2020年4月27日(第647号)
今週のテーマ:7日間ブックカバーチャレンジ~第5日目 |
ここ数日「本の紹介文」ばかり書いておりますが、逆に私が書いた本を絶賛してくださっている方からご連絡がありました。
『アッチャー・インディア 読んだり聴いたり考えたり』という人気サイトを主宰していらっしゃる軽刈田凡平(かるかった・ぼんべい)さんがその方で、同サイトの4月24日号で拙著『インド大魔法団』と『マンゴーの木』を熱く紹介してくださっているんです。
出版してから20数年も経った2冊を絶賛していただくとは、まさに作家冥利に尽きますね。
題してインド魔術の神秘に迫る!山田真美さんの名著『インド大魔法団』『マンゴーの木』
こちらからお読みいただけます。 |
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Day 5 of the seven-day book challenge:
ネット上で流行中の「7日間ブックカバーチャレンジ」。
7日間ブックカバーチャレンジ
~第5日目~
『老人と海』
(The Old Man and the Sea)
ヘミングウェイ著 |
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思えば私は、「男同士の友情」をテーマにした作品が昔から好きなのかも知れません。
たとえば「好きな映画を挙げなさい」と言われたら、上位のほうに間違いなく、
『スタンド・バイ・ミー』
『スペース・カウボーイ』
この2本を挙げるでしょうからね。
あ、言っていることの意味がわからないですか? すみません。
大雑把に言いますと、『スタンド・バイ・ミー』は小学生男子4人が「死体」を探しに行く話、『スペース・カウボーイ』はおじいさん4人がガチで月へ行こうとする話。
どちらもアメリカの映画です。
両者は、一見関係がなさそうに見えますが、どちらも4人の男たちの友情、それも破格の友情を描いた名作なんです。
4人の男のうちでも、特に重要な人物がそれぞれ2人いまして、前者ではリヴァー・フェニックスとウィル・ウィトン、後者ではクリント・イーストウッドとトミー・リー・ジョーンズがそれぞれ演じています。
そして、これらの映画を観たあとで、私なんかはしみじみ想うわけですよ、
「ああ。小学生も老人も、男子は男子だな。要は、何も変わらないんだ……」
と。
まあ、その話は置いといて、今日ご紹介する一冊は『老人と海』です。
読み方は色々あるでしょうが、私が思うに、これは間違いなく「男と男の友情」の物語ということができるでしょう。
しかも、その組み合わせが面白い。
「小学生と小学生」ではなく、「老人と老人」でもなく、ここで描かれるのは「老人と少年」の友情です。
と言っても、二人はベタベタくっついているわけではない。
政治を語ることも、学問を語ることもない。
二人とも海の男ですから、ある意味、バリバリのガテン系です。
口べた。
そして、とても心がまっすぐ。
老人は孤独です。一人で生き、一人で行動している。おそらく死も近い。
そんな老人を慕い、尊敬し、思いやる一人の少年。彼は長い人生を歩き始めたばかり。
当然、二人が共に過ごせる時間はわずかです。
そこで起こる、きわめてシンプルな出来事。
「シンプル・イズ・ザ・ベスト」を地で行くような淡々としたストーリー展開。
っていうか、大事件とか、一大スペクタクルとか、どんでん返しとか、ほとんどないの。
あるにはあるんだけど、地味なの。
なのに、何なの、この、心にじわじわと滲んでくる描写は?
中学生でもわかるような平易な英語なのに、なぜだ!?
ストーリーはわかっているのに、読むたびにその表現に胸打たれて、私など毎度毎度、滂沱の涙です。
恐るべし、ヘミングウェイ。
死ぬまでに一度は読んでください。
心がきれいになります。
英語の原書でなく日本語がよいという方には、福田恆存訳をオススメいたします。名訳です。
ちなみにヘミングウェイは1954年に同書でノーベル賞を受賞したあと、同年、二度の飛行機事故に遭って健康を害し、1961年に猟銃自殺してしまいました。
ですからこの作品は、ヘミングウェイが私達に残してくれた最後の作品ということになります。
合掌。
明日(第6日目)へと続く。
★「ブックカバーチャレンジ」とは?
★読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊7日間投稿するというもの
★ルール
①本についての説明はなしで、表紙と画像だけアップ
②毎日お気に入りの1冊を投稿してみます。
③その都度1人のフェイスブックフレンドを招待し、チャレンジへの参加をお願いする。 |
▼・ェ・▼今週のクースケ&ピアノ、ときどきニワトリ∪・ω・∪

山へ遊びに来たポケモンとピアノ。
(※前号までの写真はこちらからご覧ください) |
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