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2016年9月11日号(第558号)
今週のテーマ:
インド工科大学ハイデラバード校~2年目の成果
お知らせ: 日本最大級のインド祭「ナマステ・インディア2016」にて今年もレクチャーをいたします。
演題:
「入試倍率100倍超のインド工科大学(IIT)の学生たちは日本をどう見るか」
とき: 9月25日(日)14時30分より15時30分まで
ところ: 代々木公園 ナマステ・インディア 特設会場 エアインディア・セミナーハウス
入場無料・予約不要です。お気軽にお越しください♪
 「週刊マミ自身」の更新が恐ろしく滞ってしまいましたこと、まずは心よりお詫び申し上げます。

 インド行きを目前にして、折悪しくパソコンが昇天。新しく購入したパソコンに漏れなく搭載されてきてしまったWindows10が予想以上に理解不能なことに加え、新しいフォトショップの仕様にもなかなか親しめず、パソコンがらみの受難が続いて2か月以上も「週マ」を放置してしまいました。

 この体たらく。どうかお許しくださいませ。
 m(_ _;)m

 さて、既にお伝えしてありましたとおり、8月はインド工科大学ハイデラバード校で短期集中講義をしてまいりました。

 同校で全14回の講義を行なったあとは、ハイデラバードからさらにムンバイへ飛び、インド工科大学ボンベイ校ティラク・マハラシュトラ・ヴィドヤピート(サンスクリット語と日本語の教育でつとに知られる大学@プネ市)でそれぞれ特別講義

 ……というわけで、今年は昨年にも増しての大仕事でした。

 ちなみにハイデラバードでの講義初日(8月2日)は、たまたまブースケの四十九日が明けた翌日に当たっていました。優しかったブースケのことですから、そこはちゃんと計算し、私の仕事が始まる直前に喪が明けるように気を使って逝ったのではないかと、そんな気がしてなりません。

今回のハイデラバード出張用に、ブースケが微笑む名刺を用意してみました。
これを見れば元気百倍!
 さて、インド工科大学ハイデラバード校での私の講義は、宗教と神話―特にインドから日本にやって来た神々のエピソード―を通じて日本史と日本文化を縦横に学び、現代日本への関心を持ってもらうことを目的としています。

 端的に言えば、いずれインドはもとより世界を背負って立つであろう同校の学生たちのなかに一人でも多くの親日家に育てることが私のミッション。

 講義タイトルは昨年と同じく「日本に於けるインドの神々―その歴史・独自性・優位性」としましたが、今年度は日本人の平均値を数値で表わし、平均的な日本人の一生、平均的な日本人の一年をビジュアルで具体的に示すといった内容を新たに盛り込んでみました。

 神話から始まった日本探訪を、現代日本のリアリティにまで掘り下げてみたわけです。

 特筆すべきは、昨年はわずか6名に過ぎなかった授業履修者数が今年はなんと27倍強に当たる164名にまで激増したこと。
 昨年度の授業が面白かったという評判が口コミで広がったようで、本当にありがたいことでした。
 
こちらは教材として日本から持参した品々。見るからに楽しそうな授業でしょう(笑)。



今年も昨年と同じ教員住宅にお部屋を頂きました。旧キャンパスの近くにあります。
(ここから大学の新キャンパスへは専用車で約30分を要します)



国道沿いの新キャンパスの正門。何もない荒野にところどころ建物が建っているような、
まさに「現在建設中」のキャンパスです。



昨年は旧キャンパスで講義をしましたが、今年からは完成したての新キャンパス。
右から3番目の棟の5階(日本式に言うと6階)にオフィスをいただきました。



ここが私のオフィスです。



オフィスのある建物から見た講義棟(向かって左側の建物)。
次回私がハイデラバードへ行く時までには右側の建物も完成していることでしょう。



こちらは授業風景。講義棟の3階(日本式で言う4階)の教室で行なわれました。



授業風景。



インドでも問題になって久しい「ジェンダー問題」も大いに取り上げました。
草食男子と肉食女子はインド工科大学生が最も関心を持ったテーマの一つ。



日本の「知るカフェ」の海外第1号店は、ここインド工科大学ハイデラバード校にあります!
毎日3杯まで無料で飲み物をいただくことができるとあって大人気でした。
※拙著『運が99%……』をお持ちの方は79ページ以降をご参照ください。



講義棟から見た正門方面の様子。だだっ広いキャンパスの大部分はまだ空地のまま。
向こうに見えるのは建設中の建物です。全ての建物が完成するまでに要する時間は、
あと10年とも20年とも言われていました。



講義棟の地上階に設けられた禅ガーデンっぽい空間。
立ち入りOKなところが「さすがインド」って感じですね。



食堂の入り口にて、仲良くなった学生たちと。
この建物に関しては「日本の建築家が設計した」「日本にもこれと似た建物がある」
との噂が飛び交っていましたが詳細不明。ご存じの方はぜひお知らせ下さい!



こちらは2015年に講義を履修してくれた学生たち。
この子たちが口コミで広げてくれたお蔭で164名もの学生が集まったんですね。感謝。
写真は今回の訪問中、彼らと一緒にモールで休日を過ごしているところ。



同じく、2015年の学生たちとレストランで食事中。
一人残らず「日本が大好き」で、将来は日本への留学や訪問を夢見ています。



気分転換の「メヘンディ」もしました。
ヘナで描く模様。10日ほどで自然に消えてしまいます。



かつてダイヤモンド鉱山があったゴルコンダへ週末プチ旅行。
ここはハイデラバード観光の目玉です。小公女セーラの父(英国
人)がダイヤモンド鉱山に手を出したのはゴルコンダという設定。
エリザベス女王の冠を飾る最大のダイヤもゴルコンダ産です。



同じく週末のプチ旅行でハイデラバード市内の「魚の形のビル」を訪ねてみました。
ここは水族館ではなく水産庁のようなお役所なんですよ。随分と頭が柔軟ですね!



別の週末は朝から晩まで寺院めぐり。
こちらはシヴァ神夫妻を祀ったウマ・マヘシュワラ寺院。



こちらはインド工科大学ボンベイ校数学科名誉教授のリマエ先生。
昨年、奥さま(同じく数学者)とご一緒にハイデラバードに赴任なさっていた際、
私と一緒の教職員住宅をシェアハウスした仲間です。今回はムンバイで再会。



ムンバイは町中がガネーシャ祭りの準備に湧いていました。
こちらはお祭りに使われるガネーシャ像(張り子)の製作工房。



工房で自分のために小さなガネーシャ像を買い求めました。
素焼きの張り子。壊さぬよう抱きかかえて持ち帰りましたよ。
右手前はガネーシャの乗り物とされるネズミです。



日本への帰国時のトランクの中身。メインはガネーシャ&ハヌマーンのぬいぐるみと
Sula(インドを代表するワイン)、それにインドで仕立ててもらった民族衣装の数々。
 今回、インド工科大学ハイデラバード校では履修者全員に架空の日本人を主人公とした物語を書かせ、このレポートをもとに成績をつけました。

 物語は自由作文ですが、次の4点を守るように伝えました。

(1) 自分の分身(アバター)として架空の日本人をひとり創出し、氏名、生年月日、家族構成その他の具体的な人物設定をすること。
(2) ただし物語の底に流れる歴史や文化は、実際の日本史・日本文化に即したものとすること。
(3) 物語のなかに日本に渡ったインドの神を必ず登場させること(例:弁才天、毘沙門天、大黒天など)。
(4) 提出期限を厳守すること。

 この課題を出したあとで、

しかし待てよ……

と私は思いました。なにしろここは「工科」大学。入試は数学・物理・化学の3教科だけしか行なわれませんから、普通では考えられないような極度の文系音痴も多い環境なのです。

小説のようなものを書くのは大の苦手という学生が多いかも?)

 そんな心配が一瞬よぎったのですが、蓋を開けてみればあにはからんや。学生たちからは続々と力作が集まり、しかも長文が多かったため164名分を採点するのが至難の業でした。

 なかには「続編を書きたいので原稿を添削してくれませんか」と申し出た学生もいるほどで、私は彼らの中の作家魂に火を付けてしまったのかも知れません(笑)。

 学生たちの作文を私の手元に置いておくだけでは勿体ないので、近日中にインド工科大学のウェブ上にて全作品を公開できるように働きかけたいと思います。今しばらくお待ち下さい。

 既に述べましたが、私の使命はインド工科大学に一人でも多くの親日家を増やすこと。今回ハイデラバード校で起こったプチ日本ブームを、引き続き次回へ繋げてゆきたいと思います。

 また、今回の授業内容を本にまとめて出版しないかというお話も既に頂いており、実現の方向でお話を進めております。

 そんなこんなで、ますます(よい意味で)忙しくなりそうな嬉しい予感。
 引き続きご声援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

 今回のハイデラバード滞在に関するより詳しいお話は、来る9月25日にナマステ・インディアいたします。お時間がございましたら是非ともご来場くださいね。お待ちしています。

 ではでは♪
 ▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪ 


孫娘に絵本を読んでもらうパンダ

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2016年9月11日
山田 真美
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