2022年2月7日(第681号)
今週のテーマ: 楳図かずお大美術展
(Kazuo Umezu The Great Art Exhibition) |
※今回の「週マ」はややマニアックな内容となっているため、楳図かずお先生の作品をご存じない方にはわかりにくいかも知れません。何卒お許しください。m(_
_)m
ご報告が遅くなりましたが、去る1月28日から六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューにて開催中の「楳図かずお大美術展」(開催第2日目)に行ってまいりました。
これまでにも幾度か「週マ」に書かせていただいたとおり、何を隠そう、私は小学校低学年の頃からの筋金入り楳図かずおファン。
つまりファン歴なんと50余年ということになりますね。
自分でもびっくり(笑)。
当然のことながら今回の大美術展も、何か月も前から指折り数えて楽しみに待っていたんですよ♪
で、行ってきた感想ですが、いやあ、ただただ凄かったです。
御年86歳にして、ご自身の代表作の一つである『わたしは真悟』の第二章(ZOKU-SHINGO)を敢えて描き下ろすという、楳図先生の不死鳥のような圧倒的なエネルギーに鳥肌が立ちました。
なお美術展の公式サイトによれば、今回のいちばんの「目玉」は、 |
楳図かずおが制作に4年の期間を費やした、27年ぶりの新作『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』の初公開。 |
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とのこと。
しかもそれが漫画としてではなく、「1」から「101」までナンバーが付いた101点の原画の連作として初公開されたのですから、これはファンにとってまさにパラダイス以外の何物でもありません。
日頃から紅白の横ストライプのシャツをお召しの楳図先生に敬意を表し、当日は私も紅白ストライプのヴェストをまとって出かけて参りました♪ |
展覧会の入り口で出迎えてくれた巨大な絵。 |
入り口でいきなり出迎えてくれたのは、今回のパンフレットの表紙にも使われている巨大な絵です。
これは紛うことなき『わたしは真悟』のひとコマですね。
絵の右端のほうに小さな文字で、
「天才の証明! マンガノテッペンカラアートノテッペンヘトビウツレ」
と書かれています。
なるほど。この美術展で私達は、漫画の頂点からアートの頂点へ飛び移る楳図先生を目撃することになるんですね。大げさに言えば、私達は時代の証人ってことかも?
絵の右下には、333ノテッペンすなわち東京タワーから飛び移ろうとする小学生のサトルとマリンらしき少年少女の姿が見えています。
これまで見慣れた白と黒の強烈なコントラクトの漫画と異なり、今回はオールカラー。
これは新鮮な驚きでした。
「マリンはピンク、サトルはグリーンの服だったんだ!?」
マリンには白、サトルにはブルーを漠然と想像していただけに、ちょっと意外でした。
蛇女のようにも、女性の髪のようにも、はたまた風のようにも見える金色のものがヒュルヒュルと絡み付いた東京タワーと思しきオブジェ。そこを必死の形相で登っている小学生の男女(サトルとマリン)。
その2人を後ろから追いかけて来ているように見えるサソリのような尻尾を持つ化け物は、一体何なのでしょうか?
この絵を見ているだけで、どんどん時間が経過してしまいます(汗)。
最初から足が釘付けで入り口から先へなかなか進めないという、凄い美術展です。 |

ちなみに展覧会場のすぐ前は東京タワー。
「333ノテッペンカラトビウツレ」が思い出され
ます。タワーのてっぺんにランドセルを背負
ったサトルとマリンがいるような気がして、
思わず探してしまいました。

「シンゴ」の絵も強烈でした。サトル(悟)
とマリン(真鈴)によってシンゴ(真悟)
と名づけられ、やがて自我が芽生える
産業用ロボット。'80年代の段階で楳図
先生は既にシンギュラリティの問題を
提起していらっしゃったのでしょうか。

『わたしは真悟』以外の作品も
効果的に展示されていました。
こちらは『漂流教室』。

この美女は『ZOKU-SHINGO』に登場する
天上人の一人。天上人はそれぞれが
インドの三女神(ラクシュミ+サラスワティ
+パールヴァティ)を思い出させてくれ
ました。 ※あくまでも個人的感想です。 |
今回の展覧会のメインは、初公開の『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』です。
順路に沿ってぞろぞろと並んで歩きながら、1から101まで全部で101枚の原画を見せていただきました。
楳図先生27年ぶりの新作。
すべてフルカラー。
ストーリーもそうですが、終盤に差し掛かるにつれてそれぞれの絵が私には宗教画に見えてきました。
いや、もしかしたら楳図先生の作品はいつだって宗教画だったのかも知れません。
ただ、白黒の強烈なコントラストに目を奪われすぎて、それが宗教画であることにこれまで私が気づかなかっただけで。
会場にはこのほかにも、楳図先生の年表(これまた紅白のストライプ)あり、処女作『森の兄妹』から今日に至るまでの主な作品の展示あり、新作を制作中の先生のお姿を捉えた貴重映像が拝見できるコーナーあり……といった具合。
実に盛り沢山で、いくら見ても見飽きるということがないため、すっかり時間を忘れてしまいました。
とは言え永遠にここにいるというわけにも行きませんので(苦笑)、日を改めてもう一度来ることにして、今日のところは一旦退場。そのまま、隣接する特設カフェへ移動。
お目当ての「楳図ハウスパフェ」を堪能いたしました。 |

特設「Umezz Cafe」の目印は、
沢田まことちゃん+まこと虫なのら~!

カフェのメニューと私が完全に
同化しております。むふふ。

こちらがカフェのメニュー。
ファンなら、どの品も垂涎の的でしょう。

今日の衣装コンセプト的に、迷わず
楳図ハウスパフェを選択しました。 |
そのあと物販コーナーへ行き、楳図かずおグッズをいくつか購入。
楳図ガチャがあったので400円のガチャに1回、300円のガチャに3回挑戦。
まことちゃんバッヂを狙っていたのですが、当たるのはなぜか赤ん坊少女たまみバッヂばかりという悲惨な結果に終わりました(苦笑)。
ファンとしては、会期中にあと1回か2回は足を運ぶつもりです。
(東京23区内に住んでいたら、あと10回か20回は行くんじゃないかと思いますが……長野の山奥の書斎からでは、それはちょっと難しいですね。)
次回は紅白ストライプではなく、モノクロームな『おろち』Tシャツを着て行く予定。
そして、カフェでは『洗礼』の上原さくらソーダ(頂上に脳ミソが乗ってます)を注文したいと思います(笑)。
ちなみに、楳図作品は言うまでもなくどれも大好きなんですが、なかでも私が特に好きなのは『イアラ』でしょうか。 |

楳図かずお 『イアラ』 小学館文庫
2002年4月10日初版 pp40-41 |
『イアラ』は、奈良時代から近未来まで、千年、二千年の時を超えて探し求める男女の輪廻転生と愛をテーマとした大作です。
いわゆる恐怖漫画路線の「こわい!」場面や「グロい!」場面がほとんどありませんので、そっち方面が苦手な人にも安心して読んでいただけると思います。
図書館などで見かけたら、ぜひ読んでみてくださいね。
ではでは♪
※「楳図かずお大美術展」の公式サイトはこちらからご覧になれます。 |
▼・ェ・▼今週のクースケ&ピアノ、ときどきニワトリ∪・ω・∪

雪が積もって窓の外の景色が
見えなくなってしまいました。
(※前号までの写真はこちらからご覧ください) |
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