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2008年11月14日号(第313号)
今週のテーマ:
第5代ブータン国王戴冠式
★ お し ら せ ★
真言宗のお寺・金剛院さんのウェブ上で『仏教一年生』と題したエッセイを連載中です。第7回のテーマは「お葬式の意味」(10月29日更新予定)。左のロゴをクリックしてページに飛んでください。
 前回の「週刊マミ自身」で予告しましたとおり、ブータン王国の新しい国王ジグメ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク陛下の戴冠式イベントに臨席して参りました。

戴冠式のイベント会場(チャンリムタン)にて。
身に纏っているのは民族衣装の「キラ」です
 ブータンと言えばインドと中国に挟まれたヒマラヤの王国。
 世界で唯一チベット仏教を国教に定めていることでも知られます。

 先々代(第3代)国王のアイデアから生まれ、先代(第4代)国王が実現した「GNP(国民総生産)よりもGNH(国民総幸福量)を」というスローガンでも知られるブータンは、人口70万人弱という小さな国ではありますが、独自の伝統を守りスローライフを大切にするユニークな国家指針で、近年、世界中の注目を集めています。

 今年の3月には普通選挙が行なわれ、4月には民選による初めての首相が誕生。さらに7月には成文憲法が公布されて、ブータンは絶対君主制から立憲君主国への移行を果たしたわけです。

 ……というわけで、今、ブータンが熱い
  
(左)ブータン国営航空(Drukair)の機内食 (右)救命胴衣の説明をする客室乗務員さん


  
ブータン唯一の空港「パロ空港」にて。四方を山で囲まれて離着陸が難しく、パイロット泣かせの空港とか

第5代ブータン国王ジグメ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク陛下戴冠式
Coronation, His Majesty Jigme Khesar Namgyal Wangchuck, King of Bhutan
期日:2008年11月6日〜8日
会場:タシチョゾン(Tashichho Dzong)、チャンリムタン(Chang-Lime-Thang)、他

戴冠式で会場をパレードする国王陛下


  
(左)戴冠式会場に設けられた特別席にて。ちなみに最前列は王室の関係者席です
(右)今回の旅でいちばん親しくなったダムチュさんと



観客でびっしり埋め尽くされた会場の一般席の様子


  
関係者に配布された戴冠式のプログラム


  
(左)来賓は大テントでランチをいただきました。ブータン料理は唐辛子を大量に使った
激辛風味が特徴 (右)国王みずからがゲスト1人1人に手渡してくださった記念コイン
 2日目の夜にはタシチョゾンで、インドの大統領を主賓に晩餐会が開かれました。

 言うまでもないことですが、ブータンにとってインドは(政治・経済・軍事・その他、あらゆる点で)特別に重要な国なのです。

 ちなみにこの日の午前中は、インド最大政党(=民主主義世界における地上最大の政党)である国民会議派の党首ソニア・ガンジー女史とそのお子さま達も式典会場にいらっしゃったのですが、どうやら午後の飛行機でインドへお帰りになったようで、晩餐会には大統領だけが姿を現わしました。

 会場となったタシチョゾンは国会議事堂とブータン仏教の総本山を兼ねた場所です。

 「ゾン」という言葉を「城塞」と訳す人もいれば「県庁のような場所」と説明する人もいますが、城塞とも日本の県庁とも違うのは、ゾンが政教一致の場であるという点。

 ブータン各地にこはたくさんの「ゾン」があり、「タシチョゾン」はそのうちの最高権力機関というわけ。

 ブータンの国語は「ゾンカ」と言うのですが、これは「ゾンで話されている言葉」という意味です。

 政治と宗教の最高権力の場であるタシチョゾンでの晩餐会……。
 実は、タシチョゾンをディナーの会場として使うのは、これが初めてなんですって!

 というわけで今回は、色々な意味で非常に貴重な体験をさせていただきました。

 なお、今回のブータン滞在中、『財界』元写真部長の榎本福夫さんには大変お世話になりました。榎本さんは日本屈指のブータン通でいらっしゃいます。この場をお借りして心より御礼申し上げます。
(※キャプションに印の付いている写真は榎本さんの撮影です)
  
(左)2日目の晩餐会の会場となったタシチョゾンの昼間の遠景 (右)夜になってライトアップされた姿



新しい国王、前の国王、皇太后、王妃、インド大統領、ブータンの閣僚らが一堂に会したVIP席


  
晩餐会にて。(左)同じテーブルになった王室関係者の皆さんと。写真中央の
ブラックスーツの男性が榎本福夫さんです (右)華麗な衣装の楽師さん


  
(左)10数年来のお付き合いをいただいている在インドブータン大使ダゴ・ツェリン閣下と
(右)「寒いだろう」という配慮から、なんと日本製の使い捨てカイロが配られました。しかし
説明書が日本語のため皆さん使い方がわからず、私はいちいち説明するハメに…(笑)
 3日間にわたって続いた戴冠式とその関連イベントが終わったあとは、ジグメ・ティンレー首相閣下に謁見して参りました。

 ティンレー首相はこれまでに3度ほど来日なさったことがあり、2005年と2006年には私もパーティーなどで何度かお目にかかっているのです(当時は内務文部大臣)。

 2006年の来日時には徳島で開催された日本文化デザイン会議で、なんとGNHに関する基調講演をしてくださってもいるんですよ! そんなわけで、首相とは2年ぶりの再会だったわけです。
  
(左)皇太后がお住まいの宮殿の庭にて、民選初の首相に選ばれたジグメ・ティンレー閣下と
(右)左から、首相令嬢のレクサンさん、私、首相の義妹に当たるダムチュさん



ちなみにこれは2年前に東京で撮った写真です。
右から、元法務大臣の野沢太三氏、当時は内務
文部大臣だったジグメ・ティンレー氏、私
 今回、ブータン滞在はわずか6日間と短いものでしたが、その内容は、お蔭さまで予想以上に濃厚なものとなりまた。

 そのなかでも特に印象に強く残っているのは、先代の国王に謁見し、お話をさせて頂けたことでしょうか(残念ながら写真はありませんが……)。

 先代の国王は、まだ53歳。すこぶる御健康でありながら御長男にあっさりと王位を譲られた潔い姿勢には、実に学ぶところが多いように思います。

 今後は新しい国王(28歳・独身)に世間の耳目が集中してゆくわけですが、むしろ私は先代国王のこれからの生き方のほうに大きな関心を覚えてならないのでした。
  
今回泊まったチョモラリ・ホテルのスイートルーム(首都ティンプー)。このホテルに限らず、
建物の外壁という外壁には先代国王と現国王の大きな写真が飾られていました


 
首都ティンプーのナイトライフ。(左)100ヌルタム(約250円)ほど払うとダンサーが踊ってくれるクラブ
のようなバーのような、しかしそのどちらでもないお店 (右)ピンク色が可愛い地下のボーリング場


  
(左)戴冠式のニュースを報じるブータン国営放送(BBS)
(右)ブータンの紙幣の一例。上から順に第3代国王、第4代国王、第5代(現)国王の肖像画入り


  
(左)ブータン第2の高峰チョモラリ山(7,314m) (右)断崖に建てられたタクツァン僧院


  
(左)ブータン最古のお寺キチュラカン (右)ブータン式の温泉は「ドツォ」と言って、真っ赤に熱した石を
水の中に入れてお湯を温めるユニークなやり方。石のミネラルが溶け出し、健康に良いのだそうです。
壁から突き出ている鉄の筒を通り、隣の部屋から焼け石が転がり落ちてくるのが大迫力!
 ブータンについては近い将来1冊の本にまとめようと思っていますので、より詳細なレポートは、それまで暫くの間お待ちくださいませ♪

 ではでは♪
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪


ぐっすり寝ているところを娘に激写されました

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2008年11月14日
山田 真美
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