2011年11月


1日●たくさんの白い部屋
言葉で説明するのが難しいのだが、いくつかの時限を超えた非現実的な空間があって、そこに、過去と現在と未来を超越するような形でたくさんの白い部屋が存在している。「存在」と言っても、それがいわゆる物理的な存在なのか、心象風景なのか、そのあたりのことはよくわからないのだが。それぞれの白い部屋は立方体で、そこではありとあらゆることが実現可能だという。宗教画に描かれた天使のように透明感のある美少女が階段を登ってゆく姿を見たように思うのだが、それはごく一瞬のことだったと思う。
【解説】 「現実」とは異なる時空間に迷い込んだような夢だった。ひとことで言うと「不思議だけれども気持ちの良い」感覚。白くやわらかなイメージが鮮烈に残っている。


2日●洞窟の中に浮かび上がる「沖」「縄」の文字

山の中をさまよっていると、雷が近づいてきた。今はまだ原始時代で、私は狩猟者なのかも知れない。洞窟に逃げこむと、「沖」と「縄」の2つの文字がぼーっと光りながら岩の上に浮き出てきた。これは何か大きな意味を持つメッセージだと思う。メッセージが指し示す場所へ行くと、何か(宝?)が手に入るようだ。私は心のなかで、(「沖」と「縄」を並べると「沖縄」と読みたくなるが、それはおそらく間違いだ)、(メッセージ自体が間違っている可能性もあるし、敵の罠かも知れない。気を付けなくては)と自分に言い聞かせている。
【解説】 原始時代なのに漢字が存在する、ということに気づいた段階でこの夢は大笑いなのだが、夢の中の私はあくまでも大真面目だった。もっとも、時代設定を「原始時代」から「核戦争後の未来」に変えて読み直してみると、これは恐ろしい夢である。「沖」と「縄」の2文字が現われたとはいえ、それが「沖縄」を意味するとは限らない。それぞれは全く別の何かを意味している可能性もある。こんなふうに夢の中でも疑ってかかるなんて、さすがは博士論文を書いているだけのことはある。研究者はこうでなくちゃいけないよね(と、とりあえず自画自賛しておこう(苦笑))。



3日●息子が書いた紙を回収する

母と息子(3歳ぐらいの姿に戻ってしまっている)と私、それにMちゃんの4人で、見たことのないデパートへ出かけた。Mちゃんは小学校の同級生だった女の子だが、なぜか老け込んでしまっており、うちの母と同い年ぐらいに見える。デパートの菓子売り場に着いてみると、ありとあらゆる菓子箱の中に、息子が文字を書いた紙が混入していることがわかった。この紙を外部へ出すことは何としても阻止しなければならない。私達はあわててそれらの紙を1枚1枚回収しはじめた。
【解説】 Mちゃんは小学校の時の友達だが、数年前に病気で亡くなった。彼女はときどき私の夢に現われてくれる。生きている間はとんと音沙汰がなかったのに。息子が文字を書いた紙が菓子箱に混入云々……という話に思い当たる節はない。



4日●息子に年齢を尋ねる

前後関係はわからないが、息子は現在11歳らしい。そのことを知ってか知らずか、私は彼に向かって「12歳だったっけ?」と尋ねてみた。すると息子はごく真面目な面持ちで、「12歳の10歳上なら、24歳じゃない?」と答えた。私は神妙な感じで(なるほど、そういうことか)と納得している。ここで目覚まし時計が鳴り、目が醒めたようだ。
【解説】 昨夜に引き続き、またしても“幼い姿に戻った息子”の登場である(ただし昨日より今日のほうが少し大人に近づいていたが)。「12歳より10歳上なら24歳」というナンセンスな計算は、一体何を意味しているのだろう。現実の息子はただいま20歳なのだが……。



5日●ビニール袋の中身

気がつくとビーチにいた。手の中にビニール袋があったので、袋を開けてみたところ、中身はなぜか2切れの鮭だった。予想外な展開に驚きつつ、(魚のにおいが漏れたらまずいな)と思っている私。そのあと鮭をどう処理したかは思い出せない。
【解説】 「ビーチ」と「魚」は割と普通の組み合わせだと思うが、今夜の夢に登場したのは、魚は魚でも「切り身」。なんともシュールである。鮭の切り身はよく食べているが、夢に現われた理由はわからない。



6日●弟とコンニャク

弟とその友達が目の前に現われた。驚いたことに、弟はすっかり太ってしまい、これまでの2倍近い体型になっている。友達も太った人だったが、顔は見えなかった。ふたりはレゲーミュージシャンのようなファッションに、ニット帽を被り、ノロノロと体を動かしていたように思う。弟が「コンニャクを食べようか」と誘ってくれたのだが、それに対して私は黙ったまま(あまり食べると太るよ)と思っている。
【解説】 またしても奇妙な夢。現実世界における弟は、規則正しい生活を営み、適度なスポーツも楽しんでおり、筋肉質で太る危険はなさそうだ。弟の太った姿を見られたのは「夢ならでは」である。コンニャクといえばダイエットだが、もしやこの夢は私にダイエットを勧めていたのだろうか!?



7日●ホモソーシャルな共犯関係

前後関係は全くわからないが、私(あるいは私達)は「ブーン」という名の男を追っているようだ。但し一緒に追っている仲間の顔は見えないし、「ブーン」が何者でどんな姿形かは不明。追っている理由も不明。わかっているのは、「ブーン」が政府要人とホモソーシャルな関係にあるということだ。空港のような場所。その他の詳細は思い出せない。
【解説】 わかったようなわからないような夢だった。「ホモソーシャル」は米国の社会学者イヴ・セジウィックが提唱した男たちの絆に関する比較的新しい概念。ブーンは当然⊂二二二( ^ω^)二⊃でしょう(笑)。



8日●……

【解説】 今夜は妙に爆睡しすぎたようで、かえって夢を思い出せない。



9日●“お約束”の三浦友和さん

ほっとする家庭的な雰囲気の場所(具体的にどこなのかは不明)。絶対に事件が起こらない、『水戸黄門』や『サザエさん』を見ているときに似た感覚。そこへ白衣を着た三浦友和さんが犬を連れてやって来た。(お約束♪)と思い、納得している私。
【解説】 三浦友和さんといえば「いい人」「絶対に裏切らない人」のイメージがある。同様に、白衣は「人を癒してくれる人」、犬は「人を癒してくれる生き物」と言えるだろう。今夜の夢にはストーリーらしきものはなかったものの、なんとも言えない安心感と予定調和感が溢れていた。



10日●スパイ風のふたりの男に監視される

薄暗い部屋。ありえないほど長いカウンターに座ったふたりの男が、能面のような顔で私を監視している。彼らはスパイかも知れない。おそらく今はアルカポネの時代なのだと思う。私自身が客なのかバーのママなのかは不明。
【解説】 なんとなくTVコマーシャルのような雰囲気の短い夢だった。自分の正体を見られなかったのが残念。



11日●全力疾走する女子高生

夢の左から右方向に向かって、ひとりの女子高生が川沿いを全力疾走している。セーラー服姿だったように思う。その光景を撮影している大勢のカメラマン(あるいはメインのカメラマン1名+アシスタント数名かも)。私はその総監督を務めている。
【解説】 今夜の夢のテーマは何だったのだろう。印象的には女子高生が目立っていたが、テーマはむしろ「撮影隊」のほうだったのではないかという気がする。女子高生のセーラー服がとても可愛らしかった。



12日●江戸の間

侍のような格好をした男や、町人風情の男達、丸髷(まるまげ)に髪を結った女達が大勢立ち働いている。どうやらここは江戸時代の東京(というか江戸)らしい。私は場違いな服装(つまり21世紀の服装)で歩いているのだが、誰も気にしていない。私は誰かとの約束があるようだ。そのへんで金魚を売っていた女に「すみませんが江戸の間はどこですか」と聞くと、女は「江戸の間は……」と言いかけてやめてしまった。そのあと金魚を買った(あるいは貰った)ような気がする。
【解説】 目が醒めてストーリーを文章化してみるといかにも藪から棒なイメージの夢だが、夢の中ではそれが普通だったのだ。しかし江戸の夢をみた理由は皆目わからない。最近、時代劇を見た記憶もないのだが……。
【後日談】 この夢を見た数日後、15日から来日なさる予定のブータン国王との謁見の件で、責任者から場所の指定があったのだが、その待ち合わせ場所というのがなんとホテルニューオータニの「江戸の間」であった。不思議な名前の一致である(そもそもホテルニューオータニに「江戸の間」という名の部屋があること自体知らなかったし)。



13日●整理整頓のうまい人

私は誰か身近な感じの人(家族または友達)と一緒にいる。そこへ新たにやって来た第三者(男性か女性かすら覚えていないが、清潔な感じのする人)に向かって会釈した。相手も会釈を返してくれた。その人はとても整理整頓のうまい人らしい。私はそのことを褒めた。すると相手は「たいしたことではないんです。○○を片付ければ良いだけのことですから」と言った。私は心のなかで(なるほど、○○を片付ければいいのか)と納得している。
【解説】 ○○が何だったのか思い出せないのだが、絵画とか表彰状のような、額に入れた紙類だった気がする。



14日●先生とリフロ

自分の声がする。「先生は『リフロ』が気に入っちゃってますよね」と言っているようだ。ただし誰に向かって話しているのかは不明。先生は女性で、「リフロ」は「2つに分けてやるやり方」という意味の新しい言葉らしい。
【解説】 何のことやら意味不明な夢だった。この前後にはストーリーがなく、いきなりこの場面だけ夢に現われた気がする。念のために「リフロ」という単語が存在するかどうか調べてみたところ、「リフロー」という種類のハンダ付けがあるそうだが……。夢の中に現われた「リフロ」は別の言葉だったと思う。



15日●……

【解説】 今夜見た夢の内容をメモしておいた紙片をうっかりゴミ箱に捨ててしまったようだ。こうなるともう、夢の内容を思い出せない。



16日●ハフ・エフェット

どこの国の言葉かわからないが、「100」という数のことを「ハフ・エフェット」と呼ぶ言葉があり、私はその言葉を知っている。「ハフ・エフェット」と何気なく口にしたところ、目の前にいた人達から「どうして知っているの」と大いに驚かれた。そういえばどうして知っているんだろう、と自問したところで目が醒めた。
【解説】 非常に短い夢だった。「ハフ・エフェット」という言葉には全く心当たりがないが、音的にはヘブライ語に似ているかも知れない。



17日●お膳を運ぶ「お女中」

大きな古い日本家屋。老舗旅館か、あるいは江戸城あたりの城中なのかも知れない。磨きこまれて黒光りする長い廊下の左から右へ向かって、年増の女性がお膳を運んでいく。(この人は「お女中」と呼ぶにふさわしい人だが、今は「仲居さん」と呼ばないと差別だと騒がれるのかな。しかしここは史実にしたがって「お女中」と書かなくては)などと私は思っている。
【解説】 これまた一瞬の夢だった。私は城内に入り込んでいたようだが、目線は完全に物書きのそれだった。言ってみれば平成の時代の物書きが江戸時代へ取材に行ったという趣だろうか。



18日●娘と竹のお風呂

西洋風のバスタブに娘が浸かっている、その後ろ姿が見える。バスタブは珍しい竹製だ。私は心のなかで(息子はこのバスタブが嫌いだけれど、どうやら娘は好きらしい)と思った。このバスタブを好きな人が私以外に少なくとももう一人いることがわかって、ちょっと嬉しい。
【解説】 何のことやらわからない夢。そういえば息子は湯船に入るのが好きではなく、極端なカラスの行水らしい(普段は湯船に入らず冬季もシャワーのみ)。娘は私に似て(?)温泉好きである。しかし竹のバスタブとは、夢とはいえ珍しい。



19日●緑色っぽい石の階段

目の前に急な階段が見える。ざっと見て100段はあるだろうか。少し緑色がかった石の階段で、登り切った上には神社があるようだ。最初は階段の下にいたはずの私だが、その次の瞬間には階段の上に移動していた。(この階段をスキーで滑り降りたら面白そうだな)と思っている私。
【解説】 今夜の夢のポイントが何なのか本当のところはわからないが、「薄い緑色」と「スキーで滑り降りる」というイメージが妙に印象に残っている。



20日●ゴルフ談義する3人の紳士

喫茶店のような場所。私は3人の男性と一緒に同じテーブルに座っている。それが実におかしなテーブルで、アメーバのような、雲のような、漫画の吹き出しのような、なんとも不規則的でぐにゃぐにゃした形なのだ。妙なところが飛び出しているから、その席の人は皆から2〜3メートルほど離れたところにポツンと座っていたりする。一緒にいた男性のうち、ひとりはインド時代にニューデリーでご一緒だった銀行マン。あとのふたりも過去にどこかで出会った人達のような懐かしさを漂わせていた。3人ともスーツを着ていて、先ほどから熱心にゴルフの話をしている。どこそこのコースは良いとか悪いとか、そんな話だ。ゴルフをやらない私は少々退屈している。
【解説】 懐かしい人達と逢ったことは嬉しいのだが、ゴルフの話は迷惑だ。喜ぶべきか悲しむべきかわからないシチュエーションだが、それよりもテーブルの形のほうが印象的で、私はそのことに気を取られていた気がする。ちなみに、くだんの銀行マンが今どうしていらっしゃるかは全くわからない。


21日●まことちゃんサンバ

『まことちゃんサンバ』という歌が出来たらしい。『まことちゃん』の作者である楳図かずおさんと私は、一緒にわいわい騒いだり肩を抱き合ったり頬ずりをしながらサンバを踊り明かしている。
【解説】 なんと、楳図かずお大先生と一緒にサンバを踊り明かすという、ファンにとっては大安吉日正月クリスマス誕生日が一挙にやって来たようなおめでたい夢だった(笑)。しかし今頃になってなぜ『まことちゃん』の夢なのか、理由は不明。


22日●全裸で走り回る

前後関係はわからないが、人が大勢いる部屋の中で、私は笑いながら全裸で幼子のように走り回っている。しかし誰一人として奇異な目で見ている者はいない。この世界では、裸は少しもいやらしいことではないようだ。
【解説】 全く意味のわからない夢。覚えている限り、全裸で走り回る夢はこれが初めてではないだろうか。なかなか爽快な夢だった。


23日●イノシシに飛び蹴りしようとするRちゃん

崖のすぐ近く。運動神経の良さで知られるRちゃんがイノシシを追い詰めている(あるいは何か別の生き物だったかも知れない)。メイドのような服装の女性がやって来て、「フィーバーでございます。それでも私達は勝つことになるのでございます」と意味不明な挨拶をした。Rちゃんが崖の方に向かって走りながらイノシシを飛び蹴りしようとして失敗し、穴の中へ落ちてしまった。どこかから「迷惑かけたねえ」という声が聞こえた。
【解説】 まったくわけのわからない夢。Rちゃんが誰だったのかも、目が醒めた途端に忘れてしまった(ただし「Rちゃん」という名前だけは覚えている)。



24日●身代わりに病む女性達

知った顔の女性が何人か入れ替わり立ち替わり現われては、「なんだか胸がムカムカするわ」と言って顔をしかめている。有名な女優さんも混じっていたような気がするが誰だったかはわからない。私は(ああ、この人達は私の具合の悪いのを知って、身代わりになってくれているのだな)と思い、彼女達に感謝している。
【解説】 風邪でもひいたのか、昨日あたりから頭痛と胃痛がひどい。今夜は寝ているあいだ、多少胸がムカムカしていたようだ。夢のなかでは私ではなく他の女性達が代わりに吐き気と戦ってくれていたが、そのせいか目が醒めるとむかつきは治っていた。



25日●……

【解説】 昨日に引き続き、今日も頭痛でダウンしていた。そのためか夢を見た記憶はない(悪夢を見なかっただけ良しとしよう)。



26日●「Z」の形にビシッと身を折り曲げた蛇

洗濯物を取り込むために庭に出たところ、地面の上に1匹の蛇がいた。からだをビシッと折り曲げてアルファベットの「Z」の形になっている。ブルーグリーンの素晴らしい輝き。私は心のなかで(これは良い知らせだ)と思いながら、蛇を傷つけないようにちょっと遠回りをして洗濯物を取り込みに行った。
【解説】 一瞬の夢。蛇を見た瞬間、(あ、Zだ)と思っていた。もしかすると今夜の夢のテーマは蛇ではなく、「Z」のほうに意味があったのかも知れない(この日記を書いているうちに急にそんな気がしてきた)。



27日●丸々と太った往年の美人女優
丸々と肥え太った女性の姿が見える。顔などはほとんどアンパンマン状態だ。しかしこの顔には見覚えがある。そうだ、この人は往年の美人女優、Gさんではないか! 驚いたところで目が醒めた。
【解説】 Gさん(アメリカ人)は大好きな女優さん。今は65歳ぐらいだと思うが、若い頃の美しさと言ったらなかった。夢とはいえ、こんな姿は見たくなかったとつくづく後悔(苦笑)。



28日●何かの中止(延期)を喜ぶ

何かが中止または変更になったことを知り、大いに喜んでいる。「これで真美さんの意のままになるね」と皆が祝ってくれている。
【解説】 何が中止または延期になったのか詳細はわからないが、すこぶる気分のいい夢だった。



29日●カウラ事件を目撃

前後関係も何も全く思い出せないのだが、何かが起こって、私はカウラ事件をこの目で目撃できることになったようだ。
【解説】 カウラ事件研究は私のライフワークの一つである。「事件をこの目で見ることが出来たら」という不可能な願望が夢になったものと思われる。



30日●ブースケを心配する

広い庭の付いた立派な洋館。庭には少しばかり斜度が付いている。私はブースケがいなくなるのではないかと心配している。
【解説】 ブースケがいなくなるのではないかという心配は、私の心の隅っこに常にある心配だ。犬は人間と比べて格段に平均寿命が短いのだから、ブースケのほうが先に死んでしまうことは間違いないのだが、そういう意味での「いなくなる」ではなく、物理的に「迷子」になるなどしていなくなることが心配なのだ。これは、以前飼っていた別の犬(ベアという名の猟犬)がある日忽然と姿を消してしまった経験に起因する心配かも知れない。ちなみに夢に登場した洋館に心当たりはない。





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