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2007年8月6日号(第271号)
今週のテーマ:
奈良、高野山、そして台風接近中の琵琶湖
●お知らせ● 来る9月1日から10月31日までの2ヶ月間、インド国立文学アカデミーの招聘により「アナンダ・クマラスワミ・フェロー受賞記念講演」をインド全土で開催の運びとなりました。講演予定地は、デリー、ムンバイ、チェンナイ、バンガロール、ハイデラバード、アーメダバード、ジャイプール、アグラ、ラダック、シッキム等です。この間のホームページ更新につきましては不定期となることが予想されます。皆さまにはご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくご了承の程、お願い申し上げます。
 冷えたビールが何よりも美味しい季節となりました。皆さま、如何お過ごしでしょうか。
 
 私はと言えば、この炎天下、2週間ほど関西方面を旅して参りました。

 今回の旅の目的は2つありまして、ひとつは日本五大弁天のうち、まだ訪ねていなかった2ヶ所を巡ること(注/厳島、江の島、金華山の3ヶ所は、初夏のうちに訪問済み)。
 もうひとつは、高野山大学の大学院夏期スクーリングに出席すること。

 スケジュールとしては、

 7月26日〜27日   天河神社(奈良県吉野郡天川村)訪問
 7月28日〜30日   大学院夏期スクーリング出席のため、高野山に滞在
 7月31日〜8月1日 一旦、東京へ戻る
 8月2日〜3日     竹生島(琵琶湖)訪問

……という感じで、まあ例によって体力勝負の強行軍ですね(笑)。

 最初に向かった先は、役小角(えんのおづぬ)が開山し、今では世界遺産にも登録されている奈良の吉野山にある天河神社(てんかわ・じんじゃ)です。

 ちなみに、(下の写真をご覧になるとおわかりの通り)天河神社の鳥居には「大辯天」と刻まれていますが、公式ウェブサイトのトップページを見ると、むむむ、何故か「天河大辯天社」となっているではありませんか。

 才か財か。それが問題だ。(byハムレット)

 弁才天の本質的な意味(あるいは神格)から考えると、「弁」のあとに続く文字は「財」ではなく明らかに「才」が正しいのです。

(この件については14年前にも、拙著『吉祥天と行くインドの旅』の中で書きましたが……)

 天河神社さんの場合、鳥居の表記は「才」でありながら、残念なことにウェブサイトでは「財」に変わってしまっています。ちなみに「辯」は「弁」の旧字ですね。

 天河神社への道のりは遠く、最寄の電車の駅(近鉄線の下市口駅)からバスで1時間。しかもそのバスが、1日に数便しか出ていないというレア物(笑)です。

 ようやくたどり着いた神社の周辺には、清冽な気が漲り、すぐ脇を流れる天の川(「あまのがわ」と濁らず「あまのかわ」と読むそうです)も驚くほど透明で、一帯はまさに「霊峰」の名に相応しいたたずまいでした。
  
(左)天河神社の入口。鳥居には「大辯才天」と書かれています (右)しかしバス
停の名前には「財」の字が。おそらくこの地域の人にとって、漢字表記は大きな
問題ではないのでしょう


  
 (左)凛とした気が通う神殿 (右)天河神社のすぐ脇を流れる「天の川」は驚くほどの透明度


  
同じく天河神社のすぐ脇にある天の川温泉。素朴な山のいで湯という感じで、湯質は上々!
 さて、天河神社をあとにした私は、さらにバスと電車を乗り継いで高野山へと直行。

 翌日から始まった夏期スクーリングでは、午前4時間+午後4時間、合わせて1日8時間の集中講義を受講してきました。

 こう書くと簡単そうに聞こえるかも知れませんが、4時間ぶっ続けの授業(途中に5分間休憩が3回ほど入るのみ)を午前と午後に1セットずつって、結構ハードですよ。

 今回私が受講したのは、普段は上智大学国際学部で100%英語のみで教鞭を取っておられるというフランス人のロボアム先生による特別集中講義で、テーマは空海の著書『辯顕密二教論』と、ユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教。

 ……なんというか、壮絶な組み合わせでしょ(笑)。

 高野山のような密教系大学がこのような異宗教に関する講義を実践しているのは、生徒の視野を広めるという意味で有意義なことだと思います。だって、世界の(特に非アジア圏の)宗教の教義を知らずに密教だけを勉強していたら、早晩「井の中の蛙」になる危険大ですからね。

 ただ、異宗教に関する今回の講義は、かつてヘブライ語で旧約聖書を読むクラスに在籍した経験を持つ私には、正直なところ少し平易過ぎました。

 ロボアム先生のお話自体はとても面白かったので、この次はより高度なレクチャーを受けたい気がしています。

 今回の講義には約40人の生徒が集まりましたが、通信制だけあって、生徒の「普段の職業」はお坊さんあり、大学教授あり、お医者さんあり、翻訳者ありとバラエティーに富んでいるようでしたよ。

 当然、平均年齢はか〜な〜り〜高いです。クラスの顔ぶれを見渡すと、この中では自分などまだまだ青いなと感じるほど(笑)。

 また、ここの学生は実によく発言しますね。ロボアム先生も、われわれの活発さには心底から驚いていらっしゃった様子でした。

 18歳ぐらいの若い学生さん達には、こういう喰らいつくような情熱は無いかも知れませんね(笑)。
  
(左)高野山大学の入口 (右)教室の風景(これは休憩時間のひとコマ)。生徒は
圧倒的に男性が多かったです。お坊さんなのでしょう、スキンヘッドの方もちらほら
 高野山大学の夏期スクーリングを終えた私は、一旦東京にとんぼ返りし、そのあと再度荷造りをして日本最大の湖・琵琶湖に向かってGO!

 目指す先は、琵琶湖に浮かぶ竹生島。ここには、日本五大弁天のなかで私が唯一まだ訪問していない宝厳寺(ほうごんじ)があるのです。

 これまで厳島(広島県)、江の島(神奈川県)、金華山(宮城県)、天河(奈良県)とまわってきて、最後に残った聖地が竹生島。

 さまざまな情報を総合して考えると、竹生島は五大弁天のなかでも特に際立った存在で、どうやら日本における弁天信仰の総本山とでも呼ぶべき特別な場所らしいのです。

 そもそも琵琶湖という名前からして、既にシンボリック(象徴的)ですよね。
(注/弁才天は多くの場合、その手に楽器の琵琶を持っています)

 竹生島を訪問すれば、いよいよ日本五大弁天のすべてを制覇。そう思うと、いやがうえにも気持ちが高ぶります。

 ところがここで、竹生島訪問を妨害する強敵が現われました。台風5号です。

 早朝4時半に東京を出発し、午前10時少し前に「びわ湖汽船」の乗り場に着いてみれば、待っていたのはフェリーの欠航を無情に告げる1枚の案内板だったではありませんか。
  
竹生島への船の欠航を告げる無情な案内板(右は拡大写真)
 しかも、このあとも台風の影響による風雨は納まるところを知らず、8月2日と3日の両日にわたって、フェリーは各社とも全便欠航(トホホ)。

 大自然の猛威の前には為す術もなく、かくして今回の竹生島行きは、残念ながら失敗に終わりました。

 かくなる上は8月中に琵琶湖を再訪し、今度こそは五大弁天攻略の夢を果たしたいと思いますので、この続きは(今回の彦根での詳細報告も含めまして)、次回の琵琶湖訪問記にご期待ください。

 今日のところは、彦根で泊まった料亭旅館「やす井」でのスナップ写真をご覧いただき、何はともあれ、美味しいお料理を「目で」楽しんでください。

彦根市内にある料亭旅館「やす井」の入口



お料理に歓声をあげるハッピー・マミリン
(単純なヤツでスミマセン(笑))




こちらが夕食。さすがは料亭旅館、手が込んでいます。あと3品ほど出ましたが、写真を撮り忘れました



こちらが朝食。右は画面に入りきらなかった湯豆腐


  
(左)次の間と庭が付いたゆっくりした造りのお部屋 (右)露天風呂の付いた浴場
 さてさて、前号でお知らせいたしました『ノーブレス』プレゼントには、たくさんのご応募を頂き、誠にありがとうございました。

 抽選の結果、当選者はBozさま、ルパン三・五世さま、鈴木友子さまの3名様に決定いたしました。おめでとうございます。賞品は一両日中に発送いたしますので、到着まで暫くお待ちくださいませ。

 8月に入り、いよいよ暑さが厳しくなって参りました。
 夏風邪などお召しにならないようにお気をつけて、元気で楽しい夏をお過ごしくださいね。

 ではでは♪
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪


いつもは勝気なパンダも、お昼寝中は可愛いこと♪

※前号までの写真はこちらからご覧ください
事事如意
2007年8月6日
山田 真美