2011年12月


1日●68歳に見られたかと思いショックを受ける
写真家のMさんのお顔が見える。とても忙しそうに機材を準備していらっしゃるようなので、私は話しかけないことにした。これから私達は一緒にヒマラヤへ取材に行くのかも知れない。Mさんのアシスタントらしき人の声で、「最初68ぐらいだって言ってましたよ」と言われた。私は(え、そんな年齢に見られたの生まれて初めてなんですけど!?)と思いショックを受けている。
【解説】 最初、「68歳に見られるなんて、いくらなんでもひどい話だ」と思ったのだが、よくよく言葉を吟味してみると、誰も私の年齢だとは言っていないではないか。それどころか年齢の話であるかどうかも不確かだ。それじゃ一体何の話だったのかと言われたらわかりませんけど(笑)


2日●ステージ上で表彰される

私は私がステージ上で表彰される様子をステージの下から見ている。ステージ上の私は黒っぽい服装を着ており、大柄な男性(遠目なので顔はよく見えないが優しくふくよかな印象の人)から表彰状らしきものを受け取っていた。これは表彰式のリハーサルなのかも知れない。(衣装がちょっと地味だな。本番ではもうちょっと派手なものにしよう)と私は思っている。
【解説】 自分の表彰式を自分で客観的にプロデュースしている夢。今夜のような「何かをしている自分の姿をもうひとりの自分が冷静に見つめる夢」を私はかなり頻繁に見る。我ながら面白い傾向だと思う。ところでこれは何の表彰だったのだろう。



3日●屋台のラーメン

四谷アトレの2階のようなイメージの場所。白く清潔な感じのフロアに、なぜか場違いな感じでラーメンの屋台が置かれていた。私はそこで「おでんラーメン」のような物を食べたような気がする。
【解説】 非常に短い夢だった。なお現実の四谷アトレの2階に屋台のラーメン屋が存在しないことは言うまでもない。



4日●やんごとないお方と不思議なお食事

私は皇室のどなたかとご一緒にいる(どなたであったかは全く思い出せない)。やんごとない雰囲気。目の前に食事が出てきた。それが何ともいやはや不思議な食べ物で、一目見るなり(いくらなんでもこれは食べられないでしょう!)と私は思うのだが、お隣にいる皇室のお方は普通にしていらっしゃる。私の目はその不思議な食べ物に釘づけだ。ゼリーと蝋を足して2で割ったようなテカリ感。大きさはショートケーキぐらい。何かスイッチのようなボタンのような物が付いていたかも知れない。
【解説】 昨夜に引き続き今夜も食べ物の夢である。私はそれほど空腹なのだろうか(笑)。そんなことはないと思うのだが。それにしても夢に登場した「不思議な食べ物」とは何だったのか、目が醒めて見るとサッパリ思い出せないのが残念である。



5日●掃きだめに酒井和歌子

庶民的な街。細い道に沿って、八百屋、魚屋、乾物屋、豆腐屋といった個人商店が並んでいる。いかにも昭和30〜40年代風の素朴な風景だ。この中の一軒に、酒井和歌子さんの店があるという。あるいは酒井和歌子さんにそっくりな女性が働いているお店なのかも知れない。「掃きだめに鶴だねえ」と近所のおじさん、おばさんが噂し合っている。ふと見ると一軒の店からエプロン姿の酒井和歌子さんが出てきて、にこやかに掃き掃除を始めた。私は(なぜこんな美女がここに?)とは少しも思わず、代わりに(この人は純粋にここでの生活に幸せを感じているんだな)と思っている。
【解説】 最大の疑問は「なぜ酒井和歌子さんなのか」ということである。実はつい数日前にも山小屋の庭で洗濯物を干しながら唐突に、「そういえば酒井和歌子さんは最近どうしていらっしゃるのかな」と思ったばかりなのである。テレビを持っていない私がテレビを見るはずもなく、酒井さんのお姿を最近どこかで見た記憶はないのだが。謎である。


6日●珍しい瞳の色を褒められる

前後関係はわからないが、誰かが私の瞳を覗き込むようにして見つめながら、「キミの瞳は珍しいバーレーン・トーク色だね。こんな綺麗な瞳の色なのに……」と言い、最後の一言は喉の奥に飲み込むようにして言いよどんだ。私はその男が「……殺すのは惜しい」と言葉を続けたかったことを知っている。だが結局私は殺されずに済んだようだ。「バーレーン・トークってどんな色だろう。バーレーン人のおしゃべりのような色だろうか。それってどんな色?」などと考えているうちに目が醒めた。
【解説】 なんのことやら意味不明は夢だが、今月はバーレーンの建国記念日パーティーに招待されている。そのことに関係した夢なのだろうか。



7日●逃げ遅れて皆殺しに遭う

小高い山の上にある城の中。同じ部屋には殿様とその妻達がいる。数人いる妻たちの顔はよく見えない。私は妻のひとりだ。殿様の顔は昔NHKで放映していた人形劇『三国志』の登場人物のような、目鼻立ちが濃くて少し異国的な目鼻立ち。皮膚も妙につやつやして、質感がどことなくプラスティックのようだ。今は合戦のさなかなのかも知れない。殿様が「敵もここまでは来られない」という意味のことを言った。私は(本当にそうかな)と不安に思うが、口答えはできない立場らしい。不意に馬の蹄の音がした。案の定、敵が攻めこんで来たのだ。私達はあわてて部屋の隅の押し入れの中に逃げ込むが、私は逃げながらも(これはとても無理だ。観念しよう)と早くも諦めている。その瞬間に襖が荒々しく開き、敵の武人達が「ここにいたぞ!」と叫びながら部屋になだれ込んできた。まずは殿様が斬られ、次に女たちがバッサバッサと斬られた。既に押入れに入っていた私も斬られたようだが、夢のせいか少しも痛くはない。また、あたりには血も流れていない。私は(これで死ぬのかな)と冷静に思いながら、(それにしてもこの殿様はひとことで言うと「馬鹿」だったな)と心のなかで総括している。
【解説】 戦国時代の夢を、昔はよく見たものだ。最近はこの手の夢を見るのは珍しい。しかし昔見た夢のなかでは私は常に武者だった。今日は殿様の素直な妻のひとり。実につまらない役柄であった(苦笑)。どうせこの時代の夢を見るのなら、剣を取って思いっきり戦わせてくれ。



8日●とんでもなくおかしな組み合わせ

周囲の状況など細かなことは思い出せないのだが、目の前にいわゆる「有名人」と呼ばれる男性と、何か大きめの食べ物が見える。それはとんでもなくおかしな組み合わせで、私は「どうしてこんなことが?」と思いながら心底驚いている。
【解説】 残念ながら、何がどうおかしかったのか、具体的な内容を思い出せない夢。「有名人」という設定だった男性も現実世界では見覚えがないし、こうして日記にまとめてみると殊のほか地味な夢である。しかし、夢を見ている最中は本当に驚いていたのだ。一体何がそんなにおかしかったのだろう。



9日●……

【解説】 今夜は軽い喉風邪にやられたらしく、一晩中喉が痛く咳き込んでいた。そのためだろうか、夢をみた記憶がない。



10日●ソフトめ○

クイズ大会の会場のような場所。大きなボードに「ソフトめ○」と書かれている。○に入る文字を当てると何か景品がもらえるようだ。通りかかったカップルが「ソフト麺だから、答えは『ん』だよね。こんなの誰だってわかるじゃん」と言いながら応募用紙に「ん」と書いて応募している。ほかの人達も全員「ん」と書いて応募しているようだ。私も一瞬「ん」と書こうかなと思うのだが、すぐに(いや、待てよ。これは何かのひっかけ問題では?)と思い直し、紙に「神」と書いて応募しておいた。翌朝テレビ局から連絡があり、クイズ大会に優勝したから今から番組に出演してくれと言われた。電話を切ってから新聞を広げると、すべての新聞の一面に私の顔写真と「優勝は山田真美さん(お茶大院生)」という文字が踊っているではないか。しかも「優勝してどんなお気持ちですか」という記者からの質問に既に私が答えたらしく、インタビュー記事も載っている。私は(やっぱり正解はソフトめ神」で良かったんだ)と思い、嬉しい気持ちで新聞を読みながら紅茶と焼きたてのマフィンを楽しんでいる。
【解説】 なんというか、ツッコミどころ満載の夢であった(笑)。「め神」は「女神」の意味なのか。なぜソフトなのか。意味不明。



11日●滅びゆく地球を離脱する

最初に見えたのは灰色の道路。私は道の左端を競技用の自転車で全力疾走している。ほかに人影はない。超高速走行をするうち、ふわりと空に舞い上がった。どんどん地上の風景が小さくなってゆく。そのあと何か非常時の光景(大震災?)が見えたのだが、その部分は一瞬の出来事だったため詳細を思い出せない。その次に見えたのは地球のほぼ全景だった。大きな炎が地上のあちこちで燃え上がっているのが見える。燃え上がる原発。核爆発。そのほかにも数々の炎が見えたのだが、私は凄まじいスピードで大気圏を抜け出ようとしているので炎の影響は少しも受けていない。これが地球の見納めだと思う。「Mother Earth」としての地球の生命が尽きようとしているのだ。このあとは生命体の失せた空っぽな星としての地球が残るだけだ。私は完全に悟ったように冷静にその事態を受け止めている。私は別の惑星を目指し急いでいる。
【解説】 目が醒めてすぐに思い出したのはキューブリック監督の『博士の異常な愛情―または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』のラストシーンであった。2011年もそろそろ終わろうとしているが、福島原発の問題は終わらないどころか混迷を極めているようだし……こんな夢を見るのも当然と言えば当然か。



12日●博覧強記の関口宏さんから英語を教わる

見知らぬ大学の教室。雰囲気は早稲田に似ているが、どこか別の学校らしい。教室には私を含めて10人前後の生徒がいる。今は英語の授業中である。関口宏さんが椅子に座って足を組み、カジュアルな雰囲気で教鞭を取っている。彼が読み上げているのは非常に難解な英語である。聞いたこともない単語ばかりだ。(関口さんはタレントだとばかりと思っていたが、実はこんな博覧強記の人だったのか。しかも発音はネイティブ級。どこでこの教養を身につけたのだろう)と驚嘆している私。
【解説】 何度も言うように、私は全くテレビを見ない。それどころかテレビ自体を持ってすらいない。にもかかわらず、時々芸能人が藪から棒に夢に登場する。今月は既に酒井和歌子さんの夢も見た。何なんだろう?



13日●ビニール袋に入れ忘れた冷凍食品

どこかで大量の食料品を買った。そのお店は何かワクワクするような面白さに満ち溢れていたのだが、何がどう面白かったのかはなぜか少しも思い出せない。その店で買った品物のうち、ひとつは冷凍食品だ。その一品だけは個別にビニール袋に入れて管理するように言われた。私は「はい」と答えるのだが、すぐにそのことを忘れてしまう。すべての品物を1つの袋に入れて歩いていると、不意に例の冷凍食品を個別包装しなかったことに気づいた。(あ、しまった)とは思うものの、私はそれに関して特に対処しようとはしない。溶けたら何が起こるのだろう。少し不安で少し楽しみな不思議な気持ち。
【解説】 あの冷凍食品は一体何だったのだろう。手のひら大の、少し赤っぽい物体だったが、全体が完全に凍結して霜が降ったように表面が白く氷結していたので、正体がよく見えなかったのだ。あれが溶けるとどうなるのか、見てみたかった。



14日●電車の切符の正しい入れ方

見知らぬ鉄道の駅。私はいかにもマダムっぽい冬用コートを着て駅構内を歩いている。切符を機械に通して改札から外へ出たいのだが、通路がひどく曲がりくねっているため、直線で2〜3メートルしかない距離が徒歩で2〜3分かかるのである。ようやく機械の前にたどり着き切符を入れたところ、なぜか切符が戻ってきてしまい改札は開かなかった。どうやら私は切符の入れ方を間違えたらしいのだ。あとからやって来る人たちは、皆、いとも簡単に改札を通り抜けて行く。さて誰に聞いたら改札の出方がわかるのだろうかと、私は思案している。
【解説】 切符は持っているのに機械への入れ方がわからないために駅の外へ出られない、という、何とも意味深長な夢。これは現在の自分が抱えている課題――カウラ事件に関する大量の情報を持っているにもかかわらず学問の世界に特有の流儀がまだよく呑み込めていないために論文にまとめるに当たって難航している状況――をよく表しているように思う。この夢の最後に思ったように、ポイントは「誰に聞けば正しい通り方を教えてもらえるのか」という、正にその点だと思う。



15日●居心地の悪い海からの帰り道

1日に数本しか電車が運航していないローカル線。雰囲気は昭和40年代中頃といった感じだ。古くさい座席。ここは田口という名前の駅らしい。今は家族全員で海へ遊びに行った帰りなのだと思う。私は先刻から空腹を我慢している。目の前に座った弟は電車に酔ったらしく、半べそをかいている。「その魚のにおいが電車酔いの原因よ」と言いながら、母が私が持っていたバケツを指差した。バケツの中には生きた魚や貝、タコが入っているようだ。いつでも悪いのは私なのだろうと思う。電車が長野駅に到着すると、父が無言でバケツの中身を捨てに行った。私は何とも言えない居心地の悪さを覚えている。
【解説】 この夢を見るまですっかり忘れていたが、そういえば小学校低学年ぐらいの頃、今夜の夢で見たようなことが実際に起こった覚えがある。いや、「田口駅のあたりで空腹になる話」と「魚のにおいで弟が電車酔いする話」はそれぞれ別の出来事で、2つの現実が今夜は1つの夢に統合されていたのかも知れないが、とにかく、この夢の元ネタは現実の記憶の中にある。これは確かなことだ。そういえば、子どもの頃の私はしばしば「自分の居場所がどこにもない」と感じていた。「家族といっても全員がバラバラなんだな」というような半分諦めたような気持ちもあったかも知れない。その頃の自分を思い出して少し不憫に思うこともある。しかし今夜の夢を見ながら思ったことは、「もう、すべては過ぎたことだなあ」という、遠い風景を見るような気持ちだった。それにしても二夜連続で電車の夢とは。何か意味があるのだろうか。



16日●……

【解説】 昨夜は少し頭痛がして、夜中に何度か目が醒めてしまった。そのためか夢は覚えていない。



17日●かぎ針でセーターに穴を開けたくない

セーターに何かを縫い付けなくてはならないのだが、そのためには「かぎ針」を使うしか方法がないという。しかし、かぎ針の先端が太いのでセーターに穴が開いてしまう危険がある。私は「セーターに穴を開けたくない! ほかにもっと良い方法があるはず!」と抵抗している。
【解説】 先日、クリスマスの仮装パーティーでクリスマス・ツリーに仮装した。その際、緑色の服に大量のクリスマスデコレーションを糸と針で縫いつけたのだが、あとで取り外しやすいように簡単に塗っておいたところ、服を着る時点で既に10個ほどボロボロ取れてしまった。来年はもっと上手く作ろう……などと思っていた気持ちが今夜の夢になったのだろう。



18日●栗菓子とチョコレート

栗菓子とチョコレートが冷蔵庫に入っている。選べるのはひとつだけ。私は八方手を尽くして栗の産地を調べようとしている。
【解説】 福島原発の放射線漏れ事故以来、何を買うにしても、とにかく産地を調べなければ気が済まない。その気持ちが今夜の夢には反映しているのだろうか。



19日●ひろみ甲子

「ひろみ甲子(ひろみ・こうし)」という名前の何かがこれから現われるらしい。それはとても大切な何かだから、決して名前を忘れてはいけないという。私は近くを通りかかった誰かに声をかけ、その言葉を紙に書き取ってもらった。そこで目が醒めた。
【解説】 目が醒めてから知ったのだが、どうやら私は寝言で娘(目下シドニーから一時帰国中)を呼び止め、「ひろみ甲子」と書かせたようである。娘は「マムが寝ぼけながら言ったこと: ひろみ甲子(こうし)」と書いたメモをあとで渡してくれた。寝言で伝言するほど大事な名前とは……。「ひろみ甲子」って一体何だ?



20日●……

【解説】 昨夜、新しい枕を使い始めたところ、寝心地が微妙に違ったためか夢を見なかったような気がする。ちなみに今度の枕は母の手作り(当然、そば殻入り)。とても眠りやすく、気に入っている。



21日●Oさんの幽霊から「○○はいい所ですよ」と教わる

最初にアパートの2階で私は誰かと世間話をしていた。次の場面ではC社の取締役をしているOさんにばったり遭遇し、何か談笑したようだ。何を話したのかは思い出せないが、「○○は生活しやすい、いい所ですよ。年間を通じて気温が20度前後なのでブースケ君にとっても、もってこいだと思います」という言葉だけは覚えている。そのあと別の場所を一人で歩いていると目の前に素晴らしい風景が広がっていた。ここが○○らしい。地中海らしき海に囲まれた美しい小国のようだ。それを見た私は(Oさんが言った通り、ブースケのためにも○○へ引っ越そうかな)と思う。さらに場面が変わり、私は灰色のガードレールの下を黄色いアヒルのオモチャとブースケと一緒に歩いていた。最後に気が付くと再びアパートの2階に戻っていた。ドアのチャイムを押すが誰も出てこない。暫く待っていると中年の女性が階段を上ってきて 「ここで何をしていらっしゃるんですか」と怪訝そうに聞いてきた。この家のおばさんに用事があるのだと私が答えると、女性は「そうですか。私はこの家の妹です。私も姉に用事があって来ました」ということであった。ドアが開き、いかにも庶民的な感じの初老のおばさんが顔を出した。この人はどうやらOさんのお姉さんでもあるらしい。何気なく「Oさんは最近どうしていらっしゃいますか」と聞いたところ、「だから、さっきも言ったように、Oは去年亡くなったんですよ」という答えが返ってきた。私は内心かなり焦るのだが、平静を装って「ああ、そうでしたね」と応じた。それからどこかを歩きながら、(そうか、Oさんは死んでしまったのか。では、さっき会ったあの人は幽霊だったのだろうか)と思っている。
【解説】 Oさんは実在の人物。夢から醒めて、気になったのですぐに知人を通じてOさんの安否を調べたところ、とても元気にしていらっしゃるというのでホッとした。人が死ぬ夢はいい夢だというし、これは吉夢なのかも知れない。登場したアパートは子どものころに住んでいた場所。今は取り壊されて影も形も残っていない。



22日●恐竜たちに給餌する

原始時代とおぼしき時代。ゴーギャンが描いた楽園のような雰囲気。私は手に大皿を持っている。皿の上には美味しそうな果物が載っている。そこへありとあらゆる生き物がやって来て、皿の上の食べ物を食べ始めた。恐竜がたくさんいたような気がする。春のように穏やかな気候。心地の良い風。私はここが好きだと思う。
【解説】 とても気持ちの良い夢で、「もっと見ていたい」と思うほどだった。ところで私はこの夢の中でどのような立ち位置だったのだろう。人間だったとは思うのだが、同時に恐竜たちの母のような立場だったような気もする。



23日●端が破り取られた紙の山

最桜新町(※昔、祖父母が住んでいた町)の家。紙がたくさん積み重ねられて置いてある。下のほうには週刊誌も見える。おそらく資源ゴミとしてまとめてあるのだろう。よく見ると紙は白紙のままで、何も書かれていない。しかし不思議なことに、どの紙も端の部分が少しずつ破り取られているのだ。これは何かの暗号に違いないと思い、私はそれぞれの切り取られ方を注意深く眺めている。
【解説】 懐かしい祖父母の家が夢に登場し、夢中で家のなかを歩いていたような気もする。紙の端が破り取られている云々は、おそらく少し前に見たマジック(紙を破り、直後に再び元に戻す手品)の内容が夢に現われたものと思われる。



24日●……

【解説】 今夜はクリスマスパーティーで夜更かし。そのためか夢は見ていない。



25日●Winter Wonderland

ふわふわした白い綿菓子、あるいは飛行機雲のようなイメージ。外国の町。外国人の家族。私はゲストなのだろう。笑い。喜び。次の瞬間には私はもう別の場所にいて、そこでも何か楽しいことをしている。さらに別の場所をいくつかまわって、その間ずっと楽しいことが山ほど起こったのだが、気がつくと目が醒めていた。
【解説】 今夜の夢には、心がうきうきするような楽しい場所がたくさん現われたのだが、目が醒めてみると何一つ思い出せない。ただ「Winter Wonderland」というイメージだけが残っているのだった。ある意味、クリスマスらしい夢と言えば言えるのかも知れない。



26日●唾液をペロペロする変態男

ヒゲの濃い、目のぎょろりとした、小太りの中年男が現われて、私の顔に自分の顔をくっつけようと迫ってきた。あまりの気味悪さに顔をそむけると、その拍子に私の唾液が壁に飛んだ。すると男は舌をペロペロ動かしながら、唾液の付いた壁を舐めまわし、眉をしかめている私に向かって「これが私たちの宗教の流儀だ」という意味のことを彼の国の言葉で述べた。私は(キモ!)と思い、露骨に顔をそむけている。
【解説】 なんとも薄気味悪い夢だった。私の見る夢は大抵の場合、「楽しくて」「不思議な」内容である場合が多いのだが、今日は一体どうしたことか。



27日●綱渡りのようなモノレール・ライド

飛行機に乗ってどこか外国に到着したらしい。空港から街へ出るためにはモノレールに乗らなければならないのだが、その街には300階建てほどの超高層ビルが一直線に何百棟も建っていて、モノレールはそれらのビルのさらに上を通っているのだ。乗った瞬間、あまりの高さに目がくらみ、乗客全員から声にならないどよめきが起こった。もしも突風が吹いたら、モノレールは一瞬にして脱線・落下してしまうかも知れない。恐怖に足がすくみ、掌に汗がにじむ。しかしそれと同時に、この光景はこの世のものとも思われないほど美しい。天空を走るモノレールに乗れたのだから、万が一脱線して死んでも本望かも知れないとも思う。私は綱渡りのようなモノレール・ライドに運命を任せている。
【解説】 究極の恐怖と究極の美しさを秤にかけているような、いや、むしろ究極の恐怖と究極の美しさがイコールでつながったような、何か破滅的で耽美的な香りのする夢だった。願わくば、この手の「夢のような夢」をもっと頻繁に見たいものだ。



28日●英国王をカボチャの馬車にお乗せする

英国の国王陛下がお忍びで遊びにいらっしゃることになった。ただしその人はエリザベス女王ではなく、見たことのない男性だ。私は(見たことのないお顔だな)とは思うが、それ以上の疑問を抱くことはない。私の仕事は、国王陛下がお泊まりになるホテルを予約し、ホテルまでの足を確保することらしい。インターネットで調べたなかで一番良さげなホテルを予約し、そこまでの交通機関としてカボチャの馬車を手配した。いよいよ国王陛下が到着されたようだ(ただしそのお姿は空気のように透明で、目には見えないのだが)。同行者として、うちの息子(4〜5歳の幼い姿になっている)と、シンデレラのように仰々しいドレスを身にまとった若い白人女性(王族ではなく一般市民)が馬車に乗り込むことになった。ふたりは嬉々としている。ところがいざ馬車に乗り込むと、途端にふたりは幻滅したようだ。馬車はひどく狭く、優雅なムードは少しもなく、いかにも庶民の遊園地に置いてありそうな安物だったからである。あからさまにガッカリした顔つきで肩を落としたふたりを乗せ、馬車は走り去って行った(国王陛下も乗っていらっしゃったはずだが、相変わらずそのお姿は見えない)。私は心の中で(この分だとホテルもひどいところなのではないか)と思い、先回りをしてホテルの下見をすることにした。と思った瞬間、私は早くもホテルに到着していた。高原のペンションのような安普請の建物。誰もいない建物のなかを検分しているあいだに目が醒めた。
【解説】 例によってわけのわからない夢。英国王は空気のように不可視だし、息子は幼い姿に戻っているし(現実には20歳の大学生)。そういえば息子は少し前まで英国のインペリアルカレッジ・ロンドン(理学部化学科)に留学していた。つまり今夜の夢のテーマは「ロンドン」だったのか?



29日●……

【解説】 実は、昨日スキーをして急坂のアイスバーンで尻餅をつき、尾てい骨を強打した。今夜はその打撲傷が痛み、寝返りを打つたびに痛さで飛び起きてしまった。そのためか夢を見たような記憶は一切ない。



30日●……

【解説】 昨日に同じ。



31日●幸せなもふもふ

何やらとても幸せな感じのする「もふもふ」感が私を取り巻いている。ブースケのような感じもするし、幼い頃の娘と息子のような気もする。あるいはその両方を足して、さらに綿菓子やウール100%の毛糸やタンポポの綿毛を混ぜたような、とても柔らかで暖かな印象。私は明るくて安全な穴倉のような場所にいて、そのもふもふ感を楽しんでいる。

【解説】 昨日から実家に遊びに来ている。部屋数の関係で、同じ部屋にたくさん布団を敷いて眠ったため、隣の布団では息子が寝ていた。それで彼が幼かった頃をふと思い出し、このような夢を見たのかも知れない。もふもふ。





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