2013年1月


1日(初夢)
●宝の在り処を男から教わる
秘密がたくさん隠されているような雰囲気の、立方体の部屋。場所は地下だったように記憶しているが、見知らぬ部屋である。その部屋には1人の男が常駐しているようだ。彼は年令も民族も言語も超越したようなイメージの人で、私にお金の作り方(または宝の在り処だったかも知れない)を教えてくれた。独特の幸せな気持ちに満たされているところで目が醒めた。
【解説】 今夜の夢の中で「お金」または「宝」を手にするための秘密を授かったのだが、残念ながらその詳細を忘れてしまった。そういえばたまに夢の中で「暗号」とか「とんでもない価値のある情報」を得るのだが、どういうわけかそれらの情報は夢の外に持ち出してはいけない決まりになっているのだ。従って、夢を見た本人(私)すら、夢から醒めたあとは情報にアクセスすることが出来ない。脳のどこか―深層心理?―にはきっとその記憶が刻まれているのだろうが……。このような「持ち出し禁止」のルールが私の見る夢にはしばしば登場する。ほかの人達が見る夢にも、そのようなルールは存在するのだろうか。興味深い。


2日●ピラフ専門食堂
庶民的な食堂。英語のメニューとヒンディー語のメニューが置いてあって、私には何故かヒンディー語のメニューだけが配られた。何を食べようか迷っている自分。こういうことで迷うのは、即断即決の私には珍しいことだ。迷っていると、部屋の片隅からいきなり「ピラフ!」「ピラフ!」という日本語が飛んだ。えっと思ってそちらに目を向けると、そこに大学生ぐらいの若い日本人が数人陣取っており、嬉しそうに手を挙げながら「ピラフ!」と叫んでいた。そのあとでよくよく見直したところ、私の手元にあるヒンディー語のメニューに載っていたのはबिरयानी(ピラフ)」だけではないか。どうやらこの店はピラフ専門店なのだということに初めて気づいた私は、ピラフを頼むことにした。心の中で(この店には英語・ヒンディー語・日本語のメニューがあるのに、なぜ私には日本語のメニューをくれなかったのだろう)などと思っている。
【解説】 なぜピラフなのか、さっぱり意味のわからない夢だった。そもそも私はそれほどピラフが好きではない(去年は一度も食べなかったかもしれない)。但し息子は好きらしいので時々作ってあげているが。ちなみにインドでピラフはビリヤニと言いबिरयानीと書く。



3日●飛行機にタダで乗ってクリスマスを見に行く
前後関係は思い出せないのだが、今はクリスマス・シーズンらしい。友達のTさんから連絡があったような気がする。M学院大学に行くと素晴らしいクリスマス・イルミネーションを見ることが出来るという話を聞きつけた私は、TさんとM学院で落ち合うことにした。ところが、その場所というのが実際のM学院とは全く別のどこかなのである。深い山を分け入った先の、アマゾンの奥地のようなジャングル(但し気候は冬)の中に、信じられないほど広く美しいキャンパスが建っているのだ。気づいた時には私は飛行機に乗っていた。その途中にも何かドラマがあったのだが、その部分は思い出せない。飛行場に降りたところ、そこは既にM学院のキャンパスの中であった。Tさんから携帯に電話があり、もっと先に凄い場所があるという。たった今降りたばかりの飛行機のキャプテンが「この先へ行くなら乗せてってやってもいいよ」と言った。キャプテンは目がギョロッとして下品なしゃべり方の、いかにも田舎のオッサンだが、根は親切で良い人のようだ。私は飛行機にタダで乗せてもらうことになり、得をした気分で浮き浮きしている。やがてわずか5分ほどで、同じジャングルの中にある別の空港に飛行機は到着した。降りてからよくよく見ると、飛行機の車輪が田舎のあぜ道からもう少しで脱輪しかかっているではないか。(さすが田舎。滑走路を舗装してないんだ。操縦もテキトーだなあ)と私は思うのだが、かと言って特に驚きはしない。そのあとTさんと合流した私は、何故か再び飛行機に乗っていた。上空から見下ろすと広大な敷地に美しいイルミネーションが見える。しかし人影は驚くほどまばらだ。Tさんが「昨日(の来客数)はもっと少なかったよ」と言った。私は心の中で(今日はクリスマスイブなのにここまで閑散としているとは。ここは穴場だな)、(それにしてもTさんは昨日もここに来ていたのか)等と思っている。そのあと地上に降りてクリスマスを楽しんだのかも知れないが、あまり印象がない。どこかに海が見えたような気もするが、それも一瞬の出来事だったと思う。
【解説】 今夜の夢の本題は「クリスマス・イルミネーションを見に行く」だと思うのだが、夢から醒めた瞬間に圧倒的に印象に残っていたのは「飛行機にタダで乗せてもらいラッキー!」という気分のほうだった。それだけで暫くハッピー気分が続いたのだから、我ながら単純である。それにしても今夜は地面を歩いた記憶が殆どない。夢の大部分は上空から下界を俯瞰するというシーンであった。どういう意味だろうか。Tさんは実在の人物で、去年のクリスマスに一緒に遊んだ仲間の一人。いずれにしても1月3日にクリスマスの夢とは季節外れである。



4日●懐かしい人との再会
夜の街。どこか懐かしい雰囲気を帯びたこの街は、昔も来たことのある外国かも知れない。人影まばらな道の右側を、私は一人で歩いている。その先の喫茶店のような場所で誰かに会い、テーブルを隔てて向き合って話をしたような気がする。とても懐かしく、少し淋しいような気持ち。
【解説】 今夜の夢で誰と会ったのか、何を話したのか、具体的なことは何一つ思い出せない。印象としては、遠い過去、それも、もう決して戻ることのできない終わった過去へのセンチメンタルな気分と、純粋な懐かしさの入り混じった夢だったと思う。



5日●シンメトリーに回転する夜の風景
目の前にエキゾティックな建物が建っている。タージ・マハールのように左右対称の大理石の建物で、その周辺を四角いプール(池)がぐるりと取り囲んでいる。今は夜で、白い建物だけが闇の中にひっそりと輝いている。そのとき、地平線を軸にして建物全体がぐるりと半回転した。つまり、今まで地上に出ていた建物が前に倒れて、そのまま池の中にザブンと潜ってしまったのだ。しかし同時に、それまで池の中に潜っていた別の建物が地上に上がってきた。それは先程まで見えていた建物と全くデザインだ。つまり全く同じ2つの建物が、地平線を軸にしてぐるっと回転したのである。それはまるで鉄棒の前転のような動きであった。その後、上下対称に位置する2つの相似形の建物はぐるぐると回転を続けた。私はその風景を眺めながら(上下対称の風景もなかなか美しいな)などと思っている。
【解説】 言葉で説明するとわかりにくいのだが、要は地平線(大地)を中心に、その上下に同じ建物が2つ存在しており、1つは地上、もう1つは池の中に隠れている。それが、ある瞬間から、地平線を軸としてぐるぐる回転し始めるという夢であった。建物自体も左右対称だったのだから、今夜の夢は縦方向にも横方向にも対称(シンメトリー)だったわけである。



6日●トンネルの中でとてつもなく長い大蛇に遭う
気がつくと、すぐ目の前に地面が見えていた。周囲の風景は全く見えないが、地面には人の手が加えてあり、おそらく農民が耕したあとなのではないかと思う。少し先に、小さな正方形の穴があった。どうやら誰かがトンネルを掘ったらしい。頭を下げ腰を屈めると、どうやら大人がやっと入れるような狭い穴である。私は何も考えず淡々と穴に入っていた。少し進んで行くと、向こうのほうから地面が凄い勢いで盛り上がり、それがどんどんこちらへ近づいて来た。どうやら地面の中には大蛇が住んでおり、それがのた打ち回っているようなのだ。大蛇は姿を見せず、地下の浅いところを所狭しと這い回っているようだ。土が盛り上がる形から、蛇の動く様子が手に取るようによくわかる。私は怖がるわけでもなく、心の中で(あ、蛇だ。蛇の夢は確か吉祥だったはず)などと冷静に思っている。最後に蛇が地面から出て姿をあらわした。それは直径20~30センチ、長さ10メートル超(※長すぎて、一体どこまで続いているのか想像もできなかったのだ)の灰色っぽい蛇だったと思う。蛇は縦横無尽に、龍のような凄まじい勢いでトンネルの中を這い回り続けた。
【解説】 今夜の夢の中で(蛇の夢は吉祥)と思ったのだから、自分が夢を見ていることを知っていたのだろう。そして蛇が灰色であることを知った時、(金色ならもっと良かったのに)とチラッと思ったような気もする。トンネルの中というシチュエーションはあまりよろしくないが、しかし蛇が地面から出られたのは良かった(なんとなくそう感じた)。松の内に見た夢だから、これはお正月の夢だろう。今年はまだリアル世界でおみくじを引いていないが、この夢はおみくじなら「吉」ぐらいか。



7日●中華料理
テーブル席に座っている自分。とろっとした汁の中にたくさんの野菜と魚介類が入っている。おそらく中華料理だと思われる。
【解説】 今夜の夢には長いストーリーがあったはずなのだが、なぜかこの場面しか思い出せない。野菜の濃い緑色と、イカまたはホタテの貝柱らしき白色が食欲をそそる、美味しそうな夢であった(ただし残念ながらそれを食べた記憶はないのだが)。今年はまだ7日目だが、そのなかで既に2回も食べ物の夢を見ている。2日の夢に登場した「ピラフ」は特に好きでも嫌いでもないが、今夜の夢に登場した料理はなかなか良かった。



8日●手順書のなかの「PP」という文字
何か非常に大事なことに関する長い手順が紙に記されている。紙に書かれたものと並行して、同時にそれが実際にどこかで行なわれているのだと思う。しかし私が記憶している(或いは担当している)のは、あくまでも文書のほうだ。細長い巻紙状の紙に、横書きでビッシリ綴られた日本語。手書きだったかパソコンの文字だったかは思い出せないが、「第1章 第1項」というように段落ごとにきちんと文章がまとまっていたと思う。文章の途中のどこか(おそらく文章全体を5分したうちの2番目あたりのところ。中間より少し前ぐらい)に「PP」という文字が記されていた。これが、この文書の中の最重要部分なのだ。何としてもこの部分だけは忘れてはいけないと思う。
【解説】 リアル世界では目下、博士論文の理論的枠組みに関することで色々と悩んでいる最中である。だからこのような夢を見ること自体は非常にノーマルなのだが、途中に登場した「PP」の意味がさっぱり分からない。単なる夢の戯言かも知れないが、ちょっと引っ掛かるような気もする。しかし辞書で「PP」と引くと「膵臓ポリペプチド」やら「パネルポイント(工学)」やら「血漿タンパク質」といった、いかにも私とは縁のなさそうな略語しか登場しないのだが。なぜか気になる。

【後日談】 この夢から4日後の1月12日、とある方から連絡があった。それは、あっと驚くような内容であった(よい意味で)。しかも、その内容をひと言でいうと「PP」というものに関する事柄なのだ。理由あって今はまだ公開できない話なのだが……。正月早々、非常によい正夢になりそうだ。


9日●美容室の社長に似た男性
前後関係はわからないが、目の前にいつも行く美容室の社長(60代前半ぐらいの男性)が直立不動で立っている。彼と何か話したのかも知れないが、内容は思い出せない。
【解説】 このところ忙しすぎて美容室に行く時間がない。髪が伸びすぎて気になっている。おそらくその気持ちが今夜の夢になったのだろう。



10日●バリー・ギブ似の出版社社長
とても綺麗な空の下を誰かと2人で歩いている。一緒に歩いているのは男性だと思うが、この時はまだ姿が見えない。私は自分の本がもう少しだけ売れたらいいのになと思う。その本は内容もデザインも素晴らしく、私はその本を出版できたことが嬉しくてたまらないのだ。表紙はブルーを基調としており、幻想的な絵本を思わせる。一緒にいる男性は出版社の人らしい。このときようやく彼の顔が見えた。ビージーズのバリー・ギブ(3人のうち一番長身のリードボーカルの人)によく似た風貌の、ひょろりと背の高い白人であった。彼は、自分のところにファックス(?)で届いたという画像を私に見せてくれた。それは次に出版する本の表紙デザインらしい。変形というか、普通の本の縦横サイズよりも細長く、実に綺麗な色合いである。彼は「〇〇さんの本がもう少し売れるといいんだけどね」と独り言のように言ったあとで、私のほうに向き直り、「貴女の本もたくさん売れるといいね」と言った。
【解説】 全体に幻想的な夢だった。いま思えば、私たちは霞のかかった森の中とか、湖の脇のようなところを歩いていたのかも知れない。途中に登場した「〇〇さん」が誰であったかは全く覚えていない。バリー・ギブ似の社長が私に何語で話しかけてきたのかも思い出せない。



11日●根暗そうな黒縁眼鏡の男
気がつくと目の前に黒縁の眼鏡をかけた小太りの男性が立っていた。私は最初、その人が誰だかわからないのだが、暫く見ているうちに(そういえば昔どこかで会ったことがあるかも知れない)と思い始めた。夢の設定では、この人と私は3年前からの知り合いだが、2人で会うのは今日が初めてらしい。この人は余程無口なのか、最初から最後まで一言も発しない。そして、眉間に皺を寄せて実に深刻な表情をしている。私は(気持ちの悪い人だな)と思い、この人からなるべく離れて歩こうと努力している。
【解説】 夢の中では気づかなかったのだが、目が醒めてから、そういえば今夜の夢に現われた男は現実世界で知っているTさんにそっくりであることに気づいた。といってもTさんは大昔のちょっとした知人で、もう長いことお目にかかっていない(再び会う予定もない)相手なのだが。急に夢に現われた理由は不明。



12日●馬鹿カラー
誰かが大きな声で「馬鹿カラーのなんか送って来やがって!」と怒鳴っている。私も心の中で(馬鹿カラーのを送って来るなんて、本当に気が利かない人だ)と思っている。
【解説】 何のことやら全く意味のわからない夢だった。そもそも馬鹿カラーとは何だろう。私には「馬鹿な色」というふうに聞こえたのだが、よくよく考えてみると「カラー」は「色」ではなく「襟」を意味するカラーかも知れない。「バカ」も「馬鹿」以外の意味かも知れない。しかし、もしそうであったとしても、意味がわからないことに変わりはないのだが(苦笑)。



13日●カウラ暴動の現場に居合わせる
最初に何かあって(この部分は思い出せない)、次に気づいたとき、私はカウラ戦争捕虜収容所の中にいた。燃え盛る炎。響き渡る突撃ラッパ。すぐ隣には捕虜のAさんがいた。Aさんは「どうしよう! 今度こそ暴動に参加すべきか! どうしよう!」と言いながら、あたりをウロウロと小走りに走り回っている。私はカウラ事件の全容を写真に収めなければと思い、カメラを探すのだが、なぜか洋服からポケットというポケットが消えている。どうやらこちらの世界へ来るときの条件として、ポケットは中身ごと没収されたらしいのだ。Aさんは私を頼りにしている。なぜなら私は彼よりも上の階級で、今は「兵」を名乗っているが実際の身分は「士官」だから。カメラを断念した私は、次の作戦を考えている。
【解説】 この夢は、カウラの元捕虜であったAさんを取材するために訪問中の西日本某所のハンセン病療養所のゲストハウスで見た。Aさんは現実世界でも、90歳を過ぎた今も暴動で死ななかったことを後悔しておられる。今夜の夢は、カウラ事件の全貌を知りたいと願う私の心と、Aさんの願いがミックスして出来上がった不思議な幻想のように思える。



14日●自分が生まれるまでを思い出す
暗い空間の真ん中で火山が大噴火を起こしている。私の視線は次第に斜め上に上昇してゆく(ちょうどカメラが引くような感じで)。ほうぼうで巨大な炎が上がっている。核爆発かも知れない。宇宙。光の環。とてつもない美しさ。私は鳥肌を立てながらその光景をただ見つめている。その後も上昇が続き、やがて正面にこれまでとは明らかに違う種類の温かい光が見えてきた。光の先には、初老の医者らしき男性がいた。そうか、私はこうやって生まれたのかと急に腑に落ちる。そこは私が生まれた産婦人科の分娩室らしい。母の姿が見えたかどうかは記憶していない。
【解説】 最初のほうの場面では、人類が起こした核戦争、あるいは宇宙の始まりの様子でも見ているのかと思った。しかし最後には、それが自分が生まれる前に見た風景であったことを思い出し、私はなるほどと深く納得していたように思う。自分が生まれる前に本当にこのような光景を見たかどうかは定かでないが、いずれにしても恐ろしいほど美しい夢だったことには違いない。



15日●古城と湖
夜の風景。すぐ近くに巨大な古城があり、坂の下には湖がある。ここはヨーロッパのどこかかも知れない。月が出ていたような気もする。絵に描いたような静寂。気がつくと私はその坂を歩いていたのだが、その前後にどのようなことがあったのかは思い出せない。
【解説】 ここに書いたことは長い夢の一部だったと思うのだが、これ以外の部分をどうしても思い出せない。この夢は、泊めていただいた駐日インド大使公邸のゲストルームで見た。



16日●実は左利きだった私
前後関係はわからないが、最初に「左利きとは何か」について誰かと誰かが語っていたような気がする。そのうち、自分が手を使い作業をする段になって、私は自分自身が左手を使っていることに気づいた。大量のショートケーキを取り分ける際に、自由自在に左手を使って取り分けていたのである。なんと私は左利きだったのだ。人生52年目に知った驚愕の事実。
【解説】 子どもの頃は左利きだったにもかかわらず、親や教師に無理やり矯正されてしまい、今では右利きという人をたまに見かける。私の場合は最初から右利きだったそうだが(母・談)、しかしながら小学校1年生の終わり頃までは右手も左手も同じように自由に使えた記憶がある。両手で鉛筆を持ち、スラスラと鏡文字を書いては同級生から「まみちゃん、左手の字も綺麗だね!」と驚かれていたことを、昨日のことのように鮮明に覚えている。ということは、実は私、最初は左右両方の手が同じ程度に使えたのではあるまいか。今となっては左手は補助程度の仕事しかできなくなってしまったが、本来の能力を鑑みれば左利きにもなれたことは間違いないのである。残念!



17日●ガテン系オーストラリア人がやって来た
最初、私は広い原っぱのようなところにいた。脇のほうに煉瓦倉庫がいくつか並んでいて、地面には芝生が植えてある。その芝生の上を、私は全力で駆け下りている。原っぱ全体がなだらかなスロープで、私は下り方向に向かっているのでので、駆けても駆けても疲れない。煉瓦倉庫の一つに入ってみると、既に来客が到着していた。彼らはオーストラリアからやって来た人たちで、農業だったか工事だったか詳細は思い出せないが、何か肉体を使う作業をこれから始めるらしい。一人残らず短髪の筋肉質。ガチムチとまでは言わないまでも、いかにもガテン系だ。そのあと彼らの食事を用意しかけたかも知れないが、途中で夢がうやむやになったようで、続きは思い出せない。
【解説】 そういえば昨夜は、オーストラリアのテレビクルーが日本にやって来た時の想い出話をした。おそらくそれで今夜の夢を見たのだろう。



18日●……

【解説】 今夜は夜中に何度か飼い犬のパンダに起こされてしまった。そのためか夢の内容を思い出せない。



19日●「1000」という数
眼下に地上の風景が見える。風景はゆっくりと後ろのほうへ流れている。(ああ、自分は空を飛んでいるのだな)と気づくまでに数秒かかった。空を飛んでいる私の意識の中に「1000」という数がいきなり登場した。私は(なるほど、1000か)と納得している。亡くなったおばあちゃんの顔が一瞬だけ浮かんだ。そういえば祖母の名前は「せん」だった。こんなところにも「1000」の秘密は埋め込まれ隠されていたのだなと思い、私は一人で勝手に納得し感心している。
【解説】 何のことやら全くわからない夢。そもそも「1000」という数には全く思い当たる節がない。そういえば父方の祖母が夢に現われるのは、これが初めてのことではないだろうか。いや、正確に言えば祖母自身はこの夢に登場していないのだが、夢の中の私が意識の中で祖母に思いを馳せたという意味で懐かしい夢だった。祖母は「せん」という名前で、私が小学校に上がってすぐの頃に亡くなった。割と遠くに住んでいたこともあって、個人的な想い出はあまりないが、私に対しては優しい人だった。また、明治の女性であるにもかかわらず「男女差別はいけない」というジェンダー意識のある女性だったと記憶している。それにしても「1000」の秘密とは何だろう。夢の戯言かも知れないが、ちょっと気になる。
【後日談】 この夢を見た翌日、仲のよい男友達(アメリカ人マジシャン)がFacebookに「雪が積もった村の上空を飛ぶ夢を見た」「夢の中でとても美しい歌を聴いた」「聞いたことのない曲だったが、歌詞の一部を覚えていたので目が醒めてから検索してみたところ、実際にこんな曲が存在した」と書いていた。彼が紹介していたのは、クリスティーナ・ペリーの“A Thousand Years”(1000年)という楽曲である。私の夢と驚くほどシンクロしていないだろうか。



20日●古城の近くを歩く
美しく、懐かしい風景。静謐。近くに古城があって、その一部が視界の端に写っているような気がする。私は少し傾斜のある広い場所を歩いている。平安で、幸福な気持ち。
【解説】 具体的なストーリーを思い出せないのだが、ともあれ幸福な気分の残る夢だった。起床したとき、ほのぼのとした幸福感に満たされていたような気がする。それにしても15日に引き続き、またしても古城の登場である。残念ながら、今、手元に夢辞典がないのだが、何か深い意味があるのかも知れない。幸福な気持ちだったのだから、良い夢には違いないだろうが。



21日●同じ暗号を2度耳にする
夢の最初に、摩訶不思議な暗号のような言葉を耳にしたと思う。誰からそれを聞かされたのか、詳細は全く思い出せない。しかも、夢の途中まで私はその暗号の存在をすっかり忘れてしまうのだが。そのあと小さなエピソードが色々あったような気がするが、そのあたりの詳細は忘れてしまった。次に、誰かが私に暗号のような言葉を教えてくれた。その言葉を聞いた瞬間に、(それと同じ言葉を前にも聞いたことがあるのではないか)と、ようやく前回のことを思い出す私。その暗号は、3つの異なる言葉で成立している。そして、それぞれの言葉はカタカナで書くと4~5文字前後だったと思う。つまり暗号は「○○○○○・△△△△△・×××××」という言葉である。しかし最後の「×××××」の部分は、聞いた端からどんどん忘れてしまった。どこかにメモしておかなくちゃと思いながらも、私は何か別のことに気を取られて行ったような気がする。
【解説】 夢の中では暗号の最初と真ん中の部分はしっかり覚えていたのだが、目が醒めてみるとほとんど思い出せない。最初の「○○○○○」は女性の名前だったと思う。その名前を思い出そうとすると、私の目の前には何故かキミコさんという名前の旧友の顔が浮かぶのだが、しかし○○○○○はキミコではなかった。西洋の女性の名前だったと思う。何故キミコさんの顔が思い浮かぶのか理由がわからない。もしかしたら「キ」で始まる名前、キャシーかも知れない。次に△△△△△は「ヒュー」というような擬音、あるいは擬音のようなサウンドの単語だったと思う。最後の「×××××」が何であったかは、夢を見ていた時点で既にあやふやだった。一体全体この夢は何を言いたいのか、私にはまるでわからない。



22日●部屋にクシャクシャを投げ入れる
見知らぬ部屋を上から俯瞰している。それはおかしな部屋で、天井という物がないらしい。上がすっぽり抜けているようだ。私はその部屋に何かを投げ入れた。それは白っぽいクシャクシャした物で、素材はプラスティックと布と紙の中間のような、それらのどれとも違うような、見たことのないマテリアルだ。軽く、透過性があり、光沢があって表面はつるつるしている。その部屋は広い洋間で、どっしりした樫材で出来ていたと思う。同じく樫材で作った書棚が壁伝いに並び、そこに分厚い本がたくさん並んでいたような気がするから、あの部屋は誰か個人の書院だったのかも知れない。
【解説】 部屋に投げ入れたもの、あれは何だったのだろう。花の代用品だろうか。そういえばこの部屋には人はいなかったが、にもかかわらず人間の気配がしたような気がする。あれは誰だったのだろうか。



23日●危機からの脱出
詳しい状況はわからないのだが、この場所は危機に直面しており、ここに残れば間違いなく死ぬらしい。酸欠とか、その種の危機だと思う。私はこの場から脱出しようとしている。誰かがどこかに埋もれており、このまま放置すればその人は確実に死ぬらしい。助けたいのは山々だが、その人がどこにいるかを知る手掛かりは全くない。その人は赤の他人であるらしい。私は暫く救出を試みたが、自分自身がひどく息苦しくなってきたので第三者の救出は諦め、この場から撤退することにした。
【解説】 起床してみると、布団を頭からかぶっており、しかも犬が鼻の前にくっついていてひどく息苦しかった。どうやらこれが今夜の悪夢の原因らしい。やれやれ。



24日●雪の上に血の足跡
山小屋の庭に雪が積もっている。その真っ白な庭の上を歩いたところ、足跡が全て真っ赤になってしまった。どうやら長靴の裏に血が付いていたらしいのだ。これは血液の入ったバッグ(輸血用の?)を踏んでしまったことによって付着した血液であり、私が足を怪我しているわけではない。しかし誰かがこの光景を見れば、おそらく怪我を想像するだろう。あるいは殺人事件などを想像してしまうかも知れない。これは事件性のない血液なのだということを人々にお知らせしておかなければと思う。
【解説】 何のことやら全く意味のわからない夢。最近(自分を含めて)誰かが足を汚したことはないし、長靴がどうかしたこともないのだが……。



25日●なよっとした全裸の男
少し離れた前方に全裸の男が座っていた。パッと見た感じ、ギリシャの彫刻のようだなと思う。生身の人間かも知れないし石膏像かも知れない。男は少し悲しげな表情を浮かべた顔を横に向け、揃えた両脚の膝から下を斜めに流している。つまり、とても女性的な横座りなのだ。私は(ずいぶんなよなよした座り方だな)と思い、なるべく近づかないことにした。
【解説】 またしても意味不明な夢だった。そういえな昨夜は眠る前に誰かがFacebook上でギリシャのことを書きこんでいた。そのイメージの断片がこの夢には混入しているのかも知れない。しかし何故全裸のなよっとした人間または彫刻なのか。心当たりゼロ。



26~31日●……

【解説】 この間、夢を見た記憶がなぜかごっそり抜けている。というか、おそらく夢を見なかったのではないかと思う。不思議だ。





※夢日記の一部または全部を許可なく転載・引用なさることは固くお断りいたします。
©Mami Yamada 2004-2013 All Rights Reserved.