≪旅に出ていない限り毎週土曜日に更新します≫
直前号(3年目のIITハイデラバード〈Part 1〉)は
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2017年9月10日号(第588号)
今週のテーマ:
3年目のIITハイデラバード〈Part 2〉
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  「ナマステ・インディア」のお知らせ
開催日:9月23日(土)と24日(日)
場所:代々木公園 特設会場
山田真美によるレクチャーは24日の13時から14時。テーマは「インド工科大学の学生たちと訪ねるインド神話の世界」です。参加無料。予約不要。お気軽にご参加ください。
※〈Part 1〉はこちらからお読みいただけます。

9月4日(月)

 インドへ来るたびにインドらしい衣装を1ダースほど買い求めています。というのも、日本でインド関係の講演・講義をする時は基本的にインドの衣装を着ることにしていますので。

 しかしながら今回は忙しすぎて、まだ↓この1枚↓しか買っていません。
 どこかで買い出しの日を設けなければ……。

 などと妄想しながら、今日は一日部屋にこもってデスクワークに励みました。

インディゴブルーが涼しげな1枚。
重宝しそうです。
 9月5日(火)

 今朝のインディアン・エキスプレス紙(インドの代表的な英字紙の一つ)に、象の頭を持つヒンドゥー教の神さまとして知られるガネーシュ神が日本でどのように祀られているかが紹介されており、たいへん興味深く読ませていただきました。

※該当記事はこちらからお読みいただけます(英語)。

 ただ、いかんせん限られた紙面のため、記事は日本におけるガネーシャ(日本での呼称は歓喜天または聖天ですが)信仰の表層部分しか扱っていません。

 歓喜天は、なぜガネーシャのように「ピン」でなく、男女二神向き合って抱擁し合う形なのか。
 なぜ大根が好きなのか(私の知る限りインドのガネーシャにはそのような神話はありません)。

 ……などなど、記事が触れなかった疑問を突き詰めていくと、宗教が気が遠くなるほど長い時を経て伝播する間に神格がいかに大きく変化していったかが読み取れる興味深い事例だと思うんですよね。

 せっかくなので明日の授業ではこの話をしてこようと思います。
 
今朝のインディアン・エキスプレス紙に掲載
された歓喜天(日本版ガネーシャ神)の図。
 9月6日(水)

 午前中、宿舎の部屋で勉強していたところまさかの停電。昼までにまとめねばならないレポートが1本。このままでは間に合わないと思い、タクシーを呼んで大学へ向かおうとしたところ、車に乗り込んだ瞬間に電気が復活しました。まあ、これもいわゆる一つのマーフィーの法則ですね。

 既に乗り込んだ車から今さら降りるのも面倒だったので、そのまま大学ヘGO!

 ちなみに宿舎があるODF(地名です)から大学のあるKandi(これも地名です)までは、車でたっぷり30分ほどかかります。典型的なインドの田舎道で、水牛や豚やニワトリがその辺を歩いており(さすがに象はいませんが)、デコボコミ道なのでしっかりとどこかに掴まっていないと天井で頭を打ちます。

 そんな道を30分ほど揺られた後に大学に到着し、授業開始時刻まで自分の部屋で調べもの。

 部屋は例の楳図かずお先生もどき、もとい、紅白縞々の建物群の中にあります。家具とドアも真っ赤でかなり情熱的です。

 一体どなたのデザインか知りませんが、かなり斬新な発想……ですよね!?

【 おまけ 】 昨日の新聞に載っていた歓喜天の話題を授業で取り上げたところ、「ガネーシャ神が日本では大根を食べている」というあまりにも意外な事実に、学生たちは衝撃を受けたようでした。少し前に教えたフレーズを使って「インドジンもビックリ!」と言っている子もいました(笑)。そして同時に、「チャンスがあったらぜひ日本へ行きたい。そして歓喜天が祀られたお寺を訪ねてみたいです!」と興味津々の様子でもありました。

大学のEブロック528号室を使わせていただいています。
家具もドアも驚くほどビビッドな赤。


窓の外も見渡す限り紅白の縞々。



停電でおなかを空かせた機材にバッテリーチャージの図。
最近は100V~220V対応の機種が増え、
昔のように重い変圧器を持ってくる必要がなくなりました。
 8月7日(木)

 宿舎から徒歩5分。いつもの教授用食堂で、いつものシンプルな朝食。チャイさえあればとりあえず幸せを感じられる今日このごろ。

 ここに住んでいると全てがシンプルになってきます。

 さて今日はプロのカメラマンがキャンパスで写真を撮ってくださるというので、あえて紅白縞々のシャツで登校しました。

 紅白縞々のビル群をバックに、紅白縞々のシャツを着て写真を撮ってもらうのは去年からの夢だったのですよ、実は(笑)。

なぜそんなことをしたいわけ?

と問われても返答に窮しますが……なんとなく面白い絵になりそうじゃないですか。

朝食。大体いつもこんなメニューで大きな変化はありません。
食べ物もチャイもおかわり自由です。



ハイデラバード版『ウォーリーを探せ』(笑)。



紅白ビルの中から見た風景。
螺旋階段を昇降しながらこの風景を眺めていると目が回ってきます。




外観。どこまでも紅白縞々です。
(現在、さらに新しい建物を建造中。そちらももちろん紅白縞々。)
 9月8日(金)

 先ほど近所のアイロンがけ屋さんにたのんで、かなり複雑な(つまり手のかかる)デザインのパンツにアイロンがけをしてもらったのですが、手間賃はわずか5ルピー(約8円)でした。

 仕事はとても丁寧。手を抜いた様子は一切なく、しかも通常のパンツのアイロン代金はそのまま据え置き特別料金がチャージされることもありませんでした。

 最近はインドも随分と物価が上がったなあと感じていましたが、アイロン屋さんの収入は20年以上さっぱり上がっていないような気がします。

 インド経済が上向き、富裕層が増えるにつれて貧富の差がますます広がったと言われますが、今日はその典型を見たように思います。

 なお、今日の授業では日本人の死生観・宗教観と、その中に見られるインドの影響について講じました。日本神話におけるイザナギ・イザナミの物語、その中でも日本神話上「初めての死」であるイザナミの死にまつわる物語に、学生たちは非常に関心を持ったようでしたよ。

 ダブルレイヤー(二層)になっていて
実にアイロンがけの難しいパンツです。
 9月9日(土)

 1週間ぶりに街へ出ました。いま住んでいる宿舎は物凄い僻地にあって、街へ出るのはそりゃあもう一苦労なのです。

 私の場合は大学がタクシーを出してくれるので非常に助かっていますが、それにしても買い物に行くだけで片道1時間半はかかりますから、出かけるにはいちいち決断が必要になるわけです、はい。

 今日の行き先は「インオービット(Inorbit)」という名の人気のモール。

 まずはフードコートでハイデラバードで一番美味しく値段も高いと評判のお店のアイスクリームに舌鼓を打ちました。このお店では、注文すると好みのフルーツをその場で細かくチョップしてアイスクリームに混ぜ入れてくれます。私がこれまでに食べた全てのアイスクリームの中でも頂点に近い美味しさ。日本に出店したら売れるんじゃないでしょうかね。

 次にモール最上階に最近オープンしたギャラリーでインド人作家の絵(モチーフは牛と象と駱駝)を鑑賞。

 最後はブティックでインド服を一抱えほど買いまくり、まさに煩悩に導かれるままに過ごしました(笑)。

 ちなみにインドでも最近はさまざまな支払いをカードで簡単にできるようになりましたが、基本的に外国で発行されたカードは使えないため、外国人は仕方なくキャッシュを持ち歩くことになります。

 インドのお札の額面は最高で2000ルピー(今日のレートで約3400円)、次が500ルピー(約850円)といった感じで額面が比較的小さいので、まとまった額を持ち歩こうとすると財布が膨れ上がってしまい、難儀します。

 モールから一旦宿舎に戻り、夜は3年前から親しくさせていただいている近所の友人(プラディップ&サロカ夫妻)宅で手料理をご馳走していただきました。感謝。

最上階から見たフードコートの様子。



「クリーム・ストーン」というアイスクリーム屋さん。

石板の上でフルーツをチョップしアイスに混ぜ入れてくれます。
一人前160ルピー(約270円)+税はインドにしては
確かに高価ですが……この味には代えられません♪



こちらはモール最上階に最近新設された

モダン&コンテンポラリー・アートのギャラリー。



細かなところまで描きこんでありますね。

いわゆるインド細密画の世界も彷彿させます。



カラフルな鼻が何本も生えている象もいます。



ブティックでのショッピング戦利品の一部。
ここに写っていない品物があと数点あります。



プラディップ&サロカ夫妻宅にて夕食(卵以外はベジです)をご馳走になりました。
何やら事情があって下に新聞が敷いてありますが、
「お行儀が悪くてゴメンナサイ」とサロカが謝っていましたので見逃してください。
 9月10日(日)

 何かと仕事が山積していたため、日曜日は遠出を自粛して宿舎にこもることに。

 ここでは夕食の開始が8:00PMと少々遅いので、かわりに5:30PMからおやつの時間です。今日のメニューはトウモロコシとチャイでした。

 たまに焼ソバのような少し手のかかったものが出ることもありますが、大抵は簡単なスナック類ですね。
 いずれにしてもチャイは必ず供されます。チャイ好きな私には嬉しい時間。

 トウモロコシを食べ終えて部屋に戻ると、昨日も夕食に招いてくれた近所の女友達サロカが、

「お魚を調理したからお弁当にして持ってきたわよ~♪」

と元気に登場。なんと、白いご飯の上にベンガル風に調理されたスパイシーなお魚キノコ料理がドドーンと乗った超ダイナミックなお弁当を差し入れてくれました。

 彼女はカルカッタ(コルカタ)出身。魚料理は得意中の得意なのです。

 そう言えば野菜以外のものを口にするのは実に2週間ぶりです(卵は食堂で出ますが、手を付けませんでした)。
 昨日はアイスクリームを食べましたけど、まあ、あれはカウントしないということで(笑)。


 サロカのお弁当、美味しかったな。なお「魚の名前は?」という質問は受け付けませんのであしからずお許しください。

 ここでは誰も魚の名前なんて気にしないのです。魚は魚(笑)。それ以上のことはわかりません。

こちらはインド式のシャワー。
バケツにお湯をため、カップですくって体にかけます。
湯船に浸かるという習慣はもちろんありません。



今日のおやつ、トウモロコシとチャイ。



サロカが差し入れてくれたベンガル風スパイシー魚弁当。
 ハイデラバード滞在も残り5日
 授業はあと2回を残すのみとなりました(とは言え1回の授業が2時間半と非常に長いのですが)。

 そして今からちょうど1週間後には、デリー大学で開催の国際会議で発表している予定です。
 なんというか、本当に、時の経つのが速い。

 今週も頑張りましょう。
 
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 ▼・ェ・▼今週のクースケ∪・ω・∪ 

クースケは日本で留守番しておりますので
今週は写真をお休みさせていただきます。

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2017年9月10日
山田 真美
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