後までクライマックスなんです。読み終わってからも興奮して眠れませんでした。同じ著者の次の作品に、今から期待しています!



〔No.005〕 投稿日:2002年3月10日 投稿者:天竺の太郎様 (42歳、会社経営、男性)

よくぞ書いてくれました。感動しました。今の日本人は、みんな眠っている! 山田真美さん、日本人を叩き起こしてください。



〔No.006〕 投稿日:2002年3月12日 投稿者:P♂DA-PON様 (33歳、大学教員、男性)

勉強になる!!! 一言で言うと,「重みのある物語」. まるで論文を読んでいるようで私のような人間にはとても面白く,楽しく読ませていただいております.うん.内容はもちろん,進め方も,とにかく勉強になるよ.あんな科学論文があったら科学離れなんかなくなるね,という感じ.



〔No.007〕 投稿日:2002年3月13日 投稿者:神明一二様 (57歳、団体職員、男性)

力作を読ませて頂きました。とても面白かったです。私も「隠れた」古代史ファンなので、アッという間に物語の中に引き込まれてしまいました。
この小説には、二つのポイントがあると思います。ひとつは、ストーリー構成の巧みさ。山田さんのストーリーテラーとしての力量の高さに感心しました。もうひとつは、歴史資料の根拠の確かさ。文献だけでなく、現地調査に基づいた記述であることが良く分かります。こういったテーマでは、往々にして空想に走りがちですが、よく地に足がついた記述であると思います。
他の本との比較でいうと、グラハム・ハンコック『神々の指紋』、『創造の守護神』、松本清張『火の路』、梅原猛『隠された十字架』、古田武彦『失われた九州王朝』等々を読んだときの熱い思いを思い出しました。
いずれかの文学賞を受賞することを心より期待しています。



〔No.008〕 投稿日:2002年3月22日 投稿者:同姓同名の山田真美様 (36歳、占い師、女性)

こんにちは。「夜明けの晩に」上、下おもしろく拝見させていただきました。
きっかけは、友達からの電話でした。その人は仕事の先輩でもあり、いつも私にいいものを提供してくれる人です。「ねー真美ちゃん、最近の新聞に載っていたんだけど山田真美という真美ちゃんと同姓同名の人の本で、なんか不思議でおもしろそうだよ」私は早速買ってよみました。新宿プリンスの本屋で。開いてみると、なんとも不思議なことだらけ。それは、私が最近目にしたもの口にしたもの、ものの固有名詞がそのまま活字となって目に飛び込んできたからです。
たとえばサティーとか、カレーとか、天照大神。なかでもカレーには参りました。カレー食べ放題に渋谷に行ったあと、美容院にいけば昨日スタッフ皆カレー屋でミーティングした、あれがおいしかった、これがおいしかったとカレーの話でもちきり。電話が携帯に鳴って、今日カレーにしてと家からの電話。次の日カレーうどんが食べたくなって純和風うどん屋にいったのに出てきたのは汁っけなしのインド風カレー。次の日地元を散策していると、何やらチラシ配りのインド人風の男性。まてよ、この店は確か焼肉食べ放題の店だったのにいつの間にカレー食べ放題になっているの? もうちょっといくと、めったに通らない道に出くわして、いやはや目に飛び込んできたのはまたインド料理店。観念して、その店に入りました。大きなナンをたいらげました。でも不思議なことにパワーがみなぎるのです。
インドが私を呼んでいると本気で思いました。いろいろな意味で「夜明けの晩に」は私に何か大きいものを提供してくれました。ありがとうございます。そしてこれからも、がんばってください。私、山田真美も、同じ名前として恥ずかしくない生き方をします。



〔No.009〕 投稿日:2002年3月24日 投稿者:ツッチャ様 (41歳、鳥居さんのような恋をしたいけどまだ辿り着けずにいるサラリーマン、男性)

今朝はささやかな達成感を覚えて目覚めました。普段読書の習慣から遠ざかっている私ですが、『夜明けの晩に』上・下巻、昨深夜に完読いたしました。少し前に貴女のHPで刊行を知り、先週の月曜日から丁度1週間。会社の昼休みと、夜帰宅してから読みました。
最初書店でこの作品を見つけたとき「こんなの読めるかな」が実感でした。読み始めたら結構のめり込んで読んでいたように思います。昨日は下巻の三分の二を一気に読んでしまいました。率直に「おもしろい(興味深い)」作品だと思います。
宗教観についていえば、私は、敬虔とまでは行かなくてもひとよりは熱心な仏教徒だと思っています。宗教にはそれなりの関心もあり、神話にも多少興味があります。そんなことが功を奏したのかもしれません。とても読みきれないと思っていたこの作品を完読できたことに、ささやかな達成感を感じています(恥ずかしながら)。神道とユダヤ教そしてイスラム教との関わり、私には考えもつかないスケールの大きな発想にまずは脱帽。この作品にでてくる、文化,地域,史実それを結びつけた貴女に敬意を表します。
特に印象に残ったところは、カシミールにおける、「アーメッド・アル・ジュー」との出会い以降「神様は、たった一人しかいらっしゃらないんだ…」のあたりから、タクシー運転手とのやりとりのあたりです。
昨今は、毎日のようにパレスチナの報道がされ、心が痛みます。私は曖昧な宗教観を持っている日本人だから思うのかもしれませんが宗教といわれるものの中で、他人を殺しても良いという教えはないと思います。同じ神であるなら、宗教解釈のどこかに曲解があるのではないでしょうか? とりとめのない感想になってしまいました。(『夜明けの晩に』という作品に感謝。)次回作も期待しています。益々のご活躍を。



〔No.010〕 投稿日:2002年3月25日 投稿者:ANN子様 (女性)

おもしろかったァ。上巻を読み終えたまま、なかなかまとまった時間がなかったんだけど、昨日、一気に下巻を読み終えました。
あれだけの情報をあんなふうに調理しちゃうなんてやっぱ才能だよね。さまざな次元をみごとに織り上げたって感じ。しかも縦糸、横糸のみならず上、下、斜めの糸も上手に絡めてその上、宝石やビーズ、勾玉やとんぼ玉まで編みこんで、なんだか布というよりオブジェかな?
それはたぶん、アインシュタインの言葉を借りれば『シャボン玉宇宙』みたいなフワフワとしてて、実体が在るような無いような理解出来そうでできない永遠性が秘められてる。本来、とっつきにくい分野だと思うけど、かなり幅広い層が抵抗なく読めるっていうあの構想がさすが!!!
んでもってオシャレ。お陰で、あの世界特有の怪しさもオドロおどろしさも全然感じない。まさかインターナショナルスクールと恋愛と神々の世界が同居できるなんて誰が想像したでしょう。
読みながら「うんうん」とうなずいたり、「そうだったんだ」とか「マジ?」とかいろいろあったけど、私はただただ神々の世界に引き込まれました。
個人的に、17、8年程前に猿田彦にお仕えしてるおじさんと知り合ってから、椿大神社は我が家の氏神さまなんです。(距離的にはかなり無理があるけど)おじさんは知り合って5年ほどで突然亡くなりましたが、本の中に猿田彦が出てくる度、おじさんの顔が思い出され、≪個人しか知りえない過去の出来事、遠く離れた場所で現在起きている事、そして未来、それらをずばり言い当てた、まさに千里眼とも言えた不思議な能力≫をもっとこの目と耳で確かめておくんだった、と悔やまれました。
先週泊り掛けで奈良の飛鳥を散策したんだけど、古墳をめぐり天皇と朝鮮との関係とか、予定外の大神神社とかにも参拝できて、その『気』をまとったまま、下巻に突入して、あまりのタイミングの良さに一気に読めたって感じ。
なにしろ大神神社では前日から続いてた頭痛が、参拝して駐車場に戻るまでの30分程でほぼ完全に無くなってたんです。それも私だけじゃなく主人なんか2日越しの頭痛で「熱あるのかなぁ」なんてしきりにおでこに手を当ててたのに、ホンとに不思議でした。2人とも薬は1度も飲んでないし....。ああいう場所ですからマイナスイオンが作用したと片付ける事はできますが、まあ結局はそう言う事なのかもしれないし。
そう言えば、奈良に『宇太水分神社』とか『吉野水分神社』とかあったんだけど、読みが『ウダミクマリ』とか『ヨシノミクマリ』なんだよね。
これって『カンニャクマリ』と関係あるのかなぁ?カンニャクマリってあの岬を境に潮の流れが分かれてるんだよね。確か、那智にある神社はインドとつながりがありそうだって何かで読んだ事はあるけど。
『カカバルの石』も興味深かったです。確かシャーリーマクレーンもインカ帝国の遺跡について、「たくさんの僧が何か唱えながら大きな石を軽々と次から次へと運んでいる」それをあたかも見たように書いていた一節を思い出しました。ピラミッドの石については当時の指導者(名前忘れた)が不思議な力で石の重力を変える事が出来たんだって何年か前テレビで宜保愛子さんが言ってた。でも、カカバルの石はかなり最近まで誰の目にも触れる所にあって、しかも不思議エネルギーを体感できたかも知れないほど身近なものだった訳でしょ。なんか惜しいなぁ。
この本では真美さんの外観の女神のような容姿とは裏腹の雄雄しい内なるもの。(これは前作でも感じた事ですが)宇宙までも含めた『愛と平和』真美さんのこだわり等々、いろいろ感じられておもしろかったです。



〔No.011〕 投稿日:2002年3月31日 投稿者:MUSICA様 (山田様よりチョイ下くらい、女性)

『夜明けの晩に』はじめて見たのは新聞の広告欄でした。もともと、スピリチュアルな本が好きだったので、あらすじに一目ぼれしてしまいました。おそろしい勢いで完読しました。一言では言い表せないくらい、深い物を感じました。何事も決め付けちゃいけないんですよね。
感想はいっぱいあるのに、どう書けばいいのか…(書ききれん!)
昔はそれこそ、みんながスピリチュアルな部分でつながっていて、世界中がまん丸だったような気がします。テレパシーが通信手段だった時代、そんな頃があったから、世界中に同じような伝説が残ってるのでしょうか?人と人が憎しみあい、殺しあう世の中が早く終わればいいのに…。



〔No.012〕 投稿日:2002年4月14日 投稿者:米持由美子様 (43歳、人材開発トレーナー、女性)

一気に読みました。終盤近くになって、「どうか終わらないで」と願った本は今まであったでしょうか。感動しました。特に15章。仕事で移動先へ向かう電車の中で、涙が溢れて止まらなかった。花粉症を装おうとしました(無駄でしたが)。 人間の愛の深さ。そして、宗教には今まであまり関心がなかったのですが、古代史やさまざまな宗教の関わりあいに興味を持ちました。宗教や国を越えて、地球のすべての人間がつながっていることの不思議さと、優しさに包まれるような妙な安堵感、納得感。読み出すとぐいぐい満奈の世界(これは正に山田真美の世界!)に引き込まれていきました。現実の自分に戻るのに時間がかかり、仕事の合間に読むのは危険でした。
満奈や鳥居、アリエル、ショーン、そしてマーシーにもまた会いたい。改めて、もう一度じっくり読もうと思っています。今は長女(中3)が読んでいます。次女(中1)・三女(小5)にも読ませたい。次の作品も楽しみにしています。



〔No.013〕 投稿日:2002年4月19日 投稿者:小島博様 (30歳、製本業、男性)

「女性自身」の記事、見ましたよー! 写真のまみりん♪は、非常に「面白いことが大好きそうな人」な感じで写ってますねー。
『夜明けの晩に』を読んでみても、「好きなものを好きなだけ書いたらこうなりました」って感じですものね。
書き始めたら止まらない、読み始めたら止まらないって感じ!あらためて、「とっても面白い本読んだんだなー」と思いました。ではでは!



〔No.014〕 投稿日:2002年4月24日 投稿者:LiA様 (女性)

自論だが、[小説]は一つの空間、むしろ[箱]であり、 その中には作者の思想がぎっしり詰まっており、一つの世界になっているのだと思う。
『夜明けの晩に』という[箱]の体積は、今までに入り込んだ[箱]の中でも最も広く、計り知れなく深かった。
なにしろ[箱]の壁が何処に位置するのかが、なかなか把握出来ないものだから、 まるで霧の濃い真っ白な、あるいは宇宙空間のように「端」の見えない、 箱の中に迷い込んだかのようで、気が狂いそうになった。
この作品を熟読することによって、自殺しかねないとまでも思った。 それ程、人間の奥底の部分、人間の本能・心理を、動かすことが出来る作品なのではないであろうか。
常識と非常識の中間を進みながら描かれた、未知の世界・・・。
自らの貧しい文才では、感じた事をそのまま適当な言葉として述べることが出来ず残念だが、 素晴らしい御著書に感謝しつつ、今後も読み応えのある作品を提供し続けてくださることを心から願っている!



〔No.015〕 投稿日:2002年4月27日 投稿者:菜の花様 (フリーター、男性)

『夜明けの晩に』読まして頂きました。とっても面白く読まして頂きました。それほど奇を衒うような筋書きはなく、出てくる人たちもみな、いい人達なのでなにかとっても爽やかな読後感がありました。
日本神話の神々が猿田彦の導きで、日本に入ってきた逆の方向で、満奈の夢に出てきた猿田彦は満奈や鳥居を旅に誘う。まるで『夜明けの晩に』に出てくる人々が現代の神々であって自分達のルーツ探しに旅に出るような感じがしました。
物語の時間や空間が宇宙に聳える巨大な観覧車のように、流れていました。
この物語は日本というローカルな地域の物語というより、今まで日本独自の神だと思っていた日本神話の神々が世界史のなかで息してた神々の別離と集合のひとつのエピソードであったのではないかという、山田真美さんの視点はとってもユニークだと思いました。
インターナショナルスクールというそれこそ、インターナショナルな世界の生徒が協力して、日本神話の謎解きに参加していく姿は多分今までの日本人だけによる日本人のための日本神話研究の姿とはかけ離れた、雄大さとロマンを感じさせてくれました。
しかし一方では逆方向に神々をたどるということは、戦乱の地に直面する旅であるともいえます。カシミール、インド、パキスタン、アフガニスタン、イスラエルは現在大きな困難に直面してる地域でもあります。山田真美さんは神々の集う地域だからといってけっして楽観はしていないように思えます。しかし『夜明けの晩に』はそれでも希望と平和が溢れていました。
僕は是非山田真美さんに5年後くらいにさらに西へいく続編を書いて頂きたい。アフガニスタン、イラン、イラク、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ、エジプトと。そしてそれらの地が少なくとも現在より平和な地であり、希望の地であり、神々の共存ができる地になっていたなら本当の意味で『夜明けの晩に』は完結できるのだと思いました。今後のご活躍を期待しています。



〔No.016〕 投稿日:2002年5月25日 投稿者:神倉恵子様 (55歳、イラストレーター、女性)

『夜明けの晩に』あっという間に「上」「下」を読んでしまいました。
不思議な本ですね。なぜこんなにぐいぐい読めちゃうのかしら。ぐいぐい読めちゃうけれど、本の内容はとても深くて重みのある内容で、「上」「下」を読み終えた時、まるで3年という時間を3日でこなしたような時間の感覚を、体がそれを受け止めるのにふらふらしました。
本の内容の重みとストーリーのおもしろさにも圧倒されましたが、理屈を超えたところで大きなエネルギーをいただいたようにも感じました。それは丁度、良い音楽を聴かせると水の結晶も変化するように、この本を読み終えた時、私の中で何かが変化したように感じました。
それにしても真美さん、この本で人類の歴史塗り替えてしまうつもり?



〔No.017〕 投稿日:2002年6月4日 投稿者:Tomo様 (18歳、大学1年生、男性)

初めて本を開いた時から、私は17歳の天才美少女、満奈に心を惹かれて行きました。この本の魔力で大学の講義に集中できなくなってしまうほどでした。
神話やわらべ歌に隠された、古代イスラエルとの関わり合いと言う、世界史の常識を根底から覆すような最高の古代史ミステリーでさえも、『人麻呂の暗号』とは違って、満奈を中心とした物語があまりに素晴らしいため、ややかすんで見えるほどでした。こんなに面白い本がどこの本屋に行っても見つからなかったことが今でも信じられません。
この本の魅力をなんと表現したら良いのでしょうか。難しいので、あの名作『大誘拐』に匹敵する内容であると答えておきます。共通しているのは、読めば読むほど本の中に引きこまれていくことと、最後まで一気に読めてしまうこと、そして何よりキャラクターが素晴らしいことです。
中でも鳥居さんは、最高のキャラクターです。7年もの間、満奈一人を見ていたその一途さと純粋さには驚かされます。たとえそれがかなわぬ恋であっても、彼は幸せだったのでしょう。命を懸けて愛した人に、看取られて死んでいった鳥居さんは本当に幸せな人だと思います。もちろん出来れば生きててもらいたかったですけれど。
この本を読んで改めて思ったことは、一見順風満帆で、銀の匙を咥えて生まれてきたような人達は、その分私のような凡人とは比べ物にならない程の大きな悲しみを背負って生きているということです。影のない光、裏のないコインが存在しないように、満奈、ショーン、そしてアリエルも深い悲しみを背負って生きていることを知りました。
おそらく山田真美先生の分身であろう八坂満奈の今後の幸せを祈りつつ、先生の御活躍を期待しています。自分も何か夢を実現できるように、はじめの一歩を踏み出したいものです。



〔No.018〕 投稿日:2002年6月26日 投稿者:大滝敬子様 (42歳、販売業、女性)

読み始めたら、もう一日中本の事が頭から離れなくなってしまい、暇を見つけては本を開いてました。読み終えて、私が生活している上で常に意識している「縁」と言うものの深さと不思議さを実感しました。
私も、満奈ちゃんほど壮大ではありませんが仏教に関係して、あーこれって縁なんだなーって思う出会いや行動がいくつもありました(真美さんとの出会いもその一つですよね)。だからこの作品に共鳴するところが多く、なお更、惹かれたんだと思います。
それにしても、奥の深い古代史とラブロマンスを結びつけてストーリーにしてしまう真美さんの魔法の様な不思議な才能に、あらためて感動と尊敬です。
そして満奈ちゃんと鳥居さんとの恋は、忘れかけていた、ずーと昔に味わっただろう切ない気持ちを思い出させてくれるものでした。読んでいる時、なんだかその頃に戻ったように胸がキューンとなる感じがしました。そんな気持ちを思い出させてくれて、ありがとうございました。次の作品も楽しみにしています。



〔No.019〕 投稿日:2002年9月30日 投稿者:笠置正民様 (52歳、会社員、男性)

『夜明けの晩に』、たった今読み終わりました。長編の上に、『ブラック・アンブレラ』とは別の意味で重い内容だったので、ゆっくり味わいながら読ませていただきました。
「カゴメ、カゴメ」の謎解きまで、一気に小気味良く展開する上巻、そこで示された日本とユダヤを結ぶ糸というテーマが、撚り合わされ、補強されていく下巻。その主題の太い縦糸が、各国の生徒が集まるインターナショナル・スクールでの友人たちの語らいや、満奈と鳥居の恋愛といった横糸によってふくらみのある物語に織りなされていく展開は、見事でした。そして、なによりも「予知夢」という言語によらないコミュニケーションのあり方が、全編にベース・ノートとして響いていることも暗示的というか、むしろ明示的にこの本が言わんとすることを読者に訴えかけていて、すごい、の一語につきます。
真美さんが「博士論文」にするつもりで集めたという濃密な素材の数々を、このような形で楽しく面白く読むことができたのは幸せでした(論文なんかだったら、多分すぐ眠くなって読めなかったでしょう)。
このところ、現代のアジアのことばかり考えていましたが、この本を読んで、時間的にも空間的にも思考の幅が広がりました。また、日本人でありキリスト教徒である私にとって、日本の歴史・文化とキリスト教的なものが、どこかで、しかも、しっかりとつながっているということは、大きな意味を持っていると気付かされました。
私は、日本におけるキリスト教の限界は、「西欧文明の尻馬にのって日本に入ってきた」ことだと思っています。ご著書を読んで、ユダヤ教、キリスト教は、もともとオリエントという広い意味でのアジアで生まれた宗教なのだ、という当たり前のことも、再認識できました。私にとって、いまや「アジア」は単に非西欧というのではなく、歴史的な人間存在そのものといった深い意味を持っています。キリスト教というのも、ヒンズー教というのも、仏教というのも、神道というのも、結局は同じことを言っているのだと考えることには、不思議といっていいほど抵抗感がありません。
『夜明けの晩に』の内容はとても深いので、まだまだ頭の中で、その内容をしばらく反芻していくことが必要だと思います。
えらそうに、批評めいたことを長々と書き連ねてごめんなさい。実は、著者にいろいろコメントをぶつけてしまうのは、私の悪いクセなのです(先日も本をモノした同僚に、うっかり「あの前書きは感動的だったねェ」と言ってしまい、「中身はそれほどでもなかったということ?」と真顔で切り返され、友情にひびが入りそうになりました)。
でも、本をただ読むだけでなく、作者の方と直接、その内容について語り合えるということは、なんとぜいたくなことでしょう(だから、コメントしたくなるのです)。ぜいたくな気分を味あわせてくださいましたことを、心から感謝申し上げます。
小説家、山田真美さんの一ファンより。



〔No.020〕 投稿日:2002年10月1日 投稿者:terry様 (37歳、会社員、男性)

『ブラック・アンブレラ』刊行前に読了を目標にしていたのですが・・・完敗(^-^)。情報量が多すぎ(かつ、こちらに古史古伝の知識がないので)、なかなか読み進めず、でした。
しかし、帯のコピーは「・・・壮大なる人類史の無意識における神話宇宙へ分け入り・・・」をはじめ、ちょっと大仰すぎるような。せっかくのピュアなラブロマンスが霞んでしまって、ちょっと「ムー」的な「とんでも本」に見えて、残念でした。広告屋の私としては「なんだかなあ」です(^.^)
ラブロマンスといえば、37歳の私としてはさすがに女子高生の満奈ちゃんには感情移入できず、鳥居さんシンパだったのですが、あのような最期を迎えるとは・・・。でも、思ったほど悲惨な感じがしないのは、なぜでしょうね? やっぱり、インドっていう背景世界のせいなんでしょうか? 僕らの考える生/死の二元論とはちょっと違う死生観/世界観がありそうですもんね。うーん、インドは深い、と改めて思わされました。
さて、もうだいぶ経ってしまいましたが、次は『ブラック・アンブレラ』にも挑戦せねば!



〔No.021〕 投稿日:2002年11月25日 投稿者:庄子利枝様 (31歳、主婦、女性)

一行読んだら、止まらなくなりました。はじめは本の分厚さで後回しにしていたのですが本の嫌いな人にこそ読んでもらいたいと思いました。まるでテレビを見ているかのように情景が目に浮かびました。私だけでしょうか?
イスキリや青森の村の事など20年も前に読んだ記事や、読んでいた時期にインドからホロスコープを取り寄せていた事もあってとても楽しく読めました。こんなにあれも、これもお話に入っていてぐちゃぐちゃのパズルをこんなにもすっきり、きれいに収められすばらしい作品をつむぎだせるマミリン、すごいです。
いままでこの作家の事を知らずにいて損をしたと心底思い、『インド大魔法団』 『マンゴーの木』も一気に読みましたがこれも、とってもおもしろくて、たぶん私はインドに向かない人間だと思うのですが、インドに行ってみたくなりました。
『吉祥天と行くインドの旅』はもう手に入らないらしく、復刊サイトで投票してみようかと思っています。



〔No.022〕 投稿日:2003年10月25日 投稿者:甲斐辰三様 (66歳、無職、男性)

『夜明けの晩に』を読みながら中近東やアジアの旅を楽しみました。旅と言ってもインターネットのうえでですが、2週間も知的な体験ができました。その間、興味を持ったことや疑問点をメモしておいて検索し、納得したり更に疑問が増えたりしました。
こんなに夢中になって読んだ本は久しぶりでした。出版していただき有り難うございました。今後、暫くはネットの中で旅を楽しみます。



〔No.023〕 投稿日:2004年12月30日 投稿者:望月裕道様 (17歳、学生、男性)

昨夜、『夜明けの晩』を読了しました。夜の読書時間に少しずつ雰囲気を楽しみながら、読みすすめてきました。本当は一気に読破したかったのですが、時間の制約でそれは叶いませんでしたし、何より夜中に一人での読書時間はえもいわれぬ至福の時だったのです。
この作品の登場人物は、山田さんご自身やご家族、周囲の方の姿が投影されているようですが、一人のキャラクターに、何人もの人の気質が投影されているように感じました。もちろん、登場人物独自のオリジナルの気質も垣間見ることが出来、その点も非常に楽しく拝読させていただきました。満奈の魅力は言葉では言い表せませんが、陰で抱えている秘められた孤独にも惹かれるものを感じました。鳥居の一途な人柄、マーシーの右脳的な気質もこの物語には欠かせないものだったのだと思います。
まず、純粋に嬉しかったと感じたことを挙げますと私の興味のある分野がさりげなく物語の中に織り込まれていることです。興味のあることとなると、どんな些細なことでも反応してしまう私にとって「シャルル デュトワ」や「ホルヘ ボレット」の名前が出てきただけで顔が綻ぶのを感じました。特にホルへ ボレットのピアノの高音部における独特の音のきらめきは、筆舌に尽くしがたいものがあるように思います。満奈がサティの迷宮のような音楽が好きという設定に、マーシーが坂本龍一氏の普遍的な癒しの音楽が好きという設定になっていますが、山田さんは、これらの音楽家の曲をよく聴かれるのでしょうか。
話がそれてしまいましたが、私の生活環境と満奈や、アリエルの生活するインターナショナルスクールはあまりにも環境が違いすぎて、よく分からない部分もある反面とても興味を持ちました。私は、広島県広島市在住です(鳥居の身内も広島ですが)。原爆ドームと宮島のちょうど中間地点に住んでいます。そのような私が通っている高校は中高一貫教育の私立高校ですが、根本的にインターナショナルスクールとは違っているのでとても魅力を感じてしまうのです。同じ点というのは私服が可能というくらいでしょうか……。
そんなインターナショナルスクールを基盤として物語が進んでいくわけですが、鳥居が、「己が体を張って命を掛けてでも満奈ちゃんを守り抜く。」と一人になったときに語る「命」という点に固執しているあたりが、すでに鳥居の死を暗示する伏線となって、かなり早い段階に出現していることに気付きました。上巻のかなり早い段階で、鳥居の死に対する因縁を暗に示して読者の心に無意識に語りかけて、それを複数回、決意の言葉として出現させ、最後にマーシーの「予感」として、決定的な伏線につなげるまでのさりげない書き方に感嘆しました。
そして、予知夢や、記憶についても非常に興味があります。私は、夢と現実が関連性を持った、予知夢もどきはみたことがありますが、完全な予知夢といえるほどのものは見たことがありません。同じ夢を何度も見るという体験は、生後十二ヶ月、ちょうど一歳の時に、飛行場に言ったときの思い出が、何度も何度も夢に出てくることがあり、なにか深い意味があったのかと今では思います。
また、不可解な体験をしたのですが、これはどういうことなのでしょうか……。それは、私がまだ五歳だったとき、私は、毎日朝の、8時25分に家をでて幼稚園に行くという日々でした。私は幼稚園が特別好きというわけではありませんでしたが、その日は無性に幼稚園に行きたくて、早く行きたくてうずうずして、そんな気持ちばかりが胸中を渦巻いていたのです。しかしまだ、7時40分。出発する時間まで、ずいぶん時間があります。私はあまりに退屈だったので、時の流れをなんとか早めることは出来ないかと考えていました。そして、「今から10秒数えたら、5分進んでいる。」と勝手に心に決めて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10と数えました。するとなんと、7時45分になっていたのです! 私は嬉しくなって、また10まで数えました。するとやっぱり、5分進んでいて、7時50分になっていました。私はそのとき普通の速さで10まで数えていたつもりなのです。意識して遅くしようとも思っていませんでしたし、ただ自然に数えていたのですが、なぜか5分進んでいて、それはそれは不思議でした。調子よく、7時55分まではあっというまに進みましたが、次に10秒数えたときには、1分も進まなかったのです。7時55分までは集中して数えたけれど、ここで集中力が切れてしまったのです。10秒数えているあいだは、恐ろしく集中しているような不思議な感覚でした。幻覚だったのかもしれませんが、もう十年以上の前のことで定かではありません。
そういう思い出を思い出しながら少しずつ読みすすめてきました。最後の十一人で石が持ち上がるという話は、そのまま合氣道のなかの統一道という部類の原理を示していることに驚きました! 統一道では、普段から石を持ち上げたときのような心を持って生活することで、気力充実した生活が出来るということを、さまざまは方法を以って証明していくことが原則となっております。
読書感想文を送らせていただこうと思っていたのですが、話がそれてしまって、ぜんぜん関係のない話ばかりになってしまってすみませんでした。本当に素晴らしい作品を堪能させていただき有難う御座いました。次回作も楽しみにしております。とりあえず、次は、『マンゴーの木』もしくは『インド大魔法団』を拝読させていただこうと思っております。有難う御座いました。



〔No.024〕 投稿日:2006年8月21日 投稿者:藤波亜由子様 (39歳、会社員、女性)

『夜明けの晩に』一気に拝読いたしました。こんなに勉強になる小説ははじめてです!! 神道の世界には私も以前から疑問を持っていて、目の前の霧が晴れたようでした。
少なくとも縄文までは強い上下関係で上から統一されるような社会ではなく、小さな集団で高い生産性はないけれども精神的に繋がりを持った自由で開かれた社会があったのではないかと思います。(かつてのアイヌや沖縄のイメージでしょうか)そこに渡来人が来て環境は激変する。。。7000年前には素晴しい文明を既に持っていた古代イスラムですから、この未開の地に流れてきたとしても不思議ではありませんよね〜。
学生の頃、日本語とポリネシア語で二つ重なることばに沢山の共通点があること、「因幡の白兎」がワニの背を渡って行く話しで(今はサメになってしまったのですよね?)当時もワニが日本にいるはずもなく、きっと暖かい国の方から人々がやってきたに違いないというお話を先生から伺って大変興味深く思ったことを思い出しました。
関東と関西のお雛様飾りの違いについて小笠原流では中尊・客位・主位のとらえ方の違いと教えています。お軸を拝見する時などこの順番で見ますよね。関東では3つなくても中尊を考えるので一番上位(雄雛)を左(中央)に次席の客位(右)に雌雛をおきます。関西でははじめから2つしかない場合中尊はなく、客位が上席と考えるため雄雛が右、雌雛が主位の左におかれるというわけです。中尊は南を向いてあり・客位は東・主位は西、太陽が昇る東(向かって右)が上座ということです。この辺りは真美さんの方がお詳しいですよね。
いずれにしても、こんなにドラマティックにこれだけの資料がぎゅっと詰まっていて宝箱のような本ですね!!! あの日真美さんとお会いしなければこの本とめぐり会う時期も遅くなっていたでしょうし、あるいはめぐり会えなかったか。。。お導きに感謝します!