旅に出ていない限り毎週土曜日に更新します。
直前号(金魚のお菓子からホタルの大乱舞まで
)は
こちら
から、それ以前のバックナンバーは
こちらから御覧になれます。

2009年7月27日号(第344号)
今週のテーマ:
皆既日食【1】日光仮面見参
★ 仏教エッセイ ★
真言宗のお寺・金剛院さんのウェブ上で『仏教一年生』と題したエッセイを連載中です。第15回のテーマは「アンチエイジング」です(毎月28日頃更新予定)。左のロゴをクリックしてページに飛んでください。
 皆既日食を五感で体験すべく、種子島へ行って参りました♪
 同行者は、3年ほど前から「民族記録映画を観る会」を主催している仲間たちです。

 日本では46年ぶりの皆既日食。

 「ぜひともこの目で見たい!」と思った人は少なくないでしょうが……ぶっちゃけ、このメンバーが一緒でなければ日食を見に行こうなんて思わなかったと思うんですよ、少なくとも私の場合は。

 ところが、あれは今から3〜4ヶ月前でしたか、映画を観る会の終わりぎわに佃一可さん(煎茶道一茶菴第14世宗家)がさりげな〜くこんなことを仰ったんです。

「あっ、そうそう。ところで種子島へ日食を見に行きたい人なんているかなぁ? いたら、この指と〜まれ。フェリーと宿は今からでも私の顔で取れますよ。別に、無理してまで申し込む必要はないけど」

 それを聞いた瞬間、あたりは騒然(笑)。

「えーっ! チケットが取れるなら行きます行きます!
「僕も!」「私も!」

と叫びながら皆が一可さんの指につかまり、気がつけばわずか3秒でツアーは完売

 ……さすがは一可さん、策士だわ(爆)。

 というわけで日食ツアーがいきなり決定。
 こうなると、サービス精神旺盛な我々はじっとしていられません。

「どうせ種子島まで行くからには、現地の人たちと交流を深めたいよね」
「向こうの文化や産業についても学びたいし」
「講演会をしようよ。それぞれの専門知識をジャンジャン提供して、徹底的に日食を楽しみましょう」

という流れに(笑)。

 一可さんをリーダーに、大森康宏先生(立命館大学映像学部長)、やすみりえさん(川柳作家)、原島博先生(顔学会会長/前・東京大学教授)、そして私と、いつもの日本文化デザイン会議の仲間が中心になって「皆既日食を楽しむ会」を結成。

 そこに親しい友達が加わって、総勢15名で種子島を目指すこととなったのでした。

 ちなみに今回、皆既日食が見られるのは、日本国内では(種子島など)鹿児島県だけだそうです。

種子島に渡る前日に泊まった鹿児島市内のホテル
にて、右から原島先生、大森先生、一可さん、私
 こうして、皆既日食を楽しむためのスケジュール↓が組まれました。
「皆既日食を楽しむ会」スケジュール

7月20日(月)
各自、鹿児島へ(ホテルはそれぞれ自分で確保)

7月21日(火)
船着き場にて全員集合。高速フェリーで種子島へ(所要時間90分)
鉄砲館と種子島窯を見学
皆既日食前夜祭
 ☆皆既日食関係の映画上映・解説(大森康宏教授)
 ☆皆既日食とアジアの思想―インド神話における日食/空海と日食(山田真美)
 ☆種子島茶生産組合の皆さんとの懇親会

7月22日(水)※皆既日食当日
皆既日食の観測@南種子町の茶畑
(種子島における皆既日食は10時58分〜11時00分の約2分間)
 ☆種子島産の茶葉を使った茶会(佃一可さん)
 ☆皆既日食を詠む川柳会(やすみりえさん指導)
 ☆宇宙ロケットセンターと製茶工場を見学
 ☆バーチャルリアリティー学会講演会(原島博先生、河口洋一郎さん他)
 ☆最新バーチャルリアリティー技術でツアー参加者の平均顔を作る(原島博先生)
 ☆地元の皆さんとの懇親会

7月23日(木)
種子島より高速フェリーで鹿児島へ
※ここから先は単独自由行動
 というわけで、7月21日12時00分、鹿児島南港の高速船ロケット号(全席指定)の発着場にて全員集合…・…と思いきや、ここで早くも約2名の迷子が発生(苦笑)。

 ま、武士の情けで、名前は書きませんけどね。
 誰が迷子になったのか、皆さんで自由に想像して楽しんでください(笑)。

この高速フェリーで種子島へGO!
 ところでこの日は、あいにく波の高さが2.5メートルとやや高め。

 7年前にパプアの海で溺れ死にかかって以来、海の恐しさがトラウマになっている私は、念には念を入れて2リットル容器入りのミネラルウォーターを持参することにしました。

 いざとなったら、これを空っぽにして浮力として使おうという魂胆です。
 ……って、どんだけ用意がいいんだか(苦笑)。

 しかも、万が一の事態に備えて(?)携帯からmixiにも↓日記を投稿しておきました。
 「万が一」の場合にはこれがダイイングメッセージとなるはずでしたが、幸いにもそういう事態は訪れず、90分後、一行は無事に種子島に到着♪

 まずは今夜から2連泊する予定のホテルにチェックインしました。

 この時期、島内のホテルは日食観察が目的の観光客でどこも満室だそうで、私はお友達のアユコさんとお部屋をシェアすることに。

 こういう修学旅行みたいなノリの旅って、すごく久しぶりです。

 ちなみに、アユコさんとは数年前に東大工学部の庭で催されたお花見で出逢って以来、とても楽しくお付き合いさせていただいているのですが、一緒に旅行をするのは今回が初めて。

 真夜中のガールズトークが楽しみです(笑)。
  
ビジネスイン種子島に宿泊。309号室の鍵を手にイェ〜イ!(笑)
 さて、ホテルを出発した私たちが最初に向かった先は鉄砲館

 ここで火縄銃伝来の歴史を学ぼうという見上げた志し(←自分で言うか(笑))だったのですが、廊下を歩いて行くと、向こうから見覚えのある顔の人が……。

 ななな〜んと、世界的CGアーティストにして東大教授の河口洋一郎さんじゃありませんか!
 「あああっ!」と言おうとしたら、あちらから先に、

「あああああっ! こんなところで何してるの?

と言われてしまいました。「あ」の数2個分だけ負けた(笑)。

 実は、河口さんはここ種子島が生んだスーパースター
 今回は日食にタイミングを合わせたイベントが目白押しのようで、かなり忙しそうに走り回っていらっしゃいました。
  
(左)鉄砲館入口で記念写真。左端がやすみさん、その右は佃さんの姪御さん、
頭にサングラスを載せているのがアユコさん、その右後方が佃夫人、私の後方
はエンジニアの伊東さん (右)鉄砲館の廊下で河口洋一郎さんにバッタリ
 鉄砲館のあとは種子島焼きの窯(かま)へ。

 窯元の野口悦士さんに手取り足取り指導していただきながら、みんなで轆轤(ろくろ)を回して参りました。
  
大自然に抱かれた素晴らしい環境。入ってすぐのスペースは、ショップになっています


  
(左)これが窯 (右)陶芸を指導してくださった野口さんご夫妻のステキな笑顔
 一番バッターの伊東さんが気持ちよさげにクルクルと轆轤を回し、アユコさんに至っては、

「無心というか、いつの間にか周囲の音が聞こえなくなっていました」

と、まるで涅槃に入った釈迦のようなコメントをするなか(笑)、私ときたら無心どころか「どうにかしてうまく作ってやろう」と、いきなりここで煩悩全開状態に。

 アクセルを踏みながら急ブレーキをかけているような無理な轆轤の回し方をして、アッという間にガチガチに肩が凝ってしまいましたorz

 実は、ちゃんと先生に指導していただきながら轆轤を回すのは、これが人生で3回目なんですが、前回も前々回もこんな感じだったんですよ私……。

 陶芸って、その人の人格がモロに出るものみたいですね。
 そして、ハッキリ言って、私は私の人格が嫌いです(爆)。

 その後、ガンバってどうにか茶碗らしきモノが出来たことは出来ましたが……気分的にはヒドイ不完全燃焼
  
このガチガチに固まった表情を見よ! 煩悩ゆえの金縛り状態(笑)
 そこでサッサと陶芸は諦め(苦笑)、今度は野口さんが作ってくださったお皿のうえに日食がテーマの川柳を刻むことにしました。

「日食や 日光仮面 いざ見参」 by マミリン
  
日食記念川柳(笑)。ちなみにこの日はてるてる坊主代わりの太陽柄シャツを着ていました♪
 この句について一言解説しますと、「日光仮面」というのは子どもの頃、ほんの一時期だけ使われていた私メのあだ名です。

 オデコが広いからという、実にまったく安易な理由から付けられたニックネームだったのですが(笑)、このたび日食を見に来ることが決まったとき、なぜか私は心の中で、

(ふっふっふ。ついにこの目で皆既日食を見る日がやってきましたよ〜。日光仮面、見参!

と、思わず快哉(かいさい)を叫んでいたのでした(爆)。

 その気持ちをそのまんまお皿にぶつけてみたというわけです。

 陶芸教室を終えた私たちは、夕食をとるために一旦ホテルに戻り……、
  
ホテルの夕食。このあたりのお醤油って甘いんですネ(ビックリ!)
 ……夕食が終わると、ただちに種子島茶生産組合の皆さんとの懇親会を兼ねたイベント会場へ。

 ここではまず大森先生が、日食に関係したアボリジニーの記録映画を上映し、続いて私がインドの日食神話をテーマにレクチャーをいたしました。

 ちなみにこのイベント、聞くほうも話すほうもお酒を飲みながらという実に素晴らしいスタイルだったのですが、ここでいただいた芋焼酎の名前は「甘露」でした(←ここ重要ポイント)。

 インド神話によれば、その昔、(デーヴァ)一族と阿修羅(アシュラ)一族にはそれぞれ寿命があって、人間と同じようにいつかは死んでしまう存在でした。

 「永遠の命を得たい」と強く願った神族と阿修羅族は、一口飲めば永遠の命を授かるという幻の秘薬アムリタを求めて全面戦争に突入するのですが……。

 「アムリタ」の日本語訳は「甘露」。そして何を隠そう、アムリタを求めて神と阿修羅が戦ったこの大戦争こそが、インドにおける日食神話の始まりなんです。

 アムリタについて話そうとしたらいきなり「甘露」という名の焼酎が出て来るなんて、なんという奇縁!

 インドの日食神話に関する詳しい内容については、金剛院さんのウェブサイトに連載中の「仏教一年生」第16回に書きましたので、こちらからご高覧くださいマセ♪

薄暗い中で鹿児島の芋焼酎「甘露」(美味!!!)を飲みながら、インドの日食神話をテーマにトーク中



種子島の焼酎、その名も甘露=アムリタ
 というわけで日食ツアー第1日目は終了。

 ホテルに戻った私は、同室のアユコさんを相手に明け方近くまで女子高生のようなおしゃべりを続け、そのあとは朝までぐ〜ぐ〜爆睡(笑)。

 そしてついに皆既日食の当日を迎えるのでした。(以下、次号へつづく)
▼・ェ・▼今週のブースケ&パンダ∪・ω・∪


夏はやっぱり扇風機に限るのだブ〜

(※前号までの写真はこちらからご覧ください)
事事如意
2009年7月27日
山田 真美
※週刊マミ自身の一部または全部を許可なく転載・引用なさることはお断りいたします♪
©Mami Yamada 2000-2009 All Rights Reserved.