2012年9月


1日●バーカウンターの「黒っぽい」男
薄暗く静かなバー。私はカウンターの右端に座っている。左隣には友人のYさん、更にその左側には見知らぬ男性。その男性のイメージは「黒」だ。肌の色が黒いという意味ではなく、全体のイメージが、である。この部屋には何か秘密が隠されていて、この男に秘密がバレると男の身体のどこかか自動的に機能し、何らかのカオスな状況(戦争・戦闘のようなこと?)が起こるらしい。その事態は防がねばならないと私は思う。
【解説】 非常に短い、しかしインパクトの大きい夢だった。秘密が何なのか、男が誰なのかは全くわからない。


2日●最初から対象外
何だかわからないが、「それ」は最初から対象外だと聞かされた。それはそれで気楽でいいな、と思っている私。
【解説】 今夜の夢にはまともなストーリーがあったような気がする。しかし思い出すことが出来ない。何かジェンダーに関係した夢だったような気がしないでもないのだが。はて。


3日●今がベストタイミング
部屋の掃除をしていると、A4サイズの紙が1枚出てきた。そこには私自身の筆跡で「今がベストタイミング」と書いてある。が、それはどうやら私が70歳ぐらいの時に書いたものらしい。そこまで考えて、私はふと「あれ? 私って70歳の誕生日なんかまだ全然迎えてないんじゃなかったっけ?」と思う。おかしいなと思った瞬間に目が醒めてしまった。
【解説】 未来の自分が書いた文字を読むという貴重体験であった(笑)。70歳らしく枯れた文字……と思いきや、フリーダムそのもの、といった筆跡であった。どうやら70過ぎた私は活き活きと飛び跳ねまわっているらしい。だから「今がベストタイミング」なのだろう。これは正夢になって欲しい。


4日●……

【解説】 何か夢を見て、起きがけに紙切れにメモっておいたのだが、その紙をどこかに失くしてしまった。残念。


5日●電車で英語パワー
気がつくと山手線に乗っていた。たしかドアから2人目あたりの席だったと思う。英語を話す人がいないかと思い、耳を澄ませている私。英語を話す人がいた場合には、その人に「英語パワーを知らせる役柄」を演じてもらわなければならないのだ。しかしこの車輛には英語を話す人は乗っていないようだった。
【解説】 何のことか意味不明な夢。そういえば昨日は高校の英語劇部の先輩から突然メール連絡が届いた(30数年ぶり)。そのことと今夜の夢には何らかの関係があるのかも知れない、と、ふと思った。


6日●ピンクの編み棒
誰に頼まれたのか、どのような読者層を対象に、何の媒体に投稿するために書いているのかわからないが、私はピンクの編み棒に関する評論を書いている。パソコンも使わず、手書きだったような気がする。しかし何を書いたのか、内容は一つも覚えていない。
【解説】 「手編み」「手書き」と、実にマニュアルなイメージの夢だった。それにしても、この暑い時期に編み物とは、時代錯誤ならぬ時期錯誤な夢!(苦笑)


7日●裏を取ろうとして取れない
前後関係は定かでないが、いきなり「裏を取らなければ」と思った。作文を書くための原稿用紙が1枚、目の前に置いてあり、そこに書かれた内容に従ってどこかへ行くと「裏が取れる」らしい。その作文はずいぶん昔に自分が書いたものらしく、パッと見ると「意味」という字が目に飛び込んできた。私は「裏を取る」ために出かけようとするのだが、いざ出かけようとすると何かが起こり、出かけられなくなってしまった。
【解説】 またしても意味不明な夢。目が醒めて思ったのは、夢の中で「作文用紙」が載っていたのは、薄ベージュ色の細長い木製テーブルで、視線の端では白いレースのカーテンが爽やかに揺れていたような気がする。イメージとしては軽井沢のような避暑地だったかも知れない。


8日●……

【解説】 記憶している限り、今夜は夢を見ていないように思う(あるいは、夜中に冷え込んで何度か起き出しては毛布を増やしたりしていたので、単に見た夢を忘れてしまったのかも知れないが)。


9日●滑り台で遊ぶ
気がつくと滑り台で遊んでいた。子どもの頃に毎日遊んだ公園の、かなり大きな滑り台だ。2階の部分が広く、2〜3人で座って「おままごと」をするぐらいのスペースはある。そこから滑り台が二手に分かれていて、どちらからでも滑り降りることが出来るのだ。私は2階部分に立っている。右側に女の子、左側に男の子がいたようだが、顔が見えない上に話をした記憶もない。少し離れたところに花のトンネルが見えた気がする。
【解説】 体感時間にして1秒ほどの短い夢だった。幼い頃の風景を一瞬見てきた感じ。遊んでいたお友達は誰だったのだろう。この夢を見て、滑り台のことを久しぶりに思い出した。あの滑り台は確かに変則的な形をしていたと思う。2階建てどころか3階建てだった気がするのだが、細部のデザインまでは思い出せない。幼い頃は大きな滑り台だと思っていたが、大人の目で今見たらちっぽけな遊具なのだろう。幸いにもその公園は既に取り壊されており、この世のどこにも存在しない。だから私はイマジネーションの中で永遠に「大きな滑り台」で遊ぶことができるのだ。


10日●雪山から炎
気がつくと峻厳な雪山がそびえていた。信州・戸隠、あるいはヒマラヤだろうか。しかし目の前にあるのはそのどちらでもない、見たことのない形の山なのだ。頂上の付近は雪で覆われており、そのあたりから水蒸気が発生してもくもくと白い妖気が立ちのぼっている。その水蒸気の向こう側から、いきなり「炎」(あるいは「火」だったかも知れない)という巨大な文字が飛び出した。あっと思った時にはもう目が醒めてしまっていた。
【解説】 修験道のイメージが色濃く、とてつもない存在感と静寂が漂う夢だった。この夢を見たら、俄然ヒマラヤが恋しくなった。


11日●脱走カフェ
「ねこカフェ」や「うさぎカフェ」の姉妹店で、このたび「脱走カフェ」なるお店ができたらしい。店に入ってから30分以内に脱走しないと永久に出られなくなる仕組みらしいのだが、店に入ってみると中はガランとしており、店員さえいない。(既に全員脱走したあとなのだろうか、それとも皆出られなくなって牢獄にでも入っているのか? 店の人まで牢獄入り?)などと考えながら、私はここから脱走する自信があるらしく、余裕で部屋の細部まで観察している。
【解説】 脱走カフェから脱走できた場合、料金はタダになるのだろうか。この夢はカウラ事件から発生したイメージと思われるが……お店に入った時から出ることばかり考えなければならないのだから、落ち着いて飲食もできないトンデモないカフェではある(苦笑)。


12日●黒板拭きの決まり事
黒板拭きらしきものを手に持って、前方にある何かを拭き消している私。ここでは「一拭き」ではなく「二拭き」で消すのが正しい作法なのだという。だが二拭きでちょうど消し終えるのは意外に難しい。私はそれを何度も何度も練習している。
【解説】 「黒板」なんて今どき存在するのだろうか。インドの田舎の小学校で少し前に見かけたような気がしないでもないが、少なくとも日本ではもう長いこと見ない気がする。その懐かしい「黒板拭き」で何やら消していたが、さて私は一体何を消していたのだろう。黒板に書いてあったことの内容は全く思い出せない。


13日●名前を間違われる
前後関係は全く思い出せないが、隣に座っていた人(顔は見えないがおそらくXさん)から「ユリさん」と呼ばれた。音で聞いただけであるにもかかわらず、それが「由梨」という漢字であることが私にはすぐにわかった。「私は由梨ではなく真美ですよ」と言ったかどうかは覚えていない。
【解説】 そういえば、過去に「マミさん」を「マリさん」「ユミさん」と呼び間違われたことがそれぞれ一度ずつある。その時に感じたのは「マリさん(ユミさん)って誰?」と訝(いぶか)しむ気持ちであった。名前を呼び間違われるのは、あまり気持ちの良いことではない(少なくとも私にとってはそうだ)。今夜の夢の真意はわからないが、「真美」を「由梨」と呼び間違えたXさん(実在の人物)に対して、私はあまり良い感情を持っていないのかも知れない。


14日●友人のiPhoneを持ち帰る

どこかを旅しているイメージ。気がつくと友人のJさんの家にお邪魔していた。Jさんは年下の女性で、とても働き者だ。家には旦那さんと未就学児のお子さん2人の姿も見えた。Jさんは一生懸命に仕事を片づけている。何日もかけてコツコツまとめた仕事のデータを全てiPhoneに記憶させたようだ。Jさんはこのデータを使って、今夜、何らかの重要なプレゼンテーションをするのだという。そのあと私はJさんの家を出て、どこか別の場所(ホテル?)に移動した。その頃、JさんがIPhoneを失くして大騒ぎしているというニュースが入った(その時の私は既にJさんの家から何十キロ、何百キロも離れたところにいるにもかかわらず、血相を変えて失せ物を探しているJさんの姿がハッキリ見えたのだ)。それはさぞかしお困りだろう、と思いながらふと見ると、なんと私の目の前に問題のiPhoneがあるではないか。どうやら何かの間違いで私はJさんのiPhoneを持ち帰ってしまったらしいのだ。どうやってこれを返してあげたらいいのだろうと焦っているところで目が醒めた。

【解説】 Jさんは実在する女友達。そういえば彼女は最近「iPhoneが故障した」(?)というようなことをFacebookに書いていたような気がする。そのイメージが今夜の夢になったのだろうか。


15日●法律上のことで悶々とする
具体的な内容をどうしても思い出せないのだが、何か心にわだかまることがあって悶々としている。それは法律上のこと、「契約」に関係する事柄だったかも知れない。白い紙(契約書?)が見えたような気もする。
【解説】 どんな内容の夢だったか、目が醒めてから思い出そうとしても詳細をどうしても思い出せない。そういえば昨日は某所で嫌な話を聞いた。そのことは法律に関した事柄ではないのだが、この夢を見た原因は間違いなく、昨日聞いたその「嫌な話」だと思われる。昨日はその「嫌な話」以外にも、いくつかのネガティブなことを複数の人から聞かされた。それらのイメージが夢の上に影を落としたのだろう。


16日●仏教的迷路クイズ
気がつくと巨大迷路の中にいた。この迷路の特徴は、途中でクイズが出題され、正解すると先へ進めるという点だ。まず、二択問題が出題された。問題は天井に書いてあるのだ。その天井が恐ろしく低く、頭が閊(つか)えてしまいそうだった気がする一方で、頭の上には青空が見えていたような気もする(要は、そのあたりの構造がどうなっていたのか全く分からない)。また、迷路を進んでいる自分を上空から俯瞰する自分の視線も在ったように思う。出題されたのは日本語で100文字程度の文章題だった。何か哲学的な内容だったことは間違いないが、具体的な内容は思い出せない。問題の横には、答えの候補が2つ書いてあった(つまり二択問題)。パッと見てすぐに正解がわかった私は、正しい答えの横に付いているボタンを指先で押そうとした。しかしその瞬間に足下の台がグラリと揺れて私の立ち位置が数センチずれてしまい、その結果、押したくないほうのボタン(つまり不正解のボタン)を押してしまった。(あっ!)と思い、あわててもう一度正しいほうのボタンを押し直したが、時すでに遅し。機械的な音声で「ただいま機械の不正使用が確認されましたので、スタート地点に戻って最初からゲームをやり直してください」という意味のアナウンスがあった。私は後悔しながら歩いている(もう一度ゲームに挑戦するつもりなのかどうかは自分でもわからない)。クイズを見守っていたらしい仏教僧(チベット僧のような僧衣をまとった中年男性)から何か一言声をかけられたが、その内容も覚えていない。
【解説】 要するに「後悔先に立たず」的な夢だった。昨日・今日と、どうも夢見が悪い。現実に耳にした「嫌な話」が反映しているものと思われる。しかし夢の中で仏教(しかも日本仏教ではなくチベット仏教)の介入があったことは実に興味深い。これは私の深層心理を表わしているのだろう。


17日●……

少し早起きをするために目覚まし時計をかけたところ、アラーム音が予想外に凄まじく、飛び起きてしまった。その瞬間、夢は忘却の彼方へ……。


18日●4つの夢を分析する

今夜見た4つの夢を順番に書き出し、ある一定のお作法にのっとってそれらを分析している私。
【解説】 夢の中で4つの夢を見たあと、それらを分析したような気がするのだが、夢の内容自体はまるで覚えていない。どうにも骨折り損な夢だった。


19日〜27日●……

【解説】 この8 日間の夢の内容(あらすじ)はパソコン上に仮保存してあったのだが、手違いですべて消去してしまった。すこぶる残念。


28日●お天気の心配をする

最初に一瞬だけ、とてもよく晴れた空が見えたように思う。しかしその直後に窓の外を見ると、あろうことか大嵐だった。大急ぎで2階に駆け上がり、皆に聞こえる声で「嵐だよ!」と叫んだところ、顔は見えないが家族のような雰囲気の人たちが数人やって来た。彼らは小声で「そんなはずはない」「嵐は来ないはずだ」などと言ってざわめいている。折柄、強い風が吹きはじめた。日本では経験したことのない南国的な風で、私は一瞬オーストラリアの「サザリー・バスター」を想いだしノスタルジックな気持ちになりかける。しかし周囲で騒いでいる人達の声にすぐに我に返り、空の様子を見るために階段を駆け下りて1階へと向かった。そこで夢は別の展開を見せたように思うが、具体的な内容は覚えていない。
【解説】 今日は屋外パーティーに招かれていたのだ。その直前に見た夢がこれ。心のどこかで(台風が近づいているらしいけど、雨にならなければいいな)と思っていた、そのプチ不安がこの夢になって現われたのだと思われる。実際にはパーティーの最中は気持ちの良い秋晴れで、雨に祟られることはなかったが(Thanks to the 晴れ女 and 晴れ男)。


29日●喉に9つの球が詰まる

最初にパンダ(飼い犬)の顔がちらりと見えた。その次にハッと気づいた時には、どうやら私の喉に9つの球が詰まっているようだった。これは何かおめでたいことの徴(しかし)らしいのだが、少しばかり息苦しい。9つの球はすべて別の物質で出来ており、それらは地球上では稀少な金属だと聞かされた(誰から聞いたのかは思い出せない)。このまま球を放置するわけにもいかないので、とりあえず一旦喉から取り出すために立ち上がって歩き出したところですぐに目が醒めた。
【解説】 わけのわからない夢。去年と今年、2年連続して夏に喉の閉塞感を感じた。薬は飲まなかったが、それは時と共に完治してしまった。あのときの閉塞感と今日の夢の中で感じた苦しさは、物理的には似通っていたが、夢の中ではそれが一種の吉祥として捉えられていた。一体どういうことだろうか。そういえば最近、パンダが時々ひどく咳き込むことがある。そんなことも今夜の夢には影を落としているようだ。


30日●鏡と本棚と見知らぬ父娘

綺麗な縁取りの付いた小さな正方形の鏡。見知らぬふたり(おそらく父と娘)。私は彼らに何かを伝言する。彼らも私の話にうなずいた。本棚の下から2段目に何かが隠されている(あるいは、私がそこに何かを隠す)。その棚には小型の本(英語のペーパーバッグ)が並んでいたように思う。そのうちの1冊は"Catcher in the Rye"(『ライ麦畑でつかまえて』)だったと思うが、そのへんは記憶がハッキリしない。
【解説】 今夜の夢に関して言えば、断片的な記憶しか残っていない。全体の中で「本棚の下から2段目」という下りが妙に気にかかった。実際の本棚を見たところ(といっても私の部屋には大きな本棚が9本も置いてあるので、どの棚を見たらいいかわからないのだが)デスクのすぐ脇にある本棚の場合、下から2段目には戦争と捕虜関係の本しか収納されていなかった。




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