2004年7月10日号(第139号)
今週のテーマ:この世の果て |
【 お 知 ら せ 】
●ヒマラヤ取材から戻り一息ついたのも束の間。NHKのハイビジョン特集「カウラの大脱走〜オーストラリア日本兵捕虜・60年目の証言」(12月放送予定、110分番組)の制作に携わることが決まり、更に忙しい日々を過ごしております。そのため暫く「週刊マミ自身」の更新が不定期的になる可能性がありますが、何卒お許しください(次回更新は7月24日を予定しております)。なお、カウラ事件の概要はこちらをご参照ください。
●現在発売中の『和樂』8月号「直島地中美術館」特集に、現代アートの巨匠ジェームズ・タレル氏と山田真美の対談が掲載されています。何卒ご高覧ください。『和樂』のホームページはこちらです。 |
インドの北の果て、ヒマラヤの遥かなる稜線があの世とこの世を分かつあたりに、かつてヒマラヤの五大王国の一つとして栄えた仏教の都、ラダックがあります。
西洋の人々がMOON LAND(月世界)と呼び、インドの人々もTHE LAND BEYOND(向こう側の世界)と呼ぶこの一帯は、まさにこの世の果てとも言うべき秘境。
そのラダックを代表するヘミス・ゴンパ(※ゴンパ=仏教寺院のこと)で6月27日〜28日にかけて行なわれた申(さる)年の大祭を取材して参りました。
今回の取材クルーは、『和樂』編集部の高木史郎さん、カメラマンの小西泰夫さん、それにカメラマン助手の伊藤さん。
私にとっては3度目、他の3人にとっては初めてのラダックです(小西さん以外の2人は今回がインド初体験)。なかなかエキサイティングな道中となりました。
詳細なエッセイは『和樂』10月号(9月6日発売予定)の特集でお読みいただけますが、今日のところは、私がデジカメで撮影したラダックの撮れたてレポートをお楽しみください。 |

デリーからラダックに向かう飛行機
の窓に映った風景。荘厳な雲の動
きに、思わず息を呑んで見惚れて
しまいました

ここがラダックでの宿舎先、「ラダック・サライ」。
パオ式の高級ホテルです。各室にシャワールー
ム付き。ソーラーエネルギー利用で、熱湯もふん
だんに使えるのが嬉しい♪

私が泊まったパオ(ラッキーナンバーの9号室)
の窓の外に広がっていた素朴な景色

こちらはラウンジの内装。ここで本を読んだり、お
酒を飲んだり…

ダイニングホールにて(左から)カメラマン助手
の伊藤さん、カメラマンの小西さん、編集者の
高木さん、私。民族衣装を着た男の子たちが
給仕してくれます |
かつてラダック王国だったこの場所は、現在はインド共和国ジャンムー&カシミール州に属しています。
平均標高3500メートル。酸素が薄いことは言うまでもありませんが、年間降雨量がわずか80〜90ミリ程度と極度に少ないため、空気の乾燥がひどく、ちょっと油断しただけで肌(特に唇や鼻腔)がカサカサに乾いてヒビ割れてしまうような苛酷な環境です。
私はモイスチャライザーを常に携行して、暇さえあれば全身に降りかけていましたが、それでも目の周囲などが乾燥し、夜中にヒリヒリ痛んで目が醒めてしまったほど。
日ごろ海抜数十メートル程度の低地(東京)で安穏と暮らしている私たちにとって、ラダックは、そこに存在すること自体が重労働と言いますか、ある意味、生きてゆくだけでも大変な住環境なんですね。
そんな過酷な環境の中に美しい仏教美術が花開いたこと自体、何かたいへん暗示的な気がしませんか?
さて、今回の取材の目玉である、ヘミス・ゴンパで12年に1度だけ行なわれるヘミス大祭は、今回は6月28日〜29日の開催となりました。
お祭り前日の27日にロケハンに行ってみたところ、(予期していたことではありますが)多くの善男善女が早くも場所取りを始めていました。聞けば遠くの村々から、長距離バスを乗り継ぎ、あるいはヒッチハイクで来たのだそう。お祭りを前にして、みんな本当に嬉しそうな顔をしています。 |

お祭り前日、早くも場所取りをして
いた善男善女たち

同じく、お祭り前日の風景。このあたりの女性は
お婆さんになってもロングヘアの三つ編みなん
です(女学生チックでとっても可愛い♪)

お祭り前日、本堂の中ではさまざまな宗教儀
式が執り行なわれていました。集団の読経は
迫力満点です!

お祭り当日、朝4時半。寺の壁面に大きな「タン
カ」が掛けられました。12年に1度、このお祭り
でしか拝見することの出来ない特別な「タンカ」
で、チベット仏教の守護仏と言うべきパドマサン
ババが描かれています

日が昇り、今やハッキリと「タンカ」を
見ることができます。お寺の境内と
言わず、バルコニーや屋根の上と言
わず、人、人、人で一杯!

近隣の仏教寺院から駆けつけたお坊さんたち。
右側に立っている一団は、尼さんです

イスラエルからお祭りを見に来ていた女の子たち
にヘブライ語で話し掛けたところ、一気に話は弾
み、インドについて熱く語りまくりました(笑) |
ヘミスの大祭を取材した翌日からは、近隣にある他のゴンパ(仏教寺院)を片端から見て歩きました。 |

一回転させただけで「オーム・マニ・ペメ・フー
ム」という最強マントラを100回唱えただけの功
徳があると信じられている「マニ車」。ヒマラヤ
の仏教寺院の入り口には、必ず設置されてい
ます。心なしか神妙な面持ち?でマニ車を回
す高木さん

ティクセ・ゴンパにて、僧侶から歓
迎の白布を掛けていただく私。 後
方で神々しい光を放っているのは
マイトレヤ(弥勒菩薩)像

シェー・ゴンパの仏像の横顔。向こ
う側に立っている私が見えますか?

ヒマラヤ仏教を象徴する5色の旗。至るところに
翻(ひるがえ)っています

乾いた大地、青い空、沈んだ赤色
の僧衣。典型的なヒマラヤの風景 |
このあたりの多くのゴンパは2階建てになっており、室内に吹き抜け部分があります。そこに大きな仏像が安置されていて、1階部分からは仏像の足が、2階部分からは仏像のお顔が間近に拝めるわけです。
今回、ラダックの主だったゴンパの仏像をすべて見て回った私たちですが、私が最も心を奪われた仏像は、バスゴーという古い都で逢った弥勒菩薩でした。 |

今回のヒマラヤ滞在中、私が最も心を動かされ
たバスゴーの弥勒菩薩像。 一般公開されてお
らず、半分壊れかけたゴンパ(少しずつ修理中
とのこと)の中にひっそり安置されていました。
ご住職のご好意で拝観させていただくことがで
きました

弥勒菩薩の持つ圧倒的な美しさ |
弥勒菩薩とは、ご存知のように釈迦の入滅後56億7000万年後にこの世に現われるとされる菩薩のこと。
この天文学的な数字を導き出した古代宗教観のスケールの大きさ! さすがにゼロを発見したインド人だけのことはあります。 |

偉人の死を悼み建てられた古いス
トゥーパの前にて

雨の少ないラダックには珍しく、こ
の日はもくもくと雲が湧き上がって
いました

中央仏教研究所にて。(左から)『夜明けの晩
に』執筆の際にも資料探しを手伝ってくださっ
た図書司のドルマさん、僧侶で仏教学博士の
リグゼンさん、私

ラダックの現マハラジャ(第38代マハラジャ)で、
私にとっては10年来の友人でもあるジグメット・
ワンチュック・ナムギャルさん(通称ジギー)と、
城内の“謁見の間”にて

ラダックのマーケットで民芸品をシ
ョッピング

洋の東西がぶつかり合う場所だけ
に、チベット風の民芸品からアラブ
の香るカーペットやパシミナまで揃
っています |
ところで、ラダックと言えば拙著『夜明けの晩に』の中で、主人公の満奈たちが取材に出かけた先。ショッピングの合間に、満奈ゆかりの地(?)にも足を伸ばしてきました。 |

今回は満室のため泊まれませんでしたが、ここ
カングラチェン・ホテルは、満奈や鳥居さんたち
が泊まったという設定のホテル。ちなみに満奈
の泊まった部屋は、2階の向かって右端、鳥居
さんの部屋はその左。ここには坂本龍一さんも
お泊りになったことがあります |
…というわけで、ラダック取材は無事終了。
『和樂』10月号にはかなり詳細なエッセイを載せますので、何卒そちらをお楽しみにお待ちくださいマセ♪ |

滞在中はショッピングも楽しみました。皆さんへ
のお土産もご用意しましたよ〜 (下の写真をご
参照ください)

【読者プレゼントその@】ヒンドゥー
教の神様の絵入りポーチと、手作り
お香のセット

【読者プレゼントそのA】サンダルウッドの数珠
(珠が108個付いた正式なものです)。インド風
の小袋に入れてお贈りします

【読者プレゼントそのB】インドのオリジナルゲー
ムLUDOと、ヒンドゥー教の神話の劇画をセットで |
プレゼントご希望の方は、
(1)希望の品番号
(2)お名前(ご本名)
(3)郵便番号、ご住所、お電話番号
(4)ハンドルネーム(当選者のお名前として当HP上で発表してもかまわない名前)
(5)「週刊マミ自身」へのご意見や、今後取り上げて欲しいトピックス、山田真美へのメッセージなど
※(2)と(3)はそのまま賞品発送先となります。マンション/アパートの方は部屋番号までご記入ください。
以上の事柄をご記入の上、メールにて boosuke@badboy.co.jp までご応募ください。
締め切りは7月23日、当選者発表は「週刊マミ自身」第140号(7月24日更新予定)です。たくさんのご応募、お待ちしていま〜す。
ではでは♪
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★★今週のブースケとパンダ★★

突然空を見上げ、何かに驚いているご夫妻。
UFOでも発見した?!
※前号までのブースケとパンダの写真はこちらからご覧になれます。
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