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2005年9月20日号(第188号)
今週のテーマ:
日比野克彦さんの一人万博を見に行く
 ようやく猛暑の季節も過ぎて、心なしかめいてきた今日この頃。
 秋と言えば行楽の秋、芸術の秋、そして食欲の秋。ということで、これら全部を先取りし、旬のもの3点セットで楽しんじゃおうとばかり、昨日は“小さな旅”に出かけてまいりました。

 題して、「友達のアーティスト・日比野克彦さんが水戸で開催中の展覧会“一人万博”の最終日を見学してから、“この道一筋80年”の老舗で鰻重と肝吸を満喫するマイクロバスツァー」。

 参加者は毎度おなじみ、日本文化デザインフォーラムの有志14人です。さて、どんな1日になりますやら。

一緒に出かけたがるブースケをなだめ
すかしているところ(自宅の屋上で)



「僕のことも水戸に連れてってよー」。怒っている
のか笑っているのかわからない、面白い顔の
ブースケ君
 ……というわけで行って参りました。あ、もちろんブースケは家でお留守番です(笑)。

 今回、幹事さんから指定された待ち合わせ場所は、JR東京駅南口の交差点
 どうせ遅れて来る人もいるのでは?という危惧をよそに、全員が時間を厳守して集合したのは意外でした。やっぱり今日は楽しい遠足ということで、みんないつもより気合が入っているようです。

 総勢14人を乗せたバスは、水戸を目指して一路GO GO。
 
25人乗りのマイクロバス。内部はシャンデリア付
き。ひとりで2席使えて、かなりゆったりしたドライ
ブでした。14人集まったため、料金的にも新幹線
よりずーっとお得



連休最終日とは言え、車の流れは
案外スムーズでした
 約100分のドライブの後、バスは予定どおり水戸芸術館(詳細はこちら)に到着。
 この美術館は建築家の磯崎新(いそざき・あらた)さんがデザインなさったそうで、入り口を入ってすぐのホールにパイプオルガンが設置されているのが目新しい感じでした。

 あ、そうそう。ここ水戸芸術館は、アーティストさんたちのあいだでは、短く「ミトゲー」と略して呼ばれることのほうが多いようです。日本人ってホント、言葉を短くするのが好きですよネ(笑)。

入り口のホールとパイプオルガン
 昨日は「一人万博」最終日ということもあって、会場はアート系の学生さんっぽい若い人たちを中心に人、人、人でいっぱい。

 閉館間際の午後5時〜6時まで行なわれたトークショーでは、日比野さんがご自身の作品やアートへの想い、今回の展覧会が開かれるまでの経緯を熱く語ってくださったのですが、その1時間のあいだに、展覧会の準備段階(昨年)から今日に至るまでのプロセスを納めた10,000枚もの写真が、パワーポイントを使って次々に壁面のスクリーンに映し出されたのには、正直、驚きました。

 これが普通のアーティストなら、10,000枚の中からあらかじめセレクトしておいたベスト100枚の写真だけを観客には見せるなど、いわゆる「大人の配慮」がなされるのでしょうけれど、10,000枚全部を見せちゃおうというヤンチャなところが、まさにヒビノ流なんでしょうネ。

 しかも、結局は10,000枚の写真の全てを1時間で映写することは叶わず(やっぱりね(笑))、その続きは打ち上げパーティーの会場に持ち越されたのも、なかなか楽しい演出でした。

 日比野さんという人の面白いところは、アートの舞台裏を平気で大衆に見せてしまうフランクさと言いますか、完成品だけでなく制作のプロセスをも作品の一部として位置づけているかに思える姿勢ではないかと、私自身は常々感じています。

 言ってみれば、皆に見える場所でアートの公開実験をしているような。

 今回の「一人万博」は、日比野さんが一般参加者にミッションを与え、そのミッションにしたがって参加者が個々に制作したパーツを日比野さんがまとめ、ひとつの作品に仕上げてゆくという、いわば観客参加型の展覧会だったそうです。

 こうして見ると日比野さんという人は、アーティストであると同時にイベントプランナーであり、プロデューサーであり、音楽で言えば指揮者、映画で言えば総監督のような存在なのかも知れないな、と改めて感じたミトゲーの1日でありました。

水戸芸術館にて(左より)フランソワーズ・モレシ
ャンさん、日比野克彦さん、黒川紀章先生、蜷川
有紀さん、私、東大の原島先生



打ち上げパーティーにて(左より)蜷川有紀さん、
サエキけんぞうさん、私
 ミトゲーをあとにした私たちが次に向かった先は、鰻の専門店です。

 この日の夕食になぜ「鰻」を選んだのか、それは私にはわかりません。もしかしたらここは有名なお店なのかも知れませんし、あるいは単に幹事が鰻好きというだけのことかも知れません(笑)。

 理由はともあれ、水戸と言えば納豆というワンパターンなイメージしか持ち合わせていなかった不勉強きわまる私にとって、水戸で鰻を食べるという、このどこかミスマッチな組み合わせは新鮮でした。

 東京を発つ前の予定では、この夜は「鰻重と肝吸」だけ頂くはずだったのですが、いざお店に着いてみると、出されたお料理はなんと鰻のフルコース(それも、たぶん一番品数の多いコース)。

 先付けだけでも次々に4〜5品が並び、ようやくメインの鰻重(これまた量が半端でなく、普通の倍はある感じ)が運ばれてきた頃には、早くも「ごちそうさまでした」5秒前の満腹状態。
 とか何とか言いながらも、結局はデザートの抹茶アイスクリームまで残さず美味しく頂きましたけど(笑)。

「この道一筋80年」のうなぎ屋さん



左奥のグリーンのお皿に載っているのは「鰻の
肝煮」。これが恐ろしくボリューム満点だったた
め、鰻重が来る前に満腹してしまいました
 というわけで、今回は童心に戻って秋の遠足を満喫することができました。多謝。

 ちなみに今回、日比野さんからは、↓こんな可愛い手づくりの缶ビールホルダー↓を頂きました。
 保冷目的のため、ここへ缶ビール(瓶も可)を入れて持てということなのでしょうが……濡らしてしまうのが勿体なくて、とても使えませんでしたよ〜(笑)。

一人万博打ち上げパーティー参加
記念に、日比野さんから頂いた「缶
ビールホルダー」。素材はもちろん
ダンボール。濡らしたくないのでペ
ン立てとして使わせていただきます
 こうして1日ゆっくり遊び、日付が変わって今日は9月20日。
 今朝は早くからインターナショナル・スクールのPTAに出席。そして今夜はこれからパプア・ニューギニア独立30周年記念パーティーに出かけてきます。

 さらに明日は出版社とのミーティング(バイリンガル育児の本の打ち合わせ)、明後日は再びインターナショナル・スクールの大きなイベントと、どうやら今週は英語漬けの1週間になりそうです。

 ではでは♪
★★★今週のブースケ&パンダ★★★


屋上へと通じる階段でひなたぼっこ

※前号までの写真はこちらからご覧ください
事事如意
2005年9月20日
山田 真美