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2006年4月29日号(第217号)
今週のテーマ:
お釈迦様から−5℃の世界まで

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【 お知らせ 】
●5月13日発売予定の『NHK英語でしゃべらナイト』6月号(アスコム刊)に、「パーティーに招かれてもビクビクしないふるまいとは? 〜 各国大使とのパーティーの常連・山田真美さんに聞く!」と題した2ページの記事が掲載されます。「マナーブックには載っていないルール」などが紹介されますので、ご興味のある方は是非ご一読ください。
●日本国内のインターナショナルスクール発行の会員誌“Ambassador”4月号に、私の英文エッセイ(Planting the Seeds of Bilingualism)が掲載されています。Check it out!
●7月22日(土)〜30日(日)までの9日間、都内某所でヒマラヤ関係の大きな文化イベントを開催いたします。近日中に詳細を正式発表いたしますので、「ヒマラヤ・ファン」「インド・ファン」の皆さんは、今からカレンダーにチェックを入れておいてください。

 ゴールデン・ウィークの到来と、それに伴う民族の大移動が始まった日本列島ですが、「週マ」読者の皆さまにおかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

 昨夜でしたか、友人のひとりから「九連休が取れましたのでこれから実家へ帰り、久々に親孝行してきます」というメールを受け取り、(そう言えば世の中はゴールデン・ウィークに突入したのネ)と実感した私であります。

 ところでこの「ゴールデン・ウィーク」という言葉は、一体いつ頃から使われ始めたのでしょうか。
 少なくとも私が子どもの頃には、既にこの言葉は広く使われていたように記憶しているのですが。

 但し、テレビのニュースなどに耳を傾けていますと、例えばNHKさんは、この連休のことを「ゴールデン・ウィーク」ではなく「大型連休」と呼んでいます。つまり「ゴールデン・ウィーク」は正式名称ではないってこと?

 「ゴールデン・ウィーク」は日本でしか使われない、いわゆる和製英語のようですが、その語源には諸説があるようです。

 そのひとつは、映画が全盛だった昭和20年代後半に、映画関係者が5月の連休をさして「黄金週間」と呼んだというもの。

 それによれば、連休は映画を観よう!というPRのキャッチフレーズとして考え出されたのが「黄金週間」という言葉で、やがてこれが横文字の「ゴールデン・ウィーク」に変わったのだとか。私はこの話を、日本の映画関係者から聞きました。

 これとは別に、雑学に強い友人から聞いた話では、「ゴールデン・ウィーク」の名前の由来は『東方見聞録』の著書でイタリア人旅行家のマルコ・ポーロにあるとの説もあるそうです。

 こちらの説によると、マルコ・ポーロが来日したのが5月上旬。そのことと、彼が日本を黄金の国(ジパング)と呼んだことをミックスさせて、5月上旬の連休を「ゴールデン・ウィーク」に決めたという話でした。
 13世紀に生きたマルコ・ポーロが近代日本の暦に関わってくるなんて、ちょっと無理がありすぎな話のようにも思いますが(苦笑)。

 映画PRか、はたまたマルコ・ポーロか。

 今回これを書くに当たって、真偽の程を確かめようと幾つかの文献に当たってみましたが、残念ながら「この説が正しい!」という確証を得ることは出来ませんでした。

 私自身は映画PR説に一票を投じますが、でもまあ、どちらにしても面白い話ではありますよネ。

 さて、そのゴールデン・ウィークに先駆けまして、今週の私は長野市内にある浄土宗の古刹・静松寺で「お釈迦さまのお顔」と題した法話をして参りました。

 今回は100人ほどの熱心な檀家さんを前に、釈迦族のルーツが世界最古の遊牧騎馬民族にあることや、ヒマラヤ地方に伝わる「ノアの箱舟」と瓜ふたつの洪水伝説など、お釈迦さまが生きたヒマラヤをテーマにお話してきました。

 お寺の境内では、例年に比べて開花が遅れていたという枝垂桜がちょうど満開。
 今年は私、いったい何回お花見をしたことでしょうか。ああ眼福、眼福(笑)。
 
     静松寺のご本堂で法話をする私       満開の桜に合わせ、当日の衣裳は桜色の民族衣装
 長野から東京に戻ったあとは、日本文化デザインフォーラム(JIDF)の年次総会や、ダライ・ラマ法王日本代表部との仕事の打ち合わせなどミーティングが続きましたが、昨日になってようやく取れたフリータイム。

 このところ多忙続きでしたので、昨日は思いきりゆったりと趣味の世界に走ってまいりました。

 まずは六本木ヒルズ52Fの森アーツセンターギャラリーで開催中のダ・ヴィンチ・コード展(The Da Vinci Code Museum)をじっくり堪能。

 この展覧会、『ダ・ヴィンチ・コード』ファンなら必見モノですよ(ただし、この本を読んだことのない人には理解不能な展示内容かも知れませんが……)。

 かく言う私も数年前からダン・ブラウンの大ファンで、日本語版が出版される前から原書(英語)で読んでいましたが、その私から見ても、今回の展覧会はダン・ブラウン独自の世界観をかなり忠実に再現しているように思いました。

 なかでも圧巻は、実物大に再現された「最後の晩餐」(ダ・ヴィンチ作)の大壁画です。

 横8.8メートル×縦4.6メートルの超高精度デジタル・シアターは、まさに迫力満点。
 ネタバレを避けるため詳しいことは書きませんが、小説『ダ・ヴィンチ・コード』の中で指摘された「キリストの右側に座っている使徒の謎」や「V字の謎」などを、怖いほどリアルに垣間見ることができました。

 この展覧会、ゆっくり時間をかけて思索しながら見なければ理解できない内容になっていますので、見にいらっしゃる場合は連休中など混雑しそうな日をなるべく避け、空いていそうな時間帯にお出かけになることをオススメします(もちろん、その前にまずは原作を読むことが必須です)。

 ちなみに私の場合は平日の夕方、閉館直前の夕食時を狙って出かけました。そのせいか、館内は空いていましたよ。

 さてさて。展覧会を見たあとは、お友達の太田倫子さんと合流。今年2月に西麻布にオープンしたばかりの話題のスポット、ABSOLUT ICE BARへと繰り出しました。

 ここはスウェーデン北極圏に流れるトルネ川から切り出した氷で造られたバーで、なんと壁も氷、テーブルも椅子も氷、さらにはお酒を入れてくれるグラスも氷で出来ているという、まさに何から何まで氷の世界。ただし、フロアだけは普通の素材で出来ていましたが(フロアが氷じゃ歩けませんものネ(笑))。

 室温はマイナス5℃に保たれており、なかに入る際は必ず防寒着を着用。入場制限時間は45分間でした。お客だけでなく、ここではスタッフも45分交代勤務だそうです。

 なお、一度に入れる定員は50人限定(それ以上の人を入れると室温が上がってしまうから)だそうですので、必ず予約を入れてから行きましょうネ。

 料金(1人3,500円)には、レンタル防寒用ケープ(手袋つき)、氷のグラス、ウォッカベースのカクテル1杯が含まれています。

 ちなみに、氷のバーからほろ酔い気分で帰宅した私に向かって、理系に強い息子のNASAが発した一言は、

「なるほど。アルコールの凝固点が水より遥かに低いために、そういうバーが実現できたわけだね」

 そう言われてみれば確かに、マイナス5℃の環境では水なら凍ってしまうはずですものね。

 アルコールの凝固点(Freezing Point=液体や気体が凝固する温度)は、アルコールの度数にマイナスを付けた数字とほぼ同じなのだそうです。つまり、アルコール度数が40度のウォッカの凝固点はマイナス40℃ぐらいということのよう。

 これだけ凝固点が低いからこそ、マイナス5℃のバーでウォッカベースのカクテルが凍ることもないわけです。
 飲み物の凝固点のことなんて考えもしなかった非理科系の私にとって、これはまさに目からウロコな指摘でありました。
 
   4月の東京で−5℃を体感♪     今回ご一緒した太田倫子さん(右)は茶道仲間です 



Barカウンター内部の様子。手前のカウンターに
乗っているのが氷のグラスです。スタッフは全員
男性でした
 ABSOLUT ICE BARを共同経営しているのはスウェーデンにあるICE HOTELだそうです。アイスホテルは文字どおり氷で出来たホテルで、館内には結婚式や各種サービスを受けられる氷の教会もあるんですって。

 今のことろ、アイスホテルで結婚式をあげた人の半数はスウェーデン人、残りもヨーロッパの人が殆どのようですが、いずれは「氷の教会で結婚式をあげた〜い♪」という日本人ハネムーナーが殺到する予感(笑)。

 なお、今回私たちが行ったABSOLUT ICE BARと同系列の氷のバーは、ストックホルムをはじめ、ロンドン、ミラノなど世界中の大都市にもあるそうです。

 実はシドニーに留学中の娘のLiAが、少し前に現地のアイスバー(経営はABSOLUT ICE BARとは別の会社)へ行ったらしいのですが、彼女の報告によれば、シドニーのアイスバーの入場制限時間は30分だったとか。

 これってやっぱりオーストラリア人のほうが寒さに弱いから?

 シドニーの人たちより15分も余計に楽しめたと知り、ちょっとトクした気分の私なのでありました(うふふ)。
 なお、当日の娘の日記(シドニーで「マイナス5℃」!)はこちらからお読みいただけます。併せてご笑覧くださいマセ。

 ではでは♪
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪


こういう黒いネットをかぶったオジ
サン、ときどき実在しますよね(笑)

※前号までの写真はこちらからご覧ください
事事如意
2006年4月29日
山田 真美