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2008年8月22日号(第306号)
今週のテーマ:
夏は何故かくも逃げ足が速いのか
★ お し ら せ ★
真言宗のお寺・金剛院さんのウェブ上で『仏教一年生』と題したエッセイを連載中です(毎月28日更新)。第4回は「祖母の形見」。左のロゴをクリックしてページに飛んでください。
 やりたいことの半分も済んでいないというのに、8月も残りわずか9日……って冗談でしょ?!
 矢沢永吉さんの「時間よ止まれ」というご意見に、私も激しく同意します(笑)。

 ……というわけで行く夏が惜しいので前置きはこれぐらいにしまして(笑)、さっさと本論に入ることにしましょう。

 先週から今週にかけては毎日のように会食やミーティングがあり、座布団を温める暇もなくバタバタ走り回っておりました。

 まず13日(水)は友人と沖縄料理で暑気払いと洒落こみ、「ニコニコ太郎」という楽しい名前の琉球泡盛で乾杯。
 
(左)海ぶどう・島らっきょう・豆腐ようは沖縄料理の3種の神器 (右)「ニコニコ太郎」(笑)
 続く14日(木)は東京ドームシティ内のベースボールカフェへ。

 お食事を楽しみながら友人のマジシャン、スティーブ・マーシャルさんによるテーブルホッピング・マジック(テーブルからテーブルへと移動する巡回型マジック)を堪能しました。
 
夜の東京ドームシティアトラクションズ(旧・後楽園ゆうえんち)。ジェットコースターから
聞こえる絶叫をBGMに歩いてゆくと、目指す「ベースボール・カフェ」が見えてきました


 
お料理のサイズは標準より大きめ。ムール貝が美味しかった♪ タブロイド風のメニューがオシャレです


 
(左)テーブルホッピングマジックを披露中のスティーブ (右)ショータイムの店内の様子
 翌15日(金)は、台湾から一時帰国中の天文学者・阿部新助さん(台湾国立中央大学天文研究所助教授)を囲んでのプチ飲み会

私のすぐ右隣り、黒シャツの男性が阿部さん。都内の某イタリアン居酒屋にて
 18(月)〜20日(水)は久々に長野へ。戸隠と鬼無里(きなさ)の中間地点にある曹洞宗の名刹、大昌寺の施餓鬼法要に招かれ、1時間の卓話をして参りました。

 ご住職からは、

「こういうご時世ですから命の大切さについてお話ししてください」

とあらかじめ頼まれていましたので、終戦記念日が過ぎたばかりですし、ちょうど良い機会かなと思いカウラ事件のことをお話してきました。

 ちなみに大昌寺さんは、お能や謡曲で有名な「紅葉狩」にゆかりのある古いお寺。

 伝説によれば、今から1,000年ほど前の会津の町に、紅葉(もみじ)という名の美女がいたそうです。彼女は京の都で源経基に見初められ、やがて懐妊します。

 しかし紅葉の本性は、実はしたたかな妖術使い。美しい顔に似合わぬどす黒い野心が胸にとぐろを巻いており、よせばいいのに、妖術を使って経基の本妻を呪殺しようとするんですねえ(ああ怖い怖い)。

 しかしその恐ろしい企みは、やがて比叡山延暦寺の高僧によって看破されてしまいます。

 都を追放された紅葉は、戸隠の奥にある水無瀬(のちの鬼無里)という村に落ち伸びるのですが……その頃の戸隠の山奥といったら、まさに陸の孤島以外の何物でもない淋しさだったことでしょう。恐ろしい邪心を持った美しい女が都の華やぎを忘れられるはずもなく、紅葉は何としてでも都に戻りたいと切望するようになります。そして、都に帰るための資金を集めるために、ついに仲間と共謀して近隣の村で強盗を働くようになってしまうのでした。

 やがて、恐ろしい鬼女(すなわち紅葉)の噂は都にまで伝わり、平維茂(たいらの・これもち)が鬼退治のために戸隠へと遣わされます。

 謡曲ではこのくだりを、

「時雨を急ぐ紅葉狩り 時雨を急ぐ紅葉狩り 深き山路を尋ねん」

と表現していますが、ここでいう「紅葉狩り」には、山々を真っ赤に染めている美しい紅葉(植物)を見物するという意味の「紅葉狩り」と、今や鬼女となった紅葉(人間)を征伐するという意味の「紅葉狩り」の2つの意味がかけられているわけですね。

 結局、鬼女紅葉は平維茂に成敗され、鬼無里の山奥で33歳の若い命を散らすのですが、今回お邪魔した大昌寺さんこそは、長年にわたって紅葉の菩提を弔っておられるお寺なのですよ、実は。

 お寺のすぐ上には鬼女の岩屋(紅葉とその一味の住処だった場所)も残されており、悲しく恐ろしい伝説に彩られてはいますけれど、とても風情のあるところです。

 ちなみに私が大昌寺さんで卓話をさせていただくのは、今回でかれこれ6〜7回目になるでしょうか。
 今回は約300人の熱心な信徒さんがご参集になっておられました。

大昌寺の施餓鬼法要にて。私は写真の中央、金色の
台座に座っています(虫眼鏡で見てね(笑))


 
信州でのひとコマ (左)「カエル大明神」というお宮の前に立っていた二宮金治郎型カエル
(右)中央自動車道のSA・PAでは、またしてもポケモン・スタンプラリーに挑戦(苦笑)
 20日(水)は20+α年来の友人で実業家の大澤雄一さんたちとご一緒に、銀座の「BRP」(慶応義塾OBのための会員制クラブ)で会食。

 21日(木)は豪州ワイン輸入販売会社ヴァイアンドカンパニーを経営していらっしゃる唄(ばい)淳二さんのご招待で、豪州ワインセミナー(@セルリアンタワー東京)に出席させていただきました。ちなみにこの日は娘のLiAも同行。

 こういうセミナーに出席するのは、普通はバイヤーさんとかレストラン経営者、ソムリエといった方々ばかりなんですけどね。

 生まれてこのかた、出席したすべての聞香と闘茶(香りやお茶の銘の当てっこ)で全問不正解というアンビリーバボーな記録を現在も更新中の私のような人間には、ワインの銘柄や、まして産地の違いなどがわかろうはずもなく、プロ仕様のテイスティングの会に参加すること自体が猫に小判。まさに神をも畏れぬ不遜な行為以外の何物でもないのですが……。

 ただ不思議なことに、私は(銘柄や産地はわからないくせに)どのワインが好きでどれが嫌いといった好みだけは人一倍ハッキリしているんですよ(苦笑)。

 今回は1時間で20種類以上のワインをしっかりテイスティングして参りました。
 その結果、いちばん美味しかったのはBleasedale Vineyardsのスパークリングシラーズでした。

 このワインをたったひとつの形容詞で表現するとしたら、「ゴージャス!」の一語に尽きます。華やかに飲みたいときにピッタリの1本。

 ちなみに唄さんのオススメは、Bimbadgen Ridgeのセミヨン・スパークリングワインとのことでした。
 
 なお豪州ワイン情報満載のヴァイアンドカンパニーのサイトはこちらからご覧になれます。
 
(左)豪州ワイン輸入販売会社ヴァイアンドカンパニーの唄淳二さんと。私が手にしているのは
Bleasedale Vineyardsのスパークリングシラーズ(美味!)、唄さんのオススメはBimbadgen
Ridgeのセミヨンスパークリングワイン (右)会場内の様子
 ワインセミナーのあとは、新宿バルト9で上映中の「東京オンリーピック2008」なる映画を見てきました。

 この映画、「オンリーピック」という紛らわしいタイトルからして既に笑いを誘いますが、北京五輪と同じ8月8日〜24日までの限定上映という立ち位置も、なんだかとってもス・テ・キ(笑)。

 同作品は日本を代表する15組のクリエイターが制作に参加し、映像作家の真島理一郎さんが総監督を務めた一種のオムニバス形式なのですが、作品の中で戦われているのは従来のオリンピックには存在しない超ナンセンスな競技―たとえば、イタコがあの世から霊魂を呼び出して競い合う「女子ヘルマラソン」とか、誰がいちばん本物のバカであるかを決める「バカ近代四種」とか、「ドーピング自由形」とか、「男子親離れ」など―名前を聞いただけでドッと脱力するようなものばかり(笑)。

 ナンセンス作品と言ってしまえばそれまでなのでしょうが、しかし、ほとんどアホらしいまでにアホに徹した作品づくりの姿勢には、逆に何か鬼気迫るほどのリアリティーを感じたのは不思議なことでした。

 ちなみに私がいちばん抱腹絶倒したのは、「巨大相撲」という競技です。

 ガンダムのような巨大ロボット同士の一騎打ちの相撲なのですが、決勝戦は日本対インド
 ……この設定を聞いただけで、既にこらえきれず爆笑です。

 特に、キンキラキンのターバンをかぶったマハラジャっぽいオジサン3人組がヒンディー語で会話しながらロボを運転する場面なんて、あまりのおかしさに笑い転げてお腹の皮がよじれそうになってしまいましたよ。

(しかもインドのロボットの頭の上には、どう見てもタイの黄金寺院にしか見えない少しもインドっぽくない仏塔みたいな物が乗っかっているし(笑))

 いや〜、とにかくヘンな映画です(いい意味で)。オススメ度MAX100%

 そうそう、この映画についてmixiに日記を書いてアップしておいたところ、なんと! 一面識もない真島理一郎さんご自身がこの日記を読んでくださり、わざわざご丁寧なコメントまで付けて下さったんですよ。これには私、感激いたしました。

※「東京オンリーピック2008」ダイジェスト版はこちらからご覧になれます。
  映画の公式サイトはこちらです。
  真島さんを一気に有名にした「スキージャンプ・ペア」はこちらからご覧になれます(必見です)。
 
(左)「バルト9」の入り口の風景 (右)会場にディスプレイされていた映画の公式ポスター。
一瞬「岡本太郎さんのデザイン?!」と思ったのですが、正解は田中秀幸さんでした(汗)
 明日は「豪州ワインとカウラ秘話の会」。

 来週は『広告』(博報堂・刊)のインタビュー(+写真撮影)を受けるため琵琶湖の竹生島を訪ねるほか、この夏最初で最後の花火大会見物に行って参ります。

 ではでは♪
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪


近頃ブースケはトマト畑の番犬と化して
います(このキリリとした顔つきを見よ)

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2008年8月22日
山田 真美
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