2013年5月


1日
●体育館と安全な拷問
学校の体育館のような建物。床の上に分厚いマットレスが置いてあり、その上に誰かが寝かされている。それは私かも知れないし私に似た誰かかも知れない。近くに2~3人の学生の姿が見える。おそらく女学生。彼らはマットレス上の人の腹部[胃のあたり]の上に平べったい円柱形の金属を乗せた。マットレス上の人が動くと天井からつるされた糸が切れて(?)、円柱形の金属の上に重りが落ちてくる仕掛けだ。しかし、万が一それが落ちて来ても下の人が死ぬことはないようだ。どうやら「安全な拷問装置」らしいのだ。私はマットレスの横に立って一部始終を見ている。
【解説】 普通に考えたら恐ろしい夢なのだが、それを見ながら私は慌てるでもなく、危機感を感じるでもなく、あくまでも観察者としてそこに立っていたと思う。しかしマットレス上の人が自分自身だったような気がするのは不可思議なことだ。


2日●丸いソファが並んでいる
前後関係はわからないが、目の前に丸みを帯びた小さなソファがいくつも並んでいる。クッション部分の色は落ち着いた感じのワインレッドだったと思う。その光景を見て、私は「○○ムなイメージだな」と思う。しかし「○○ム」という言葉の最初の部分が思い出せない。語尾が「ム」で終わる言葉が頭に浮かんだことだけは確かなのだが。
【解説】 今夜の夢には何か具体的なストーリーがあったはずなのだが、なぜかソファの光景しか思い出せない。「○○ム」が何だったかも思い出せない。
【後日談】 この夢を見た2~3日後、家族が丸っぽいワインレッドのソファを2つ持って来て、「これ、貰い物だけど欲しい?」と言ったのには驚いた。そのソファは、まさに夢で見た物と瓜二つだったのだ。家族の話では、ソファ(セカンドハンド)をくれたのは旅館経営者のMさん。旅館の名前もMさんのお名前も「○○ム」ではない。一体「○○ム」とは何だろう。気になる。


3日●舟と犬と爆弾と

シンプルな手漕ぎの舟が見える。舟の上には私が横たわっており、私の臍の上あたりには爆弾が乗っている。一定の刺激を与えると爆弾は爆発することになっているのだが、その「刺激」がどの程度の、どんな種類の刺激を指しているのかは皆目わからない。私の両脚の外側にはブースケとパンダが「伏せ」の体勢でじっとしている。その姿はどことなくスフィンクスを思わせる。もしも爆弾が爆発すれば、ブースケとパンダも道連れだ。私は身動きひとつせずじっと横になっている。
【解説】 今夜は夢の内容をメモした紙をうっかり捨ててしまい、一旦は夢の内容を忘れてしまったのだが、その後メモが見つかり無事にアップすることが出来た。ところで今日の夢は一昨日の夢(体育館と安全な拷問)と非常によく似ていた。腹部(お臍のあたり)に気をつけろというメッセージだろうか。


4日●ウナギの寝床のような部屋
細長い部屋がいくつも繋がって、一種のウナギの寝床のようになっている。いま私がいる部屋は、窓がなく薄暗い。デスクが幾つか置かれ理系の研究室のような雰囲気である。そういえば白衣を着た人が立っていたような気もする。だが私が用事があるのはその部屋ではなく、ここは通過点に過ぎない。
【解説】 この夢にはもっと別のストーリーもあったのかも知れないが、思い出すのはこの部分だけ。最後の「ここは通過点に過ぎない」ということが1つのポイントだと思う。


5日●風呂場で吐き気をこらえる女性
温泉あるいは公衆浴場のようなところ。私は大きな湯船につかっている。洗い場に中年女性とその連れ(まあまあ若めの女性2人)がいる。中年女性は吐き気をこらえているようだ。連れの若めの女性達が背中をさすってやっている。そのあと場面が飛んで、私は別の夢を見た。詳細は思い出せないが、舞台は都会(東京または東京に似た都市)で、そこでは何か活発なアクティビティーが行なわれたと思う但しその(詳細は何も思い出せないのだが)。次に気づいた時、私は再び最初の湯船の中にいた。見ると、洗い場には例の3人組がおり、若めの女性達が中年女性の背中をさすっている。私は(こんなところで吐かそうとするなんて、ずいぶん非常識な人たちだな)と思いながら目をそらしている。風呂場にいるほかの人たちも、内心どう思っているのかはわからないが、皆、何事もないように3人組から目をそむけている。そのうち中年女性がついに嘔吐したようだ(見えなかったが気配でそう感じた)。若めの女性達が「悪いものを外に出せて良かったね」という意味のことを言い、中年女性も気分がさっぱりしたように「本当ね」と答えている。
【解説】 イメージとしては、「何かいやなことを胸から吐き出すことにようやく成功した人の夢」という感じだった。その「嫌なこと」が何であるかはわからないが、大浴場の洗い場でストーリーが展開したことから見ても、「洗い流す」イメージを非常に強く感じた。最後に嫌なことを吐き出せたのだから、これは良い夢なのかも知れない。


6日●……

【解説】 今日は珍しく半分徹夜。そのせいか、夢を見たような記憶がない。


7日●自動車が静かに爆発
最初に何か長いストーリーがあったのだが、その部分は全く思い出せない。気がつくと私は広大な野原のような場所に立っていた。遠くには山脈がそびえ、すぐ近くにはススキのような植物が一面に生い茂っている。今は秋の終わりなのだと思う。私のそばには数人から10人以上の人間がいるようだ。彼らは私の「同胞」らしいのだが、顔は見えないし声も聞こえない。私は彼らに特に親近感を感じているわけでもない。と言っても、孤独なわけでもない。ただ私は(他の人々と同様に)この世界で一人ぽっちなのだとは思う。数十メートル先に、高台のような土手のような場所があって、そこだけ数メートルほど地面が高くなっている。その高台の上を、右のほうから自動車が走ってきた。と思う間もなく、自動車は静かに爆発した。大きなオレンジ色の炎が包む。私は周囲の人々にそのことを告げるのだが、誰一人として爆発に気づいた者はいない。また、爆発の事実を知らされた後も、彼らは慌てるわけでもなく、驚くわけでもなく、その場から動こうともしないし眉一つ動かない。それを見た私は少し不思議な気分になっている。そもそも、あれだけの爆発に音が伴わないとは奇妙なことだ。そのあと、場面が転じて私はどこか全く別のところへ行き、そこでスパイ的な面白い出来事に参加したと思うのだが、その内容はなぜか一つも思い出せない。
【解説】 こうして文章にしてみると、意外に淡々とした夢であった。しかし夢を見ている間、私は常にワクワクして非常に楽しかったのだ。ストーリーを忘れてしまった部分にこそ、何か極めて楽しい事柄が含まれていたのだと思う。思い出せないことは残念。


8日●……

【解説】 今夜は夢を見なかったような気がする。


9日●……

【解説】 今夜も夢を見なかった気がする。あるいは忘れてしまったのだろうか。


10日●政治家に噛みつく活動家
T子さんに向かってH子さんが「私たちはそんなこと知らずにやって来たのに……!」と大声でまくしたてている。私は心の中で(H子さんがいちばん変だわ)と思っている。
【解説】 何のことやらさっぱり意味のわからない夢。T子さんは政治家、H子さんはいわゆる社会活動家のような人。2人の間に接点はおそらくないと思う。


11日●何かが起こるボタン
ボタンのような物。地味な黄色の三重、四重の輪(◎)。これを押すと何かが起こるらしいが、私は押そうとはしない。
【解説】 その直後に誰かがボタンを押したような気もするのだが、ハッキリとしたことは覚えていない。


12日●古びたメニュー
古びて黄ばんだ紙。どうやらレストランのメニューのようだが、外側のほうはぼやけて良く見えない。
【解説】 ごく一瞬の夢だったが、なぜか懐かしさを感じた。


13日●忍者屋敷にて
忍者屋敷のような家の2階から急勾配の階段を降りようとしている私。眼下には黒光りのする立派な部屋が見えている。床は板張り。ここは古い日本家屋の厨房かも知れない。
【解説】 今夜の夢の中で自分が何をしていたのかわからないが、要は「くの一」的な何かをしていたのだろう。しかしこのあと何が起こったのかは思い出せない。


14日●顔が消えかかった男女に会う
建物の裏手のような場所。川が流れており、その横に荒涼とした感じの野原が広がっている。向こうから男女が寄り添ってやってきた。2人で1本の傘をさしていたかも知れないが、雨は降っていなかったと思う。すれ違いざま、彼らのどちらか(或いは両人)から「貴女もその辺の人と適当に付き合えばいいのに」という意味のことを言われた。よく見ると彼らの顔は半分ぼやけて消えかかっていた。私は(とんでもない)と思いながらさっさとこの場所を離れようとしている。
【解説】 なんとなく賽の河原を思わせるような場所だったが、この場所は現実にも存在する某所なのだ。どことは言わないが、取材で行ったことのある、少し恐ろしいイメージのところである。顔がぼやけていた男女は死者のイメージだったのかも知れない。


15日●謙遜し合うカバ
銭湯の男湯から「私なんかダメですから」、「いやいや、私こそダメなんだよ」と話し合う声が聞こえてきた。何かを謙遜し合っているらしい。気になったので近づいて行ってみると、話していたのは頭の上にチョンマゲを載せたムーミンのようなカバだった。
【解説】 今夜の夢で覚えているのはここだけ。意味は全くわからない(笑)。


16日●お坊さん風の詐欺師に騙される
お寺の本堂のようなところに私を含めた数人で座っていると、どこからともなくお坊さん風の中年男性がやって来た。彼は何か独特の口上を述べ、それを聞くうちに私たちは催眠術にかかったような状態になって、金品を男に差し出してしまう。男はそれらを全部取り上げ、1冊の本を畳の上に置いて「この本の中身には凄い価値があるので、今お預かりした品々とちょうど等価交換になる」というようなことを言い。すたすたと外へ出て行ってしまった。私は金縛りにあったような眠りの底にあるような状態で、返事が出来ないのだが、心の中で(これは質の悪い詐欺だ。でもこんなことを警察に訴えても信じてもらえないだろうか)と思っている。男がいなくなってからようやく体が自由脱御供養になった私たちが本を開いてみると、中は全ページにわたって白紙だった。
【解説】 詐欺師の男は最初から最後まで横顔しか見せてくれなかったので、どんな顔であったかは定かでない。一緒にいた人たちが誰なのかもわからないが、おそらく初対面のお年寄りだった気がする。


17日●……

【解説】 今夜は夢を見たような記憶がない。


18日●チャンドラ・ボース・ビルの謎
友達のOさんが真面目な顔で近づいて来て、「銀座3丁目のチャンドラ・ボース・ビルの謎は、解明されたのでしょうか」と言った。私はあわてて「あ、すみません、忘れていました。明日にでも調べます」と答えたような気がするが、その時にはもう、Oさんはどこか別の場所へ向かって旅立ってしまった後だった。Oさんは常に移動しているので、なかなかゆっくり話すことが出来ないのだ。次にいつ逢えるかはわからないが、それまでにチャンドラ・ボース・ビルの謎を解明しておこうと思う。
【解説】 この夢を見るまですっかり忘れていたが、そう言えば随分前に友達のOさんからチャンドラ・ボース・ビルのことで何か問い合わせがあった気がする。早く調べてあげなければ(汗)。


19日●……

【解説】 今夜も夢を見た記憶がない。


20日●Mさん、土手から転げ落ちる
土手にテープを張り巡らし、向こう側に落ちないようにしている。皆でテープのこちら側に立って向う側を見ていると、Mさんがいきなりつかつかとテープに近づいて行って、そのままテープの向こう側にすとーんと落ちて土手を転げ落ちてしまった。ざわめく声。暗がり。Mさんがどうなったかはわからない。
【解説】 Mさんはカウラの元捕虜だった92歳の男性。最近、老化が進み、足元がおぼつかなくなってきている。ご本人もそのことはよくわかっていて、私に会うたびに「足が言うことを聞かない」と仰る。そのことが今夜の夢になったものと思われる


21日●猫を犬に見せる
鼻がぺちゃっと潰れた白い猫が、犬のほうに向かってやって来た。誰かがその猫をブースケとパンダに見せている。私の目にはブースケとパンダの後ろ姿が見えている。
【解説】 ここ暫く、見知らぬ2匹の猫が山小屋の周辺をうろつきまわっている。大きな白い猫と黒い猫だ。何が困るって、孵ったばかりの雛鳥を狙っているらしいのが困る。ブースケとパンダが猫のほうに近づかないよう注意しているが、今夜の夢では逆に猫を見せていた。どうも合点のいかない夢である。


22日●白い布を縫ってあげたい
白い布が見える。旅館の仲居さんのような雰囲気の中年女性が通りかかったので、私は彼女に向かって「あ、縫っておいてあげてくださいね」とお願いした。すると中年女性はこっくりと頷いて、そのままどこかへ行ってしまった。白い布はテーブルの上に放置されている。(これでは紛失するのも時間の問題だな)と私は思っている。
【解説】 意味不明の夢だが、イメージとしては白い布は千人針のような戦争関係の何かだった気がする。「縫ってあげる」相手は、兵隊さんか元捕虜ではないだろうか。


23日●お富さん
「死んだはずだよお富さん」という春日八郎さんの歌声が聞こえる。ああ、またこの歌か。今週はずっとこの歌ばかりが頭の中で回っている。歌詞の中の「これで一分じゃ済まされめえ」の「一分」とは、今でいうとどれぐらいの貨幣価値なのだろうかと私は思い、そのことを父に尋ねようとしている。
【解説】 ここ何日か、「お富さん」のメロディーが頭の中でぐるぐる回っている。この曲は私にとっては懐メロで、同時代的な想い入れは全くないし、実は歌詞もよく知らない。だから、何故この曲が頭の中で回っているのか理由が皆目わからないのだが、今夜はついに夢の中にまで侵食してきた。おかしな話である。ちなみに私の父は9年前に亡くなったが、そういえば私が高校生ぐらいのときに一度この曲の歌詞について父と意見を述べ合ったことがある。色々と懐かしいような、不思議な夢だった。なo
「お富さん」はこういう曲です。



24日●……

【解説】 今夜は夜中のとんでもない時間帯にパンダ(9歳♀狆)が2度も起きて外に出たがり、そのたびに起こされていた。そのため睡眠のリズムが狂い、見たはずの夢を完全に忘れてしまった(注:夢を見たということだけは覚えているのだが)。


25日●一瞬にして眼鏡が完成する自動販売機
一瞬にして眼鏡が完成する便利な機械が出来たという。眼鏡が出来上がるまでの待ち時間は、わずか2~3秒ほど。自動販売機の前に立っただけで、自分にぴったりの眼鏡が(しかも自分が望んでいた通りのデザインと色で)あっと言う間に完成し、取り出し口から出て来るのである。視力検査をする必要も、デザインを選ぶ必要もなく、それどころかお金を入れたりボタンを押したりする手間さえ必要なかった気がする。私は道端の大きな木の下に置かれた自動販売機で眼鏡を手に入れた。フレーム色はたしかグリーンまたはオレンジだったと思う。現金もカードも何も使わなかったので、どのようにして代金が支払われるのかは謎。
【解説】 この夢を見て、急にグリーンのフレームのメガネが欲しくなった。新調しようかしら。


26日●太鼓橋の上でダメな男に遭う
私は砂っぽい道の上を歩いており、進行方向には小さな太鼓橋が見えている。対岸までの距離がせいぜい5~6メートルほどの小さな木造の橋だが、全体が見事なアーチ形を描いている。橋を渡りはじめた私のそばには同行者が2~3人ほどいたような気がするが、なにしろ顔が見えないので、彼らが何者なのか見当もつかない。そのとき前方から一人の男が歩いて来た。目鼻立ちのはっきりした、眉の濃い、50代後半と思われる男で、あまり感じのよろしくない薄笑いを浮かべていたと思う。その薄笑いを見て、私は内心(この人は敵だ)と思ったような気がするのだが、そのあたりの自分自身の心境は定かではない。私が男に何かを渡すと、男はそれを落としてしまう(落とした場面を見たわけではなく、そんなイメージが私の脳裏に沸き起こっただけかも知れない)。いずれにしても私は(この男はダメだ)と改めて思った。
【解説】 意味のわからない夢だが、今夜の夢に登場した「ダメな男」の顔はハッキリと思い出すことが出来る。現実世界でこの男が現われたら気をつけようと思う。


27日●命令口調の獅子舞の人
かくかくしかじかだから、このようにしなさい」という指示が出た。獅子舞の人がやって来て、神社の前で命令口調で結論だけを述べた。つやつやした緑色のたてがみが見える。
【解説】 何のことやらサッパリ意味のわからない夢だった。命令されたことは確かだが、何を命令されたか定かでない上、私はその命令を傍聴していただけで関係者ではなかったような気もする。



28日●捕虜とバツで消された「はじめ」
捕虜たちの顔が次々に浮かんでは消える。「はじめ」と平仮名で書いた上をバツ印で消してあるのが見える。誰かが流産する。菩薩様に願掛けをしようと思う。
【解説】 昨夜に引き続き、今夜もわけのわからない夢だった。たくさんのことが次から次へと無秩序に現われては消えて行ったが、そのなかで印象的だったのは「捕虜」だろうか。すると「はじめ」はカウラで突撃ラッパを吹いた元捕虜の豊島一さん(偽名は南忠男)のことかも知れない。い


29日●果物について家族がコメントする
果物が見える。おそらくスーパーマーケットのような場所。その果物がマンゴーだったかバナナだったか、どうしても思い出すことが出来ない。そのことについて家族が何か一言面白いコメントを述べるのだが、それがどんな言葉だったかも全く思い出せない
【解説】 「果物の夢だった」ということ以外は、どういう夢を見たのかほとんど何もわからない。この夢を見た数日後にスーパーの果物売り場の前を歩いていて、一瞬、夢の内容が喉の奥のほうからせり上がってくる感じがしたのだが、残念ながらやはり思い出すことは出来なかった(とは言え、それほど重要な内容の夢だったような気もしないのだが)。


30日……
【解説】 このところ寝不足が続き、今夜は久々に爆睡した。そのためか夢を見た記憶がない。


31日●……

【解説】 3日ぶりに長野に帰ってみれば、なんとブースケに盛りがついており夜中じゅう大騒ぎ。何度も起こされてしまい、夢を見るどころの騒ぎではなかった。




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