2011年8月


1日●濡れない水の中で星を眺めて泳ぐ
前後関係がよくわからないのだが、私は自分の体重を感じない場所(すなわち引力を意識せずに済む場所)にいる。水中かも知れないが、そこは不思議な場所で、少しも体が濡れないのだ。そして、そこには星がたくさん浮かんで(或いは沈んで?)いる。私はその中を悠々と泳いでいる。静かだな、としみじみ思う。星がたいそう美しい。大昔もこんな光景を見たことがあるようだが、それは単に先祖の記憶かも知れないと思う。そのあと誰かに会ったかも知れないが、詳細は思い出せない。
【解説】
露天風呂に浸かってきたような、ちょっと得した気分になる夢だった。こういう夢なら毎晩でも見たいものだ。


2日●未来的な壁に長方形が4つ
目の前に壁があって、それが左右に長く続いている。未来的なイメージ。どうやらここは何かと何かをつなぐ廊下のような場所だ。右の方へ行くと、そこには宇宙船があるような気がする。そして左は、地球のどこかと繋がっているのかも知れない。それにしても面白いのは、目の前の壁に付いている4つの長方形だ。それらは横に細長い長方形で、4つが整然と真横に並んでいる。それらは窓のようにも、計器のようにも、ロボットの一部のようにも、哲学的なメッセージが書かれたボードのようにも見える。結局、それが何なのかわからないまま、夢は唐突に終わった。
【解説】 今夜の夢で見たものは、目の前にある動かぬ壁と、そこに付いた動かぬ4つの長方形だけ。まったく動きのない夢でありながら、妙に印象的な光景だった。SF的というか、宇宙的というか。私はあのあと、左右どちらへ歩いて行ったのだろう。どちらかと言ったら、夢の結末のほうを知りたいのだが。



3日●桃の花といえば女の子でしょ
何か視界一杯にピンク色が広がっている。いや、厳密に言うと「ピンク」より「桃色」に近いかも知れない。その、桃色の世界がうわーっと広がっている中で、私は突然(桃色といえば桃の花、桃の花といえば女の子でしょ)と思った。確かに、そのあたりには数人の女子高生がいたような気もするが、だからどうしたのかはサッパリわからない。
【解説】 文字どおりサッパリ意味のわからない夢。「桃色→桃の花→女の子」という連想も、あまりにも陳腐に過ぎる。それとも、そこには何か深い意味があるのだろうか(いや、そんなものはないと思う)。



4日●オーストラリアに永住する日本人父子
気がつくと、いかにもオーストラリアの農家らしき佇(たたず)まいの家の中にいた。のどかな雰囲気で庭を歩いているニワトリ。目の前に顔がそっくりの日本人父子がいた。息子のほうは知人のUさん。お父さんに会うのは初めてだが、Uさんの顔にシワを増やして白髪にしただけ、基本的には瓜二つの容貌である。Uさん父子はオーストラリアに永住しているらしい。ふたりとも、Uさんの母親のことをひどく懐かしんでいるようだ(亡くなったのか日本に残してきたのか、母親の姿はどこにも見えない)。私はこの家に泊めてもらい、父子の愚痴のような話を聞いてあげるハメに陥った。翌朝、この家に何か進展(良い意味での新しい出来事)があったと思うのだが、それが何だったかは思い出せない。櫓(やぐら)のような高い塔を見たような気もするが、それも定かではない。
【解説】 この夢を見て急に思い出したのだが、そう言えば8月4日はUさんの誕生日だ。おめでとうメールを出さなければ!



5日●足の裏をくすぐろうとする人
マッサージチェアにかかっていたら、誰かがいきなり私の足の裏をくすぐろうとした。私は「やめなさい」と言いながら結構本気でそれを阻止しようとしている。くすぐろうとした人が誰だったのかはわからない。
【解説】 うちには豪華なマッサージチェアがあって、寝る前は大体その機械にかかるのだが、今夜はうっかりしてチェアに横になったまま朝まで爆睡してしまった。その間に見たのがこの夢。



6日●或る男を前に、心のなかで「バーカ」と思う
大勢の人がいる場所。部屋、または道路だろうか。見覚えのある顔の男がやってきた。上の前歯の間が少し空いていて、そのために、この男のもともと間抜けな顔がますます間抜けに見える。私はこの男を軽蔑しているのだと思う。心のなかで(バーカ)と思いながら、私はまるでバイキンでも避けるようにその場を去った。
【解説】 目が醒めてから、さて、あれは何という名前の男だったろうかと一生懸命思い出そうとしたのだが思い出せない。昔、仕事上の付き合いがあった男だが、人間として大層汚なかったように記憶している。その相手を夢の中で「バーカ」と罵倒しているのだから、私はおそらくこの相手を許していないのだろう(と言っても、夢を見るまではこの男の存在自体忘れていたのだが)。



7日●若夫婦とまったりお茶を愉しむ
特別なお茶が入荷したようだ。それは「まったり」という言葉では言い尽くせないほど、まったり感のあるお茶で、ヒマラヤの奥地で穫れたようだ。私は娘夫妻とお茶をしようとしている。もうすぐシドニー行きの飛行機が出るので、あまりゆっくりしている暇はないのだが。ここは山奥の桃源郷で、見たことのない場所だ。窓の大きな山小屋は、どこかチロル風でもある。私たちは静かにお茶を愉しんでいる。
【解説】 音のない、一幅の絵を鑑賞するような夢だった。今夜の夢もそうだが、ときどき、写真に撮りたいと思うほど素敵な光景を夢のなかに見ることがある。夢に見た風景をそのまま画像として残せる科学技術を早く確立して欲しいものだ(おそらく反対者も多いだろうけどね(笑))。



8日●中学時代の女友達を助けてくれと頼まれる
喫茶店のような場所。コーヒーテーブルの上にグラスが乗っていて、グラスの中になぜか中学時代の女友達数人の姿が見える。当時から特に親しくはない、「知り合い」かそれ以下の付き合いしかなかった女性達である。タイプとしては、一見平凡で、実は裏で意地が悪いというタチの悪い人種だ。その彼女達に、今、何らかの危機が迫っているという。同級生だったT君(またはN君?)が身を乗り出して、「彼女達を救えるのは真美さんだけだから、なんとかしてあげて欲しい」と懇願している。私は(こりゃあ、そうとう高度な外交力を駆使しないと彼女達を助け出すことは難しいな)と思っている。
【解説】 何やら物騒な夢だった。この夢を見るまで忘れていたが、そういえば夢に登場した女性のうちの一人は、中学時代にクラスメート(女子)から預かった犬を勝手に売ってしまったそうだ。しかし表面は善人風だったので、すべからく男子の受けは良かった。あのとき、(男って見る目がないんだな)と思ったことを、この夢を見て30数年ぶりに思い出した(苦笑)。



9日●……
【解説】 今朝は誤って変な時刻に目覚まし時計を鳴らしてしまい、変な起き方をしたために、見たはずの夢を一瞬にして忘れてしまった。



10日●ステキな旅の途中
具体的なストーリーを思い出せないのだが、どうやら私は旅をしているようだ。ヨーロッパに似た、しかしヨーロッパよりも格段に素敵な場所。朝早い時間帯の清浄な空気。微笑みかけてくる人々。旅のあちこちに大きな窓が開いているような、明るいイメージ。私はわくわくしながら旅を続けている。
【解説】 今夜の夢にもちゃんとストーリーがあったような気がするのだが、なぜかぼんやりとしたイメージしか思い出せない。幸福な充足感と期待感が混じり合った素敵な夢だったのだが。



11日●インド人をカウラ事件の首謀者と間違われる
目の前にUさんの写真が見える。その写真をはさんで、私は誰かとミーティング中だ。相手がUさんのことを「カウラ事件を引き起こした、いわば首謀者ですよね」と言った。私は急いで「いえ、人違いです。Uさんはインド人ですから」と否定している。
【解説】 このあとの夢の展開をどうしても思い出せないのだが、ひょっとすると夢はここで終わったのかも知れない。Uさんは現在、とあることで仲間内で話題になっているインド人男性。カウラ事件とは全く関係ないことは言うまでもない。



12日●知人の留守中に勝手に御宅訪問
知らない人の家。家、と言うか、正しくはプチ豪華なマンションの10〜20階あたりのようだ。東京湾のどこかだと思うが詳細は不明。今は夕方で、私のすぐ目の前には見知らぬ女性が立っている。年齢は60代の後半のようだが、その割には若々しく、顔も意外に可愛い。「意外に」と思った理由は、私は25年以上前にもこの女性と道ですれ違ったことがあって、そのときの印象は「かなり太め」で「ひどいブス」だったのだ。しかし今、目の前に立っている女性は、小太りとは言えなかなか可愛いではないか。私は怪訝に思っている。室内には30歳前後の男性がふたり、ぼんやり立っている。彼女の息子達らしい。しまりのない体型に、愚鈍そうな瞳。お世辞にも魅力的ではない。というか、かなりヒドイ。私は丁寧な言葉づかいで、自分がここを訪れた理由を述べている(但しその内容は忘れた)。女性は私の説明を完全に信じたようで、「まあ、そうでしたか」と素直に頷いている。息子達は相変わらず愚鈍そうに黙したままだ。それにしてもこの部屋はホテルのようにピカピカに磨き上げられている。この女性は朝から晩まで一日中、床にへばりついて雑巾がけをしているのか。それとも業者に頼んで掃除をさせているのか。どちらにしても半端じゃない磨き方だ。私は急に、彼女ではなく彼女の旦那と友達なのだということを思い出した。しかし旦那さんは当分帰宅しないという。私は(それは好都合だ、別に会いたくもないし。帰って来るな!)と思う。ふと気がつくと、うちの娘が部屋の中にいた。どうやら私が連れて来たようなのだ。娘はとても社交的な態度で、ニコニコと自己紹介をしている。そのうち何かの拍子に、この家の息子達が以前シドニーに住んでいたことが判明した。それを聞いた娘が、自分はシドニー大学の出身であることを述べた。ところが驚いたことに、この家の息子達はシドニー大学を知らないという。(シドニーに住んでいてシドニー大学を知らないとは、東京に住んでいて東大を知らないようなものだな)と呆れたところで目が醒めた。
【解説】 今夜の夢は非常に鮮明で、ディテールまでしっかりと見える夢だった。したがって、夢に登場した女性やその息子達の顔を今もハッキリと想い出すことが出来る(但し現実世界では見たことのない顔だが)。久々に写実的な夢を見た感じ。



13日●火祭り
夜の闇の中で大きな炎が飛び散っている。その炎の中を、猿田彦が縦横に飛んでいる。今は火祭りの最中で、じっくり見物したいのだが私はこれから「ナマステ・インディア」に出演するために東京へ戻らなければならないのだ。せわしない気持ち。
【解説】 この夢を見て急に思い出した。そう言えば私が大好きな「大倉崎の火祭り」(信州の片田舎で行なわれる素朴な秋祭り)に長いこと行っていないな、と。そうだ 火祭り、行こう。



14日●お犬様のおな〜り〜
お城の中。今は亡き江戸城かも知れない。「お犬様のおな〜り〜」という女の声と共に襖がスーッと開き、輿(こし)に乗せられた小さなお姫様がしずしずと運び入れられて来た。お姫様は十二単を着て、日本髪のかつらを被っているが、よく見るとパンダではないか。(やっぱりおまえか!)と心のなかで思ったところで目が醒めてしまったようだ。
【解説】 今夜の夢を見ての一言感想。パンダに日本髪は似合わない(笑)。以上。



15日●Rさんと神宮で待ち合わせ
私は東京の青山あたりにいるらしい。現実とは全く異なる風景。○○神宮という、明治神宮ではないがとても由緒ある神社が目の前にある。鬱蒼と茂った鎮守の森。周囲にたくさんの人がいたような気もするが、顔は見えない。特に親しみも感じないので、知らない人達との団体旅行をしているのかも知れない。不意に私はRさんと会おうと思い立った。Rさんは仙台にお住まいだが、今日か明日にはこのへんに到着しているはずだ。私はRさんに電話をかけた(それも携帯ではなく公衆電話だったようだが、そのあたりの記憶は曖昧)。Rさんは弾んだ声で「わかりました、すぐ行きます!」と言ってくれた。Rさんが来るまでにはまだ時間がある。私はその間にいくつかの場所を訪ねた。そのなかには、いかにも“昭和の木造建築物”を思わせるどっしりした造りの珈琲ショップもあった。広い駅へも行った気がする。すべて見たことのない場所ばかりだ。そのあと、何かハプニング(家族との遭遇、あるいは駅で荷物を預けたまま返って来なくなる?)があって、私はRさんとの待ち合わせ場所に遅れてしまう。再び電話をかけて事情を告げたところ、Rさんは笑いながら「大丈夫です」と言ってくれた。私は急ぎ足で神宮に向かっている。少し暮れてきた美しい空の色。大きな大きな森。
【解説】 何やらゆったりとした夢だった。森の緑、神社、昭和っぽい珈琲ショップに公衆電話。Rさんも「お姫様」チックでのどかな人である。起床したときに楽しい気持ちが残っていた。



16日●細長い部屋の中で
私は細長い部屋の中にいる。列車の中、あるいはトンネルの中だろうか。明るいイメージだったから、おそらくトンネルということはなさそうだ。やはり、あれは列車だったのだろう。山盛りのピンク色の花。カントリーマアムを焼いているイメージの優しい小太りのおばさん(国籍不明)。温かい雰囲気。誰かと何か重要な会話を交わしたようだが、気のせいかも知れない。
【解説】 今夜の夢は大まかなイメージしか残っていない。何か重要なことを忘れているような気がしないでもないが、思い出せないということは、大して重要ではなかったのだろう。



17日●シケモク拾いの男と一緒に歩く
道を歩いている。隣には連れらしき人物が歩いている。「連れ」と言っても、実際には全く知らない人なのだが。男性だったという以外には印象がない。したがって大凡(おおよそ)の年齢も顔も少しも思い出せない。その人は猛烈にタバコが好きらしい。ニコチン中毒なのかも知れない。彼は手持ちのタバコを切らせており、しかもこのあたりには販売機がない。彼は最初のうち落ち着かない様子で左右をキョロキョロ見回していたが、やがてナント道に拾っていたタバコを拾い、そのまま吸い始めたではないか。(これが噂に聞くシケモク拾いか)と思い、私はただただ呆れている。そのうちに時間が来て、私は急いで「ナマステ・インディア」の会場へと移動を始めた。
【解説】 何のことやらサッパリわからない夢。シケモク拾いに関しては、カウラ事件を調べる過程で(つまり昔の兵隊さんのエピソードとして)よく聞く話なので、そのイメージが現われたのだろう。「ナマステ・インディア」は私が毎年関わっている日本最大のインド祭り(今年は9月24〜25日に代々木公園で開催)。隣にいた男性に関しては全く見覚えがない。



18日●百発百中の「預言の書」
何もかも百発百中で当たるという恐るべき「預言の書」が手に入った。その本は、不思議なことに書籍の形をしていない。キンドルのような電子ブックでもない。いかなる物体でもない、目に見えない本なのだ。その預言の書は、何かを告げるべき時がやって来ると、然るべき場所に文字が現われるのだという。どこに文字が現われるかは定かでない。“選ばれし者”の身辺にいきなり預言が現われるというのだ。そうこうしているうちに、私は自分の右足が眩しく光ったように感じた。見ると、足の裏に白っぽい銀色の文字が光りながら浮かび上がっているではないか。ああっと思った瞬間に目が醒めてしまった。
【解説】 一体、私の足裏に現れた文字は何と告げていたのだろう。読む前に目が醒めてしまったのが実に惜しい。神々しいような、恐ろしいような、あるいは何かを暗示するような夢だった。



19日●豪華大客船(もどき?)で旅に出る
最初に何か乗り物に乗ったようだ。それは特筆すべきところのない、普通の乗り物だったと思う。ところが中に入ってみると、一体どのような視覚の仕掛けになっているのか、なんとそこは豪華客船の内部だったではないか。窓越しに過ぎてゆくゴージャスな風景! アマゾンの大密林が現れたかと思えば、次の瞬間にはエジプトらしき古い都が現われる。私は目の前に現れては消える風景をそのまま文章にして、Facebookやmixiに書いている。それを読んだ人々は私が豪華客船の旅に出たものと信じて疑わず、「いいなあマミリンさん、羨ましい!」などと呟いている。場面が変わり、船室の中。狭い部屋に二段ベッドが並び、数人の人がいるようだ。娘と息子の姿が確認できたが、娘は高校生ぐらいの若さに逆戻りしている(※実際は25歳の人妻)。窓が半分ほど開いており、その外は断崖絶壁、下のほうは大海原である。高波を見ながら私が「落ちたら即死だよ」と言うと、娘が笑いながら「大丈夫、大丈夫」と答えた。私は黙って窓を閉めた。
【解説】 まるで大旅行をしてきたような素晴らしい夢だった。特に前半。船の揺れまでが実にリアルで、まるで本当の船旅を堪能してきたような錯覚さえ覚える。まさに「夢のような夢」であった。
【後日談】 夢から醒めてすぐ、「水難の相っぽい夢を見たから、暫く船には乗らないように」という内容のメールをシドニー在住の娘に送っておいた。するとすぐに返事が来て、そこには「昨夜は流れるプールに流され苦悩する夢を見た」と書かれていたではないか。やはり水難の相が出ているのかも。当分は、海も池も川もプールも禁止!



20日●車にこすられて壁のタイルが飛び散る
誰かが運転する大きな自動車(おそらくバス)で移動していると、くねくねしたトンネルのような場所に入った。壁一面にはマーブルチョコのように小さな丸タイルが無数に貼りつけてある。色は黄色。バスの運転が下手なので、車体が左側の壁をガリガリと音をたててこすり、タイルが次々に飛び散っている。飛び散るタイルは黄色かったと思う。
【解説】 ごく一瞬の夢。最近よく長距離バスで移動するから、そのイメージが夢に出たのだろう。黄色いタイルに思い当たる節はない。



21日●……
【解説】 今夜は夜中に移動したため、夢は見ていない。



22日●とびきり面白いことが起こる旅
私は旅をしている。とてつもなく面白い出来事がいくつもいくつも起こる。しかしそれが何だったかはどうしても思い出せない。
【解説】 今夜の夢は、何か無性に楽しく、ドキドキ感にあふれたものだったのだ。しかし目が醒めると同時に綺麗サッパリ忘れてしまった。こんな残念なことはない。



23日●「お母さん」は怪しいスパイ
前後関係はサッパリわからないのだが、急に「お母さんが怪しいなあ! お母さんが!」という声が聞こえた。「お母さん」というのは、インド人のKさんのことらしい。「中国かポーランドのスパイなんじゃないか?」とも、声の主は言った。私は世界地図を頭に思い描きながら、(そうか、中国とポーランドって並んでいたっけ)と思っている。その世界地図はバタークリームケーキ(のようなもの)で出来ていた。
【解説】 まったく意味のわからない夢。Kさんは私と同年輩のインド人女性。少しもスパイっぽいところのない普通の人だ。中国とポーランドが並んでいたのも不思議なら、地図がケーキで出来ていたことも不思議。それを不思議に思わない私はもっと不思議。



24日●さよなら、ブースケ
最初にいきなりブースケが家出をした。必死で探すが見つからない。刻々と時間が過ぎてゆく。心配でたまらない。かなりの時間が経った頃、ブースケが何事もなかったような顔で家に帰ってきた。ところがそれは犬のブースケではなく、なぜか1匹の黒猫なのである(※夢の中では、この黒猫がブースけだという設定になっているのだ)。ブースケは私の顔を見ても関心を示さず、プイッと顔を背けて家の中へ入って行った。まるで反抗期の少年だ。誰かが「ブースケには女が出来たようだ」と言った。私は(そうか、ブースケもそんな年頃なのか)と思う(※夢のなかのブースケ猫は3〜4歳の若者という設定らしい)。その後もブースケは家出と帰宅を繰り返し、私はそのたびにとてつもなく心配している。その繰り返しが何度かあった後、私はようやくブースケを諦める覚悟が出来た。(ブースケはもう子どもじゃないんだ。家を出ていく時期なんだ)と思い、この次にブースケが出て行く時は止めずに黙って見送ろうと思った。しかしそれはどうやら「死」を意味するらしいのだ。(それも運命の一部だから仕方ない)と自分に言い聞かせている私。やがて、ある朝、黒猫のブースケは淡々とした表情で家を出て行った。彼はおそらく死ぬことになるだろう。しかしそれは仕方のないことだ。私は悲しい気持ちを我慢してブースケを見送っている。
【解説】 「ブースケ」という名前の愛猫が家を出て行く。しかもそれは「死」を前提とした出奔であるらしい。……何のことやらわからない話ではあるが、私はこの夢に心をかきむしられたようで、夢を見るなり夜中にガバッと起床してしまった。それにしても、私は猫に興味がない。なのに今夜の夢では「ブースケ」という愛すべき名前がなぜか猫を意味していた。解せない。



25日●ケーキの売買に見る女から男への復讐
前後関係が全くわからないのだが、ホテルのロビーあるいはそれに類似した雰囲気の床が見える。大きなテーブルの上に誰かがショートケーキを並べている(私にはその人の全身ではなく腕と手だけが見えている)。ケーキが20〜30個ほど並んが頃、誰かが「これ(ケーキを焼かせるような行為)は男達が私ら女をバカにしている証拠よ」という意味のことを言った。すると別の誰かが「だから、高いお金を払ってケーキを買うことは(夫達の給料からそのお金を払うことになるので?)男達への復讐なんじゃないの」と答えた。私は(へえー、日本経済はそういうカラクリになっていたんだ?)と少なからず驚いている。
【解説】 昨夜はお茶大の大学院の友人4人で飲んだ。そのときに(日常生活を語る中で)軽くジェンダー関係の話が出た。その会話の内容は夢の内容とは全く別物だったが、とはいえ、夢にジェンダーっぽい会話が登場したのは間違いなく昨夜の飲み会影響であろう。4月にお茶大に入ってからジェンダーチックな夢をみるのは、今夜が初めてかも知れない。



26日●旅のお供に◯◯
「旅のお供に◯◯」の「◯◯」に入れるのに最もふさわしい言葉を答えるよう言われた。私は間髪を入れずに「イカ」と答えたあと、少し経ってから「イカまたはイカの加工食品」と言い直した。
【解説】 今夜の夢には、この先にもストーリーがあったように思うのだが、思い出せない。イカだけに遺憾なことである。



27日●かじか荘のキューブ型の部屋に泊まる
前後関係を思い出せないのだが、気がついたときには我々の宿泊先が決まっていた。ありがたいことに参加者全員が一人一部屋を確保できたようだ。私はホッと安堵している。私達が泊まることになった宿は、東日本の北のほう(おそらく宮城県あたり)にある「かじか荘」という鄙びた旅館だという。ところがそれは不思議な宿で、どの部屋もすべて完璧なキューブ形(立方体)なのである。私は(ともあれ、全員に部屋が確保できて良かった)とホッとしている。
【解説】 目下、9月21〜22日に宮城県内で開催予定のマジックショーの準備にてんてこ舞いをしている。その気持ちが今夜の夢にはあらわれているのだろう。もっとも、我々が宮城で泊まる宿は「かじか荘」という名前ではないが。



28日●水を飲みたがる少年
田舎の風景。たんぼの畦道(あぜみち)、または、それと似た雰囲気の道を歩いている。隣には中学生の少年。背は私と同じぐらいだろうか。昭和の日本に見られたような素朴であどけない顔立ち。私は750mlのペットボトルから水を飲んでいる。少年が「水をください」と言った。その顔色から推察して、さほど喉が乾いているようには見えなかったので、私は自分でもう一口飲んでから、残りを少年に渡した。このときボトルには4分の1ほど水が入っていたと思う。ボトルを渡された少年は、「ひどいですね、わざと水を減らしてから寄こすなんて。もっとたくさんくれればいいのに」と悲しそうに文句を言いながら、恐ろしい勢いでガブガブと水を飲み干した。私は唖然としながら(こんなに物凄い水の飲み方をする人は、ニューギニアのジャングルで食糧を絶たれて苦しんでいる旧日本軍の兵隊さんぐらいのものだ)と思う。少年がもっと水を欲しがるので、私は(この子にはちゃんとした師匠が必要だ)と思い、とある男性の所へ連れて行った。その男性は(私も初めて見る顔なのだが)眉が濃く、目はパッチリと大きく、年齢は50歳ぐらい。星一徹を少しソフトにしたような雰囲気だ。男性は、少年に対して人生に関するさまざまな教えを説き始めた。私は(よしよし、その調子)と思う。その後、少年はさらに大量の水を飲んだような気がする。最後に私が帰ろうとすると、少年は「僕も一緒について行っていいですか」と言った。それに対して私が何と答えたかは不明。
【解説】 何となく奇妙な夢だったが、特筆すべきは、少年の凄まじい水の飲み方。あれはまるでウワバミだった。それを見ながら旧日本軍の兵隊さんを思い出す私も私だが……。



29日●呼んでも帰って来ようとしないブースケ
少し淋しい雰囲気の漂う田舎の風景。高い山と、その裾野のほうにある人影まばらな村。ヒマラヤのように素朴な風景。掘っ立て小屋風の民家と、バナナの葉を葺いたような簡単な造りの茶店。どこにも人影はない。私は誰かと身内と一緒のようだ。息子だったかも知れないが、よくわからない。不意にブースケ(愛犬)がトコトコと駈け出してしまった。名前を呼んでも振り返ろうとはせず、どんどん遠くへ行ってしまう。ブースケの行く手には切り立った崖があり、さらに流れの速い川もあって、とても危険だ。ブースケを追いかけて必死で走っている私。しかし遂にその姿を見失ってしまった。落胆。大いなる喪失感。トボトボと元の場所へ戻ったところ、息子がいつもの落ち着いた口調で「あそこにブースケがいるよ」と茶店のほうを指さした。見ると、確かにそこにはブースケがいたではないか。私は急いでそちらの方へ駆けて行く。再び逃げようとするブースケ。このあと何か一騒動あったあとで、私はようやくブースケを奪還したような気がするのだが、そのあたりはよく覚えていない。
【解説】 時々、ブースケがいなくなってしまう夢をみる。そういう事態が現実に起こることを恐れている気持ちが夢に現われるのだろう。昔、可愛がっていた大型犬(C.W.ニコルさんから頂いたセッター犬)を盗まれたことがある。あの時の喪失感はひどかった。夢の中とは言え、そのような事態が起こるのは非常に疲れる。今月は24日もブースケ(という名の黒猫)と別れる夢をみた。正夢にならないことを祈る。



30日●……
【解説】 今夜は仕事で徹夜。夢は見ていない。



31日●「妖精さんに会ったでしょ」と聞かれる
最初に何か不思議な出会いのようなものがあって(ただしその詳細は思い出せない)、そのあと背の高いトウモロコシ畑を歩いて行くと知人に会った。「妖精さんに会ったでしょ」と言われて私は(どうして知っているんだろう?)と怪訝に思っている。
【解説】 つまり私は妖精さんに会ったのだろうか。そんな記憶は全くないのだが。





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