2011年10月13日号(第431号)
今週のテーマ:魔法少女ジニア日印友好マジックツアー[2] |
[※プライバシー保護のため、マジックショーを見に来てくださった皆さんのお顔をハートマークで隠してあります。何卒ご理解ください。]
【DAY 3】 東京から宮城への移動(9月20日)
*長距離バスで宮城へ移動 *マジックショー@特別養護老人ホーム一重の里
……というわけで、今日はいよいよ宮城に向けて出発です!
最初は新幹線の旅を考えていましたが、ジニアのママから、
「例によって、荷物、メチャ多くなるのでヨロシク(笑)」
という恐ろしい予告を受けておりましたので、色々考えた末に長距離バスで移動することにしました(経験上、こちらのほうが荷物を多めに持ち込めますので)。
この日は朝からあいにく大型台風が近づいており、新宿を出発する前から雨。宮城に着く頃には土砂降りになっているのではないかというイヤ〜な予感が首をもたげます。
しかし今さらお天気の心配をしたところで、どうなるものでもありません。
こうなったら、春雨じゃないけど濡れて行こう♪ |
(左)移動中のバスの中でパパはひたすら爆睡! (右)途中のパーキングエリアで、ゴミがきちんと
分別されていることに驚愕するパパとママ(※インドではゴミ分別の意識がまだまだ遅れています) |
そうこうしているうちにバスは仙台に到着しました。
できればホテルでシャワーを浴び、一休み……と行きたいところですが、休む間もなく、今夜のマジックショーが行なわれる老人ホーム「一重の里」へと移動。
ちなみにショーに使う4羽の鳩はと言えば、昨日の「こどもの城」公演の直後に(宮城県出身の友人・一迫敏洋さんによって)新幹線で仙台への移動を済ませており、さらに、今回の宮城県公演を手伝っていただいている同じく宮城県出身の太田倫子さんのご自宅で保管してもらっていたのでした。
聞けば昨日は新幹線でも太田さんのご自宅でも、時折り「ホゥーホゥー」と淋しげに鳴いていたとのこと。
でも、噂によれば鳩はオスしか鳴かない(それも求愛のためだけ)だそうですから、昨夜は淋しいどころか元気にメスを口説きまくっていたのかも知れませんよ(苦笑)。 |
こちらのお二人が、今回の宮城県ツアーのために小学校や老人ホーム等のコーディネートを
担当してくださった女友達です(右から太田倫子さん、私、庄子利枝さん)
ちなみにこちらの写真に写っているのも太田さん。そう、太田さんと私はもとはお茶仲間なのでした |
さて、会場の老人ホームに到着したわれわれがショーの準備をしている間にも、お客さまがどんどんお部屋に入って来てしまうのには参りました。これでは舞台裏が丸見えです(大汗)。
お客さまはほぼ全員が車椅子で、付き添っていらっしゃった介護士の方によれば、
「みんな朝からマジックが楽しみで楽しみで、お部屋で待ってなんかいられないんですよ」
ですって。それを聞いて、みんな胸がジーンと熱くなりましたよ。
窓の外では次第に雨音が強くなっていましたが、台風なんて何のその。
宮城県での最初のショーが元気にスタートしました♪ |
山深い温泉郷の中にある老人ホーム「一重の里」でのマジックショー
ジニアの一つ一つの仕草に会場からは「まあ〜、可愛いねえ〜」の声があがります。
年代的には、ちょうど孫娘を見るような気持ちなのでしょうか?
[右]ショー終了後、最長老(103歳)のご婦人とジニアのツーショット。ジニアは「100歳以上の
方にお会いするのは初めて。とても綺麗で、80代にしか見えません!」と驚いていました |
この夜は、ショーが終わるや速攻でホテルに戻り、明日以降の台風のルートを気にしながらそのままバタンキュー。
ちなみに仙台ではホテルパールシティー仙台に三連泊させていただきました。ホテルのオーナー(日印協会理事会でご一緒の比良さん)のご厚意により、朝食を含めたサービスをすべて無料でご提供いただきましたこと、この場をお借りしまして深く御礼申し上げます。
それにしても「パール」はジニアの姉の名前。4人家族のうち、今回はパールだけがインドでお留守番なのですが……ホテルの名前がなぜかパール。不思議な偶然があったものです。 |
こちらはジニアとパパ、ママの3人が泊めていただいたお部屋です。私はお隣りの部屋♪ |
【DAY 4】 宮城2日目(9月21日)
*マジックショー@仙台市立岡田小学校+亘理町立荒浜小学校+特別養護老人ホーム杜の里
さて宮城県での2日目は、仙台市立岡田小学校からスタートです。
実は昨日までに、私のもとにはテレビ局から「マジックショーを取材に伺いたい」との連絡が入っていたのですが、その取材は小学校側のご事情でキャンセルとなりました。
先生のお話によれば、大震災後は色々とナーバスになっている向きもあり、テレビに子どもの姿が写ることを――たとえそれが後ろ姿であっても――好ましく思わない方もいらしゃるとのこと。
そのような事情から、今回はテレビ取材を受けることが出来ませんでした。
ちょっぴり残念ではありますが、テレビカメラが入ることで嫌な気持ちになる人がいるのであれば、お断りするのが当然と思われます。
企画を練ってくださったテレビ局の皆さま、ご協力が出来ず申し訳ありませんでした。
m(_ _)m |
仙台市立岡田小学校にて、ジニアとパパ(メリー・ブンガラ氏)の共演
子どもたちは大変お行儀よく、静かな印象を受けました
ショーの後はジニアとご両親をステージでご紹介し、インドの言葉で「ダンニャワード」(ありがとう)と挨拶! |
岡田小学校でのショーが終わるや否や、休む間もなく、次なる会場の亘理町立荒浜小学校へGO!
といっても、荒浜小学校は3月11日の地震と津波で校舎が使えなくなってしまい、今は同じ亘理町内にある逢隈小学校の校舎に間借りしていらっしゃるのです。
「荒浜小学校はこのあたりで一番ひどい被害を受けた学校です。あそこの子ども達に、まずはマジックショーを見せてやってください」
とおっしゃった方が何人かいました。そんな酷い体験をした子ども達に、一体どんなふうに声をかけたらいいのか。正直なところ、半分戸惑いながら校舎に入って行った私達でした。
ところが玄関に入ると、そこには「お待ちしておりました」の元気な文字。
その言葉がお世辞ではないことは、子ども達のリアクションを見ればすぐにわかりましたよ。 |
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マジックショーが始まる前から、食い入るように真剣な目。鋭い反応。大きな笑い声。
こちらがビックリするほど元気なリアクション。
さすがは浜の子です。波の音を子守唄に育った子ども達です。威勢が良くて、おおらかで、
(この子達はきっと、イヤなことがあっても笑い飛ばして生きて行ってくれるだろうな)
そう思わせてくれる逞しいエネルギーが部屋中に漲(みなぎ)っているようでした。 |
津波で校舎をなくしてしまった荒浜小の子達。マジックを食い入るように見つめています
「鳩を触ってみたい子は?」の質問には、一斉にみんなの手が挙がりました。ビックリするほど元気です
鳩に触った途端、顔いっぱいに浮かんだ特大スマイル♪ |
荒浜小の子ども達に「元気」をプレゼントしに来たはずが、逆に私達が「元気」をもらっている?!
というか、お互いの元気を交換しているような素敵な感覚。本当に気持ちの良い時間でした。
荒浜小での公演を終えると、またまた休む間もなく、本日3つ目の舞台となる老人ホーム「杜の里」への移動です。ふぅ〜、忙しい!
念のために申し上げますと、私が最初に組んだスケジュールでは「1日2公演」だったのですよ。
ところが、そのプランを見たジニアパパの、
「うーん、これじゃ足りないなあ。せっかく何千キロも旅して日本まで行くんだから、宮城では1日3公演にしようよ」
という鶴の一声で、こんな強行スケジュールになった次第なんです、はい(苦笑)。
というわけで、夕食を食べようにもレストランに寄っているヒマがない……。荒浜小から出た私達はスーパーに寄ってお弁当類を買い、「杜の里」の控え室で食事をさせていただくことにしました。 |
初めて見る日本のスーパーに、インド人3人組は予想以上に楽しそう♪
[左]スーパーから車に戻るなり、いきなりパンを食べ始めた3人。お腹が空いていたようです(笑)
[右]「杜の里」の控え室では、さらに本格的にお食事。パパはママの勧めで“のり巻き”に初挑戦
老人ホーム「杜の里」にて。片言の日本語で挨拶するパパはどこへ行ってもモテモテです
一心にステージを見つめる入居者の皆さん |
さて、昨日と今日、2日つづけて老人ホームに伺って私が感じたことは、入居者の皆さんが思いがけないほど集中してステージを注目してくださったということ。
事前にホームの方から「ご老人はあまり集中力がないので、最後までマジックを見ていられないかも知れないけどゴメンナサイね」と聞かされていただけに、これは予想外でした。
マジックのように次に何が起こるか予想がつかない、つまり予定調和ではないイベントを見ることは、単に楽しいだけでなく適度に刺激を与えるという意味で脳の活性化によろしいのかも知れません。
……というわけで、宮城県での2日目も無事に終了。
しかし、後片付けを済ませて老人ホームを出てみれば、戸外はいつの間にかとてつもない豪雨じゃありませんか。強風も吹きすさび、まさに嵐といった趣です。
あわててニュースをつけてみたところ、今晩、恐れていた台風15号が仙台を直撃する由。
このままでは、明日は小学校が休校になってしまうかも知れません。
とはいえ自然現象ばかりは、なるようにしかなりませんからねえ。
ティッシュペーパーで小さなてるてる坊主を作り、ベッド脇に吊るしてから眠りにつきました。
【DAY 5】 宮城3日目(9月22日)
*マジックショー@石巻市立雄勝小学校+聖ウルスラ学院+七ヶ浜国際村
一晩明けてみると、台風一過の青い空が拡がっていました。とはいえ台風は昨夜のうちに各地で土砂崩れを引き起こすなど、多くの被害をもたらした模様です。
休校になるかも知れないけれど、とにかくダメモトで石巻まで行ってみたところ、普通に学校の門は開いており、今日は授業が行なわれるということでした。
が、おそらく昨夜の台風の影響でしょう、ちょっぴりダルなムードが漂っています。
雄勝小学校は3月の津波で大きな被害を蒙った学校で、今は別の中学校に間借りをしている状態です。変わり果てた姿の校舎は幾度も報道されましたから、テレビ等でご覧になった方も多いのではないでしょうか。
3月11日以来、この子達が心に受けた傷が一体どれだけ大きなものなのか、そこにいなかった自分には想像することしか出来ませんが――でも、せめて今日だけは嫌なことを忘れてマジックショーに没頭して欲しい。そして、それを新たな糧として、新しい明日を切り拓いて行って欲しい。
何があっても負けないで! そう心から願わずにはいられませんでした。 |
終始、静かにマジックショーに見入ってくれた雄勝小学校の子ども達
昨日の台風がもたらした陰鬱な気分を払拭しようと、パパも一生懸命場を盛り上げています |
雄勝小学校でのショーを終えた私たちは、再び石巻から仙台へ取って返し、今回のツアーでは唯一の私立学校である聖ウルスラ学院に向かいました。
ミッションスクールのウルスラ学院では英語教育が盛んで、実は今回のマジックショーも「英語の授業の一環」としての位置付けとのことでした。ジニアとの英語による質疑応答を含めた交流の時間も用意されており、なかなかユニークなイベントになりました。
私も最初にちょっとだけ、「英語ができると何がいいの?」というお話をさせていただきましたが、小1から小6までの全員にわかるお話をするのは難しいですね。話を小1に合わせたので、小6の子には物足りなかったかも。 |
ジニア本人もムンバイのミッションスクール(女子中学)に通っているので、
ウルスラ学院の雰囲気にすぐ馴染んだよう。すっかりリラックスした笑顔!
例によってパパが「鳩を触ってみたい人」と聞くと、はい、このとおり。みんな手を挙げてくれました!
マジックショー終了後は、英語によるジニアとの質疑応答あり、和太鼓の演奏あり。
ジニアとパパは和太鼓の撥(ばち)の扱い方まで教えてもらって大満足です
全校生徒による素晴らしい「歌」のプレゼントまで頂きました
低学年の子達から「可愛い!」「また来てね!」
と話しかけられ大感激のジニア |
宮城県における最後のマジックショーは「七ヶ浜国際村」での公演でした。
ここまで小学校と老人ホームの計6か所で公演をしてきましたが、それらはすべてクローズドといいますか、関係者のみを対象とするショーでした。
そこで、せめて最後に一か所、どなたでも自由に無料でマジックを楽しんでいただける場を、どうしてもご用意したかったわけです。
七ヶ浜国際村は最高で577名を収容できる、実に立派なホールでした。プロだってなかなか立てない素晴らしいステージに立たせていただき、14歳のジニアにとっては願ってもないほど素晴らしい人生勉強になったことと思います。
実はこの日、最後に行なった“得意中の得意”のマジックで、ジニアは生まれて初めてのミスを犯しました。あれは本人にとって想定外のミスだったと思います。
(まさかこの私が、こんな初歩的なところでミスる!?)
と、かなりショックだったのではないかと推察します。しかしジニアはすぐに体制を立て直し、
「間違えてしまいましたのでもう一度挑戦させてください」
と断ってから、その部分を一から丁寧にやり直したのは、とても立派な態度だったと思います。
思うに、一度もミスのないままパーフェクトに終わってしまうよりも、むしろ衆人環視の中で生まれて初めてのミスを犯し、しかも、それを投げ出さずにキチンとやり直したという事実こそが、今回のツアーの中でジニアにとって最も大きな収穫の一つだったと私は確信しています。
あのとき大きな拍手で支えてくださった七ヶ浜のお客さまに、ジニアに成り代わりまして改めて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。 |
「七ヶ浜国際村」のエントランス付近の様子。水をふんだんに使った神殿風の建築物が魅力的です
こちらが客席
大舞台に立つ14歳のジニア |
人に何かを与えに行って逆に与えられたり、教えに行って逆に教えられたり……だから人生は素晴らしいですね!
なお、七ヶ浜国際村で公演させていただくに当たりましては、本来ならばその時間帯は劇団NaNa5931さんがステージをお使いになる予定だったのです。
ところが私達がマジックショーの会場を探していると知るや、NaNa5931の皆さんはご自分たちのステージ開始を1時間遅らせ、その間のステージを私達に使わせてくださったのです。
普通ではありえないような優しいお心づかいをいただきましたことに、改めて感謝申し上げます。
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何だかんだ言っても、いつも一緒のふたり
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