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2005年2月26日号(第166号)
今週のテーマ:
雪かきの肩凝りを音楽で治す
※2月28日更新「ほぼ日刊イトイ新聞」の「担当編集者は知っている」コーナーで、『死との対話』が紹介されました(メインから入って目的のページにたどり着けなかった方はこちらをクリックしてください)。
※2月22日発売の「KARNA」4月号に山田真美のインタビュー記事が掲載されています(表紙の右下にもご注目)。私がインドで暮らすことになった経緯などが詳しく紹介されています。お見逃しなく!
※3月1日発売のJA(農協)の月刊誌「家の光」4月号に、山田真美の書き下ろしエッセイ「カンガルーの仔」が掲載されます。オーストラリア留学時代のカンガルー育児体験を綴ってみました。
※3月13日発売の「NHK英語でしゃべらナイト」4月号「カリスマ先生が明かす英語が上達する人、しない人」コーナーに「山田式英語上達法」が紹介されます。英語学習中の方は是非、参考にしてくださいネ♪
 3泊4日で信州の山小屋に行って来ました。

 うちの山小屋がある辺りは、もともと日本有数の豪雪地帯として知られているのですが、今年は特に21年ぶりの豪雪ということで、見渡す限りどこもかしこも雪だらけ。

 実はですね、これは去年の暮れのことですが、雪上車を入れておくための車庫がナント雪の重みで潰れてしまったんですよ。
 しかも、それを修理する時間もなかった私たちは、お正月休みが明けて東京に戻るときに、仕方なく雪上車を屋外に放置して来たのでした。

 そんな経緯があったので、今回はまず雪に埋まった雪上車を掘り出すという、あまりにもナンセンスな作業のために、恐ろしくタイヘンな手間がかかってしまいました。

これが雪上車の本来あるべき姿(お正月に撮影)
 ところが、雪上車を停めて置いた場所に行ってみると、そこには車の影も形も見えないじゃありませんか。

 ただ、真っ白な雪原の一箇所がちょこっと膨らんでいるのです。もしやと思い、スコップで雪の膨らみを取り除いてみると、案の定、その下から雪上車の頭の部分が出現しました。

完全に雪の下に埋まっていた雪上車。掘って
掘って、ようやく車の頭部分が出てきたところ
 雪上車は、想像していたよりも深く埋まってしまった様子。
 しかも、どうやら一連の大雪の後で雨が降ったらしく、一帯はどこもかしこも凍りついて、雪と言うよりはカチカチの氷雪って感じなのです。

 あまりの硬さに、ついにバキッという音とともに、手持ちのスコップが壊れてしまいました(涙)。

 替わりのスコップを買おうにも、なにしろそこは山の中。「商店」なんて便利なものはありません。
 仕方がないので、3キロほど離れた知人の家からスコップを借りてきて、さらに掘って掘って掘りまくりました。

雪上車の後方の雪を、2時間かけて掘り、よう
やく通路が出来ました(ここまでで激しく疲労)



雪の中に埋まっていたにもかかわらず、一発
でエンジンがかかった雪上車(ラッキー!)。
そのままガタゴトガタゴト、バックで地上へ



雪上車が埋まっていた跡地にて。
私の背丈よりも深い穴が出来てし
まいました。ふぅ〜(汗)
 そんなこんなで雪上車を救出することは出来たのですが、このあとも山小屋周辺の雪片付けetc.の肉体労働が続き、4日間で肩がガチガチに凝ってしまいました。

 山小屋での用事を済ませて東京に戻る頃には、大袈裟ではなく、もう首も回らないほど。
(こんなとき、シンガポールのリン先生が近くにいてくれたら……)と思ってみても、シンガポールはあまりに遠し。

※シンガポールのリン(林)先生=世界的に有名な指圧と整体の大家。世界中のVIPが、仕事や休暇でシンガポールに行くと、こぞって林先生のお世話になっているそうです。私も一度だけ揉んで頂いたことがありますが、嘘のように凝りが取れました。

 そんな重症の肩凝りのまま東京にとんぼ返りした私は、休む間もなく、その足で港区にある中国大使館へ……。
 前々からご招待されていた、雅楽師の東儀秀樹さんがプロデュースする「TOGI+BAO」のお披露目コンサートを聴いて参りました。

 「TOGI+BAO」とは、東儀さん(TOGI)と、上海民族楽団で活躍する若手伝統ミュージシャン6人(BAO)という、伝統音楽を熟知しながらも「今」という時代をライブで生きる7人から成るアジア音楽の新ユニット。

 この日は、今月23日にリリースされたばかりのCD「春色彩華」の中から、「春色彩華」「大河悠久」(共に東儀秀樹・作曲)などを演奏してくださいましたが、どちらも一度聴いたら忘れられない味のある曲で、ベースにある伝統音楽の凄さをまざまざと感じさせてくれるものでした。

 ちなみに「BAO」は「豹」の中国読みだそうです。

駐日中国大使館にてミニコンサートを開いた
「TOGI+BAO」の面々。中央が東儀さんです
 会場が中国大使館ということもあって、集まった人は何らかの関係者ばかり(主賓は高円宮久子妃殿下)。和気藹々としてアットホームなミニコンサートとなりました。

 コンサート終了後は、東儀さんたちを交えての飲茶パーティー

 東儀さんには、雅楽のことで前々からお話を伺いたいと思っていることもありますので、
いずれ取材に伺うことがあるかも知れませんが、その節はどうぞ宜しくお願いいたします」
と直接お願いしてみたところ、
「わかりました。こちらこそ、どうぞ宜しくお願いいたします」と、実に深々と頭をお下げになるんです。
 とても腰の低い、上品で物静かな方でした。

 「TOGI+BAO」の音楽を聴いて、だいぶ気分がリラックスしてきた私は、その足でさらに新橋駅近くの内幸町ホールへ。
 そうなんです。この日はスケジュールの関係で、なんとコンサートを2つもハシゴすることになってしまったのです。

 2つ目のコンサートは、尺八奏者(東京芸大教授)で人間国宝の山本邦山先生がジャズミュージシャンと競演する、題して「夢・音舞台〜ドリーム・オン・ステージ」。

 「人間国宝」と「ジャズ」という組み合わせも過激なら、演奏曲目も「ミスティー」「スカボロ・フェア」「テイク・ファイブ」……と、何から何までおよそ尺八っぽくないんです。

 邦山先生は、仰々しい紋付袴ではなく、黒っぽいハイネックのシャツの上にラフなジャケットを羽織って登場。ステージの上では冗談をポンポン連発なさるし、
(えっ、人間国宝の大先生が、こんなことまでしちゃって本当にいいんですか!?)
と呆気に取られるほどの、前代未聞の驚きに満ち溢れた2時間でした(さらに休憩時間にはワインの無料サービスまであったりして、もう至れり尽せり)。

 ちなみにこの夜、邦山先生と競演なさったのは、ピアノの佐藤允彦さんとベースの坂井紅介さん。共に超一流のジャズメンです。

 実は、この夜のコンサート中に、私はこれまでの人生でかつて一度も味わったことのない不思議な経験をしました。

 というのは、邦山先生がステージに立って最初の音を出された、まさにその瞬間、何かがスーッとからだに沁み込んでくるような優しい感覚があって、一曲終わる頃には、肩凝りが半分ぐらいに軽減されていたのです。

 自分でも「あれっ?」と不思議に思いましたが、とても気持ちが良く、その感じはコンサートが進むにつれてますます本格的になり、最後の曲が終わる頃には、私の肩凝りはほぼ全快していたのです。

 これは「音楽によって心が癒されたような気がする」というような比喩的な意味では決してなく、肩凝りによる痛みが本当に消えてしまったのです。

 さすがは芸の頂点を極められた邦山先生のこと。その音には、何かとんでもない秘密が隠されているのでしょう。

 しかも、尺八はで出来ていますからね。
 竹という植物からは、強い「気」というか、バイブレーションのようなものが出ていることを、私は竹林に行くたびにハッキリと感じるのですが、竹から発する「音」にも、きっと何か特別なバイブレーションがあるのではないでしょうか。

 それにしても、この次に邦山先生にお目にかかったら、「肩凝りを治してくださって、どうもありがとうございました」と真っ先にお礼を言わなければいけませんね。
 そして次回からは、シンガポールのリン先生ではなく、肩凝り治療には邦山先生の尺八と決めた私なのでした(笑)。

 そんなわけで、雪かき→重度の肩凝り→雅楽→尺八→肩凝り完治という、まさに波乱万丈(笑)の1週間も終え、いよいよ明日(27日)は誕生日。

 今年はちょっと趣向を変えまして、日頃お世話になっている読者の皆さまのうち、抽選で1名さまに逆バースデー・プレゼントを差し上げたいと思います。

 逆プレゼントの中身はヒミツですが、老若男女のどなたにも喜んでいただけて、なおかつマミリン・ムード全開(笑)の品を考えております。

 希望者の方は、「逆バースデー・プレゼント希望」と明記の上、「@お名前、Aハンドルネーム(HP上で公開)、Bご住所、C山田真美へのメッセージ」を3月4日(金)までに、boosuke@badboy.co.jp宛に、メールでご応募ください。
 誕生日当日(またはそれ以前)に到着したメールを優先的に当選させたいと思いますので、ご応募はお早めにどうぞ♪

 それでは、皆さまも良い週末をお過ごしください。ではでは♪

<追伸>シドニーに留学中のLiAは、2月26日現在、いまだに家探しに奮戦している模様。来週こそ良いニュースを報告できますよう、皆さまもどうか祈ってあげてくださいネ。
★★★今週のブースケ&パンダ★★★


2階部分まで雪の中に埋没し、屋根
しか見えなくなってしまった土蔵の
前で遊ぶブースケとパンダ

※前号までの写真はこちらからご覧ください
事事如意
2005年 2月26日
山田 真美