旅に出ていない限り毎週土曜日に更新します。
直前号(京都散策+マジシャンの来日)は
こちらから、それ以前のバックナンバーは
こちらから御覧になれます。

2009年9月28日号(第354号)
今週のテーマ:
面白すぎるインド神話の世界
★ 仏教エッセイ ★
真言宗のお寺・金剛院さんのウェブ上で『仏教一年生』と題したエッセイを連載中です(毎月28日頃に更新予定)。第17回のテーマは「35年目の同級会」です。左のロゴをクリックしてページに飛んでください。
【 10 月 の イ ベ ン ト の お 知 ら せ 】
(1)第9回「煎茶を飲みながら民族記録映画を観る会
 今回のテーマは「トリュフ」です。10月3日(土)16:00〜18:30まで@南阿佐ヶ谷。参加費2,000円。

(2)「日本文化デザイン会議2009アートプロジェクトin北本」
 リレートークに出演します。10月10日(土)15:00〜16:30まで@埼玉県北本市。
※いずれも、お問い合わせ/参加申込みはmami@yamadamami.comまで、お気軽にどうぞ♪

 日本最大級のインドフェスティバルである「ナマステ・インディア2009」の文化講演会に講師として招かれ、「神々が選んだ国インド――面白すぎる超時空神話をたずねて」のタイトルでレクチャーをして参りました。
 今回の会場は、渋谷のど真ん中(PARCOの斜め前)にある「たばこと塩の博物館」。
 この場所自体が、実は、知る人ぞ知る東京の面白スポットなんですよ。

 公園通りに面した繁華街(しかも土曜日の午後)とあって、あたりは私服の女子高生だらけ。
 その道をサリー姿で歩いていたら、さすがにちょっと目立ったのでしょう、

「これから何かイベントでもあるんですか?

と、知らない女の子から質問されてしまいました(苦笑)。
  
(左)会場の「たばこと塩の博物館」 (右)講演会の主催者である日印協会の理事長で
元駐印・駐仏日本大使の平林博先生と
 ちなみに、チラシに載せたレクチャー概要は↓こんな感じです。
 インド神話の世界。それは一歩足を踏み入れたが最後、二度と出てくることのできない巨大ブラックホールのような世界です。
 そこでは、1日の長さが人間界の
86億4000万年に相当する神様や、手をかざしただけで金貨がザクザク湧き出すセレブな美貌の女神様、その実妹にあたる不幸の見本市のような女神様、ダーウィンの進化論そのままに「魚→亀→猪→半人半獣→小人→道具を持った人間……」と進化する神様、16,008人の妻を持つ超モテの神様、血と殺りくを好む暗黒の女神様などなど、われわれのコモンセンスを打ちのめす神様たちが空前絶後の大アドベンチャーを繰り広げています。
 いくつかの神話をひもときながら、インド人が持つ
イマジネーションの物凄さに想いをめぐらしてみましょう。
 今日はどんな方たちが聴講に来てくださるのかなあ……とワクワクしながら会場に着いてみれば、定員80名の会場には公演開始前から大勢の人が詰めかけてくださり、あっと言う間に満席に。

 超コアなインドファンや、昔からの読者さん、お友達も数多く集まってくださったおかげで、しょっぱなからかなりハイテンションな講演会となりました♪
  
会場はのっけから熱気ムンムン……
 さて、この日の講演はインド神話がテーマでしたから、来てくださったかたがたには、14年前に出版した拙著『吉祥天と行くインドの旅』(インド政府観光局・刊)を差し上げることにしました。

 ところがこの本は残部僅少で、今や私の手元にさえほとんど残っていない状態なのです。
 100人近いお客さま全員に配るのは、物理的に無理。

 というわけで今回は神話にまつわるクイズを6〜7問出題し、正解数が多かった10名様に『吉祥天と行くインドの旅』をプレゼントすることにしました。

 クイズの中身は、例えば、

「第1問。弁才天の元の姿はインド神話に登場するサラスヴァティー女神です。
 さて、日本の“三大弁天社”はどこと、どこと、どこ?」

「第2問。インドで最もモテる男はクリシュナ神で、彼には16,008人の妻と恋人がいます。
 では、クリシュナの仕事(職業)は次のうちのどれ?
 @牧場の牛飼い Aマハラジャ専属の楽師(笛) Bいわゆるジゴロなので仕事はしていない」

「第3問。インドには、『ノアの方舟』神話に酷似した『マヌの方舟』神話があります。
 それでは、『ノアの方舟』に実際に乗った人数は何人だったでしょう」

といった感じ。

 全員参加のクイズ大会とあって、このときは会場が一体となって(?)特に熱く燃えましたよ〜(笑)。

 上に記した3問の答え、皆さんは全部おわかりですか?
(※このページのいちばん下に正解を載せておきました♪)
  
 さてさて、インド神話にはほとんど荒唐無稽と思われるほどダイナミックなストーリーが多く、上っ面だけを眺めていると、

「なんだか嘘臭〜い!(笑)」

と思えてしまうモノも少なくありません。

 しかし、実はそうしたストーリーの裏側には深い哲学思想や科学の発見、それに文化的な考察が封じ込められているケースが少なくないのです。

 例えば、ヴィシュヌという男神に関する神話には、彼が魚→亀→猪→半人半獣→小人→道具を持った人間……と変化(へんげ)を繰り返してゆくというエピソードがあります。

 これらのストーリーは、表面だけをとらえると漫画っぽく、幼稚にすら思えるのですが、その裏側にはダーウィンの進化論を先取りしていたのであろう、生命の発達段階に関する考察が隠されています。

 また同じ神話のなかに、マヌという名の仙人が1匹の魚(実は魚に姿を変えたヴィシュヌ神)から大洪水を予言され、船を作って、そこにありとあらゆる植物の種を搭載し、7人の仲間の仙人とともに生き残るというエピソードもあります。

 ……『ノアの方舟』神話とそっくりでしょ?

 実は、これと似た内容の洪水神話は昔から世界各地にあるとされ、このことから、過去に世界規模(?)の洪水があった可能性が推察できます。

 神話は子どもにもわかる単純な表現方法を取ってはいますが、その奥にあるほんとうの意味を慎重に掘り下げてゆくと、とてつもなく深い人類史に繋がっている場合があるのです。

 そうした側面に気づくために、今回のレクチャーでは神話を縦に切って断面を横から眺めてみるという試みをしました。

 いつもとはちょっと別の角度から眺めるだけで、世界はまったく違った風景にもなり得る。
 そのことを、インド神話を通じて実験してみたわけです。

 なお、今回のレクチャーの概要は、主催者の日印協会さんのほうでまとめて10月発行の機関誌に載せてくださるそうですので、出来上がりましたら、また「週マ」でお知らせしますネ。
  
(左)一家揃って読者さま(いつもありがとうございます♪)の小山家の皆さんと記念撮影(右端は娘のLiA
(右)講演会終了後は私服に着替え、近くのカフェバーで若いお友達と打ち上げです
 というわけで、気がつけばもう月曜日。
 今週は書斎にこもって執筆に明け暮れる予定ですよ(まぁ予定は未定ですが(笑))。

 皆さまも、それぞれに素敵な1週間をお過ごしください。
 ではでは♪

【クイズの答え】
第1問/宝厳寺(滋賀県竹生島)、大願寺(広島県)、江島神社(神奈川県)。
 但し江島の代わりに天河大弁財天社(奈良県)を入れる場合もあり、そちらも正解としました。
第2問/@牧場の牛飼い。
第3問/8人(ノア+ノアの妻+ノア夫妻の3人の息子+息子の妻たち=8人)。
 ちなみにインド神話のほうも、方舟に乗った人数は8人(仙人のマヌ+仲間の仙人7人)です。
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪


風呂上がり 水もしたたる いい女?

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2009年9月28日
山田 真美
※週刊マミ自身の一部または全部を許可なく転載・引用なさることはお断りいたします♪
©Mami Yamada 2000-2009 All Rights Reserved.