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2015年1月10日号(第529号)
今週のテーマ:
初詣と富士山
 2015年の最初の10日間が過ぎました。

 お正月気分は疾(と)うに醒め、例年に比べ、かなり早いペースで仕事を進めております。
 居場所も山小屋→東京→山小屋と既に一往復いたしました。
 
山小屋の近くにて。夜が「スマイル」しているように見えませんか



こちらはお正月のある日の午後。山小屋の窓越しに庭を見ると
目の前を大きな茶色いキツネががトボトボと歩いてゆきました



危険を冒して人間の家に近づいて来たからには、よほど食糧に
困っているのでしょうか。春まで頑張って生き延びるんだよ!
 さて、今年もお正月は例年どおり信州で過ごしたわけですが、初詣は、休みで帰省していた大学生の息子実家のを誘って、3人で善光寺七福神をめぐって参りましたよ。

 思えば、このメンバーで遊ぶのは意外に久しぶりだったかも知れません。
 息子がまだ幼かった頃には、よくこの3人だけで出かけたものですが。
 妙に懐かしい感じのする顔合わせでした。

 今回めぐった善光寺七福神のうち、布袋さまを祀った御本陣藤屋は、加賀百万石の前田家藩主が定宿になさったという由緒ある旅館だったところです(現在は結婚式場・カフェレストラン)。
 しかも、ここの布袋像は戦艦大和の最後の艦長である有賀幸作中将の生家(長野県辰野町)に伝わったものだそう。

 また、寿老人を祀った西光寺は、「刈萱道心と石童丸」や「六道地獄絵」の絵解きで有名なお寺。

 御本陣藤屋も西光寺も、どちらも素敵に個性的な場所です。
 長野市にいらっしゃる機会がありましたら、ぜひ訪れてはいかがでしょう。

 実は、今回の善光寺七福神のなかで私がいちばん拝見したかったのは蓮池山往生院に祀られた弁財天だったのですが、残念ながらここの仏像は秘仏でした(弁天さまにはよくあることです)。普段は厨子の扉に鍵がかかっており、その外に琵琶を持った人形(下の写真参照)が飾られているようでした。年に一度の御開帳は8月27日ということですので、時間が取れたらその時にもう一度行ってみることにします。

 ちなみに、今では日本全国で親しまれる「七福神めぐり」ですが、その「成立」は鎌倉時代とも江戸時代とも言われているんですね。

 有力な説によれば、七福神の「成立」は江戸時代初期のことで、そこには徳川家康の相談役を務めた天台宗の大僧正・南光坊天海(1536生~1643没)の思惑があった様子。

 『福を呼ぶ幸運を呼ぶ七福神』(佐藤達玄他著, 1989, 木耳社)という書物には、天海が「人心を鎮める行政の方策の一環」として七福神信仰を「採用」したと書かれています(同書136ページ参照)。

 ここで「採用」という言葉が使われているからには、七福神はそれ以前から民間で信仰されていたはず。それを幕府が採用し、政治的な思惑を加味して官制に仕立てたわけですね。一般大衆に謀反や一揆などを起こさせないために、政治手段として七福神信仰を利用したという側面もあるかも知れません。

 いやあ、面白いですね、南光坊天海。この高僧に関しては、108歳まで生きたとか、実は(死んだはずの)明智光秀が生き延びた姿であるとか、関ヶ原の合戦に参戦したことがあるとか、眉唾も含め色々な噂があるように聞いています。

 さすがは家康公。こういうとてつもないブレーンをお抱えになっていらっしゃるあたり、やはり只者ではありません。

善光寺七福神めぐりの一部。左上の茶色い仏像が有賀中将ゆかりの布袋像です。
右上は弁天社の前に立つ息子と私(Photo by 母)
 こうしてお正月を山小屋で過ごしたあとは、明治学院大学での講義をするために新幹線で東京へGO。
 移動中に新幹線の車窓から富士山を拝むことができました。

 意外に思われるかも知れませんが、実は長野新幹線あさま号からも富士山が見える区間があるのです。

 大宮駅の前後の、ごく短い距離。東京に近づくにつれて富士山はビル街の向こうに呑みこまれ、じきに見えなくなってしまいますから、チャンスはごくわずかな時間に限られますが。(だからこそありがたいとも言えます。)



 新幹線あさま号の車窓から見え隠れする富士山
 ……というわけで、今年初めての富士山はビルの波間にかくれんぼする富士山でした。
 
 写真を撮りながら、なんだか富士山と遊んでいるような晴れ晴れとした気分でした。
 皆さまに楽しい気持ちが伝わりましたなら幸いです。

 ではでは♪
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪


例によって睡魔に襲われ中のブースケ氏
(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2015年1月10日
山田 真美
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