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2009年10月27日号(第360号)
今週のテーマ:
馬を呑み込む
★ 仏教エッセイ ★
真言宗のお寺・金剛院さんのウェブ上で『仏教一年生』と題したエッセイを連載中です(毎月28日頃に更新予定)。第18回のテーマは「子離れの季節」です。左のロゴをクリックしてページに飛んでください。
【 11月のイベントのお知らせ @ 千葉・長野・横浜 】
11月3日(火)文化の日@14:00〜17:00
   明治学院同窓会千葉支部の年次総会にて、基調講演をいたします。
   講演テーマ:カウラ捕虜収容所における松原俊二
   ※同窓会メンバーの皆さまはぜひご参加ください。
11月6日(金)14:00〜15:30 長野県立上田染谷丘高校で講演をいたします。
   テーマ:国際教養 ※在校生の皆さまはぜひご参加ください。
11月6日(金)@20:00〜21:30
   SBC信越放送 ラジオ番組「ベストナイト」にゲスト出演(2回目)。テーマは「教育」。
11月7日(土)9:40〜12:20(講演自体は10:50〜12:20の90分間)
   長野市立長野高校(旧・皐月高校)創立90周年式典にて、記念講演をいたします。
   講演テーマ:夢見る力私はこうして小学生時代の夢を実現した
   ※同窓生/関係者の皆さまはぜひご参加ください。
11月9日(月)@終日@長野市内
   長野市の一日消防長を務めます。 ※街で見かけましたら手を振ってください。
第11月10日(火)@13:00〜@パシフィコ横浜特設A会場  ※詳しくはこちらをご覧ください。
   11回図書館総合展にて開催のプログラム「財政危機をチャンスに変える思考と戦略」の
   パネリストを務め、さらに30分ほどの講演もいたします。
   講演テーマ:「オタク」の時代の図書館経営(仮)
   ※参加料1,000円のところ、「週マ」の読者さんに限り無料招待いたします(先着10名様まで)。
     ご希望の方はお早めに mami@yamadamami.com までお申し込みください。
 正真正銘の生きた馬をまるまる1頭呑み込んでしまう(!)という前代未聞の奇術、「呑馬術(どんばじゅつ)」を見て参りました。

 この奇術、ちょうどちらしの絵(下の画像)に描かれているように、要は馬を頭からグイグイ呑み込んでしまうというもの。

 元禄時代に一世を風靡した後、なぜかパッタリと後継者が途絶えてしまったそうで、驚くなかれ、今夜(10月26日)がなんと300年ぶりの再演となります。

 というわけで観客のほうも一見(いちげん)さんは少なく、酸いも甘いも噛み分けた大御所マジシャンや年季の入ったマジックファンなど、玄人(くろうと)さんが多かったですねえ。

藤山新一郎手妻公演のちらしより
元禄の幻術「呑馬術」の図
 今回、300年の封印を解いて幻の術を演じられたのは、手妻(てづま=「奇術・手品」を意味する古い日本語)の大御所、藤山新太郎先生です。

 時は2009年10月26日(月曜日)、午後8時過ぎ。
 場所は東京・高円寺にこの秋完成したばかりの「座・高円寺」の地下2階。

 ステージの両端には本格的なお囃子方(小鼓・大鼓・太鼓・能管・長唄三味線2名・琴2名)。
 客席には、固唾を飲んで見守る約300人の観客

 ……そして暗がりの中には、確かに本物の馬がたたずんでいます。

 と、そこへ金欄の裃(かみしも)を身に着けた藤山先生が登場し、口上を述べられました。

 いわく、自分は毎日毎日食事をする必要はないが、その代わりに、20日に1度は馬を丸ごと食べないと生きてゆけない。だから、気の毒だがおまえを食べさせてもらうよ、とかなんとか(笑)。

 そして、やにわに馬の頭をぐにゃ〜りと伸ばしてパクパクムシャムシャ
 客席からは悲鳴のようなどよめきが起こります。

 次いで、首から先がなくなった馬の、今度は胸のあたりをぐにゃ〜りと伸ばして再びパクパクムシャムシャ。客席からは再びどよめき。

 さらに胴のあたりを伸ばしてパクパクムシャムシャ。どよめき。

 最後に残った長ーい脚もパクパクムシャムシャ。どよめき。

 ……という感じで、数分後、馬はステージから姿を消してしまいました。

 馬肉だけに美味(うま)かったかどうか、それは知りませんが(笑)、芸のほうは惚れ惚れするほど上手(うま)い!ものでございました。

300年ぶりに「呑馬術」を見事に
復活させた藤山新太郎先生と
 とはいえすべての奇術にはタネがあり、「呑馬術」も例外ではありません。

 しかし、マジックというものは、何と言ってもプレゼンテーションが命。
 それにほら、秘すれば花という言葉もあるぐらいですから、秘密の中身は(たとえ知っていても)絶対に語れませんけどネ(私としては命が惜しいし(笑))。

 それにしても――これはあくまでも想像ですが――300年前は現代より手妻をやりやすかったことでしょう。

 だって、当時の人々は今よりずっと迷信深くて純粋だったでしょうし、テレビもインターネットもないあの時代、ニュースソースはかわら版とクチコミのみ。

 事前に得られる情報量が決定的に少なかった分だけ、エンターテインメントの世界に没頭できたと思うんですよ。

 今はシロウトもマジックの種を知っている時代だし、えげつないネタばらしの本も出回っているし。
 特に今回は、客席がプロとセミプロと海千山千の奇術オタクみたいな人ばかりでしたから(笑)、藤山先生も大変だったのではないでしょうか。

 私は友人(この道のプロ)と一緒に「呑馬術」を見に行ったのですが、手妻を見ながらも、

「これと同じマジックをインドの魔法使いにやらせようかな。どうせなら象を飲ませるの。人呼んで呑象術(笑)」
「でも、象は物理的にイロイロと難しいよね。と言ってラクダも危なそうだし。いっそコブラはどうよ?」

……などと言いつつ、頭のなかでショーの構想を練っていました。
 私も、もはや知りすぎた女ってところでしょうか(苦笑)。

 それにしても今回はまさに"it's a magic!"って感じで、楽しゅうございました。
 
 藤山新太郎先生、素晴らしい手妻をありがとうございました。
 ではでは♪
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪


出たっ! パンダの得意技!
(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2009年10月27日
山田 真美
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