2011年6月


1日●香辛料(シーズニング)が放射線を予防する
目の前のテーブルにポテトチップスの袋が置いてあり、それを取り囲むようにして私を含む3〜4人の人間が立っている(ただし彼らの顔は見えない)。袋は口が開いていて、黄色っぽい中身が見えている。ずいぶん粉っぽいチップスだなと思うのだが、その粉(香辛料=シーズニング)には秘密があるらしい。ひとりが淡々とした口調で「この粉を体にまぶしてから現地に行くと、放射線を被爆せずに済むのです。足に粉をまぶすと特に高い効果があります」と言った。私はうなずきながら友人のX氏の顔を思い出し、(頻繁に危険地帯を訪れているX氏が被爆しないのは香辛料のせいだったんだ!)と納得している。
【解説】 またしても原発事故がらみの夢である。X氏はアート関係の友人の誰か(映画業界のN氏あたり?)だったと思うのだが、夢から醒めた途端に誰だったか忘れてしまった。



2日●男達のドジを片付ける
書類の山。必死の形相で仕事をしている白いワイシャツ姿の男達。私は彼らが“やらかした”ドジを片付けているか、または懇願されてボランティアで歴史の処理に当たっているようだ(具体的な仕事の内容は不明)。
【解説】 今夜の夢にはかなり長いストーリーがあったように思うのだが、おかしな時間に目覚まし時計に叩き起されたせいか、夢の詳細を思い出せない。



3日●「245」って何だったの?
重厚な会議室。コの字型に並べられた机。私のほかは皆、いかにも官僚的な男達だ。前のほうから手渡しで資料が回ってきた。私のところには「245」(だったと思うが別の数だったかも知れない)と書かれたカードのようなものが来た。えっと思った瞬間、カードはごく普通の紙の資料に変わっていた。今の「245」は何だったのか。私は気になって仕方がない。
【解説】 さて、今夜の夢に現われた数は本当に「245」だったのだろうか。3桁の数だったことは間違いないのだが、「3」か「6」が入っていたような気もする。いずれにしても思い当たる節のない数だったが……。



4日●消防隊のホースを手に取る
目の前の床の上に、消防隊が放水に使うような長いホースが置いてある。私は今まさにホースを手に取ったところだ。火事の気配は感じられないが、周囲には(姿は見えないものの)数人の消防隊員がいるらしい。私は(俺に任せろ)と思っている。
【解説】 なんとも男らしい印象の夢だった(あっ、この表現はジェンダー的には問題かも(笑))。一昨年は「長野市一日消防長」というものを体験したが、あのときは実際に濡れたホースを持った覚えはない。今夜の夢は、むしろ「原発事故と大震災を早く何とかしなければ」という気持ちの現われだったかも知れない。



5日●……
【解説】 今夜は目が覚める瞬間に携帯にメールを受信し、それを読んでいるあいだに夢の内容を忘れてしまった。トホホ。



6日●目覚まし時計を探して
どこかで目覚まし時計が鳴っている。それが実に不愉快な音で、携帯に送られてくる緊急地震速報そっくりの音なのである。私はその音を止めようとして、あちこち歩き回って目覚まし時計を探すのだが、布団の下にも物陰にもどこにもない。そのうちに音は止んだようだが、そのあと夢がどうなったのかはどうしても思い出せない。白くて長い何か(蛇?)を見たような気がするのだが。
【解説】 目が醒めてみると部屋の中は静かだった。昨夜は目覚まし時計をかけずに就寝したのだし、そもそも私が使っている目覚ましメロディーは緊急地震速報とは似ても似つかぬ"Can't Give You Anything (But My Love)"である。むしろ夢の最後に現われた白い蛇(らしき物)が気になる。何か、とても良い前兆のような気がするのだが。



7日●オーストラリアの田舎にて
オーストラリアの田舎らしき風景。見知らぬ家、見知らぬ庭、数人の見知らぬ人々。みんな70歳を過ぎている感じだが、すこぶるハッピーそうだ。どうやら私は縁あってここに滞在しているらしい。農園の土の上を歩きながら、そばを歩くおじいさん、おばあさん達と色々な話をしている。鶏も一緒に歩いている。のどかな雰囲気。部屋に入って紅茶を飲みながら、私達は更にお喋りを続けた。何の話だったか思い出せないのだが、とても勉強になって、しかも懐かしい話だったように記憶している。
【解説】 博士論文でカウラ事件を書いているせいか、最近自分の中でオーストラリアが再びブームになりつつある。細かく分ければこれが5度目のマイ・オーストラリア・ブームだろうか(最初は海洋学の勉強のためにシドニーへ留学した1983年、2度目はオーストラリア建国200年記念行事に出席のためシドニーとブリスベンに長期滞在した1988年、3度目は『生きて虜囚の辱めを受けず』を翻訳していた1995年頃、4度目はカウラ事件60周年を記念してNHKドキュメンタリー番組を製作し『ロスト・オフィサー』を書いた2004年頃)。これまでの私の人生で最も影響力を持つ外国はインドとオーストラリアである。今夜の夢には、私の中で長い時間をかけて熟成されたオーストラリアの“良い部分”だけが現われたようだ。もっと見続けていたい幸せな夢だった。



8日●羊よ安らかに眠れ(R.I.P.)
誰かから手の上に乗るほど小さなオブジェを渡された。どんな形、どんな材質といったことは全く覚えていないが、それはポータブルなお墓か祭壇、あるいは位牌のような物で、小さな文字で英語の文章が刻まれている。羊が何匹どこにいて、その羊が草を食べたとか昼寝をしたとか、どうでもいいような文章なのだが、実はその言語の裏には“R.I.P.”すなわち“rest in peace(安らかに眠れ)”という言葉が隠されているのだという。私は驚いて、「えっ。それじゃあ羊は死んだのですか?」と(英語で)尋ねながら顔を挙げた。すると目の前には昨日の夢に登場した同じ風景が広がっており、昨日も夢で逢ったおじいさん、おばあさんが一斉に私の方を見つめながら微笑んでいたではないか。あっと思ったところで目が醒めた。
【解説】 なんとも意味不明な夢だった。羊が死んだからには悲しい夢かと思いきや、どうやらそうではなく、全体としては昨日の夢と共通するのどかな雰囲気であった。しかし、なぜ羊なのだろうか。夢のなかで「羊」と聞いた瞬間、何か象徴的なイメージ(例えば自己犠牲とか、迷える仔羊とか)が脳裏に浮かんだのだが。それにしても二晩続けて同じおじいさん、おばあさん(しかも現実世界では知らない人達)に逢ったのは不可思議なことである。



9日●「Xさんはお元気ですか?」
気がつくと道を歩いていた。雨が降っている。傘を低めに持っているので、私の視界に映るのは道路のアスファルトや道行く人の靴など、世の中の“下のほう”だけだ。不意に男性に声をかけられた。傘をあげると、目の前に知り合いの男性が立っていた。以前、仕事で何度もお目にかかったことのある人だが名前を思い出せない。「真美さん、お久しぶりです。お元気ですか」と問われて私は「ええ、お蔭さまで」と答えた。そのあと「Xさんはお元気ですか?」と聞かれたので、私は特に深く考えず「ええ、お元気のようですよ」と答えた。そのまま「それじゃ、また」という感じで私達は別れたのだが、暫く歩いたところで(そういえば、今の人はXさん本人じゃなかったっけ。Xさんはなぜ自分のことを『お元気ですか』などと聞いたのだろう)と不審に思う。立ち止まって急いで振り向いてみたが、Xさんの姿はもうどこにも見えなかった。
【解説】 なんとも不思議な夢だった。Xさんは以前、仕事で何度かお会いしたことのある人。退職して何年か経つと思うが、お元気にしているだろうか。
【後日談】 この夢を見た直後、やはりXさんを知っているAさんに逢った。するとAさんは「あれ? 僕もさっきXさんのこと考えていたところ。ここだけの話、Xさんは体調が思わしくないらしいよ」と答えた。さらにその直後、Xさんの会社の後任者Bさんに仕事で逢った。「今朝、Xさんの夢を見ましたよ」と告げると、Bさんは驚いたような顔で「実は僕もさっき1年ぶりにXに電話をしたところです」と答えたではないか。私は「へえ、それは不思議な偶然ですね」と返したのだが……。今日はみんながXさんのことを思い出している。一体どうしたというのだろう。どうにも気になる夢だ。



10日●きちんと並んだ机
理科の実験室のような部屋。無人。静寂。薄暗がり。きちんと並んだ机がいくつもいくつも、ベルトコンベア上を流れるように動いて来る。あるいは真実はその逆で、机はその場に固定されており、私が歩いているのかも知れないが。最後にジュラルミンケースが見えたような気もするが、あるいは気のせいかも知れない。
【解説】 特にストーリーのない夢だったが、整然と並んだ机が妙に印象に残った。目が醒めてから思ったのだが、机と思ったものは、実はすべてジュラルミンケースだったのかも知れない。



11日●マックウェイリ
「マックウェイリ」という名前の飲み物を注文したのだが、出て来たのはなぜか空のグラスだった。料金の500円を(500円玉で)支払ったと思ったのは、どうやら夢だったらしい。しかもグラスは厚すぎて、仮に飲み物が入っていたとしても飲みにくそうだ。マックウェイリがソフトドリンクなのかアルコールなのかは不明。
【解説】 まったく脈絡(ストーリー性)がなくトンチンカンであるという意味で、いかにも夢らしい夢だった。「マックウェイリ」なんて飲み物はもちろん聞いたこともない。



12日●……
【解説】 今夜は少し喉の調子が悪く、眠りが浅かったようだ。そのためか夢をみた記憶がない。



13日●ドラマの終焉を告げる音楽
前半、何か人間の生き死にと関係したドラマがあったのだが、内容を思い出せない。不意に音楽が聴こえてきた。よく知っている曲だがタイトルがわからない。その曲を聴いたとたん、私はドラマの終焉(あるいは人生の終焉)を感じ、言葉には表わせないほど淋しく孤独な気持ちになった。結局、人の気持ちは本人にしかわかり得ないのだという当然のことを改めて思う。今までのことが走馬灯のように脳裏に浮かんだ。たくさんの笑顔。暮らした場所。不思議なことに、いちばん長い時間を過ごした日本やインドの風景はひとつも現われず、オーストラリアの田舎らしき景色が幻影のように浮かんでは消えていった。
【解説】 目が醒めてからも、この曲が頭の中で延々回り続けている。たまに聴く曲なのだがタイトルがわからない。さほどメジャーな曲ではないのだろう、家族に聞いても皆「聞いたことがない」と言う。歌詞のない曲だゆえ、歌詞検索にかけることも不可能。さて、こういうときは一体どうしたらタイトルを知ることが出来るのか。そういう検索サービスが「出来た」とか「出来る」という噂を聞いたような気もするのだが……。とりあえず曲想はジャズのようだ。今、ピアノで音を拾ってみたら1曲丸々再現することができたので、五線譜に書き起こして音楽家の友人に送ってみるとするか。

【解説の続き】 その後、ピアノで弾いて録音した音をmixiとFacebookにアップし、「タイトルを教えて」と教えを乞うたところ、すぐに答えが寄せられた。タイトルは『オルフェのサンバ』であった。大昔の映画『黒いオルフェ』の最後あたりで流れた曲である。とりあえず、わからなかったことがわかってスッキリ!


14日●オルフェのサンバ...again
昨日の夢に現われた『オルフェのサンバ』が今夜の夢にも現われて、最初から最後まで延々と流れていたので頭の中がこの曲でいっぱいで肝心のストーリーは思い出せない。
【解説】 昨日の夢の中で流れて以来、昨日は起きている間も朝から晩までずっと同じ『オルフェのサンバ』が頭の中で繰り返し流れていたのだ。なんだか取り憑かれたような感じ。サンバとは言うものの、このメロディーはどこか物悲しい。映画のストーリーもハッピーではなかったように記憶している。気が滅入るので早くこの曲が頭から去ることを祈る(苦笑)。



15日●スーパーの出口を塞ぐヤクザと黒い物の山
スーパーマーケットの出口。大きな身体の男(ヒスパニック系?)が腕組みをし、怖い顔で立ち塞がっている。いかにもヤクザっぽい男だ。男の前には何か黒っぽい物が2〜3メートルの高さに山積みになっている。私が出口から外へ出ようとすると、男は怒ったように私の肩を押し戻して阻止し、黒い山をぞんざいに指さした。私は改めて山のほうを見た。そこには直径10センチほどの黒い機械部品のような物が何百個も山積みになっていた。しかしそれと私と何の関係があるのか、意味がわからない。もう一度外へ出ようとすると、男は先程よりもさらに強い力で乱暴に私の肩を押した。私はこれにブチギレて、男の肩を猛烈な勢いで押し戻しながら無理矢理外へ出てしまった。その後、男がどうなったかはわからない。あとで「スーパーから外へ出るときは山の中から黒い物を1個取って出る」という決まりがあることがわかるのだが、(それならそれで言葉で言えよ)と思い、私は少しも反省しない。
【解説】 乱暴者のヤクザに対して私がキレるという設定の意味も、山積みになっていた黒い物が何だったのかもサッパリわからない。しかし夢の中でちゃんと怒ったせいか、今朝はかなりスッキリ目覚めることができた(苦笑)。



16日●おかっぱ頭の女の子
おかっぱ頭(ボブと呼べるようなオシャレなスタイルではない)の、小学3〜4年生の女の子。三白眼なのか、目付きが悪い。それでも不思議に憎めない。(この子、どこかで見たことがある。どこで見たんだろう)と首をひねるが、思い出せない。
【解説】 今夜の夢に上記の女の子が登場したことは確かだが、それ以上のことは思い出せない。



17日●KGBが狙う宇宙石
手の平に乗るほど小さな石が見える。不思議な銀色。不思議な尖り方。どうやらそれは誰かが極秘裏に宇宙から持ち帰った石で、その石をKGBが狙っているらしい。しかしKGB以外は誰もがその石を持つことをいやがり、ババ抜きのように回り回ってどうやら今は私の手元にあるようだ。私は(面倒なことになったな。でも、まあ大したことはないだろう)と思いながら街路を歩いている。ふと気がつくとすぐ横に沢田まことちゃん(楳図かずお氏の漫画『まことちゃん』の主人公)が立っていて、いきなり「KGBはカチ◯ソビチビチの略なのら〜」と言い放った。
【解説】 あまりにも汚いエンディングなので一部伏せ字にさせていただきました(苦笑)。そういえば『まことちゃん』の中に、そんな台詞があったような気がしないでもない。それにしても、そんなに石を持つのがイヤならKGBにくれてやればいいのに……と思うのだが。意味のわからない夢だ。

【後日談】 この夢を見た直後に息子の「つぶやき」を見に行ったところ、なんと彼も昨夜はKGBの夢を見たそうではないか! いわく、「チェチェンの独立派として何らかの見取り図を隠し持ってKGBの監査をやり過ごす夢を見た。疲れた。何故かソルジェニーツィンの著書を持ち歩いていた」とのこと。さすがは親子、カオスな夢までよく似ている(但し知的ムードにおいては完全に私の負けじゃ)。


18日●……
【解説】 今夜は喉の調子が思わしくなく、夜中に何度も激しく咳き込んでは苦しさのあまり目覚めてしまった。その繰り返しで、なんだか眠った気がしない。昼間よりも夜間(ベッドに身体を横たえている時間)のほうが息苦しい。これは体が温まるせいかも知れない。というわけで昨夜は残念ながら、記憶している限り夢は見ていない。



19日●……
【解説】 上に同じ。



20日●……
【解説】 上に同じ。



21日●自動車の反対車線を走る車
気がつくと車に乗っていて、しかも道路の左ではなく右側を走っていた。運転しているのは自分かも知れないし、第三者かも知れない。一瞬、(ここはアメリカかヨーロッパなのかな)と思うのだが、どうやらそうではないらしい。(ここは左側通行の国だ。車を停めなきゃ)と思っても車は停まらない。ということは、誰か第三者が運転しているのだろう。そのあと道が大きく右側にカーブしはじめた。カーブを切った後、対向車が現われたような気もするのだが、そのあとどうなったのかは思い出せない。
【解説】 少し前に他人の運転する車に乗せてもらったとき、(この人の運転はちょっと危ないな)と思ったことがあった。私の周囲は総じて運転の上手な人が多く、乗せてもらっても大抵「安心」なのだが、そのときは珍しく「この人の運転する車にはもう乗りたくない」と思ったものだ。おそらくその気持ちが今夜の夢に投影されたのではないかと思う。



22日●「帽子を取っちゃダメなんだよ(笑)
黄色い三角形の帽子をかぶったウサギが(漫画風に)歩いてやって来た。ウサギは両手で頭の上を押さえており、「この帽子を取っちゃダメなんだよ。クスクス」と笑った(※「クスっと笑った」のではなく、カタカナを読むように「クスクス」と笑ったのだ)。私は「その帽子の中身を見たいなあ」と言いながら、(そういえば前にも似たような夢をみたことがあるぞ)と思っている。
【解説】 そういえば確かに以前も、夢に現われた誰かが「帽子は取れないよ。帽子の中身は秘密なんだ」などと言っていた覚えがある。あのとき現われたのはウサギではなく、確か七福神のような神さまで、場所は橋の上だったと思う。「帽子の中に秘密がある」とは、一体どういうことだろう。何か意味深な感じがするのだが。



23日●赤い空に黒い鳥
アラブの砂漠。私は砂の上に転がって空を見ている。背中が温かい。空は驚くほど赤く燃えている。もっとも実際に空が燃えているわけではなく、灼熱の大地が空に映って赤く見せているのかも知れないが。そこへ黒い影のように突然あらわれたのは、飛ぶ鳥だ。コンドルか、鷲か鷹、あるいはハヤブサだろうか。「肉食獣の孤独」という言葉が不意に脳裏に浮かんだ。私はチャドルを着忘れたことを思い出して一瞬だけ後悔するのだが、すぐに「まあ、今さら仕方ないさ」と思い直している。
【解説】 全体に一編の詩のような夢だった。色は赤と黒。スタンダールの世界だ。静かで激しく、しかも意味のわからない夢であった。



24日●バブル前の昭和へ
気がつくと私はガラガラと音をたてて引き戸を開け、新しく出来たレストランに入っていた。とても昭和っぽい店構え。全体の印象から、今は昭和50年代のはじめで、私は高校生と思われる。新しくオープンしたレストランには「納豆スパゲティ」という前代未聞のメニューがあった。懐かしい日本。いかにもバブル前らしく、健康で景気の良さそうな街並み。道行く人もみんな楽しそうに笑っている。母から学校の成績のことで怒られたような気がするが、私は全く気にしていない。
【解説】 元気な印象の夢だった。そういえば「納豆スパゲティ」なる新メニューが初めて(?)レストランに登場したのは私が高校生の時だったと思う。実は、そのメニューは自分自身でとうの昔に開発して家では食べていたから、私にとっては「新」でも何でもなかったのだが(笑)。ガラガラと音を立てる引き戸も、最近は見かけなくなった。あの頃の「元気いっぱいの日本」は、まだまだ「素朴な日本」でもあったのだ。これからの日本を再興してゆく上で、あの時代にはヒントがいっぱい詰まっている。



25日●動物園と机の引き出し
動物園。机の引き出し。格子柄。ブースケも登場したかも知れないが、全体がどんなストーリーだったかは思い出せない。
【解説】 ジグゾーパズルのかけらが散らばっているような、個々のイメージは思い出せてもそれらが集まって全体としてどんなストーリーであったかは思い出せないような、曖昧模糊とした夢だった。思い出せる個々のモティーフの中では「引き出し」が重要な意味を持っていた気がするのだが……。



26日●カラフルな髪の妖精のような女の子
綿菓子のようにフワフワとしたカラフルな物が目の前をふさいでいる。何事かと思ってよく見たら、女の子の髪だった。女の子は白人で、年齢は10〜12歳ぐらい。全体に妖精のような雰囲気を醸している。お菓子の「ボンボン」ともイメージが似ているようだ。私はこの女の子を知らないはずだが、昔どこかで逢ったことがあるような気もしている。
【解説】 今夜の夢には何か長い物語があったような気がするのだが、残念ながらこの場面しか思い出せない。



27日●巨大ビルが潰れる
巨大なビルの1階部分が駐車場のようなスペースになっている。気がつくと私はそこを歩いていた。買い物をした帰りなのかも知れない。急ぎ足で歩きながら、そのフロアの柱の数が異様に少ないことに気づいた。1台でも多くの自動車を停めるために柱を間引いたらしいのだ。これっぽっちの柱でこんな巨大なビルを支えきれるのかと不安に思う。不意に地震が襲い、次いで、ビル全体がものすごい勢いで崩れたようだ。駐車場はあっという間にペチャンコになってゆく。私は光の見えるほうへ、外部へ抜け出せそうなほうへと走った。しかしどんどん天井が落ちて動けるスペースが無くなってゆく。最後に残ったわずかな隙間を走り抜けて外へ出ようと試みたものの、ついに完全に天井が落ちきって退路は全て立たれてしまった。私は心のなかで(すべては終わった)と思い、(もう二度とこの手の建物には近づくまい)と思っている。
【解説】 ビルがすべて崩れ落ちて駐車場スペースは完全に潰れた、ということは私もペチャンコになっているはずなのだが、なぜか意識だけは残っているという恐ろしい夢だった。ときどき通る道沿いに、恐ろしく柱の細い建物がある。駐車場を広く取るために柱を犠牲にしたのだろう。私ならあの家には恐ろしくてとても住めないが、あの家の人達は平気なのだろうか。



28日●……
【解説】 今夜は仕事が忙しく、ほとんど眠る時間がなかった。ゆえに夢を見た記憶もなし。



29日●美しすぎる線香花火はE=mc2
真っ黒な闇。宇宙空間のようにも見えるが、おそらく地上のどこかなのだろう。その闇の真中で、巨大な線香花火が火を散らしている。それが何しろ巨大な花火で、炎の直径は何十キロにも及ぶのではないか。しかも炎の色がすごい。さまざまな色彩、見たことのない、したがって言葉で表現することのできない不思議な色。それが「E=mc2」のような感じで闇のなかで飛び散っているのである(※不意に頭の中に「E=mc2」という言葉が浮かんだのだ。それ以外の表現方法がない)。これだけ美しい光景を見ることができたのだ、このまま宇宙が爆発しても悔いはないと思う。
【解説】 まさに言葉では言い表わせない、美しすぎる夢だった。おそらく「E=mc2」がすべてを言い表わしているのかも。



30日●参謀としての提言
教室のような場所。10人ほどが椅子に腰かけている。そのなかにM子さん(小学校から高校までを通じての先輩)の姿も見える。私は立ち上がり、演説をぶっている。「どうせなら大勢のほうがいいに決まっています!」と私は言った。「例えば陳情書を持って行くような場合を考えてください。2〜3人の署名を集めて持って行くよりも、100人の署名のほうが効果的でしょう?」と力説する私。皆は静かにしているが、どうやら同意しているようだ。賛成なら賛成と言ってくれればいいのに。日本人は意見をいわないから本当に困る。私は副会長にとどまり、会長はM子さんにしておくのが賢いやり方だと思う。私は、実は参謀のようなものだ。M子さんを表に出して、私は裏で色々手を回さなくてはならない。M子さんにはそれができないから。……というようなことを考えながら私は演説をしているのだった。
【解説】 「日本人は意見を言わないから本当に困る」というのが今夜の夢のテーマだったかも知れない。現在博士論文を書いているカウラ事件もそうだが、過去も現在も日本人は本当に自分の意見を言わない。その代わりに、あとで裏側で中傷したりする。実に面倒臭い。どんなときでもポンポン物を言う私が日本人らしくないだけかも知れないが(苦笑)。





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