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2023年11月30日(第700号)

今週のテーマ:
3か月ぶりのデリー+4年半ぶりのハイデラバード
 インド工科大学ハイデラバード校(Indian Institute of Technology Hyderabad=略称IITH)の教壇に立つべく、今年三度目のインドに行って参りました。

 世界がコロナ禍に襲われている間はオンラインで授業をしましたが、現地へ赴くのは実に4年半ぶりです。

 まずは成田からエアインディア便で約9時間のフライト。
 降り立ったデリー空港付近の気温は30℃で、晩夏に逆戻りという感じ。

 それは良いのですが、問題は空気の質です。

 報道によれば首都ニューデリーの大気汚染は世界最悪レベルとのこと。実際、デリーに着くなり両目が乾くわ、それを補うためにが滂沱と流れ出るわで事態の深刻さを実感。

 そんなニューデリーで、まずは4連泊

 デリー大学大学院に赴き、日本語専攻科の教授と学生さん約50名を対象に特別講義をしてまいりました。

 テーマは『日本人の名前』です。

 今回の特別講義では、大化の改新や明治維新、それになんと『平民苗字必唱義務令』まで紹介しながら、日本人の名前が今のような姓+名前になるまでの経緯を説明。そこからうっすらと透けて見えてくる日本社会や文化について語るという、途轍もなく壮大な授業になってしまいました。

 ちなみに当地(首都ニューデリー)におけるデリー大学はジャワハルラル・ネルー大学と並ぶ日本語教育の双璧の一つ。
 私がここの教壇に立つのは、確かこれで三度目ですが、いつ来ても優秀な学生さんが多く教え甲斐があります。

 今回は先方からのご希望で全て日本語による講義となりましたが……かなり複雑な日本語表現を多く用いましたので、修士課程の学生さんには少し荷が重かったかも知れません。

 それでも最後まで目の輝きを失わずに食らいついてくる強さは、さすがは二十一世紀を担うインドの若者だなと感服いたしました。

 日本語専攻の彼らこそは、これからの日印関係を担ってくれる人々です。
 大切にしたいですね。

 なお、デリーでは例によって仲良しのスシマのお宅に泊めてもらいました。

 スシマの旦那さまはもちろんのこと、今回は息子さんでインド工科大学デリー校准教授のロヒット・チャンドラ先生とも旧交を温めることができ、有意義なステイとなりました。

 前にも書いたかも知れませんが、スシマと私は子どもたちの幼稚園と小学校がご一緒だった、いわゆるママ友(別の言葉で言うとPTA仲間)。1990年代から変わらぬお友達なのです。

 その頃ロヒットさんはまだ幼稚園児でしたが、栴檀は双葉より芳しの喩え通り、当時からとても賢いお子さんでした。

デリー大学大学院での講義の様子。



スシマと息子のロヒット・チャンドラ博士
と一緒にインド工科大学デリー校の屋上で
記念撮影。ロヒットさんはハーバード卒の
新進気鋭の研究者さん。右下は彼が寄稿
なさった最近の新聞記事です。
 デリーで数日を過ごすあいだに、急に思い立ってスシマと2人でプチ観光を楽しむことにしました。

 そう。観光です。デリーのめぼしい観光地なんて、とっくの昔に何度も訪ねているのにね。
 なんだか急に
異邦人の気分でこの街を歩いてみたくなったのですよ、2人とも。
 そういうこと、たまにありませんか?

 というわけで、デリー観光の目玉である
フマユーン廟に行ってまいりました。
 ここは
ムガール帝国第二代皇帝だったフマユーンの墓廟(ぼびょう)で、かの有名なタージマハールにも影響を与えたとされるイスラム建築の最高峰の一つです。

 幸い観光客の姿も少なく、空にはトンビのような大きな鳥たちが悠然と泳ぎ、私達はなんだか
知らない場所へ行ってきたような異次元な気分を味うことができたのでした。

 ちなみに、インドへ行ったことのある方はご存知のとおり、インドの史跡への入場料は
外国人ばかりが多額の入場料を支払わされることで有名です。
 ご多分に漏れずこのたびの入場料も、インド人のスシマが
40ルピー支払ったのに対し、外国人の私は600ルピー徴収されました。
 インドも大いに
経済力をつけてきたのですから、こういう区別はそろそろ是正して欲しいものですね。

 そうこうするうちに
大気汚染にもすっかり慣れ、2~3日すると目の乾燥も感じられなくなってきました。順応性が高い私は大抵のことにすぐ身体が慣れてしまうようなのです、はい(汗)。

 このタイミングでデリーとはお別れ。
 
ハイデラバードへと駒を進めました。

 ハイデラバード空港から大学まではタクシーで1時間弱。
 
運転手さんと世間話をするうちに大学の建物が見えてきました。

 以前は国道からの入り口に
オンボロな看板が1枚掲げられているだけで、受付などという気の利いたものは存在しながったはずですが……今回は小綺麗な雰囲気の入口に警備員さんが数名いらっしゃって、外部からの来訪者は皆ここでチェックを受けるシステムになっていたではありませんか!

 コロナで4年半も来ないうちに、キャンパス全体が
進化したみたい。
 しばし
浦島太郎の気分を味わいました。
 
インド工科大学ハイデラバード校の入口受付(左上)
とインターナショナル・ゲスト・ハウスの様子。右下は
私が泊めていただいた105号室。



インド工科大学ハイデラバード校の近影。
広い敷地に高層ビルが立ち並んでいます。
4年半前に比べて樹木も増えてきました。
多くのビルが東京大学建築科の先生方の
手による設計とか。Photos©️Qoptars



朝食・昼食・夕食はインターナショナル・
ゲスト・ハウスでいただけます。すぐ近く
(キャンパス内)にピザやパスタなどを
食べられるフードコートもできてました♪



かつての教え子で一緒に富士山に登るほど
親しかったプラシューシャさんと学内の食堂
で偶然再会。これには驚きましたよ。時間の
経つのを忘れて話し込みました♪
 今回、私のミッションは、前回までと同様、インド工科大学ハイデラバード校の学生達に日本の文化・社会・歴史を、広く、かつディープに教え、一人でも多くの日本ファンを増やすこと。

 その結果、一人でも多くの学生が日本へ留学/就職し、生涯に渡って日印関係の一助となってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
 つまりは日本の友達を育てること。私のミッションはこれに尽きます。

 壮大な目標ですが、とにかく大きなやり甲斐のある仕事で、来るたびに、

「次はもっと頑張ろう!」

と誓いを新たにする私なのでした。

 ちなみに今回のクラスは全10回。1回ずつの授業は90分で、最終試験に合格した学生は1単位(one credit)を得ることができます。

 履修者数は99名でした。

 前回より若干少ないのですが、それは大学の方針が変わり、一クラスの定員が100人以上になってはいけないという新ルールができたから。
 つまり99名は規則上、最大のクラスサイズということになります。

 教える側としては99人は非常に大きな数字で、理想を言えば20人程度が最適でしょう。
 しかし現実を鑑みれば、そんな贅沢を言っていられません。
 今後は99人体制でクラスを運営することになるでしょう。

 なお、私がインド工科大学へ来るまでの不思議な経緯は、拙著『運が99%戦略は1% インド人の超発想法』(講談社)に詳しく書きました。ご興味がおありの方は、是非、こちらをご高覧くださいね。
 
インド工科大学ハイデラバード校での一連の授業を終え
学生達と記念写真。連日熱心に講義を聴いてくれたコア
メンバーが撮影のために集まってくれました。




新学長のムルティ教授がご自宅に私を招待してくださいました。
学長とは今年1月にも東京で会っていたのですが、菅元総理が
ご一緒のオフィシャルな会だったため殆どフリートークができ
ませんでした。今回は学長のご家族全員に囲まれ、家庭料理を
いただきながら気さくで楽しい時間を過ごすことができました。



ハイデラバードでの自由時間中に、私学の雄として
知られるBITS Pilani(ビッツピラニ)で日本神話に
関する講義して参りました。インド三大財閥の一つ・
ビルラ財閥が経営する大学で「インドの慶應」と呼ぶ
方もいます。写真は同校の教授陣(上)と漫画アニメ
同好会の学生の皆さん(下)。
 大学での活動とは別に、ハイデラバード滞在中にはディワリ祭がありました。
 お祭りの多いインドの中でも最大級のお祭り、光の祭典(Festival of Light)、それがディワリです。

 街中に光と花火の爆発音が溢れる中、かつての教え子と再会したり、昔お城だった所でちょっとお姫さま(笑)のコスプレをしたり、インド人のおうちに夕食にお呼ばれしたり。

 それはそれは楽しい週末だったんです。
 
昔お城だった所で姫君コスプレに挑戦♪
かつての教え子が同行してくれました。



こちらは今回の旅の最中に買い集めたバッグの数々。
普段使いのジュートのバッグが好きでインドへ行くたび
にコレクションしているんですよ。
 ところで、たった今気づいたのですが、今回の「週マ」はなんとなんと第700号ではありませんか!
 (気づくのが遅くて申し訳ありません……)

 運良く、インドから帰ったばかりのタイミングですから、手元には現地で買い求めた茶器(金属)やら小物入れ(金属)やらアロマティーやら大判スカーフやら、インド土産が色々あります。

 というわけで今回は、久々に読者さまプレゼントをやってみたいと思います♪

 プレゼントは私の気まぐれで選ばせていただきますので、何が当たるかわかりませんが、気になる方は是非ご応募ください。3名さまにインドっぽい何かをプレゼントいたします。

 【応募方法】
 メールにてご応募ください。
 メールの件名は「週刊マミ自身第700号記念読者プレゼント」としてください。
 宛先はです。
 本文には、応募者のお名前とメールアドレス、それに山田真美へのメッセージを添えて、12月20日までにご応募ください。
※当選者さまの発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。
 また、当選者さまには直接メールにてご連絡いたします。


 信州の山小屋には数日前に初雪が降りました。
 これを書いている今も、窓越しに雪が優しく舞っています。

 インドとの寒暖差がハンパじゃありませんが、私は元気にしておりますのでご安心ください。
 皆さまもお元気で、くれぐれもインフルエンザやお風邪などお召しになりませんように、ステキな12月をお迎えくださいね。

 ナマステ♪
 ▼・ェ・▼今週のクースケ&ピアノ、ときどきニワトリ∪・ω・∪


ママリンが買ってきた登山靴を
不審げに観察するクースケ氏。

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2023年11月30日
山田 真美
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