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2010年7月29日号(第392号)
今週のテーマ:
自衛隊盆踊り+怪談「牡丹灯籠」
★ 仏教エッセイ ★
真言宗のお寺・金剛院さんのウェブ上で『仏教一年生』と題したエッセイを連載中です(毎月28日頃に更新)。第27回のテーマは「人間と占い」です。左のロゴをクリックしてページに飛んでください。

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――講演会のお問い合せはまでお気軽にどうぞ♪――
(1) 日本文化デザインフォーラムのメンバーによるリレートーク
9月4日(土) 山田真美の出番は14:00〜15:00(共演は大樋年雄氏・榎本了壱氏・鏡リュウジ氏)@東京芸術大学美術学部第一講義室 ※天下の芸大を見学しがてら(笑)遊びにお越しください。
(2) ナマステ・インディア山田真美インド講演会
9月25日(土)15:00〜16:30@たばこと塩の博物館 ※「500人の魔法使いから教わったこと」をテーマに、秘蔵写真をふんだんに使ってインドの不思議をお話します(博物館料金:大人100円)。


 インド人もびっくりの猛暑、お見舞い申し上げます。

 先週は、先々週のポケモンとは打って変わって盆踊りと怪談のイベントに参加してまいりました。

 ……江戸時代の夏みたいなラインナップが渋いでしょ(笑)。

 イベントが行なわれた場所というのが、これまたユニークでして、盆踊りが行なわれたのは自衛隊市ヶ谷駐屯地。怪談が行なわれたのは、板橋にある真言宗のお寺さん

 このうち自衛隊市ヶ谷駐屯地と言えば、私が小学5年生だった1970年の11月に三島由紀夫がクーデターを起こそうとして失敗、割腹自殺を遂げた上に介錯されて首が転げ落ちた現場……というイメージがあまりにも強烈で、これまで一度も訪ねてみる機会はありませんでした。

 ああ、ちなみに私、三島の日本語が大好きなんですよ。

 今回は、宇宙作家クラブの勉強会に講師として来てくださった伊東寛さん(サイバーテロ対策がご専門の元大佐)の特別の御取り計らいで、盆踊り大会の入場整理券をゲット。

 生まれて初めて足を踏み入れた駐屯地でいきなり「東京音頭」を踊るという、前代未聞の非常事態となりました(笑)。

防衛省市ヶ谷自衛隊発行の「盆踊り大会入場整理券」(非売品)


  
入り口で荷物検査とボディーチェックを受け、いざ駐屯地へ!
 なにしろ私にとっては初めての市ヶ谷駐屯地です。

 見るものすべてが珍しく、ほとんどおのぼりさん状態で物販セクションを見学していたところ、とても清楚な感じのする女性隊員がニッコリ微笑みながら近づいて来て、

「これ、記念にお一つどうぞ♪」

と、駐屯地の銘入りうちわと手ぬぐいをくださったではありませぬか。やった〜♪

 あまりに嬉しかったので、冷静に考えたら絶対に着ない/着られない海軍Tシャツ(背中に軍艦のイラストと説明がびっしり印刷されている)を思わず買ってしまいました。ううう(大汗)。
  
(左)物販のセクションで、南極の氷を触らせてくれていたのは海上自衛隊東京業務隊
(右)おでんの模擬店の飾り付けが、いかにも自衛隊チックですねえ〜
 実はですね、私達が駐屯地に到着したときは、中央の櫓(やぐら)のまわりでは既に部隊対抗の盆踊りコンテストが実施されていたのです。

 優勝・準優勝といった具合に順位が付けられるとあって、どのチームもかなり上手でしたよ。

 やっぱり日頃から肉体を鍛えている方々は、盆踊り一つとっても一般人とはキビキビ感が違いますね〜。

 手の上げ下げや足運びの大胆さはもちろんのこと、指先にまで細かな神経が行き届いている感じが流石!

 ちなみに、例の三島氏の自決現場は、↓左写真の右側に写っているビルのあたりだそう。
 当時の建物はとうの昔に取り壊され、現在建っているのは新しい建物だということでした。
  
部隊対抗の盆踊りコンテスト


  
こちらは(隊員席ではなく)一般席。宇宙作家クラブのメンバーと一緒のテーブルです
 部隊対抗盆踊りコンテスト終了後は、お待ちかねの誰でも参加可の盆踊りタイム♪

 当然、私も踊りの輪に飛び込み、見知らぬ人たちと一緒に「東京音頭」と「炭坑節」を踊りまくりましたとも(笑)。

 最初のうち「東京音頭」の振り付けがサッパリわからなかったので、たまたま目の前で踊っていた品の良いオジサマ(推定60〜65歳)に、

「すみませんが踊り方がわからないので、そっくりマネさせていただきますね」

と一言断ってから、見よう見まねで踊っていたんですよ。

 オジサマは作務衣のような私服だったので一般人だとばかり思っていたのですが、そのうち自衛隊の広報係らしき人たちがドヤドヤッとやって来て、驚いたことには、踊るオジサマの写真をバシャバシャと撮り始めたじゃありませんか。

 あらら。オジサマはどうやら防衛省の偉い人だったみたい(汗)。
 しかも、あのアングルだと、たぶん私もモロに写りまくったはず(汗汗)。

 ……というわけで、後日、もしも自衛隊のニューズレターか何かで偉い人の後ろにピッタリついて踊る私の怪しい姿を見かけましたら、そこには以上に述べたような深〜い理由があったのだということを、何卒お含みおきくださいませ(苦笑)。

 それにしても楽しい盆踊りだったなぁ〜♪

「東京音頭」と「炭坑節」でフィーバー、フィーバー!(笑)
 さてさて、次なるイベントは、いつもお世話になっている安養院さんで行なわれた、落語家さんによる怪談の会です。

 プロの噺家さんによる怪談。
 しかも、それをお寺でやるとなれば……これはもう、いかにも出そうですよねえ。

 周囲にはお墓や卒塔婆も見え隠れしていたりして、迫力ありすぎ(笑)。

怪談の舞台となった御本堂
(何か写ってますかねえ?)
 この夜の演目は、「四谷怪談」「皿屋敷」に並ぶ日本三大怪談の一つ、「牡丹灯籠」でした。
 ヒュ〜ドロドロドロ……。

 あらすじを簡単に申しますと、ある可憐な乙女が、一目惚れした男に逢えない苦しみから食事も喉を通らなくなり、いわゆる恋の病でぽっくり亡くなります。

 乙女は成仏できず、彼女のあとを追うようにして亡くなった中年の侍女と共に幽霊となり、男のもとに夜な夜な通って憑り付いてしまうんですねえ。

 ところが男のほうも実は最初から彼女が好きでしたので、夜ごと訪ねてくる乙女が幽霊だとは露知らず、逢瀬を心待ちにするようになります。

 しかし、やがて女と侍女が幽霊であることを人から知らされた男は、にわかに自分の命が惜しくなります。
 男は、お坊さんから言われたとおり家の周囲にお札を貼り巡らし、首から小さな観音像を提げて、なんとか幽霊を封じようとするんですね。

 要は、男が心変わりするわけです。(←ここ重要)

怪談の照明は2本の和蝋燭のみ。おどろおどろしい雰囲気のなかで「牡丹灯籠」が語られました
 お札が貼ってあるために、幽霊はその晩から男の家に入れません。乙女は男の心変わりを知り、嘆きます。
 これまでの「ラブラブ」ではなく、今度は「うらめしや〜」となって男の家に入ろうとするわけです。

 こう書くと、

だから女は怖いんだ

とおっしゃる向きもあるでしょうが、これってよくよく考えたら男がだらしないだけのことですよね(苦笑)。

 だって、彼はもともと彼女を愛していたのだし、人から「幽霊だ」と指摘されるまで、二人は甘〜い時を過ごしていたんですよ。

 だったら別に幽霊でも何でも構わないから、好きな女に憑り付かれて死んじゃったほうが、彼は幸せだったんじゃないですかね。

(しかもこの男、何の情熱もなく毎日部屋に籠って読書ばかりしている江戸時代の引きこもりみたいな人なんです。面倒を見るべき親や妻子もいないし……)

 所詮、人から何か言われて腰が引けちゃうような中途半端な惚れ方しか出来ない男なのよね。
 もっとも、そういうダメンズだからこそ怪談が成り立つわけですけど。

 私のように白黒ハッキリしたラテン思考では、日本のジメジメした怪談は語れませんね。
 反省(笑)。

後方は古井戸です。うらめしや〜
 それはともかく、怪談「牡丹灯籠」は、実は男女の色恋話だけでは終わらないんですよ。
 話の最後に、男の隣家に住む性質の悪い夫婦が登場するのですが、彼らは、

「どうぞお札をはがしてください」

と頼みこんできた幽霊の弱みに付け込んで、1,000両の金をせびり、そのお金と引き換えにお札をはがしてしまうんです。

 こうなってくると、幽霊より生身の人間のほうがよっぽど恐ろしい。

 こんなことになるぐらいなら、この男、最初から素直に幽霊とあの世へ行ってたほうがずっと幸せだったと思いますよねえ。ま、私には関係ないけど(笑)。

 まあそんなわけですから、皆さまも恋人選びはくれぐれも慎重にしましょうね。
 「うらめしや〜」と言ったところで、失ったものが返ってくるわけじゃないんですから、ホント(笑)。

 今週末の31日は、特等席で隅田川花火大会を見物してまいりま〜す。

 ではでは♪
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪



駐屯地でいただいた手ぬぐいで
勇ましく変身(まるで新撰組?)

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2010年7月29日
山田 真美
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