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2008年3月18日号(第290号)
今週のテーマ:
大国の品格
 既に報道されているとおり、今月10日から中国のチベット自治区で暴動が発生し、多数の死傷者が出ている模様です。この件については、私にも言いたいことがあります。

 例えば、あなたが道を歩いていて、大のオトナが小さなコドモを殴っている光景に出くわしたとしましょう。そんなとき、あなたならどうしますか。そんなときは誰でもすぐに止めに入るか、少なくとも警察を呼ぶなどして、何が何でも一刻も早くコドモを救出しようとするのではないでしょうか。

 十歩譲って、仮にそのコドモが何か悪いことをしたのだとしても、その子を殴ってしまったら、しかもそれが素手ではなく何らかの武器を使って殴ったのだとしたら、殴ったオトナが悪いに決まっています。

 大きなオトナと小さなコドモが戦ったら、そもそも小さなコドモに勝ち目はないのですから。

 チベット問題について考えていた私の脳裏に浮かんだのが、まさにこの「オトナにボコボコ殴られているコドモの姿」でした。

 まったく、いいオトナが何をやっているんだ。
 大国の品格とプライドはどこへ行ってしまったのか。

 ……そんな憤りと悲しみの混じった気持ちを禁じ得ません。

 中国のチベット自治区では、1989年にも似たような暴動が起こり、多くのチベット人僧侶が軍隊によって殺されました。同じ過ちを繰り返してはいけませんよね。

 しかし私が本当に言いたいのは、弱い者いじめは、いじめの張本人だけでなく、その事実を知っていながら見て見ぬふりをする人にも罪があるということです。

 自分可愛さに口を閉ざしているすべての大国に対して言いたい。「大国なら、もっと大国らしく振舞いなさい」と。

 チベット人は国家を失い、寺院や仏像を破壊され、マイノリティー民族としての暮らしを余儀なくされている人々です。いつ終わるとも知れない亡命生活を余儀なくされているチベットは、インドだけでも10万人以上。その多くは敬虔な仏教徒です。

 日本ではほとんど報道が為されていませんので、このことだけはハッキリと申し上げておきますが、ダライ・ラマ法王はこれまで「チベット独立」など主張しておられません。主張していらっしゃるのは「チベットの高度な自治」だけです。言っていないことを「言った」と主張する卑劣な人がいるようですが、これなども大国の品格を著しく汚す行為と言わねばならないでしょう。

 欧米諸国では「北京五輪をボイコットせよ」の世論が沸騰しつつあり、例えばイタリアでは、「五輪に参加すべきと思うか」との問いに対して96.1%が「北京五輪をボイコットすべきだ」と答えています(共同通信資料)。

 私自身は五輪ボイコット論には反対です。理由は簡単。皆が五輪をボイコットすれば、中国が国際的に孤立してしまうことが目に見えており、それは更なる悲劇を産みこそすれ、問題の根本解決には決してならないと思うからです。

 第二次世界大戦前、日本は世界の中でほぼ孤立していました。孤立は深い悲しみと憎しみを産み、憎しみは復讐となって新たな悲劇を起こします。だから、誰かを孤立させてはいけません。たとえそれが嫌いな相手であっても、嫌いな相手であればあるほど、対話を止めてはいけません

 中国はチベット問題への外国の介入を嫌い、「内政干渉だ」と反発しているようですが、当のチベット亡命政府が「国際機関に調査に入って欲しい」とSOS サインを出しているのですから、これが内政干渉であるはずがありません。

 国連は一刻も早く手を打つべきです。目の前でコドモが殴られているのです。「オトナの事情」を持ち出して言い訳している場合ではありません。


【下の写真】 去る3月16日に上田市において開催いたしました講演会「目覚めた巨象インドの躍進―数学・英語・道徳教育に見るインド繁栄のこれだけの理由」は、お蔭さまで成功裏に終了いたしました。当日は熱心な聴衆の皆さまに恵まれ、とても有意義な時間となりました。関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。
  
講演会中のひとコマ。(左)インドの小学1年生が使う算数の教科書について説明しています





  
拙著にサイン中……
 さて、先週から今週にかけては執筆と取材とミーティングで、またしても想像を絶する忙しさが続きました。

 お目にかかった方は、森喜朗元内閣総理大臣、来日中のクロアチア大統領、それに駐日インド大使をはじめとする各国大使などなど。

 まさに座布団が温まる暇もなく、あちこち飛び回っておりました。

 そもそも私は「何もせずにゆっくりしたいなあ」とは夢にも思わない人なのですが(今のところ体力もありあまっていますしね(笑))、それにしても、こう次から次へと新しいプロジェクトが向こうから飛び込んでくるのは不思議です。これっていわゆる宿命なんでしょうか。

 以前どこかで、

「チャンスには意思がある。だからチャンスは、自分を生かしてくれる人のところへ行きたがる

という意味のことを読んだことがありますが、そう言えば私も、チャンスが来たらそれを100%生かしきるための最大限の努力は惜しまないクチですね。だからチャンスがやって来てくれるのでしょうか。

 その割にちっともお金が来てくれないのは、(私がお金の生かし方を知らないから)来たがらないんでしょうねえ(笑)。

 明後日は護国寺での大きな茶会で「四方棚(よほうだな)」というお点前。今回は、関係者の中に米寿を迎えるご婦人がいらっしゃるので、米寿にかけてベージュの訪問着を着ることにしました♪

 来週はArab Day(アラブ諸国の要人が集まる日)のパーティーにゲストとしてお招きいただいています。
 これまた一味違った体験が期待できそう。いい写真が撮れたら次回の「週マ」でご披露いたしますネ。

 ではでは♪
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪



このあいだママリンが友達からもらった花を食べたら
叱られたので、今度は「舐めるだけ」にしたブー(笑)

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2008年3月18日
山田 真美