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直前号「インド最北東部3州からの帰朝報告②マニプール」は
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2019年8月2日(第628号

今週のテーマ:
インド最北東部3州からの帰朝報告③アッサム
 
お知らせ① カウラ事件75周年記念式典・慰霊行事
カウラ事件はこの8月5日で発生から75周年を迎えます。元日本兵捕虜の村上輝夫さん(98歳)とご一緒に、今年も現地を訪問いたします。今回は村上さんの曾孫娘さんが初同行なさることになり(しかも初海外旅行!)、これまで以上に実り多き旅になることでしょう。8月5日の式典には日本からも多くのメディアが取材に見える予定ですので、当日は各メディアの報道にご注目ください。

なお、5年前と7年前に引き続き今回もご一緒にカウラを訪問する唄淳二さんが、「村上さんと曾孫娘さんの旅行費用を支援したい」との一心からクラウドファンディングを立ち上げてくださいました。美味しいカウラ産ワインをお買い上げいただくことで支援ができます。ワインと「村上さん×山田真美講演会」のチケットがセットになった商品もあります。
→ 「村上輝夫さんをカウラへ!クラウドファンディング」詳細はこちらからご覧ください。
 
※信濃毎日新聞(2019年7月31日朝刊)でもご紹介いただきました
お知らせ② ナマステインディア講演
今年もナマステインディアにて「本当は怖いインド神話②」と銘打った楽しい講演をさせていただきます。9月29日(日)、場所は代々木公園、参加無料・申込不要です。詳しい時間が決まり次第、こちらで告知いたします。どうぞお楽しみに♪ 
 お知らせ③ カウラ事件75周年報告講演会
10月に村上輝夫さん(元日本兵捕虜・カウラ事件サバイバー)と私とでカウラ事件75周年記念行事の報告講演をいたします。場所は東京のオーストラリア大使館を予定しています(交渉中)。日程など詳細は決まり次第発表させていただきます。
 
インド最北東部を州ごとに表わした地図
Wikimedia Commonsよりお借りしました)
[ ブログ本文ここから ]

 インパール作戦75周年記念行事への出席を無事に終えた私は、当初の予定ではそのまま日本へとんぼ返りするはず……だったのです。

 その予定が急きょ変更になったのは、旅のスケジュールを立てている最終段階でした。

 フェイスブックの友達限定ページにインパール行きについて書き込んだところ、たまたまそれを読んでいらっしゃったインド工科大学ハイデラバード校の博士課程の学生さんから、

「マミ先生! どうせそこまでいらっしゃるならアッサム州まで足を伸ばすおつもりはありませんか。州都のグワハティにインド工科大学グワハティ校があります。そちらに私の恩師がいらっしゃいます。きっとマミ先生の講義を拝聴したいはずです。ぜひとも立ち寄って、日本文化や日本史をテーマに興味深い講義をしてやってくださいませんか」

と、声がかかったのです。

 そこからはあれよあれよと言う間に話が進み、旅の最後にインド工科大学の教壇に立つことがその日のうちに決まった次第。

 インド人の時間感覚というと、とかく何もかもがゆっくり……というイメージがあるかも知れません。

 が、しかし、千載一遇のチャンスに関する事柄になると、私の知る限り、少なくともインド工科大学の関係者に限って言えば、非常に決断力があり、物事の決定が驚くほど速いんです。

 チャンスは逃さない、このいざと言う時のスピード感、私たち日本人も見習ったほうが良いかも知れませんネ♪

広大なキャンパスの中を、学生さんたちの案内で
オートリクシャで散策。森あり、池あり、蓮沼あり。
先日は野生のレオパードがどこからともなくやって来て
騒動になりかけたようですが、やがて自分から静かに
山の方へ帰って行ったそうです(汗)。



教授らを対象に行なった特別講義。
「最初にインドを訪れた日本人は誰でしょう」との質問に
本気で考え込む教授の皆さん。皆さんはおわかりですか?
(正解はこのページの最下部)



日本人の宗教的・文化的メンタリティを説明する
ときには「本地垂迹説」を引き合いに出すことにしています。
わかりにくい日本人の宗教観ですが、本地垂迹を例に出せば
外国の方々も「なるほど!」と理解してくださいますよ。
 さて、グワハティでの滞在は非常に短いものだったのですが、その間に非常に貴重な体験をすることができました。

 年に一度行なわれるヒンドゥー教の大祭、アンブバチ(Ambubachi)に参加することができたのです。

 ヒンドゥー教は極端な多神教で、一節には神さまが33億柱いるとも言われます。
 それらすべての神々の中でしばしば最強の神と目されるのがドゥルガー女神。かの有名なシヴァ神の奥さんですね。

 この女神を称えるために、ここグワハティの地で年に一度行なわれる大祭がアンブバチのお祭りです。

 こういうお祭りがあることは前から知っていましたが、その開催時期が私の訪問とピタリ重なっていようとは知る由もありません。ところが、ふと路傍の大きな立て看板を見ると、そのお祭りが今夜開催されると書いてあるじゃありませんか。まさにご縁があったとしか思えませんよね。

 このドゥルガーという女神さまは、夫のシヴァさえをも凌駕するシャィティ(「性力」などと訳されます)と呼ばれるパワーを持ち、ヒンドゥー教の中でも特に神秘的・秘密的・密教的な要素を多分に含んだ神さまです。

 言葉を変えれば、ちょっと怪しく、簡単にはわからない神さまでもあるのですが。

 そんなドゥルガー女神を祀る大祭に、今回は、宗教とは最も縁の薄そうな立ち位置にあるインド工科大学のダルン教授と、その弟子で博士課程の学生であるスマンさんと一緒に参加してまいりました。

 私自身も日頃から論理的な思考が大好きなヒト。

 そんなわけで、われわれ3人は随所に論理的な解釈を加え、どちらかと言えば理屈っぽくお祭りを楽しんだのでした(苦笑)。

 それだけではありません。

 このお祭り、ゆるやかな歩道をのんびり歩いて山の頂上にあるお寺を目指すのが普通なのですが、時間がなかったわれわれ3人は急勾配なルートをガンガン歩き、普通の半分の時間で登頂したのでした。

 その日は厳しい暑さに加え、うだるような高湿度
 お寺に着いたときには、大袈裟でなく、滝のような汗がザァザァ流れて止まらない。

 そんなわれわれを見て、敬虔なヒンドゥー教徒の皆さんは、

そんな急いでどこへ行く?」

と呆れていたかも知れませんが、でもまあ、急いだお蔭で短時間に多くのものを見聞することができました。

 ところで、このお寺には意味不明なことがあります。
 普通、年に一度の大祭の日には秘仏が御開帳されることはあっても、その逆はないでしょう。

 ところがこのお寺では、その反対に、日頃は開帳されているお寺全体が、大祭のときだけ扉を閉ざしてしまうのです。こんなおかしな話ってあるでしょうか?

 来る9月29日に行なわれるナマステ・インディアの講演会では、このお話をしようかなと考えています。関心のある方は是非お越しくださいね。

 当日代々木公園に来られない方のために、話の要点は「週マ」でご紹介しますのでどうぞご安心ください!
 
ダルン教授(右端)、スマンさん(左端)とご一緒に
ドゥルガー女神を称える大祭「アンブバチ」へ。
大祭のときだけお寺は閉館って……なんとも意味不明です。
 ……というわけで、以上駆け足ではありますが、インド最北東部3州からのとりあえずの帰朝報告とさせていただきます。

 今回訪ねたアルナーチャル・プラデシュ州、マニプール州、アッサム州での体験は、もう少し視点を変えて、近日中に『月刊インド』(公益財団法人日印協会会報)にも書かせていただく予定です。

 しばしお待ち下さいませ。

 今日はこのままカウラへ行って参ります!
 皆さま、よい週末をお過ごしください♪



★クイズの答え★

問題: 最初にインドを訪れた日本人は誰でしょう?
正解: ヤジロウ(またはアンジロウ)という名前の16世紀の男性と言われています。
ヤジロウは若い頃に人を殺めてしまいましたが、のちにフランシスコ・ザビエルと出会い、ザビエルとともにインドのゴアを訪れました。わかっている限り、これが日本人による最初のインド訪問とされます。ヤジロウはザビエルのもとで洗礼を受け、日本で最初のキリスト教徒になったとも言われています。
 ▼・ェ・▼今週のクースケ&ピアノ∪・ω・∪


久しぶりに山へ遊びに来た
孫娘と嬉しそうに遊ぶクースケ。

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2019年7月2日
山田 真美
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